JP2019113093A - ワンウェイクラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】遊星ギアと、それを受容する凹部、外周部に遊星ギアの歯谷部との係合部を有する第1の回転部材と、内周面に遊星ギアと噛合う内歯車を有し、第1の回転部材と相対回転する第2の回転部材と、を有し、第1の回転部材が第2の回転部材に対して一方の側に回転すると、遊星ギアの歯谷部に係合部が係合し、遊星ギアが回転不能となり、第2の回転部材と第1の回転部材とが駆動連結し、第1の回転部材が第2の回転部材に対して他方の側に回転すると、前述の係合が解除され、遊星ギアの回転と第2の回転部材と第1の回転部材との相対回転が可能となり、第2の回転部材と第1の回転部材との駆動連結を切り離すワンウェイクラッチで、第1の回転部材が第2の回転部材に対して相対回転しているとき、遊星ギアの位置は、遊星ギアが内歯車と噛合うことによって規制される。
【選択図】図5
Description
従来の内接歯車式のワンウェイクラッチは、インナ部材81がアウタ部材82に対して相対回転しているときに、インナ部材81やアウタ部材82から加わる力が遊星ギア87の重心からずれることがある。すると、重心のずれにより遊星ギア87に軸線方向に直交する方向の傾きが発生する。その傾きを規制するために遊星ギア87の軸端面89および90がインナ部材81の凹部端面83および84と同時に当接する。これにより、軸端面89および90と凹部端面83および84との間に高い圧力が発生してしまい、遊星ギア87が回転する際の摺動抵抗の原因となる。このことから、インナ部材81とアウタ部材82が相対回転する時のトルクである空転トルクが発生してしまっていた。
遊星ギアと、
前記遊星ギアを回転可能に受容する凹部と、外周部に前記遊星ギアの歯谷部との係合部と、を有し、前記遊星ギアの回転に伴い、前記遊星ギアと相対回転する第1の回転部材と、
内周部に前記遊星ギアと噛合う内歯車を有し、前記内歯車の内側空間に前記第1の回転
部材を回転自在に収容可能とし、前記遊星ギアと同方向に回転し、前記第1の回転部材と相対回転する筒状の第2の回転部材と、
を有し、
前記第1の回転部材が前記第2の回転部材に対して一方の側に回転するときは、当該回転に伴い前記遊星ギアの歯谷部に前記係合部が係合することにより、当該遊星ギアが回転出来なくなり、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材とを駆動連結し、
前記第1の回転部材が前記第2の回転部材に対して他方の側に回転するときは、当該回転に伴い前記遊星ギアの歯谷部と前記係合部との係合が解除されることにより、当該遊星ギアが回転可能になり、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材との相対回転を許し、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材との駆動連結を切り離すワンウェイクラッチであって、
前記第1の回転部材と前記第2の回転部材のどちらか一方がどちらか他方に対して相対回転しているとき、前記遊星ギアが前記内歯車と噛合うことによって、前記遊星ギアの位置が規制されることを特徴とする。
図1、2を用いてワンウェイクラッチの構成を説明する。ワンウェイクラッチは、クラッチケースをなすアウタ部材10(第2の回転部材)を有する。アウタ部材10は、軸線方向の一方の端部を端壁11により閉じられた有底円筒体により構成され、内周面に一連の内歯車12を形成されている。
インナ部材20の軸線方向の他方の端部には円形フランジ部(第3の係合部)22、23が形成されており、アウタ部材10の開口端部分の内周面14、15に回転可能に係合されている。インナ部材20の円形フランジ部22、23の他方の側には、突出形成された外部接続部24を有する。また、円形フランジ部22、23の外周面には円環状案内突
条(突出部)25が形成されており、円環状案内突条25はアウタ部材10の開口端部分の内周面14、15に形成された円環状凹溝16に摺動可能に嵌合している。これによりアウタ部材10に組み付けられたインナ部材20はアウタ部材10から容易には外れない。
インナ部材20がアウタ部材10に対して一方の側に回転するクラッチ係合時のインナ部材20の回転方向を、図3で見て反時計回り方向とする。また、インナ部材20がアウタ部材10に対して他方の側に回転するクラッチ非係合(解放)時のインナ部材20の回転方向を、図3で見て時計回り方向とする。
インナ部材20の上述の反時計回り方向で見て、凹部26、28の回転方向遅れ側の縁部には、遊星ギア30、40の外歯車31、41による歯谷部30A、40Aに選択的に係合する係止エッジ部27、29が形成されている。
れることにより遊星ギア30に軸線方向に直交する方向の傾きが発生する。このとき、傾き角度θが大きいと、係止エッジ部27が遊星ギア30の歯谷部30Aに入りこまなくなり、係合しなくなってしまう。係合する条件は、歯谷部30Aの距離をw、外歯車31の歯幅tを用いて、
となる。式(1)を満たすとき、係止エッジ部27は図4(c)の直線αのような位置関係で歯谷部30Aを受け入れるため、係合することができる。一方で、式(1)を満たさないとき、係止エッジ部27は図4(c)の直線βのような位置関係で歯谷部30Aを受け入れるため、係止エッジ部27が歯谷部30Aを形成する2つの外歯にともに当たってしまい、係合することができない。したがって、遊星ギア30は式(1)を満たすように規制されている必要がある。
従来例においては、図5(a)に示すとおり、式(1)を満たすために、遊星ギア87の軸線方向に直交する方向の傾きをインナ部材81の凹部端面89および90によって規制している。ここで、図5(a)のように遊星ギア87の軸方向長さをl、軸の直径をd、凹部82の軸方向長さをcとおくと、傾き角度θが取りうる最大値θmaxは、
となる。式(2)の傾き角度θmaxが式(1)を満たすようにすることにより、遊星ギア
87が係止エッジ93に係合する。
となる。したがって、遊星ギア87が傾くと式(3)で示した値だけインナ部材81に負
荷がかかるため、遊星ギア87の回転に伴い摺動抵抗が発生することとなるので、空転トルクが高くなってしまう。
となる。遊星ギア30の傾きがインナ部材20ではなくアウタ部材10で規制されるためには、式(2)と式(4)より、
であればよい。式(4)の傾き角度θmaxが式(1)を満たすようにすることにより、遊
星ギア30が係止エッジ27に係合する。なお、ここでは、遊星ギア30の規制についてのみ説明したが、遊星ギア40の規制も同様である。また、本実施例において、遊星ギアが複数備えられた構成について説明したが、遊星ギアが1つの場合であっても同様に規制をすることができる。
図7を用いて実施例2を説明する。本実施例では実施例1のワンウェイクラッチにおける遊星ギアの形状を変更したものである。遊星ギア70は、軸端面72、73が平面である。遊星ギア70は、軸方向長さをl’、軸の直径をd’、インナ部材60の凹部61の軸方向長さをc’とおくと、
を満たすように設計されている。式(6)は、遊星ギア70が、インナ部材60の凹部61に形成された凹部61の軸方向長さc´を直径とする円柱形状の空間内に収まっていることを意味する。
Claims (12)
- 遊星ギアと、
前記遊星ギアを回転可能に受容する凹部と、外周部に前記遊星ギアの歯谷部との係合部と、を有し、前記遊星ギアの回転に伴い、前記遊星ギアと相対回転する第1の回転部材と、
内周面に前記遊星ギアと噛合う内歯車を有し、前記内歯車の内側空間に前記第1の回転部材を回転自在に収容可能とし、前記遊星ギアと同方向に回転し、前記第1の回転部材と相対回転する筒状の第2の回転部材と、
を有し、
前記第1の回転部材が前記第2の回転部材に対して一方の側に回転するときは、当該回転に伴い前記遊星ギアの歯谷部に前記係合部が係合することにより、当該遊星ギアが回転出来なくなり、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材とを駆動連結し、
前記第1の回転部材が前記第2の回転部材に対して他方の側に回転するときは、当該回転に伴い前記遊星ギアの歯谷部と前記係合部との係合が解除されることにより、当該遊星ギアが回転可能になり、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材との相対回転を許し、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材との駆動連結を切り離すワンウェイクラッチであって、
前記第1の回転部材と前記第2の回転部材のどちらか一方がどちらか他方に対して相対回転しているとき、前記遊星ギアが前記内歯車と噛合うことによって、前記遊星ギアの位置が規制されることを特徴とするワンウェイクラッチ。 - 前記第1の回転部材と前記第2の回転部材のどちらか一方がどちらか他方に対して相対回転しているとき、前記遊星ギアが前記内歯車と噛合うことによって、前記遊星ギアの軸線方向に直交する方向の傾きが規制されることを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記遊星ギアが、軸線方向の両端部にそれぞれ軸部を備えることを特徴とする請求項2に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記遊星ギアを複数備え、複数の前記遊星ギアが、前記第1の回転部材の複数の凹部に受容されていることを特徴とする請求項3に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記軸部の端面は球面であることを特徴とする請求項3又は4に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記遊星ギアは、前記凹部に形成された前記第1の回転部材の軸線方向における長さを直径とする円柱形状の空間内に収まる大きさであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記遊星ギアの軸線方向の長さをl’、前記軸部の端面の直径をd’、前記凹部の前記第1の回転部材の軸線方向の長さをc’としたとき、
前記遊星ギアは、以下の式を満たすことを特徴とする請求項6に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記軸部の端面は平面もしくは球面であることを特徴とする請求項6又は7に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記遊星ギアの軸線方向に直交する方向の傾き角度をθとし、前記遊星ギアの軸線方向の長さをl、前記軸部の端面の直径をd、前記遊星ギアの軸線方向に直交する方向のバックラッシ量をjt、前記遊星ギアの中心から歯先までの距離と、前記遊星ギアの中心から前記凹部において前記遊星ギアの歯先が接する前記第1の回転部材の軸に最も近い位置との距離の差分をjr、前記遊星ギアが有する歯面の1点において、前記遊星ギアの半径線が、前記歯面と前記内歯車の歯形との接線となす角度を圧力角α、前記凹部の前記第1の回転部材の軸線方向の長さをcとしたとき、前記傾き角度θの最大値θmaxは、以下の式
を満たすことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記遊星ギアの歯谷部の距離をw、前記遊星ギアの外歯車の歯幅をtとしたとき、
前記傾き角度θは以下の式を満たすことを特徴とする請求項9に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記第1の回転部材は、軸線方向において一方の端部に、前記第2の回転部材と係合する第2の係合部を、軸線方向において他方の端部に、前記第2の回転部材と係合する第3の係合部を、さらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のワンウェイクラッチ。
- 前記第1の回転部材は、軸線方向における一方の端部に円環状の突出部をさらに備え、前記第2の回転部材に形成された溝と嵌合することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のワンウェイクラッチ。
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