JP2019112675A - レベル計測方法およびレベル計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロ波を用い、吹錬中のスラグ面を、従来よりも正確に測定し得るレベル計測方法およびレベル計測装置を提供する。【解決手段】レベル計測装置10では、ノイズと判定されたレベル測定値を除去し、除去されずに残ったレベル測定値のみを基に、炉内におけるスラグ面3のレベルを特定する。これにより、レベル計測装置10では、地金により生じる、誤ったレベル測定値を基にして、炉内におけるスラグ面3のレベルが特定されることを抑制できるので、その分、吹錬中のスラグ面3を従来よりも正確に測定し得る。【選択図】図8

Description

本発明は、炉の内部におけるスラグ面のレベルを計測するためのレベル計測方法およびレベル計測装置に関する。
転炉製鋼プロセスにおいて生産性を向上させるためには、酸素等のガスをスラグ面に吹き付ける際の送酸速度を上げて転炉吹錬(以下、単に吹錬とも呼ぶ)に要する時間を短縮することが重要となる。しかしながら、送酸速度を上げると、スラグがフォーミングし易くなり、スロッピング(フォーミングしたスラグが炉口から溢れる現象)や、スピッティング(噴流によりスラグが飛散する現象)が発生して歩留まりの低下を招くだけでなく、炉口やフード等に地金やスラグが付着して操業が阻害される等の問題が生じる可能性がある。従って、生産性の向上を図るためには、転炉の内容物のレベルを測定し、スロッピングの予兆となるスラグのフォーミング挙動等を正確にリアルタイムで把握することが重要となる。
従来、スラグ面のレベル計測装置としては、特許文献1に示すように、マイクロ波を利用したレベル計測装置が考えられている。ここで、転炉吹錬中の炉内では溶銑やスラグが多量に飛散しており、炉口や炉内の炉壁には、溶銑やスラグが地金として付着してしまうことがある。レベル計測装置では、炉壁に付着した地金がマイクロ波の照射範囲に存在すると、スラグからの反射信号に加えて、地金からの反射信号も受信することになる。そのため、地金からの反射信号強度がスラグからの反射信号強度よりも大きい場合には、地金の位置をスラグ面位置(スラグ面のレベル)と誤検知してしまう可能性がある。
このような地金による問題を考慮し、特許文献2に示すようなレベル計測装置も考えられている。特許文献2には、吹錬工程の開始時から変化せずに継続して存在する信号をノイズとして除去した上でスラグ面までの距離を求める方法が開示されている。また、特許文献2には、所定の時間間隔をおいて、反射波の反射強度と、アンテナおよびスラグ面の往復伝搬時間と、の関係を示した反射波形の差分をとり、このような反射波形の差分や、当該差分の絶対値の最も大きな信号を、スラグ面からの信号とし、距離を求める方法が開示されている。
特開2016−180126号公報 特開2016−29212号公報
しかしながら、吹錬工程の開始時から継続して存在する信号をノイズとして判定する方法では、吹錬中に炉口もしくは炉壁に新たに付着した地金についてはノイズとして判定し得ず、新たに生成された地金からの反射波を除去することはできない。また、炉内で発生するダストの影響により、スラグ面からの反射信号が遮られてしまうこともある。このような場合、反射波形の差分もしくはその絶対値の最も大きな信号をスラグ面からの信号とする手法では、炉内で発生するダストの影響により、反射波の強度が大きく変動することもあるため、地金をスラグ面と誤判定してしまうこともある。そのため、特許文献2では、吹錬中のスラグ面のレベルを正確に測定し得ないという問題があった。
さらに、特許文献2では、炉内で発生するダストの影響により、スラグ面からのマイクロ波の反射率が極めて小さくなると、得られた反射波形と1つ前の反射波形との差分のピークも小さくなり、ピーク判定が困難になる。また、ダストの影響による反射波の強度の時間変動が大きい場合には、反射波形の差分の絶対値を取った波形において、スラグ面に相当するピークが2つ現れることもあり、その場合、どちらのピークを選択すべきか曖昧さが存在する。従って、特許文献2では、炉内にダストが発生する吹錬中に、スラグ面のレベルを正確に測定し得ないという問題があった。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、マイクロ波を用い、吹錬中のスラグ面を、従来よりも正確に測定し得るレベル計測方法およびレベル計測装置を提供することを目的とする。
本発明のレベル計測方法は、マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面又は前記炉内に付着した地金からの反射マイクロ波を受信するマイクロ波照射受信工程と、前記マイクロ波と前記反射マイクロ波とにより、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成する距離波形信号生成工程と、前記距離波形信号内のメインピークを、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの距離の時間変化を示すレベル測定値として抽出する抽出工程と、前記レベル測定値と、過去の蓄積レベル測定値とを比較して、前記レベル測定値がノイズであるか否かを判定するノイズ判定工程と、前記ノイズと判定された前記レベル測定値を除去し、除去されずに残った前記レベル測定値を基に、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定工程と、を備える。
本発明のレベル計測装置は、マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測装置であって、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面又は前記炉内に付着した地金からの反射マイクロ波を受信するアンテナ部と、前記マイクロ波と前記反射マイクロ波とにより、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成する距離波形信号生成部と、前記距離波形信号内のメインピークを、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの距離の時間変化を示すレベル測定値として抽出する抽出部と、前記レベル測定値と、過去の蓄積レベル測定値とを比較して、前記レベル測定値がノイズであるか否かを判定するノイズ判定部と、前記ノイズと判定された前記レベル測定値を除去し、除去されずに残った前記レベル測定値を基に、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定部と、を備える。
本発明によれば、地金により生じる、誤ったレベル測定値を基にして、炉内におけるスラグ面のレベルが特定されることを抑制できるので、その分、吹錬中のスラグ面を従来よりも正確に測定し得る。
本発明のレベル計測装置を用いた転炉の構成を示す概略図である。 図2Aは、送信波および受信波の関係を示すグラフであり、図2Bは、送信波および受信波の波形を示すグラフであり、図2Cは、ビート波の波形を示すグラフであり、図2Dは、メインピークが表れた距離波形信号を示すグラフである。 距離波形信号の一例を示すグラフである。 レベル測定値の時系列変化と、レベル測定値を基に算出した時間平均曲線とを示したグラフである。 レベル算出部の回路構成を示すブロック図である。 図4に示した履歴データの一部領域を拡大したグラフである。 図7Aは、レベル測定値の時系列変化を示したグラフであり、図7Bは、ノイズと判定されたレベル測定値の説明に供するグラフであり、図7Cは、ノイズと判定されたレベル測定値を除去したときの説明に供するグラフである。 本発明によるレベル計測処理手順を示すフローチャートである。 図4に示した履歴データについて、実際にノイズと判定されたレベル測定値を除去していったときのレベル測定値と、残ったレベル測定値を基に算出した時間平均曲線とを示したグラフである。
<本発明のレベル計測装置について>
図1は、本発明のレベル計測装置10と、本発明のレベル計測装置10が用いられる転炉製鋼プロセスにおける転炉1の構成を示した概略図である。
転炉製鋼プロセスでは、転炉1の内部(以下、単に炉内とも呼ぶ)に溶銑2を装入し、溶銑2に対してランス4から酸素等のガスを吹き込むことによって、溶銑2の成分調整を行って溶鋼を生成する。溶融物の表面には、処理の進行に伴ってスラグが生成される。本発明によるレベル計測装置10は、このように炉内に形成されるスラグ面3のレベルをリアルタイムで計測する。本発明において、「スラグ面」とは、炉内で外部に露出した、溶融状態のスラグの表面をいう。スラグ面3の「レベル」とは、炉内底部や所定基準位置から見た、炉内におけるスラグ面3の高さをいう。
転炉1で行われる処理では、蒸気やダスト等が発生するため、発生するダスト等を外部環境に放出させないために、転炉1上方に開いた炉口付近には、炉口から上方に延びる排気フード5が設けられている。この排気フード5には、ランス4を転炉1内に挿入するためのランス用開口部の他、炉口上方にフード開口部6が開口されている。フード開口部6の周りには上方へ延設された開口形成部7が配管状の構造物として設けられている。
レベル計測装置10のアンテナ部10aは、開口形成部7に配置される。この実施形態の場合、開口形成部7には、アンテナ部10aが設置されている他、当該アンテナ部10aと炉内との間に断熱板14が設けられている。断熱板14は、例えばアルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)等のように、マイクロ波が透過可能な無機セラミックスにより形成されている。断熱板14は、アンテナ部10aと炉内との間でマイクロ波の送受信を可能にしつつ、炉内からの熱を低減して熱によりアンテナ部10aが損傷することを防止し得る。
アンテナ部10aは、フード開口部6内から炉内に向けてマイクロ波を照射する送信アンテナ11と、当該送信アンテナ11とは別体に設けられ、炉内のスラグ面3から反射してフード開口部6内を通過した反射マイクロ波を受信する受信アンテナ12とを備えている。なお、炉内に向けて照射されるマイクロ波の周波数としては、炉内が狭く、かつスラグ面3におけるマイクロ波の反射率が小さいという特性から、10[GHz]超90[GHz]以下、好ましくは35[GHz]以上85[GHz]以下であることが望ましい。
なお、送信アンテナ11および受信アンテナ12は、例えば、同一直径でなる円錐型のホーンアンテナであり、開口した拡径の先端が炉内に向くように配設されている。送信アンテナ11および受信アンテナ12は、拡径の先端を隣接させて開口形成部7に配設されている。本実施形態の場合、送信アンテナ11における先端の直径と、受信アンテナ12における先端の直径とを合わせた距離は、フード開口部6の直径dと同じであり、送信アンテナ11および受信アンテナ12の先端は、フード開口部6の径方向の略全域に亘って配置されている。
送信アンテナ11および受信アンテナ12には、各先端に、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))からなるレンズ部13が設けられている。送信アンテナ11は、スラグ面3に照射するマイクロ波をレンズ部13によって収束させることにより、送信アンテナ11のアンテナ利得を高めることができる。また、受信アンテナ12は、スラグ面3からの反射マイクロ波をレンズ部13により収束させることにより、受信アンテナ12のアンテナ利得を高めることができる。
レベル計測装置10は、レベル算出部10bを有しており、受信アンテナ12により受信した、炉内からの反射マイクロ波を、レベル算出部10bに送出する。レベル算出部10bは、送信アンテナ11から炉内に向けて送信したマイクロ波と、これにより受信アンテナ12で受信した、炉内からの反射マイクロ波と、に基づいて、所定の演算処理を実行することで、スラグ面3の高さ(レベル)を算出してスラグ面3のレベル計測を行い得る。
<本発明のレベル計測方法の概要>
ここでは先ず始めに、マイクロ波を利用したFM−CW方式のレベル計測方法について説明する。図2Aに示すように、マイクロ波を生成する際、周波数掃引器によって制御される発振器の周波数変調の幅がF(Hz)に設定され、掃引周期がT(秒)に設定されたものとする。炉内に向けて照射されるマイクロ波(以下、単に送信波とも称す)の周波数は、時間の経過とともに連続的かつ直線的に変化する。
一方、計測対象物となるスラグ面3により反射されて受信アンテナ12で受信される反射マイクロ波(以下、単に受信波とも称す)は、受信アンテナ12からスラグ面3までの距離(以下、離隔距離Dと称す)に比例した遅れΔt(秒)を生じることとなる。その結果、ある同時刻における送信波と受信波との間には、離隔距離Dに対応した周波数の差Δf(Hz)が生じる。図2Bおよび図2Cに示すように、このような送信波および受信波がミキサによって混合されると、Δfに相当する周波数成分を有した差周波信号(以下、ビート波又はビート信号とも称す)となる。
送信波と受信波との時間的遅れΔtは、マイクロ波が送信アンテナ11からスラグ面3を介して受信アンテナ12まで戻るために要する時間に相当する。離隔距離を算出するという処理は、ビート信号の周波数(ビート周波数△f)を算出することと等価である。ここで、現実の計測環境においては、ミキサにより生成されるビート信号(ビート波)には、いくつもの周波数成分が混じり合った複合波となる場合が多い。
従って、このような複数の周波数成分からなるビート信号の周波数を求めるために、複数の周波数成分からなるビート信号を基にフーリエ変換処理を行い、周波数スペクトル信号を生成する。次に、周波数スペクトル信号を基に、距離[m]と信号強度との関係を示した、図2Dのような波形信号(以下、「距離波形信号」とも称す)を生成する。距離波形信号は、横軸を距離[m]、縦軸を信号強度[dB]とし、求めたい離隔距離がピークの位置で与えられる。
ところで、吹錬中には、ランス4からの酸素等のガスの吹き付けや、炉底の羽口(図1では図示せず)からアルゴンガス等が吹き込まれることで、炉内には溶銑やスラグが多く飛散する。これらの飛散物が、炉口や炉内の炉壁に付着すると、地金となって成長する。送信アンテナ11から照射されたマイクロ波は、一定の拡がりをもって空間中を伝搬していくため、スラグ面3だけではなく、炉口や炉壁に付着した地金にも照射される場合がある。これにより地金でマイクロ波が反射された場合には、スラグ面3と地金との両方からそれぞれ反射した反射マイクロ波が検出される。その結果、ビート波をフーリエ変換することで得られる距離波形信号では、図3に示すように、複数のピークP1,P2が現れてしまうことがある。このような場合には、例えば、距離波形信号内のメインピークが、スラグ面3のレベルに対応すると見なすように決めておけば、複数のピークの存在に惑わされることなく、スラグ面3のレベルを特定することができる。
しかしながら、このとき、地金の成長の度合いや、反射面であるスラグ面3の傾き、スラグ面3のマイクロ波反射率によっては、スラグ面3からの反射信号よりも、地金からの反射信号の方が大きくなってしまうことがある。そのような場合には、地金からの反射信号によって距離波形信号内に生成されたピークを、スラグ面3までの距離として誤検知してしまうことがある。
図4は、距離波形信号が得られるたびに、距離波形信号内に表れたメインピークを抽出してゆき、この時間変化を時系列にプロットしていった履歴データを示す(以下、「レベル測定値」とも称す)。図4中のS1は、これらレベル測定値を基に算出した時間平均曲線を示す。図4に示すように、スラグ面3までの距離を示すはずの各レベル測定値には、ばらつきが生じている。このことから、単純にメインピークがスラグ面3のレベルを示していると決めつけてしまうと、メインピークの位置には、スラグ面3からの反射又は地金からの反射がともに含まれることで、地金からの反射によるピークを、炉内におけるスラグ面3のレベルを示すレベル測定値として誤検知してしまうことが分かる。
また、スラグ面3までの距離の時間平均を示す時間平均曲線S1も、地金からの反射信号により距離波形信号中に生じたメインピークをレベル測定値と誤検知している影響を受け、誤差を多く含んだものとなってしまう。
そこで、本発明者らは、地金からの反射信号とスラグ面3からの反射信号とを、アンテナ部10aによって、ともに受信した場合であっても、両者の信号を区別し、地金からの反射信号を除去とする手法について鋭意検討を行った。その結果、溶鋼面・スラグ面を示すレベル測定値は高速で振動し、一方、地金を示すレベル測定値はほぼ同じ高さ位置に現れることが明らかになり、この違いを利用して、両者の反射信号を識別し、地金からの反射信号を除去する方法に想到した。以下、地金からの反射信号を除去して正確なレベル測定値を得るレベル計測方法について、図5に示すレベル算出部10bを用いて詳細に説明する。
<レベル算出部の概要>
図5は、レベル算出部10bの回路構成を示したブロック図である。図5に示すように、レベル算出部10bは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等からなるマイクロコンピュータ構成の制御部20を有している。レベル算出部10bは、各種情報が記憶された記憶部21と、表示部22と、アンテナ部10aに接続された信号処理部23と、距離波形信号生成部24と、抽出部25と、ノイズ判定部26と、レベル特定部27と、がバスBを介して制御部20に接続された構成を有する。
制御部20は、ROMに予め格納されている基本プログラムや、レベル計測処理プログラム等の各種プログラムをRAMにロードして立ち上げることにより、レベル算出部10bにおける各種機能を統括的に制御し、後述するレベル計測処理を実行する。信号処理部23は、マイクロ波を送信アンテナ11および距離波形信号生成部24に送出する。信号処理部23は、送信アンテナ11から炉内に向けてマイクロ波を照射させるとともに、受信アンテナ12で受信した反射マイクロ波を受け取り、これを距離波形信号生成部24に送出する。
距離波形信号生成部24は、ビート信号生成部29およびフーリエ変換処理部30を有している。ビート信号生成部29は、送信波であるマイクロ波と受信波である反射マイクロ波とをミキサによって混合してビート信号(差周波信号)を生成し、これをフーリエ変換処理部30に送出する。フーリエ変換処理部30は、ビート信号に対してフーリエ変換処理を行い、周波数スペクトル信号を生成する。また、フーリエ変換処理部30は、周波数スペクトル信号を基に、距離[m]および信号強度の関係を示した、図2Dのような距離波形信号を生成し、これを抽出部25に送出する。
距離波形信号生成部24は、吹錬中、マイクロ波と反射マイクロ波とにより、炉内におけるスラグ面3又は地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を、所定時間間隔で生成してゆく。抽出部25は、距離波形信号を受け取るたびに、距離波形信号内に表れているメインピークをレベル測定値として抽出し、これを記憶部21、ノイズ判定部26、およびレベル特定部27にそれぞれ送出する。この場合、抽出部25は、距離波形信号において、所定の距離範囲(例えば10〜20[m])内に現れる、最も高いピークを、メインピークとして特定し、これをレベル測定値として決定する。
記憶部21は、抽出部25からレベル測定値を受け取ると、これを過去の蓄積レベル測定値として時系列順に記憶してゆく(記憶工程)。これにより記憶部21には、図4に示したように、吹錬中に得られた全てのレベル測定値が過去の蓄積レベル測定値として時系列順に並んだ履歴データ(即ち、距離と時間の関係を示すデータ)が生成される。
ここで、図6は、図4に示した履歴データのうち、350秒〜500秒までの領域を拡大したグラフである。炉壁等に付着した地金は、ランス4から吹き込まれる酸素や、炉底の羽口から吹き込まれるアルゴンガス等の影響を受け難いと推測される。よって、図6に示す領域ER1,ER2,ER3内において、ほぼ同一の高さ位置に現れるプロット(レベル測定値)は、地金からの反射信号を誤検知して算出されたレベル測定値であると推測できる。
一方、スラグ面3は、ランス4から吹き込まれる酸素や、炉底の羽口から吹き込まれるアルゴン等のガスの影響を受け、±500[mm]程度の範囲を短時間で細かく振動しつつ、長周期で全体的に高さが変動している。よって、図6に示す領域ER1,ER2,ER3以外にある、周期が短く細かい振動を示すプロット(レベル測定値)は、スラグ面3からの反射信号を検出して算出されたレベル測定値であると推測できる。
レベル算出部10bは、このような、スラグ面3からの反射信号を検出して算出されたレベル測定値と、地金からの反射信号を誤検知して算出されたレベル測定値との違いを利用して、地金からの反射信号を除去する。図5に示したノイズ判定部26は、抽出部25からレベル測定値を受け取るたびに、過去の蓄積レベル測定値を利用して、当該レベル測定値が、地金からの反射信号を誤検知して算出されたレベル測定値(以下、ノイズとも称する)であるか否かを判定する。
この実施形態の場合、ノイズ判定部26は、比較部31および判定部32を有している。比較部31は、レベル測定値を抽出部25から受け取るたびに、記憶部21に記憶された履歴データの中から、判定範囲内にある蓄積レベル測定値を読み出す。この実施形態の場合、判定範囲としては、例えば、吹錬開始からn回目のレベル測定値を抽出部25から受け取った際には、記憶部21に記憶されている過去の蓄積レベル測定値のうち、n回目のレベル測定値の直前に記憶された、n−1回からn−10回までの10個の蓄積レベル測定値を判定範囲としている。
比較部31は、判定範囲内の複数の蓄積レベル測定値と、抽出部25から受け取った直近のレベル測定値とを比較する。比較部31は、判定範囲内の蓄積レベル測定値のいずれかに、直近のレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下である蓄積レベル測定値が存在するか否かを示した比較結果を生成し、これを判定部32に送出する。
この実施形態の場合、比較部31は、例えば、判定範囲内の蓄積レベル測定値の中から、判定対象のレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下の蓄積レベル測定値を1つでも検出したら、比較処理を終了するが、本発明はこれに限らない。比較部31は、判定対象のレベル測定値について判定範囲内の全ての蓄積レベル測定値と比較するようにしてもよい。
レベル測定値と蓄積レベル測定値との差分の絶対値の判断基準となる「所定値以下」の規定や、判定範囲については、炉の大きさや、過去の操業データから得られた地金を誤検知する頻度、地金の成長速度、スラグ面3の反射率、レベル計測装置10の距離分解能等に合わせて、炉ごとに適切な値を選択すれば良い。本実施形態のように、例えば、FMCW方式のレベル計測装置10を用いる場合には、レベル測定値と蓄積レベル測定値との差分の絶対値については、マイクロ波の周波数帯域幅をF[Hz]、光速をc[m/s]とすれば、c/2Fで決められるレベル計測装置10の分解能程度とするのが好ましい。すなわち、レベル測定値と蓄積レベル測定値との差分の絶対値がc/2F以下であるか否かの比較結果を生成することが望ましい。
また、例えば、レベル測定値と蓄積レベル測定値との差分の絶対値が所定値以下であるか否かの比較結果としては、レベル測定値と蓄積レベル測定値との距離差分の絶対値が30[mm]以下であるか否かの比較結果を生成するようにしてもよい。
このようなレベル測定値の判定手法について、図7Aに示すような履歴データを用いて以下説明する。なお、ここでは、履歴データ中のレベル測定値d11に着目する。比較部31は、直近のレベル測定値として、抽出部25からn回目のレベル測定値d11を受け取ると、記憶部21に記憶された履歴データの中から、レベル測定値d11の直前に記憶されたn−1回からn−10回までの10個の蓄積レベル測定値d10〜dを順次読み出す。比較部31は、読み出した判定範囲内の各蓄積レベル測定値d10〜dと、レベル測定値d11とを順次比較してゆき、蓄積レベル測定値d10〜dの中に、レベル測定値d11との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値d10〜dが存在するか否かを示した比較結果を生成する。
この場合、図7Aに示すように、判定対象としたレベル測定値d11は、判定範囲内の蓄積レベル測定値d,d,d,dとほぼ同一の高さ位置にあるため、これら蓄積レベル測定値d,d,d,dは、レベル測定値d11との差分の絶対値が所定値以下と判断される。比較部31は、例えば、レベル測定値d11との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値dが存在するとの比較結果を生成し、これを判定部32に送出する。このように比較部31は、抽出部25からレベル測定値を受け取るたびに、このレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値が判定範囲内に存在するか否かの比較結果を生成してゆく。
図7Aに示した履歴データについて、比較部31がレベル測定値を抽出部25から受け取るたびに、上述したような判定を行ってゆくと、図7Bに示すように、白抜きの丸(「○」)で示すレベル測定値d,d,d,d10,d11,d16,d17は、各判定範囲内に、それぞれレベル測定値d,d,d,d10,d11,d16,d17との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値が存在するとの比較結果が得られる。例えば、図7Bに示すレベル測定値d10は、判定範囲内に、レベル測定値d10との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値dが存在し、レベル測定値d16は、判定範囲内に、レベル測定値d16との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値d10が存在するとの比較結果を得る。
判定部32は、判定対象のレベル測定値d11との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値が判定範囲内に存在するとの比較結果を比較部31から受け取ると、このレベル測定値d11が過去の蓄積レベル測定値d,d,d,dと同様に継続してほぼ同じ高さ位置に現れているものとして、レベル測定値d11を、地金からの反射信号を誤検知して算出されたノイズであると判定する。判定部32は、この判定結果をレベル特定部27に送出する。
一方、判定部32は、判定対象のレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下となる蓄積レベル測定値が判定範囲内に存在しないとの比較結果を比較部31から受け取ると、この直近のレベル測定値が、長周期で全体的に高さが変動するスラグ面3に基づくものであるとして、スラグ面3からの反射信号を検出して算出されたレベル測定値である判定する。そして、判定部32は、この判定結果をレベル特定部27に送出する。
図5に示したレベル特定部27は、除去部34とレベル出力部35とを有する。除去部34は、直近のレベル測定値を抽出部25から受け取るとともに、この直近のレベル測定値に対する判定結果を判定部32から受け取る。除去部34は、例えば直近のレベル測定値がノイズであるとの判定結果を受け取ると、ノイズと判定された直近のレベル測定値を除去する。一方、除去部34は、直近のレベル測定値がノイズではないとの判定結果を受け取ると、ノイズと判定されなかったレベル測定値をレベル出力部35に送出する。
ここで、図7Cは、図7Bの履歴データにおいてノイズと判定されたレベル測定値d,d,d,d10,d11,d16,d17を、レベル特定部27により除去した後の履歴データを示す。レベル出力部35は、図7Cに示すように、ノイズと判定されずに除去されなかったレベル測定値のみを、炉内のスラグ面3のレベルを示すレベル計測結果として出力する。
これにより、レベル出力部35は、地金からの反射信号の大部分を取り除いたレベル測定値を呈示できるとともに、これらレベル測定値を基にスラグ面3までの距離の時間平均を示す時間平均曲線S2を生成できる。このようにして得られた時間平均曲線S2は、地金からの反射信号により生じたノイズの大部分が取り除かれていることから、その分、炉内におけるスラグ面3のレベルを一段と正確に示すものとなる。
なお、履歴データのうち、レベル測定値をノイズとして判定する判定基準となった、初回の地金からの反射信号によるレベル測定値d,dは除去されずに、そのままレベル出力部35から出力されることになる。但し、レベル出力部35は、時間平均曲線S2を出力することで、ノイズとして除去されなかったレベル測定値d,dの影響を小さくできる。また、レベル出力部35は、スラグ面3からの反射信号によるレベル測定値が、誤ってノイズとして除去されたとしても、時間平均曲線S2を出力することで、その影響を小さくできる。
上述したように、スラグ面3からの反射信号により生じたレベル測定値も、誤ってノイズとして判定され、数点除去されてしまう可能性がある。しかしながら、マイクロ波の送受信による測定周期は、一般に100[ms]以下と高速であるため、スラグ面3からの反射信号により生じたレベル測定値が、仮に数点失われたとしても問題は無く、スラグ面3の正確なレベル計測を行え得る。
ここで、記憶部21には抽出部25により抽出された全てのレベル測定値が記憶されており、ノイズ判定部26では、これら全てのレベル測定値を過去の蓄積レベル測定値として用いて、抽出部25で得られたレベル測定値が、地金からの反射信号により生じたノイズであるか否かを判定する。すなわち、ノイズとして判定されたレベル測定値は、レベル出力部35からは出力されないものの、ノイズ判定部26による判定処理において判定範囲内に含まれる。このように、ノイズ判定部26は、ノイズとして判定されたレベル測定値も判定範囲内に含めて、直近のレベル測定値がノイズであるか否かを判定することで、レベル測定値について一段と正確にノイズの判定を行うことができる。
レベル出力部35から出力される判定処理後のレベル測定値や、これらレベル測定値から得られる時間平均曲線S2は、表示部22に送出され、表示部22に表示される。これにより、作業者は、表示部22に表示されるレベル測定値の時系列変化や時間平均曲線S2を基に、吹錬中における炉内のスラグ面3のレベルをリアルタイムに認識できる。
また、特許文献2では、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号について差分を取り、差分又は差分の絶対値の最も大きな信号を検出することでスラグ面3のレベルを特定していたが、スラグ面3のマイクロ波反射率は極めて小さく、また、距離波形信号はノイズによる変動が大きく、炉内のダストによって強度が小さくなるという問題があった。また、差分を取ることで更に強度が小さくなるため、正しいスラグ面を測定することが困難であったが、以上の本実施形態による構成においては、距離波形信号自体を処理するのではなく、スラグ面3又は地金までの距離と信号強度との関係を示すレベル測定値に変換して処理することで、信号強度への依存性をなくすことができ、差分を取っても、信号が小さくなったり、ノイズに埋もれるといった不具合を回避することができる。
<本発明のレベル計測処理>
次に、レベル計測装置10にて実行される、上述したレベル計測処理について、図8に示すフローチャートを用いて簡単に説明する。図8に示すように、レベル計測装置10は、ステップSP1において、マイクロ波を信号処理部23にて生成し、これを送信アンテナ11から炉内に向けて照射するとともに、マイクロ波を送信信号としてビート信号生成部29に送出し、次のステップSP2に移る。
ステップSP2において、受信アンテナ12は、炉内から反射マイクロ波を受信し、これを受信信号として信号処理部23を介してビート信号生成部29に送出し、次のステップSP3に移る。ステップSP3において、ビート信号生成部29は、送信信号であるマイクロ波と受信信号である反射マイクロ波とからビート信号を生成し、これをフーリエ変換処理部30に送出して次のステップSP4に移る。
ステップSP4において、フーリエ変換処理部30は、ビート信号に対してフーリエ変換等を行うことにより周波数スペクトル信号を生成する。次いで、ステップSP4において、フーリエ変換処理部30は、周波数スペクトル信号を基に、炉内におけるスラグ面3又は地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成し、これを抽出部25に送出して、次のステップSP5に移る。
ステップSP5において、抽出部25は、距離波形信号内に生じたメインピークを、スラグ面3又は地金までの距離の時間変化を示すレベル測定値として抽出し、これを記憶部21、ノイズ判定部26、およびレベル特定部27に送出して、次のステップSP6に移る。ステップSP6において、記憶部21は、レベル測定値を蓄積レベル測定値として記憶してゆき、過去の蓄積レベル測定値が時系列に並んだ履歴データを生成し、次のステップSP7に移る。
ステップSP7において、ノイズ判定部26は、予め設定した判定範囲内にある蓄積レベル測定値を記憶部21から読み出し、レベル測定値との差分の絶対値が所定値以下(例えば、距離差分の絶対値が30[mm]以下、または、c/2F以下)の蓄積レベル測定値が判定範囲内に存在するか否か(蓄積レベル測定値と近似するか否か)を判定する。ステップSP7で否定結果が得られると、このことはレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下の蓄積レベル測定値が判定範囲内に存在していないこと、すなわち、レベル測定値が地金からの反射信号により生じたノイズでないことを示しており、このときノイズ判定部26は、この判定結果をレベル特定部27に送出して次のステップSP8に移る。
一方、ステップSP7において、肯定結果が得られると、このことはレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下の蓄積レベル測定値が判定範囲内に存在していること、すなわち、レベル測定値が地金からの反射信号により生じたノイズであることを示しており、このときノイズ判定部26は、この判定結果をレベル特定部27に送出して次のステップSP9に移る。ステップSP9において、レベル特定部27は、ノイズと判定されたレベル測定値を除去し、次のステップSP8へ移る。
ステップSP8において、レベル特定部27は、除去されたレベル測定値を除いた残りのレベル測定値や、これら残りのレベル測定値から算出された時間平均曲線S2を、炉内におけるスラグ面3のレベルを特定できるレベル計測結果として表示部22に表示し、上述したレベル計測処理手順を終了する。
<作用および効果>
以上の構成において、レベル計測装置10では、炉内に向けてマイクロ波を照射し、スラグ面3からの反射マイクロ波を受信し(マイクロ波照射受信工程)、これらマイクロ波および反射マイクロ波により、炉内におけるスラグ面3又は地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成する(距離波形信号生成工程)。レベル計測装置10では、距離波形信号が得られるたびに、当該距離波形信号内のメインピークを、スラグ面3又は地金までの、距離と信号強度との関係を示すレベル測定値として抽出する(抽出工程)。レベル計測装置10では、直近のレベル測定値と、判定範囲内となった過去の蓄積レベル測定値とを比較して、レベル測定値がノイズであるか否かを判定する(ノイズ判定工程)。
ここで、炉口や炉壁に付着した地金からの反射信号から得られたレベル測定値は、単位時間当たりの距離変動が小さく、一方、スラグ面3からの反射信号から得られたレベル測定値は、距離が周期的に変わり、かつ距離変動の周期が高速である。このことから、判定範囲とした過去の蓄積レベル測定値の中に、判定対象のレベル測定値との差分の絶対値が所定値以下である蓄積レベル測定値が存在する場合には、当該レベル測定値については単位時間当たりの距離変動が小さいと言えるため、当該レベル測定値をノイズとして判定する。
レベル計測装置10では、ノイズと判定されたレベル測定値を除去し、除去されずに残ったレベル測定値のみを基に、炉内におけるスラグ面3のレベルを特定する(レベル特定工程)。これにより、レベル計測装置10では、地金により生じる、誤ったレベル測定値を基にして、炉内におけるスラグ面3のレベルが特定されることを抑制できるので、その分、吹錬中のスラグ面3を従来よりも正確に測定し得る。
また、特許文献2では、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号について、差分を取り、差分又は差分の絶対値の最も大きな信号を検出することでスラグ面3のレベルを特定していたが、スラグ面3のマイクロ波反射率は極めて小さく、また、距離波形信号はノイズによる変動が大きく、炉内のダストによって強度が小さくなるという問題があった。また、差分を取ることで更に強度が小さくなるため、正しいスラグ面を測定することが困難であったが、以上の本実施形態による構成においては、距離波形信号自体を処理するのではなく、スラグ面3又は地金までの距離と信号強度との関係を示すレベル測定値に変換して処理することで、信号強度への依存性をなくすことができ、差分を取っても、信号が小さくなったり、ノイズに埋もれるといった不具合を回避することができる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態においては、直近のn回目のレベル測定値と比較する蓄積レベル測定値の判定範囲として、判定対象のn回目のレベル測定値の直前までに記憶された、n−1回からn−10回までの10個の蓄積レベル測定値を判定範囲としたが、本発明はこれに限らない。例えば、判定対象のn回目のレベル測定値の直前までに記憶されたn−m回からn−m回(m,mは、0以外の整数であり、m<m)までの蓄積レベル測定値を判定範囲としてもよい。
また、直近のレベル測定値と比較する蓄積レベル測定値の判定範囲としては、判定対象とするレベル測定値を取得したタイミングから所定時間前までに観測された複数の蓄積レベル測定値を判定範囲としてもよい。この場合、例えば、レベル測定値を取得した1秒前以内に取得された蓄積レベル測定値を用いて、レベル測定値がノイズであるか否かを判定することが望ましい。
また、上述した実施形態においては、1つの送信アンテナ11と1つの受信アンテナ12とを備えたアンテナ部10aを用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、送信アンテナおよび受信アンテナが一体的に形成された送受信アンテナを用いるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、炉として、転炉製鋼プロセスに用いる転炉1を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば溶融還元炉の他、非鉄金属精錬プロセスに用いる炉等その他種々の炉にも適用することができる。非鉄金属精錬プロセスとしては例えば銅溶錬プロセスが挙げられる。
ここで、図4に示した測定結果に対して、1秒前までの蓄積レベル測定値のいずれかと、今回のレベル測定値との差分の絶対値が0.03[m]以内である場合、今回のレベル測定値は、地金からの反射信号に基づくものであるとし、ノイズ除去を行った結果を図9に示す。図4において、200〜800秒に定常的に現れていた10.6[m]付近のレベル測定値や、0〜400秒に現れていた11.6[m]および12[m]付近のレベル測定値、500〜600秒に現れていた12[m]および12.5[m]付近のレベル測定値が、図9では、それぞれノイズとして除去することができた。これに伴い、これらレベル測定値を基に求めた時間平均曲線S2も、本来のスラグ面3までのレベルから時間平均値が得られていることが確認できた。
1 転炉(炉)
3 スラグ面
10 レベル計測装置
10a アンテナ部
10b レベル算出部
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
24 距離波形信号生成部
25 抽出部
26 ノイズ判定部
27 レベル特定部

Claims (7)

  1. マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、
    前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面又は前記炉内に付着した地金からの反射マイクロ波を受信するマイクロ波照射受信工程と、
    前記マイクロ波と前記反射マイクロ波とにより、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成する距離波形信号生成工程と、
    前記距離波形信号内のメインピークを、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの距離の時間変化を示すレベル測定値として抽出する抽出工程と、
    前記レベル測定値と、過去の蓄積レベル測定値とを比較して、前記レベル測定値がノイズであるか否かを判定するノイズ判定工程と、
    前記ノイズと判定された前記レベル測定値を除去し、除去されずに残った前記レベル測定値を基に、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定工程と、を備える、レベル計測方法。
  2. 前記ノイズ判定工程は、
    前記レベル測定値と前記蓄積レベル測定値との差分の絶対値が所定値以下であるときに前記レベル測定値を前記ノイズと判定する、請求項1に記載のレベル計測方法。
  3. 前記ノイズ判定工程は、
    前記レベル測定値と前記蓄積レベル測定値との差分の絶対値がc/2F以下であるときに前記レベル測定値を前記ノイズと判定する、請求項1又は2に記載のレベル計測方法。
    ただし、cは、光速[m/s]を示し、Fは、前記マイクロ波の周波数帯域幅[Hz]を示す。
  4. 前記ノイズ判定工程は、
    前記レベル測定値と前記蓄積レベル測定値との距離差分の絶対値が30[mm]以下であるときに前記レベル測定値を前記ノイズと判定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレベル計測方法。
  5. 前記ノイズ判定工程は、
    前記レベル測定値を取得した1秒前以内に取得された前記蓄積レベル測定値を用いて、前記レベル測定値が前記ノイズであるか否かを判定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレベル計測方法。
  6. 前記ノイズ判定工程で前記ノイズであると判定された前記レベル測定値も、前記蓄積レベル測定値として記憶部に記憶する記憶工程を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレベル計測方法。
  7. マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測装置であって、
    前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面又は前記炉内に付着した地金からの反射マイクロ波を受信するアンテナ部と、
    前記マイクロ波と前記反射マイクロ波とにより、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成する距離波形信号生成部と、
    前記距離波形信号内のメインピークを、前記炉内における前記スラグ面又は前記地金までの距離の時間変化を示すレベル測定値として抽出する抽出部と、
    前記レベル測定値と、過去の蓄積レベル測定値とを比較して、前記レベル測定値がノイズであるか否かを判定するノイズ判定部と、
    前記ノイズと判定された前記レベル測定値を除去し、除去されずに残った前記レベル測定値を基に、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定部と、を備える、レベル計測装置。
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