JP7381872B2 - レベル計測装置及びレベル計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炉の内部におけるスラグ面のレベルを計測するためのレベル計測装置及びレベル計測方法に関する。
転炉製鋼プロセスにおいて生産性を向上させるためには、酸素等のガスをスラグ面に吹き付ける際の送酸速度を上げて転炉吹錬(以下、単に吹錬とも呼ぶ)に要する時間を短縮することが重要となる。しかしながら、送酸速度を上げると、スラグがフォーミングし易くなり、スロッピング(フォーミングしたスラグが炉口から溢れる現象)や、スピッティング(噴流によりスラグが飛散する現象)が発生して歩留まりの低下を招くだけでなく、炉口やフード等に地金やスラグが付着して操業が阻害される等の問題が生じる可能性がある。従って、生産性の向上を図るためには、転炉の内容物のレベルを測定し、スロッピングの予兆となるスラグのフォーミング挙動等を正確にリアルタイムで把握することが重要となる。
従来、スラグ面のレベル計測装置としては、特許文献1に示すように、マイクロ波を利用したレベル計測装置が考えられている。特許文献1には、所定の時間間隔をおいて、スラグ面に向けて照射したマイクロ波の反射マイクロ波の反射強度と、アンテナ及びスラグ面の往復伝搬時間と、の関係を示した反射波形の差分をとり、この反射波形の差分や、当該差分の絶対値の最も大きな信号を、スラグ面からの信号とし、距離を求める方法が開示されている。
特開2016-29212号公報
ここで、転炉吹錬中の炉内では、ランスからスラグ面に酸素等のガスを吹き付けているため溶銑やスラグが多量に飛散している。そのため、特許文献1に示すレベル計測装置では、スラグ面に向けてマイクロ波を照射している際に、マイクロ波の照射経路上を飛散物が横切ると、飛散物からの反射マイクロ波を受信してしまい、本来測定したいスラグ面までの距離よりも近い距離をスラグ面までの距離として誤って測定してしまうという問題があった。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、マイクロ波を用い、吹錬中のスラグ面を、従来よりも正確に測定できるレベル計測装置及びレベル計測方法を提供することを目的とする。
本発明のレベル計測装置は、マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測装置であって、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面からの又はスラグ若しくは溶銑の飛散物からの反射マイクロ波を受信するアンテナ部と、予め決められた所定位置から前記スラグ面又は前記飛散物までの距離と、前記反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した距離波形信号を生成する距離波形信号生成部と、時系列に連続して得られる2つの前記距離波形信号間の差分値を前記距離毎に算出し、前記距離と前記差分値との関係を示した差分信号を生成する差分信号生成部と、前記差分信号において、前記差分値のメインピークより遠距離側で、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置に基づいて、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定部と、を備え、前記レベル特定部は、前記炉内における前記飛散物の分布特性を模擬した分布特性関数と前記差分信号との相互相関関数を算出し、前記相互相関関数のメインピークの位置を、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置であるとして検出し、検出した前記相互相関関数のメインピークの位置に基づいて、前記炉内の前記スラグ面のレベルを特定する。
本発明のレベル計測方法は、マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面からの又はスラグ若しくは溶銑の飛散物からの反射マイクロ波を受信するマイクロ波照射受信工程と、予め決められた所定位置から前記スラグ面又は前記飛散物までの距離と、前記反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した距離波形信号を生成する距離波形信号生成工程と、時系列に連続して得られる2つの前記距離波形信号間の差分値を前記距離毎に算出し、前記距離と前記差分値との関係を示した差分信号を生成する差分信号生成工程と、前記差分信号において、前記差分値のメインピークより遠距離側で、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置に基づいて、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定工程と、を備え、前記レベル特定工程は、前記炉内における前記飛散物の分布特性を模擬した分布特性関数と前記差分信号との相互相関関数を算出し、前記相互相関関数のメインピークの位置を、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置であるとして検出し、検出した前記相互相関関数のメインピークの位置に基づいて、前記炉内の前記スラグ面のレベルを特定する。
本発明によれば、炉内のマイクロ波照射経路上に飛散物が存在していたとしても、これら飛散物から受ける影響を考慮してスラグ面のレベルを特定することができるので、その分、吹錬中のスラグ面を従来よりも正確に測定できる。
本発明のレベル計測装置を用いた転炉の構成を示す概略図である。 図2Aは、送信波及び受信波の関係を示す概略図であり、図2Bは、送信波及び受信波の波形を示す概略図であり、図2Cは、ビート波の波形を示す概略図であり、図2Dは、メインピークが表れた距離波形信号を示す概略図である。 スラグ面に向けてマイクロ波を照射している際にスラグ面の上方を横切る飛散物の様子を示した概略図である。 図4Aは、送信アンテナから照射されたマイクロ波が飛散物の影響なくスラグ面3で反射する場合の距離波形信号の一例を示す概略図であり、図4Bは、送信アンテナから照射されたマイクロ波がスラグ面の上方を飛散している飛散物でも反射する場合の距離波形信号の一例を示す概略図である。 レベル算出部の回路構成を示すブロック図である。 図6Aは、時刻tにおける距離波形信号の実部の信号を示す概略図であり、図6Bは、図6Aの距離波形信号の虚部の信号を示す概略図であり、図6Cは、時刻t-1における距離波形信号の実部の信号を示す概略図であり、図6Dは、図6Cの距離波形信号の虚部の信号を示す概略図であり、図6Eは、図6Aに示した時刻tにおける距離波形信号の実部の信号と、図6Cに示した時刻t-1における距離波形信号の実部の信号との差分である実部の差分信号を示す概略図であり、図6Fは、図6Bに示した時刻tにおける距離波形信号の虚部の信号と、図6Dに示した時刻t-1における距離波形信号の虚部の信号との差分である虚部の差分信号を示す概略図である。 図6Eに示した実部の差分信号と、図6Fに示した虚部の差分信号とにより求めた複素数の絶対値の差分信号を示す概略図である。 図7に示した絶対値の差分信号について信号強度[a.u.]の単位を[dB]の単位に変換した差分信号を示した概略図である。 模式的に表した差分信号において本来測定したいスラグ面の位置を示した概略図である。 図10Aは、分布特性関数を非対称三角波形とした場合の概略図であり、図10Bは、分布特性関数を反転ポアソン分布とした場合の概略図である。 差分信号と相互相関関数とを示した概略図である。 差分信号のメインピークから求めた距離と、相互相関関数のメインピークから求めた距離とについて、吹錬中の全ての時間に亘って検出した結果を示した概略図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<レベル計測装置について>
図1は、本実施形態のレベル計測装置10と、本発明のレベル計測装置10が用いられる転炉製鋼プロセスにおける転炉1の構成を示した概略図である。転炉製鋼プロセスでは、転炉1の内部(以下、単に炉内とも呼ぶ)に溶銑2を装入し、溶銑2に対してランス4から酸素等のガスを吹き込むことによって、溶銑2の成分調整を行って溶鋼を生成する。溶融物の表面には、処理の進行に伴ってスラグが生成される。
レベル計測装置10は、このように炉内に形成されるスラグ面3のレベルをリアルタイムで計測する。本実施形態において、「スラグ面」とは、炉内で大気中に露出した、溶融状態のスラグの表面をいう。スラグ面3の「レベル」とは、炉内底部や後述するアンテナ部10aの表面といった位置に設定される所定基準位置から見た、炉内におけるスラグ面3の高さをいう。所定基準位置は、転炉1等の構造物に対して任意の距離だけ離れた一の位置を、距離測定のための基準位置として予め定めたものであり、マイクロ波をスラグ面3に対し送受信できる任意の位置に設定することができる。所定基準位置は、スラグ面3のレベルを測定している間は、同一の位置に固定される。具体的な所定基準位置は、好ましくは、アンテナ部10aから見てスラグ面3より上方に設けるのが好ましいが、逆に、スラグ面3より下方に設け、後述するスラグ面3の距離測定結果に対して、オフセットを与えるようにしてもよい。なお、以下の説明では、所定基準位置は、スラグ面3の上方にあるものとして説明を行う。
転炉1で行われる処理では、蒸気やダスト等が発生するため、発生するダスト等を外部環境に放出させないために、転炉1上方に開いた炉口付近には、炉口から上方に延びる排気フード5が設けられている。この排気フード5には、ランス4を転炉1内に挿入するためのランス用開口部の他、炉口上方にフード開口部6が開口されている。フード開口部6の周りには上方へ延設された開口形成部7が配管状の構造物として設けられている。
レベル計測装置10のアンテナ部10aは、開口形成部7に配置される。この実施形態の場合、開口形成部7には、アンテナ部10aが設置されている他、当該アンテナ部10aと炉内との間に断熱板14が設けられている。断熱板14は、例えばアルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)等のように、マイクロ波が透過可能な無機セラミックスにより形成されている。断熱板14は、アンテナ部10aと炉内との間でマイクロ波の送受信を可能にしつつ、炉内からの熱を低減して熱によりアンテナ部10aが損傷することを防止することができる。
アンテナ部10aは、フード開口部6内から炉内に向けてマイクロ波を照射する送信アンテナ11と、当該送信アンテナ11とは別体に設けられ、炉内のスラグ面3で反射してフード開口部6内を通過した反射マイクロ波を受信する受信アンテナ12とを備えている。なお、炉内に向けて照射されるマイクロ波の周波数としては、炉内が狭く、かつスラグ面3におけるマイクロ波の反射率が小さいという特性から、10[GHz]超90[GHz]以下、好ましくは35[GHz]以上85[GHz]以下であることが望ましい。
なお、送信アンテナ11及び受信アンテナ12は、例えば、同一直径でなる円錐型のホーンアンテナであり、開口した拡径の先端が炉内に向くように配設されている。送信アンテナ11及び受信アンテナ12は、拡径の先端を隣接させて開口形成部7に配設されている。本実施形態の場合、送信アンテナ11における先端の直径と、受信アンテナ12における先端の直径とを合わせた距離は、フード開口部6の直径dと同じであり、送信アンテナ11及び受信アンテナ12の先端は、フード開口部6の径方向の略全域に亘って配置されている。
送信アンテナ11及び受信アンテナ12には、各先端に、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))からなるレンズ部13が設けられている。送信アンテナ11は、スラグ面3に照射するマイクロ波をレンズ部13によって収束させることにより、送信アンテナ11のアンテナ利得を高めることができる。また、受信アンテナ12は、スラグ面3からの反射マイクロ波をレンズ部13により収束させることにより、受信アンテナ12のアンテナ利得を高めることができる。
レベル計測装置10は、レベル算出部10bを有しており、受信アンテナ12により受信した、炉内からの反射マイクロ波を、レベル算出部10bに送出する。レベル算出部10bは、送信アンテナ11から炉内に向けて送信したマイクロ波と、これにより受信アンテナ12で受信した、炉内からの反射マイクロ波とに基づいて、所定の演算処理を実行することで、スラグ面3の高さ(レベル)を算出してスラグ面3のレベルを計測することができる。
<レベル計測方法の概要>
ここでは先ず始めに、マイクロ波を利用した距離の計測方法の例として、FM-CW方式のレベル計測方法について説明する。図2Aに示すように、マイクロ波を生成する際、周波数掃引器によって制御される発振器の周波数変調の幅がF(Hz)に設定され、掃引周期がT(秒)に設定されたものとする。送信アンテナ11から炉内に向けて照射されるマイクロ波(以下、単に送信波とも称す)の周波数は、時間の経過とともに連続的かつ直線的に変化する。
一方、計測対象物となるスラグ面3で反射され、受信アンテナ12で受信される反射マイクロ波(以下、単に受信波とも称す)は、受信アンテナ12からスラグ面3までの距離(以下、離隔距離Dと称す)に比例した遅れΔt(秒)を生じることとなる。その結果、ある同時刻における送信波と受信波との間には、離隔距離Dに対応した周波数の差Δf(Hz)が生じる。図2B及び図2Cに示すように、このような送信波及び受信波がミキサによって混合されると、Δfに相当する周波数成分を有した差周波信号(以下、ビート波又はビート信号とも称す)となる。
送信波と受信波との時間的遅れΔtは、マイクロ波が送信アンテナ11からスラグ面3を介して受信アンテナ12まで戻るために要する時間に相当する。離隔距離を算出するという処理は、ビート信号の周波数(ビート周波数△f)を算出することと等価である。ここで、現実の計測環境において、ミキサで混合されて得られるビート信号(ビート波)は、いくつもの周波数成分が混じり合った複合波となる場合が多い。
従って、このような複数の周波数成分からなるビート信号の周波数を求めるために、複数の周波数成分からなるビート信号に対してフーリエ変換処理を行い、周波数スペクトル信号を生成する。次に、周波数スペクトル信号を基に、図2Dに示すような、所定基準位置からスラグ面3又は飛散物までの距離と反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した波形信号(以下、「距離波形信号」とも称す)を生成する。図2Dに示す距離波形信号は、横軸を所定基準位置からの距離[m]、縦軸を反射マイクロ波に基づくビート信号の信号強度[dB]としており、求めたい離隔距離Dがピーク(メインピークと称する)の横軸における位置で与えられる。
ところで、吹錬中には、図3に示すように、ランス4からスラグ面3に酸素等のガスが吹き付けられるため、ガスによって溶銑やスラグが吹き飛ばされ、飛散物2aとして、スラグ面3より手前側(アンテナ部10aから見た位置関係であり、アンテナ部10aに対してスラグ面3よりも近距離側)の炉内を飛散する。送信アンテナ11からスラグ面3に向けて照射されたマイクロ波Mの照射経路上を飛散物2aが横切ると、飛散物2aでマイクロ波Mが反射してしまい、飛散物2aからの反射マイクロ波を受信アンテナ12により受信してしまう。
ここで、図4Aは、送信アンテナ11からスラグ面3に向けて照射されたマイクロ波Mが、飛散物2aに遮られることなく、スラグ面3で反射する場合の距離波形信号の一例を示しており、図4Bは、送信アンテナ11からスラグ面3に向けて照射されたマイクロ波Mが、スラグ面3の上方を飛散している飛散物2aでも反射する場合の距離波形信号の一例を示している。
送信アンテナ11からスラグ面3に向けて照射されたマイクロ波Mが飛散物2aで反射した場合、図4Bに示すように、距離波形信号のメインピークが、飛散物2aの存在する位置にシフトし、図4Aに示した距離波形信号のメインピークの位置とは異なる位置に現れる。
そのため、単純に、距離波形信号内のメインピークに対応する距離を、本来測定したいスラグ面3のレベル(スラグ面3までの真の距離)であると判断するようにすると、図4Bに示すように、スラグ面3より近距離側(上方)を飛散する飛散物2aからの反射信号によって、距離波形信号内のより近距離側に生成されたメインピークに対応する距離を、スラグ面3のレベルであると誤って判断してしまう。よって、この場合には、本来測定したいスラグ面3までの距離よりも近い距離を、スラグ面3までの真の距離として誤って測定してしまう。
そこで、本発明者らは、炉内を飛散する飛散物2aでマイクロ波が反射した反射マイクロ波を受信した場合であっても、飛散物2aにより受ける影響を取り除く手法について鋭意検討を行った。その結果、時系列に得られる2つの距離波形信号間の差分を取り、得られた差分信号から、飛散物2aにより受ける影響を解析し、本来測定したいスラグ面3のレベルを特定可能な演算処理の方法を見出した。以下、飛散物2aによる影響を考慮してスラグ面3の正確なレベルを特定し得る手法について、図5に示すレベル算出部10bを用いて詳細に説明する。
<レベル算出部の概要>
図5は、レベル算出部10bの回路構成を示したブロック図である。図5に示すように、レベル算出部10bは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなるマイクロコンピュータの構成を有しており、ROMに予め格納されている基本プログラムや、レベル計測処理プログラム等の各種プログラムをRAMにロードして立ち上げることにより、レベル算出部10bにおける各種機能を統括的に制御し、レベル計測処理を実行する。
この場合、レベル算出部10bは、各種情報が記憶された記憶部21と、アンテナ部10aに接続された送受信部23と、距離波形信号生成部24と、差分信号生成部25と、レベル特定部26と、表示制御部27とを有している。
送受信部23は、マイクロ波を送信アンテナ11及び距離波形信号生成部24に送出する。送受信部23は、送信アンテナ11から炉内に向けてマイクロ波を照射させるとともに、受信アンテナ12で受信した反射マイクロ波を受け取り、これを距離波形信号生成部24に送出する。
距離波形信号生成部24は、ビート信号生成部29及びフーリエ変換処理部30を有している。ビート信号生成部29は、送信波であるマイクロ波と受信波である反射マイクロ波とをミキサによって混合してビート信号(差周波信号)を生成し、これをフーリエ変換処理部30に送出する。フーリエ変換処理部30は、ビート信号に対してフーリエ変換処理を行い、周波数スペクトル信号を生成する。また、フーリエ変換処理部30は、周波数スペクトル信号を基に、所定基準位置からスラグ面3又は飛散物2aまでの距離[m]と、反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した、図2Dのような距離波形信号を生成し、これを記憶部21及び差分信号生成部25に送出する。
距離波形信号生成部24は、吹錬中、マイクロ波と反射マイクロ波とにより、スラグ面3又は飛散物2aまでの距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を、所定時間間隔毎に生成してゆく。そして、記憶部21には、所定時間間隔で生成された距離波形信号が時系列的に順次記憶される。
差分信号生成部25は、例えば、最新の距離波形信号として時刻tに生成された距離波形信号を距離波形信号生成部24から受け取ると、この距離波形信号が生成される直前に生成された時刻t-1の距離波形信号を記憶部21から読み出す。差分信号生成部25は、時刻tに生成された距離波形信号と、1回前の測定結果から生成された時刻t-1の距離波形信号とに基づいて、これら2つの距離波形信号間の差分から、距離毎の信号強度の差分値を算出し、距離毎に距離と差分値との関係を示した差分信号を生成する。
この場合、距離波形信号は複素数であるため、差分信号生成部25は、先ず、時刻tに生成された距離波形信号から実部の信号と虚部の信号とを生成する。ここで、図6Aは、時刻tに生成された距離波形信号の実部の信号の一例を示し、図6Bは、同じく時刻tに生成された距離波形信号の虚部の信号の一例を示す。これら実部の信号と虚部の信号は、距離と信号強度との関係を示しており、図6A及び図6Bでは、その一例として、横軸に距離[m]を示し、縦軸に信号強度[a.u.]を示している。
また、差分信号生成部25は、最新の測定結果から生成した時刻tの距離波形信号の直前に生成された時刻t-1の距離波形信号からも実部の信号と虚部の信号とを生成する。ここで、図6Cは、時刻t-1に生成された距離波形信号の実部の信号の一例を示し、図6Dは、同じく時刻t-1に生成された距離波形信号の虚部の信号の一例を示す。これら実部の信号と虚部の信号も、距離と信号強度との関係を示しており、図6C及び図6Dでは、その一例として、横軸に距離[m]を示し、縦軸に信号強度[a.u.]を示している。
差分信号生成部25は、時刻tの距離波形信号と、1回前の時刻t-1の距離波形信号との差分を算出する際、実部同士及び虚部同士で差分を算出し、実部の差分信号と、虚部の差分信号とを生成する。
ここで、図6Eは、図6Aに示した時刻tに生成された距離波形信号の実部の信号と、図6Cに示した時刻t-1に生成された距離波形信号の実部の信号との差分を求めた、実部の差分信号の一例を示している。また、図6Fは、図6Bに示した時刻tに生成された距離波形信号の虚部の信号と、図6Dに示した時刻t-1に生成された距離波形信号の虚部の信号との差分を求めた、虚部の差分信号の一例を示している。これら実部の差分信号と虚部の差分信号も、距離と、信号強度の差分との関係を示しており、図6E及び図6Fでは、その一例として、横軸に距離[m]を示し、縦軸に信号強度[a.u.](信号強度の差分)を示している。
差分信号生成部25は、実部の差分信号と虚部の差分信号とを生成すると、これら実部の差分信号及び虚部の差分信号に基づいて複素数の絶対値を算出し、図7に示すような絶対値の差分信号を生成する。この絶対値の差分信号は、所定基準位置からスラグ面3又は飛散物2aまでの距離と、反射マイクロ波に基づくビート信号の信号強度の差分値との関係を示しており、図7では、その一例として、横軸に距離[m]を示し、縦軸に信号強度[a.u.](信号強度の差分)を示している。
差分信号生成部25は、絶対値の差分信号を生成すると、信号強度[a.u.]の単位を[dB]に変換する単位変換処理を行い、図8に示すように、[dB]単位の差分信号を生成する。[dB]単位の差分信号も、距離と、信号強度の差分との関係を示しており、図8では、その一例として、横軸に距離[m]を示し、縦軸に信号強度[dB](信号強度の差分)を示している。差分信号生成部25は、この差分信号を生成すると、これをレベル特定部26に送出する。
ここで、図9は、差分信号生成部25で生成される差分信号を概略的に示したものである。以下、この差分信号について説明する。差分信号は、時系列的に記憶された距離波形信号間の差分値であるため、マイクロ波を反射するスラグ面3や飛散物2aの位置が時間によって変化しなければ、ノイズの影響しか残らず、0に近い値となるはずであるが、実際には、吹錬中の炉内では、吹き付けや化学反応によって飛散物2aやスラグ面3の状態が常に変化しているため、スラグ面3の存在する位置よりも近距離(アンテナ部10aから見た場合であり、アンテナ部10aと近距離側)では、差分信号がある一定以上の値を以て発生する。
即ち、炉内では、図4Aに示したようなスラグ面3に対応するマイクロ波の反射に加えて、飛散物2aによるマイクロ波の反射が起こるが、炉内の飛散物2aはスラグ面3付近が最も多く、スラグ面3から炉内上方(アンテナ部10aに対してスラグ面3よりも近距離側)に向かうに従って次第に少なくなると考えられる。一方、スラグ面3以遠からは距離波形信号は返って来ないため、スラグ面3が存在する位置よりも遠距離(すなわち、スラグ内部)では、差分信号がほぼ0(ゼロ)になる。
そのため差分信号は、図9に示すように、メインピークが現れる距離を境に非対称な波形となる。より具体的には、差分信号は、例えば、アンテナ部10aを所定基準位置とした場合には、アンテナ10aからの距離が近い方から遠くなるに従って、信号強度が次第に緩やかに上昇してゆき、メインピークが現れた後、このメインピークを境に信号強度が急峻に落ち込んだ非対称な波形になっている。
ここで、飛散物2aはスラグ面3より近距離側にしか飛散しないため、図9に示すように、差分信号において信号強度が急峻に落ち込んだ位置に対応する距離は、飛散物2aの飛散状況には依存しない距離であり、スラグ面3の変動がなくなる、それよりも遠くに反射するものが存在しなくなる境界を示していると考えられる。そのため、このメインピークから急峻に落ち込んだ位置が、本来測定したいスラグ面3までの真の距離だと考えられる。そこで、レベル特定部26では、差分信号においてメインピークから急峻に落ち込んだ位置を特定するための演算処理を行い、スラグ面3の正確なレベルを特定することができる。
この場合、例えば、記憶部21には、炉内における飛散物2aの飛散状況(飛散する距離、飛散の頻度等)に起因する信号強度の分布特性を基に、予め定めた関数(分布特性関数)が記憶されている。この分布特性関数は、炉内における飛散物2aの分布特性を模擬した関数である。分布特性関数としては、飛散物2aの飛散状況に起因して、差分信号の差分値が、そのメインピークより遠距離側で急峻に落ち込むという特徴的な形状をしていることを模擬できる関数であれば、いろいろな関数を用いることができるが、例えば、図10Aに示すように、距離が大きくなるに従って直線的に信号強度が上昇してメインピークが現れ、その後、メインピークから直線的に急峻に落ち込んだ非対称三角形を表した関数を用いることができる。
また、その他の分布特性関数の例としては、図10Bに示すように、距離方向でポアソン分布が反転した反転ポアソン分布を表した関数を用いることができる。これら関数は、飛散物2aの分布特性を距離と信号強度との関係で示している。図10A及び図10Bでは、その一例として、横軸を距離[m]とし、縦軸を信号強度[a.u.]として、関数の波形を示している。
なお、このように分布特性関数は、差分信号と相関を取ることで得られる相互相関関数において、メインピークが現れる距離を判断できることが重要であり、信号強度の大きさについては任意に設定してもよい。飛散物2aの分布特性関数は、例えば、スラグ面3までの距離が既知である場合における、複数の差分信号を基に決定したり、又は、吹錬中の炉内におけるスラグ等の飛散物2aを、浸漬棒等を使って採取して、その重量の高さ方向の分布の実測に基づいて決定したりすることができる。
このような分布特性関数としては、図10A及び図10Bに示した波形を表す関数以外にも、例えば、距離が大きくなるに従って信号強度がステップ的に低下するステップ関数等、その他種々の関数を適用してもよい。
レベル特定部26は、例えば、図10Aに示すように、分布特性関数を記憶部21から読み出し、この分布特性関数と差分信号との相互相関関数を算出する。レベル特定部26により算出される相互相関関数は、例えば、図11に示すような波形S2を有しており、差分信号の波形S1におけるメインピークP1の位置とは異なる位置にメインピークP2が現れる。具体的には、差分信号においてメインピークP1の遠距離側で、差分信号の信号強度が急峻に落ち込んだ位置に、相互相関関数のメインピークP2が現れる。
なお、分布特性関数と差分信号との相互相関関数の算出手法は、相互相関関数算出に関する公知の手法を適用すればよい。また、相互相関関数の算出手法として、例えば、分布特性関数をフーリエ変換して得られた結果と、差分信号をフーリエ変換して得られた結果とを乗算し、得られた結果を逆フーリエ変換することで相互相関関数を算出するようにしてもよい。
レベル特定部26は、相互相関関数のメインピークP2が現れた位置を検出し、このメインピークP2が現れた位置に対応する距離を、本来測定したいスラグ面3までの真の距離であると判断し、スラグ面3のレベルを特定する。このようにして測定されたスラグ面3のレベルは、飛散物2aからの反射信号により生じた誤差が取り除かれているといえるため、その分、炉内におけるスラグ面3のレベルを一段と正確に示すものとなる。
このように、レベル特定部26は、差分信号生成部25から、吹錬中の全ての時間に亘って差分信号を受け取るたびに、分布特性関数と当該差分信号との相互相関関数を算出して、相互相関関数のメインピークP2に対応する距離を、スラグ面3のレベルであるとして特定してゆく。
レベル特定部26は、時系列に沿って順に特定していったスラグ面3のレベルを時系列にプロットしてゆき、図12に示すように、スラグ面3のレベルについて時間的変化を示した履歴データを生成することができる。なお、図12に示す履歴データは、時間と距離との関係を示しており、特定したスラグ面3のレベルをプロットした結果と、これらプロットの移動平均線D1とによって、スラグ面3のレベルの推移を示している。図12では、横軸に時間[sec]を規定し、縦軸に距離[m]を規定して履歴データを示している。
なお、図12では、比較例として、差分信号のメインピークP1に対応する距離をスラグ面3のレベルとして特定し、特定したレベルの時系列プロットの移動平均線D2についても示している。図12に示すように、相互相関関数のメインピークP2を検出していくことで、飛散物2aによる影響が低減されており、本来測定したいスラグ面3のレベル(高さ)を測定できていることが分かる。なお、図11及び図12については、後述する「実施例」で詳細を説明する。
レベル特定部26は、相互相関関数のメインピークP2を基に特定したスラグ面3のレベルや、スラグ面3のレベルの時間的変化を示した履歴データを算出すると、この算出結果を記憶部21と表示制御部27とに送出する。これにより、記憶部21には、相互相関関数のメインピークP2を基に特定したスラグ面3のレベルや、スラグ面3のレベルの時間的変化を示した履歴データを記憶する。
表示制御部27は、レベル算出部10bが備えるディスプレイ等の出力装置やレベル算出部10bの外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。表示制御部27は、相互相関関数のメインピークP2を基に特定したスラグ面3のレベルや、図12に示すようなスラグ面3のレベルについて時間的変化を示した履歴データを、レベル特定部26又は記憶部21から受け取ると、これらを出力装置等により表示させる。これにより、レベル計測装置10を利用する作業者は、出力装置等に表示された履歴データ等を基に、吹錬中における炉内のスラグ面3のレベルをリアルタイムで認識できる。
<作用及び効果>
以上の構成において、レベル計測装置10では、炉内に向けてマイクロ波を照射し、スラグ面3からの又はスラグ若しくは溶銑の飛散物2aからの反射マイクロ波を受信し(マイクロ波照射受信工程)、予め決められた所定基準位置からスラグ面3又は飛散物2aまでの距離と、前記反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した距離波形信号を生成する(距離波形信号生成工程)。
レベル計測装置10では、距離波形信号が得られるたびに、時系列に連続して得られる2つの距離波形信号間の差分値を距離毎に算出し、それぞれの距離と差分値との関係を示す差分信号を生成する(差分信号生成工程)。次いで、レベル計測装置10では、相互相関関数に基づいて差分信号で、差分値のメインピークP1より遠距離側で、差分値がメインピークP1の値から落ち込んだ位置を検出して、当該位置に基づいて、炉内におけるスラグ面3のレベルを特定する(レベル特定工程)。
これにより、レベル計測装置10では、炉内のマイクロ波照射経路上に飛散物2aが存在していたとしても、これら飛散物2aから受ける影響を考慮してスラグ面3のレベルを特定することができ、その分、吹錬中におけるスラグ面3を従来よりも正確に測定できる。
また、本実施形態の場合では、差分信号でメインピークP1から急峻に落ち込んだ位置を検出する手法として、飛散物2aの分布特性を模擬した分布特性関数と差分信号との相互相関関数を算出して、相互相関関数のメインピークの位置を、差分信号で差分値がメインピークP1の値から急峻に落ち込んだ位置であるとして検出する。そして、レベル計測装置10では、相互相関関数のメインピークP2の位置から求めた対応する距離を炉内におけるスラグ面3のレベルとして特定する。
これにより、レベル計測装置10では、差分信号でメインピークP1から急峻に落ち込んだ位置を、相互相関関数のメインピークP2の位置を検出することで特定することができ、相互相関関数のメインピークP2の位置に基づいて、吹錬中におけるスラグ面3のレベルを容易に特定できる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態においては、飛散物2aの分布特性を模擬した分布特性関数と差分信号との相互相関関数を算出し、相互相関関数のメインピークP2の位置を、差分信号で差分値がメインピークP1の値から急峻に落ち込んだ位置であるとして検出し、検出した相互相関関数のメインピークP2の位置に基づいて、炉内におけるスラグ面3のレベルを特定するようにしたが、本発明はこれに限らない。
例えば、相互相関関数を算出せずに、差分信号で急峻に落ち込んだ位置を閾値(後述する)に基づいて特定し、差分信号から直接、炉内におけるスラグ面3のレベルを特定するようにしてもよい。この場合、差分信号においてメインピークP1から、どの程度、信号強度が急峻に落ち込んだときに、本来測定したいスラグ面3のレベルであると判断することができるのかを予め調べおく。
そして、レベル特定部26では、差分信号において、本来測定したいスラグ面3のレベルであると判断するためのメインピークP1からの信号強度の低下値を閾値として記憶しておく。これにより、レベル特定部26は、差分信号生成部25から差分信号を受け取ると、差分信号のメインピークP1を検出し、信号強度が当該メインピークP1から急峻に落ち込んだ位置を閾値に基づいて特定することができる。
レベル特定部26は、差分信号において閾値に基づいて特定した位置に対応する距離を、本来測定したいスラグ面3のレベルとして特定することができる。このように、閾値を用いた場合でも、飛散物2aから受ける影響を考慮してスラグ面3のレベルを特定することができ、その分、吹錬中におけるスラグ面3を従来よりも正確に測定できる。
また、レベル特定部26では、差分信号を遠距離側から見たときに、差分信号の信号強度がどの程度ノイズレベルから上昇すれば、本来測定したいスラグ面3のレベルであると判断できるのかを、予め信号強度のノイズレベルからの上昇値の閾値として記憶しておくようにしても良い。これにより、レベル特定部26は、差分信号生成部25から差分信号を受け取ると、スラグ面3が存在しないと考えられる十分遠方から、アンテナ部10a側に近づく方向に信号強度をスキャンし、信号強度が閾値を超えた位置を特定し、この特定した位置を、差分信号において、差分値のメインピークP1より遠距離側で、差分値がメインピークP1の値から落ち込んだ位置としても良い。このようにして、レベル特定部26は、当該特定した位置を本来測定したいスラグ面3のレベルであると判断するようにしても良い。
また、その他の実施形態として、差分信号の距離方向の移動平均線における傾きを利用してスラグ面3のレベルを測定するようにしても良い。この場合、レベル特定部26では、差分信号の距離方向の移動平均線を求め、そこから移動平均線の傾きを算出する。レベル特定部26は、移動平均線の傾きが最も小さくなった点(つまり大きく右肩下がりになった点)を、差分信号において、差分値のメインピークP1より遠距離側で、差分値がメインピークP1の値から落ち込んだ位置として特定する。これにより、レベル特定部26は、当該特定した位置を本来測定したいスラグ面3のレベルであると判断するようにしても良い。
また、レベル特定部26では、差分信号の距離方向の移動平均線を求め、そこから移動平均線の傾きを算出する。移動平均線の傾きをさらに距離で微分し、移動平均線の傾きの距離方向微分が極小となった点を、差分信号において、差分値のメインピークP1より遠距離側で、差分値がメインピークP1の値から落ち込んだ位置として特定しても良い。これにより、レベル特定部26は、当該特定した位置を本来測定したいスラグ面3のレベルであると判断するようにしても良い。
また、上述した実施形態においては、マイクロ波を用いたFM-CW方式を利用し、周波数が時間経過とともに連続的かつ直線的に変化するマイクロ波と反射マイクロ波とから距離波形信号を生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射マイクロ波に基づいて、所定基準位置からスラグ面3又は飛散物2aまでの距離と、反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示す距離波形信号を生成することができれば、FM-CW方式以外の手法で得た距離波形信号を適用してもよい。例えば、パルス状のマイクロ波を送信し、その反射波が受信されるまでの時間から、距離波形信号を求めるようにしても良く、送信したマイクロ波と受信した反射マイクロ波との間の位相の変化から、距離波形信号を求めるようにしても良い。
また、上述した実施形態においては、1つの送信アンテナ11と1つの受信アンテナ12とを備えたアンテナ部10aを用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、送信アンテナ及び受信アンテナが一体的に形成された送受信アンテナを用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、炉として、転炉製鋼プロセスに用いる転炉1を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば溶融還元炉の他、非鉄金属精錬プロセスに用いる炉等その他種々の炉にも適用することができる。非鉄金属精錬プロセスとしては例えば銅溶錬プロセスが挙げられる。
次に検証試験について以下説明する。この検証試験では、マイクロ波を利用したFM-CW方式のマイクロ波距離計を適用して、吹錬中の炉内に向けてマイクロ波を照射した。そして、炉内から反射してきた反射マイクロ波をマイクロ波距離計で受信し、炉内におけるスラグ面3又は飛散物2aまでの、距離と信号強度との関係を示す距離波形信号を生成した。
次いで、時系列に連続した2つの距離波形信号間の差分値を算出し、それぞれの距離と差分値との関係を示す差分信号を生成した。その結果、図11に示すような波形S1の差分信号が得られた。そして、この差分信号と、図10Aに示した非対称三角波を表した分布特性関数とを用い、これら差分信号と非対称三角波の関数との相互相関関数を算出したところ、図11に示すような波形S2の相互相関関数が得られた。
図11に示すように、差分信号のメインピークP1は13.5[m]に現れたが、これはスラグ面からの反射だけでなく、スラグ面の手前の飛散物2aの反射の影響を受けて生じたピークだと考えられる。これに対して、相互相関関数のメインピークP2は14.5[m]に現れた。相互相関関数のメインピークP2は、別途の検査(例えば、炉内に浸漬棒等を差し込み、スラグ面の位置を浸漬棒等が浸漬した位置から確認するといった検査)で得た精度の高いスラグ面のレベル位置と一致していることが確認できた。
即ち、相互相関関数のメインピークP2が現れた位置に対応する距離に、本来測定したスラグ面3が位置していることが分かった。
次に、吹錬中の全ての時間に亘って差分信号を算出して、さらに各差分信号のメインピークP1を検出し、各差分信号においてメインピークP1に対応する距離をそれぞれ確認したところ、図12に示すような結果が得られた。図12では、横軸を時間とし、縦軸を距離として、吹錬中に時系列に得られた差分信号について、それぞれメインピークP1から特定した距離を時系列順にプロットしてゆき、これらの移動平均線D2を求めた結果を示している。
また、図10Aに示した非対称三角波の分布特性関数を利用して、各差分信号と分布特性関数との相互相関関数を算出した。そして、得られた相互相関関数のメインピークP2に対応する距離を相互相関関数から調べたところ、図12に示すような結果が得られた。図12では、吹錬中に時系列に得られた相互相関関数について、それぞれメインピークP2から特定した距離を時系列順にプロットしてゆき、これらの移動平均線D1を求めた結果を示している。
図12に示した結果を解析したところ、相互相関関数のメインピークP2を基に特定した距離を測定していったほうが、炉内に存在する飛散物2aの影響を低減できており、本来測定したいスラグ面3のレベルが特定できていることが分かった。
1 転炉(炉)
3 スラグ面
10 レベル計測装置
10a アンテナ部
10b レベル算出部
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
24 距離波形信号生成部
25 差分信号生成部
26 レベル特定部

Claims (4)

  1. マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測装置であって、
    前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面からの又はスラグ若しくは溶銑の飛散物からの反射マイクロ波を受信するアンテナ部と、
    予め決められた所定位置から前記スラグ面又は前記飛散物までの距離と、前記反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した距離波形信号を生成する距離波形信号生成部と、
    時系列に連続して得られる2つの前記距離波形信号間の差分値を前記距離毎に算出し、前記距離と前記差分値との関係を示した差分信号を生成する差分信号生成部と、
    前記差分信号において、前記差分値のメインピークより遠距離側で、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置に基づいて、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定部と、
    を備え
    前記レベル特定部は、
    前記炉内における前記飛散物の分布特性を模擬した分布特性関数と前記差分信号との相互相関関数を算出し、前記相互相関関数のメインピークの位置を、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置であるとして検出し、検出した前記相互相関関数のメインピークの位置に基づいて、前記炉内の前記スラグ面のレベルを特定する、レベル計測装置。
  2. 前記分布特性関数は、非対称三角波形を表した関数又は反転ポアソン分布を表した関数である、
    請求項に記載のレベル計測装置。
  3. マイクロ波を用いて炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、
    前記炉内に向けて前記マイクロ波を照射し、前記スラグ面からの又はスラグ若しくは溶銑の飛散物からの反射マイクロ波を受信するマイクロ波照射受信工程と、
    予め決められた所定位置から前記スラグ面又は前記飛散物までの距離と、前記反射マイクロ波に基づく信号強度との関係を示した距離波形信号を生成する距離波形信号生成工程と、
    時系列に連続して得られる2つの前記距離波形信号間の差分値を前記距離毎に算出し、前記距離と前記差分値との関係を示した差分信号を生成する差分信号生成工程と、
    前記差分信号において、前記差分値のメインピークより遠距離側で、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置に基づいて、前記炉内における前記スラグ面のレベルを特定するレベル特定工程と、
    を備え
    前記レベル特定工程は、
    前記炉内における前記飛散物の分布特性を模擬した分布特性関数と前記差分信号との相互相関関数を算出し、前記相互相関関数のメインピークの位置を、前記差分値がメインピークの値から落ち込んだ位置であるとして検出し、検出した前記相互相関関数のメインピークの位置に基づいて、前記炉内の前記スラグ面のレベルを特定する、レベル計測方法。
  4. 前記分布特性関数は、非対称三角波形を表した関数又は反転ポアソン分布を表した関数である、
    請求項3に記載のレベル計測方法。
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