本発明者らは、既存の治療薬とは作用機序の異なる非核酸アナログ治療薬の開発に向け、HBV感染により産生するウイルス粒子を形成するHBコア関連分子(HBc;HBVヌクレオカプシドを構成するコアタンパク質)を標的とする化合物を見出した。HBcは、全長183アミノ酸からなるタンパク質であり、N末端のアッセンブリドメイン(1−144残基)とC末端のRNA/DNA結合ドメイン(145−183残基)からなる。ウイルス感染細胞で発現したHBcは、アッセンブリドメインによって二量体を形成し、この二量体を単位として会合が起こり、HBVのヌクレオカプシドが作られる。カプシド形成の際にpgRNAとポリメラーゼが取り込まれ、逆転写反応によってHBV−DNAが生成されることで、ウイルス粒子が産生される。本発明者らは、このHBcの二量体形成を数値化するアッセイ法を別途開発したHBV−DNA複製阻害アッセイにより、阻害活性を有する化合物を見出した。
本発明は、そのような阻害活性を有する化合物を含む、HBcを標的とした新規PETイメージングプローブに関する。
PET(陽電子放射断層撮像)は、陽電子放射核種から放出される放射線の検出を原理とする分子イメージング技術の一つであり、生体内におけるPETイメージングプローブの体内動態を低侵襲的に画像化することができる。現在のB型肝炎病態の診断は血液分析が主であり、組織・細胞中のB型肝炎ウイルス感染状態については肝生検による侵襲的検査が必要となる上、巨大な臓器である肝臓内の全体的な感染分布については知ることは出来ない。PETを活用した非侵襲的な画像診断により、直接的にHBV感染状況を確認することが出来れば、治療計画、投薬停止の判断などに有用な情報となることが期待される。肝組織中のHBc分布を画像診断により定量評価することで、実質的な肝細胞中のウイルス量の客観的な評価に基づく、合理的な治療中止の判断が可能になると期待できる。
すなわち、本発明は、
一般式(I)で表される化合物またはその塩を含むB型肝炎抗原タンパク質を標的としたイメージング用PETプローブである。なお、前記一般式(I)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている。
式中、
R1は、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル、フェニル、ハロゲン、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であり、
R2は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルで置換されたアミノ、シアノ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であり、
R3は、
(ここで、R4は、水素またはハロゲンである。)
である。
本発明のB型肝炎抗原タンパク質を標的としたイメージング用PETプローブにおいて、
前記一般式(I)で表される化合物は、R3が
であるのが好ましい。
本発明のB型肝炎抗原タンパク質を標的としたイメージング用PETプローブにおいて、
前記一般式(I)で表される化合物は、
R3が
であり、
R1は、フェニル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であり、
R2は、フェニル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のアルキルチオ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのがより好ましい。
また、本発明のB型肝炎抗原タンパク質を標的としたイメージング用PETプローブにおいて、
前記一般式(I)で表される化合物は、以下の一般式(XI)で表される化合物、一般式(XII)で表される化合物、一般式(XIII)で表される化合物または一般式(XIV)で表される化合物であるのが好ましい。なお、前記一般式(XI)で表される化合物、前記一般式(XII)で表される化合物、前記一般式(XIII)で表される化合物または前記一般式(XIV)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている。
前記一般式(XI)で表される化合物を以下に示す。
式(XI)中、
R4は、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル、フェニル、ハロゲン、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である。
前記一般式(XI)で表される化合物は、
R4が、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、ハロゲン、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが好ましく、
R4は、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが更に好ましい。
前記一般式(XII)で表される化合物を以下に示す。
式(XII)中、
R5は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である。
前記一般式(XII)で表される化合物は、
R5は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが好ましく、
R5は、1〜3のハロゲンで置換されたフェニル基であるのがより好ましい。
前記一般式(XIII)で表される化合物を以下に示す。
式(XIII)中、
R6は、フェニル基、または1〜3の炭素数1〜6のアルキルで置換されたフェニル基であり
R7は、フェニル基、または1〜3のハロゲンで置換されたフェニル基であり、
R8は、
である。
前記一般式(XIII)で表される化合物は、
R6は、1〜3の炭素数1〜6のアルキルで置換されたフェニル基であり
R7は、1〜3のハロゲンで置換されたフェニル基であるのが好ましく、
R6は、1〜3の炭素数1〜6のアルキルで置換されたフェニル基であり
R7は、1〜3のハロゲンで置換されたフェニル基であり、
R8は、
であるのがより好ましい。
前記一般式(XIV)で表される化合物を以下に示す。
式(XIV)中、
R9は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルで置換されたアミノ、シアノ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である。
前記一般式(XIV)で表される化合物は、
R9は、フェニル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のアルキルチオ、ハロゲンで置換された炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のアルキルで置換されたアミノ、シアノ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが好ましい。
また、本発明は、
一般式(XX)で表される化合物またはその塩、もしくは11Cで標識されるか、もしくはフッ素原子を含む場合には18Fで標識された化合物である。
前記一般式(XX)で表される化合物を以下に示す。
式(XX)中、
R11は、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル、フェニル、ハロゲン、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であり、
R12は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルで置換されたアミノ、シアノ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であり、
ただし、R12がハロゲンで置換されたフェニル基の場合、R11は、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル、フェニル、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基または、o位もしくはp位がハロゲンで置換されたフェニル基であり、
ただし、R12がフェニル基の場合、R11は、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル、フェニル、ハロゲン、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である。
前記一般式(XX)で表される化合物は、
R11は、フェニル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であり、
R12は、フェニル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のアルキルチオ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのがより好ましい。
前記一般式(XX)で表される化合物は、一般式(XV)で表される化合物であってもよい。
式(XV)中、
R4'は、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル、フェニル、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基または、o位もしくはp位がハロゲンで置換されたフェニル基である。
前記一般式(XV)で表される化合物は、
R4'が、炭素数3〜7のシクロヘキシル基、ナフチル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、ハロゲン、およびジオキサボラニルからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが好ましく、
R4'は、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが更に好ましい。
前記一般式(XX)で表される化合物は、一般式(XII)で表される化合物であってもよい。
式(XII)中、
R5は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、もしくはハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である。
前記一般式(XII)で表される化合物は、
R5は、フェニル基、または炭素数1〜6のアルキル、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが好ましく、
R5は、1〜3のハロゲンで置換されたフェニル基であるのがより好ましい。
前記一般式(XX)で表される化合物は、一般式(XVI)で表される化合物であってもよい。
式(XVI)中、
R9は、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルで置換されたアミノ、シアノ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である。
前記一般式(XVI)で表される化合物は、
R9'は、フェニル基、または炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のアルキルチオ、ハロゲンで置換された炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のアルキルで置換されたアミノ、シアノ、およびハロゲンからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基であるのが好ましい。
本発明において、「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられ、好ましくはフッ素、塩素、臭素、より好ましくはフッ素である。
本発明において、「炭素数1〜6のアルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチルプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。「炭素数1〜6のアルキル」は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキルである。
本発明において、「炭素数1〜6のアルキルシリル」とは、メチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、n−プロピルシリル、イソプロピルシリル、2−メチルプロピルシリル、n−ブチルシリル、t−ブチルシリル、ペンチルシリル、ヘキシルシリルなどが挙げられる。「炭素数1〜6のアルキルシリル」は、好ましくは炭素数1〜5のアルキルシリル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルシリルである。
本発明において、「炭素数1〜6のアルコキシ」とは、炭素数1〜6のアルキルオキシを意味し、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、2−メチルプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられる。「炭素数1〜6のアルコキシ」は、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ(炭素数1〜5のアルキルオキシ)、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数1〜4のアルキルオキシ)、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ(炭素数1〜3のアルキルオキシ)である。
本発明において、「ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ」とは、フッ化メチルオキシ、フッ化エチルオキシ、ヨウ化メチルオキシなどが挙げられる。「ハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシ」は、好ましくはハロゲンで置換された炭素数1〜5のアルコキシ、より好ましくはハロゲンで置換された炭素数1〜4のアルコキシ、さらに好ましくはハロゲンで置換された炭素数1〜3のアルコキシである。
本発明において、「炭素数1〜6のアルキルチオ」とは、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、2−メチルプロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオなどが挙げられる。「炭素数1〜6のアルキルチオ」は、好ましくは炭素数1〜5のアルキルチオ、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルチオ、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキルチオである。
本発明において、「炭素数3〜7のシクロヘキシル」とは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。「炭素数3〜7のシクロヘキシル基」は、好ましくは炭素数4〜7のシクロヘキシル、より好ましくは炭素数4〜6のシクロヘキシルである。
本発明において、「炭素数2〜6のアルケニル」とは、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニルなどが挙げられる。「炭素数2〜6のアルケニル」は、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル、より好ましくは炭素数2〜4のアルケニルである。
本発明において、「炭素数2〜6のアルキニル」とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。「炭素数2〜6のアルキニル」は、好ましくは炭素数2〜5のアルキニル、より好ましくは炭素数2〜4のアルキニルである。
本発明において、「炭素数1〜6のアルキルシリルで置換された炭素数2〜6のアルキニル」とは、1−トリメチルシリルエチニル、1−エチルシリルブチニルなどが挙げられる。
本発明において、「炭素数1〜6のアルキルで置換されたアミノ」とは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、2−メチルプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノなどが挙げられる。「炭素数1〜6のアルキルで置換されたアミノ」は、好ましくは炭素数1〜5のアルキルアミノ、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルアミノ、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキルアミノである。
本発明において、「1〜3の炭素数1〜6のアルキルで置換されたフェニル」とは、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、1−エチルフェニルなどが挙げられる。「炭素数1〜6のアルキルで置換されたフェニル」は、好ましくは炭素数1〜5のアルキルで置換されたフェニル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルで置換されたフェニルである。
本発明において、「1〜3のハロゲンで置換されたフェニル」とは、1−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、1−クロロフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、1−ブロモフェニル、2−ブロモフェニル、3−ブロモフェニル、1−ヨードフェニル、2−ヨードフェニル、3−ヨ−ドフェニルなどが挙げられる。
本発明において、塩としては、無毒性で医薬として許容しうる慣用の塩であり、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩、アンモニウムなどの無機塩基との塩、及びトリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンアミンなどの有機アミンとの塩、及び塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、及びギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸などの有機カルボン酸との塩、及びメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸との塩、及びアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性又は酸性アミノ酸といった塩基との塩又は酸との塩が挙げられる。
本発明において、「前記一般式(I)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」とは、
(a)前記一般式(I)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(I)におけるR1が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(I)におけるR2が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(d)前記一般式(I)におけるR3が、
(ここで、R4は、ハロゲン(好ましくはフッ素)である。)
である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
前記(a)前記一般式(I)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される場合については、R1、R2およびR3における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識されてもよい。具体的には、R1が炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシからなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、置換基である炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルコキシの炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識されていてもよい。
「前記一般式(I)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「前記一般式(XI)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている。」とは、同様に、
(a)前記一般式(XI)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XI)におけるR4が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XI)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
「前記一般式(XI)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「前記一般式(XII)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている。」とは、同様に、
(a)前記一般式(XII)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XII)におけるR5が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XII)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
「前記一般式(XII)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「前記一般式(XIII)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている。」とは、同様に、
(a)前記一般式(XIII)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XIII)におけるR7が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
「前記一般式(XIII)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「前記一般式(XIII)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている。」とは、同様に、
(a)前記一般式(XIV)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XIV)におけるR9が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XIV)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
本発明において、「11Cで標識されるか、もしくはフッ素原子を含む場合には18Fで標識された一般式(XX)で表される化合物」とは、
(a)前記一般式(XX)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XX)におけるR11が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XX)におけるR12が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(d)前記一般式(XX)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
「前記一般式(XX)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「11Cで標識されるか、もしくはフッ素原子を含む場合には18Fで標識された一般式(XV)で表される化合物」とは、
(a)前記一般式(XV)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XV)におけるR4'が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XV)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
「前記一般式(XV)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「11Cで標識されるか、もしくはフッ素原子を含む場合には18Fで標識された一般式(XII)で表される化合物」とは、
(a)前記一般式(XII)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XII)におけるR5が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XII)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
「前記一般式(XII)で表される化合物は、11Cで標識されるか、またはフッ素原子を含む場合には18Fで標識されている」例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本発明において、「11Cで標識されるか、もしくはフッ素原子を含む場合には18Fで標識された一般式(XVI)で表される化合物」とは、
(a)前記一般式(XVI)における炭素原子のいずれか一つが、11Cで標識される、
(b)前記一般式(XVI)におけるR9'が、ハロゲン(好ましくはフッ素)で置換された炭素数1〜6のアルコキシ、およびハロゲン(好ましくはフッ素)からなる群から選択される1〜3で置換されたフェニル基である場合、そのハロゲンが18Fで標識される、
(c)前記一般式(XVI)における
のフッ素が18Fで標識される、
のいずれかを意味する。
本発明の一般式(I)で表される化合物の製造方法は、以下のとおりである。
(式中、R1、R2、R3は、式(I)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
一般式(I)で表される化合物は、例えば、式(XXXI)で表される化合物と式(XXXII)で表されるアミンとを縮合させることにより、得ることができる。または、一般式(I)で表される化合物は、例えば、式(XXXIII)で表される化合物と式(XXXIV)で表されるアミンとを縮合させることにより、得ることができる。
前記縮合工程は、従来公知の縮合剤を用いて、行うことができる。縮合剤としては、例えば、カルボジイミド系、イミダゾール系、トリアジン系、ホスホニウム系、ウロニウム系、ハロニウム系などが知られている。カルボジイミド系縮合剤としては、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(EDCI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などが挙げられる。前記イミダゾール系縮合剤としては、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,1’−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)(CDT)などが挙げられる。前記トリアジン系縮合剤としては、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドn水和物(DMT−MM)などが挙げられる。ホスホニウム系縮合剤としては、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)などが挙げられる。ウロニウム系縮合剤としては、{{[(1−シアノ−2−エトキシー2−オキソエチリデン)アミノ]オキシ}−4−モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサンフルオロリン酸塩(COMU)などが挙げられる。ハロニウム系縮合剤としては、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩(CIP)が挙げられる。
前記式(XXXI)で表される化合物は、公知文献に従い製造しても、市販で入手してもよいが、以下のようにしても製造することができる。
(式中、R1、R3は、式(I)における定義と同様であり、
Xは、OH、または炭素数1〜3のアルコキシである。)
式(XXXVI)の化合物と、式(XXXIV)で表されるアミンとを縮合し、式(XXXV)の化合物を得る。この縮合は、前記一般式(I)で表される化合物の製造方法における縮合と、同様にして行うことができる。
式(XXXV)の化合物は、不活性ガス雰囲気下に、酢酸パラジウムおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの混合物へ、トリエチルアミンと共に添加し、反応容器を一酸化炭素ガスで置換して加熱しながら攪拌することにより、式(XXXI)の化合物を得ることができる。
前記式(XXXIII)で表される化合物は、公知文献に従い製造しても、市販で入手してもよいが、以下のようにしても製造することができる。
(式中、R2、R3は、式(I)における定義と同様であり、
Xは、OH、または炭素数1〜3のアルコキシである。)
式(XXXVI)の化合物と、式(XXXII)で表されるアミンとを縮合し、式(XXXVI)の化合物を得る。この縮合は、前記一般式(I)で表される化合物の製造方法における縮合と、同様にして行うことができる。
式(XXXVI)の化合物は、不活性ガス雰囲気下に、酢酸パラジウムおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの混合物へ、トリエチルアミンと共に添加し、反応容器を一酸化炭素ガスで置換して加熱しながら攪拌することにより、式(XXXIII)の化合物を得ることができる。
本発明の一般式(XI)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R4は、式(XI)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
本発明の一般式(XII)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R5は、式(XII)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
本発明の一般式(XIII)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R6、R7、R8は、式(XIII)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
本発明の一般式(XIV)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R9、式(XIV)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
本発明の一般式(XX)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R11、R12は、式(XX)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
一般式(XX)で表される化合物は、例えば、式(XXXX)で表される化合物と式(XXXXI)で表されるアミンとを縮合させることにより、得ることができる。または、一般式(XX)で表される化合物は、例えば、式(XXXXII)で表される化合物と式(XXXXIII)で表されるアミンとを縮合させることにより、得ることができる。この縮合は、前記一般式(I)で表される化合物の製造方法における縮合と、同様にして行うことができる。
前記式(XXXX)で表される化合物は、公知文献に従い製造しても、市販で入手してもよいが、以下のようにしても製造することができる。
(式中、R11は、式(XX)における定義と同様であり、
Xは、OH、または炭素数1〜3のアルコキシである。)
式(XXXXIV)の化合物と、式(XXXXIII)で表されるアミンとを縮合し、式(XXXXV)の化合物を得る。この縮合は、前記一般式(I)で表される化合物の製造方法における縮合と、同様にして行うことができる。
式(XXXXV)の化合物は、不活性ガス雰囲気下に、酢酸パラジウムおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの混合物へ、トリエチルアミンと共に添加し、反応容器を一酸化炭素ガスで置換して加熱しながら攪拌することにより、式(XXXX)の化合物を得ることができる。
前記式(XXXXII)で表される化合物は、公知文献に従い製造しても、市販で入手してもよいが、以下のようにしても製造することができる。
(式中、R12は、式(XX)における定義と同様であり、
Xは、OH、または炭素数1〜3のアルコキシである。)
式(XXXXIV)の化合物と、式(XXXXI)で表されるアミンとを縮合し、式(XXXXVI)の化合物を得る。この縮合は、前記一般式(I)で表される化合物の製造方法における縮合と、同様にして行うことができる。
式(XXXXVI)の化合物は、不活性ガス雰囲気下に、酢酸パラジウムおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの混合物へ、トリエチルアミンと共に添加し、反応容器を一酸化炭素ガスで置換して加熱しながら攪拌することにより、式(XXXXII)の化合物を得ることができる。
本発明の一般式(XV)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R4'は、式(XV)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
本発明の一般式(XVI)で表される化合物も、同様にして製造することができる。製造スキームの一例を以下に示す。
(式中、R9'は、式(XVI)における定義と同様であり、
Xは、OH、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルコキシである。)
本発明の「11Cで標識された」化合物は、前記本発明の化合物の製造方法に、従来公知の高速11C−メチル化反応(Chem.Rec.2014,14,516−541.)を組み合わせて製造することができる。また、本発明の「フッ素原子を含む場合には18Fで標識された」化合物は、前記本発明の化合物の製造方法に、従来公知の18F−標識法(Org.Lett.2015,17,5780−5783;Chem.Commun.2016,52,8361−8364)を組み合わせて製造することができる。
本発明のイメージング用PETプローブは、従来公知の方法により、注射剤などの適切な剤形に製剤化することができる。注射剤、例えば、静脈内投与用注射剤としては、媒体、pH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、可溶化剤、酸化防止剤、保存剤などを、一般式(I)で表される化合物またはその塩に必要に応じて加え、従来の方法によって処理することにより製剤化することができる。
[略語]
本明細書中、以下の略語を用いることがある。
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
EDCl・HCl:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
COMU:{{[(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデン)アミノ]オキシ}−4−モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサンフルオロリン酸塩
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
<製造例1>
中間体の合成
2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)の製造
工程1:3−ブロモ−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2)の製造
3−ブロモ−2−フルオロ安息香酸(1)(2.17g,9.91mmol,1当量)の塩化メチレン(100mL)溶液へ、4−フルオロアニリン(2.20g,19.8mmol,2.0当量)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(121mg,0.991mmol,0.10当量)、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCl・HCl)(2.85g,14.9mmol,1.5当量)を室温で添加した。室温で15時間攪拌したのち、混合物へ水(約100mL)を加えた。得られた混合溶液は酢酸エチル(約50mL)で3回抽出した。合一した有機相は、飽和食塩水(約100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その有機相をショートパッドのシリカゲルに通して濾過(酢酸エチルで溶出)した後、減圧下に溶媒を留去した。純粋な3−ブロモ−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2)(2.39g,7.66mmol,38.7%)が無色固体として得られた。さらなる精製を行わず、次の反応に用いた。
1H NMR (CDCl3) δ 7.06-7.12 (AA'BB'X, 2H), 7.22 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.59-7.63 (AA'BB'X, 2H), 7.75 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 8.09 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 8.31 (br d, J = 14.3 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 333.9644 (C13H8BrF2NNaO+として算出、333.9650, [M+Na]+).
工程2:2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸メチル(3)の製造
酢酸パラジウム(516mg,2.30mmol,0.30当量)のメタノール(38mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(38mL)の混合溶液へ、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(947mg,2.30mmol,0.30当量)をアルゴン雰囲気下室温で加えた。室温で30分攪拌した後、混合物へトリエチルアミンと3−ブロモ−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2)(2.39g,7.66mmol,1当量)を加えた。混合物を含む反応容器を一酸化炭素で置換した後、75℃で20時間加熱攪拌した。室温まで戻した後、溶液はショートパッドのシリカゲルを通して濾過し、ジエチルエーテルで溶出した。そのジエチルエーテル液は、減圧下に溶媒を留去した。残渣に水を加えた後、ジエチルエーテルで3回抽出した。合一した有機相は、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸メチル(3)(2.08g,7.14mmol,93.3%)を無色固体として得た。
1H NMR (CDCl3)δ 3.99 (s, 3H), 7.05-7.12 (AA'BB'X, 2H), 7.39 (dd, J = 7.7, 7.7 Hz, 1H), 7.60-7.65 (AA'BB'X, 2H), 8.12 (ddd, J = 7.7, 7.7, 1.5 Hz, 1H), 8.36 (ddd, J = 7.7, 7.7, 1.5 Hz, 1H), 8.41 (br d, J = 14.5 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 314.0599 (C15H11F2NNaO3 +として算出, 314.0651 ,[M+Na]+).
工程3:2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)の製造
2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸メチル(3)(1.98g,6.80mmol,1当量)の塩化メチレン(20mL)、メタノール(10mL)および水(10mL)の混合溶液へ、水酸化ナトリウム(815mg,20.4mmol,3.0当量)を室温で加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後の溶液に、塩酸(3M 水溶液)をpHが1以下になるまで加えた。その溶液は、酢酸エチル(約20mL)で3回抽出した。合一した有機相は、飽和食塩水(約40mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、その有機相から減圧下溶媒を留去することにより、2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(1.40g,5.05mmol,75.4%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ7.19-7.23 (AA'BB'X, 2H), 7.41 (dd, J = 7.7, 7.7 Hz, 1H), 7.72-7.75 (AA'BB'X, 2H), 7.83-7.87 (m, 1H), 7.99 (ddd, J = 7.7, 7.7, 1.5 Hz, 1H), 10.59 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 300.0440 (C14H9F2NNaO3 +として算出, 300.0443, [M+Na]+).
<製造例2>
2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)の製造
工程1:3−ブロモ−2−フルオロ−N−フェニルベンズアミド(5)の製造
化合物(5)は、4−フルオロアニリンの代わりにアニリンを用いた以外は、製造例1の工程1に従い製造した。収率32%。
1H NMR (CDCl3)δ 7.05-7.11 (AA'BB'X, 2H), 7.21 (dd, J = 7.9, 7.9 Hz, 1H), 7.60-7.63 (AA'BB'X, 2H), 7.75 (ddd, J = 7.9, 7.5, 1.8 Hz, 1H), 8.08 (ddd, J = 7.9, 7.5, 1.8 Hz, 1H), 8.31 (br d, J = 13.4 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 293.9922 (C13H10ON79BrF+として算出、293.9924、 [M+H]+).
工程2:2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸メチル(6)の製造
化合物(6)は、3−ブロモ−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2)の代わりに3−ブロモ−2−フルオロ−N−フェニルベンズアミド(5)を用いた以外は、製造例1の工程2に従い製造した。収率53%。
1H NMR (CDCl3)δ 3.93 (s, 3H), 7.19 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.37-7.41 (m, 3H), 7.67 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 8.11 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.8 Hz, 1H), 8.36 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.8 Hz, 1H), 8.45 (br d, J = 14.3 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 274.0870 (C15H13O3NF+として算出、274.0874、 [M+H]+).
工程3:2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)の製造
化合物7は、2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸メチル(3)の代わりに2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸メチル(6)を用いた以外は、製造例1の工程3に従い製造した。収率54%。
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.10-7.14 (m, 1H), 7.34-7.43 (m, 3H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.83-7.87 (m, 1H), 7.99 (ddd, J = 7.4, 7.4, 1.8 Hz, 1H), 10.54 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 260.0716 (C14H11O3NF+として算出、260.0717、 [M+H]+).
<製造例3>
2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の製造
工程1:3−ブロモ−2−フルオロ−3−(N−(o−トリル)ベンズアミド(8)の製造
化合物8は、4−フルオロアニリンの代わりに2−メチルアニリンを用いた以外は、製造例1の工程1に従い製造した。収率80%。
1H NMR (CDCl3)δ 2.37 (s, 3H), 7.14 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.20-7.30 (m, 3H), 7.75 (ddd, J = 8.0, 6.8, 1.8 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.12-8.16 (m, 1H), 8.29 (br d, J = 15.2 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 308.0078 (C14H12ON79BrF+として算出、308.0081、[M+H]+).
工程2:2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸メチル(9)の製造
化合物(9)は、3−ブロモ−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2)の代わりに3−ブロモ−2−フルオロ−3−(N−(o−トリル)ベンズアミド(8)を用いた以外は、製造例1の工程2に従い製造した。収率79%。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.27 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 7.15-7.25 (m, 2H), 7.28 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.43-7.47 (m, 2H), 7.92-7.95 (m, 1H), 8.02 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.8 Hz, 1H), 10.01 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 288.1027 (C16H15O3NF+として算出、288.1030 、[M+H]+).
工程3:2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の製造
化合物(10)は、2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸メチル(3)の代わりに2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸メチル(9)を用いた以外は、製造例1の工程3に従い製造した。収率63%。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.27 (s, 3H), 7.14-7.24 (m, 2H), 7.27 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.86-7.89 (m, 1H), 7.98 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 9.95 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 274.0871 (C15H13O3NF+として算出、274.0874 、[M+H]+).
<実施例1>
化合物CBT−078(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(o−トリル)イソフタルアミド)の製造
製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(103mg,0.377mmol,1当量)の1,2−ジクロロエタン溶液(3.8mL)へ、4−フルオロアニリン(46μL,0.49mmol,1.3当量)、4−ジメチルアミノピリジン(9.1mg,75μmol,0.20当量)、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(109mg,0.565mmol,1.5当量)を添加し、混合物を50℃で終夜加熱攪拌した。室温まで戻したのち、反応溶液をシリカゲルに吸着後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc=4/1から2/1)で精製することにより、CBT−078(107mg,0.290mmol,76.9%)を無色固体として得た。
mp 167.6-169.1 ℃
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.28 (s, 3H), 7.15-7.29 (m, 5H), 7.43-7.47 (m, 2H), 7.75-7.87 (m, 4H), 9.96 (s, 1H), 10.61 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 389.1068 (C21H16F2N2NaO2 +として算出、389.1072, [M+Na]+).
<実施例2>
化合物CBT−097(2−フルオロ−N1−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N3−(o−トリル)イソフタルアミド)の製造
製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1.2mL)へ、4−フルオロ−2−メチルアニリン(19.5mg,0.156mmol,1.3当量)、COMU(77.1mg,0.180mmol,1.5当量)およびジイソプロピルエチルアミン(31.0mg,0.240mmol,2.0当量)を室温で添加した。終夜室温で攪拌した後、反応溶液に水(約1mL)を加えた。溶液は酢酸エチル(約1mL)で3回抽出した。合一した有機相は、飽和食塩水(約1mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc=2/1)で精製することにより、CBT−097(37.2mg,97.8μmol,81.4%)を無色固体として得た。
mp 217.8-218.8 ℃
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.29 (s, 3H+ 3H, two signals overlapped), 7.07 (ddd, J = 8.5, 8.5, 2.8 Hz, 1H), 7.15-7.19 (m, 2H), 7.24 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.43-7.48 (m, 3H), 7.84-7.87 (m, 2H), 9.97 (s, 1H), 9.99 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 403.1226 (C22H18F2N2NaO2 + として算出、403.1229, [M+Na]+).
<実施例3>
化合物CBT−042(2−フルオロ−N1−フェニル−N3−(o−トリル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−042は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(91.2mg,0.352mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに2−メチルアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率50.6%(62.1mg,0.178mmol)。
mp 164.3-166.4 ℃
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.28 (s, 3H), 7.11-1.19 (m, 2H), 7.24 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.35-7.39 (AA'BB'X, 2H), 7.43-7.48 (m, 2H), 7.73-7.75 (AA'BB'X, 2H), 7.79-7.87 (m, 2H), 9.95 (s, 1H), 10.54 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 371.1162 (C21H17FN2NaO2 +として算出、371.1166 、[M+Na]+).
<実施例4>
化合物CBT−043(2−フルオロ−N1−(4−メチルフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−043は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(31.3mg,0.120mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに4−メチルアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率29.1%(12.2mg,35.0μmol)。
<実施例5>
化合物CBT−044(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−044は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(53.3mg,0.206mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに4−フルオロアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率68.0%(49.4mg,0.140mmol)。
<実施例6>
化合物CBT−053(2−フルオロ−N1−(2−フルオロフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−053は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(47.9mg,0.185mmol)を、2−フルオロアニリンの代わりに4−フルオロアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率21.0%(13.6mg,38.6μmol)。
<実施例7>
化合物CBT−054(2−フルオロ−N1−(3−フルオロフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド
)の製造
化合物CBT−054は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(44.5mg,0.172mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに3−フルオロアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率46.0%(27.9mg,79.2μmol)。
mp 221.5-223.5 ℃
1H NMR (DMSO-d6)δ 6.97 (dddd, J = 8.4, 8.4, 2.5, 0.9 Hz, 1H), 7.10-7.15 (m, 1H), 7.34-7.48 (m, 5H), 7.69-7.74 (m, 3H), 7.80-7.84 (m, 2H), 10.53 (s, 1H), 10.74 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 375.0913 (C20H14F2N2NaO2 +として算出、375.0916、[M+Na]+).
<実施例8>
化合物CBT−055(2−フルオロ−N1−(2−メトキシフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−055は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(30.4mg,0.117mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに2−メトキシアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率42.9%(18.3mg,50.2μmol)。
1H NMR (CDCl3)δ 3.93 (s, 3H), 6.94 (dd, J = 8.0, 1.4 Hz, 1H), 7.03 (ddd, J = 7.8, 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.13 (ddd, J = 7.8, 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.18-7.23 (m, 1H), 7.39-7.44 (m, 3H), 7.70 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.15-8.22 (m, 2H), 8.33 (br d, J = 9.7 Hz, 1H), 8.54 (dd, J = 8.0, 1.4 Hz, 1H), 8.93 (br d, J = 10.7 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 387.1113 (C21H17FN2NaO3 +として算出,387.1115、 [M+Na]+).
<実施例9>
化合物CBT−056(2−フルオロ−N1−(2−(メチルチオ)フェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−056は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(48.5mg,0.187mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに2−メチルチオアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率17.1%(12.2mg,32.0μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.45 (s, 3H), 7.13 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.23-7.32 (m, 2H), 7.35-7.47 (m, 4H), 7.56 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.72-7.74 (m, 2H), 7.81 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.90 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 9.93 (s, 1H), 10.56 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 403.0885 (C21H17FN2NaO2S+ として算出, 403.0887、[M+Na]+).
<実施例10>
化合物CBT−057(N1−(2−クロロフェニル)−2−フェニル−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−057は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(200mg,0.772mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに2−クロロアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率12.0%(34.1mg,92.5μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.11-7.15 (m, 1H), 7.29 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.35-7.48 (m, 4H), 7.57 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.70-7.84 (m, 4H), 7.89 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 10.13 (s, 1H), 10.56 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 391.0619 (C20H14 35ClFN2O2Na+として算出、391.0620, [M+Na]+).
<実施例11>
化合物CBT−058(N1−(2−ブロモフェニル)−2−フルオロ−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−058は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(200mg,0.772mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに2−ブロモアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率13.6%(43.5mg,0.105mmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.11-7.15 (m, 1H), 7.23 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.35-7.39 (m, 2H), 7.43-7.48 (m, 2H), 7.72-7.75 (m, 4H), 7.81-7.85 (m, 1H), 7.91 (dd, J = 6.5, 6.5 Hz, 1H), 10.09 (s, 1H), 10.58 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 435.0116 (C20H14 79BrFN2O2Na+として算出、435.0115, [M+Na]+).
<実施例12>
化合物CBT−059(2−フルオロ−N1−フェニル−N3−(2−トリフルオロメトキシフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−059は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(45.1mg,0.174mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに2−トリフルオロメトキシアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率4.1%(3.0mg,7.2μmol)。
<実施例13>
化合物CBT−060(2−フルオロ−N1−(4−メトキシフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−060は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(53.2mg,0.205mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに4−メトキシアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率57.6%(43.0mg,0.118mmol)。
<実施例14>
化合物CBT−064(2−フルオロ−N1−(4−ジメチルアミノフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−064は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(59.3mg,0.229mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに4−メトキシアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率38.4%(33.2mg,88.0μmol)。
<実施例15>
化合物CBT−065(2−フルオロ−N1−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−065は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(29.4mg,0.113mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに4−フルオロ−2−メチルアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率37.0%(15.3mg,41.8μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.28 (s, 3H), 7.06 (dd, J = 8.5, 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.10-7.17 (m, 2H), 7.35-7.39 (m, 2H), 7.42-7.46 (m, 2H), 7.73 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.78-7.87 (m, 2H), 9.96 (s, 1H), 10.54 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 389.1070 (C21H16F2N2NaO2 +として算出,389.1072、 [M+Na]+).
<実施例16>
化合物CBT-073(2−フルオロ−(N1,N3−ビス(2−メチルフェニル)イソフタルアミド)の製造
2−フルオロフタル酸(40.4mg,0.219mmol,1当量)の1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)へ、2−メチルアニリン(56.5mg,0.527mmol,2.4当量)、4−ジメチルアミノピリジン(5.3mg,44μmol,0.20当量)、およびEDCI・HCl(105mg,0.548mmol,2.5当量)を室温で添加し、室温で1.5時間攪拌した。反応後の溶液に、塩酸(3M水溶液)をpHが1以下になるまで加えた。溶液は酢酸エチル(約20mL)で3回抽出した。合一した有機相を飽和食塩水(約40mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣をジエチルエーテルで洗浄することで、CBT−073(36.7mg,0.101mmol,46.1%)を白色固体として得た。
<実施例17>
化合物CBT−075(2−フルオロ−N1−フェニル−N3−(m−トリル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−075は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(68.1mg,0.263mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに3−メチルアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率39.5%(36.2mg,0.104mmol)。
mp 181.9-184.1 ℃
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.31 (s, 3H), 6.94 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.10-7.15 (m, 1H), 7.24 (dd, J = 8.0, 8.0 Hz, 1H), 7.35-7.39 (m, 2H), 7.43 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.58 (br s, 1H), 7.72-7.74 (m, 2H), 7.72-7.81 (m, 2H), 10.44 (s, 1H), 10.52 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 371.1166 (C21H17FN2NaO2 +として算出、 371.1166, [M+Na]+).
<実施例18>
化合物CBT−076(2−フルオロ−N1−(4−シアノフェニル)−N3−フェニルイソフタルアミド)の製造
化合物CBT−076は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例2の工程3において得られた2−フルオロ−3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(7)(53.2mg,0.205mmol)を、4−フルオロアニリンの代わりに4−シアノアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率19.5%(14.4mg,40.1μmol)。
<実施例19>
化合物CBT−088(N1−(2−エチルフェニル)−2−フルオロ−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(50.0mg,0.180mmol,1当量の1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)へ、2−エチルアニリン(70.5μL,0.541mmol,3.0当量)およびCOMU(154mg,0.361mmol,2.0当量)を室温で添加し、50℃で終夜攪拌した。室温に戻した後、反応溶液に塩酸(1mol/L水溶液、約2mL)を加えた。溶液は酢酸エチル(約1mL)で3回抽出した。合一した有機相は、飽和食塩水(約1mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc=2/1)で精製することにより、化合物CBT−088(56.0mg,0.154mmol,85.7%)を無色固体として得た。
mp 169.1-169.8 ℃;
1H NMR (DMSO-d6)δ 1.16 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.66 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 7.19-7.26 (m, 4H), 7.29-7.32 (m, 1H), 7.41-7.47 (m, 2H), 7.74-7.85 (m, 4H), 9.96 (s, 1H), 10.61 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 403.1226 (C22H18F2N2NaO2 +として算出、403.1229, [M+Na]+).
<実施例20>
化合物CBT−089(2−フルオロ−N1−(2−フルオロフェニル)−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(50.0mg,0.180mmol,1 当量)の1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)へ、2−フルオロアニリン(52.2μL,0.541mmol,3.0当量)およびCOMU(154mg,0.361mmol,2.0当量)を室温で添加し、50℃で終夜攪拌した。室温に戻した後、反応溶液に塩酸(1mol/L水溶液、約2mL)を加えた。溶液は酢酸エチル(約1mL)で3回抽出した。合一した有機相を飽和食塩水(約1mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc=2/1)で精製することにより、化合物CBT−089(17.6mg,50.0μmol,27.7%)を無色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.18-7.34 (m, 5H), 7.44 (dd, J = 7.7, 7.7 Hz, 1H), 7.74-7.77 (AA'BB'X, 2H), 7.80-7.86 (m, 3H), 10.29 (s, 1H), 10.59 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 393.0820 (C20H13F3N2NaO2 +として算出、393.0821, [M+Na]+).
<実施例21>
化合物CBT−090(N1−(2−クロロフェニル)−2−フルオロ−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(50.0mg,0.180mmol,1当量)の1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)へ、2−クロロアニリン(56.6μL,0.541mmol,3.0当量)およびCOMU(154mg,0.361mmol,2.0当量)を室温で添加し、50℃で終夜攪拌した。室温に戻した後、反応溶液に塩酸(1mol/L水溶液、約2mL)を加えた。溶液は酢酸エチル(約1mL)で3回抽出した。合一した有機相は、飽和食塩水(約1mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc=2/1)で精製することにより、化合物CBT−090(トレース量)を無色固体として得た。
1H NMR (CDCl3)δ 7.08-7.16 (m, 3H), 7.36 (dd, J = 7.7, 7.7 Hz, 1H), 7.44-7.51 (m, 2H), 7.62-7.66 (m, 2H), 8.18-8.30 (m, 3H), 8.56 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.86 (br d, J = 11.8 Hz, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 409.0529 (C20H13O2N2 35ClF2Na+ として算出、409.0526, [M+Na]+).
<実施例22>
化合物CBT−091(N1−(2−ブロモフェニル)−2−フルオロ−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−091は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(44.3mg,0.160mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−ブロモアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率50.0%(34.5mg,80.0μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.19-7.25 (m, 3H), 7.43-7.49 (m, 2H), 7.71-7.79 (m, 4H), 7.82-7.85 (m, 1H), 7.91 (dd, J = 6.6, 6.6 Hz, 1H), 10.10 (s, 1H), 10.63 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 453.0018 (C20H13BrF2N2NaO2 +として算出、453.0021, [M+Na]+).
<実施例23>
化合物CBT−092(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2−メトキシフェニル)イソフタルアミド)の製造
製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(50.0mg,0.180mmol,1当量)の1,2−ジクロロエタン溶液(2.0mL)へ、2−メトキシアニリン(61.0μL,0.541mmol,3.0当量)およびCOMU(154mg,0.361mmol,2.0当量)を室温で添加し、50℃で終夜攪拌した。室温に戻した後、反応溶液に塩酸(1mol/L水溶液、約2mL)を加えた。溶液は酢酸エチル(約1mL)で3回抽出した。合一した有機相を飽和食塩水(約1mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機相から減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc=2/1)で精製することにより、化合物CBT−092(23.7mg,65.0μmol,36.1%)を無色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6)δ 3.86 (s, 3H), 6.99 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.15-7.25 (m, 3H), 7.46 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.74-7.78 (m, 2H), 7.84 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 7.94 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 9.58 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 10.61 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 405.1021 (C21H16O3N2F2Na+として算出、405.1021, [M+Na]+).
<実施例24>
化合物CBT−093(2−フルオロ−N1−(o−トリル)−N3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−093は、製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(55.6mg,0.203mmol)を用い、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに3,4,5−トリフルオロアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率45.2%(36.9mg,91.7μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.28 (s, 3H), 7.17-7.25 (m, 2H), 7.28 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.45-7.49 (m, 2H), 7.64-7.68 (m, 2H), 7.80-7.84 (m, 1H), 7.87-7.90 (m, 1H), 9.99 (s, 1H), 10.91 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 425.0883 (425.0884 として算出、C21H14F4N2NaO2 +、 [M+Na]+).
<実施例25>
化合物CBT−094(N1−(4−クロロフェニル)−2−フルオロ−N3−(o−トリル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−094は、製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(46.6mg,0.171mmol)を用い、4−フルオロアニリンの代わりに4−クロロアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率74.8%(49.0mg,0.127mmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.29 (s, 3H), 7.17 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.42-7.48 (m, 4H), 7.78-7.89 (m, 4H), 9.97 (s, 1H), 10.71 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 409.0529 (C20H13F2N2NaO2として算出、409.0526, [M+Na]+)
<実施例26>
化合物CBT−095(2−フルオロ−N1−(4−ブロモフェニル)−N3−(2−メチルフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−095は、製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(44.9mg,0.164mmol)を用い、4−フルオロアニリンの代わりに4−ブロモアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率38.3%(26.9mg,62.9μmol)。
<実施例27>
化合物CBT−096(2−フルオロ−N1−(2−メチルフェニル)−N3−(4−メトキシフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−096は、製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(56.3mg,0.206mmol)を用い、4−フルオロアニリンの代わりに4−メトキシアニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率64.0%(49.9mg,0.132mmol)。
<実施例28>
化合物CBT−098(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−098は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(175mg,0.631mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンを用いた以外は実施例2に従い、製造した。収率26.5%(80.0mg,0.167mmol)。
<実施例29>
化合物CBT−099(2−フルオロ−N1−(2−ビフェニリル)−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−099は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(26.0mg,93.8μmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−フェニルアニリンを用いた以外は実施例2に従い、製造した。収率83.6%(33.6mg,78.4μmol)。
<実施例30>
化合物CBT−100(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(ナフタレン−1−イル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−100は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(31.3mg,0.113mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに1−ナフチルアミンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率68.8%(31.3mg,77.8μmol)。
mp 209.1-209.9 ℃
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.21-7.25 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.55-7.62 (m, 3H), 7.75-7.80 (m, 3H), 7.83-7.88 (m, 2H), 7.93-8.00 (m, 2H), 8.12 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 10.58 (s, 1H), 10.64 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 425.1069 (C24H16F2N2NaO2 +として算出、 425.1072, [M+Na]+)
<実施例31>
化合物CBT−101(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2−イソプロピルフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−101は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(34.7mg,0.125mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−イソプロピルアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率51.5%(25.4mg,64.4μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 1.18 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 3.26 (sept, J = 7.0 Hz, 1H), 7.19-7.25 (m, 3H), 7.28 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.74-7.85 (m, 4H), 10.01 (s, 1H), 10.62 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 417.1382 (C23H20O2N2F2Na+として算出417.1391, [M+Na]+).
<実施例32>
化合物CBT−102(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2−(1−プロペン−2−イル)フェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−102は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(34.3mg,0.124mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−(1−プロペン−2−イル)アニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率12%(5.7mg,15μmol)。
<実施例33>
化合物CBT−103(2−フルオロ−N1−(2−tert−ブチルフェニル)−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−103は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(22.9mg,82.6μmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−tert−ブチルアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに60℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率61.6%(20.8mg,50.9μmol)。
<実施例34>
化合物CBT−104(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2−(トリメチルシリル)エチニルフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−104は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(45.0mg,0.162mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−(トリメチルシリル)エチニルアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率53.8%(39.1mg,87.2μmol)。
<実施例35>
化合物CBT−105(N1−(2−エチニルフェニル)−2−フルオロ−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−105は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(36.4mg,0.131mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−エチニルアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率52.7%(26.0mg,69.1μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 4.60 (s, 1H), 7.19-7.26 (m, 3H), 7.45-7.50 (m, 2H), 7.57 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.74-7.78 (AA'BB'X, 2H), 7.83-7.87 (m, 1H), 7.97 (br s, 1H), 7.99 (br s, 1H), 9.93 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 10.64 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 377.1084 (C22H15N2O2F2として算出、377.1096, [M+H]+).
<実施例36>
化合物CBT−106(N1−シクロヘキシル−2−フルオロ−N3−(4−フルオロフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−106は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(37.6mg,0.136mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりにシクロヘキシルアミンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率83.0%(40.4mg,0.113mmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 1.12-1.36 (m, 5H), 1.56-1.84 (m, 5H), 3.74-3.80 (m, 1H), 7.17-7.24 (AA'BB'X, 2H), 7.36 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.64-7.68 (m, 1H), 7.70-7.77 (m, 3H), 8.29 (br d, J = 7.9 Hz, 1H), 10.53 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 381.1382 (C20H20F2N2NaO2 +として算出、381.1385, [M+Na]+).
<実施例37>
化合物CBT−107(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2−ヨードフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−107は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(33.2mg,0.120mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−ヨードアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率54.8%(31.4mg,65.7μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 7.07 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.19-7.25 (AA'BB'X, 2H), 7.44-7.49 (m, 2H), 7.57 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.74-7.79 (AA'BB'X, 2H), 7.83 (ddd, J = 7.0, 7.0, 1.5 Hz, 1H), 7.91-7.96 (m, 2H), 10.08 (s, 1H), 10.65 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 500.9871 (C20H13F2IN2NaO2として算出、500.9882, [M+H]+).
<実施例38>
化合物CBT−108(2−フルオロ−N1−(4−フルオロフェニル)−N3−(2,6−ジメチルフェニル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−108は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに製造例1の工程3において得られた2−フルオロ−3−((4−フルオロフェニル)カルバモイル)安息香酸(4)(34.0mg,0.123mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2,6−ジメチルアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率61.8%(28.9mg,76.0μmol)。
<実施例39>
化合物CBT−114(2−フルオロ−N1−(3−フルオロフェニル)−N3−(o−トリル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−114は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(28.5mg,0.104mmol)を用い、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに3−フルオロアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率78.2%(29.8mg,81.3μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.28 (s, 3H), 6.97 (dddd, J = 8.4, 8.4, 2.5, 0.9 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 7.23 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.38-7.49 (m, 4H), 7.71-7.73 (m, 1H), 7.82 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 7.87 (dd, J = 7.0, 7.0 Hz, 1H), 9.97 (s, 1H), 10.77 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 389.1068 (C21H16F2N2NaO2 +として算出、389.1072, [M+Na]+).
<実施例40>
化合物CBT−115(2−フルオロ−N1−(2−フルオロフェニル)−N3−(o−トリル)イソフタルアミド)の製造
化合物CBT−115は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(31.9mg,0.117mmol)を用い、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに2−フルオロアニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率68.4%(29.3mg,80.0μmol)。
1H NMR (DMSO-d6)δ 2.28 (s, 3H), 7.15-7.34 (m, 6H), 7.43-7.48 (m, 2H), 7.82-7.88 (m, 3H), 9.96 (s, 1H), 10.31 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 389.1071 (C21H16F2N2NaO2 +として算出、389.1072, [M+Na]+).
<実施例41>
11Cで標識された化合物CBT−078(化合物[11C]CBT−078)の製造
化合物[11C]CBT−078の製造は、国際公開第2008/023780号明細書およびChem.Eur.J.2009,15,4165−4171を参考にして行った。
反応容器1および2を用意した。反応はオーブンドライした器具を用い、反応開始前に前記反応容器1および2を250℃で加熱しながら流速400mL/分のヘリウムガスを流すことで、流路を乾燥させた。乾燥終了後、反応容器1は−10℃まで、反応容器2は室温まで冷却し、反応容器2へ実施例28で製造した化合物CBT−098(1.3mg,2.7μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(2.0mg,2.2μmol)、オルトトリルホスフィン(2.0mg,6.6μmol)、および炭酸カリウム(1.2mg,8.7μmol)を溶解したテトラヒドロフラン溶液(300μL)を導入した。[11C]二酸化炭素の製造完了の約2分前に反応容器1内に水素化リチウムアルミニウムヒドリドのテトラヒドロフラン溶液(0.1mmol/L,400μL,ABXGmbH,802.0001)を導入した。
微量の酸素(0.5%)を包含する窒素混合ガスに対して、住友重機械工業製サイクロトロン(CYPRIS HM−12S)を用いてプロトンレーザー(50μA)を52分間照射することで、[11C]二酸化炭素(約40GBq)を合成した。合成した[11C]二酸化炭素を酸素含有窒素ガス(酸素0.5%、流速400mL/分)で自動合成装置に移送し、反応容器1の溶液内にバブリングした。反応容器1に隣接するRI検出器の値が最大値を示したことを確認した後、バブリングを停止した。反応容器1を200℃に加熱し、ヘリウムガス(流速200mL/分)を90秒間流すことで、反応容器1内のテトラヒドロフランを留去した。反応容器を室温まで冷却した後、反応容器1にヨウ化水素酸(55%,500μL)を加えた。この反応容器1を200℃に加熱し、[11C]ヨウ化メチルを合成した。加熱したままヘリウムガス(流速30mL/分)を流し、すでに導入済みの反応容器2の溶液内にバブリングすることで、[11C]ヨウ化メチルを反応容器2へ蒸留移送した。この際、反応容器間にアスカライト(1.6g,Thomas Scientific,Inc,C049U90)とシカペント(2.0g,Merck,1.00543.0500)を充填したカラム(内径:140mm)を設置し、[11C]ヨウ化メチル以外の水分やヨウ化水素など、未反応の[11C]二酸化炭素などを除去した。反応容器2に隣接するRI検出器の値が最大値を示したことを確認した後、バブリングを停止し、反応容器2を65℃で5分間加熱した。反応終了後、アセトニトリル(500μL)および水(500μL)の混合溶媒を反応容器2に導入し、得られた混合物をメンブレンフィルター(PVDF製、0.2μm,直径13mm,GE Healthcare Life Science,6779−1302)でろ過した後、セミ分取HPLCに導入した。HPLC付属のUVセンサー、RI検出器を参照し、化合物[11C]CBT−078が含まれる画分を分取した。この画分をホットセル内に設置されたエバポレーターに取り付けたフラスコへ移送し、減圧下加熱することで3分間減圧留去した。フラスコ内を常温常圧にした後、投与用希釈溶液(生理食塩水:プロピレングリコール:Tween80=100:10:1,1mL)と生理食塩水(1mL)をフラスコ内に導入し、40秒間回転攪拌した。得られた溶液をメンブレンフィルター(PVDF製、0.45μm,直径33mm,Merck,SLHV033NB)を透過させつつ投与バイアルに移送することで、化合物[11C]CBT−078の溶液を取得した。
得られた化合物[11C]CBT−078溶液の総放射能量はドーズキャリブレーター(CAPINTEC,Inc.,5130−3235)で測定した。また純度検定は、UV検出器とRI検出器を備えたHPLCを用いて行った。さらに、得られた溶液の密度を1g/mLとして、HPLCにおける化合物[11C]CBT−078のUV吸収量からその濃度を計算し、総放射能量との比を計算することで、非放射能を算出した。セミ分取、純度検定におけるHPLCの詳細な分析条件とその結果の例を以下に示す。
[セミ分取HPLCの条件]
カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II(ナカライテスク)10×20mmと10×250mmを連結して使用;
流速:5mL/分;移動相:アセトニトリル/H2O=50:50;
UV検出波長:254nm;保持時間:12.5分。
[分析HPLCの条件]
カラム:
COSMOSIL 5C18−MS−II(ナカライテスク)4.6×150mm;
流速:1mL/分;移動相:アセトニトリル/H2O=55:45
UV検出波長:254nm;保持時間:6.1分。
[[11C]CBT−078溶液の分析結果([11C]二酸化炭素合成後35分経過時のデータ)]
総放射能量:1501MBq;比放射能:108.5GBq/μmol;溶液の体積:1.9mL;
[11C]CBT−078の重量濃度:2.7μg/mL;溶液のpH:7.0
化学純度:93.0%;放射化学純度:99.3%。
<実施例42>
11Cで標識された化合物CBT−039(化合物[11C]CBT−039)の製造
化合物CBT−098の代わりに化合物CBT−122(1.2mg,2.7μmol)を用いて、実施例41と同様に行って、化合物[11C]CBT−039を得た。
なお、化合物CBT−122は、2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)の代わりに3−(フェニルカルバモイル)安息香酸(51.3mg,0.213mmol)を、4−フルオロ−2−メチルアニリンの代わりに4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンを用い、反応温度を室温の代わりに50℃にした以外は実施例2に従い、製造した。収率40.1%(37.7mg,0.0852mmol)。
1H NMR (DMSO-d6) δ1.26 (s, 12H), 7.08−7.24 (m, 2H), 7.33−7.43 (m, 3H), 7.56 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.62−7.87 (m, 4H), 8.15−8.26 (br s, 1H), 8.24 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.62 (s, 1H), 10.49 (s, 1H), 11.56 (br s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 443.2136 (C26H28O4N2B+として算出, 443.2137 ,[M+H]+).
[セミ分取HPLCの条件]
カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II(ナカライテスク)10×20mmと10×250mmを連結して使用;
流速:5mL/分;移動相:アセトニトリル/H2O=50:50;
UV検出波長:254nm;保持時間:9.8分。
[分析HPLCの条件]
カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II(ナカライテスク)4.6×150mm;
流速:1mL/分;移動相:アセトニトリル/H2O=55:45
UV検出波長:254nm;保持時間:6.1分。
化合物[11C]CBT−039溶液の分析結果([11C]二酸化炭素合成後32分経過時のデータ)
総放射能量:1049MBq;比放射能:50.0GBq/μmol;溶液の体積:1.7mL;
[11C]CBT−039の重量濃度:4.5μg/mL;溶液のpH:7.0
化学純度:96.1%;放射化学純度:>99%。
<実施例43>
18Fで標識された化合物CBT−078(化合物[18F]CBT−078)の製造
化合物[18F]CBT−078の製造は、Chem.Commun.2016,52,8361−8364並びにOrg.Lett.2015,17,5780−5783を参考にして行った。
密閉バイアルおよび反応用Vバイアルを用意した。反応はオーブンドライした器具を用い、反応開始前に反応容器を150℃で加熱しながら減圧、ヘリウムガスでの加圧を繰り返すことで流路を乾燥させた。
化合物CBT−140(1.9mg,4.0μmol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(300μL)およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(7.2mg,20μmol)、ピリジン(80.5μL,1.00mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(300μL)は[18F]フッ化物イオンの製造完了の10分前に調製した。
[18O]H2O(2mL,18O:>98atom%,Taiyo Nippon Sanso Corp.,F03−0027)に対して、住友重機械工業製サイクロトロン(CYPRIS HM−12S)を用いてプロトンレーザー(35μA)を40分間照射することで、[18F]フッ化物イオン(約40GBq)を合成した。合成した[18F]フッ化物イオンを標識用合成装置内部に設置した密閉バイアル内に移送した。密閉バイアルに隣接するRI検出器の値が最大値を示したことを確認した後、密閉バイアルを流速500mL/分の窒素ガスで加圧することで[18F]フッ化物イオンを含む[18O]H2Oを移送し、イオン交換樹脂(Waters,186004540)中を通過させ[18F]フッ化物イオンを捕捉した。イオン交換樹脂に隣接するRI検出器の値が最大値を示したことを確認した後、窒素ガスでの加圧を停止し、イオン交換樹脂に吸着した[18F]フッ化物イオンをトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(5mg)、炭酸カリウム(50μg)を含む水溶液(500μL)とアセトニトリル(1000μL)の混合溶媒で溶出しつつ、反応用Vバイアル内に移送した。溶出した[18F]フッ化カリウム溶液を、130℃で5分間減圧し、水を留去した。残存した少量の溶液にアセトニトリル(300μL)を加え、150℃で5分間減圧し、水分を共沸した。これをもう一度繰り返し、反応用Vバイアル内にて無水[18F]フッ化カリウムを調製した。反応用Vバイアル内にCBT−140(1.9mg,4.0μmol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(300μL)を導入し、130℃で5分間加熱した。続いてVバイアルを室温まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(7.2mg,20μmol)とピリジン(80.5μL,1.00mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(300μL)溶液を導入し、130℃で20分間加熱した。Vバイアルを室温まで冷却した後、アセトニトリル(500μL)と水(500μL)の混合溶媒をVバイアル内に導入し、得られた混合物をメンブレンフィルター(PVDF製、0.2μm,直径13mm,GE Healthcare Life Science,6779−1302)でろ過した後、セミ分取HPLCに導入した。HPLC付属のUVセンサー、RI検出器を参照し、化合物[18F]CBT−078が含まれる画分を分取した。この画分をホットセル内に設置されたエバポレーターに取り付けたフラスコへ移送し、減圧下加熱することで3分間減圧留去した。フラスコ内を常温常圧にした後、投与用希釈溶液(生理食塩水:プロピレングリコール:Tween80=100:10:1,1mL)と生理食塩水(1mL)をフラスコ内に導入し、40秒間回転攪拌した。得られた溶液をメンブレンフィルター(PVDF製、0.45μm,直径33mm,Merck,SLHV033NB)を透過させつつ投与バイアルに移送することで、化合物[18F]CBT−078の溶液を取得した。
得られた化合物[18F]CBT−078の溶液の総放射能量はドーズキャリブレーター(CAPINTEC,Inc.,5130−3235)で測定した。また純度検定は、UV検出器とRI検出器を備えたHPLCを用いて行った。さらに、得られた溶液の密度を1g/mLとして、HPLCにおける化合物[18F]CBT−078のUV吸収量からその濃度を計算し、総放射能量との比を計算することで、非放射能を算出した。セミ分取、純度検定におけるHPLCの詳細な分析条件とその結果の例を以下に示す。
[セミ分取HPLCの条件]
カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II(ナカライテスク)10×20mmと10×250mmを連結して使用;
流速:5mL/分;移動相:アセトニトリル/H2O=48:52;
UV検出波長:254nm;保持時間:18.1分。
[分析HPLCの条件]
カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II(ナカライテスク)4.6×150mm;
流速:1mL/分;移動相:アセトニトリル/H2O=55:45
UV検出波長:254nm;保持時間:5.9分。
[[18F]CBT−078溶液の分析結果([18F]フッ化物イオン合成後81分経過時のデータ)]
総放射能量:972MBq;比放射能:89.4GBq/μmol;溶液の体積:3.7mL;
[18F]CBT−078の重量濃度:1.1μg/mL;
化学純度:94.5%;放射化学純度:96.7%。
なお、化合物CBT−140は、製造例3の工程3において得られた2−フルオロ−3−(o−トリルカルバモイル)安息香酸(10)(173mg,0.633mmol)と、4−フルオロアニリンの代わりに4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンを用いた以外は実施例1に従い、製造した。収率59.9%(180mg,0.379mmol)。
1H NMR (DMSO-d6) δ1.30 (s, 12H), 2.28 (s, 3H), 7.14−7.31 (m, 3H), 7.41−7.50 (m, 2H), 7.64−7.70 (AA′BB′, 2H), 7.73−7.78 (AA′BB′, 2H), 7.78−7.90 (m, 2H), 9.94 (s, 1H), 10.67 (s, 1H);
HRMS (ESI+) m/z 475.2197 (C27H29O4N2BF+として算出, 475.2199,[M+H]+).
<HBV複製活性評価方法の確立>
HBV複製活性評価方法
(方法)
(1)HBV複製活性評価ベクター(pBB−intron)の作製
ジェノタイプCのHBV pgRNAにおける第1DR1配列および第1ε配列を含む5’末端の99塩基(HBV pgRNAの32位〜130位に相当)と、DR2配列、第2DR1配列および第2ε配列を含む3’末端の349塩基(HBV pgRNAの3013位〜3215位および1位〜146位に相当)の間、すなわち第1ε/DR2配列(HBV pgRNAの131位〜3012位に相当)を、イントロンを含む320塩基のレポーター配列と置換して、本発明の第7態様に記載の配列番号1で示すHBV複製活性評価核酸を作成した(図1A)。このレポーター配列は、pCRE−MetLuc2ベクター(Clontech社)の483部位〜453部位(31塩基対)、pCIベクター(Promega社)の857部位〜989部位(133塩基対)及びpCRE−MetLuc2ベクターの452部位〜337部位(116塩基対)の塩基配列に由来する。
作成したHBV複製活性評価核酸の上流にCMVプロモーター(742塩基対)及びTATA−box(46塩基対)を、下流には合成polyAシグナル配列(49塩基対)挿入し、これら全ての配列をpCIベクターのバックボーン(ファージf1オリジン、アンピシリン耐性遺伝子および複製起点のみを含む)に挿入して本発明の第8態様に記載のHBV複製活性評価ベクターであるpBB−intronを作製した(図2A)。
このHBV複製活性評価ベクターを宿主細胞に導入すると、宿主細胞のRNA−pol IIによってmRNAが合成される。このmRNAは、pre−mRNAとして合成された後、レポーター配列中のイントロンが宿主細胞内でpre−mRNAスプライシングによって直ちに除去される。イントロンがスプライスアウトされた成熟mRNAがレポーターpgRNAに相当する(図1B)。レポーターpgRNAは、次述のHBV−P発現ベクター、HBc発現ベクター、そしてHBx発現ベクターから発現されるHBV−Pol、HBc、およびHBxの働きによって逆転写されることによって、元のHBV複製活性評価ベクターのレポーター配列とは異なる、すなわちイントロンが除去されたレポーター配列を含むレポーターマイナス鎖DNAが合成される(図1C)。
(2)HBV−P発現ベクターの(pCI−HBV−P)作製
HBVの配列番号4で示すP遺伝子に基づいて人工的に設計された配列番号5で示す配列をpCIベクター(Promega社)のCMVプロモーター制御下に挿入して本発明における第8態様に記載のHBV−P発現ベクターであるpCI−HBV−Pを作製した(図2B)。
(3)HBc発現ベクター(pCI−HBc)の作製
HBVの配列番号2で示すC遺伝子に基づいて人工的に設計された配列番号3で示す配列をpCIベクター(Promega社)のCMVプロモーター制御下に挿入して本発明の第8態様に記載のHBV−C発現ベクターであるpCI−HBcを作製した(図2C)。
(4)HBx発現ベクター(pCI−HBx)の作製
HBVの配列番号6で示すX遺伝子に基づいて人工的に設計された配列番号7で示す配列をpCIベクター(Promega社)のCMVプロモーター制御下に挿入して本発明の第8態様に記載のHBx発現ベクターであるpCI−HBcを作製した(図2D)。
(5)HBV複製活性評価方法
HeLa細胞にHBV複製活性評価ベクターと、HBV−P発現ベクター、HBc発現ベクターおよびHBx発現ベクターを様々な組み合わせで導入した(導入工程)。組み合わせのパターンは、図3Aに記載のとおりである。HeLa細胞への遺伝子導入には、エレクトロポレーション法を用いた。エレクトロポレーターNepa21(ネッパジーン社)により、10μgのDNAを125V/2.5ms plus lengthの条件で、約1×106個のHeLa細胞に導入した。HBc発現ベクター:HBV−P発現ベクター:HBx発現ベクターの比率は9:3:1とし、組み合わせにより導入しない発現ベクターがある場合には、その導入しない発現ベクターと同比率の空ベクター(pCI)を導入した。HBV複製活性評価ベクターと他の発現ベクターの総和の比率は、1:1(5μg:5μg)とし、導入しない発現ベクターについては、その比率分のpCIを導入した。
さらに、逆転写されたレポーターマイナス鎖DNAの量が、細胞内におけるHBc、HBV−Pol、およびHBxの機能を反映しているか否かを確認するために、HBc/HBV−P/HBxの各発現ベクターの比率(HBc:HBV−P:HBx=9:3:1)を変えずに、HBV複製活性評価ベクター:HBc/HBV−P/HBx発現ベクターの比率を1:0(5μg:pCI5μg)、1:0.004(5μg:0.02μg)、1:0.016(5μg:0.08μg)、1:0.062(5μg:0.31μg)、1:0.25(5μg:1.25μg)、および1:1(5μg:5μg)と段階的に変化させた際の、逆転写反応への影響をレポーターマイナス鎖DNA量により解析した。
遺伝子導入後のHeLa細胞は、2mLの10%FBS添加したDMEMで5%CO2存在下にて37℃で48時間培養した(培養工程)。
培養後、HeLa細胞からDNeasy Mini(Qiagen社)用いてDNA抽出した。プライマーには、配列番号8で示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号9で示す塩基配列からなるリバースプライマーのプライマーペアを用いた。このフォワードプライマーは3’末端の2塩基が下流側のエクソンにおける5’末端の2塩基に一致するが、イントロンの5’末端の2塩基とは一致しない。したがって、イントロンが除去されたレポーター配列を有するレポーターマイナス鎖DNAが存在する場合にのみプライマーとして機能し、レポーターマイナス鎖DNAを鋳型として131塩基のDNA断片が増幅される。
また、図3Aに記載の組み合わせで各発現ベクターを導入した細胞由来のDNAについて、PCR後のPCR産物を2%アガロースゲルで泳動分離し、エチジウムブロマイドで染色した。
さらに、検量線の作成のために、HBc:HBV−P:HBxの各発現ベクターの比率が9:3:1、かつHBV複製活性評価ベクター:HBc/HBV−P/HBx発現ベクターの比率が1:1になるように、導入したHeLa細胞由来のDNAを段階希釈して、鋳型DNAを調製し、リアルタイムPCRを行った。
(結果)
図3に結果を示す。
図3Aは、各組み合わせで発現ベクターを導入した細胞に由来するPCR産物を2%アガロースゲル電気泳動後、エチジウムブロマイドで染色した結果である。CはC遺伝子を含むHBc発現ベクターを、PはP遺伝子を含むHBV−P発現ベクターを、そしてXはX遺伝子を含むHBx発現ベクターを示す。+はHeLa細胞への導入を、−は未導入を示す。レポーターマイナス鎖DNAに由来する131bpのPCR産物は、HBc発現ベクター及びHBV−P発現ベクターを導入したときにのみ認められた。よって、pgRNAの逆転写には、HBc及びHVP−Polが必須であることが明らかとなった。また、HBxは、pgRNAの逆転写に必須ではないものの、HbcとHBV−Polによる逆転写を著しく促進することが確認された。
図3Bは、段階希釈したDNAのリアルタイムPCRの結果により作成した検量線である。この図が示すように、R2=0.9996の精密な検量線が得られ、逆転写されたレポーターマイナス鎖DNAの量はリアルタイムPCRによって定量可能であることが立証された。
図3Cは、リアルタイムPCRとBの検量線を用いた定量解析結果である。上記Aで用いたDNAサンプルをリアルタイムPCRで増幅した後、上記Bで示す検量線で定量解析した結果である。Aのアガロースゲル電気泳動による解析結果とほぼ同様の結果が得られた。
図3Dは、HBVタンパク質(HBc、HBV−P、HBx)の発言量とHBV DNA複製、すなわちレポーターマイナス鎖DNAの量との相関を示す図である。pgRNAの逆転写は、HBVタンパク質の発現量に従って指数関数的に増加した。この結果から、このHBV複製活性評価システムを用いたHBV複製活性評価方法によれば、宿主細胞内のHBVタンパク質の働きを反映し、逆転写の活性、すなわち、複製の活性を測定し、定量化できることが明らかとなった。
<HBV複製活性評価>
前記HBV複製活性評価システムを用いて、サンプルの効果を検証した。
(方法)
前記HBV複製活性評価方法に準じて、HeLa細胞にHBV複製活性評価ベクターと、HBV−P発現ベクター、HBc発現ベクター及びHBx発現ベクターを導入した。HBc:HBV−P:HBxの各発現ベクターの導入比率は9:3:1とし、HBV複製活性評価ベクターとHBc+HBV−P+HBxの発現ベクターの導入比率は、1:1(5μg:5μg)とした。導入工程後のHeLa細胞に2mLの10%FBS添加したDMEMを加え、0.1mL/wellで96well−plateに分注した後、各培地に0.04μg/well、0.08μg/well、0.16μg/well、0.31μg/well、0.63μg/well、1.25μg/well、2.50μg/well、及び5.00μg/wellのサンプルを加え、5%CO2存在下にて37℃で24時間培養した。
培養後、各ウェルに2% NP−40/Proteinase Kを加えてHeLa細胞からDNAを抽出し、前記HBV複製活性評価方法に準じてリアルタイムPCRを行った。
(結果)
リアルタイムPCRで増幅した後、前記HBV複製活性評価方法で作成した検量線で、レポーターマイナス鎖DNAを定量解析し、EC50を算出した。得られた結果を以下の表2〜表5に示す。
前記HBV複製活性測定方法により、サンプルとしての実施例1〜40において得られた化合物、およびHBV1106、化合物CBT−188、化合物CBT−039、化合物CBT−083について、得られたEC
50の結果を以下の表に示す。以下の公知化合物については、下記CAS登録番号の下の公知文献に従い、製造した。
表2に示すように、式(XI)の化合物は、HBV複製阻害活性を有する。
表3に示すように、式(XII)の化合物は、HBV複製阻害活性を有する。
表4に示すように、式(XIII)の化合物は、HBV複製阻害活性を有する。
表5に示すように、式(XIV)の化合物は、HBV複製阻害活性を有する。
<HBc発現モデルマウスを用いた化合物[11C]CBT−078によるPET撮像>
実施例41で製造した化合物[11C]CBT−078の体内動態、排泄挙動、HBc発現肝組織に対する集積性とイメージングによる描出能について検討するため、HBc発現モデルマウスを用いたPETイメージング試験を実施した。全ての動物実験は国立研究開発法人理化学研究所の動物実験に関するガイドラインに則り、研究計画について同研究所倫理委員会の承認を得て、法令に遵守し実施した。
・HBc発現モデルマウスの作成
HBc発現モデルマウスはBALB/cマウスに対しHBcタンパク質のみをコードする発現ベクターpCI−HBcをハイドロダイナミックインジェクション法による遺伝子導入を行い作成した。使用したpCI−HBcの塩基配列については配列番号10に示す。[YK1]pCI−HBcは6週齢雄のBALB/cマウスに対し体重の10%相当のPBS溶液を使用した。これは例えば体重20gの場合2mlのpCI−HBc/PBS溶液を投与する。投与の際、マウスは体温維持のためホットパッド上でイソフルラン麻酔下におき、テルモ26G針及び2.5mlディスポーザブルシリンジを用いて尾静脈より上記の溶液を5秒間かけてほぼ等速で投与しハイドロダイナミックインジェクションを行った。投与後のマウスは速やかにケージに戻し、回復させた。pCI−HBcは投与溶液量+100μl(デッドボリューム分)のPBS溶液に溶解し、ミキサーで混合後、全量をシリンジに取り時間を置かず投与に使用した。マウスは投与後約24時間で解剖に供し、肝組織を採取した。肝組織は一部は凍結組織切片作成に使用し、また一部は組織ライセート溶液作成に使用した。HBc発現は凍結切片の免疫組織化学染色と血漿、肝ライセート溶液を使用したELISA分析により評価した。
免疫組織化学染色はM.O.M Immunodetection kit(VECTOR)を使用し、1次抗体にAnti−Hepatitis B Virus Core Antigen抗体(Abcam,ab8638)、二次抗体にM.O.M Biotinylated anti−mIgGを使用し、Vectastain ABC−AP(VECTOR)を反応後AP基質により発色し、ヘマトキシリンで核染色した。肝組織切片の染色像を図4に示す。pCI−HBc投与により切片全体に薄く染色されるHBcタンパク質の発現が確認された。さらに斑点状の濃染色部分が見られ、これはHBcタンパク質の多量体化によるものと思われる。
ELISA分析には市販のHBc ELISA kit(QuickTiter(登録商標) HBV Core Antigen ELISA Kit, CELL BIOLABS, INC)を使用した。投与するpCI−HBc量によるHBc発現量の変化を比較するため、10、20、40、80μgのpCI−HBc投与量で肝ライセート中HBc濃度の比較を行った。またハイドロダイナミック法による肝組織損傷の可能性を確認するため肝ライセート中CRP濃度についてもMouse High−Sensitive CRP ELISA kit (KAMIYA Biomedical Company)を用いて測定を行った。図5に示すようにELISAにより算出した投与量ごとのHBc発現濃度の比較により40μgのpCI−HBc投与群で最も高いHBc発現濃度が見られた。pCI−HBc投与量が過剰になると逆にHBc発現量が減少した。一方でCRP濃度にはpCI−HBcを投与しないVehicle群(PBSのみ投与)と大きな差はなく、肝組織への損傷はないと思われる。
これらの結果より、PET試験に用いるHBc発現モデルマウスはHBc濃度の高かったpCI−HBc40μgをハイドロダイナミックインジェクション法により投与し24時間後のものを使用することとした。
・PETイメージング試験
化合物[11C]CBT−078のPET撮像は上記HBc発現モデルマウスを用いて実施した。さらに化合物[11C]CBT−078の集積挙動のHBc特異性を明らかにするため、対照群としてPBSのみをハイドロダイナミックインジェクションしたVehicle群及びHBc発現マウスに非標識化合物CBT−078を投与した競合阻害(Blocking)群についてもPET撮像を行うこととした。HBc発現群4匹、Vehicle群3匹、Blocking群3匹を使用した。さらに、ネガティブコントロールとして[11C]CBT−039を用いたHBc発現群3匹及びVehicle群3匹の撮像も行った。
PET撮像は動物用PET撮像装置MicroPET Focus 220(SIEMENS)を使用し、イソフルラン麻酔下にて、直腸検温プローブとホットパッドにより体温を維持しながら実施した。あらかじめ尾静脈に留置したカテーテルを用い、化合物[11C]CBT−078または化合物[11C]CBT−039の投与と同時にPET撮像を開始し、90分間のデータ収集を行った。撮像時のマウスの平均体重は19.0±1.1gで各マウスに化合物[11C]CBT−078は約47MBq(≒267ng)、化合物[11C]CBT−039は約39MBq(≒356ng)を投与した。Blocking群においては非標識化合物CBT−078はジメチルスルホキシドに100μg/μlの濃度で溶解した後、1μlを10%2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンと10%ポリエチレングリコール300の混合溶液1mlに加え、100μl(=10μg)を化合物[11C]CBT−078投与10分前に投与した(化合物[11C]CBT−078のおよそ37倍当量)。マウスはPET撮像終了後速やかに解剖に供し、血液、各臓器を採取し、秤量後、ガンマカウンターによる放射能測定を行った。また撮像により収集したデータは画像再構成後、PET画像解析ソフトウェアASIPro VMを用いて肝臓の集積を解析した。この際、肝臓の右葉部分の一部のみに関心領域VOI(Volume of Interest)を設定することで大血管、胆のう・腸内の放射能分布の変化による影響を可能な限り排除して解析を行った。
得られたPET画像の結果を図6に、画像解析による肝臓内の時間放射能曲線を図7に示す。また解剖試料の放射能測定による組織放射能分布の解析結果を図8に示す。PET画像の結果で見て取れるように、化合物[11C]CBT−078、化合物[11C]CBT−039ともに肝臓・胆汁を介した腸管排泄と尿排泄により体内から排泄されることが明らかとなった。化合物[11C]CBT−078の撮像結果においては投与1時間後の時点でHBc発現群の肝臓に顕著に高い集積が見られ、その集積はVehicle群では見られず、Blocking群ではVehicle群よりはやや高いながら、HBc発現群と比較し著しく低下した集積を示した。化合物[11C]CBT−039の撮像結果では化合物[11C]CBT−078に比べ肝臓への集積は低く、HBc発現群とVehicle群に差は見られなかった。化合物[11C]CBT−039投与群では化合物[11C]CBT−078投与群に比べマウスの輪郭が見えないほど全身の集積が少なく、一方で明確な胆のうの描出が見られており、より速くクリアランスされると考えられる。図7に示す肝臓内の時間放射能曲線の結果からも化合物[11C]CBT−078投与群と化合物[11C]CBT−039投与群のクリアランス速度の違いは明らかである。化合物[11C]CBT−078の肝集積は投与直後に最大値を迎えた後、投与後90分の時点まで徐々に減少しており、HBcとの結合により化合物[11C]CBT−078の排泄が阻害され肝臓内の滞留時間が延長しているものと思われる。Blocking群においては投与後早期の集積濃度はVehicle群と差がないのに対し、時間が経過するにつれVehicle群よりも高い値を示す様になる。これも、HBcとの反応により排泄速度が低下していることが原因と思われる。化合物CBT−078が難溶性であり、Blockingのための投与量が十分でないためにVehicle群との差が生じたと考えられる。化合物[11C]CBT−039の結果ではHBc発現群とVehicle群に差は見られず、化合物[11C]CBT−078に比べ迅速に排泄され投与後90分の時点でほぼ横ばいとなっている。図8に示す組織放射能分布の結果では化合物[11C]CBT−078においては尿、胆のう、腸管を除く全ての部位で肝臓の時間放射能曲線同様の差、即ちHBc群>Blocking群>Vehicle群となる集積差が見られた。一方化合物[11C]CBT−039においてはHBc群とVehicle群の臓器集積に大きな差は見られなかった。
化合物[11C]CBT−078の結果からHBc発現群では肝臓に顕著な集積が見られ、その集積がVehicle群、Blocking群で減少することから特異的集積であることが強く示唆された。しかし一方で、Vehicle群においても若干の肝集積が見られており、ハイドロダイナミックインジェクション法によるHBc発現操作が肝胆排泄経路に影響を与え、化合物[11C]CBT−078の肝組織への滞留時間延長に寄与した可能性が懸念される。しかし、よく似た構造を持つ化合物[11C]CBT−039の結果ではHBc発現群とVehicle群の組織放射能分布に大きな差は見られず、HBc発現操作による肝胆排泄経路への影響はほとんどないものと示唆された。これにより、化合物[11C]CBT−078のHBc発現肝への集積が特異的な結合によるものであることがより明確となった。以上の結果より、化合物[11C]CBT−078がHBc発現肝に特異的に集積することを明らかにし、PETイメージングによるHBc発現肝臓の描出に成功した。