JP2019112211A - 糸継装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性糸を糸継ぎする場合の失敗を抑制した糸継装置を提供する。【解決手段】糸継装置41は、解撚パイプ66と、撚掛部材63と、屈曲ガイド部材81と、を備える。解撚パイプ66は、内部に入った糸端に空気流を作用させて当該糸端を解撚させる。撚掛部材63には、解撚された前記糸端同士に空気流を作用させることで糸継ぎを行う旋回室67が形成されている。屈曲ガイド部材81には、解撚パイプ66から引き出された前記糸端が旋回室67に到達する前に案内する案内面83が形成される。解撚パイプ66の長手方向で見たときに、案内面83は、旋回室67の開口の開口面67fに対して0°よりも大きい角度θをなして当該解撚パイプ66から延びるように配置される。角度θは、解撚パイプ66の中心と、前記開口のうち当該解撚パイプに最も近い端部と、を結ぶ仮想直線L1が開口面67fに対してなす角度φよりも小さい。【選択図】図8

Description

本発明は、糸を解撚して撚り合わせる糸継装置に関する。
従来から、紡績機等の糸巻取機に設けられ、巻取り中の糸が何らかの理由で分断状態になった場合に、分断された糸の糸端同士を接合する糸継装置が知られている。特許文献1は、この種の糸継装置を開示する。
特許文献1は、一対の解撚パイプと、糸継ぎ部材と、を備える糸継装置を開示する。一対の解撚パイプそれぞれには、その開口縁に、180°間隔で互いに対向している一対のスリットが形成されている。また、各解撚パイプの内側には、奥方向に空気を噴射する空気噴射孔が形成されている。
この糸継装置は、糸端を解撚パイプに設けられた一対のスリットに配置させることによって、スリット内で糸を保持する。これにより、特許文献1は、糸の脱落を防止して確実な解撚を行うことができるので、確実な糸継ぎを行うことができるとする。
実開平2−2365号公報
しかし、上記特許文献1の糸継装置に、例えば、弾性を有する芯糸と、当該芯糸を被覆する非弾性の被覆糸と、を有する糸(弾性糸)の糸継を行わせた場合、芯糸が伸縮することによって、糸端の糸継ぎ孔への案内に失敗することがあった。また、芯糸が縮むことによって、被覆糸だけが糸継ぎ孔に案内されることがあり、芯糸が抜けた状態で被覆糸同士が糸継されることがあった。従って、特許文献1に開示する糸継装置には、伸縮性を有する糸の糸継をより正確に行うという点で改善の余地があった。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、伸縮性を有する糸に関して、糸継に失敗することを抑制した糸継装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の糸継装置が提供される。即ち、この糸継装置は、解撚パイプと、糸継部と、糸案内部と、を備える。前記解撚パイプは、細長い中空状の部材として構成され、その内部に入った糸端に空気流を作用させることによって当該糸端を解撚させる。前記糸継部は、解撚された前記糸端同士に空気流を作用させることによって糸継ぎを行う空気室が形成されている。前記糸案内部は、前記解撚パイプから引き出された前記糸端が前記空気室に到達する前に案内する案内面が形成されている。前記糸継部には、前記解撚パイプから引き出された糸端が前記空気室に引き込まれる開口が形成される。前記解撚パイプの長手方向で見たときに、前記案内面は、前記開口の開口面に対して0°よりも大きい角度をなして当該解撚パイプから延びるように配置される。前記角度は、前記解撚パイプの中心と、前記開口のうち当該解撚パイプに最も近い端部と、を結ぶ仮想直線が前記開口面に対してなす角度よりも小さい角度である。
これにより、弾性を有する糸を糸継ぎする場合でも、糸案内部は、糸を案内面の端部で屈曲させながら空気室に案内することができる。従って、糸を解撚パイプから引き出す過程で、屈曲部分での摩擦により、糸に急激な縮みが発生することを抑制することができる。その結果、糸端を空気室に確実に案内することができるので、糸継ぎの失敗を回避することができる。また、糸の屈曲により摩擦を発生させるため、糸をスリットで挟み込むことで縮みに抗する構成と比較して、糸の太さによって摩擦力のバラつきが生じることがなく、糸の縮みを安定して抑えることができる。
前記の糸継装置においては、前記案内面は、前記開口の開口面に対して、0°よりも大きく45°以下の角度をなすように配置されていることが好ましい。
これにより、糸を比較的大きく屈曲させることで、糸の急激な縮みを抑制するのに十分な摩擦力を得ることができる。
前記の糸継装置においては、前記案内面は、前記開口の開口面に対して、20°以上かつ45°以下の角度をなすように配置されていることが好ましい。
これにより、糸の縮みを抑制する摩擦力の大きさと、糸の滑らかな引出しと、を両立させることができる。
前記の糸継装置においては、前記案内面は、前記糸案内部に形成された案内溝の一側の内壁面として構成されていることが好ましい。
これにより、糸を溝に入れた状態で案内するため、解撚パイプから糸を引き出すときの経路を安定させることができる。この結果、糸に屈曲点を安定的に形成しながら引き出すことができる。
前記の糸継装置においては、前記糸案内部には、前記解撚パイプに糸端が引き込まれる糸に当たって当該糸を前記案内面に導く引込案内面が、前記案内面に接続するように形成されていることが好ましい。
これにより、解撚パイプによる引き込みを利用して糸を案内面に円滑に導くことで、糸を確実に屈曲させることができる。
前記の糸継装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸案内部は、前記解撚パイプの内部と接続される貫通孔を備える。前記案内壁は、前記貫通孔の内壁に接続している。
これにより、貫通孔を通じて解撚パイプに糸端が吸い込まれる糸を、案内面によって適切に案内することができる。
本発明の第2の観点によれば、前記の糸継装置を備える繊維機械が提供される。
これにより、弾性を有する糸を良好に糸継ぎできる繊維機械を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るワインダユニットの全体的な構成を示す側面図。 糸継装置を示す斜視図。 糸が分断された場合に、糸継装置に上側の糸及び下側の糸が案内された状態を示す模式的な側面断面図。 図3の状態から糸寄せレバーにより上側の糸及び下側の糸が寄せられた様子を示す模式的な側面断面図。 図4の状態から上側の糸及び下側の糸が切断され、解撚パイプによる糸端の解撚が行われている様子を示す糸継装置の模式的な側面断面図。 図5の状態から糸寄せレバーにより糸端が解撚パイプから引き出され、第1撚掛部材によって糸端の撚掛けが行われている様子を示す糸継装置の模式的な側面断面図。 糸継装置に取り付けられた屈曲ガイド部材を示す斜視図。 屈曲ガイド部材の案内溝の角度と糸同士の接触を説明するための図。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る糸継装置を備えるワインダユニット1の全体的な構成を示す側面図である。図2は、糸継装置41を示す斜視図である。
本実施形態の自動ワインダ(繊維機械)は、図1に示すワインダユニット1を複数並べて備える。それぞれのワインダユニット1は、給糸ボビン20から糸21を解舒して、巻取ボビン22に糸21を巻き取るように構成されている。なお、巻取ボビン22に糸21が巻き取られた状態のものを、パッケージ23と呼ぶ。以下の説明において「上流側」「下流側」というときには、糸21の走行方向での上流側及び下流側をいうものとする。
ワインダユニット1は、本体フレーム24と、給糸部25と、巻取部26と、を主として備えている。
本体フレーム24は、ワインダユニット1の骨格を形成する部材である。ワインダユニット1が備える構成の大部分は、この本体フレーム24に直接的又は間接的に支持されている。
給糸部25は、糸21を供給するための給糸ボビン20を保持する。給糸部25は、例えば、給糸ボビン20を略直立状態で保持する保持部とすることができる。給糸ボビン20は、例えば、上述のスパンデックス糸を巻いたものとすることができる。
巻取部26は、クレードル28と、巻取ドラム29と、を備えている。クレードル28は、巻取ボビン22の周面を巻取ドラム29の周面に接触させた状態で、巻取ボビン22を回転可能に支持することができる。巻取ドラム29は、巻取ボビン22に対向して配置され、図略の巻取ドラム駆動モータによって回転駆動される。図示しないが、巻取ドラム29の周面には、巻取ボビン22に巻取される糸21をトラバース(綾振り)するための往復螺旋状の綾振溝が形成されている。
この構成で、巻取ボビン22の周面を巻取ドラム29に接触させた状態で、巻取ドラム29を回転駆動させることによって、クレードル28に回転支持されている巻取ボビン22が従動回転する。その結果、給糸ボビン20から解舒された糸21を、前記綾振溝によってトラバースしつつ巻取ボビン22に巻き取ることができる。
なお、糸21をトラバースするための構成は、上記の巻取ドラム29に限らず、例えばこれに代えて、所定のトラバース幅で往復駆動されるトラバースガイドによって糸21をガイドするアーム式のトラバース装置により構成しても良い。また、巻取ドラム29によって巻取ボビン22を駆動することに代えて、巻取ボビン22に対して駆動力を直接伝達して駆動しても良い。
図1に示すように、ワインダユニット1は、給糸部25と巻取部26との間の糸走行経路に、糸走行方向上流側から順に、解舒補助装置31と、テンション付与装置32と、糸監視装置33と、を備えている。
解舒補助装置31は、給糸ボビン20から解舒される糸21が遠心力によって振り回されることにより、当該糸21が外側に膨らんだ部分(バルーン)に対して接触する規制部材35を有している。規制部材35をバルーンに接触させることにより、糸21が過度に振り回されることを抑制することができる。従って、当該バルーンを一定の大きさに保つことにより、給糸ボビン20からの糸21の解舒を一定のテンションで行うことができる。
テンション付与装置32は、走行する糸21に所定のテンションを付与する。本実施形態のテンション付与装置32としては、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものが用いられている。テンション付与装置32は、噛み合わせた状態にある櫛歯の間を屈曲させながら糸21を通過させることにより、当該糸21に対して適切なテンションを付与する。なお、テンション付与装置32には、上記のようなゲート式のもの以外にも、例えばディスク式のものを採用することができる。
糸監視装置33は、走行する糸21の品質を監視し、糸21に含まれる糸欠点(糸21に異常がある箇所)を検知するように構成されている。糸監視装置33の近傍には、糸監視装置33が糸欠点を検出したときに直ちに糸21を切断するための図略のカッタが設けられている。
ワインダユニット1は、糸継装置41と、上側糸吸引パイプ36と、下側糸吸引パイプ37と、を備える。
糸継装置41は、給糸ボビン20と巻取ボビン22との間の糸21が何らかの理由により分断したときに、給糸ボビン20側の糸21と巻取ボビン22側の糸21とを糸継ぎする。糸21が分断される原因としては、例えば、糸監視装置33の糸欠点の検知に基づく糸21の切断等を挙げることができる。図1に示すように、糸継装置41は、テンション付与装置32と糸監視装置33の間に位置している。
上側糸吸引パイプ36は、本体フレーム24に対して上下方向に旋回可能に支持されている。上側糸吸引パイプ36は、糸21が切断されたときに、下流側である巻取ボビン22側の糸21の糸端を糸継装置41に案内する。この上側糸吸引パイプ36の先端部には、吸込口部が形成されている。従って、上側糸吸引パイプ36は、図略の負圧源に基づく吸引流によって巻取ボビン22側の糸21を捕捉して、捕捉した糸21の糸端を糸継装置41に案内する。
下側糸吸引パイプ37は、本体フレーム24に対して上下方向に旋回可能に支持されている。下側糸吸引パイプ37は、糸21が切断されたときに、上流側である給糸ボビン20側の糸21の糸端を糸継装置41に案内する。この下側糸吸引パイプ37の先端部には、吸込口部が形成されている。従って、下側糸吸引パイプ37は、図略の負圧源に基づく吸引流によって捕捉した給糸ボビン20側の糸21の糸端を、糸継装置41に案内する。
次に、糸継装置41について詳細に説明する。糸継装置41はスプライサ装置として構成されており、圧縮空気を噴射することにより旋回流を発生させ、当該旋回流によって、解撚された糸端同士を撚り合わせて繋ぐことができる。このように、糸継装置41は、基本的には空気の力を利用して糸端同士を撚り合わせるものであるが、適宜の液体(例えば、水)を空気に付加して糸継ぎを行うようにすることもできる。また、適宜のヒータにより加熱された空気を用いて糸継ぎを行う構成とすることもできる。
図2に示すように、糸継装置41は、フレーム61と、支持プレート68と、解撚パイプ66と、撚掛部材(糸継部)63と、ガイド板71と、糸寄せレバー72と、糸押さえレバー76と、を主に備える。
フレーム61は、糸継装置41を構成する各種部品を取り付けるための骨組状の部品である。このフレーム61には、ガイド板71等が固定されるとともに、糸寄せレバー72、糸押さえレバー76等が支持されている。
フレーム61には、流路部材62が固定されている。流路部材62の内部には図示しない空気流路が形成され、この空気流路には、糸端の解撚や撚り合わせを行うためにコンプレッサ等の図略の圧縮空気源から吐出される圧縮空気を流通させることができる。この空気流路は、2つの解撚パイプ66と、撚掛部材63と、にそれぞれ接続されている。
支持プレート68は、所定の厚みを有する板状の部材として構成されており、流路部材62に固定されている。支持プレート68は、糸継装置41において、ワインダユニット1に形成される糸走行経路(以下、単に「糸走行経路」と呼ぶことがある。)と対向するように配置される。
解撚パイプ66は、糸走行経路から糸継装置41を見たときに、当該糸走行経路の長手方向で撚掛部材63の両側に1対で配置されている。それぞれの解撚パイプ66は、両端が開放された細長い円筒状に構成されており、その長手方向は前記糸走行経路と垂直に向けられている。解撚パイプ66の内部空間において、前記糸走行経路に近い側の端部は、支持プレート68に開口を形成している。この開口(以下、糸吸込口と呼ぶことがある。)には、後述の屈曲ガイド部材81が取り付けられる。
図示しないが、それぞれの解撚パイプ66の内壁にはノズル孔が形成されている。このノズル孔は、流路部材62に形成された圧縮空気の流路と接続されている。このノズル孔から圧縮空気を噴出することで、解撚パイプ66の内部に、糸吸込口とは反対側の開口に向かう空気流を発生させることができる。
この構成で、上側糸吸引パイプ36によって糸継装置41に案内され、後述する下側のカッタ75で切断された糸21の糸端は、下側の解撚パイプ66内において生成される空気流の作用により、当該解撚パイプ66に吸い込まれて解撚される。同様に、下側糸吸引パイプ37によって糸継装置41に案内され、後述する上側のカッタ75で切断された糸21の糸端は、上側の解撚パイプ66において生成される空気流の作用により、当該解撚パイプ66内に吸い込まれて解撚される。
撚掛部材63はブロック状に形成されており、支持プレート68から糸走行経路側に突出するように、当該支持プレート68に固定されている。撚掛部材63には、上下方向(言い換えれば、糸走行経路と概ね平行な方向)に細長い旋回室67が、撚掛部材63を貫通するように形成されている。旋回室67の長手方向端部は、撚掛部材63の上面及び下面に開口を形成している。更に、撚掛部材63には、前記糸走行経路に近い側を開放させた撚掛案内溝69が形成されている。撚掛案内溝69は、旋回室67と繋がっている。撚掛案内溝69は、開放側が広くなるテーパ状に形成されている。また、旋回室67は、下側糸用の円柱状旋回室と上側糸用の円柱状旋回室とをそれぞれ個別に設け、これら円柱状旋回室の軸心をずらして配置してもよい。このように配置することによって、下側糸用の旋回空気と、上側糸用の旋回空気の干渉を抑制することができる。
図示しないが、旋回室67の内壁には、糸端同士を撚り合わせるための圧縮空気を噴出するノズル孔が形成されている。このノズル孔は、流路部材62に形成された圧縮空気の流路と接続されている。糸21の糸端同士を旋回室67の内部に位置させた状態でノズル孔から圧縮空気を噴出することにより、旋回流を旋回室67の内部に発生させ、これにより、旋回室67の内部の糸端同士を撚り合わせることができる。更に、旋回空気流ではなく、衝撃で糸を絡めるために旋回室の内壁面に直交する方向に空気流を噴射させるノズル孔を設け、糸を絡めるようにして結んでも良い。
ガイド板71は、フレーム61に1対で固定されている。1対のガイド板71は、1対の解撚パイプ66と同様に、前記糸走行経路から糸継装置41を見たときに、当該糸走行経路の長手方向で撚掛部材63の両側に位置する。ガイド板71と撚掛部材63との間の距離は、解撚パイプ66と撚掛部材63との間の距離よりも大きい。
それぞれのガイド板71には、糸21を挿入可能なガイド溝73が2つ形成されている。それぞれのガイド溝73は、糸走行経路側を開放させるように構成されている。各ガイド板71には、クランプ74と、カッタ75と、が設けられている。クランプ74は、2つのうち一方のガイド溝73に入った糸21を保持することができる。カッタ75は、残りのガイド溝73に入った糸21を切断することができる。以下の説明では、2つのガイド溝73を区別して特定するために、「クランプ側のガイド溝」、「切断側のガイド溝」と呼ぶことがある。また、カッタ75として、クランプ機能を兼ね備えたクランプカッタを採用することもできる。クランプカッタを採用した場合、糸を切断する際に糸をクランプしておくことにより、切断した糸がそのまま収縮して解撚パイプ66から逃げてしまうことを防止できる。この場合、解撚パイプ66において空気流を作用させた状態で上記クランプを開放すれば、当該解撚パイプ66内に確実に吸い込ませて解撚させることができる。
糸寄せレバー72は、糸走行経路の長手方向で撚掛部材63の両側に位置する1対のアーム状の部材として構成されている。2つの糸寄せレバー72は、互いに一体的に回転することで、糸継装置41側に糸を引き寄せる向き及び反対の向きに移動することができる。支持プレート68と1対のガイド板71との間には適宜の隙間が構成されており、それぞれの糸寄せレバー72は上記の回転時に当該隙間を通過することができる。
糸押さえレバー76は、糸寄せレバー72と同様に、糸走行経路の長手方向で撚掛部材63の両側に位置する1対のアーム状の部材として構成されている。2つの糸押さえレバー76は、互いに一体的に回転することで、糸21を支持プレート68側(糸継装置41側)に押し付ける向き、及び反対の向きに移動することができる。
次に、図3から図6までを参照して、糸継装置41の糸継動作について説明する。図3から図6までには、糸21が分断された場合に糸継装置41が行う糸継動作が順に示されている。
何らかの理由によって糸21が分断された場合、図3に示すように、上側糸吸引パイプ36によって糸21は、上側のガイド板71におけるクランプ側のガイド溝73に入るように、かつ、下側のガイド板71における切断側のガイド溝73に入るように、案内される。また、下側糸吸引パイプ37によって糸21は、下側のガイド板71におけるクランプ側のガイド溝73に入るように、かつ、上側のガイド板71における切断側のガイド溝73に入るように、案内される。これと同時に、上下のガイド板71の間の2本の糸21は、撚掛案内溝69を通過して、撚掛部材63の旋回室67に入る。
この状態で、上下の糸寄せレバー72が図2の状態から回転することにより、図4に示すように、2本の糸21は糸寄せレバー72によって寄せられ、それぞれのガイド溝73の奥に押し込まれる。
この状態で、上側糸吸引パイプ36で案内された糸21は、上側のガイド板71に設けられたクランプ74によって保持されるとともに、下側のガイド板71に設けられたカッタ75によって切断される。下側糸吸引パイプ37で案内された糸21は、下側のガイド板71に設けられたクランプ74によって保持されるとともに、上側のガイド板71に設けられたカッタ75によって切断される。これにより、余分な長さの糸21を除去することができる。切断された余分な糸21は、上側糸吸引パイプ36又は下側糸吸引パイプ37によって吸引される。
このとき、2つの解撚パイプ66のそれぞれにおいて上記の空気流が発生している。従って、図5に示すように、上側のカッタ75によって切断された糸端は、上側の解撚パイプ66に吸い込まれて解撚される。同様に、下側のカッタ75によって切断された糸端は、下側の解撚パイプ66に吸い込まれて解撚される。
その後、図6に示すように2つの糸寄せレバー72は更に回転して、糸21を寄せながら、支持プレート68と1対のガイド板71の間に形成された隙間に入り込む。これにより、それぞれの解撚パイプ66に入って解撚された糸端が解撚パイプ66から引き出され、撚掛部材63の旋回室67に入れられる。この状態で旋回室67のノズル孔から圧縮空気を噴出することにより、2つの糸端に撚りを掛けて接合することができる。
次に、図7と図8を参照して、屈曲ガイド部材(糸案内部)81について詳細に説明する。図7は、糸継装置41に取り付けられた屈曲ガイド部材81を示す斜視図である。図8は、屈曲ガイド部材81の案内溝84の角度と糸21同士の接触を説明する正面図である。
屈曲ガイド部材81は、2つの解撚パイプ66の糸吸込口にそれぞれ設けられている。それぞれの屈曲ガイド部材81は、解撚パイプ66により糸端が解撚された糸21を、撚掛部材63の旋回室67に案内する。屈曲ガイド部材81には、糸21が入ることが可能な案内溝84が形成されており、解撚された糸21は、この案内溝84を通過するように引き出され、旋回室67に案内される。
屈曲ガイド部材81はブロック状に形成され、支持プレート68から糸走行経路側に突出するように固定されている。屈曲ガイド部材81には、円形の貫通孔82が形成されている。この貫通孔82は、屈曲ガイド部材81が有する糸走行経路側の面に開口を形成している。
この貫通孔82は、解撚パイプ66の糸吸込口と略同軸となるように設けられて、解撚パイプ66と接続される。従って、解撚パイプ66の内部の空気流により生じた負圧により、貫通孔82の開口を介して糸21を解撚パイプ66に吸い込むことができる。
屈曲ガイド部材81には、糸走行経路側を開放させる案内溝84が形成されている。解撚パイプ66の長手方向で見たとき、案内溝84は、貫通孔82の内側と外側とを繋ぐように直線状に形成されている。この案内溝84には、糸継装置41に案内される2本の糸21のうち1本が、その糸端が解撚パイプ66に吸い込まれることに伴って導入される。解撚パイプ66の長手方向で見たとき、案内溝84の向きは図8に示すように、撚掛部材63の当該屈曲ガイド部材81に近い側の面に旋回室67が開口する開口面67fの中心67cを向く方向を基準として、当該案内溝84に入る糸21と接合される相手の糸21を保持するクランプ74に近づく向きに角度αだけ傾斜している。
案内溝84で区切られる屈曲ガイド部材81の壁部のうち、撚掛部材63に近い側の壁部の内壁面が、糸21を案内する案内面83を構成する。解撚パイプ66の長手方向で見たとき、図8に示すように、案内溝84の向きと案内面83の向きは一致する。
案内溝84が上記のように傾斜しているため、当該案内溝84に入った糸21は、当該案内溝84の長手方向端部のうち旋回室67に近い側の端部で屈曲点21bを形成する。また、案内溝84の当該端部は、当該案内溝84に入っている糸21の接合相手の糸21の経路に近接している。従って、2つの屈曲ガイド部材81の案内溝84にそれぞれの糸21が入ることで、2つの糸21は図8に示すように、旋回室67の内部及びその近傍において、互いに近接して位置することになる。
図7に示すように、屈曲ガイド部材81には、案内溝84に接続するように、滑らかな湾曲面状の引込案内面87が形成されている。この引込案内面87は、解撚パイプ66に(図5のように)吸い込まれる糸21に接触することで、糸21が案内溝84の内部に入り込んで案内面83に接触するように案内する。
屈曲ガイド部材81において、撚掛部材63から遠い側の貫通孔82の縁部には、窪み部85が形成されている。この窪み部85が糸21を案内することにより、カッタ75で切断された糸端を貫通孔82の内部(解撚パイプ66の内部)に円滑に導入することができる。
以下、上記の案内溝84を備える屈曲ガイド部材81の効果について説明する。
ワインダユニット1で巻き取られる対象の糸21として、芯糸であるポリウレタン弾性糸の外側を綿、ポリエステル等の化学繊維、若しくは綿と化学繊維の混合繊維の何れかで被覆した複合糸が用いられることがある。この複合糸は弾性を有するため、図5に示すように解撚パイプ66に糸端を入れて空気流により解撚する際、当該空気流の作用により引き伸ばされる。
その後、撚掛けを行うために、図6に示すように糸寄せレバー72によって糸端が旋回室67まで引き出される。このとき、解撚パイプ66から糸端が出た時点で、空気流による糸端の引張りが解除されるため、糸21が復元力により急激に縮んで糸端が旋回室67を通り過ぎてしまって撚掛けに失敗し、糸継ぎができなくなることがある。あるいは、被覆糸の内部の芯糸だけが縮んで旋回室67から抜けてしまう結果、継ぎ目に芯糸がない状態で糸継ぎがされてしまうことがある。
この点、本実施形態では、解撚パイプ66に入っていた糸端は案内溝84に沿うように引き出されるため、糸21は屈曲点21bのところで、屈曲ガイド部材81との間で安定した摩擦を生じる。従って、復元力による糸21の縮みを摩擦力で抑制しながら糸端を旋回室67に引き出すことができるので、撚掛けを確実に行うことができる。
糸21は案内溝84によって、屈曲点21bから引き出されてすぐに、相手の糸21に近接する。これにより、糸21は、屈曲点21bでの摩擦に加えて、相手の糸21と接触して摩擦を生じ、糸21の急激な縮みに抗することが期待される。
特に、2つの糸21の糸端がそれぞれ解撚パイプ66に吸い込まれている状態では、吸込みによる張力が働くそれぞれの糸21は、円孔状の旋回室67の内壁にガイドされて、図5に示すように旋回室67の最奥部において2つの糸21が近接することになる。
また、本実施形態の糸継装置41では、例えば図8に示すように、2本の糸21同士を確実に近接させるために、1対の板状のガイド部材86が撚掛部材63に固定されている。それぞれのガイド部材86は、図8に示すように、屈曲ガイド部材81の案内溝84の端部に対して、小さな隙間を介して対向するように配置される。ガイド部材86の縁部は、旋回室67が有する開口面67fの中心67cよりも、屈曲ガイド部材81に近づく向きに張り出している。
この構成で、1本の糸21がガイド部材86によって屈曲ガイド部材81に寄せられた状態で、もう1本の糸21が案内溝84を介して引き出されることで、2本の糸21を互いに近接させ、糸21同士の摩擦の発生を促すことができる。
次に、屈曲ガイド部材81に形成されている案内溝84の角度について説明する。
案内溝84の角度は、糸21に屈曲点21bを形成することができれば特に限定されるものではない。本実施形態では、解撚パイプ66の長手方向で見たとき、図8に示すように案内溝84が開口面67fに対して傾斜する角度θは、40°とされている。
この角度θは、解撚パイプ66の中心と、旋回室67の開口のうち当該解撚パイプ66に最も近い端部と、を結ぶ仮想直線L1が開口面67fに対してなす角度φよりも小さい角度となっている。
上記の角度θが0°に近くなる程、屈曲点21bでの糸21の屈曲が強くなる。角度θは、0°よりも大きくかつ45°以下であることが好ましい。これにより、糸21を比較的大きく屈曲することができるので、摩擦力を確実に発生させることができる。また、上記の角度θは、20°以上かつ45°以下であることがより好ましい。これにより、糸21の縮みを抑制する摩擦力の大きさと、糸21の滑らかな引出しと、を両立させることができる。
以上に説明したように、本実施形態の糸継装置41は、解撚パイプ66と、撚掛部材63と、屈曲ガイド部材81と、を備える。解撚パイプ66は、細長い中空状の部材として構成され、その内部に入った糸端に空気流を作用させることによって当該糸端を解撚させる。撚掛部材63には、解撚された前記糸端同士に空気流を作用させることによって糸継ぎを行う旋回室67が形成されている。屈曲ガイド部材81には、解撚パイプ66から引き出された前記糸端が旋回室67に到達する前に案内する案内面83が形成されている。撚掛部材63には、解撚パイプ66から引き出された糸端が旋回室67に引き込まれる開口が形成される。解撚パイプ66の長手方向で見たときに、案内面83は、前記開口の開口面67fに対して0°よりも大きい角度θをなして当該解撚パイプ66から延びるように配置される。角度θは、66の長手方向で見たときに、当該解撚パイプ66の中心と、前記開口のうち当該解撚パイプ66に最も近い端部と、を結ぶ仮想直線L1が開口面67fに対してなす角度φよりも小さい角度である(θ<φ)。
これにより、弾性を有する糸21を糸継ぎする場合でも、屈曲ガイド部材81は、糸21を案内面83の端部で屈曲させながら旋回室67に案内することができる。従って、糸21を解撚パイプ66から引き出す過程で、屈曲点21bでの摩擦により、糸21に急激な縮みが発生することを抑制することができる。その結果、糸端を旋回室67に確実に案内することができるので、糸継ぎの失敗を回避することができる。また、糸21の屈曲により摩擦を発生させるため、糸をスリットで挟み込むことで縮みに抗する構成と比較して、糸21の太さによって摩擦力のバラつきが生じることがなく、糸21の縮みを安定して抑えることができる。
また、本実施形態の糸継装置41において、案内面83は、開口面67fに対して、0°よりも大きく45°以下、もっと言えば、20°以上かつ45°以下の角度をなすように配置されている。
これにより、糸21を比較的大きく屈曲させることで、糸21の急激な縮みを抑制するのに十分な摩擦力を得ることができる。
また、本実施形態の糸継装置41において、案内面83は、屈曲ガイド部材81に形成された案内溝84の一側の内壁面として構成されている。
これにより、糸21を溝に入れた状態で案内することで、解撚パイプ66から糸21を引き出すときの経路を安定させることができる。この結果、糸21に屈曲点21bを安定して形成しながら引き出すことができる。
また、本実施形態の糸継装置41において、屈曲ガイド部材81には、解撚パイプ66に糸端が引き込まれる糸21に当たって当該糸21を案内面83に導く引込案内面87が、案内面83に接続するように形成されている。
これにより、解撚パイプ66による引き込みを利用して糸21を案内面83に円滑に導くことで、糸21を確実に屈曲させることができる。
また、本実施形態の糸継装置41において、屈曲ガイド部材81は、解撚パイプ66の内部と接続される貫通孔82を備える。案内面83は、貫通孔82の内壁に接続している。
これにより、貫通孔82を通じて解撚パイプ66に糸端が吸い込まれる糸21を、案内面83によって適切に案内することができる。
また、本実施形態の自動ワインダは、上記の糸継装置41を備える。
これにより、弾性を有する糸を良好に糸継ぎできる自動ワインダを実現することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
ワインダユニット1に用いる伸縮性を有する糸21は、特に限定されるものではないが、糸21は、例えばスパンデックス糸とすることができる。
屈曲ガイド部材81は、糸21を屈曲させながら案内することができればよく、当該屈曲ガイド部材81に形成される案内溝84の形状は、適宜に変更することができる。
屈曲ガイド部材81は、糸継装置41に対して着脱可能に取り付けられても良い。この場合、通常の糸と、弾性を有する特殊糸と、の両方に、簡単な作業によって対応させることができる。
屈曲ガイド部材81において、案内溝84を挟んで案内面83と反対側に位置する壁部を省略しても良い。この場合、案内溝84がなくなり、糸21は案内面83により案内されるだけとなる。
糸継装置は、自動ワインダに代えて、例えば空気紡績機の糸継装置として適用することができる。
1 ワインダユニット
21 糸
63 撚掛部材(糸継部)
66 解撚パイプ
67 旋回室(空気室)
81 屈曲ガイド部材(糸案内部)
84 案内溝

Claims (7)

  1. 細長い中空状の部材として構成され、その内部に入った糸端に空気流を作用させることによって当該糸端を解撚させる解撚パイプと、
    解撚された前記糸端同士に空気流を作用させることによって糸継ぎを行う空気室が形成されている糸継部と、
    前記解撚パイプから引き出された前記糸端が前記空気室に到達する前に案内する案内面が形成されている糸案内部と、
    を備え、
    前記糸継部には、前記解撚パイプから引き出された糸端が前記空気室に引き込まれる開口が形成され、
    前記解撚パイプの長手方向で見たときに、前記案内面は、前記開口の開口面に対して0°よりも大きい角度をなして当該解撚パイプから延びるように配置され、
    前記角度は、前記解撚パイプの中心と、前記開口のうち当該解撚パイプに最も近い端部と、を結ぶ仮想直線が前記開口面に対してなす角度よりも小さい角度であることを特徴とする糸継装置。
  2. 請求項1に記載の糸継装置であって、
    前記案内面は、前記開口の開口面に対して、0°よりも大きく45°以下の角度をなすように配置されていることを特徴とする糸継装置。
  3. 請求項1又は2に記載の糸継装置であって、
    前記案内面は、前記開口の開口面に対して、20°以上かつ45°以下の角度をなすように配置されていることを特徴とする糸継装置。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の糸継装置であって、
    前記案内面は、前記糸案内部に形成された案内溝の一側の内壁面として構成されていることを特徴とする糸継装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の糸継装置であって、
    前記糸案内部には、前記解撚パイプに糸端が引き込まれる糸に当たって当該糸を前記案内面に導く引込案内面が、前記案内面に接続するように形成されていることを特徴とする糸継装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の糸継装置であって、
    前記糸案内部は、前記解撚パイプの内部と接続される貫通孔を備え、
    前記案内面は、前記貫通孔の内壁に接続していることを特徴とする糸継装置。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載の糸継装置を備えることを特徴とする繊維機械。
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