JP2019111788A - 油性ボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、泣きボテを抑制し、インキ追従性能が良好で、筆跡が良好とした油性ボールペンを得ることである。【解決手段】インキ収容筒の先端部にボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に油性ボールペン用インキ組成物を収容してなる油性ボールペンであって、前記ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が、5〜25μmであり、かつ、油性ボールペン用インキ組成物が、着色剤、有機溶剤、エチレンオキサイド重合体を含んでなることを特徴とする油性ボールペンとする。【選択図】 図1

Description

本発明は油性ボールペンに関するものである。
従来より、油性ボールペン用インキとして、余剰のインキがボールペンチップの先端の外周に付着してインキが滴下する泣きボテ現象を抑制するためにポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール等のポリマーを添加して粘弾性を付与したものは知られている。このインキを収容した油性ボールペンにおいては、ボール表面に付着した余剰のインキをボールペンチップの先端内に引き戻すことにより、泣きボテ現象を抑制する効果をもたらすことが知られている。
このような油性ボールペン用インキ組成物として、特開平6−313144号の公報には、着色剤、溶剤および添加剤とからなる油性ボールペン用インキ組成物において、溶剤中に蒸気圧0.1mmHg(20℃)以下の有機溶媒を60重量%以上含有し、インキの粘度が剪断速度400sec-1 において100mPa.s以下として、余剰インキを紙に浸透させることにより泣きボテ現象を抑制することの発明が開示されている。
また、特開2004−224853号の公報には、泣きボテ抑制するために、曳糸性付与剤としてポリイソプレン樹脂またはポリブタジエン樹脂を含有することにより泣きボテ現象を抑制することの発明が開示されている。
「特開平6−313144号公報」 「特開2004−224853号公報」
しかし、特許文献1では、インキ粘度と溶剤の蒸発速度との相互関係を検討しただけでは、筆跡にカスレ、線とびなどが発生しやすく、良好な筆跡が得られにくいという問題がある。また、特許文献2では、ある程度泣きボテを抑制することは可能であるが、インキ消費量が多い場合は、インキ追従性能が十分ではなく、筆跡にカスレが発生することもあり、改良の余地があった。
特に、ボールペンの場合は、ボール径が1.0〜2.0mmとした場合は、インキ吐出量を多くなるようにボールペンチップを設定するため、泣きボテ性能やインキ追従性能が劣りやすい。
さらに最近では、滑らかな筆感を得るため、油性インキではインキ粘度が低粘度化してきており、その分インキ消費量も多くなり、泣きボテ性能が劣りやすく、問題となりやすい。
本発明の目的は、泣きボテを抑制し、インキ追従性能が良好で、筆跡が良好とした油性ボールペンを得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.インキ収容筒の先端部にボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に油性ボールペン用インキ組成物を収容してなる油性ボールペンであって、前記ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が、5〜25μmであり、かつ、油性ボールペン用インキ組成物が、着色剤、有機溶剤、エチレンオキサイド重合体を含んでなることを特徴とする油性ボールペン。
2.前記エチレンオキサイド重合体の数平均分子量が、50万〜500万であることを特徴とする第1項に記載の油性ボールペン。
3.前記エチレンオキサイド重合体の含有量が、インキ組成物全量に対して、0.01〜3.0質量%であることを特徴とする第1項または第2項に記載の油性ボールペン。
4.前記油性ボールペン用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
5.20℃、5sec−1における油性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、50000mPa・s以下であることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の油性ボールペン。 」とする。
本発明は、ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が、5〜25μmに設定し、かつ、油性ボールペン用インキ組成物が、着色剤、有機溶剤、エチレンオキサイド重合体を含んでなる油性ボールペン用インキ組成物を含んでなる油性ボールペンとすることで、インキの結着性を向上して、泣きボテを抑制し、インキ追従性能が良好とし、筆跡にカスレなどのない良好な筆跡とした油性ボールペンを得ることができた。
本発明におけるボールペンレフィルの縦断面図である。 図1における、一部省略した要部拡大縦断面図である。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」等は特に断らない限り質量基準である。
本発明の特徴は、インキ収容筒の先端部にボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に油性ボールペン用インキ組成物を収容してなる油性ボールペンであって、前記ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が、5〜25μmであり、かつ、油性ボールペン用インキ組成物が、着色剤、有機溶剤、エチレンオキサイド重合体を含んでなることを特徴とする油性ボールペンとすることを特徴とする。
本発明に用いる油性ボールペンチップについては、ボールの縦軸方向への移動量を5μm〜25μmとすることで、インキ消費量(インキ吐出量)を確保することで、筆跡にカスレや線割れのない良好な筆跡とすることが可能である。また、インキ消費量が多くなることで、チップ先端における余剰インキが発生することで、泣きボテが発生しやすく、さらにインキ追従性能に影響が生じやすい。そこで、エチレンオキサイド重合体を含んでなることで、インキの結着性を高めることで、チップ先端における余剰インキの発生を抑制し、さらにインキ追従性能を向上することで、泣きボテを抑制し、インキ追従性能が良好で、筆跡が良好とした油性ボールペンとすることが可能となる。
(エチレンオキサイド重合体)
本発明で用いるエチレンオキサイド重合体については、エチレンオキサイドが単独重合している構造をしており、エチレンオキサイド単独重合体である。そのため、インキ中で、エチレンオキサイド分子鎖同士が結着して、直鎖状に連なる構造を形成し、インキの結着性を高めて、インキ粘弾性や曳糸性を持たせることで、チップ先端における余剰インキが発生してもチップ本体内にインキをリターンさせる効果を有することで、泣きボテを抑制し、さらにインキを引っ張る力が働くことで、インキ追従性能を良好とすることが可能となる。
前記エチレンオキサイド重合体の数平均分子量は、50万〜500万とすることが好ましい。これは、前記エチレンオキサイド重合体の数平均分子量が500万を越えると、インキ中で溶解しづらく、本発明の効果を発揮しにくい。また、前記数平均分子量が50万未満であると、インキ中でのエチレンオキサイド分子鎖の結着性が十分でなく、インキ粘弾性や曳糸性が十分ではなく、泣きボテ性能やインキ追従性能が劣りやすいためである。また、より泣きボテを抑制、溶解性、インキ追従性能を考慮すれば、前記数平均分子量が80万〜300万であることが好ましく、より考慮すれば、前記数平均分子量が120万〜250万であることが好ましい。これらのエチレンオキサイド重合体は目的に応じて2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
なお、前記エチレンオキサイド重合体の数平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、測定装置は、製品名「LC−10AD(島津製作所製)などで測定できる。
また、エチレンオキサイド重合体の嵩密度については、0.1〜1g/cmとすることが好ましい。これは、上記嵩密度であると、理由は定かではないが、インキ中で溶解安定しやすく、長期間において泣きボテ性能やインキ追従性能を向上しやすく、効果的である。より考慮すれば、嵩密度を0.2〜0.6g/cmとすることが好ましい。
前記エチレンオキサイド重合体の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.01質量%より少ないと、インキ中でのエチレンオキサイド分子鎖の結着性が十分ではなく、インキ粘弾性や曳糸性が劣りやすく、泣きボテ性能やインキ追従性能が劣りやすくなり、3.0質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすく、効果が発揮しにくいため、インキ組成物全量に対し、0.01〜3.0質量%が好ましい。より上記理由を考慮すれば、0.01〜1.0質量%が好ましく、さらに考慮すれば、0.01〜0.5質量%が好ましい。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、エチレンオキサイド重合体を用いる場合は、20℃、剪断速度5sec−1(静止時)におけるインキ粘度が50000mPa・sを越えると、インキ追従性能、筆跡カスレなどの筆記性能、書き味、書き出し性能が劣りやすいため、20℃、剪断速度5sec−1(静止時)におけるインキ粘度は、50000mPa・s以下であることが好ましい。また、20℃、剪断速度5sec−1(静止時)におけるインキ粘度が3000mPa・s以上にすることで、泣きボテを抑制、インキ漏れ抑制しやすいため、前記インキ粘度は3000〜50000mPa・sが好ましい。また、より泣きボテを抑制、筆跡カスレなどの筆記性能、インキ追従性能をより向上することを考慮すれば、前記インキ粘度は5000〜40000mPa・sがより好ましく、より考慮すれば、10000〜30000mPa・sが好ましい。
(着色剤)
本発明に用いる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。染料、顔料を併用することで、下記のような効果が得られやすいため、好ましい。
染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、有機酸と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。これらの染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。染料としては、エチレンオキサイド重合体との相性による経時安定性良好として、本発明の効果を得られやすくすることを考慮して、少なくとも造塩染料を用いることが好ましく、さらに造塩結合が安定していることで経時安定性を保てることを考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料との塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料を用いることが好ましく、より考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料が好ましい。
染料について、具体的には、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストバイオレット1704、バリファーストバイオレット1705、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1613、バリファーストブルー1621、バリファーストブルー1631、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB−B、BASE OF BASIC DYES RO6G−B、BASE OF BASIC DYES VPB−B、BASE OF BASIC DYES VB−B、BASE OF BASIC DYES MVB−3(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラック GMH−スペシャル、アイゼンスピロンバイオレット C−RH、アイゼンスピロンブルー GNH、アイゼンスピロンブルー 2BNH、アイゼンスピロンブルー C−RH、アイゼンスピロンレッド C−GH、アイゼンスピロンレッド C−BH、アイゼンスピロンイエロー C−GNH、アイゼンスピロンイエロー C−2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH−スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.バイオレット510、S.B.N.イエロー530、S.R.C−BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。
着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、5.0〜30.0質量%が好ましい。これは5.0質量%未満だと、濃い筆跡が得られにくい傾向があり、30.0質量%を越えると、インキ中での溶解性に影響しやすい傾向があるためで、よりその傾向を考慮すれば、7.0〜25.0質量%が好ましく、さらに考慮すれば、10.0〜25.0質量%である。
(有機溶剤)
本発明に用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、油性インキとして一般的に用いられる有機溶剤が例示できる。
これらの有機溶剤の中でも、エチレンオキサイド重合体との溶解性を考慮すれば、非水溶性有機溶剤を用いて、油性ボールペン用インキ組成物とすることが好ましく、その中でも、グリコールエーテル溶剤を用いることが好ましい。これは、グリコールエーテル溶剤を用いると、インキ中での溶解安定することで、効果を発揮しやすいためである。
また、有機溶剤の含有量は、溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を向上することを考慮すると、インキ組成物全量に対し、10.0〜90.0質量%が好ましく、チップ先端での乾燥性を考慮すれば、20.0〜90.0質量%が好ましく、より好ましくは40.0〜70.0質量%である。
また、本発明に用いるボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量については、前記移動量を5μm〜25μmとすることで、インキ消費量が多くなると、上記のように泣きボテが発生しやすく、さらにインキ追従性能に影響が生じやすいため、泣きボテ抑制、インキ追従性能、筆跡カスレなどの筆記性能とのバランスを考慮すると、油性ボールペンの100mあたりのインキ消費量と、ボール径との関係も考慮することが好ましい。
前記油性ボールペンの100mあたりのインキ消費量をA(mg)、ボール径をB(mm)とした場合、10≦A/B≦80の関係とすることで、より泣きボテを抑制し、インキ追従性能が良好で、筆跡カスレを抑制する効果を両立しやすい。また、10≦A/B≦80の関係については、10>A/Bだと、ボール径に対して、インキ消費量が十分ではなく、筆跡カスレ、線とびなどが抑制されにくく、A/B>80だと、ボール径に対してインキが余剰となりやすく、泣きボテ、インキ追従性能や、ボールとチップ先端の間隙よりインキ垂れ下がりにも影響しやすい。より泣きボテを抑制し、インキ追従性能を考慮すれば、15≦A/B≦70の関係とすることが好ましく、より考慮すれば、20≦A/B≦70の関係とすることが好ましい。
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
また、ボール径については、特に限定されないが、0.1〜2.0(mm)程度のボールを用いる。
(界面活性剤)
本発明においては、潤滑性を向上することで書き味を向上しやすく、筆跡カスレなどを抑制し、さらにチップ先端部を大気中に放置した状態で、該チップ先端部が乾燥したときの書き出し性能を向上することを考慮すれば、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、界面活性剤によって形成される潤滑層によって、潤滑性を向上しやすくし、さらに界面活性剤によって形成される被膜を柔らかくし、書き出し性能を改良しやすくできるためである。界面活性剤としては、脂肪酸、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤などが挙げられる。その中でも、上記効果を考慮すれば、脂肪酸、シリコーン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤の中から1種以上を用いることが好ましい。
特に、リン酸エステル系界面活性剤は、リン酸基を有することで金属類などのボールペンチップやボールに吸着しやすく、潤滑効果が得られやすく、筆跡カスレなどを抑制しやすいため、リン酸エステル系界面活性剤を用いることが好ましい。さらに、前記したポリビニルブチラール樹脂を用いる場合は、ポリビニルブチラールによって形成するインキ層と前記潤滑層によって、より潤滑性を向上し、書き味を向上しやすいため、より好ましい。
前記界面活性剤については、より潤滑性と書き出し性能の両方を向上することを考慮すれば、HLB値が6〜14であることが好ましい。これは、HLB値が14を越えると親水性が強くなりやすく、油性インキ中での溶解性が劣りやすいため、前記界面活性剤の効果が得られにくく、潤滑効果が得られにくいためである。また、HLB値が6未満だと、親油性が強くなり過ぎて、有機溶剤との相溶性に影響が出やすく、インキ経時が安定しにくく、さらに書き出し性能が向上しにくいためである。さらに、潤滑性を考慮すれば、HLB値が12以下にすることが好ましく、HLB値が6〜12であることが好ましく、よりインキ経時安定性、書き出し性能を考慮すれば、HLB値が8〜12が好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法、川上法などから求めることができる。
前記界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸などが挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーンなどが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロ基ブチルスルホン酸塩、パーフルオロ基含有カルボン酸塩、パーフルオロ基含有リン酸エステル、パーフルオロ基含有リン酸エステル型配合物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられ、リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル或いはその誘導体等が挙げられる。また、リン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、酸価は、150以下とすることが好ましい、これは、リン酸エステル系界面活性剤による潤滑性の向上を発揮しやすくするためで、さらにインキ中での安定性や、潤滑性を考慮すれば、酸価は30〜120が好ましい、より考慮すれば、酸価は70〜120が好ましい
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1〜5.0質量%がより好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、所望の潤滑性が得られにくい傾向があり、5.0質量%を越えると、インキ経時が不安定性になりやすい傾向があるためであり、その傾向を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.3〜3.0質量%が好ましく、より考慮すれば、0.5〜3.0質量%が、最も好ましい。
(有機アミン)
本発明では、インキ中でのインキ成分の安定性を考慮すれば、有機アミンを用いることが好ましい。オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のエチレンオキシドを有するアミンや、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミンや、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等のジメチルアルキルアミン等の脂肪族アミンが挙げられ、その中でも、インキ中での安定性を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミン、ジメチルアルキルアミンが好ましく、さらに考慮すれば、ジメチルアルキルアミンが好ましい。特にリン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、中和することで、インキ中で安定することで、書き味や書き出し性能を向上する効果が得られやすいため、好ましい。
また、前記有機アミンとインキ中の他成分との反応性については、1級アミンが最も強く、次いで2級アミン、3級アミンと反応性が小さくなるので、インキ経時安定性を考慮して、2級アミンまたは3級アミンを用いることが好ましい。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、前記有機アミンの全アミン価は、染料やその他のインキ成分との安定性を考慮すれば、100〜300(mgKOH/g)とすることが好ましい。これは、300(mgKOH/g)を超えると、反応性が強いため、前記染料やその他のインキ成分と反応し易いため、インキ経時安定性が劣りやすい。また、全アミン価が、100(mgKOH/g)未満であると、インキ中の成分の安定性に影響が出やすく、さらに、前記リン酸エステル系界面活性剤に対する中和が不十分になり、インキ経時安定性に影響が出やすく、油性ボールペンとした場合、ボールやチップ本体などの金属類の吸着性が劣りやすく、潤滑性能が得られにくい。より染料やリン酸エステル系界面活性剤との安定性や潤滑性をより考慮すれば、150〜300(mgKOH/g)の範囲が好ましく、よりを考慮すれば、200〜300(mgKOH/g)が好ましい。
なお、全アミン価については、1級、2級、3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
有機アミンについては、具体的には、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、具体的には、ナイミーンL−201(全アミン価:232〜246、2級アミン)、同L−202(全アミン価:192〜212、3級アミン)、同L−207(全アミン価:107〜119、3級アミン)、同S−202(全アミン価:152〜166、3級アミン)、同S−204(全アミン価:120〜134、3級アミン)、同S−210(全アミン価:75〜85、3級アミン)、同DT−203(全アミン価:227〜247、3級アミン)、同DT−208(全アミン価:146〜180、3級アミン)(日本油脂(株)社製)等が挙げられる。アルキルアミンとしては、具体的には、ファーミン80(全アミン価:204〜210、1級アミン)、ファーミンD86(全アミン価:110〜119、2級アミン)、ファーミンDM2098(全アミン価:254〜265、3級アミン)、ファーミンDM8680(全アミン価:186〜197、3級アミン)(花王(株))、ニッサン3級アミンBB(全アミン価:243〜263、3級アミン)、同FB(全アミン価:230〜250、3級アミン)(日本油脂(株)社製)等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
前記有機アミンの含有量は、前記造塩染料やその他の成分との安定性を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.1〜10.0質量%が好ましく、さらに前記リン酸エステル系界面活性剤に対する中和を考慮すれば、0.1〜5.0質量%が好ましい。
さらに、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量を5μm〜25μmとすることで、インキ消費量が多くなると、ボールペンチップ本体とボールとの隙間からインキ漏れが発生しやすいため、インキ漏れ抑制を向上するためには、樹脂をインキ粘度調整剤として用いることが好ましい。
(樹脂)
樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂など挙げられるが、その中でも、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることが好ましい。これは、インキ漏れ抑制効果をより向上しやすく、さらに、本発明で用いるエチレンオキサイド重合体との相性も良く、エチレンオキサイド重合体の効果を阻害することがないため、好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂については、インキ漏れ抑制効果と書き味を向上しやすいため、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましい。これは、前記ポリビニルブチラール樹脂を併用すると、形成する被膜によって、インキ漏れをより向上しやすくなるためで、さらにポリビニルブチラール樹脂は、ボールとボール座との間に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上し、筆記性能を向上しやすいためである。また、着色剤として顔料を用いる場合は、顔料分散効果も得られるため、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましい。
ここで、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA) をブチルアルデヒド(BA) と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造である。
特に、ボールペンの場合、ボール径を通常よりも大きくして、1.0mm〜2.0mmとした場合では、ボールペンチップ本体とボールとの隙間からインキ漏れの影響が出やすいため、ポリビニルブチラール樹脂を用いると効果的である。
また、ポリビニルブチラール樹脂の平均重合度については、前記平均重合度は200以上であると、インキ漏れ抑制性能が向上しやすく、また、前記平均重合度は2500を超えると、インキ粘度が高くなりすぎて、筆跡カスレなどの筆記性能やインキ追従性能に影響する傾向があるため、前記平均重合度は、200〜2500が好ましい。さらに、よりインキ追従性能、インキ漏れ抑制を考慮すれば、前記平均重合度は1500以下が好ましい。ここで、平均重合度とは、ポリビニルブチラール樹脂の1分子を構成している基本単位の数をいい、JISK6728(2001年度版)に規定された方法に基づいて測定された値を採用可能である。
また、ポリビニルブチラール樹脂は、水酸基量25mol%以上とすることが好ましい。これは、水酸基量25mol未満のポリビニルブチラール樹脂では、有機溶剤への溶解性が十分でなく、十分な潤滑効果による筆跡カスレなどの筆記性能や、インキ漏れ抑制の効果が得られにくく、さらに、吸湿性による書き出し性能を考慮すると、水酸基量25mol%以上のポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましいためである。また、前記水酸基量30mol%以上のポリビニルブチラール樹脂は、書き味が向上しやすく、筆跡カスレなどのない筆記性能が良好となりやすいため、好ましい。これは、筆記時において、ボールの回転により摩擦熱が発生することで、チップ先端部のインキが温められて、該インキの温度が高くなるが、前記ポリビニルブチラール樹脂は他の樹脂とは違い、インキ温度が高くなっても、インキ粘度を下がりづらくする性質があり、ボールとボール座との間に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上しやすい傾向がある。特に、油性ボールペンでは、高筆圧で筆記することも多いため、油性ボールペンでは効果的である。また、前記水酸基量40mol%を越えるポリビニルブチラール樹脂を用いると、吸湿量が多くなりやすく、油性インキ成分との経時安定性に影響が出やすいため、水酸基量40mol%以下のポリビニルブチラール樹脂が好ましい。そのため、水酸基量30〜40mol%のポリビニルブチラール樹脂が好ましく、さらに好ましくは、水酸基量30〜36mol%が好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂については、具体的には、積水化学工業(株)製の商品名;エスレックBH−3(水酸基量:34mol%、平均重合度:1700)、同BH−6(水酸基量:30mol%、平均重合度:1300)、同BX−1(水酸基量:33±3mol%、平均重合度:1700)、同BX−5(水酸基量:33±3mol%、平均重合度:2400)、同BM−1(水酸基量:34mol%、平均重合度:650)、同BM−2(水酸基量:31mol%、平均重合度:800)、同BM−5(水酸基量:34mol%、平均重合度:850)、同BL−1(水酸基量:36mol%、平均重合度:300)、同BL−1H(水酸基量:30mol%)、同BL−2(水酸基量:36mol%、平均重合度:450)、同BL−2H(水酸基量:29mol%)、同BL−10(水酸基量:28mol%)などや、クラレ(株)製の商品名;モビタールB20H(水酸基量:26〜31mol%、平均重合度:250〜500)、同B30T(水酸基量:33〜38mol%、平均重合度:400〜650)、同B30H(水酸基量:26〜31mol%、平均重合度:400〜650)、同B30HH(水酸基量:30〜34mol%、平均重合度:400〜650)、同B45H(水酸基量:26〜31mol%、平均重合度:600〜850)、同B60T(水酸基量:34〜38mol%、平均重合度:750〜1000)、同B60H(水酸基量:26〜31mol%、平均重合度:750〜1000)、同B75H(水酸基量:26〜31mol%、平均重合度:1500〜1750)などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
ケトン樹脂については、インキ漏れ抑制、さらに、泣きボテを抑制する効果が得られやすいため、好ましい。特に、泣き・ボテ抑制をより考慮すれば、重量平均分子量が500〜5000であることが好ましい。これは、上記範囲であれば、インキのはい上がりを抑制しやすく、泣き・ボテを抑制する効果が得られやすく、より考慮すれば、重量平均分子量が500〜3500であることが好ましく、インキ中で溶解安定することで、経時性を考慮すれば、重量平均分子量が1000〜2000であることが好ましい。
さらに、潤滑性を考慮すれば、芳香環骨格(フェニル基、アセトフェノン基、ナフタレン基などベンゼン環を有する)やシクロヘキサン骨格(シクロヘキサン基、シクロヘキサノン基などシクロヘキサン環を有する)などの環状構造を有するケトン樹脂を用いることが好ましい、これは、環状構造を有するケトン樹脂によるクッション効果が得られ、潤滑性を向上し、筆跡カスレなどを抑制しやすいためで、より好ましくは、芳香環を有するケトン樹脂の方が、二重結合構造を多数有するため、より強いクッション効果が得られやすいため、好ましい。
前記樹脂の総含有量は、インキ組成物全量に対し、1.0質量%より少ないと、樹脂被膜形成量が足りないおそれがあり、インキ漏れ抑制性能が劣りやすく、40.0質量%を越えると、インキ追従性能、インキ中で溶解性が劣りやすいため、インキ組成物全量に対し、1.0〜40.0質量%が好ましい。さらに、インキ漏れ抑制性能を考慮すれば5.0質量%以上が好ましく、30.0質量%を越えると、インキ粘度が高くなりすぎて、筆跡カスレなどの筆記性能やインキ追従性能に影響する傾向があるため、5.0〜30.0質量%が好ましい。
また、本発明による筆記具用インキ組成物には、その他の添加剤として、潤滑性やインキ経時安定性を向上させるために、(i)界面活性剤、例えば脂肪酸アルカノールアミド、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤や、陰イオン性界面活性剤および/または陽イオン性界面活性剤の造塩体を、(ii)粘度調整剤、例えば脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油、アルキレンオキサイド共重合体などの擬塑性付与剤、また、(iii)着色剤安定剤、(iv)可塑剤、(v)キレート剤、または(vi)助溶剤としての水などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
擬塑性付与剤を用いる場合は、立体網目構造を形成しやすく、インキ追従性能に影響を及ぼしやすいため、本発明で用いるエチレンオキサイド重合体との相性を考慮すれば、同じ骨格であるアルキレンオキサイド共重合体を用いることが好ましく、より相性による安定性を考慮すれば、同じエチレンオキサイド鎖を有するため、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイドブロック共重合体などのエチレンオキサイドを有するアルキレンオキサイド共重合体を用いることが好ましい。
(ボールペンチップ)
本発明では、上記のようにボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量を5〜25μmとするが、さらに、上記のようなA/Bを、10≦A/B≦80の関係に設定しやすくして、泣きボテを抑制し、インキ追従性能、筆跡にカスレや線割れのない良好な筆跡とすることを考慮すれば、前記ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量を5〜20μmとすることが好ましく、より考慮すれば、前記縦軸方向の移動量を5〜16μmとするのが好ましく、さらに筆跡にカスレや線割れのない良好な筆跡とすることを考慮すれば、7〜13μmとするのが好ましい。
また、本発明で用いるボールペンチップのボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1〜12nmに設定することが好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が0.1nm未満だと、ボール表面に十分にインキが載りづらく、筆記時に筆跡にカスレ、線とびが発生しやすく、算術平均粗さ(Ra)が12nmを越えると、ボール表面が粗すぎて、ボールとボール座の回転抵抗が大きいため、潤滑性が劣りやすく、書き味が劣りやすく、筆跡にカスレ、線とびが発生しやすいためで、より考慮すれば、前記算術平均粗さ(Ra)が0.1〜10nmであることが好ましい。また、ボール表面にインキが載りやすいことで、筆跡にカスレ、線とびなどの筆記性を向上することを考慮すれば、3nm以上とすることが好ましく、より考慮すれば、5nm以上とすることが好ましい。なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)で求めることができる。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。
また、ボールの直径は、特に限定されないが、ボールの直径が大きいと、ボールペンチップ本体とボールとの隙間からインキ漏れがしやすく、筆記先端部の乾燥時に書き出し性能が劣りやすいため、ボール径を通常よりも大きくして、1.0mm〜2.0mmとした場合では、影響が出やすく、特に1.2mm〜2.0mmとした場合は顕著で、より効果的である。
また、ボールペンチップについては、ボールペンチップのかしめ角度については、50度〜100度とすることが好ましい。これは、かしめ角度50度以上とすると、ボールとチップ先端縁の間にインキを溜める空間を確保しやすくなり、インキがリターンしやすく、インキの這い上がりを抑制することで、泣きボテを抑制しやすくなる、さらに、筆記時に紙面の繊維を巻き込むことによる筆記性能への影響が発生しづらいためである。また、かしめ角度100度以下とすると、ボールペンチップの生産性を良好としやすいためである。より泣きボテ性能を考慮すれば、かしめ角度は、50度〜90度とすることが好ましく、さらに55度〜80度とすることが好ましい。
また、ボール出、ボール抱持室の内径は、特に限定されるものではないが、ボール出については、泣きボテを抑制しやすく、筆記性能(筆跡カスレ、線割れがない良好な筆跡)を良好としやすくするためには、ボール出は、ボール径の10〜30%であることが好ましい。また、ボール抱持室の内径については、ボール径の100〜110%、ボール座径は、ボール径の70〜95%とすることが好ましい。
実施例1
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、着色剤として染料、顔料分散体、有機溶剤、エチレンオキサイド重合体、ポリビニルブチラール樹脂、リン酸エステル系界面活性剤、有機アミンを採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP−52スピンドルを使用して、実施例1のインキ粘度を測定したところ、20℃の環境下で剪断速度5sec−1(回転数2.5rpm)にて実施例1のインキ粘度を測定したところ、インキ粘度17000mPa・sであった。
実施例1(インキ配合)
着色剤(染料、塩基性染料と酸性染料との造塩染料) 10.0質量%
着色剤(染料、塩基性染料と有機酸との造塩染料) 5.0質量%
顔料分散体(顔料分20%、キナクリドン系顔料) 10.0質量%
有機溶剤(ベンジルアルコール) 16.0質量%
有機溶剤(エチレングリコールモノフェニルエーテル) 40.0質量%
エチレンオキサイド重合体 (数平均分子量:200万、嵩密度0.4g/cm
0.05質量%
ポリビニルブチラール樹脂(水酸基量:36mol%、平均重合度:300)
15.0質量%
界面活性剤(リン酸エステル系界面活性剤) 2.0質量%
有機アミン(オキシエチレンアルキルアミン) 2.0質量%
実施例2〜13
表1に示すように、インキ成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様な手順でインキ配実施例2〜13の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
比較例1〜4
表に示すように、インキ成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1〜4の筆記具用インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
Figure 2019111788
Figure 2019111788
試験および評価
実施例1〜13および比較例1〜4で作製した油性ボールペン用インキ組成物(0.27g)をインキ収容筒(ポリプロピレン製)2に収容し、ボール径がφ0.7mmのボール3を回転自在に抱持したボールペン用チップ4(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの縦軸方向の移動量:8μm、かしめ角度:75度、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):5nm)を装着した油性ボールペン用レフィル1に充填し、油性ボールペンを作製した。なお、筆記試験用紙としては、筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
具体的には、ボールペンチップ4は、φ2.3mm、硬度が230Hv〜280Hvのステンレス鋼線材を所望の長さに切断し、ボール抱持室6、インキ流通孔7と、インキ流通孔7から放射状に伸びるインキ流通溝8を作製後、ボール抱持室6の底壁に、略円弧面状のボール座9を形成してある。その後、超硬材のボール3をボール座9に載置し、チップ先端部5を内側へかしめる。
また、ボール3が、ボール座9に載置している状態のチップ先端より臨出するボール出Hは、ボール径の25%、かしめ角度αは75度、ボール3のボールの縦軸方向の移動量は8μm、ボール抱持室の内径は、ボール径の102%、ボール座9の径は、ボール径の80%としてある。
泣き、ボテ試験:20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、100m走行試験を行った。
筆跡に泣き、ボテがなかったもの ・・・◎
筆跡の泣き、ボテが若干発生したが、実用上問題ないレベルであったもの ・・・○
筆跡の泣き、ボテが発生し、ひどかったもの ・・・×
インキ追従性能試験:手書きにて連続早書き筆記を10秒間行った。
筆跡カスレ、線とびがないもの ・・・◎
筆跡カスレ、線とびが若干あったが、実用上問題ないレベルであったもの ・・・○
筆跡カスレ、線とびがあったもの ・・・△
筆跡カスレ、線とびがひどかったもの ・・・×
筆記性能試験:20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、100m走行試験を行った。
筆跡カスレ、線とびがないもの ・・・◎
筆跡カスレ、線とびが若干あったが、実用上問題ないレベルであったもの ・・・○
筆跡カスレ、線とびがあったもの ・・・△
筆跡カスレ、線とびがひどかったもの ・・・×
インキ漏れ抑制試験:30℃、85%RHの環境下にペン先下向きで7日放置し、チップ先端からのインキ漏れを確認した。
チップ先端のインキ滴がないもの ・・・◎
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/4以内のもの ・・・○
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/4以上、1/2以内のもの ・・・△
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/2以上のもの ・・・×
実施例1〜13では、泣き、ボテ試験、インキ追従性能試験、筆記性能試験、インキ漏れ抑制試験ともに良好な性能が得られた。
実施例1〜3について、前記油性ボールペンの100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、A/Bの関係を算出したところ、以下のような結果となった。
実施例1:A=36(mg) B(mm)=0.7(mm) A/B=51
実施例2:A=45(mg) B(mm)=1.6(mm) A/B=28
実施例3:A=20(mg) B(mm)=0.5(mm) A/B=40
比較例1〜2では、エチレンオキサイド重合体を用いなかったため、泣きボテ試験やインキ追従試験が劣ってしまった。
比較例3では、ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が大きすぎたため、泣きボテ試験やインキ追従性能試験が劣ってしまった。
比較例4では、ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が小さすぎたため、筆記性能試験が劣ってしまった。
また、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具(出没式ボールペン)を用いた場合では、インキ漏れ抑制性能が最も重要な性能の1つであるため、本発明のように筆記先端部の間隙からインキ漏れ(ボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)を抑制して、インキ漏れ抑制性能が良好とすることが可能である本発明のような油性ボールペン用インキ組成物を用いると効果的である。
本発明のように、インキ漏れ抑制や、書き出し性能を向上するためには、ボールペンチップ先端に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接又は押圧体を介してチップ先端縁の内壁に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備し、チップ先端の微少な間隙も非使用時に閉鎖することが好ましい。
また、本実施例では、便宜上、軸筒内に、油性ボールペン用インキ組成物を直に収容した油性ボールペン用レフィルを収容した油性ボールペンを例示しているが、本発明の油性ボールペンは、軸筒をインキ収容筒とし、軸筒内に、油性ボールペン用インキ組成物を直に収容した直詰め式のボールペンであってもよい。
また、本実施例では便宜上、線材を切削によって形成したボールペンチップを例示しているが、パイプ材を押圧加工によって形成するボールペンチップであってもよい。
本発明は、ボールペンとして利用でき、さらに詳細としては、キャップ式、出没式等のボールペンとして広く利用することができる。
1 ボールペンレフィル
2 インキ収容筒
3 ボール
4 ボールペンチップ
5 チップ先端部
6 ボール抱持室
7 インキ流通孔
8 インキ流通溝
9 ボール座
10 油性ボールペン用インキ
H ボール出
α カシメ角度

Claims (5)

  1. インキ収容筒の先端部にボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に油性ボールペン用インキ組成物を収容してなる油性ボールペンであって、前記ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量が、5〜25μmであり、かつ、油性ボールペン用インキ組成物が、着色剤、有機溶剤、エチレンオキサイド重合体を含んでなることを特徴とする油性ボールペン。
  2. 前記エチレンオキサイド重合体の数平均分子量が、50万〜500万であることを特徴とする請求項1に記載の油性ボールペン。
  3. 前記エチレンオキサイド重合体の含有量が、インキ組成物全量に対して、0.01〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の油性ボールペン。
  4. 前記油性ボールペン用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
  5. 20℃、5sec−1における油性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、50000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
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