JP2019110749A - ワイヤハーネスの端末保護材、ワイヤハーネス、及びこれを用いた保護方法 - Google Patents

ワイヤハーネスの端末保護材、ワイヤハーネス、及びこれを用いた保護方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電線の曲げ部の保護が多種類のカバー材を必要とすることなく汎用性高く行えるとともに、作業性の向上を図れるようにする。【解決手段】コネクタ14が接続された電線束13のコネクタ側の端末に電線12が曲がる曲げ部13aを有したワイヤハーネス11における電線側に固定されて曲げ部13aを覆うワイヤハーネスの端末保護材15を、折り曲げ可能な材料でシート状に形成する。端末保護材15の形状は、曲げ部13で曲げられた電線12の延びる方向を仮想軸31として二つ折りして曲げ部13aを覆ったときに仮想軸31の両側に曲げ部13aの側面視形状と相応する形状の片側覆い部32を有する形状であり、外周縁の一部には、仮想軸31で二つ折りして曲げ部13aを覆ったときにコネクタ14における電線引き出し面14aに対向する対向辺33を有する。【選択図】図1

Description

この発明は、ワイヤハーネスの端末を保護する技術に関し、より詳しくは、コネクタが接続された電線束の端末に電線が曲がる曲げ部を有したワイヤハーネスのコネクタ根元部分の保護に関する。
コネクタの電線引き出し部近傍で電線が曲げられている構造、いわゆる横出しコネクタでは、防塵等の目的で電線を保護するとともに、電線束の曲げ形状や電線束の向きを規制するために電線の曲げ部にカバーを被せることが行われている。
このようなカバーとして、これまで下記特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1のカバーは、コネクタに嵌合される部分と、曲げ部を収納する部分と、電線を引き出す部分を有する構造であり、一対の本体カバーと蓋カバーからなる合成樹脂成型品である。
このため、コネクタの大きさ・形状や曲げ部の角度、電線束の太さごとに専用のカバーが必要になり、種類の増大や製造金型の数の増大が問題となる。
また、横出しコネクタではなく、電線束がコネクタに対して真っ直ぐに接続されるものであるが、下記特許文献2に開示されているように電線束のコネクタ側の端末をシート材(PVCシート)で覆う構造もある。シート材は、平面視台形に形成されており、斜めの辺に粘着剤が塗布されている。シート材の固定は、粘着剤を利用してシート材の両端部をそれぞれ、コネクタの端部と電線を保護する保護チューブの端部に被せた状態に巻装するというものである。シート材の固定に際してはシート材で覆う部分の電線長さを緊張状態にならないように管理する。このためシート材の固定によって、電線が緊張状態になることなく保護される。
しかし、この場合も、シート材はコネクタの端部に被せるので、シート材の形状をコネクタごとに対応させる必要が生じる点は、特許文献1の場合と同様である。また、この手法で電線の曲げ部を覆うと、シート材をコネクタの端部に被せることが困難になり、また、シート材をコネクタの端部に被せた状態で電線を曲げると、シート材が破損するおそれがある。
特開2012−234659号公報 特開平11−213786号公報
この発明は、電線の曲げ部の保護が、コネクタに対応した多種類のカバー材を必要とすることなく汎用性高く行えるとともに、作業性の向上を図れるようにすることを主な目的とする。
そのための手段は、コネクタが接続された電線束の前記コネクタ側の端末に電線が曲がる曲げ部を有したワイヤハーネスにおける前記電線側に固定されて前記曲げ部を覆うワイヤハーネスの端末保護材であって、折り曲げ可能な材料でシート状に形成され、前記曲げ部における電線の接線方向または前記曲げ部近傍における電線の長手方向を仮想軸として二つ折りして前記曲げ部を覆ったときに前記仮想軸の両側に前記曲げ部の側面視形状と相応する形状の片側覆い部を有する形状に形成され、外周縁の一部に、前記仮想軸で二つ折りして前記曲げ部を覆ったときに前記コネクタにおける電線引き出し面に対向する対向辺が形成されたワイヤハーネスの端末保護材である。
前記の「電線側」とは、コネクタ側ではないという意味であり、ここでは電線束(電線1本で構成される場合も含む)を指す。また電線束が外装体を備えている場合には外装体を指すこともある。前記の「側面視形状と相応する形状の片側覆い部」とは、予め相応する形状となっている場合のほか、切り込みまたは折り目などが形成されており一部を折り返すと相応する形状となる場合のように、相応する形状に変形可能な場合も含む意味である。前記の「相応する形状」とは、相応しい形状の意味であり、適合する形状よりも幅をもっており、類似する形状などの実質的に適合する形状を包含するものである。前記の「対向する」とは、電線引き出し面に対する接触の有無は問わず、電線引き出し面に対して近接する場合や当接する場合を含む意味である。
また、前記の「前記曲げ部における電線の接線方向」は、曲げ部でコネクタの引き出し方向を基準に曲げられた電線の延びる方向であり、電線束の延びる方向を含み、コネクタの電線の引き出し方向を含まない。なお、曲げ部が弧を描く場合には、電線の延びる方向は、曲げ部の接線方向を含む。
この構成では、電線の曲げ部における電線の接線方向(コネクタの電線引き出し方向を基準として曲げられた電線の延びる方向)または前記曲げ部近傍における電線の長手方向を仮想軸として、電線の曲げ部に配置された端末保護材を仮想軸で折り曲げた際に、仮想軸の両側の一対の片側覆い部が曲げ部を電線に沿って覆うとともに、対向辺を電線引き出し面に対向させる。そして対向辺は、電線束とコネクタとの相対変位に際して電線引き出し面に当たって相対変位を阻止または抑制する。片側覆い部は曲げ部の側面視形状に相応する形状であるので、過剰な余剰部分が存在することはなく、曲げ部に被せてから固定するという簡単な作業で保護が完了する。しかも固定は、電線側に対してのみ行われ、コネクタ側に対しては不要である。
つまり、ワイヤハーネスの端末保護材は電線側のみに固定されて、コネクタに対しては対向辺を対向させるだけであるので、コネクタに対応させて複数種類の端末保護材を用意せずとも態様の異なるワイヤハーネスの端末保護が可能であり、汎用性が高い。
また、ワイヤハーネスの端末保護材の片側覆い部は、曲げ部の側面視形状と相応する形状であるので、曲げ部を被覆した際に過剰な余剰部分ができないため、装着作業において工程を最小限にすることができて、作業性の向上を図れる。
この発明の態様として、前記端末保護材の形状は、前記仮想軸に対して実質的に線対称であるとよい。この場合、前記対向辺は前記仮想軸と実質的に対称な位置にそれぞれ1本ずつ形成され、端末保護材が仮想軸で二つ折りされることで、それぞれの対向辺がコネクタの電線引き出し部とほぼ同じ位置関係になり、簡単かつ効果的に曲げ部を覆うことができる。また、仮想軸は電線引き出し面に対して斜めに設定されることになるので、曲げ部の外側に対応する部分の存在を削減可能であり、端末保護材の大型化が抑制される。
この発明の態様として、前記対向辺は直線状であるとよい。直線状の対向辺は、形状を簡素にし、製造を容易にするとともに、電線引き出し面の大きさに関わらず広く均等に対向可能であり、作業性の向上を図れるほか、端末保護材の汎用性を高める。なお、対向辺は直線状である必要はなく、コネクタの電線引き出し部の形状に対応させて、曲線状や階段状などの形状とすることも可能である。
この発明の態様として、前記仮想軸上の一端側に、前記電線側に巻き付けられる大きさの固定部が形成されたものとしてもよい。固定部は固定する部位を明確にするとともに、一定の固定状態を得ることに資する。
この発明の態様として、前記仮想軸上に折り目が形成されたものとすることができる。折り目は、折り曲げ作業を容易にするとともに、電線側への固定時に形状を維持する働きをする。
この発明の態様として、前記対向辺の近傍に粘着剤が備えられるものとすることができる。曲げ部に対する固定に際して粘着剤が機能し、適切で簡単な作業を実現させる。
別の手段は、前記のワイヤハーネスの端末保護材を用いたワイヤハーネスの端末保護構造である。
別の手段は、前記ワイヤハーネスの端末保護構造を備えたワイヤハーネスである。
この発明の態様として、前記対向辺が前記電線引き出し面に対して接触しているものとするとよい。対向辺は電線引き出し面に対して接触しているので、より積極的に相対変位を規制する。
別の手段は、前記のワイヤハーネスの端末保護材を、前記仮想軸に沿って折り曲げる二つ折り工程と、前記ワイヤハーネスの端末保護材を前記曲げ部に対して上から被せて前記曲げ部を覆うとともに前記対向辺を前記電線引き出し面に対向させる被覆工程と、前記電線引き出し面に対する前記対向辺の対向状態を保ちつつ前記ワイヤハーネスの端末保護材を前記電線側に固定する固定工程を有するワイヤハーネスの端末保護方法である。
この構成では、ワイヤハーネスの端末保護材を曲げ部に被せて電線側に固定するだけの簡単な作業でワイヤハーネスの端末保護が可能である。
この発明の態様として、前記被覆工程で、前記対向辺を前記電線引き出し面に接触させるとよい。対向辺は電線引き出し面に対して接触しているので、作業性は変わらずとも、より積極的に相対変位を規制する。
この発明の態様として、前記被覆工程で、前記対向辺を前記電線引き出し面に対して付勢力を作用させて接触させるものとしてもよい。対向辺は電線引き出し面に対して押圧する力を作用させて積極的に相対変位を規制する。
この発明によれば、電線の曲げ部の保護が多種類のカバー材を必要とすることなく汎用性高く行えるとともに、作業性の向上を図ることができる。
ワイヤハーネスの端末の側面図。 ワイヤハーネスの端末保護材の裏面側を示す斜視図。 ワイヤハーネスの端末保護材の表面図。 他の例に係るワイヤハーネスの端末保護材の裏面側を示す斜視図。 ワイヤハーネスの端末保護方法の説明図。 ワイヤハーネスの端末保護方法の説明図。 ワイヤハーネスの端末保護材の調整方法を示す説明図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定状態を示す一部断面斜視図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定状態を示す一部断面斜視図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す側面図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す側面図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す側面図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す側面図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す側面図。 ワイヤハーネスの端末保護材とその固定態様を示す説明図。 ワイヤハーネスの端末保護方法の説明図。 他の例に係るワイヤハーネスの端末保護材の裏面側を示す斜視図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す側面図。 他の例に係るワイヤハーネスの端末保護材の裏面側を示す斜視図。 図19に示したワイヤハーネスの端末保護材の表面図。 図19に示したワイヤハーネスの端末保護方法の説明図。 図19に示したワイヤハーネスの端末保護方法の説明図。 他の例に係るワイヤハーネスの端末保護材の表面図。 他の例に係るワイヤハーネスの端末保護材とその固定態様を示す説明図。 ワイヤハーネスの端末保護材の固定態様の一例を示す説明図。 ワイヤハーネスの端末保護材の説明図。
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1に、ワイヤハーネス11の端末部分の側面図を示す。ワイヤハーネス11は、複数本の電線12を束ねた電線束13と、電線12の端末に接続された端子(図示せず)をキャビティ14b(図8参照)に挿入保持したコネクタ14を備えている。そして電線束13におけるコネクタ14側の端末に、コネクタ14の電線引き出し面14aの近傍において電線12を曲げた曲げ部13aが形成されている。
曲げ部13aは、ワイヤハーネス11の配索に対応させて電線束13の引き出し方向を横にしたり、コネクタ14の電線引き出し面14aから真っ直ぐに、つまり電線引き出し面14aに対して垂直な方向に電線12を引き出すと他との干渉を引き起こしたりする場合に形成される。このため、曲げ部13aの角度は、図1に示したような直角に近い角度に曲げるほか、鋭角や鈍角に曲げられる場合もある。
ワイヤハーネス11のコネクタ根元部分、つまり電線12における前述の曲げ部13aを、防塵等の目的で保護したり、曲げ部13aの曲げ形状や電線束13の向きを規制したりするため、曲げ部13aにはワイヤハーネスの端末保護材15(以下、「端末保護材」という。)が装着されている。
端末保護材15は曲げ部13aを覆うものであって、折り曲げ可能な材料でシート状に形成されている。端末保護材15に用いる材料は、前述のように折り曲げ可能であるとともに、より好ましくは、必要に応じて鋏やカッターなどで適宜に切断可能なものであるとよい。具体的には例えば、コネクタ14よりも軟質な材料としては、合成樹脂シートや合成ゴムシート、天然ゴムシートなどがあげられる。その他、使用環境や要求性能により、アラミドクロスなどの繊維布を用いてもよい。シールド効果を発揮させる目的で、カーボンクロスなどの導電性を有する材料を用いてもよい。また、織物や不織布などの繊維布に合成樹脂やゴムなどを積層した防水布などのような複合材料を用いることもできる。
端末保護材15の形状は、曲げ部13aにおける電線12の接線方向または曲げ部13aの近傍における電線12の長手方向を仮想軸31として二つ折りして曲げ部13aを覆ったときに仮想軸31の両側に曲げ部13aの側面視形状と相応する片側覆い部32を有する形状である。例えば、端末保護材15は図2の斜視図に示すような形状に形成されている。なお、図2は端末保護材15の裏面を示す斜視図であり、図2中の仮想線(二点鎖線)は前述の仮想軸31を示す。
ここで、「曲げ部13aにおける電線12の接線方向」とは、曲げ部13aでコネクタの引き出し方向を基準に曲げられた電線12の延びる方向であり、電線束13の延びる方向を含み、コネクタ14の電線の引き出し方向を含まない。なお、曲げ部13aが弧を描く場合には、電線12の延びる方向は、曲げ部13aの接線方向を含む。
すなわち、曲げ部13aの側面視形状は、コネクタ14の電線引き出し面14aに対応する部分を一端として、この一端から円弧を描くように延びたのち直線状部分13b(図1参照)に接続する形状となる。前述の直線状部分13bは、電線12が揃えられて集合している部分であり、電線束13の一部である。
曲げ部13aが前述のような形状であるため、端末保護材15の片側覆い部32は、二等辺三角形の頂点以外の二つの角部を切り欠いたような形状を包含し得る形状であるとともに、曲げ部13aの側面視形状に相応する形状である。端末保護材15は全体として、前述のような形状の片側覆い部32が仮想軸31を挟んで左右対称に備えられた形に形成される。
また、端末保護材15の外周縁の一部には、仮想軸31で二つ折りして曲げ部13aを覆ったときにコネクタ14における電線引き出し面14aに対向する対向辺33を有する。対向辺33は直線状である。
図2に示した端末保護材15の対向辺33は、互いに交差する方向に延びるものであるとともに、端末保護材15の形状は、仮想軸31に対して実質的に線対称であることが好ましい。この場合、対向辺33は仮想軸31と実質的に対称な位置にそれぞれ1本ずつ形成されている。具体的には、端末保護材15は平面視略ひし形の本体部34を有する。つまり、本体部34を構成する外周縁の2辺が前述の対向辺33であり、一端が互いに接する対向辺33の間に、前述の仮想軸31が存在することになる。
また、対向辺33間における仮想軸31上の端部に、電線側に巻き付けられる大きさの固定部35が形成されている。図1に示した例では、固定部35を電線束13の直線状部分13bに直接巻き付けた例を示しており、このようにする場合には、固定部35は、少なくとも電線束13の直線状部分13bに巻き付けられる大きさとする。
図2の端末保護材15では、前述のように2本の対向辺33が一端同士を接した形状であるので、対向辺33同士が接する箇所とは反対側に固定部35を有することになる。固定部35は、方形状に形成されている。固定部35は方形状以外の形状であってもよいが、方形状であることが、加工が容易であるなどの観点から好ましい。
図2に例示した端末保護材15の形状・大きさを、図3を用いて具体的に説明する。図3は端末保護材15の表面図であり、前述のように、略ひし形の本体部34と方形状の固定部35を一体化させた形状である。端末保護材15の長さ、つまり本体部34と固定部35を合わせた長さL1は、側面視円弧を描く曲げ部13aの外周側の長さよりも長く設定される。具体的には曲げ部13aの外周側の長さに直線状部分13bの端部の適宜長さを加えた長さとする。
本体部34の対向辺33の長さL2は、コネクタ14との接触に関係するものであり、コネクタ14の電線引き出し面14aにおける対向辺33の長さ方向と対応する方向の長さ(電線引き出し面14aの長さ)と同程度の長さか、電線引き出し面14aの長さよりも長く設定される。
固定部35の長さL3は、電線束13に対して固定部35を安定して固定できる長さであって、例えば、固定手段の幅よりも長く設定する。固定手段が粘着テープ51(図1参照)の場合には、粘着テープ51の幅の1.5倍〜3倍程度が好ましい。
固定部35の幅W1は、電線側の太さに関係するものであり、少なくとも電線束13の直線状部分13bに巻き付けられた際に、端末保護材15が固定されるように適宜設定可能である。例えば、端末保護材15を電線束13の直線状部分13bの動きに追従するように固定する目的などにより、固定部35の幅W1を電線束13の直線状部分13bの外周長さよりも長く設定する、すなわち電線束13の直線状部分13b上で重なるように設定することがある。
また、端末保護材15を電線束13の直線状部分13bの動きに追従させないように固定する目的などにより、固定部35の幅W1を電線束13の直線状部分13bの外周方向で固定部35が重ならないような長さ(例えば、電線束13の直線状部分13bの外周の半周以上一周未満の長さ)に設定することがある。
対向辺間の角度αは、曲げ部13aの曲げ角度(電線引き出し面14aからの仰角)や曲げ部13aの大きさに関わるものであり、複数の態様の曲げ部13aを許容できるように設定される。曲げ部13aの曲げ角度や曲げ形状により、対向辺間の角度αは適宜設定される。図1に示したように曲げ部13aの曲げ角度が90度ほどの場合には、端末保護材15の本体部34と固定部35との境界での曲げ状態を適切にするため、角度αは、40度から80度くらいに設定するとよい。
端末保護材15の厚さは、材料によっても異なるが、例えば黒色を呈する軟質の塩化ビニルなどの合成樹脂シートの場合、例えば0.3mmから0.5mmとするとよい。その他の一般的な材料でも端末保護材15の厚さは、0.2mm〜1.0mm程度にするのが好ましく、曲げ部13aの形状保持のためには、0.3mm〜1.0mm程度が好ましい。端末保護材15の曲げ加工をしやすくする観点からは、0.2mm〜0.7mm程度が好ましい。
このような形状の端末保護材15の裏面における対向辺33の近傍には、図2、図3に示したように、粘着剤36が備えられる。粘着剤36は、あらかじめ塗布されて離型紙(図示せず)を貼り付けたものであっても、固定に際して塗布されるものであってもよい。図2の例では、粘着剤36は対向辺33の固定部35側の角に備えられる。
また、仮想軸31上に、図4に示したように折り目37を形成してもよい。図4は端末保護材15の裏面を示す斜視図であり、裏面を重ね合わせる方向に折り曲げ可能な折り目37が形成されている。折り目37は、打ち抜くなどして端末保護材15を形成した後に、熱を加えながら加圧するなどの予備成形で形成される。折り目37は、図4に示したように一筋形成するほか、複数本を併設したものであってもよい。折り目37の存在で、折り曲げ作業が容易になるうえに、折り曲げた状態で折り目37が補強として機能し、曲げ部13aを被覆した装着時に、被覆形態を維持する。
以上のように構成された端末保護材15は、次の工程を経てワイヤハーネス11の曲げ部13aに装着されてワイヤハーネス11の端末保護を行う。
すなわち、端末保護材15を仮想軸31に沿って折り曲げる二つ折り工程、端末保護材15を曲げ部13aに対して上から被せて曲げ部13aを覆うとともに対向辺33を電線引き出し面14aに対向させる被覆工程、電線引き出し面14aに対する対向辺33の対向状態を保ちつつ端末保護材15を電線側に固定する固定工程である。
図5及び図6に、ワイヤハーネス11の端末保護方法を示す。まず、端末保護材15を用意する(図5(a),図6(a))。このとき、図6(a)において破線で示すように端末保護材15を仮想軸31で折り曲げる。なお、図6(a)は図5(a)におけるa−a矢視断面図を示し、図6(b),(c)は図5(c)におけるb−b矢視断面図を示している。また、図6(b)は折り曲げた端末保護材15を曲げ部13aに被せた状態のb−b矢視断面図を示し、図6(b)は曲げ部13aに被せた端末保護材15の対向する片側覆い部32同士を粘着剤36で接合する前の状態のb−b矢視断面図を示している。
また、必要であれば、コネクタ14の長さや電線束13の太さに合わせて端末保護材15の大きさを大まかに調整することができる。調整は、図3を用いて説明した各部の機能の観点から一部を切除して行う。なお、工程数を必要最低限とする観点からは、調整を行わないことが好ましい。
図7は調整の一例を示しており、コネクタ14の長さに対して端末保護材15の対向辺33の長さが長すぎる場合に、対向辺33の長さを短くする例を示している。つまり、対向辺33の固定部35側の端を短くする位置で仮想軸31側に向けて切り込むとともに、固定部35の両側縁に沿って本体部34側に切り込みを行って、本体部34の固定部35側の両角を切除する。必要であれば、切除によって仮想軸31方向に長くなった固定部35の長さを短くしてもよい。
このあと、前述の二つ折り工程を経て(図5(b))、端末保護材15を曲げ部13aに対して上から被せる(図6(b))。そして、端末保護材15の対向辺33をコネクタ14の電線引き出し面14aに対向させる被覆工程を行う(図5(c))。このときに、対向辺33の固定部35側の角に設ける粘着剤36で対向する片側覆い部32同士を接合し合う(図6(c))。これによって、端末保護材15の曲げ部13aに対する仮止め状態が得られ、適切で簡単な被覆作業に資する。
対向辺33は、電線引き出し面14aに対して当接するも、近接させるもいずれでもよいが、好ましくは、対向辺33を電線引き出し面14aに接触させる。
そして電線引き出し面14aに対する対向辺33の位置関係を保ちつつ端末保護材15を電線側に固定する固定工程を行う(図5(d))。端末保護材15は固定部35を有しているので、固定する部位が明確で一定の固定状態を得やすく、作業が効率よく確実に行える。
固定工程では、固定部35を電線側に巻きつけるとともに、固定部35に対して固定手段を固定して電線側に対する固定を行う。固定対象である前述の「電線側」としては、ここでは電線束13である例を示している。
固定手段としては、最も簡単で確実な手段として粘着テープ51を採用できる。粘着テープ51は、電線束13に巻き付けた固定部35の上から電線束13に押しつけるようにして巻きつけるとともに、粘着テープ51を固定部35からはみ出させて電線束13に対して直接粘着させる。粘着テープ51が巻き付けられる部分は、電線束13のうち曲げ部13aに隣接した直線状部分13bである。このように、固定部35のみに対してではなく、電線束13に対しても粘着させて固定するのが好ましい。すなわち、固定部35の端部と電線束13の境界を跨いで粘着テープ51を巻き付けて固定するのが望ましい。
粘着テープ51の巻き付け長さは、電線束13の曲げ部13aの角度が直角に近く、電線束13の直線状部分13bが電線引き出し面14aと平行または平行に近い場合には特に、コネクタ14の側面に近い位置から電線束13の直線状部分13bにかけて比較的長めに設定される。これは、電線束13の相対変位によって端末保護材15におけるコネクタ14に接触又は近接する先端部がコネクタ14から大きく離れるのを防止するためである。
このようにして端末保護材15は、電線側に対してのみ固定され、コネクタ側に対しては固定されない。
ワイヤハーネス11の端末保護方法で得たワイヤハーネス11の端末保護構造では、図8に示したように電線束13における電線12が集合した直線状部分13bに固定された端末保護材15が、対向辺33をコネクタ14の電線引き出し面14aに押し付けるようにして曲げ部13aを覆っている。
このため、端末保護材15が曲げ部13aの外部から浸入しようとする塵などから電線12を保護することができる。同時に、対向辺33は電線束13とコネクタ14との相対変位に際して電線引き出し面14aに当接して相対変位を阻止または抑制し、曲げ部13aの曲げ形状や電線束13の向きを規制する。相対変位の阻止や抑制の程度は、端末保護材15の固定時に設定された対向辺33と電線引き出し面14aとの位置関係によって異なるものの、前述のように相対変位が制限されることにより電線12を保護することができる。対向辺33を電線引き出し面14aに接触させた場合には、より積極的に相対変位を規制できる。
また、前述のように、端末保護材15の片側覆い部32は曲げ部13aの側面視形状に相応する形状であって、被覆した際に過剰な余剰部分はできないため、曲げ部13aに被せてから固定するという簡単な作業で保護が完了する。つまり、端末保護材15の装着は最小限の工数で行えるので、作業性が良く、作業時間の短縮を図れる。
しかも端末保護材15の固定は、電線側に対してのみ行われ、コネクタ側に対しては不要であるので、この点でも作業性が良い。
さらに端末保護材15は、電線側のみに固定されコネクタ側には固定されないので、コネクタ14に合わせた形成にする必要はない。つまり、適応させるべきは電線12が引き出される部分の面積と曲げ部13aの形状であり、例えば図9に示したように、図8に示したコネクタ14と比べてコネクタ14の大きさや形状が相違しても、引き出される電線12の本数と配置が同一または近似するものであれば、同一の端末保護材15を使用して電線12を保護することができる。このように端末保護材15は汎用性が高い。
従来のように端末保護に成型品を用いると多種類のものを用意する必要があったが、この発明の端末保護材15を用いれば多種類の成型品を用意する必要性がないばかりか、低コスト化や軽量化も実現できる。特に軽量化は、自動車に搭載する部品として有益な効果である。
端末保護材15はシート状であって前述のように使用に際して必要ならば一部を切除してから固定することで、一形状の端末保護材15で複数の態様の端末保護ができるため、この点からも汎用性が高い。なお、工程数を必要最低限とする観点からは、前述の通り調整を行わないことが好ましい。
前述のように対向辺33は直線状であるため、電線引き出し面14aの大きさに関わらず広く均等に対向可能であり、この点からも汎用性を高められる。対向辺33が直線状であることからは、形状が簡素になり、製造が容易であって歩留まりが良い、装着に際して大きさの調整ができるという効果も得られる。
また、2本の対向辺33が互いに交差する方向に延びるものであるので、端末保護材15を装着するときに仮想軸31は電線引き出し面14aに対して斜めに位置することになる。このため、曲げ部13aの外周側に対応する部分の存在を削減可能であり、端末保護材15の大きさを小さく抑えることができ、この点からも歩留まりを向上できる。
なお、上述の説明では、前述の二つ折り工程で折り曲げた端末保護材15を曲げ部13aに対して上から被せ(被覆工程)、固定工程で端末保護材15を電線束13に固定したが、図6(d)に示すように、折り曲げていない端末保護材15を曲げ部13aに沿わせて配置してから、端末保護材15を仮想軸31で折り曲げて曲げ部13aを被覆し(被覆工程)、曲げ部13aを被覆した端末保護材15の固定部35で電線束13に固定してもよい(固定工程)。
図10〜図14に、端末保護材15の装着についての他の例を示す。
図10の端末保護材15は、曲げ部13aの角度がコネクタ14の電線引き出し面14aに対して角度βをなしており、図1に示した例よりも電線引き出し方向を基準とした曲げ部13aの曲げ角度が小さい例(コネクタ14の電線引き出し方向に対して鈍角に曲げられた例)を示している。端末保護材15の片側覆い部32は、曲げ部13aの側面視形状と相応する形状であるので許容性があり、このような場合でも同様の端末保護材15を用いて固定することができる。
図11の端末保護材15は、固定に際して対向辺33の固定部35側の端を巻き込みながら固定部35を電線束13に対して巻き付けて固定した例を示している。このように対向辺33の固定部35側の端も固定部35と共に固定することによって、固定状態・被覆状態の強度を高められるので、曲げ部13aの保護がより強力に行える。
図12の端末保護材15は、固定部35の上から固定手段を留め、固定手段で固定部35を締め付けて、締め付けられた固定部35によって固定した例を示している。固定手段としては図示例では粘着テープ51を示したが、例えば結束バンドやバンドクランプ(図示せず)を用いてもよい。
図13は、端末保護材15の固定対象が電線束13の直線状部分13bに装着されたコルゲートチューブなどの外装体16である例を示している。このように外装体16に固定した場合でも、端末保護材15は、外装体16から露出する曲げ部13aを前述の各実施形態と同様に保護する。なお、図13において電線束13の直線状部分13bに装着された外装体16の一部のみを図示している。
ここで、端末保護材15は、外装体16に固定される必要はなく、電線束13の直線状部分13bに固定されていてもよい。また、外装体16と電線束13の直線状部分13bの両方に固定されていてもよい。
図14は、ワイヤハーネス11の端末保護方法における被覆工程で、端末保護材15の対向辺33をコネクタ14の電線引き出し面14aに対して付勢力をもって接触させた例を示している。つまり、対向辺33を電線引き出し面14aに押し当てて当接させるとともに、端末保護材15が変形して付勢力を発揮する程度に強く圧力をかけて押し当てて、この状態を保持しつつ固定工程を行う。なお、付勢力は、電線束13の電線12の端末に接続された端子がコネクタ14のキャビティ14b(図8参照)から離脱しないように設定することが必要である。
このように対向辺33は電線引き出し面14aに対して押圧する力を作用させて積極的に相対変位を規制するので、より確実に電線12の端末の保護ができるとともに、曲げ部13aの曲げ形状や電線束13の向きを積極的に規制することができる。
また、この実施形態の応用例として、図9に示されたコネクタ14の空いたキャビティ14bを覆うようにする例もある。この場合は、曲げ部13aの領域より大きめに形成された端末保護材15を準備し、付勢力が与えられた端末保護材15の端部が、コネクタ14の電線引き出し面14aに露出するキャビティ14bを覆うようにするとよい。このようにすることで、コネクタ14の形状に合わせた成型品を準備することなく、コネクタ14の空いたキャビティ14bを覆うことができる。
つぎに、端末保護材15の他の例を説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図15は、対向辺33の近傍に粘着剤36が備えられる構成の他の例であって、対向辺33の長手方向の全体に、適宜幅の粘着剤36が備えられる。粘着剤36は、図15に示したように一対の対向辺33のうちの一方の対向辺33に沿って備えるほか、双方の対向辺33に沿って備えてもよい。
粘着剤36の粘着力は、電線束13における曲げ部13aを構成する電線12に対する固定ができる粘着力に設定される。図16(a)に示すように、端末保護材15を曲げ部13aの側方に配置し、粘着剤36の粘着により、被覆工程と固定工程において対向辺33の電線引き出し面14aに対する位置関係を決めやすく、作業性が良い。そのうえ、粘着剤36は曲げ部13aにおけるコネクタ14側の際で固定を行うため、対向辺33の近傍においても曲げ部13aとの位置関係が保持される。この結果、図16(b)に示すように、端末保護材15を仮想軸31で折り曲げて曲げ部13aを覆う際に、対向辺33の作用、つまりコネクタ14と電線束13との位置関係の維持が良好に行える。
なお、図16(a)は図15に対応し、端末保護材15を曲げ部13aの側方に配置し、粘着剤36で曲げ部13aに端末保護材15を接着した状態の左側面図を示し、図16(b)は端末保護材15を折り曲げて端末保護材15で曲げ部13aを覆った状態の左側面図を示している。
粘着剤36の粘着力は、固定部35の固定に際しての仮止め程度に、換言すれば貼り直しができる程度に低くすることも可能である。この場合でも、粘着剤36が電線12に対する位置を規定するので、被覆工程での被覆状態、つまり対向辺33の電線引き出し面14aに対する位置関係を決めやすく、作業性が良い。
図17は、対向辺33に剛性を持たせた例を示す端末保護材15の裏面側を示す斜視図である。剛性を持たせるためには対向辺33に他の部材を重ねたり、対向辺33の材質を他の部位と違えたりすることもできるが、図17の例では、材料の一部の折り返しによって対向辺33を構成している。折り返さずに、単に折り曲げるだけでもよいが、折り返して粘着や溶着などで折り返し状態を保持すると、高い剛性が得られるので良い。
図18は、1個のコネクタ14から電線12を複数方向に引き出した場合の電線12の端末を保護する例の側面図である。図18のように2方向に電線束13を引き出す場合には、1個のコネクタ14に対して2枚の端末保護材15を用いて、端末保護材15を電線側に対してそれぞれ前述と同様に固定すると、電線12の端末の保護ができる。
図19は、端末保護材15の形状の他の例を示す裏面側の斜視図である。図19に示した端末保護材15も、電線12の延びる方向を仮想軸31として二つ折りして曲げ部13aを覆ったときに仮想軸31の両側に曲げ部13aの側面視形状と相応する形状の片側覆い部32を有する形状であり、この例では、片側覆い部32が、曲げ部13aの最も外側の電線12に接して、曲げ部13aを比較的広く包含する形状に形成されている。
つまり、仮想軸31を挟んで対峙する片側覆い部32を含む全体でみると、本体部34が平面視方形状に形成されており、対向辺33が互いに並行に2本形成されている。固定部35は本体部34よりも幅狭に形成されている。
図19に例示した端末保護材15の形状・大きさを、図20を用いて具体的に説明する。図20は端末保護材15の表面図であり、前述のように、方形状の本体部34と方形状の固定部35を一体化させた形状である。端末保護材15の長さ、つまり本体部34と固定部35を合わせた長さL1は、曲げ部13aの平面視長さよりも長く設定される。具体的には曲げ部13aの平面視長さに直線状部分13bの端部の適宜長さを加えた長さとする。
本体部34の対向辺33の長さL2は、コネクタ14との接触に関係するものであり、コネクタ14の電線引き出し面14a(図21参照)に対向する対向辺33の長さ方向と対応する方向の長さ(電線引き出し面14aの長さ)と同程度の長さか、電線引き出し面14aの長さよりも長く設定される。
固定部35の長さL3は、電線束13に対して固定部35を安定して固定できる長さであって、例えば、固定手段の幅よりも長く設定する。固定手段が粘着テープ51(図21参照)の場合には、粘着テープ51の幅の1.5倍〜3倍程度に設定する。
固定部35の幅W1は、電線側の太さに関係するものであり、少なくとも電線束13の直線状部分13bに巻き付けられた際に、端末保護材15が固定されるように適宜設定可能である。例えば、端末保護材15を電線束13の直線状部分13bの動きに追従するように固定する目的などにより、固定部35の幅W1を電線束13の直線状部分13bの外周長さよりも長く設定する、すなわち電線束13の直線状部分13b上で重なるように設定することがある。
また、端末保護材15を電線束13の直線状部分13bの動きに追従させないように固定する目的などにより、固定部35の幅W1を電線束13の直線状部分13bの外周方向で固定部35が重ならないような長さ(例えば、電線束13の直線状部分13bの外周の半周以上一周未満の長さ)に設定することがある。
本体部34の幅の半分、つまり片側覆い部32の幅W2は、曲げ部13aの曲げ角度(電線引き出し面14aからの仰角)や曲げ部13aの大きさに関わるものであり、曲げ部13aの高さより幅広に設定される。
端末保護材15の厚さについては前述と同様である。
図19、図20に示したように、対向辺33の近傍部分、具体的には対向辺33における固定部35とは反対側の端に対応する部分から仮想軸31にかけての部位には、粘着剤36が備えられる。粘着剤36は前述のように予め形成されるものであっても、固定に際して塗布されるものであってもいずれでもよい。粘着剤36は一方の片側覆い部32のみに設けるほか、双方の片側覆い部32に設けてもよい。
このように構成された端末保護材15によるワイヤハーネス11の端末保護方法を図21及び図22に示す。
まず、端末保護材15を用意する(図21(a),図22(a))。このとき、必要であれば、コネクタ14や電線束13の太さに合わせて端末保護材15の大きさを大まかに調整することができる。調整は、図20を用いて説明した各部の機能の観点から一部を切除して行う。なお、工程数を必要最低限とする観点からは、前述の通り調整を行わないことが好ましい。
このあと、前述の二つ折り工程を経て(図21(b),図22(a))、端末保護材15を曲げ部13aに対して上から被せる(図22(b))。二つ折り工程において粘着剤36を用いた粘着を行っても、被せてから粘着を行ってもよい。粘着剤36による粘着を行うことで、片側覆い部32の固定部35とは反対側の辺が重なり合って剛性を増すことになる。また、粘着剤36による粘着を行うことによって、端末保護材15の曲げ部13aに対する仮止め状態を得ることもでき、この場合には適切で簡単な被覆作業に資する。なお、図22(a)は図21(b)に対応した状態の左側面図を示し、図22(b)は図21(c)に対応した状態の左側面図を示している。
そして、端末保護材15の対向辺33をコネクタ14の電線引き出し面14aに対向させる被覆工程を行う(図21(c))。対向辺33は、電線引き出し面14aに対して当接するも、近接させるもいずれでもよいが、好ましくは、対向辺33を電線引き出し面14aに接触させる。
続いて、電線引き出し面14aに対する対向辺33の位置関係を保ちつつ端末保護材15を電線側に固定する固定工程を行う(図21(d))。端末保護材15は固定部35を有しているので、固定する部位が明確で一定の固定状態を得やすく、作業が効率よく確実に行える。
固定工程では、固定部35を電線側に巻きつけるとともに、固定部35に対して固定手段を固定して電線側に対する固定を行う。固定がなされる前述の「電線側」としては、ここでも電線束13である例を示している。
固定手段としては、最も簡単で確実な手段として粘着テープ51を採用できること、固定に際しては固定部35のみに対してではなく、電線束13に対しても粘着させて固定するのが好ましいこと、端末保護材15が電線側に対してのみ固定されることは、前述と同様である。
このような構成の端末保護材15を用いたワイヤハーネス11の端末保護構造でも、前述と同様の作用と効果を有する。特に、本体部34を平面視方形状に形成し、固定部35と反対側の部位に粘着剤36を備えるので、粘着剤36で接合された片側覆い部32同士が剛性をもたらすことになり、コネクタ14との位置関係の保持が強力に行える。
また、本体部34が平面視方形状であるので、曲げ部13aよりもの外周側の部位に無駄とも思えるような部位が若干存在するが、粘着剤36で接合された辺と仮想軸31部分との協働で一層剛性が高まるため、コネクタ14と電線12との位置関係の保持をより確実なものとすることができる。
さらに、仮想軸31が電線引き出し面14aと平行になるので、本体部34の幅が十分であれば、鋭角や鈍角に曲げられるなど曲げ部13aの角度の違いにも柔軟に対応し得、この点でも汎用性が高い。
なお、このように構成された端末保護材15であっても、図6(d)に示すように、折り曲げていない端末保護材15を曲げ部13aに沿わせて配置してから、端末保護材15を仮想軸31で折り曲げて曲げ部13aを被覆し、曲げ部13aを被覆した端末保護材15の固定部35で電線束13に固定してもよい。
図23は、図19、図20に示した端末保護材15の他の例を示した表面図であり、固定部35が切り込み38によって形成される。つまり、端末保護材15は平面視方形状をなしており、固定部35を形成する側に仮想軸31に向けた適宜長さの切り込み38を有している。仮想軸31と平行な2辺のうち、切り込み38より固定部35と反対側の部分が対向辺33である。
このような構成の端末保護材15を用いたワイヤハーネス11の端末保護構造でも、前述と同様の作用と効果を有する。
図24は、端末保護材15の形状の他の例を示す裏面図と、固定態様を示す側面図であり、端末保護材15は基本的には図2、図3に示した端末保護材15と同様に互いに交差する方向に延びる2本の対向辺33を有するが、図24の例では対向辺33の端部同士が非接触である。一対の片側覆い部32における対向辺33の固定部35とは反対側の端からは、対向辺33と直角に仮想軸31に向けて延びる起立辺39が形成されている。起立辺39の長さは、対向辺33と仮想軸31の角度や、例えば鋭角や鈍角に曲げられるなど曲げ部13aの曲げ状態等に応じて複数の態様に対応できるようにしながらも曲げ部13aより外周側にできるはみ出し部分が小さくなるように設定される。
対向辺33の近傍における起立辺39側の位置から起立辺39に沿う部分には、粘着剤36が備えられる。
このような構成の端末保護材15を用いたワイヤハーネス11の端末保護構造でも、前述と同様の作用と効果を有する。特に、対向辺33に垂直な起立辺39を備え、起立辺39に沿った部位に粘着剤36を備えるので、粘着剤36で接合した部分が固定時に補強を行うとともに、図19、図20の端末保護材15に比べて端末保護材15の大きさを小さくすることができる。また、図24に示された端末保護材15は、例えば図10に示された、電線束13がコネクタ14の電線引き出し方向に対して鈍角に曲げられた例などにも好適に用いられる。
図25(a)に図示する端末保護材15は、曲げ部13aの角度がコネクタ14の電線引き出し面14aに対して鋭角状となる角度γをなしており、図1に示した例よりも電線引き出し方向を基準とした曲げ部13aの曲げ角度が大きい例(コネクタ14の電線引き出し方向に対して鋭角に曲げられた例)を示している。
このような端末保護材15の片側覆い部32は、曲げ部13aの側面視形状と相応する形状であるので許容性があり、このような場合でも同一の端末保護材15を用いて固定することができる。この場合、図25(b)に示すように、仮想軸31で折り曲げる際に、固定部35における本体部34側の部分に破線で示す山折り仮想軸31aを山折りするとともに、谷折り仮想軸31bを谷折りして、正面視において本体部34に対して固定部35が屈曲することとなる。
また、図25に図示される、コネクタ14の電線引き出し方向に対して鋭角に曲げられた例について用いられる端末保護材15としては、前述の各例のほか、図26(a)乃至(c)に示される端末保護材15を用いてもよい。
図26は、端末保護材15の形状の他の例を示す裏面図であり、端末保護材15は基本的には図24に示した端末保護材15と同様に互いに交差する方向に延びる2本の対向辺33を有し、対向辺33の端部同士が非接触である。一対の片側覆い部32における対向辺33の固定部35とは反対側の端からは、対向辺33と直角に仮想軸31に向けて延びる起立辺39が形成されている。起立辺39の長さは、対向辺33と仮想軸31の角度や、曲げ部13aの曲げ状態等に応じて複数の態様に対応できるようにしながらも、曲げ部13aより外周側にできるはみ出し部分が小さくなり、かつ端末保護材15の取付作業の作業工数の低減を図ることができるように設定される。対向辺33の近傍における起立辺39側の位置から起立辺39に沿う部分には、粘着剤36が備えられる。
なお、図26(a)および図26(b)の固定部35は、片側覆い部32と一体化しているが、実際にテープ等で固定された部分が固定部35となる。また、固定部35は、図23と同様に切り込み38等で区切られた領域として形成することも可能である。
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
例えば、端末保護材15の本体部34は、平面視ひし形状と平面視方形の例を示したが、平面視三角形状や平面視台形状とすることもできる。
11…ワイヤハーネス
12…電線
13…電線束
13a…曲げ部
14…コネクタ
14a…電線引き出し面
15…端末保護材
31…仮想軸
32…片側覆い部
33…対向辺
35…固定部
36…粘着剤
37…折り目

Claims (12)

  1. コネクタが接続された電線束の前記コネクタ側の端末に電線が曲がる曲げ部を有したワイヤハーネスにおける前記電線側に固定されて前記曲げ部を覆うワイヤハーネスの端末保護材であって、
    折り曲げ可能な材料でシート状に形成され、
    前記曲げ部における電線の接線方向または前記曲げ部近傍における電線の長手方向を仮想軸として二つ折りして前記曲げ部を覆ったときに前記仮想軸の両側に前記曲げ部の側面視形状と相応する形状の片側覆い部を有する形状に形成され、
    外周縁の一部に、前記仮想軸で二つ折りして前記曲げ部を覆ったときに前記コネクタにおける電線引き出し面に対向する対向辺が形成された
    ワイヤハーネスの端末保護材。
  2. 前記端末保護材の形状は、前記仮想軸に対して実質的に線対称である
    請求項1に記載のワイヤハーネスの端末保護材。
  3. 前記対向辺が直線状である
    請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護材。
  4. 前記仮想軸上の一端側に、前記電線側に巻き付けられる大きさの固定部が形成された
    請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネスの端末保護材。
  5. 前記仮想軸上に折り目が形成された
    請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネスの端末保護材。
  6. 前記対向辺の近傍に粘着剤が備えられる
    請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネスの端末保護材。
  7. 請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネスの端末保護材を用いた
    ワイヤハーネスの端末保護構造。
  8. 前記対向辺が前記電線引き出し面に対して接触している
    請求項7に記載のワイヤハーネスの端末保護構造。
  9. 請求項7または請求項8に記載のワイヤハーネスの端末保護構造を備えた
    ワイヤハーネス。
  10. 請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネスの端末保護材を、前記仮想軸に沿って折り曲げる二つ折り工程と、
    前記ワイヤハーネスの端末保護材を前記曲げ部に対して上から被せて前記曲げ部を覆うとともに前記対向辺を前記電線引き出し面に対向させる被覆工程と、
    前記電線引き出し面に対する前記対向辺の対向状態を保ちつつ前記ワイヤハーネスの端末保護材を前記電線側に固定する固定工程を有する
    ワイヤハーネスの端末保護方法。
  11. 前記被覆工程で、前記対向辺を前記電線引き出し面に接触させる
    請求項10に記載のワイヤハーネスの端末保護方法。
  12. 前記被覆工程で、前記対向辺を前記電線引き出し面に対して付勢力を作用させて接触させる
    請求項10に記載のワイヤハーネスの端末保護方法。
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