(実施例1)
本発明の実施例を具体的に説明する前に、本実施例の概要を説明する。実施例は、点在する小規模な太陽光発電システム、蓄電システム、燃料電池システム等の機器と、電力の需要抑制を統合して制御するVPP(Virtual Power Plant)に関する。VPPは、太陽光発電システム、蓄電システム、燃料電池システム等の機器をネットワークを介して制御することによって、これらを1つの発電所のようにまとめて機能させる。ここで、太陽光発電システム、蓄電システム、燃料電池システム等の機器は各需要家に設置される。需要家は、電力会社等からの電力の供給を受けている施設であり、例えば、住宅、事務所、店舗、工場、公園などである。このような需要家における機器は電力管理システムによって制御される。電力管理システムは、需要家における電力の消費量が大きい時間帯において蓄電システムを放電させたり、電力系統の電気料金が安価である夜間において蓄電システムを充電させたりする。
複数の電力管理システムは、群管理システムに接続される。また、群管理システムは、複数の群管理システムを統合するアグリゲータである上位システムに接続される。上位システムと群管理システムに、需要家に設置された蓄電システム等の機器を加えたものがVPPに相当する。上位システムは、市場で、あるいは事業者と相対契約で電力を取引する。また、上位システムは、電力取引市場や電力会社の送配電部門、小売電気事業者等に集約した調整力を提供する。そのため、上位システムは、市場あるいは各事業者に提供する調整力を決定し、調整力を各群管理システムに配分する。各群管理システムは、さらに調整力を各需要家に配分する。これより、群管理システムは、上位システムからの要求に応じて売電あるいは買電するように、複数の電力管理システムのそれぞれに対して制御を指示する。例えば、群管理システムは、発電所において発電される電力が逼迫する場合、蓄電システムを放電させたり、需要家における電力消費を抑制させたりするように制御することを電力管理システムに要求する。
群管理システムに複数の電力管理システムが接続され、各電力管理システムに1つ以上の蓄電システムが接続されることによって、これらは階層的に配置されている。そのため、複数の蓄電システム(以下、「蓄電システム群」ともいう)による電力の変動を群管理システムが制御するといえる。一方、電力系統における電力需要の変動は、変動周期が互いに異なった微少変動分、短周期成分、長周期成分の合成によって示される。なお、これらの合成の割合は状況に応じて異なり、例えば、電力需要は変動しながら増加する。電力需要の増減に応じて、群管理システムが複数の蓄電システムを一斉に充放電させると、電力の変動が大きくなり電力系統が不安定となる。そのため、電力需要の増減の速度に応じて、電力の変動速度も調節されることが望ましい。
このような状況に対応するために、本実施例では、上位システムが、電力需要の増減の速度に応じた蓄電システム群による電力の変動速度を導出する。群管理システムは、上位システムにおいて導出した蓄電システム群による電力の変動速度をもとに、各蓄電システムにおける電力の変動速度を導出する。電力管理システムは、群管理システムにおいて導出した各蓄電システムにおける電力の変動速度に応じて蓄電システムからの充放電を制御する。
図1は、VPPシステム100の構成を示す。VPPシステム100は、上位システムサーバ10、群管理システムサーバ12と総称される第1群管理システムサーバ12a、第2群管理システムサーバ12b、第M群管理システムサーバ12m、電力管理システムサーバ14と総称される第1電力管理システムサーバ14a、第2電力管理システムサーバ14b、第N電力管理システムサーバ14nを含む。ここで、第1電力管理システムサーバ14aは第1需要家16aに設置され、第2電力管理システムサーバ14bは第2需要家16bに設置され、第N電力管理システムサーバ14nは第N需要家16nに設置され、第1需要家16a、第2需要家16b、第N需要家16nは需要家16と総称される。なお、群管理システムサーバ12の数は「M」に限定されず、電力管理システムサーバ14と需要家16の数は「N」に限定されない。
需要家16は、例えば、一戸建ての住宅、マンションなどの集合住宅、コンビニエンスストアまたはスーパーマーケットなどの店舗、ビルなどの商用施設、工場であり、前述のごとく、電力会社等からの電力の供給を受けている施設である。需要家16には、空調機器(エアコン)、テレビジョン受信装置(テレビ)、照明装置、蓄電システム、ヒートポンプ給湯機等の機器が設置される。これらの機器は、電力事業者等の電力系統に接続されることによって、商用電力の供給を受けて、電力を消費する。機器として、電力使用の削減量が比較的大きいと想定されるものが有用であるが、削減量があまり大きくないと想定されるものであってもよい。なお、機器に、太陽電池システム、燃料電池システム等の再生可能エネルギー発電装置が含まれてもよい。
電力管理システムサーバ14は、電力管理システムの処理を実行するためのコンピュータであり、例えば、需要家16内に設置される。電力管理システムサーバ14は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)コントローラとしての機能を有する。そのため、電力管理システムサーバ14は、HAN(Home Area Network)により需要家16内の各種機器と通信可能であり、これらの機器を制御する。電力管理システムサーバ14は、蓄電システムの動作、例えば、放電、充電を制御する。また、電力管理システムサーバ14は、需要家16に設置された機器と電力系統との間の連系を制御してもよい。電力管理システムサーバ14は、停電時に機器と電力系統との間を解列し、復電時に機器と電力系統との間を連系する。
群管理システムサーバ12は、群管理システムの処理を実行するためのコンピュータである。群管理システムサーバ12は、複数の電力管理システムサーバ14を接続することによって、複数の電力管理システムサーバ14を管理する。その結果、群管理システムサーバ12は、複数の電力管理システムサーバ14のそれぞれに接続される複数の機器を統括的に管理する。複数の群管理システムサーバ12は、上位システムサーバ10に接続される。上位システムサーバ10は、アグリゲータである上位システムの処理を実行するためのコンピュータである。前述のごとく、上位システムと群管理システムを含むVPPは、市場で、あるいは事業者と相対契約で電力を取引しており、上位システムサーバ10は、契約に応じた要求を群管理システムサーバ12に出力する。なお、1つの群管理システムサーバ12が複数の上位システムサーバ10に接続されてもよい。
このような構成によって、上位システムが管理する需要家群全体の電力需要が逼迫する場合、群管理システムサーバ12は、蓄電システムから放電した電力を需要家16内で消費させたり、需要家16内での電力消費を抑制させたりするように電力管理システムサーバ14を制御する。また、上位システムが管理する需要家群全体の発電が増加し、供給が需要を上まわる場合、群管理システムサーバ12は、蓄電システムへの充電を増やしたり、需要家16内での需要を増大させたりするように電力管理システムサーバ14を制御する。
図2は、需要家16の構成を示す。需要家16には、電力系統30、スマートメータ32、分電盤34、負荷36、蓄電システム40、電力管理システムサーバ14、例えば第1電力管理システムサーバ14aが設置される。また、蓄電システム40は、SB(Storage Battery)210、SB用DC/DC212、双方向DC/ACインバータ214、制御装置216を含む。さらに、第1電力管理システムサーバ14aには、ネットワーク18を介して群管理システムサーバ12、例えば第1群管理システムサーバ12aが接続される。なお、需要家16には、太陽電池システム、ヒートポンプ給湯機等が設置されてもよいが、ここではこれらを省略する。
電力系統30における電力需要は前述のごとく変動する。図3は、電力需要と電力変動を示す。横軸は時間を示し、縦軸は電力需要を示す。微少変動分700は数十秒程度の変動周期を有し、短周期成分702は数分程度の変動周期を有し、長周期成分704は数十分程度の変動周期を有する。つまり、微少変動分700の変動周期が最も短く、長周期成分704の変動周期が最も長い。総需要変動706は実際の電力需要の変動であり、微少変動分700から長周期成分704の合成によって示される。なお、総需要変動706における微少変動分700から長周期成分704の合成の割合は状況に応じて異なる。例えば、微少変動分700が支配的になることもあれば、長周期成分704が支配的になることもある。図2に戻る。
スマートメータ32は、電力系統30に接続され、デジタル式の電力量計である。スマートメータ32は、電力系統30から入ってくる潮流の電力量と、電力系統30へ出て行く逆潮流の電力量とを計測可能である。スマートメータ32は、通信機能を有し、電力管理システムサーバ14と通信可能である。
配電線42は、スマートメータ32と分電盤34とを結ぶ。分電盤34は、配電線42に接続されるとともに、負荷36を接続する。分電盤34は、負荷36に電力を供給する。負荷36は、配電線42を介して供給される電力を消費する機器である。負荷36は、冷蔵庫、エアコン、照明等の機器を含む。ここでは、分電盤34に1つの負荷36が接続されているが、分電盤34に複数の負荷36が接続されてもよい。
SB210は、電力を充放電可能な蓄電池であり、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、鉛蓄電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等を含む。SB210はSB用DC/DC212に接続される。SB用DC/DC212は、DC−DCコンバータであり、SB210側の直流電力と、双方向DC/ACインバータ214側の直流電力との間の変換を実行する。
双方向DC/ACインバータ214は、SB用DC/DC212と分電盤34との間に接続される。双方向DC/ACインバータ214は、分電盤34からの交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をSB用DC/DC212に出力する。また、双方向DC/ACインバータ214は、SB用DC/DC212からの直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を分電盤34に出力する。つまり、双方向DC/ACインバータ214によってSB210は充放電される。このような双方向DC/ACインバータ214の制御は制御装置216によってなされる。ここで、SB210、SB用DC/DC212、双方向DC/ACインバータ214、制御装置216は1つの筐体に格納されてもよく、その場合であっても、これを蓄電システム40と呼ぶものとする。
第1電力管理システムサーバ14aは、HAN等のネットワークを介して、スマートメータ32、蓄電システム40に接続され、それぞれと通信可能である。以下では、第1電力管理システムサーバ14aとスマートメータ32との間の通信は説明を省略する。また、第1電力管理システムサーバ14aは、ネットワーク18を介して第1群管理システムサーバ12aにも接続される。ここでは、図3に示すような総需要変動706のうち、短周期成分702による電力変動に追従するための制御を説明の対象にする。図1、図2の第1群管理システムサーバ12aが、第1電力管理システムサーバ14aから第N電力管理システムサーバ14nのそれぞれに接続された蓄電システム40を一斉に充放電させる場合、その結果は、図3の傾き制御なし電力変動710のように示される。傾き制御なし電力変動710は、短周期成分702の増減による電力の不足あるいは過剰をまかなうような形状となる。そのため、傾き制御なし電力変動710では、タイミングT1からタイミングT2の間におけるタイミングT11からタイミングT17に示されるように、短周期成分702をまたぐような階段状の増減を繰り返す。電力需要の変動に応じて電力の変動速度を制御するための処理を説明するために、ここでは、図4を使用する。
図4は、第1群管理システムサーバ12a、第1電力管理システムサーバ14a、第2電力管理システムサーバ14bの構成を示す。ここでは、一例として、図4のごとく、第1群管理システムサーバ12aに第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bが接続されている場合を示す。第1群管理システムサーバ12aは、第1通信部430、生成部432、第2通信部434を含み、第1通信部430は、受信部410、送信部412を含み、第2通信部434は、受信部420、送信部422を含む。なお、第1通信部430と第2通信部434は一体的に構成されてもよい。第1電力管理システムサーバ14aは、サービス連携部300、制御部302を含み、サービス連携部300は、受信部510、送信部512を含む。第2電力管理システムサーバ14bは第1電力管理システムサーバ14aと同一の構成を有する。以下では、説明を明瞭にするために、第1電力管理システムサーバ14aのサービス連携部300、制御部302を単に「サービス連携部300」、「制御部302」ということもある。
上位システムサーバ10は、図示しない電力系統30における交流電力の周波数を監視する。交流電力の周波数は、電力需要が増加して電力が不足すると商用電源周波数より低くなり、電力需要が減少して電力が過剰になると商用電源周波数より高くなる。そのため、上位システムサーバ10は、電力系統30における交流電力の周波数が商用電源周波数よりも低くなると、VPPシステム100に含まれた複数の蓄電システム40からなる蓄電システム群に放電させることを決定する。一方、上位システムサーバ10は、電力系統30における交流電力の周波数が商用電源周波数よりも高くなると、蓄電システム群に充電させることを決定する。
電力系統30における交流電力の周波数が商用電源周波数よりも低い場合であっても、これらの周波数のずれの大きさに応じて、電力不足の程度が異なる。例えば、これらの周波数のずれが大きい場合は、これらの周波数のずれが小さい場合よりも、電力不足の程度が大きいといえる。つまり、これらの周波数のずれが大きい場合には、これらの周波数のずれが小さい場合よりも、蓄電システム群による電力の変動速度(以下、「群変動速度」という)を速くしなければならない。これに対応するために、上位システムサーバ10は、これらの周波数のずれの大きさと、群変動速度との対応関係を予め記憶する。例えば、対応関係は、テーブルの形式で記憶されてもよく、関係式の形式で記憶されてもよい。群変動速度は、単位時間あたりの電力の増加量あるいは減少量として示され、電力の変化の傾きといえる。上位システムサーバ10は、計測した交流電力の周波数と商用電源周波数とのずれをもとに、対応関係を参照して群変動速度を決定する。上位システムサーバ10は、放電あるいは充電の指示、群変動速度が含まれたメッセージを第1群管理システムサーバ12aに送信する。
図5(a)−(f)は、VPPシステム100において使用されるメッセージのフォーマットを示す。図5(a)のごとく、メッセージでは、メッセージ種別のフィールドに続いてデータのフィールドが配置される。メッセージ種別のフィールドは、メッセージの種別を示し、データのフィールドは、通知したい、あるいは通知してほしいデータを示す。図5(b)は、群変動速度のメッセージのフォーマットを示し、メッセージ種別のフィールドには群変動速度が示され、データのフィールドには、放電あるいは充電の指示、群変動速度の値が示される。図5(b)−(f)については後述し、図4に戻る。
第1群管理システムサーバ12aの受信部410は、上位システムサーバ10から、群変動速度のメッセージを受信する。受信部410は、群変動速度のメッセージを生成部432に出力する。生成部432は、群変動速度のメッセージから、群変動速度の値を抽出し、群変動速度の値をもとに、各蓄電システム40における電力の変動速度(以下、単に「変動速度」ということもある)を導出する。例えば、生成部432は、VPPシステム100に含まれる蓄電システム40の台数を予め記憶しており、群変動速度の値を蓄電システム40の台数で除算することによって、変動速度を導出する。群変動速度が第1情報と呼ばれる場合、変動速度は第2情報と呼ばれる。
つまり、生成部432は、第2情報をもとに各蓄電システム40が充放電する場合に、蓄電システム群による電力の変動速度が第1情報に近づくように第2情報を生成する。また、生成部432は、充放電の開始時刻を決定する。生成部432は、放電あるいは充電の指示、変動速度、開始時刻を送信部422に出力する。送信部422は、放電あるいは充電の指示、変動速度、開始時刻が含まれた変動速度のメッセージを第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに送信する。なお、開始時刻は変動速度とは別のメッセージ、例えば開始時刻のメッセージに含まれてもよい。さらに、変動速度のメッセージを受信した第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bが直ちに充放電を開始するという規定があれば、開始時刻は送信されなくてもよい。
図5(c)は、開始時刻のメッセージのフォーマットを示し、メッセージ種別のフィールドには開始時刻が示され、データのフィールドには時刻が示される。図5(d)は、変動速度のメッセージのフォーマットを示し、メッセージ種別のフィールドには変動速度が示され、データのフィールドには、放電あるいは充電の指示、変動速度の値が示される。図5(e)−(f)については後述し、図4に戻る。このように、第1群管理システムサーバ12aは、複数の需要家16のそれぞれに設置された蓄電システム40からなる蓄電システム群による電力の変動速度を制御する。
第1電力管理システムサーバ14aの受信部510は、第1群管理システムサーバ12aから、開始時刻のメッセージ、変動速度のメッセージを受信する。受信部510は、開始時刻のメッセージ、変動速度のメッセージを制御部302に出力する。制御部302は、開始時刻のメッセージから、開始時刻を抽出するとともに、変動速度のメッセージから、放電あるいは充電の指示、変動速度の値を抽出する。制御部302は、抽出した変動速度をもとに、蓄電システム40における電力の変動速度を制御する。例えば、第1電力管理システムサーバ14aに1つの蓄電システム40が接続されている場合、制御部302は、当該蓄電システム40の制御装置216に対して、変動速度に応じて双方向DC/ACインバータ214からの充放電を変化させるように指示する。制御装置216は、制御部302からの指示に応じて、双方向DC/ACインバータ214からの充放電を変化させる。なお、第1電力管理システムサーバ14aに複数の蓄電システム40が接続されている場合、制御部302は、各蓄電システム40の制御装置216に対して、変動速度に応じて双方向DC/ACインバータ214からの充放電を変化させるように指示する。ここで、制御部302と制御装置216は、放電あるいは充電の指示に応じて放電あるいは充電を決定し、開始時刻に応じて放電あるいは充電を開始する時刻を決定する。
制御装置216は、指示に応じた処理を実行した場合、処理の完了を第1電力管理システムサーバ14aの制御部302に報告する。制御部302が処理の完了の報告を受信した場合、送信部512は、完了の報告が含まれた変動速度応答のメッセージを第1群管理システムサーバ12aに出力する。図5(e)は、変動速度応答のメッセージのフォーマットを示し、メッセージ種別のフィールドには変動速度応答が示され、データのフィールドには完了が示される。なお、指示に応じた処理が未完了の蓄電システム40が存在する場合、データのフィールドには未完了であること、完了した蓄電システム40の数、未完了の蓄電システム40の数が示されてもよい。図5(f)については後述し、図4に戻る。
第2電力管理システムサーバ14bも、第1電力管理システムサーバ14aと同様の処理を実行するので、ここでは説明を省略する。第1群管理システムサーバ12aの受信部420は、第1電力管理システムサーバ14aから変動速度応答のメッセージを受信するとともに、第2電力管理システムサーバ14bから変動速度応答のメッセージを受信する。受信部420は、変動速度応答のメッセージを生成部432に出力する。生成部432は、各変動速度応答のメッセージから完了あるいは未完了の報告を抽出する。生成部432は、抽出した報告がすべて完了であった場合、完了の報告を送信部412に出力する。
送信部412は、完了の報告が含まれた群変動速度応答のメッセージを上位システムサーバ10に送信する。図5(f)は、群変動速度応答のメッセージのフォーマットを示し、メッセージ種別のフィールドには群変動速度応答が示され、データのフィールドには完了が示される。なお、指示に応じた処理が未完了の蓄電システム40が存在する場合、データのフィールドには未完了であること、完了した蓄電システム40の数の合計、未完了の蓄電システム40の数の合計が示されてもよい。図4に戻る。上位システムサーバ10は、第1群管理システムサーバ12aから群変動速度応答を受信する。このような制御によって、VPPシステム100からの電力変動は、図3の傾き制御あり電力変動720のように示される。
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
これまでは、電力管理システムサーバ14が需要家16に配置されているとしている。しかしながら、電力管理システムサーバ14の配置はこれに限定されない。ここでは、電力管理システムサーバ14の様々な配置を説明する。図6(a)−(d)は、VPPシステム100における電力管理システムサーバ14の様々な配置を示す。図6(a)は、電力管理システムサーバ14が需要家16に配置される場合であり、これまでと同一である。図6(b)は、電力管理システムサーバ14のうちのサービス連携部300と制御部302とが別々の装置として構成され、制御部302だけが需要家16に配置され、サービス連携部300は需要家16外に配置される場合である。サービス連携部300、制御部302は、電力制御装置と呼んでもよい。
図6(c)は、電力管理システムサーバ14が需要家16外に配置され、需要家16にGW(Gateway)20が配置される場合である。ここで、電力管理システムサーバ14とGW20が接続されるとともに、GW20には、図示しない機器が接続される。図6(d)は、電力管理システムサーバ14の機能が群管理システムサーバ12に含まれ、需要家16にGW20が配置される場合である。ここで、群管理システムサーバ12とGW20が接続されるとともに、GW20には、図示しない機器が接続される。
以上の構成によるVPPシステム100の動作を説明する。図7は、VPPシステム100における制御手順を示すシーケンス図である。上位システムサーバ10は、群変動速度を生成し(S10)、群変動速度を第1群管理システムサーバ12aに送信する(S12)。ここで、開始時刻は省略する。第1群管理システムサーバ12aは、変動速度を生成し(S14)、変動速度を第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに送信する(S16、S18)。第1電力管理システムサーバ14aは蓄電システム40を制御し(S20)、第2電力管理システムサーバ14bは蓄電システム40を制御する(S22)。第1電力管理システムサーバ14aは変動速度応答を第1群管理システムサーバ12aに送信し(S24)、第2電力管理システムサーバ14bは変動速度応答を第1群管理システムサーバ12aに送信する(S26)。第1群管理システムサーバ12aは群変動速度応答を生成する(S28)。第1群管理システムサーバ12aは群変動速度応答を上位システムサーバ10に送信する(S30)。
本実施例によれば、上位システムサーバ10からの蓄電システム群による電力の変動速度に関する第1情報をもとに、各蓄電システム40における電力の変動速度に関する第2情報を生成するので、電力の変動速度を制御できる。また、第2情報を複数の需要家16に送信するので、電力需要の変動に応じて電力の変動速度を制御できる。また、電力需要の変動に応じて電力の変動速度が制御されるので、電力系統が不安定になることを抑制できる。また、第2情報をもとに各蓄電システム40が充放電する場合に、蓄電システム群による電力の変動速度が第1情報に近づくように第2情報を生成するので、上位システムサーバ10からの第1情報に応じた処理を実行できる。また、群管理システムサーバ12から受信した第2情報をもとに、蓄電システム40における電力の変動速度を制御するので、電力需要の変動に応じて電力の変動速度を制御できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の群管理システムサーバ12は、複数の需要家16のそれぞれに設置された蓄電システム40からなる蓄電システム群による電力の変動速度を制御する群管理システムサーバ12であって、上位システムサーバ10から、蓄電システム群による電力の変動速度に関する第1情報を受信する受信部410と、受信部410において受信した第1情報をもとに、各蓄電システム40における電力の変動速度に関する第2情報を生成する生成部432と、生成部432において生成した第2情報を複数の需要家16に送信する送信部422と、を備える。
生成部432は、第2情報をもとに各蓄電システム40が充放電する場合に、蓄電システム群による電力の変動速度が第1情報に近づくように第2情報を生成してもよい。
群管理システムサーバ12に接続され、需要家16に設置された蓄電システム40を制御する電力管理システムサーバ14であって、群管理システムサーバ12から第2情報を受信する受信部510と、受信部510において受信した第2情報をもとに、蓄電システム40における電力の変動速度を制御する制御部302と、を備えてもよい。
本発明の別の態様は、送信方法である。この方法は、複数の需要家16のそれぞれに設置された蓄電システム40からなる蓄電システム群による電力の変動速度を制御する群管理システムサーバ12における送信方法であって、上位システムサーバ10から、蓄電システム群による電力の変動速度に関する第1情報を受信するステップと、受信した第1情報をもとに、各蓄電システム40における電力の変動速度に関する第2情報を生成するステップと、生成した第2情報を複数の需要家16に送信するステップと、を備える。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様にVPPに関する。群管理システムによる変動速度の指示に応じて、電力管理システムは、電力需要の変動に応じて、需要家に設置された蓄電システム等の電力の消費量あるいは供給量を変更可能な機器を制御する。実施例1では、各蓄電システムにおける電力の変動速度の能力が均一であることを想定し、群管理システムサーバは、群変動速度と蓄電システムの台数とをもとに変動速度を導出している。一方、実施例2では、蓄電システムを含む機器(以下、「蓄電システム40等」という)における電力の変動速度の能力が均一でない場合を想定する。このような能力の違いを考慮した変動速度を導出する前提として、群管理システムは、制御対象となる蓄電システム40等の変動速度の能力を把握する必要がある。実施例2に係るVPPシステム100、需要家16、第1群管理システムサーバ12a、第1電力管理システムサーバ14a、第2電力管理システムサーバ14bの構成は図1、図2、図4と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
図4の第1群管理システムサーバ12aの生成部432は、蓄電システム40等における電力の変動速度の能力を第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに要求するための要求信号のメッセージを生成する。図8(a)−(e)は、VPPシステム100において使用されるメッセージのフォーマットを示す。図8(a)は、要求信号のメッセージのフォーマットを示す。メッセージ種別のフィールドには要求信号が示され、データのフィールドには変動速度能力が示される。図8(b)−(e)は後述し、図4に戻る。生成部432は、要求信号のメッセージを送信部422に出力する。送信部422は、要求信号のメッセージを第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに送信する。
第1電力管理システムサーバ14aにおけるサービス連携部300の受信部510は、要求信号のメッセージを第1群管理システムサーバ12aから受信する。サービス連携部300は、メッセージ種別のフィールドをもとに要求信号であることを認識し、データのフィールドをもとに、蓄電システム40等の変動速度能力を通知すべきであることを認識する。ここでは、サービス連携部300の処理を説明するために、蓄電システム40等の変動速度の能力を説明する。
図9は、電力管理システムサーバ14において定義される変動速度の能力を示す。蓄電システム40等における電力の変動速度の能力に関する情報は、変動速度の能力に応じて複数段階規定される。ここでは、ガバナ・フリー機能、自動周波数制御機能、運転基準集力制御機能の3段階が規定される。また、ガバナ・フリー機能には値「1」が対応づけられ、自動周波数制御機能には値「2」が対応づけられ、運転基準出力制御機能には値「3」が対応づけられる。なお、ガバナ・フリー機能、自動周波数制御機能、運転基準集力制御機能については説明を省略するが、ガバナ・フリー方式による電力の変動速度は、図3の微少変動分700にも追従可能である。自動周波数制御方式による電力の変動速度は、ガバナ・フリー方式による電力の変動速度よりも遅く、短周期成分702に追従可能であるが、微少変動分700に追従不可能である。運転基準出力制御方式による電力の変動速度は、自動周波数制御方式による電力の変動速度よりも遅く、長周期成分704に追従可能であるが、短周期成分702に追従不可能である。図4に戻る。
サービス連携部300は、要求信号に応じて第1電力管理システムサーバ14aに接続された蓄電システム40等における変動速度の能力を含めるように、変動速度能力を応答するためのメッセージを生成する。図8(b)において、メッセージ種別のフィールドには変動速度能力応答が示される。データのフィールドには、第1電力管理システムサーバ14aに接続された蓄電システム40等の変動速度に関する情報が示される。蓄電システム40等に、ガバナ・フリー機能、自動周波数制御機能、運転基準集力制御機能がいずれも備えられていれば、データのフィールドには「1、2、3」が示される。つまり、データのフィールドに「1」があるか否かはガバナ・フリー機能の有無を示しており、「2」があるか否かは自動周波数制御機能の有無を示しており、「3」があるか否かは運転基準出力制御機能の有無を示す。
ここで、データのフィールドに複数の値が挿入される場合、データのフィールドには、複数段階のそれぞれに対する優先順位に関する情報も含まれてもよい。前述のごとく、蓄電システム40等は、ガバナ・フリー機能、自動周波数制御機能、運転基準集力制御機能がいずれも備えられているとする。ここで、変動速度が速い機能を使用するほどVPPから得られる報酬が多くなるとの契約がVPPとの間でなされている場合、蓄電システム40等のガバナ・フリー機能が優先して使用されるべきである。これに対応するために、データのフィールドには優先順位に関する情報も含まれる。例えば、図8(c)のごとく、値「1」の後に優先順位「(1)」が追加される。一方、変動速度の遅い機能を優先的に使用させたい場合、値「3」の後に優先順位「(1)」が追加される。
図8(d)は、蓄電システム40等に、自動周波数制御機能、運転基準集力制御機能が備えられている場合の変動速度能力応答のメッセージのフォーマットを示す。データのフィールドには「2、3」が示される。図8(e)は、蓄電システム40等に、運転基準集力制御機能だけが備えられている場合の変動速度能力応答のメッセージのフォーマットを示す。データのフィールドには「3」が示される。図4に戻る。サービス連携部300は、変動速度能力応答のメッセージを送信部512に出力する。送信部512は、変動速度能力応答のメッセージを第1群管理システムサーバ12aに送信する。第2電力管理システムサーバ14bも、第1電力管理システムサーバ14aと同様の処理を実行するので、ここでは説明を省略する。
第1群管理システムサーバ12aの受信部420は、変動速度能力応答のメッセージを第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bから受信する。受信部420は、各変動速度能力応答のメッセージを生成部432に出力する。生成部432は、変動速度能力応答のメッセージを受けつけると、変動速度能力応答のメッセージから変動速度能力を抽出する。このようにして、生成部432は、複数の蓄電システム40等のそれぞれに対する電力の変動速度の能力を管理する。また、生成部432において、電力の変動速度の能力に応じた複数のグループが規定される。複数のグループは、例えば、ガバナ・フリー機能を有するグループ、自動周波数制御機能を有するグループ、運転基準出力制御機能を有するグループを含む。各蓄電システム40等は複数のグループのいずれかに分類される。
第1群管理システムサーバ12aの受信部410は、上位システムサーバ10から、群変動速度のメッセージを受信する。生成部432は、群変動速度の値をもとに、各グループに対応した電力の変動速度を導出する。これは、グループ毎に第2情報を導出することに相当する。ここでも、生成部432は、第2情報をもとに各蓄電システム40等が充放電する場合に、蓄電システム群による電力の変動速度が第1情報に近づくように第2情報を生成するが、グループ毎に第2情報の値を変える。例えば、ガバナ・フリー機能を有するグループには最も速い変動速度を導出し、運転基準出力制御機能を有するグループには最も遅い変動速度を導出する。
生成部432は、各グループに対応した変動速度を送信部422に出力する。送信部422は、各グループに対応した変動速度が含まれた変動速度のメッセージを第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに送信する。この変動速度のメッセージでは、図5(c)のデータのフィールドに、各グループの変動速度の値が示される。
第1電力管理システムサーバ14aの受信部510は、第1群管理システムサーバ12aから、変動速度のメッセージを受信する。受信部510は、変動速度のメッセージを制御部302に出力する。制御部302は、変動速度のメッセージから、各グループの変動速度の値を抽出する。制御部302は、各グループの変動速度の値から、制御対象となる蓄電システム40等に対応したグループの変動速度の値を選択する。これに続く処理はこれまでと同様である。また、第2電力管理システムサーバ14bも、第1電力管理システムサーバ14aと同様の処理を実行するので、ここでは説明を省略する。
以上の構成によるVPPシステム100の動作を説明する。図10は、実施例2に係るVPPシステム100における制御手順を示すシーケンス図である。第1群管理システムサーバ12aは要求信号を第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに送信する(S100、S102)。第1電力管理システムサーバ14aは変動速度能力応答を第1群管理システムサーバ12aに送信する(S104)、第2電力管理システムサーバ14bは変動速度能力応答を第1群管理システムサーバ12aに送信する(S106)。上位システムサーバ10は、群変動速度を生成し(S108)、群変動速度を第1群管理システムサーバ12aに送信する(S110)。
第1群管理システムサーバ12aは、変動速度を生成し(S112)、変動速度を第1電力管理システムサーバ14aと第2電力管理システムサーバ14bに送信する(S114、S116)。第1電力管理システムサーバ14aは蓄電システム40等を制御し(S118)、第2電力管理システムサーバ14bは蓄電システム40等を制御する(S120)。第1電力管理システムサーバ14aは変動速度応答を第1群管理システムサーバ12aに送信し(S122)、第2電力管理システムサーバ14bは変動速度応答を第1群管理システムサーバ12aに送信する(S124)。第1群管理システムサーバ12aは群変動速度応答を生成する(S126)。第1群管理システムサーバ12aは群変動速度応答を上位システムサーバ10に送信する(S128)。
本実施例によれば、電力の変動速度の能力に応じて分類されたグループに対応した電力の変動速度が生成されるので、各蓄電システム40等の能力に応じた電力の変動速度を指示できる。また、各蓄電システム40等の能力に応じた電力の変動速度が指示されるので、電力需要に応じて電力の変動速度を細かく制御できる。また、群管理システムサーバ12から受信した要求信号に応じて、蓄電システム40等における電力の変動速度の能力に関する情報を群管理システムサーバ12に送信するので、群管理システムサーバ12に電力の変動速度の能力を把握させることができる。また、電力の変動速度の能力に関する情報は、電力の変動速度の能力に応じて規定された複数段階の少なくとも1つを示すので、データ量を低減できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。生成部432は、電力の変動速度の能力に応じて各蓄電システム40が複数のグループのいずれかに分類されており、各グループに対応した電力の変動速度に関する第2情報を生成してもよい。
群管理システムサーバ12に接続され、需要家16に設置された蓄電システム40を制御する電力管理システムサーバ14であって、上位システムサーバ10からの第1情報を受信した群管理システムサーバ12から、蓄電システム40における電力の変動速度の能力に関する情報を要求する要求信号を受信する受信部510と、受信部510において受信した要求信号に応じて、蓄電システム40における電力の変動速度の能力に関する情報を群管理システムサーバ12に送信する送信部512と、を備えてもよい。
蓄電システム40における電力の変動速度の能力に関する情報は、電力の変動速度の能力に応じて規定された複数段階の少なくとも1つを示す。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施例2において、機器における電力の変動速度に関する情報として、ガバナ・フリー機能、自動周波数制御機能、運転基準出力制御機能の3段階が規定される。しかしながらこれに限らず例えば、3段階の内容はこれに限定されず、さらに3段階とは異なった数の段階が規定されてもよい。あるいは複数の段階が規定されず、機器における電力の変動速度が直接示されてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を拡張できる。