JP2019109682A - 生産配分決定装置及び生産配分決定方法 - Google Patents

生産配分決定装置及び生産配分決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】需要量の予測と生産者の変化率制約とを考慮した最適な配分を高速に決定すること。
【解決手段】各時刻sにおいて複数の生産者が生産及び供給する供給量の最適な配分を決定する生産配分決定装置であって、総供給量と限界コストとの関係を表す総供給曲線モデルを計算する総供給曲線計算手段と、現在の供給量と、供給量の変化率制約と、能力上限及び能力下限とに基づいて、時刻sにおける各生産者の供給量上限及び供給量下限を計算する上下限計算手段と、前記総供給曲線モデルと、時刻sにおける需要量の予測値と、前記供給量上限及び供給量下限とに基づいて、最適価格を計算する最適価格計算手段と、各生産者の供給量上限及び供給量下限と、供給曲線モデルと、最適価格とに基づいて、最適供給量を計算する供給量計算手段と、を有し、供給量上限及び供給量下限の計算と、最適価格の計算と、最適供給量の計算とを、時刻s=Tから時刻s=1まで繰り返し実行する、ことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、生産配分決定装置及び生産配分決定方法に関する。
複数の生産者(例えば、発電設備、ガス生産設備、ボイラー等の各種設備又は機器)が生産する生産物(例えば、電力、ガス、蒸気等の各種資源)を配分する場合に最適なコストを決定する手法や生産ラインで生産される製品の生産量を配分する場合に最適なコストを決定する手法が知られている。
例えば、需要量の予測や生産者の変化率制約を考慮して、二次計画法によって最適な配分を決定する手法が知られている(例えば、特許文献1)。需給系統全体での総供給量と限界コストとの関係から、与えられた需要量に応じた最適価格を計算し、最適な供給量の配分を計算する手法も知られている(例えば、特許文献2)。電力等の需要量の予測や生産者の変化率制約を考慮して、等λ法によって最適な配分を計算する手法も知られている(例えば、特許文献3〜6、非特許文献1)。
また、生産者の供給上限及び供給下限を考慮して、等λ法によって最適な配分を決定する手法が知られている(例えば、非特許文献2〜3)。等λ法を用いる場合、計算した限界コストを利用して各生産者の配分を計算すると、供給上限又は供給下限に違反した配分が計算されることがある。このような場合、非特許文献2に開示されている手法では、違反した生産者の配分を供給上限又は供給下限に固定し、固定していない生産者に対して再び限界コストの計算と配分の計算とを行っている。一方で、非特許文献3に開示されている手法では、供給上限又は供給下限に違反した生産者がいる場合、一度計算した限界コストの値を微小量変更し、変更した限界コストに対応する配分を計算する処理を、違反が出なくなるまで繰り返すことで、最適な限界コストを計算している。
また、システム制御や回路解析等の問題を一階述語論理式で表現することや、一階述語論理式を解くことでシステムの最適化を図る手法が知られている(例えば、非特許文献4)。
具体的には、全称記号(∀)や存在記号(∃)で表される限定記号と、多変数の多項式の等式や不等式を積(∧)や和(∨)で表される論理記号とを用いて結合した論理式を組み合わせ、一階述語論理式を得る。論理式に現れる変数のうち、限定記号で束縛される変数を束縛変数と呼び、限定記号で束縛されない変数を自由変数と呼ぶ。一階述語論理式のうち、束縛変数を消去して、自由変数が満たすべき論理式を導くことで、最適化を図る。
また、限定記号消去法を用いて、制御系設計や制御系解析を行う手法が知られている(例えば、特許文献7)。この手法によれば、制御系解析・設計装置は、入力された制御の問題に対して、線形行列不等式(LMI:Linear Matrix Inequality)又は双線形行列不等式(BMI:Bilinear Matrix Inequality)として定式化する。そして、LMI又はBMIとして定式化された設計仕様等の制約を、不等式を論理和で繋げた形の制約に変形して、制御系を一階述語論理式に変換し、限定記号で束縛される変数を消去した式から制御系を解析する。
プラントのエネルギーを解析する技術ついても、一階述語論理式を生成し、この一階述語論理式を解くことにより解析を行う手法が知られている(例えば、非特許文献5)。
特開2011−114919号公報 国際公開2016/075805号 特開平5−56562号公報 特開2009−22137号公報 特開2012−178929号公報 特開2013−198177号公報 特開平11−328239号公報
磯田八郎,「負荷の変動特性と発電機の応答性を考慮したオンライン火力機負荷配分法」,電気学会論文誌B,Vol.101,No.11,pp.683−689 電気学会 電力需給解析モデル標準化調査専門委員会編,「電力需給・周波数シミュレーションの標準解析モデル」,電気学会技術報告,Vol.1386,pp.83−86 加藤政一,「詳解 電力系統工学」,東京電機大学出版局,pp.261−265 穴井宏和,横山和弘,「QEの計算アルゴリズムとその応用 数式処理による最適化」,東京大学出版会,2011年,pp.214−221 丹下吉雄,桐生智志,松井哲郎,福山良和,「数式処理技術を利用した需給バランス最適化問題の可視化」,計測自動制御学会制御部門大会 13th ROMBUNNO.8C2−5
一般的に、生産物の需要量は、様々な状況により時々刻々変化する。したがって、全体での調達コストを抑制しつつ、必要十分な生産物を調達するためには、各生産者の供給量を需要量に応じて適切に配分しなければならない。
例えば、特許文献1に開示されている従来手法では、二次計画問題を解くによって最適な配分を計算する。このため、需要量の予測や生産者の変化率制約を考慮して最適な配分を計算可能であるものの、PLC(Programmable Logic Controller)等の計算資源が限られた環境では求解が困難な場合がある。一方で、例えば、特許文献2に開示されている従来手法では、容易に解を求めることができるものの、需要量の予測や生産者の変化率制約を考慮した最適な配分を得ることができない。
また、例えば、特許文献3〜6や非特許文献1〜3に開示されているように、等λ法を用いた手法では、各時刻での最適な配分を計算する際に、最適な配分が生産者の供給上限又は供給上限となる場合、限界コストの計算と、限界コストに基づいた配分の計算とを繰り返し行う必要がある。このため、最適な配分の計算に時間を要する場合がある
本発明の実施の形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、需要量の予測と生産者の変化率制約とを考慮した最適な配分を高速に決定することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の実施の形態では、各時刻s(s=1,2,・・・,T)において複数の生産者が生産及び供給する供給量の最適な配分を決定する生産配分決定装置であって、各生産者の供給量と限界コストとの関係を表す供給曲線モデルから、前記複数の生産者の総供給量と限界コストとの関係を表す総供給曲線モデルを計算する総供給曲線計算手段と、前記各生産者の現在の供給量と、前記各生産者の供給量の変化率制約と、前記各生産者の供給能力の上限及び下限を示す能力上限及び能力下限とに基づいて、時刻sにおける前記各生産者の供給量の上限及び下限を示す供給量上限及び供給量下限を計算する上下限計算手段と、前記総供給曲線モデルと、時刻sにおける需要量の予測値と、前記供給量上限及び供給量下限とに基づいて、前記時刻sにおける限界コストを示す最適価格を計算する最適価格計算手段と、前記時刻sにおける各生産者の供給量上限及び供給量下限と、前記各生産者の供給曲線モデルと、前記時刻sにおける最適価格とに基づいて、前記時刻sにおける前記各生産者の供給量の配分を示す最適供給量を計算する供給量計算手段と、を有し、前記上下限計算手段による供給量上限及び供給量下限の計算と、前記最適価格計算手段による最適価格の計算と、前記供給量計算手段による最適供給量の計算とを、時刻s=Tから時刻s=1まで繰り返し実行する、ことを特徴とする。
需要量の予測と生産者の変化率制約とを考慮した最適な配分を高速に決定することができる。
本実施形態に係る生産配分決定装置の構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る生産配分決定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る生産配分決定処理部の機能構成の一例を示す図である。 生産配分の決定処理の一例を示すフローチャートである。 断面s=Tにおける供給量上限及び供給量下限の計算処理の一例を示すフローチャートである。 断面s=Tにおける生産者kの供給可能範囲の一例を説明するための図である。 最適供給量予測値の計算処理の一例を示すフローチャートである。 断面s(<T)における供給上限及び供給下限の計算処理の一例を示すフローチャートである。 断面s(<T)における生産者kの供給可能範囲の一例を説明するための図である。 需給系統の一例を示す図(実施例1)である。 各発電機の供給曲線モデルの一例を示す図(実施例1)である。 需要量予測値の一例を示す図(実施例1)である。 断面s=20における総供給曲線モデルの一例を示す図(実施例1)である。 断面s=20における各発電機の最適供給量予測値を決定する場合の一例を説明する図(実施例1)である。 断面s=19における総供給曲線モデルの一例を示す図である。 断面s=19における各発電機の最適供給量予測値を決定する場合の一例を示す図(実施例1)である。 各発電機の最適供給量予測値の一例を示す図(実施例1)である。 従来技術による各発電機の最適供給量予測値の一例を示す図(実施例1)である。 各発電機の発電コストの一例を示す図(実施例1)である。 時刻t毎に繰り返し生産配分を決定する処理の一例を示すフローチャート(実施例2)である。 各時刻tにおける需要量予測値の一例を示す図(実施例2)である。 各発電機の最適供給量予測値の一例を示す図(実施例2)である。 従来技術による各発電機の最適供給量予測値の一例を示す図(実施例2)である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以降では、需要量の予測と生産者の変化率制約とを考慮して、複数の生産者が需要家に供給する生産物の最適な配分を決定する生産配分決定装置10について説明する。
なお、生産者とは、生産物を生産及び供給する各種設備又は機器等である。具体的には、例えば、生産物として電力を生産及び供給する発電設備、ガスを生産及び供給するガス生産設備、蒸気を生産及び供給するボイラー等が挙げられる。需要家とは、生産者が生産する生産物を需要する各種設備又は機器等である。具体的には、例えば、電力を需要する各種電気設備、ガスを需要する発電設備、蒸気を需要するタービン等が挙げられる。ただし、生産物は、電力やガス、蒸気等の資源に限られない。生産物は、例えば、原材料を生産者が加工すること等によって生産される仕掛品や半製品、製品等であっても良い。
また、変化率制約とは、例えば、単位時間あたりに生産者が生産物の生産量を変化させることが可能な量や割合を表す制約条件である。なお、変化率制約は、生産量を減少させる場合と、生産量を増加させる場合とで異なる値でも良い。
本実施形態では、複数の生産者がそれぞれ生産した生産物の全てを需要家に対して供給するものとする。したがって、本実施形態では、生産者の配分を決定する将来の時刻を表す断面s(s=1,2,・・・,T)において、各生産者の生産量と供給量とは一致しているものとする。また、複数の生産者をk(k=1,2,・・・,N)とする。Tは予め決められた1以上の整数である。Nは生産者の総数である。
また、便宜上、断面s=0を現在時刻とする。なお、各断面s間の時間幅Δ(すなわち、断面s+1と断面sとの間の時間幅Δ)は、任意に決定される。時間幅Δは、一定でなくても良く、各sに対して時間幅Δが異なっていても良い。
生産者kは、生産物を生産する際に、その供給量に応じた限界コスト(marginal cost)を必要とする。限界コストとは、生産物の1単位を追加生産する際に必要となるコストのことである。
生産者kの供給量と限界コストとの関係は、供給曲線モデルC´[k]によって表される。各生産者kの供給曲線モデルC´[k]は、生産配分決定装置10に予め与えられているものとする。
また、生産者kの変化率制約δ[k]は、生産配分決定装置10に予め与えられているものとする。
<生産配分決定装置10の構成>
まず、本実施形態に係る生産配分決定装置10の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る生産配分決定装置10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、生産配分決定処理部100を有する。本実施形態に係る生産配分決定装置10は、生産配分決定処理部100によって、需要量の予測と各生産者kの変化率制約とを考慮した各生産者kの最適な配分を決定する。
生産配分決定処理部100は、各断面s(s=1,2,・・・,T)における需要量の予測値(以下、単に「需要量予測値」と表す。)L[s]と、各生産者kの生産量の現在値P[k][0]とが入力されると、断面s=Tにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する。
なお、供給上限max[k][s]とは、断面sにおいて生産者kが供給可能な生産物の上限量である。同様に、供給下限min[k][s]とは、断面sにおいて生産者kが供給可能な生産物の下限量である。
次に、生産配分決定処理部100は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]から得られる総供給曲線モデルφと、断面s=Tにおける需要量予測値L[s]と、断面s=Tにおける供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]とに基づいて、断面s=Tにおける限界コストを示す最適価格予測値λ[s]を決定する。
そして、生産配分決定処理部100は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]と、断面s=Tにおける最適価格予測値λ[s]とに基づいて、断面s=Tにおける各生産者kの供給量の予測値P[k][s]を決定する。この予測値P[k][s]が断面s=Tにおける各生産者kの生産量の配分である。以降では、予測値P[k][s]を「最適供給量予測値P[k][s]」とも表す。
生産配分決定処理部100は、断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を決定すると、断面sをs−1とした上で(すなわち、断面sを1断面過去にずらした上で)、断面s+1における各生産者kの供給量の予測値P[k][s+1]に基づいて、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する。そして、生産配分決定処理部100は、断面sにおける最適価格予測値λ[s]と、断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]とを決定する。
このように、生産配分決定処理部100は、断面s=Tから断面s=1まで1断面ずつ過去にずらしながら供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]の計算を繰り返すことで、各断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を決定する。
なお、生産配分決定処理部100は、本実施形態に係る生産配分決定装置10にインストールされた1以上のプログラムが、後述するCPU(Central Processing Unit)17に実行させる処理によって実現される。
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る生産配分決定装置10のハードウェア構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る生産配分決定装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、入力装置11と、表示装置12と、外部I/F13と、通信I/F14と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、CPU17と、補助記憶装置18とを有する。これら各ハードウェアは、バス19により相互に通信可能に接続されている。
入力装置11は、例えば各種ボタンやタッチパネル、キーボード、マウス等であり、生産配分決定装置10に各種の操作を入力するのに用いられる。表示装置12は、例えばディスプレイ等であり、生産配分決定装置10による各種の処理結果を表示する。なお、生産配分決定装置10は、入力装置11及び表示装置12の少なくとも一方を有していなくても良い。
外部I/F13は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体13a等がある。生産配分決定装置10は、外部I/F13を介して、記録媒体13aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体13aには、例えば、SDメモリカード(SD memory card)やUSBメモリ、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等がある。なお、生産配分決定処理部100を実現する1以上のプログラムは、記録媒体13aに格納されていても良い。
通信I/F14は、生産配分決定装置10が他の装置とデータ通信を行うためのインタフェースである。なお、生産配分決定処理部100を実現する1以上のプログラムは、通信I/F14を介して、所定のサーバ等から取得(ダウンロード)されても良い。
ROM15は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM16は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU17は、例えば補助記憶装置18やROM15からプログラムやデータをRAM16に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。
補助記憶装置18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。補助記憶装置18に格納されているプログラムやデータには、例えば、生産配分決定処理部100を実現する1以上のプログラムや基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、OS上で動作する各種アプリケーションプログラム等がある。
本実施形態に係る生産配分決定装置10は、図2に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。なお、図2では、生産配分決定装置10が1台のコンピュータで実現される場合のハードウェア構成例を示したが、生産配分決定装置10は複数台のコンピュータで実現されていても良い。
<生産配分決定処理部100の機能構成>
次に、本実施形態に係る生産配分決定処理部100の機能構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る生産配分決定処理部100の機能構成の一例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係る生産配分決定処理部100には、総供給曲線計算部101と、初期上下限計算部102と、最適価格計算部103と、配分計算部104と、上下限計算部105と、出力部106とが含まれる。
総供給曲線計算部101は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]から総供給曲線モデルφを計算する。総供給曲線モデルφは、総供給量Lと、限界コストλと、各生産者kの供給上限max[k]と、各生産者kの供給下限min[k]との関係を示す関係式で表される。ここで、総供給量L、限界コストλ、供給量上限max[k]及び供給下限min[k]は変数である。したがって、総供給曲線モデルφは、φ(L,λ,min[1],・・・,min[N],max[1],・・・,max[N])と表される。
初期上下限計算部102は、断面s=Tにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する。このとき、初期上下限計算部102は、各生産者kの変化率制約δ[k]と、予め与えられた各生産者kの能力上限ul[k]及び能力下限ll[k]と、現在値P[k][0]とに基づいて、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する。
なお、能力上限ul[k]とは、生産者kが生産可能な生産物の上限量である。同様に、能力下限ll[k]とは、産者kが生産可能な生産物の下限量である。例えば、生産者が発電設備である場合、能力上限は最大発電量に該当し、能力下限は最低発電量に該当する。
能力上限ul[k]及び能力下限ll[k]は、生産者kの供給曲線モデルC´[k]における供給量P[k]の上限値及び下限値として得られる。
最適価格計算部103は、総供給曲線モデルφと、断面sにおける需要量予測値L[s]と、断面sにおける供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]とに基づいて、断面sにおける最適価格予測値λ[s]を決定する。
配分計算部104は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]と、断面sにおける最適価格予測値λ[s]とに基づいて、断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を決定する。
上下限計算部105は、断面s+1における各生産者kの供給量の予測値P[k][s+1]に基づいて、断面s(<T)における各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する。
このとき、上下限計算部105は、各生産者kの変化率制約δ[k]と、各生産者kの能力上限ul[k]及び能力下限ll[k]と、現在値P[k][0]と、断面s+1における各生産者kの最適供給量予測値P[k][s+1]とに基づいて、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する。
出力部106は、各断面s(s=1,2,・・・,T)における各生産者k(k=1,2,・・・,N)の最適供給量予測値P[k][s]を出力する。出力部106の出力先としては、例えば、表示装置12であっても良いし、補助記憶装置18や記録媒体13a等であっても良い。また、出力部106の出力先としては、例えば、他のプログラムや他の装置(例えばネットワーク上のサーバ装置)等であっても良い。
なお、生産配分決定処理部100は、例えば、初期上下限計算部102と上下限計算部105とが1つの機能部として構成されていても良い。
<生産配分の決定処理>
次に、本実施形態に係る生産配分決定処理部100が実行する生産配分の決定処理について、図4を参照しながら説明する。図4は、生産配分の決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、以降では、各断面s(s=1,2,・・・,T)における需要量予測値L[s]と、各生産者kの生産量の現在値P[k][0]とが生産配分決定処理部100に入力されたものとする。
まず、生産配分決定処理部100の総供給曲線計算部101は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]から総供給曲線モデルφを計算する(ステップS101)。
総供給曲線計算部101は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]を用いて、以下の式1により総供給量L及び限界コストλを計算する。
Figure 2019109682
・・・(1)
ここで、P[k]は生産者kの供給量を示す変数である。また、C´[k](P[k],min[k],max[k])は、生産者kの供給量がP[k]、供給上限がmax[k]、供給下限がmin[k]である場合における限界コストを示す関数である。
総供給曲線計算部101は、上記の式1に示す総供給量L及び限界コストλと、各生産者kの供給量上限max[k]及び供給下限min[k]とがとり得る値の実行可能解を計算することにより、総供給曲線モデルφ(L,λ,min[1],・・・,min[N],max[1],・・・,max[N])を得る。このような実行可能解は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]を表す式と、上記の式1に示す総供給量L及び限界コストλと、論理記号とを用いて一階述語論理式を生成した上で、限定記号消去法により、この一階述語論理式の限定記号を消去することで得ることができる。
次に、生産配分決定処理部100は、断面sをs=T(すなわち、断面s=1,2,・・・,Tのうちの最後の断面s=T)とする(ステップS102)。
次に、生産配分決定処理部100の初期上下限計算部102は、断面s=Tにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する(ステップS103)。なお、断面s=Tにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する処理の詳細については後述する。
次に、生産配分決定処理部100の最適価格計算部103は、総供給曲線モデルφと、断面sにおける需要量予測値L[s]と、断面sにおける供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]とに基づいて、断面sにおける最適価格予測値λ[s]を計算する(ステップS104)。
すなわち、最適価格計算部103は、総供給曲線モデルφ(L,λ,min[1],・・・,min[N],max[1],・・・,max[N])に対して、断面sにおける需要量予測値L[s]と、断面sにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]とを代入することで、断面sにおける最適価格予測値λ[s]を計算する。言い換えれば、λ−L平面上の総供給曲線φ(L,λ,min[1][s],・・・,min[N][s],max[1][s],・・・,max[N][s])において、断面sにおける需要量予測値L[s]に対応する限界コスト(最適価格予測値)λ[s]を計算する。これにより、断面sにおける最適価格予測値λ[s]が決定される。
次に、生産配分決定処理部100の配分計算部104は、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]と、断面sにおける最適価格予測値λ[s]と、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]とに基づいて、断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を計算する(ステップS105)。これにより、断面sにおける各生産者kの最適な供給量の配分を示す最適供給量予測値P[k][s]が決定される。なお、断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を計算する処理の詳細については後述する。
次に、生産配分決定処理部100は、断面sをs=s−1(すなわち、断面sを1つ過去にずらす)とする(ステップS106)。
次に、生産配分決定処理部100は、断面s≧1であるか否かを判定する(ステップS107)。
ステップS107において、断面s≧1であると判定された場合、生産配分決定処理部100の上下限計算部105は、断面s+1における各生産者kの供給量の予測値P[k][s+1]に基づいて、断面s(<T)における供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する(ステップS108)。なお、断面s(<T)における各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する処理の詳細については後述する。
そして、生産配分決定処理部100は、ステップS104の処理に戻る。これにより、断面s=T−1からs=1までの各断面sにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]が繰り返し計算される。
一方で、ステップS107において、断面s≧1であると判定されなかった場合(すなわち、s=0である場合)、生産配分決定処理部100の出力部106は、各断面s(s=1,2,・・・,T)における各生産者k(k=1,2,・・・,N)の最適供給量予測値P[k][s]を出力する(ステップS109)。これにより、現在時刻(s=0)を基準として、断面s=1から断面s=Tまでの各断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]が出力される。
このように、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、断面s=Tから断面s=1まで順に、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]の計算と、最適価格予測値λ[s]の計算と、最適供給量予測値P[k][s]の計算とを繰り返すことで、各断面sにおける各生産者kの最適な生産配分P[k][s]を決定することができる。しかも、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、二次計画法を用いる手法や等λ法等と比べて、少ない計算量で高速に計算することができる。
<断面s=Tにおける供給上限及び供給下限の計算処理>
次に、図4のステップS103の処理(断面s=Tにおける各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する処理)の詳細について、図5を参照しながら説明する。図5は、断面s=Tにおける供給量上限及び供給量下限の計算処理の一例を示すフローチャートである。
まず、初期上下限計算部102は、生産者kをk=1とする(ステップS201)。
次に、初期上下限計算部102は、生産者kの変化率制約δ[k]と、生産者kの能力上限ul[k]と、現在値P[k][0]とに基づいて、断面s=Tにおける供給上限max[k][s]を計算する(ステップS202)。
初期上下限計算部102は、max1[k][s]=P[k][0]+s×δ[k]とした上で、max[k][s]=MIN(ul[k],max1[k][s])により供給上限max[k][s]を計算する。すなわち、初期上下限計算部102は、ul[k]又はmax1[k][s]のいずれか小さい方を供給上限max[k][s]とする。言い換えれば、初期上下限計算部102は、生産者kが生産可能な上限量(能力上限ul[k])と、変化率制約δ[k]を考慮して現在値P[k][0]から供給量を変化させた場合に断面sにおいて生産者kが生産可能な上限量(max1[k][s])とのうちのいずれか小さい方を供給上限max[k][s]とする。
次に、初期上下限計算部102は、生産者kの変化率制約δ[k]と、生産者kの能力下限ll[k]と、現在値P[k][0]とに基づいて、断面s=Tにおける供給下限min[k][s]を計算する(ステップS203)。
初期上下限計算部102は、min1[k][s]=P[k][0]−s×δ[k]とした上で、min[k][s]=MAX(ll[k],min1[k][s])により供給下限min[k][s]を計算する。すなわち、初期上下限計算部102は、ll[k]又はmin1[k][s]のいずれか大きい方を供給下限min[k][s]とする。言い換えれば、初期上下限計算部102は、生産者kが生産可能な下限量(能力下限ll[k])と、変化率制約δ[k]を考慮して現在値P[k][0]から供給量を変化させた場合に断面sにおいて生産者kが生産可能な下限量(min1[k][s])とのうちのいずれか大きい方を供給下限min[k][s]とする。
なお、上記のステップS203及びステップS204の処理の実行順は逆であっても良い。
次に、初期上下限計算部102は、生産者kをk=k+1とする(ステップS204)。
次に、初期上下限計算部102は、生産者k≦Nであるか否かを判定する(ステップS205)。
ステップS205において、生産者k≦Nであると判定された場合、初期上下限計算部102は、ステップS202の処理に戻る。これにより、生産者k=1からk=Nまでの断面s=Tにおける全ての生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]が繰り返し計算される。
一方で、ステップS205において、生産者k≦Nであると判定されなかった場合、初期上下限計算部102は、断面s=Tにおける供給上限及び供給下限の計算処理を終了する。
ここで、断面s=Tにおける生産者kの供給可能範囲は、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]で表される。或る生産者kの供給可能範囲を図6に示す。図6に示す例では、max1[k][s]>ul[k]、かつ、min1[k][s]>ll[k]である。この場合、供給上限max[k][s]=ul[k]、供給下限min[k][s]=min1[k][s]となる。このとき、断面s=Tにおいて、生産者kが供給可能な供給量P[k][s]の範囲(供給可能範囲)は、min[k][s]≦P[k][s]≦max[k][s]となる。
<最適供給量予測値の計算処理>
次に、図4のステップS105の処理(断面sにおける各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を計算する処理)の詳細について、図7を参照しながら説明する。図7は、最適供給量予測値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
まず、配分計算部104は、生産者kをk=1とする(ステップS301)。
次に、配分計算部104は、断面sにおける最適価格予測値λ[s]と、断面sにおける生産者kの限界コストとを比較する(ステップS302)。
ここで、断面sにおいて生産者kが供給量P[k]を供給する場合の限界コストは、C´[k](P[k],min[k][s],max[k][s])で表すことができる。これは、断面sにおける生産者kの供給上限がmax[k][s]及び供給下限がmin[k][s]である場合における供給量P[k]と限界コストとの関係を表す。したがって、便宜上、断面sにおける生産者kの限界コストをC´[k][s](P[k])=C´[k](P[k],min[k][s],max[k][s])と表す。このとき、供給量がP[k]=min[k][s]であるとき、断面sにおける生産者kの限界コストは下限となり、C´[k][s](min[k][s])で表される。同様に、供給量がP[k]=max[k][s]であるとき、断面sにおける生産者kの限界コストは上限となり、C´[k][s](max[k][s])で表される。
なお、s=Tである場合、min[k][s]及びmax[k][s]は、初期上下限計算部102により計算された断面s=Tにおける生産者kの供給上限及び供給下限である。一方で、s<Tである場合、min[k][s]及びmax[k][s]は、上下限計算部105により計算された断面s(<T)における生産者kの供給上限及び供給下限である。
ステップS302において、λ[s]<限界コストの下限であると判定された場合、配分計算部104は、断面sにおける生産者kの最適供給量予測値をP[k][s]=min[k][s]とする(ステップS303)。これは、λ[s]<限界コストの下限である場合、生産者kは、最適価格予測値λ[s]に見合った生産及び供給を行うことができないためである。したがって、この場合、断面sにおける生産者kの供給量の下限である供給下限min[k][s]を最適供給量予測値P[k][s]とする。
ステップS302において、限界コストの下限≦λ[s]≦限界コストの上限であると判定された場合、配分計算部104は、断面sにおける生産者kの最適供給量予測値を、限界コストがλ[s]となるP[k][s]とする(ステップS304)。すなわち、配分計算部104は、C´[k][s](P[k][s])=λ[s]となるP[k][s]を最適供給量予測値とする。これは、限界コストの下限≦λ[s]≦限界コストの上限である場合、生産者kは、最適価格予測値λ[s]に見合った生産及び供給を行うことができるためである。
ステップS302において、限界コストの上限<λ[s]であると判定された場合、配分計算部104は、断面sにおける生産者kの最適供給量予測値をP[k][s]=max[k][s]とする(ステップS305)。これは、限界コストの上限<λ[s]である場合、生産者kは、最適価格予測値λ[s]に応じた量の生産物を生産及び供給することができないためである。したがって、この場合、断面sにおける生産者kの供給量の上限である供給上限max[k][s]を最適供給量予測値P[k][s]とする。
ステップS303、ステップS304又はステップS305に続いて、配分計算部104は、生産者kをk=k+1とする(ステップS306)。
次に、配分計算部104は、生産者k≦Nであるか否かを判定する(ステップS307)。
ステップS307において、生産者k≦Nであると判定された場合、配分計算部104は、ステップS302の処理に戻る。これにより、生産者k=1からk=Nまでの断面sにおける全ての生産者kの最適供給量予測値P[k][s]が繰り返し計算される。
一方で、ステップS307において、生産者k≦Nであると判定されなかった場合、配分計算部104は、最適供給量予測値の計算処理を終了する。
<断面s(<T)における供給上限及び供給下限の計算処理>
次に、図4のステップS108の処理(断面s(<T)における各生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を計算する処理)の詳細について、図8を参照しながら説明する。図8は、断面s(<T)における供給上限及び供給下限の計算処理の一例を示すフローチャートである。
まず、上下限計算部105は、生産者kをk=1とする(ステップS401)。
次に、上下限計算部105は、生産者kの変化率制約δ[k]と、生産者kの能力上限ul[k]と、現在値P[k][0]と、断面s+1における生産者kの最適供給量予測値P[k][s+1]とに基づいて、断面s(<T)における供給上限max[k][s]を計算する(ステップS402)。
上下限計算部105は、max1[k][s]=P[k][0]+s×δ[k]、max2[k][s]=P[k][s+1]+δ[k]とした上で、max[k][s]=MIN(ul[k],max1[k][s],max2[k][s])により供給上限max[k][s]を計算する。すなわち、上下限計算部105は、ul[k]、max1[k][s]又はmax2[k][s]のうちの最も小さいものを供給上限max[k][s]とする。言い換えれば、上下限計算部105は、生産者kが生産可能な上限量(能力上限ul[k])と、変化率制約δ[k]を考慮して現在値P[k][0]から供給量を変化させた場合に断面sにおいて生産者kが生産可能な上限量(max1[k][s])と、変化率制約δ[k]を考慮して最適供給量予測値P[k][s+1]から供給量を変化させた場合に断面sにおいて生産者kが生産可能な上限量(max2[k][s])とのうちの最も小さいものを供給上限max[k][s]とする。
次に、上下限計算部105は、生産者kの変化率制約δ[k]と、生産者kの能力下限ll[k]と、現在値P[k][0]と、断面s+1における生産者kの最適供給量予測値P[k][s+1]とに基づいて、断面s=Tにおける供給下限min[k][s]を計算する(ステップS403)。
上下限計算部105は、min1[k][s]=P[k][0]−s×δ[k]、min2[k][s]=P[k][s+1]−δ[k]とした上で、min[k][s]=MAX(ll[k],min1[k][s],min2[k][s])により供給下限min[k][s]を計算する。すなわち、上下限計算部105は、ll[k]、min1[k][s]又はmin2[k][s]のうちの最も大きいものを供給下限min[k][s]とする。言い換えれば、上下限計算部105は、生産者kが生産可能な下限量(能力下限ll[k])と、変化率制約δ[k]を考慮して現在値P[k][0]から供給量を変化させた場合に断面sにおいて生産者kが生産可能な下限量(min1[k][s])と、変化率制約δ[k]を考慮して最適供給量予測値P[k][s+1]から供給量を変化させた場合に断面sにおいて生産者kが生産可能な下限量(min2[k][s])とのうちの最も大きいものを供給下限min[k][s]とする。
なお、上記のステップS403及びステップS404の処理の実行順は逆であっても良い。
次に、初期上下限計算部102は、生産者kをk=k+1とする(ステップS404)。
次に、初期上下限計算部102は、生産者k≦Nであるか否かを判定する(ステップS405)。
ステップS405において、生産者k≦Nであると判定された場合、上下限計算部105は、ステップS402の処理に戻る。これにより、生産者k=1からk=Nまでの断面s(<T)における全ての生産者kの供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]が繰り返し計算される。
一方で、ステップS205において、生産者k≦Nであると判定されなかった場合、上下限計算部105は、断面s(<T)における供給上限及び供給下限の計算処理を終了する。
ここで、断面s(<T)における生産者kの供給可能範囲は、供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]で表される。或る生産者kの供給可能範囲を図9に示す。図9に示す例では、max1[k][s]>ul[k]>max2[k][s]、かつ、min1[k][s]>min2[k][s]>ll[k]である。この場合、供給上限max[k][s]=max2[k][s]、供給下限min[k][s]=min1[k][s]となる。このとき、断面s(<T)において、生産者kが供給可能な供給量P[k][s]の範囲(供給可能範囲)は、min[k][s]≦P[k][s]≦max[k][s]となる。
このように、断面s(<T)では、1つ未来の断面s+1で決定された最適供給量予測値P[k][s+1]も考慮した供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を決定する。これにより、各断面s(<T)において、最適な供給上限max[k][s]及び供給下限min[k][s]を決定することができる。
以上のように、本実施形態に係る生産配分決定装置10では、需要量予測L[s]と生産者kの変化率制約δ[k]とを考慮して、各断面sにおける各生産者kの最適な配分を決定することができる。しかも、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、例えば、特許文献3〜6や非特許文献1〜3に開示されている等λ法を用いた手法のような繰り返しアルゴリズムを用いずに、最適な配分を決定している。このため、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、少ない計算量で高速に計算することができる。
また、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、従来技術の最適化手法のように最適な供給量を決定する過程がブラックボックスで外部から不透明である、ということがなく、生産者間でどのように供給量が配分されているかが、最適価格予測値λ[s]と供給曲線モデルC´[k]との関係より明確となる。このため、本実施形態に係る生産配分決定装置10のユーザは、最適解として得られた最適供給量予測値P[k][s]に対して、各生産者kがどの程度コストを改善すべきかの指標として、限界コストと最適価格予測値λ[s]との差を用いることも可能となる。
なお、本実施形態に係る生産配分決定装置10は、各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を決定する過程を、総供給曲線モデルφと各供給曲線モデルC´[k]とを用いて可視化しても良い。これにより、本実施形態に係る生産配分決定装置10のユーザは、最適価格予測値λ[s]や最適供給量予測値P[k][s]がどのように決定されるかを確認することができるようになる。
(実施例1)
以降では、本実施形態に係る生産配分決定装置10の実施例1について説明する。実施例1では、図10に示す需給系統における供給量の最適化について説明する。図10に示す需給系統は、3台の発電機(発電機No.1、発電機No.2、発電機No.3)が燃料を使用して、それぞれP[1]、P[2]、P[3](MW)の電力を発電し、電気設備に対して電力L(MW)を供給する。発電機No.1、発電機No.2及び発電機No.3が生産者、電気設備が需要家である。
このとき、T=20として、断面s+1と断面sとの間の時間幅をΔ=5(min)とする。
また、発電機No.1の能力上限ul[1]、能力下限ll[1]及び変化率制約をδ[1]を以下とする。
・能力上限ul[1]=300(MW)
・能力下限ll[1]=50(MW)
・変化率制約δ[1]=20(MW/5min)
同様に、発電機No.2の能力上限ul[2]、能力下限ll[2]及び変化率制約をδ[2]を以下とする。
・能力上限ul[2]=400(MW)
・能力下限ll[2]=100(MW)
・変化率制約δ[2]=10(MW/5min)
同様に、発電機No.3の能力上限ul[3]、能力下限ll[3]及び変化率制約をδ[3]を以下とする。
・能力上限ul[3]=500(MW)
・能力下限ll[3]=200(MW)
・変化率制約δ[3]=30(MW/5min)
また、発電機No.1、発電機No.2及び発電機No.3の供給曲線モデルC´[k]を図11に示す。図11において、C´[1]は発電機No.1の供給曲線モデル、C´[2]は発電機No.2の供給曲線モデル、C´[3]は発電機No.3の供給曲線モデルを示している。
また、生産配分決定処理部100に入力される需要量予測値L[s](s=1,2,・・・,20)を図12に示す。図12は、現在時刻を9:30として、9:35(断面s=1)から11:10(断面s=20)までの需要量予測値L[s]を示している。
更に、生産配分決定処理部100に入力される発電機No.1の現在値P[1][0]と、発電機No.2の現在値P[2][0]と、発電機No.3の現在値P[3][0]とは以下とする。
・発電機No.1の現在値P[1][0]=100(MW)
・発電機No.2の現在値P[2][0]=150(MW)
・発電機No.3の現在値P[3][0]=250(MW)
すなわち、図10に示す需給系統は、現在時刻9:30においてP[1][0]+P[2][0]+P[3][0]=500(MW)の電力を電気設備に供給している。
このとき、実施例1における図4のステップS101において、まず、総供給曲線計算部101は、以下の式2に示す数式を生成する。
Figure 2019109682
・・・(2)
ここで、f1は、需要家の需要量Lと、各発電機の発電量(P[1]、P[2]、P[3])の合計とが等しいことを表す式である。f2は、各発電機の限界コストと、供給量と、供給下限と、供給上限との関係を表す式であり、f21と、f22と、f23とを論理積(∧)で結合した式である。
f21は、発電機No.1において、供給量が供給上限と供給下限との間である場合における限界コストを表す式と、供給量が供給上限である場合における限界コストを表す式と、供給量が供給下限である場合における限界コストを表す式とを論理和(∨)で結合した式である。同様に、f22は、発電機No.2において、供給量が供給上限と供給下限との間である場合における限界コストを表す式と、供給量が供給上限である場合における限界コストを表す式と、供給量が供給下限である場合における限界コストを表す式とを論理和(∨)で結合した式である。同様に、f23は、発電機No.3において、供給量が供給上限と供給下限との間である場合における限界コストを表す式と、供給量が供給上限である場合における限界コストを表す式と、供給量が供給下限である場合における限界コストを表す式とを論理和(∨)で結合した式である。
次に、総供給曲線計算部101は、f1とf2との論理積に対して、各発電機の発電量(P[1]、P[2]、P[3])に存在記号(∃)を付与することで、以下の式3に示す一階述語論理式を生成する。
Figure 2019109682
・・・(3)
そして、総供給曲線計算部101は、上記の式3に示す一階述語論理式の束縛変数(P[1]、P[2]及びP[3])を限定記号消去法により消去することで、総供給曲線モデルφ(λ,L,min[1],min[2],min[3],max[1],max[2],max[3])を得る。
また、実施例1における図4のステップS103において、初期上下限計算部102は、断面s=20における各発電機の供給上限max[k][s]及び供給下限[k][s]を計算する。例えば、発電機No.1の供給上限max[1][20]は、max1[1][20]=P[1][0]+s×δ[1]=100+20×20=500(MW)であるから、max[1][20]=MIN(ul[1],max1[1][20])=MIN(300,500)=300(MW)となる。同様に、例えば、発電機No.1の供給下限[k][s]は、min1[1][20]=P[1][0]−s×δ[1]=100−20×20=−300(MW)であるから、min[1][20]=MAX(ll[1],min1[1][20])=MAX(50,−300)=50(MW)となる。発電機No.2及び発電機No.3についても同様に計算することができる。これにより、min[1][20]=50、max[1][20]=300、min[2][20]=100、max[2][20]=350、min[3][20]=200、max[3][20]=500が得られる。
また、s=20である場合、実施例1における図4のステップS104において、最適価格計算部103は、断面s=20における最適価格予測値λ[20]を決定する。
最適価格計算部103は、まず、総供給曲線モデルφに対して、断面s=20における各発電機の供給上限max[k][20]及び供給下限min[k][20]を代入して、λ−L平面上の総供給曲線φ(λ,L,min[1][20],min[2][20],min[3][20],max[1][20],max[2][20],max[3][20])を得る。そして、最適価格計算部103は、図13に示すように、この総供給曲線φ(λ,L,min[1][20],min[2][20],min[3][20],max[1][20],max[2][20],max[3][20])において、L[20]に対応する限界コストλを最適価格予測値λ[20]とする。図13に示す例では、L[20]=820に対応する最適価格予測値λ[20]=3.52が得られる。
また、s=20である場合、実施例1における図4のステップS105において、配分計算部104は、断面s=20における各発電機の最適供給量予測値P[k][20]を計算する。
各発電機の断面s=20における供給曲線モデルC´[k][20]を図14に示す。図14に示すように、C´[1][20](max[1][20])<λ[20]であるため、配分計算部104は、断面s=20における発電機No.1の最適供給量予測値をP[1][20]=max[1][20]=300(MW)とする。また、図14に示すように、C´[2][20](min[2][20])≦λ[20]≦C´[2][20](max[2][20])であるため、配分計算部104は、断面s=20における発電機No.2の最適供給量予測値P[2][20]をλ[20]=C´[2][20](P[2][20])=3.52が成立するように決定する。具体的には、λ[20]=C´[2][20](P[2][20])の逆関数によって、(3.52−3.2)/(2×0.0005)=320(MW)とする。また、図14に示すように、λ[20]<C´[3][20](min[3][20])であるため、配分計算部104は、断面s=20における発電機No.3の最適供給量予測値をP[3][20]=min[3][20]=200(MW)とする。
これにより、断面s=20における各発電機の最適供給量予測値をP[k][20]が決定される。
また、s=19である場合、実施例1における図4のステップS104において、最適価格計算部103は、断面s=19における最適価格予測値λ[19]を決定する。λ−L平面上の総供給曲線φ(λ,L,min[1][19],min[2][19],min[3][19],max[1][19],max[2][19],max[3][19])を図15に示す。最適価格計算部103は、図15に示すように、この総供給曲線φ(λ,L,min[1][19],min[2][19],min[3][19],max[1][19],max[2][19],max[3][19])において、L[19]に対応する限界コストλを最適価格予測値λ[19]とする。図15に示す例では、L[19]=800に対応する最適価格予測値λ[19]=3.37が得られる。
また、s=19である場合、実施例1における図4のステップS105において、配分計算部104は、断面s=19における各発電機の最適供給量予測値P[k][19]を計算する。各発電機の断面s=19における供給曲線モデルC´[k][19]を図16に示す。図16に示すように、C´[1][19](min[1][19])≦λ[19]≦C´[1][19](max[1][19])であるため、配分計算部104は、断面s=19における発電機No.1の最適供給量予測値P[1][19]をλ[19]=3.37が成立するように決定する。具体的には、λ[19]=C´[1][19](P[1][19])の逆関数によって、(3.37−2.5)/(2×0.0015)=290(MW)とする。同様に、λ[19]<C´[2][19](min[2][19])であるため、配分計算部104は、断面s=19における発電機No.2の最適供給量予測値をP[2][19]=min[2][19]=310(MW)とする。同様に、λ[19]<C´[3][19](min[2][19])であるため、配分計算部104は、断面s=19における発電機No.3の最適供給量予測値をP[3][19]=min[3][19]=200(MW)とする。
以降、同様に、断面s=18から断面s=1まで1断面ずつ過去にずらしながら各断面sにおける各発電機の最適供給量予測値P[k][s]を決定する。
ここで、実施例1における各断面s(s=1,2,・・・,20)の各発電機について、本実施形態に係る生産配分決定装置10によって最適供給量予測値P[k][s]を決定した結果を図17に示す。図17に示す例では、断面s=1(時刻9:35)、断面s=2(時刻9:40)、・・・、断面s=20(時刻11:10)における各発電機の発電量を示している。一方で、特許文献2に開示されている技術を用いて、未来の予測を考慮せず、各時刻で各発電機の最適供給量を1断面ずつ算出した結果を図18に示す。図18に示す例も、図17と同様に、断面s=1(時刻9:35)、断面s=2(時刻9:40)、・・・、断面s=20(時刻11:10)における各発電機の発電量を示している。
図17と図18とを比較すると、図17では、効率の悪い発電機No.3の配分を小さく保つため、発電機No.1及び発電機No.2の配分を略同時に増加させているのがわかる。一方で、図18では、最も効率の良い発電機No.1の配分がなるべく大きくなるように運用しているため、時刻10:30以降に発電機No.1の発電量が上限に達してしまっている。このため、変化率制約によって、発電機No.2だけでなく、発電機No.3の配分を増加させる必要が生じ、結果として効率の悪い運用になっている。
また、図11の供給曲線モデルに対応した、各発電機の発電量に対する発電コストを図19に示す。図19に示す発電コストを用いて、断面s=1から断面s=20までの発電コストを計算すると、図17に示す例の場合は3706.32(千円)となり、図18に示す例の場合は3750.57(千円)となる。
このように、本実施形態に係る生産配分決定装置10によれば、需要量の予測と生産者の変化率制約とを考慮した最適な配分を決定することで、最適なコストで需給系統を運用することができるようになる。
(実施例2)
以降では、本実施形態に係る生産配分決定装置10の実施例2について説明する。実施例2では、単位時間毎(例えば、制御周期毎)の時間区間を表すインデックスを時刻tとして、時刻t毎に、当該時刻tを基準として各断面s(s=1,2,・・・,T)における各生産者kの最適供給量予測値P[k][s]を計算し、P[k][1]を各生産者kの時刻t+1の配分として利用する処理を繰り返す場合について説明する。
より具体的には、時刻tを現在時刻を示すインデックスとして、時刻t=0(例えば、時刻9:30)を基準として各断面s(s=1,2,・・・,T)における各生産者kの最適供給量予測値Pt=0[k][s]を計算し、Pt=0[k][1]を各生産者kのt=1(例えば、時刻9:35)における配分とする。次に、時刻t=1(例えば、時刻9:35)を基準として各断面s(s=2,3,・・・,T+1)における各生産者kの最適供給量予測値Pt=1[k][s]を計算し、Pt=1[k][1]を各生産者kのt=2(例えば、時刻9:40)における配分とする。次に、時刻t=2(例えば、時刻9:40)を基準として各断面s(s=3,4,・・・,T+2)における各生産者kの最適供給量予測値Pt=2[k][s]を計算し、Pt=2[k][1]を各生産者kのt=1(例えば、時刻9:45)における配分とする。以降も同様に、時刻t毎に繰り返し各断面sにおける各生産者kの最適供給量P[k][s]を計算し、P[k][1]を各生産者kの時刻t+1における配分とする。
以降では、時刻t毎に繰り返し各断面sにおける各生産者kの最適供給量P[k][s]を決定する処理について、図20を参照しながら説明する。図20は、時刻t毎に繰り返し生産配分を決定する処理の一例を示すフローチャート(実施例2)である。以降のステップS501及びステップS502は、時刻t毎に繰り返し実行される。
生産配分決定処理部100は、時刻tでの需要量予測値L[s]及び供給量の現在値P[k][0]を入力する(ステップS501)。
次に、生産配分決定処理部100は、時刻tを現在時刻として、図4で説明した生産配分の決定処理を実行する(ステップS502)。なお、例えば、ステップS101の総供給曲線モデルφの計算については、各生産者kの供給曲線モデルC´[k]が変更されない間は、初回のみ(例えば、t=0のときのみ)実行されれば良く、2回目以降は実行する必要はない。したがって、例えば、ステップS101の総供給曲線モデルφの計算をオフラインで実行し、図4の生産配分の決定処理をオンラインで実行する際にはステップS101の処理を実行しないようにしても良い。
ここで、図20のステップS501で入力される需要量予測値L[s]の一例を図21に示す。図21に示すように、例えば、時刻t=0(時刻9:30)である場合、時刻t=1(時刻9:35)からt=20(時刻11:10)までの需要量予測値を、需要量予測値Lt=0[s](s=1,2,・・・,20)として生産配分決定処理部110に入力する。同様に、例えば、時刻t=10(時刻10:20)である場合、時刻t=11(時刻10:25)からt=31(時刻12:05)までの需要量予測値を、需要量予測値Lt=10[s](s=1,2,・・・,20)として生産配分決定処理部100に入力する。同様に、例えば、時刻t=31(時刻12:05)である場合、時刻t=32(時刻12:10)からt=51(時刻13:55)までの需要量予測値を、需要量予測値Lt=31[s](s=1,2,・・・,20)として生産配分決定処理部100に入力する。
ここで、実施例1の各発電機を用いて、本実施形態に係る生産配分決定装置10によって、時刻t=1から時刻t=31まで、各時刻tを基準として断面s(s=1,2,・・・,20)まで繰り返した場合における各発電機の最適供給量予測値を図22に示す。一方で、従来技術によって、時刻t=1から時刻t=31まで、各時刻tを基準として断面s(s=1,2,・・・,20)まで繰り返した場合における各発電機の最適供給量予測値を図23に示す。
図22の発電コストと、図23の発電コストとを比較すると、図22では6784.79[千円]、図23では6879.06[千円]となり、図22の方が効率的な運用となっていることがわかる。
また、図17の期間における発電コストは、図22の場合は3704.92[千円]であり、実施例1に記載のように、t=0で計算したs=1〜s=20の配分をそのまま使用するよりも省コストとなっている。なお、発電コストの算出には、図19を用いた。
このように、本実施形態に係る生産配分決定装置10では、時刻t毎に、当該時刻tを基準として各断面sにおいて、需要量の予測と生産者の変化率制約とを考慮した最適な配分を決定することができる。これにより、各時刻tにおいて、最適なコストで需給系統を運用することができるようになる。
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
10 生産配分決定装置
100 生産配分決定処理部
101 総供給曲線計算部
102 初期上下限計算部
103 最適価格計算部
104 配分計算部
105 上下限計算部
106 出力部

Claims (7)

  1. 各時刻s(s=1,2,・・・,T)において複数の生産者が生産及び供給する供給量の最適な配分を決定する生産配分決定装置であって、
    各生産者の供給量と限界コストとの関係を表す供給曲線モデルから、前記複数の生産者の総供給量と限界コストとの関係を表す総供給曲線モデルを計算する総供給曲線計算手段と、
    前記各生産者の現在の供給量と、前記各生産者の供給量の変化率制約と、前記各生産者の供給能力の上限及び下限を示す能力上限及び能力下限とに基づいて、時刻sにおける前記各生産者の供給量の上限及び下限を示す供給量上限及び供給量下限を計算する上下限計算手段と、
    前記総供給曲線モデルと、時刻sにおける需要量の予測値と、前記供給量上限及び供給量下限とに基づいて、前記時刻sにおける限界コストを示す最適価格を計算する最適価格計算手段と、
    前記時刻sにおける各生産者の供給量上限及び供給量下限と、前記各生産者の供給曲線モデルと、前記時刻sにおける最適価格とに基づいて、前記時刻sにおける前記各生産者の供給量の配分を示す最適供給量を計算する供給量計算手段と、
    を有し、
    前記上下限計算手段による供給量上限及び供給量下限の計算と、前記最適価格計算手段による最適価格の計算と、前記供給量計算手段による最適供給量の計算とを、時刻s=Tから時刻s=1まで繰り返し実行する、ことを特徴とする生産配分決定装置。
  2. 前記上下限計算手段は、
    時刻s=Tである場合、前記各生産者毎に、前記現在の供給量と前記変化率制約とによって計算される第1の上限量と、前記能力上限とのいずれか小さい方を、時刻sにおける前記供給量上限とし、前記現在の供給量と前記変化率制約とによって計算される第1の下限量と、前記能力下限とのいずれか大きい方を、時刻sにおける前記供給量下限とし、
    時刻s(<T)である場合、前記各生産者毎に、前記現在の供給量と前記変化率制約とによって計算される第1の上限量と、前記供給量計算手段により計算された時刻s+1における最適供給量と前記変化率制約とによって計算される第2の上限量と、前記能力上限とのうちの最も小さいものを、時刻sにおける供給量上限とし、前記現在の供給量と前記変化率制約とによって計算される第1の下限量と、前記供給量計算手段により計算された時刻s+1における最適供給量と前記変化率制約とによって計算される第2の下限量と、前記能力下限とのうちの最も大きいものを、時刻sにおける供給量下限とする、ことを特徴とする請求項1に記載の生産配分決定装置。
  3. 前記供給量計算手段は、
    前記各生産者毎に、前記時刻sにおける供給量上限及び供給量下限と供給曲線モデルとによって計算される限界コスト下限及び限界コスト上限と、前記時刻sにおける最適価格とを比較し、
    前記最適価格が前記限界コスト下限未満である場合、当該生産者の前記供給量下限を、前記時刻sにおける当該生産者の最適供給量とし、
    前記最適価格が前記限界コスト下限以上、かつ、前記限界コスト上限以下である場合、当該生産者の供給曲線モデルにおいて前記最適価格に対応する供給量を、前記時刻sにおける当該生産者の最適供給量とし、
    前記最適価格が前記限界コスト上限を超える場合、当該生産者の前記供給量上限を、前記時刻sにおける当該生産者の最適供給量とする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の生産配分決定装置。
  4. 前記総供給曲線計算手段は、
    前記総供給量を示す変数と、前記限界コストを示す変数と、前記各生産者の供給量を示す変数と、前記各生産者の供給量上限を示す変数と、前記各生産者の供給量下限を示す変数と、論理記号とを用いた一階述語論理式に対して限定記号消去法を用いることで、前記総供給量を示す変数と、前記限界コストを示す変数と、前記各生産者の供給量上限を示す変数と、前記各生産者の供給量下限を示す変数との関係を表す総供給曲線モデルを計算する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の生産配分決定装置。
  5. 前記供給量計算手段により計算された最適供給量を出力する出力手段を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の生産配分決定装置。
  6. 所定の制御周期t毎に、前記各生産者の供給量の現在値と、前記各生産者の各時刻sにおける需要量の予測値とが入力される入力手段を有し、
    前記入力手段により前記各生産者の供給量の現在値と、前記各生産者の各時刻sにおける需要量の予測値とが入力されると、前記上下限計算手段による供給量上限及び供給量下限の計算と、前記最適価格計算手段による最適価格の計算と、前記供給量計算手段による最適供給量の計算とを、時刻s=Tから時刻s=1まで繰り返し実行し、
    前記出力手段は、
    前記制御周期t毎に、時刻s=1における前記最適供給量を出力する、ことを特徴とする請求項5に記載の生産配分決定装置。
  7. 各時刻s(s=1,2,・・・,T)において複数の生産者が生産及び供給する供給量の最適な配分を決定する生産配分決定装置が、
    各生産者の供給量と限界コストとの関係を表す供給曲線モデルから、前記複数の生産者の総供給量と限界コストとの関係を表す総供給曲線モデルを計算する総供給曲線計算手順と、
    前記各生産者の現在の供給量と、前記各生産者の供給量の変化率制約と、前記各生産者の供給能力の上限及び下限を示す能力上限及び能力下限とに基づいて、時刻sにおける前記各生産者の供給量の上限及び下限を示す供給量上限及び供給量下限を計算する上下限計算手順と、
    前記総供給曲線モデルと、時刻sにおける需要量の予測値と、前記供給量上限及び供給量下限とに基づいて、前記時刻sにおける限界コストを示す最適価格を計算する最適価格計算手順と、
    前記時刻sにおける各生産者の供給量上限及び供給量下限と、前記各生産者の供給曲線モデルと、前記時刻sにおける最適価格とに基づいて、前記時刻sにおける前記各生産者の供給量の配分を示す最適供給量を計算する供給量計算手順と、
    を実行し、
    前記上下限計算手順による供給量上限及び供給量下限の計算と、前記最適価格計算手順による最適価格の計算と、前記供給量計算手順による最適供給量の計算とを、時刻s=Tから時刻s=1まで繰り返し実行する、ことを特徴とする生産配分決定方法。
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