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経済負荷配分制御装置及び経済負荷配分制御方法

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JP5402569B2

Japan

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秀之 伊藤
親志 中沢
賢哉 村上
達也 飯坂
巨己 林
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Fuji Electric Co Ltd

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2009 JP

Application JP2009268209A events
2014-01-29
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Description

本発明は、内燃力発電設備、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備、電力貯蔵装置で構成されるマイクログリッドにおいて、発電機の太陽光発電設備における日射量変動、風力発電設備における風速変動等による出力変動及び需要負荷の負荷変動を平滑化する電力貯蔵装置を含む発電機系全体の経済運用を可能とする経済負荷配分制御装置及び経済負荷配分制御方法に関する。
電力系統においては、負荷と発電のバランス(需給バランス)を常に確保すると同時に、電力系統をできるだけ経済的に運用する必要がある。電力系統の運転経費は送電損失を無視すれば、ほとんどが火力発電機の総燃料費と考えられる。経済負荷配分制御(EDC: Economic load Dispatching Control、またはELD: Economic Load Dispatching)は、需給バランスを満足しながら、燃料費特性、出力上下限制約、出力変化率制約などの発電機の特性を考慮した上で、複数の発電機に対して経済性を考慮した負荷配分制御を行う。すなわち、複数の発電機に対して、その出力電力の調整を行なう。
近年、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備を含むマイクログリッドの開発が増加している。太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備は、日射量、風速などの自然条件に応じて時々刻々と出力が変動するため、特に、電力過疎地域や離島などの脆弱な電力系統では、系統の周波数や電圧の変動が生じ、問題となることが想定される。
これに対し、例えば、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備による出力変動を補償させるために、電力貯蔵装置に充放電を行わせ、ローカルに電力系統を安定化させる電力安定化装置として非特許文献1がある。また、分散型電源を含む小規模電力系統と商用電源との間の電力需給制御を円滑かつ効率的に行う制御装置および方法として特許文献1の技術がある。
特開2008−271723号公報
風力発電用電力安定化装置の開発、2008.11 OHM、p.37−42
しかしながら、非特許文献1の電力安定化装置は、分散型電源に対するローカル制御であり、電力貯蔵装置の制御を含めた発電機系の経済負荷配分制御はできていなかった。また、特許文献1を含む従来技術文献では、電力貯蔵装置の特性が考慮されておらず、電力貯蔵装置を含む発電機系全体の経済負荷配分制御は実施できない。また、経済負荷配分制御を行なうために出力電力値の配分の最適値を求めるための制約付き最適化計算の求解不能問題への対策は提示されていない。
本発明の課題は、より経済的な運用が可能な経済負荷配分制御装置及び経済負荷配分制御方法を提供することである。
本発明の経済負荷配分制御装置は、内燃力発電設備、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備、電力貯蔵装置で構成されるマイクログリッドにおける出力電力配分を制御する経済負荷配分制御装置であって、現在から一定時間未来までの評価区間内の離散的な時点において、負荷の総電力需要予測値と、発電機あるいは電力貯蔵装置の特性から、それぞれの出力電力の配分値が取り得る領域である実行可能領域を演算する実行可能領域演算手段と、該評価区間内の該離散的な時点で該実行可能領域が消滅する需給不均衡が発生した場合に、予備の発電機あるいは予備の電力貯蔵装置の起動を管理者に指示する予備力確保手段と、該評価区間内の該離散的な時点で該需給不均衡が発生しないことが確認された場合に、該評価区間における該発電機あるいは該電力貯蔵装置の最適な出力電力の配分値を最適化計算により算出する最適化手段と、該発電機あるいは該電力貯蔵装置の出力電力が、該評価区間内の、現在に直近の未来の離散的時点における出力電力の配分値になるように、該発電機あるいは該電力貯蔵装置へ出力電力の制御信号を出力する制御信号出力手段とを備える。
本発明の経済負荷配分制御方法は、内燃力発電設備、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備、電力貯蔵装置で構成されるマイクログリッドにおける出力電力配分を制御する経済負荷配分制御方法であって、現在から一定時間未来までの評価区間内の離散的な時点において、負荷の総電力需要予測値と、発電機あるいは電力貯蔵装置の特性から、それぞれの出力電力の配分値が取り得る領域である実行可能領域を演算し、該評価区間内の該離散的な時点で該実行可能領域が消滅する需給不均衡が発生した場合に、予備の発電機あるいは予備の電力貯蔵装置の起動を管理者に指示し、該評価区間内の該離散的な時点で該需給不均衡が発生しないことが確認された場合に、該評価区間における該発電機あるいは該電力貯蔵装置の最適な出力電力の配分値を最適化計算により算出し、該発電機あるいは該電力貯蔵装置の出力電力が、該評価区間内の、現在に直近の未来の離散的時点における出力電力の配分値になるように、該発電機あるいは該電力貯蔵装置へ出力電力の制御信号を出力する。
本発明によれば、より経済的な運用が可能な経済負荷配分制御装置及び経済負荷配分制御方法を提供することができる。
本発明の実施形態が適用されるシステムの全体構成図である。 本発明の実施形態に従った経済負荷配分制御方法を説明する図である。 本発明の実施形態に従った経済負荷配分制御の処理フローである。 本発明の実施形態に従った経済負荷配分制御部のブロック構成図である。
上述した課題を解決するために、本実施形態では、現在から一定時間未来までの負荷配分系列を考察・評価する特定の評価区間を設け、経済負荷配分の対象となる発電機と電力貯蔵装置からみた負荷の総需要予測値と当該発電機および電力貯蔵装置の特性や制約から、それぞれの出力配分系列が取り得る領域である実行可能領域を演算する実行可能領域演算手段と、評価区間内で実行可能領域が消滅する需給不均衡の発生を検出し、予備力の確保を指示する予備力確保手段と、評価区間で需給不均衡が発生しないことが確認された場合に評価区間における当該発電機と電力貯蔵装置の最適負荷配分系列を最適化計算により算出する最適化手段と、前記最適負荷配分系列から、次の時間の配分値を経済負荷配分結果として出力する配分値出力手段とを備える。
また、当該最適化手段においては、二次計画法を用いて最適化を行なう。また、電力貯
蔵装置の制約に電力量制約を用いる。
以下、本発明の実施形態に係る経済負荷配分制御装置及び経済負荷配分制御方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態が適用されるシステムの全体構成図である。
図1においては、電力を消費する負荷20−1〜20−5が、グリッド19に接続される。また、負荷20−1〜20−5に対して電力を供給するための、発電機14−1〜14−n、電力貯蔵装置15−1〜15−m、太陽光発電装置17、風力発電装置18がグリッド19に接続される。太陽光発電装置17や風力発電装置18の発電量は、天候などに左右されるため、変動幅が大きい。この変動幅を補償するために、電力貯蔵装置15−1〜15−mの充放電量を調整したり、火力発電などの発電機14−1〜14−nの出力電力を調整することが行なわれる。太陽光発電装置17や風力発電装置18の発電量が十分ではなくなり、発電機14−1〜14−nや電力貯蔵装置15−1〜15−mの出力を調整しても負荷20−1〜20−5に十分な電力を供給できなくなった場合には、予備力16を起動して使用する。予備力16は、グリッド19に予め接続されているが、通常は使用されていない発電機や電力貯蔵装置であり、負荷20−1〜20−5に、現在の発電機14−1〜14−nや電力貯蔵装置15−1〜15−mでは十分な電力が供給できない場合(需給不均衡)に、供給電力を増加する目的で、起動されるものである。
発電機14−1〜14−nや電力貯蔵装置15−1〜15−mは、制御装置10によって制御される。制御装置10は、過去の電力消費実績データを格納した実績データベース13から過去の電力消費傾向を読み出し、予測機能部12において、現在の電力消費から将来の電力消費を予測する。この電力消費の需要予測は、経済負荷配分制御部11に送られる。経済負荷配分制御部11では、需要予測から、発電機14−1〜14−n、電力貯蔵装置15−1〜15−mの最適出力電力を演算し、最適配分出力指令をそれぞれの発電機14−1〜14−n及び電力貯蔵装置15−1〜15−mに送出する。各発電機14−1〜14−n、電力貯蔵装置15−1〜15−mは、この最適配分出力指令に基づいて、自装置の出力電力を調整する。
図2は、本発明の実施形態に従った経済負荷配分制御方法を説明する図である。
図2は、対象とする電力系統において経済負荷配分の対象として総数N個の発電機Gおよび電力貯蔵装置Bがあることを示す。発電機Gと電力貯蔵装置Bには通し番号1〜Nが付けられており、図2ではi番目とj番目に電力貯蔵装置BiとBjが配置されていることを示す。Lは経済負荷配分の対象となる発電機と電力貯蔵装置からみた負荷を表す。図2では、負荷Lは、1つしか示されていないが、これは、複数の負荷を等価的に1つの負荷で置き換えたものである。Pkはk番目の発電機または電力貯蔵装置の出力[MW]を、PLは負荷への入力[MW]を示す。以下に説明する経済負荷配分制御は、これら発電機や電力貯蔵装置の制御装置として動作する経済負荷配分制御部が行なう。
このとき、経済負荷配分制御の目的は発電機および電力貯蔵装置の特性に基づく種々の制約と需給バランス制約を満足しながら発電機の燃費特性を考慮して、最も経済的な負荷配分指令を生成することである。
経済負荷配分制御装置は負荷の需要予測、発電機の燃費特性、発電機と電力貯蔵装置の制約(発電機: 出力上下限制約、出力変化率制約、電力貯蔵装置: 出力上下限制約、出力変化率制約、電力量上下限制約(蓄電量制約))および 需給バランス制約から、最適化計算により最適負荷配分値を発電機、電力貯蔵装置に出力指令値として送る。これにより、自動的に発電機や電力貯蔵装置を経済的に最適な出力になるように制御するとともに、評価区間内で実行可能領域(最適負荷配分値にしたがって各発電機や電力貯蔵装置が出力電力値を調整可能な範囲)が消滅する需給不均衡の発生を検出したら、管理者にそれを
通知すると共に予備力の確保を指示する。
発電機や電力貯蔵装置の制約としては、出力上下限制約、出力変化率制約がある。電力貯蔵装置特有の制約として貯蔵電力量上下限制約がある。現在から未来のi=1〜Mステップ先(1ステップとしては、例えば、1min、5minといった値をとる。評価区間長としては、例えば、60minといった値をとる)までを考察対象とする評価区間におけるk番目の機器の出力をPk(t+i)とすると、これらの制約は以下のようになる。
ここで、下にバーがある記号は、下限値を示し、上にバーがある記号は、上限値を示す。また、Δ付きの記号は、現在の値と1ステップ未来の値との間の変化量(変化率)である。電力量制約は、電力貯蔵装置の電力貯蔵量初期値から、現在から1ステップ未来の時点からiステップ未来の時点までに放電する正味の出力電力量が減算され、これが、電力貯蔵量の上限値と下限値の間に収まるという条件を示している。
需給バランス制約は、すべての発電機と電力貯蔵装置の総出力に対して評価区間内のすべての時刻において成立する必要があるので
となる。これは、kが発電機あるいは電力貯蔵装置を特定する変数で、1からNまで加算することにより、出力配分対象の全ての装置の出力を加算することになる。この総出力が、評価区間内の全ての時点において、負荷が消費する総電力(需要)に等しくなるべきであるとしているのが、上記式の意味である。また、発電機kの燃料費特性fk(t)は次式で近似する。
この燃料費特性の式は、出力電力Pk(t)の二次式で表現できるとしている。
以上の条件を考慮した最適化のための目的関数の設定方法について説明する。目的関数fを全ての発電機のMステップの評価区間にわたる総燃費とすると、目的関数は発電機毎の評価区間にわたる燃費の総和として求まる。k番目の発電機の評価区間での燃料費をfkとすると、総燃費である目的関数fは
であるとする。総燃費fを目的関数として最適化することにより、もっとも燃費が少ない電力配分で、電力を供給できる、すなわち、最も経済的な電力供給が行なえるということになる。上記式は、fk(t)の式を、現在から、評価区間内のMステップ未来まで加算したものを行列形式に表現したものである。また、iステップ未来の出力電力値Pk(t+i)は、現在の出力電力値Pk(t)とその変化量ΔPk(t)〜ΔPk(t+i−1)の和として表現して式を整理している。また、Rに上付きのMやM×Mなどが付いている記号は、実数を要素とする、要素数Mのベクトル、あるいは、要素数M×Mの、M×M行列であることを意味する。
次に、制約の設定について説明する。k番目の発電機に対する出力上下限制約は評価区間内のすべての時刻において成立する必要があるので
とする。この式は、k番目の発電機について、評価区間内のMステップの時点における出力電力の制限を行列形式で表現したものである。二次計画法として定式化するために、上
式を二つの不等式に分けると
本式が全てのkについて成り立つ必要があるので、行列形式で表現すると、
k番目の発電機に対する出力変化率制約は評価区間内のすべての時刻において成立する必要があるので
とする。この式も、評価区間内のMステップの時点について、まとめて行列形式で表現したものであり、以下同様である。二次計画法として定式化するために、上式を二つの不等式に分けると
本式が全てのkについて成り立つ必要があるので
電力貯蔵装置(機器番号kとする)の部分に関して電力量制約は評価区間内のすべての時刻において成立する必要がある。これは電力量が電力の積分であることから
とする。二次計画法として定式化するために、上式を二つの不等式に分けると
本式が全てのkについて成り立つ必要があるので
需給バランス制約はすべての発電機と電力貯蔵装置の総出力に対して評価区間内のすべての時刻において成立する必要があるので、需給バランス制約は
とする。等式制約の標準系に変換すると次式となる。
二次計画法として定式化するために、上式を二つの不等式に分けると
ここで、Tは、前出の通りである。
以上の種々の制約を線形不等式制約としてまとめると次式となる。
とする。上記行列はそれぞれ8つのブロックから構成され、上部から2ブロック毎に、(1)出力上下限制約、(2)出力変化率上下限制約、(3)電力量上下限制約、(4)需給バランス制約に対応する。ここで、(3)の電力量上下限制約については、形式的に1〜Nの全ての機器に対して制約が有効となるように記述しているが、実際には連番を付けた中で電力貯蔵装置に対応する行の制約のみを含め、その他の行は削除すればよい。
なお、上記制約を等式制約と不等式制約に分ける場合には、等式制約は
不等式制約は
とする。 A、bの最下部にある等式制約部分(二つの不等式で表現)を除いたものがA2、b2に相当する。
以上の結果をまとめて、経済負荷配分問題を以下の二次計画法として定式化する。
これは、AΔP≦bの制約の下にfが最小となるようなΔPを求めよ、という問題である。subject toの後ろの式が、制約式である。
上記制約は等式制約と不等式制約に分けてもよく、
としても同じである。
以上の二次計画法の最適化問題を解くと、ΔPが求まるので、現在から1ステップ未来の最適出力電力値である最適配分出力指令Pk*(k=1〜N)は上記二次計画法の解ΔP(列ベクトルとなる)の一部から
として求める。二次計画法は最適化問題の標準形式であり、信頼性が高く高速計算が可能な多くの解法アルゴリズムやソルバ(商用ソフトウェア)を利用できる。
最適負荷配分系列Pkの先頭の配分値Pk(t+1)は、現在から1ステップ未来の最適な出力電力の配分値である。ここでk=1〜Nは機器番号(発電機、電力貯蔵装置に付けられた連番)である。最適負荷配分系列Pk(t+1)、Pk(t+2)、・・・、Pk(T+M)は、現在から一定時間未来までの特定の評価区間において特定のサンプリング時間(ステップ)で離散化されたM個の最適負荷配分値からなる時系列であり、最適化計算により算出される。経済負荷配分制御部は、この最適負荷配分値の時系列から先頭の負荷配分値(次ステップの配分値に相当)を最適負荷配分指令Pk=Pk(t+1)=Pk(t)+ΔPk(t)として出力する。
二次計画法は標準的な数理計画問題であり、解法アルゴリズムを記述した代表的な文献として以下がある。
・今野浩、山下浩:非線形計画法、ORライブラリ6、日科技連、1978
・古林隆:線形計画法入門、講座・数理計画法2、産業図書、1980
・今野浩:線形計画法、日科技連、1987
・矢部博、八巻直一:非線形計画法、応用数値計算ライブラリ、朝倉書店、1999
・小島政和、土谷隆、水野眞治、矢部博:内点法、経営科学のニューフロンティア9、朝倉書店、2001
市販の代表的なソルバ(商用ソフトウェア)としては、以下がある。
・米国Lindo System Inc.:LINGO
・株式会社 数理システム:NUOPT
・ILOG,Inc.:CPLEX
最適化計算の実行可能性確保について説明する。
図3は、本発明の実施形態に従った経済負荷配分制御の処理フローである。
経済負荷配分制御を最適化問題として定義したが、出力上下限制約、出力変化率制約をはじめとする各種制約の中で、需要の大きな変化に対して需給バランス制約を満たせなくなること(実行可能領域の消失)、すなわち、最適化計算として実行可能解がなく、解なしとなることがあり得る(実行可能解の消失)。発電機や電力貯蔵装置の実行可能領域が消失すると最適化計算の実行可能解が消失する。実行可能領域とは需給バランスを確保しながら発電機や電力貯蔵装置が運転可能な出力指令値Pkの取り得る領域のことである。
実行可能領域の計算方法について説明する。実行可能領域は実行可能領域上限の系列(時系列の値)と実行可能領域下限の系列(時系列の値)に挟まれた区間として表現できる。k番目の発電機あるいは電力貯蔵装置の実行可能領域上限は現在の運転状態Pk(t)を基準として,需給バランス制約,電力量制約を満たしながら他の発電機あるいは電力貯蔵装置の運転が最も不活性化した状態を仮定することにより,時間の順方向に,例えば,以下の逐次計算で求めることができる。
ここで、minは最小値をとる意味である。Wk(t)はk番目の電力貯蔵装置の時刻tにおける蓄電電力量である。k番目の装置が電力貯蔵装置でなければ、Wk(t)の寄与項はmin演算から除外する。実行可能領域下限については上式でminとmax、下限記号と上限記号を置き換えることで同様にして計算できる。なお、maxは最大値をとる意味である。なお、需給不均衡Pmisは実行可能領域下限が実行可能領域上限を上回ったときに発生するので
となる。したがって、実行可能領域の上下限を時間の順方向に逐次計算しながら上下限の差分の符号を上式に基づいてチェックすれば、需給不均衡の発生を検出できる(需給不均衡Pmisの符号がプラスになった場合が、実行可能領域の消失の場合である)。需給不均衡が発生したらそれは他の予備力で賄うとして、需給不均衡分Pmisを総需要PLから差し引いて総需要PLを再定義すれば、その時点での需給不均衡は解消する。
需給不均衡の検出は、経済負荷配分制御部がその時点で負荷配分計算対象としている発電機や電力貯蔵装置だけでは電力需要に対応する電力供給ができないことを予測したことを意味する。この需給不均衡に対して、水力発電機に代表される普段は停止あるいは待機されている予備力R(発電機や電力貯蔵装置)の起動を図って対処する。予備力の起動(確保)によって、需要予測PLは、経済負荷配分制御部の対象とする発電機や電力貯蔵装置による電力供給で賄える範囲に収まることになる(同一需要に対してPR(予備力の出力電力)を投入した分、他の発電機や電力貯蔵装置が賄うPLが少なくて済むため)。なお、発電機や電力貯蔵装置の起動はオペレータが操作するため、需給不均衡が予め検出されれば、管理者にアラームを上げ、予備力の確保を指示する。
図3のフローチャートに沿って説明する。
まず、経済負荷配分制御部は、ステップS10において、上記で説明した実行可能領域計算を行なう。ステップS11において、実行可能領域計算の結果、需給不均衡が発生し、電力需要が電力供給可能な最大値を超えたか否かを判断する。ステップS11の判断がNoの場合には、ステップS13に進む。ステップS11の判断がYesの場合には、ステップS12において、経済負荷配分制御部が制御対象としているマイクログリッドに接続されているが、通常時は停止している、水力発電機や火力発電機などの予備力を起動すべき旨のアラームを管理者にあげる。管理者が予備力の起動を終了し、新たな電力源が確保できた場合には、ステップS10に戻る。ステップS13では、上記で定式化した二次計画法の最適化問題を解き、設定された評価区間での最適な電力供給の配分値を求め、ステップS14において、最適配分結果を管理者に提示すると共に、最適負荷配分指令Pkを各発電機、及び、電力貯蔵装置に送信し、自動的に出力電力値の調整を行なう。
本実施形態では、図3に示すように最適化計算に先だって、出力配分系列が取り得る領域である実行可能領域を求め、評価区間中に実行可能領域の消失があれば需給不均衡を示すので、需給不均衡を解消する予備力確保を促し、需給不均衡が起こらないように総需要を修正する。実行可能領域を再度計算して全評価区間にわたって需給不均衡の消失すなわち実行可能領域の消失が解消され、実行可能性が確保されてから最適化計算に移行する。本実施形態で対象としている最適化法は近似手法ではないので、実行可能領域が確保されていれば最適解が得られる。なお、需給不均衡は経済負荷配分制御が対象とする機器の範囲では解消することができないので、他の予備力で賄うことが必要である。
図4は、本発明の実施形態に従った経済負荷配分制御部のブロック構成図である。
需要予測PL、燃費特性fkのパラメータの数値、制約のパラメータの数値が実行可能領域演算部30に入力され、需給不均衡が発生していないか否かが判断される。需給不均衡が検出された場合には、最適化部32に演算を停止させると共に、予備力確保部31が、管理者に予備力確保指令をアラームとして出力する。予備力が投入されたら、再び、予備力の燃費特性のパラメータ等も含めて、実行可能領域演算部30が、需給不均衡が発生していないか否かを判断する。需給不均衡が発生していないと判断された場合には、需要予測、燃費特性のパラメータ値、制約のパラメータ値が最適化部32に入力され、図2で説明した二次計画法の最適化問題が解かれ、最適配分出力値が配分値出力部33に入力される。配分値出力部33は、最適配分出力値に基づいて、各発電機や電力貯蔵装置の制御信号である最適配分出力指令P1〜PNを生成し、各発電機、各電力貯蔵装置に送信する。
本実施形態によれば、発電機系と電力貯蔵装置を統括して制御するので、発電機系だけを対象とする従来の経済負荷配分制御以上の経済性の向上が図れるという効果を奏する。現在から一定時間未来までの負荷配分系列を考察する特定の評価区間を設け、経済負荷配分の対象となる発電機と電力貯蔵装置からみた負荷の総需要予測値と当該発電機および電力貯蔵装置の特性や制約から、それぞれの出力配分系列が取り得る領域である実行可能領域を演算して評価区間内での需給不均衡の発生を検出し、予備力の確保を指示ことにより、需給不均衡を予測し、予備力を確保することができるという効果を奏する。評価区間で需給不均衡が発生しないことを確認してから発電機と電力貯蔵装置の最適負荷配分系列を最適化計算することにより、最適化計算の破綻を防止できるという効果を奏する。また、最適化問題を厳密に定式化することで経済負荷配分性能の向上が期待でき、二次計画法として標準的に定式化したことで、信頼性が高く、高速計算が可能な解法アルゴリズムやソルバを利用できるという効果も生じる。また、ここで示した二次計画問題としての定式化は汎用性が高いもので、発電機と電力貯蔵装置の数や組合せは任意であるので適用範囲は広い。
以上、上記実施形態は、本発明の好適な実施形態の一例であり、実施形態はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
10 制御装置
11 経済負荷配分制御部
12 予測機能部
13 実績データベース
14−1〜14−n 発電機
15−1〜15−m 電力貯蔵装置
16 予備力
17 太陽光発電機
18 風力発電機
19 グリッド
20−1〜20−5 負荷
30 実行可能領域演算部
31 予備力確保部
32 最適化部
33 配分値出力部

Claims (6)
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  1. 内燃力発電設備、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備、電力貯蔵装置で構成されるマイクログリッドにおける出力電力配分を制御する経済負荷配分制御装置であって、
    現在から一定時間未来までの評価区間内の離散的な時点において、負荷の総電力需要予測値と、発電機あるいは電力貯蔵装置の特性から、それぞれの出力電力の配分値が取り得る領域である実行可能領域を演算する実行可能領域演算手段と、
    該評価区間内の該離散的な時点で該実行可能領域が消滅する需給不均衡が発生した場合に、予備の発電機あるいは予備の電力貯蔵装置の起動を管理者に指示する予備力確保手段と、
    該評価区間内の該離散的な時点で該需給不均衡が発生しないことが確認された場合に、該評価区間における該発電機あるいは該電力貯蔵装置の最適な出力電力の配分値を最適化計算により算出する最適化手段と、
    該発電機あるいは該電力貯蔵装置の出力電力が、該評価区間内の、現在に直近の未来の離散的時点における出力電力の配分値になるように、該発電機あるいは該電力貯蔵装置へ出力電力の制御信号を出力する制御信号出力手段と、
    を備えることを特徴とする経済負荷配分制御装置。
  2. 前記最適化手段は、前記最適化計算において、二次計画法を用いることを特徴とする請求項1に記載の経済負荷配分制御装置。
  3. 前記電力貯蔵装置の特性として、該電力貯蔵装置が許容する蓄電量範囲を用いることを特徴とする請求項1に記載の経済負荷配分制御装置。
  4. 前記発電機及び前記電力貯蔵装置の特性として、該発電機及び前記電力貯蔵装置の許容する出力電力の上限値及び下限値を用いることを特徴とする請求項1に記載の経済負荷配分制御装置。
  5. 前記発電機及び前記電力貯蔵装置の特性として、該発電機及び前記電力貯蔵装置の許容する出力電力変化率の上限値及び下限値を用いることを特徴とする請求項1に記載の経済負荷配分制御装置。
  6. 内燃力発電設備、太陽光発電設備や風力発電設備などの再生可能エネルギーを利用した発電設備、電力貯蔵装置で構成されるマイクログリッドにおける出力電力配分を制御する経済負荷配分制御方法であって、
    現在から一定時間未来までの評価区間内の離散的な時点において、負荷の総電力需要予測値と、発電機あるいは電力貯蔵装置の特性から、それぞれの出力電力の配分値が取り得る領域である実行可能領域を演算し、
    該評価区間内の該離散的な時点で該実行可能領域が消滅する需給不均衡が発生した場合に、予備の発電機あるいは予備の電力貯蔵装置の起動を管理者に指示し、
    該評価区間内の該離散的な時点で該需給不均衡が発生しないことが確認された場合に、該評価区間における該発電機あるいは該電力貯蔵装置の最適な出力電力の配分値を最適化計算により算出し、
    該発電機あるいは該電力貯蔵装置の出力電力が、該評価区間内の、現在に直近の未来の離散的時点における出力電力の配分値になるように、該発電機あるいは該電力貯蔵装置へ出力電力の制御信号を出力する、
    ことを特徴とする経済負荷配分制御方法。