以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る管継手を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る管継手1は、例えば各種の加熱冷却用機器に用いられる冷媒ガス等の流体充填用機器の接続や、各種配管における水栓器具の接続、或いは空調機内の配管やガス器具等の配管の接続等に用いられ、相手方接続部材(以下、「パイプ部材」と呼ぶ。)2のプラグ状の接続部2Aをワンタッチで挿入・抜去することができる構造のものである。なお、パイプ部材2の接続部2Aは、内部に流体の内部流路2aが形成された管部28と、この管部28の外周面に形成された被係止部(以下、「雄ねじ部」と呼ぶ。)22とからなる。
管継手1は、大別すると、挿入されたパイプ部材2の接続部2Aの雄ねじ部22を、後述する複数の保持体30によって保持する保持機構部と、この保持機構部に設けられる複数の保持体30を、保持位置と解放位置との間で変位させて雄ねじ部22の保持及びその解放を行う駆動機構部とを有する。管継手1は、主に、筒状の継手本体3と、第1の筒体(以下、「主部筒体」と呼ぶ。)4と、第2の筒体(以下、「内側筒体」と呼ぶ。)5と、第3の筒体(以下、「外側筒体」と呼ぶ。)6とを備え、さらに本実施形態においては、第4の筒体(以下、「案内筒体」と呼ぶ。)7を備えている。これら各筒体4〜7は、管継手1の内側から外側にかけて、案内筒体7、内側筒体5、主部筒体4及び外側筒体6の順番で、継手本体3の内部に配置されている。
継手本体3は、図1〜図4に示すように、管継手1の前方側に配置される筒状の本体前部3aと、この本体前部3aの後方側に配置される筒状の本体後部3bとを水密に組み合わせた円筒体からなる。これら本体前部3a及び本体後部3bは、例えば本体前部3aの基端部47a側の外周面42aに形成された雄ねじ部MSと、本体後部3bの先端部47b側の内周面43に形成された雌ねじ部FSとを螺合することにより、開放された基端部47a及び先端部47b同士が一体的に接続されて継手本体3を形成する。
継手本体3の本体前部3aは、例えば図3(a)に示すように、第1の環状壁部(以下、「先端壁部」と呼ぶ。)29を先端側に有する。この先端壁部29は、例えば図3(b)に示すように、中心部に設けられた円形をなす開口21を有し、この開口21は、管継手1の前方側の径方向(図中矢印Rで示す方向)の中心部に形成される挿入口20と連通しその一部を構成する。開口21は、その開口径が、パイプ部材2の接続部2Aをその内側に挿通可能な大きさ(例えば、接続部2Aの直径に対応しそれよりも僅かに大きな大きさ)となるように形成されている。また、本体前部3aは、基端部47a側の内周面42bに形成された環状溝部42cを有する。この環状溝部42cには、止め輪(スナップリング)24が装着される。
継手本体3の挿入口20には、パイプ部材2の接続部2Aが、管継手1の軸方向(図中矢印Pで示す方向)に沿って挿入又は抜去(以下、「挿抜」とする。)される。また、本体前部3aは、軸方向Pの中間辺りよりも前方側の周壁部44に形成された案内長孔25を有する。案内長孔25は、周壁部44に、本体前部3aの外周面42a及び内周面42bを厚さ方向に貫通して開口するように形成されたものである。
案内長孔25は、例えば図2及び図3(a)に示すように、管継手1の周方向(図中矢印Cで示す方向)に沿って延びる周方向孔部25aと、この周方向孔部25aの長手方向の一端部から連続して、軸方向Pに沿って延びる軸方向孔部25bとからなる。この案内長孔25には、後述する操作ピン26が挿通嵌合される。
継手本体3の本体後部3bは、例えば図4(b)に示すように、後方側に形成された結合用開口41を有する。この結合用開口41は、例えば図4(a)に示すように、本体後部3bの内周面43の内径よりも小径の開口径となるように形成されている。結合用開口41内には、後述する接続口体10が、本体後部3bの先端部47b側から内部に挿通されて、本体後部3bの内周面43と結合用開口41との間に形成された挟持用段差部48に係止された状態で配置される。
図5に示すように、接続口体10は、継手本体3の内部から後方側に同軸配置される円筒体からなる。接続口体10は、先端側に設けられた円筒部10aと、この円筒部10aの基端側に設けられた鍔部10bとを有する。円筒部10aは、継手本体3の軸方向Pの中央に向けて、鍔部10b側から延びるように設けられている。鍔部10bは、接続口体10の外周面10eから、径方向Rの外方側へ環状に突出するように設けられている。なお、接続口体10は、その基端部10f側に形成された、例えば図示しない外部の配管等と螺合接続される雄ねじ部MSを有する。
接続口体10は、軸方向Pに沿って鍔部10bが本体前部3a及び本体後部3b間に挟み込まれることで、継手本体3の内部に組み付けられる。このとき、接続口体10の鍔部10bの前方端面45が、本体前部3aの基端部47aと当接し、且つ鍔部10bの後方端面46が、本体後部3bの挟持用段差部48と当接する。接続口体10の内部には、後述する内側筒体5の基端部5cを受け止め可能な筒体用段差部10cと、後述する第1のばね11の一端部が装着されるばね用段差部10dとが形成されている。
図1、図2及び図6(b)に示すように、主部筒体4は、本体前部3aの先端壁部29と軸方向Pに離れる第2の環状壁部(以下、「先端壁部」と呼ぶ。)39を先端側に有し、基端部4c側が解放された円筒体をなすものであり、継手本体3の内部に同軸配置される。この主部筒体4の基端部4c側には、その外周面4aから径方向に突出する環状部24aが形成されている。
主部筒体4は、具体的には、先端壁部39が本体前部3aの先端壁部29に近接して対向する状態で、基端部4c側が接続口体10の円筒部10aの外周側に嵌合し、且つ環状部24aの先端面24bが本体前部3aの内周面42bに当接するように、本体前部3aの内部に配置される。このとき、主部筒体4の基端部4c側の内周面4bは、接続口体10の円筒部10aの外周面10hと接触する。なお、主部筒体4は、このように配置された状態で、環状部24aの後方端面24d側が、本体前部3aの内周面42bに形成された環状溝部42cに装着した止め輪24によって押さえられている。
主部筒体4の内周面4bは、その内径が、接続口体10の円筒部10aをその内部に装着可能な大きさ(例えば、円筒部10aの外径に対応しそれよりも僅かに大きな大きさ)となるように形成されている。また、主部筒体4の外周面4aは、その外径が、後述する外側筒体6をその外部に装着可能な大きさ(例えば、外側筒体6の内周面6cの内径に対応しそれよりも僅かに小さな大きさ)となるように形成されている。
主部筒体4の先端壁部39には、例えば図2及び図6(b)に示すように、挿入口20と連通しその一部を構成する円形をなす開口39aが、径方向Rの中心部に形成されている。この開口39aは、本体前部3aの先端壁部29の開口21の開口径と同等の開口径を有する。そして、本体前部3aの先端壁部29と主部筒体4の先端壁部39との間には、これら両壁部29,39で囲まれた、管継手1の中心軸側に開口する円環形の保持体配置用空間部(以下、単に「空間部」と記載する。)15が形成される。
このように形成された空間部15には、後述する複数の保持体30が収容される。なお、この空間部15により囲まれ、且つ先端壁部29,39の開口21,39aと軸方向Pに連通する空間は、これら開口21,39aと共に挿入口20を構成する。この空間部15に連続すると共に、主部筒体4の外周面4aと本体前部3aの内周面42bとの間に形成された空間は、後述する第2の保持体駆動機構の外側筒体6の駆動用空間部を形成する。
また、主部筒体4は、例えば図2及び図6(a)に示すように、空間部15における複数の保持体30の配置位置に対応するように、先端壁部39及びこれと連続する周壁部38の周縁角部に形成された支持切欠部33を有する。支持切欠部33は、後述する保持体30を支持するためのもので、主部筒体4の内部と外部とを貫通するように、軸方向及びこれと直交する径方向に沿って形成されている。この支持切欠部33は、具体的には、周壁部38に軸方向Pに沿って形成された軸方向開口33cと、先端壁部39に径方向Rに沿って形成された径方向開口33bとを組み合わせてなる。
なお、支持切欠部33の径方向開口33bの中心軸側には、先端壁部39と連続する係合枠部33aが形成されている。この係合枠部33aには、後述する保持体30の支持腕部17の係合突起17aが係合し得る。なお、径方向開口33bは、係合枠部33aがなく開口39aと連通するように形成されてもよい。また、支持切欠部33は、具体的には、周方向Cに沿って複数形成されるもので、例えば図6(b)に示すように、周方向Cに沿って等間隔に4つ形成される。
さらに、主部筒体4は、環状部24aと支持切欠部33との間の周壁部38に貫通形成された、後述するロックボール27を支持するためのボール支持孔34を有する。ボール支持孔34は、周壁部38において、支持切欠部33の形成位置に対応する軸方向Pに沿った後方側に、例えば周方向Cに沿って支持切欠部33と同数形成されている。ボール支持孔34は、例えば図6(a)に示すように、断面で視て外周面4aから内周面4bにかけて孔径が徐々に小さくなるように形成されている。ボール支持孔34は、ロックボール27を、主部筒体4の外周面4a側及び内周面4b側に移動可能、且つ内周面4b側へ抜け落ち不能に支持する。
図1、図2及び図7に示すように、空間部15に収容される複数の保持体30は、空間部15内に挿入口20を囲むように配置された円弧状の形状物である円弧状部16をそれぞれ有する。円弧状部16の内周面には、パイプ部材2の接続部2Aの雄ねじ部22と係合する係止部(以下、「雌ねじ部」と呼ぶ。)23が形成されている。
複数の保持体30は、内周面の雌ねじ部23を接続部2Aの雄ねじ部22に係止させる保持位置に変位することによって、パイプ部材2との接続状態を保持する。また、複数の保持体30は、内周面の雌ねじ部23を接続部2Aの雄ねじ部22から解離させる解放位置に変位することによって、接続部2Aの管継手1への挿抜を可能とする。
これら複数の保持体30は、例えば図7(b)及び図7(c)に示すように、それぞれ円弧状部16の背面16bから軸方向Pに沿って延設された支持腕部17を有する。支持腕部17は、具体的には、円弧状部16の背面16bにおける周方向Cの中央部分から延設されている。支持腕部17は、支持切欠部33内に径方向に移動自在に嵌められる。支持腕部17の延出先端側(背面16b側とは反対側)の内周面には、支持切欠部33の係合枠部33aに係合する係合突起17aが形成されている。
なお、支持腕部17の軸方向Pの長さは、支持切欠部33に嵌合可能な寸法(例えば、軸方向開口33cの軸方向Pに沿った開口長又はこれよりも短い寸法)となっている。また、支持腕部17の軸方向P及び径方向Rとそれぞれ直交する幅(軸方向P及び径方向Rとそれぞれ直交し、円弧状部16の外周面16aに対し周方向Cにおいて接する接線方向の幅)は、同じく支持切欠部33に嵌合可能な寸法(例えば、軸方向開口33c及び径方向開口33bの軸方向P及び径方向Rとそれぞれ直交する方向に沿った開口幅又はこれよりも短い寸法)となっている。
一方、支持腕部17の径方向Rの厚さは、支持切欠部33に嵌合し且つ径方向開口33bに沿って移動可能となるように、この径方向開口33bの径方向Rに沿った開口長よりも十分に短い寸法となっている。換言すれば、支持切欠部33の径方向開口33bは、保持体30が保持位置と解放位置との間を変位するに際して、支持腕部17が径方向Rに沿って保持位置と解放位置との間を変位する距離に対応する開口長又はこれよりも長い開口長を有するように形成される。
これにより、支持腕部17は、支持切欠部33内に、周方向Cに揺動することなく径方向Rにのみ変位可能に嵌合配置される。このように、主部筒体4の支持切欠部33及び保持体30の支持腕部17は、空間部15において保持体30を保持位置と解放位置との間で径方向Rにのみ変位可能に支持する支持機構を形成する。
なお、各保持体30は、円弧状部16の外周面16aから背面16bにかけて、中心軸までの距離が徐々に短くなるよう形成された傾斜面(以下、「保持用テーパ面」と呼ぶ。)16cをそれぞれ有する。保持用テーパ面16cは、各保持体30が保持位置に変位する際に作用する面であり、外周面16aは、各保持体30を保持位置に保持する際に作用する面である。
また、各保持体30の円弧状部16は、例えば図7(a)及び図7(c)に示すように、保持位置において雌ねじ部23を雄ねじ部22に対し周方向C全周に亘って係止させる円環体を形成する。すなわち、円弧状部16は、具体的には、周方向Cに沿ってこの円環体を複数分割した形態の形状物のうちの一つのように形成されるもので、本実施形態においては、例えば周方向Cに沿って円環体を等間隔に4つに分割した形状物うちの一つとして形成される。従って、軸方向Pから視た円弧状部16の周方向Cの端面16d,16d同士がなす角度(円弧状部16の円弧角度)は、90°となっている。
各保持体30の円弧状部16の軸方向Pの厚さ、すなわち円弧状部16の前面16eと背面16bとの間の軸方向Pに沿った寸法は、本体前部3aの先端壁部29の後方壁面と、主部筒体4の先端壁部39の前方壁面との間に円弧状部16が嵌合可能な寸法(例えば、後方壁面と前方壁面との軸方向Pの間隔、すなわち空間部15の軸方向Pの間隔の寸法又はこれよりも短い寸法)となるように形成されている。これにより、各保持体30は、円弧状部16の前面16eが、空間部15における先端壁部29の後壁面と摺接可能に接触し、且つ背面16bが、空間部15における先端壁部39の前壁面と摺接可能に接触するので、軸方向Pへの変位は規制される。
また、円弧状部16の外周面16aの曲率は、本体前部3aの周壁部44の内周面42bの曲率と同一である。これにより、各保持体30が解放位置にあるときに、円弧状部16の外周面16aが周壁部44の内周面42bに接触して解放位置に停止し得る。円弧状部16の内周面の曲率は、パイプ部材2の接続部2Aの管部28の外周面の曲率と同一であり、且つ内周面に形成された雌ねじ部23のねじ寸法は、管部28の雄ねじ部22のねじ寸法に対応している。これにより、各保持体30が保持位置にあるときに、円弧状部16が円環体を形成してその雌ねじ部23により、接続部2Aの雄ねじ部22を周方向C全周に亘って係止し得る。
図1、図2及び図8に示すように、内側筒体5は、軸方向Pに沿った全長が、主部筒体4の全長と同等又はこれよりも短くなるように形成されている。内側筒体5は、主部筒体4の内部に軸方向Pに沿って移動可能に同軸配置され、先端部5b側及び基端部5c側が開放された円筒体からなる。内側筒体5は、先端部5bが、挿入口20から継手本体3の内部に挿入されるパイプ部材2の接続部2Aの管部28を受け入れて、この管部28と接続されることにより、パイプ部材2と継手本体3の内部とを結ぶ流路FPを、継手本体3の内部において形作るものである。
内側筒体5には、第1のばね11によって、後述する案内筒体7を介して挿入口20側に向けた力が間接的に加えられている。したがって、内側筒体5は、第1のばね11により先端側に突出する向きに付勢されている。内側筒体5は、軸方向Pの先端側に形成された大径外周部49を有する。大径外周部49は、主部筒体4の内部において、先端壁部39側に配置される。大径外周部49の外周面49aは、内側筒体5の外周面5aよりも大径となるように形成されており、主部筒体4の内周面4bに摺接する。内側筒体5の外周面5aは、接続口体10の円筒部10aの内周面10gに摺接する。
また、内側筒体5は、大径外周部49の外周面49aから先端部5bにかけて、中心軸までの距離が徐々に短くなるよう形成された傾斜面(以下、「解放用テーパ面」と呼ぶ。)50を有する。解放用テーパ面50は、各保持体30が解放位置に変位する際に作用する面である。
さらに、内側筒体5は、基端部5c側の外周面5aに形成された、Oリング19が装着される環状の装着溝5dを有する。Oリング19は、内側筒体5の外周面5aと、接続口体10の円筒部10aの内周面10gとの間をシールする。なお、内側筒体5の内部には、基端部5c側に向けて段差となり、案内筒体7の段差部7dと係合する係合段差部5eと、先端部5b側に向けて段差となり、パッキン18が装着される装着用環状溝部5fとが形成されている。パッキン18は、大径外周部49の内部に設けられ、挿入口20に挿入される接続部2Aの先端斜面2Aaの全周に安定的に接触し、管部28と内側筒体5との接続部分のシールを図るものである。
図1及び図9に示すように、案内筒体7は、内側筒体5の内部に軸方向Pに沿って移動可能に同軸配置され、先端部51側及び基端部52側が開放された円筒体からなる。案内筒体7には、第1のばね11によって、挿入口20側に向けた力が加えられている。案内筒体7は、軸方向Pの先端側に形成された小径外周部7aと、基端側に形成された大径外周部7cと、これらの間に形成された中径外周部7bとを有する。これら各外周部7a,7b,7cの外径は、小径外周部7a、中径外周部7b及び大径外周部7cの順に大きくなっている。
案内筒体7の小径外周部7aは、接続部2Aが継手本体3の内部に挿入された場合、接続部2Aの管部28の内部に入り込んで接続部2Aを支持する。この案内筒体7の基端部52には、接続口体10のばね用段差部10dに一端部が装着された第1のばね11の他端部が当接する。案内筒体7は、接続部2Aが継手本体3の内部に挿入されていない場合、その先端部51側が、開口39a及び開口21を含む挿入口20の内部に露出する状態で配置される。
案内筒体7は、中径外周部7bと大径外周部7cとの間の段差部7dが、内側筒体5の係合段差部5eに係合することによって、第1のばね11の力を内側筒体5に伝え、内側筒体5を挿入口20側へ押圧する。従って、案内筒体7は、段差部7dの係合段差部5eへの係合により、第1のばね11の力による軸方向Pに沿った前進移動が規制され得る。すなわち、案内筒体7は、内側筒体5が第1のばね11の力に抗して軸方向Pに押し戻されると、この内側筒体5と共に後退移動する。
そして、案内筒体7により挿入口20側へ押圧された内側筒体5は、解放用テーパ面50が、各保持体30の支持腕部17の延出先端側における係合突起17a側の周縁部に摺接しながら、主部筒体4の内部を挿入口20側へ移動する。内側筒体5は、第1のばね11と共にこのように動作することによって、例えば上述した支持切欠部33及び支持腕部17からなる支持機構と合わせて、複数の保持体30を、径方向Rに沿って保持位置から解放位置へ変位させる第1の保持体駆動機構を形成する。
本実施形態の管継手1は、主部筒体4の内部に配置される筒体を内側筒体5及び案内筒体7の二部構成としている。このため、管継手1を組み立てる際の内側筒体5の組み付けを容易とすることができる。また、案内筒体7を組み替えれば、パイプ部材2の接続部2Aの管部28の内径変更に対応することができるので、汎用性を向上させることが可能となる。
なお、図1に示すように、主部筒体4の内周面4bと、内側筒体5の外周面5aとの間には、円環体をなす内側環体9が軸方向Pに移動可能に同軸配置される。この内側環体9には、一端部が接続口体10の円筒部10aの先端部10iと当接する第3のばね13によって、挿入口20側に向けた力が加えられている。内側環体9は、軸方向Pの先端側に形成された小径外周部を有し、この外周部の外周面9aで、後述するロックボール27を受けると共に、基端側の外周面9bでこのロックボール27を主部筒体4の外周側へ押圧する。
内側環体9は、その外周面9bの外径が、主部筒体4の内部に嵌合可能な大きさ(例えば、主部筒体4の内周面4bの内径又はこれよりも小さい大きさ)を有し、内周面の内径が、内側筒体5の外部に嵌合可能な大きさ(例えば、内側筒体5の外周面5aの外径又はこれよりも大きい大きさ)を有している。
図1及び図10に示すように、外側筒体6は、主部筒体4の外部に軸方向Pに沿って移動可能に同軸配置され、先端部6a側及び基端部6b側が開放された円筒体からなる。この外側筒体6の基端部6bには、主部筒体4の環状部24aの前方端面24cに一端部が装着された第2のばね12の他端部が当接する。この外側筒体6には、第2のばね12によって、挿入口20側に向けた力が加えられているので、外側筒体6は、第2のばね12により先端側に突出する向きに付勢されている。
外側筒体6は、その外周面6dの外径が、本体前部3aの内部に嵌合可能な大きさ(例えば、本体前部3aの内周面42bの内径又はこれよりも小さい大きさ)を有し、内周面6cの内径が、主部筒体4の外部に嵌合可能な大きさ(例えば、主部筒体4の外周面4aの外径又はこれよりも大きい大きさ)を有している。
また、外側筒体6は、周壁部55に形成された操作ピン取付孔54を有する。操作ピン取付孔54は、軸方向Pにおける先端部6a及び基端部6b間の周壁部55の中央付近に、径方向Rに対向するように複数形成されている。さらに、外側筒体6は、この操作ピン取付孔54よりも軸方向Pの基端部6b側の内周面6cに形成された、周方向Cに沿って環状に凹む内周溝部53を有する。
外側筒体6の内周溝部53は、後述するロックボール27を受けるものである。また、外側筒体6の内周面6cは、このロックボール27を主部筒体4の内周側へ押圧する。さらに、外側筒体6は、操作ピン取付孔54に取り付けられた操作ピン26を有する。操作ピン26は、継手本体3の本体前部3aに形成された案内長孔25に嵌合する。外側筒体6は、この操作ピン26の案内長孔25に沿った移動に伴って移動する。
なお、図1に示すように、操作ピン26の径方向Rの先端側は、継手本体3の本体前部3aの周壁部44の外周面42a側に同軸配置された操作環体8に、取付孔8bを介して連結されている。これにより、外側筒体6は、操作ピン26を介して操作環体8と連動する。操作環体8は、軸方向Pの両端部が開放された円筒体をなし、管継手1によるパイプ部材2の接続状態を解除する際等に操作されるもので、例えばその外周側の一部に環状に形成された操作グリップ溝部8aに操作者の指を引っ掛けた状態で、軸方向P及び周方向Cに移動可能に操作される。
操作環体8は、具体的には、パイプ部材2の接続部2Aが継手本体3の内部に挿入されていない場合、本体前部3aの基端側に位置し、軸方向P及び周方向Cに移動不能に配置される。一方、操作環体8は、パイプ部材2の接続部2Aが継手本体3の内部に挿入された場合、本体前部3aの先端側に位置し、軸方向P及び周方向Cに移動可能に配置される。
なお、本実施形態の管継手1は、本体前部3aの先端側に位置する操作環体8を、周方向Cに移動させることにより、本体前部3aの先端側から基端側への移動の可否を切り替え可能に構成されている。すなわち、本体前部3aの先端側における操作環体8の停止位置によって、例えばパイプ部材2の接続部2Aの管継手1への接続状態を、不用意に解除されないよう操作ロックすることができる。
このように、操作環体8及び外側筒体6は、操作ピン26が本体前部3aの案内長孔25の軸方向孔部25b内にあるときは、接続部2Aの継手本体3への挿抜に伴い軸方向Pに移動可能であり、操作ピン26が周方向孔部25a内にあるときは、周方向Cに移動可能である。また、操作環体8及び外側筒体6は、操作ピン26が軸方向孔部25b及び周方向孔部25aの連続する重複部分内にあるときは、軸方向P及び周方向Cに移動可能である。また、操作環体8及び外側筒体6は、操作ピン26が、例えば周方向孔部25a内の軸方向孔部25bとの連続部分とは反対側の端部内にあるときは、操作ロック位置に位置することとなる。
そして、操作環体8と連動する外側筒体6は、その先端部6a側が、各保持体30の円弧状部16の保持用テーパ面16cに摺接しながら、第2のばね12によって押圧され挿入口20側へ移動する。外側筒体6は、第2のばね12と共にこのように動作することによって、例えば上述した支持切欠部33及び支持腕部17からなる支持機構と合わせて、複数の保持体30を径方向Rに沿って解放位置から保持位置へ変位させる第2の保持体駆動機構を形成する。
なお、本実施形態の管継手1には、上記第1及び第2の保持体駆動機構による動作を互いに関連付けて制御するロック機構が備えられる。ロック機構は、具体的には、内側筒体5が先端側へ突出し、外側筒体6が後退した解放位置と、外側筒体6が先端側へ突出し、内側筒体5が後退した保持位置で内側筒体5及び外側筒体6をそれぞれ保持するものである。ロック機構は、例えば上述した外側筒体6と、ロックボール27と、内側環体9とを含む。このロック機構は、接続部2Aが継手本体3の内部に挿入されていない場合、内側筒体5の挿入口20側への移動を許容すると共に、外側筒体6の挿入口20側への移動を制限することで、複数の保持体30を保持位置への変位規制状態にロックする。また、ロック機構は、接続部2Aが継手本体3の内部に挿入された場合、外側筒体6の挿入口20側への移動を許容すると共に内側筒体5の挿入口20側への移動を制限することで、複数の保持体30を解放位置への変位規制状態にロックする。
ロック機構は、具体的には、接続部2Aが継手本体3の内部に挿入されていない場合、内側環体9の外周面9bがロックボール27を主部筒体4の外周面4a側へ向けて押圧しつつ、外側筒体6の内周溝部53がこのロックボール27を受けることによって、内側環体9の挿入口20側への移動を許容すると共に外側筒体6の挿入口20側への移動を制限して、複数の保持体30を解放位置に保持したまま保持位置への変位規制状態にロックする。
また、ロック機構は、接続部2Aが継手本体3の内部に挿入された場合、外側筒体6の内周面6cがロックボール27を主部筒体4の内周面4b側へ向けて押圧しつつ、内側環体9の外周面9aがこのロックボール27を受けることによって、外側筒体6の挿入口20側への移動を許容すると共に内側環体9の挿入口20側への移動を制限して、複数の保持体30を保持位置に保持したまま解放位置への変位規制状態にロックする。
このように、本実施形態の管継手1では、外側筒体6、ロックボール27及び内側環体9を含むロック機構によって、内側筒体5及び外側筒体6を含む第1及び第2の保持体駆動機構の動作タイミングを互いに関連付けて適正に保つことができる。これにより、挿入口20に対する接続部2Aの挿抜に合わせて、各保持体30の保持位置及び解放位置への変位を的確且つ円滑に行わせることができるので、接続状態のロック及びその解除に伴う非接続状態の切り替えをスムーズ且つ確実に行い、操作性を向上させることができる。
次に、本実施形態の管継手1の動作について説明する。
図1に示すように、接続部2Aが挿入口20に挿入されていないときは、内側筒体5は、第1のばね11に押されて案内筒体7と共に継手本体3の挿入口20側に位置している。このとき、内側筒体5の解放用テーパ面50は、各保持体30の支持腕部17を径方向Rの外方側へ向けて押している。各保持体30は、空間部15の径方向Rの外方側へ向けて変位しており、円弧状部16の外周面16aが空間部15における本体前部3aの内周面42bに当接することで、解放位置に保持されて停止している。
この状態において、各保持体30の円弧状部16の保持用テーパ面16cは、第2のばね12のばね力に抗して、外側筒体6を軸方向Pの基端側へ向けて押している。これにより、外側筒体6及び操作ピン26を介した操作環体8は、継手本体3の基端側に位置している。
また、このとき、ロック機構においては、内側環体9が第3のばね13により押されて挿入口20側へ移動しており、その外周面9bがボール支持孔34内のロックボール27を主部筒体4の外周面4a側へ押し出すと共に、外側筒体6の内周溝部53にロックボール27が嵌まった状態となっている。これにより、外側筒体6は、各保持体30を解放位置に保持し、保持位置へ変位させない変位規制状態にロックされる。
次に、図11に示すように、接続部2Aを挿入口20内に挿入し始めると、接続部2Aの管部28が案内筒体7の小径外周部7aの外周側に嵌まり、接続部2Aの先端部が内側筒体5の大径外周部49の内部に入り込む。そして、接続部2Aの先端斜面2Aaが内側筒体5の装着用環状溝部5fに装着されたパッキン18に押圧接触する。
これにより、継手本体3の内部には、案内筒体7と内側筒体5の組み合わせによって、パイプ部材2の内部流路2aと接続口体10側とを結ぶ流路FPが形成される。このとき、空間部15内の各保持体30は、内側筒体5によって未だ解放位置に保持されている。このため、各保持体30は、図14に示すように、各円弧状部16の端面16d同士が周方向Cに離間して、内周面の雌ねじ部23が管部28の外周面の雄ねじ部22と係合しない非接続状態となっている。
さらに、接続部2Aの挿入口20内への挿入を進めると、図12に示すように、接続部2Aがパッキン18を介して内側筒体5及び案内筒体7を、第1のばね11のばね力に抗して接続口体10側へ移動させる。この内側筒体5の移動に伴い、解放用テーパ面50は、各保持体30の支持腕部17から離間するように変位する。これにより、各保持体30は、支持腕部17が支持切欠部33に沿って、径方向Rの内方側へ移動可能となることにより、保持位置へ変位させない外側筒体6の変位規制状態が解除される。
なお、内側筒体5の移動によって、解放用テーパ面50が支持腕部17を支持していない状態となった場合、保持体30の雌ねじ部23のねじ山が管部28の雄ねじ部22のねじ山に当接して、一時的に保持体30の保持位置への変位が阻止されてしまうことがある。この場合、保持体30は保持位置の手前で停止することになるが、そのまま接続部2Aの挿入口20内への挿入を進めると、図13に示すように、外側筒体6は、第2のばね12に押されて、操作環体8と共に継手本体3の挿入口20側へ移動する。
そして、外側筒体6は、その先端部6aが、各保持体30の円弧状部16の保持用テーパ面16cを押して、各保持体30を径方向Rの内方側へ動かした後に、先端壁部29の後方壁面に当接することにより、その内周面6cが円弧状部16の外周面16aに接触した状態で動作を停止する。
この状態のとき、外側筒体6は、周壁部55により、各保持体30の円弧状部16全体を、その外周面16a側で包囲して保持する。各保持体30は、外側筒体6の周壁部55によって、円弧状部16の外周面16a側から押される状態となり、径方向Rの内方側へ向けて変位する。すなわち、空間部15に配置された各保持体30は、空間部15内の外周側における最大配置位置である解放位置から、外側筒体6の周壁部55の厚さ分に相当する距離だけ径方向Rの内方側へ移動して、保持位置に保持されて停止している。
これにより、各保持体30は、図15に示すように、円弧状部16の端面16d,16d同士が接触又は近接する一つの円環体を形成し、挿入口20に挿入された接続部2Aの管部28を、円弧状部16により周方向Cの全周に亘って囲む。そして、管部28の雄ねじ部22と、円弧状部16の内周面の雌ねじ部23とが、周方向C全周に亘って係合し互いに係止されることで、パイプ部材2の接続状態が保持される。
このとき、ロック機構においては、内側環体9は、接続部2Aによって押し戻された内側筒体5と一緒に軸方向Pに沿って移動し、外周面9aがボール支持孔34に支持されたロックボール27を受けることができる状態となるまで移動する。そして、内側環体9がロックボール27を外周面9aで受けると同時に、ロックボール27が外側筒体6の内周溝部53から外れるので、外側筒体6は、挿入口20側への移動を開始し、上述したように各保持体30を変位させる。これにより、内側筒体5は、各保持体30を保持位置に保持し、解放位置へ変位させない変位規制状態にロックされる。
なお、本実施形態の管継手1では、接続部2Aを挿入口20に挿入して接続する際に、各保持体30が保持位置まで変位して、接続部2Aの雄ねじ部22のねじ山に雌ねじ部23のねじ山を整合させてから係合する。このため、接続部2Aは、実際に挿入口20内に挿入された位置よりも、係合する位置まで軸方向Pに沿って前進することがある。
この場合、内側環体9が内側筒体5と別体に設けられているので、ロックボール27を外周面9aで受けて挿入口20側への移動を規制された内側環体9が、内側筒体5の後退移動を妨げることはない。このとき、内側筒体5は、雄ねじ部22及び雌ねじ部23のねじ山同士が整合するように軸方向Pに適度に移動することができるので、接続部2Aと内側筒体5とは水密に確実に接続される。
一方、パイプ部材2の接続部2Aを挿入口20から抜き出す場合、すなわち、接続部2Aが挿入口20に挿入されているときは、まず、操作環体8を操作する。操作環体8が操作ロック位置にあるときは周方向Cに沿って動かし、操作環体8及び外側筒体6の操作ロック状態を解除する。
その後、操作環体8を、継手本体3の接続口体10側へ移動させると、操作ピン26を介して外側筒体6が連動して移動する。すると、ロックボール27が外側筒体6の内周溝部53に嵌まり、内側環体9の外周面9aから外れるので、内側筒体5が挿入口20の方へ移動する。そして、管継手1は、上述した動作と逆の動作により、すなわち、図13、図12及び図11に示す順に動作して、最後に、図1に示すような接続部2Aが挿入口20に挿入されていない状態に復帰する。
以上述べたように、本実施形態に係る管継手1は、継手本体3の円環形の空間部15内に、円弧状部16を組み合わせて円環体を構成し得る複数の保持体30を配置している。各保持体30は、この空間部15とは軸方向Pにおいて異なるスペースにおいて、支持腕部17と支持切欠部33により径方向Rに変位可能に支持されている。
従って、各保持体30を支持する支持機構(支持腕部17及び支持切欠部)を、空間部15内に設ける必要はなく、空間部15のスペースをすべて保持体30を配置することのみに利用することができる。このため、継手本体3の内部において、各保持体30が円環体を形成する際に、円弧状部16に形成された雌ねじ部23で、パイプ部材2の接続部2Aの雄ねじ部22を周方向C全周に亘って係止して保持することができる。
また、管継手1は、継手本体3の内部に、軸方向Pに移動可能で挿入口20に向けて第1のばね11によりばね力が付与された内側筒体5を有している。この内側筒体5は、通常の管継手においても設けられるもので、継手本体3に挿入されるパイプ部材2の接続部2Aを受け入れつつ、内部に流路FPを形成するものである。そして、この内側筒体5の軸方向Pに沿う動きを、各保持体30の径方向Rに沿う動きに変換している。
すなわち、内側筒体5に対して挿入口20に向けて加えられるばね力を、各保持体30を解放位置に向けて変位させて解放位置に保持する力に利用している。このように、通常の管継手に設ける構成を利用して、各保持体30を径方向Rに沿って変位させる第1の保持体駆動機構を形成しているので、各保持体30を駆動する駆動機構の構成の簡素化を図ることができる。
また、外側筒体6と、この外側筒体6を挿入口20に向けて押圧する第2のばね12とを組み合わせることにより、接続部2Aを継手本体3に挿入したときに、内側筒体5を軸方向Pに移動させる動作に連動して、各保持体30を解放位置から径方向Rの内方側へ変位させる第2の保持体駆動機構を形成している。従って、各保持体30を駆動する駆動機構の構成の簡素化を図ることができる。
なお、接続部2Aを継手本体3の内部に挿入すると、内側筒体5は接続部2Aに押されて後退移動する。内側筒体5が挿入口20から遠ざかる向きに移動すると、第1のばね11のばね力により各保持体30を径方向Rの外方側に向けて加えられる力が低下する。このため、各保持体30が径方向Rの内方側の保持位置に向けて変位可能な状態となる。このように、接続部2Aを継手本体3に挿入する動作を利用して、各保持体30を保持位置に変位させることができるので、各保持体30を保持位置に変位させるための操作として、特別な操作を必要とせずにワンタッチ操作で行うことが可能となる。
そして、上述した第1及び第2の保持体駆動機構を形成することにより、これらの保持体駆動機構の軸方向Pに沿った動作方向を、各保持体30の径方向Rに沿った動作方向へと変換することができる。また、第1の保持体駆動機構による各保持体30の解放位置への変位動作と、第2の保持体駆動機構による各保持体30の保持位置への変位動作とを連動させることができる。
さらに、保持体駆動機構を各保持体30の径方向Rの内外周側に設ける必要はないので、管継手1の径方向Rの小型化を図ることができる。このように、本実施形態の管継手1によれば、継手本体3の径方向Rの小型化を図りつつ、パイプ部材2の接続部2Aの雄ねじ部22を各保持体30によって周方向R全周に亘って係止して、接続安定性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記の実施形態では、主部筒体4の内部に配置される筒体を、内側筒体5及び案内筒体7の二部構成としたが、これらは一体的に形成されて配置されてもよい。また、接続部2Aと継手本体3とを、雄ねじ部22と雌ねじ部23とを係止させて接続する構成としたが、ねじ構成に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
すなわち、接続部2Aの被係止部を、管部28の外周面に周方向に沿って形成された少なくとも一つの環状段差溝により形成し、保持体30の円弧状部16の内周面にこの環状段差溝に係合可能な凸部(周方向Cに沿って配置された凸部や環状凸部等)を形成する。そして、これら環状段差溝及び凸部が、接続部2Aの挿入口20への挿入時に互いに係合するように構成してもよい。
また、保持体30の支持腕部17の延出先端側に係合突起17aを設け、支持切欠部33の係合枠部33aに係合可能な構成としたが、例えば支持切欠部33の径方向開口33bが開口39aに連通する形状とした場合は、係合突起17aは形成されなくてもよい。また、各保持体30の円弧状部16は、円環体を4分割したものを例に挙げて説明したが、例えば3分割にしたもの等、複数に分割されて且つ保持位置にて円環体を形成可能であれば種々の形態を取り得る。
また、上記の実施形態では、継手本体3の本体前部3aの周壁部44に形成された案内長孔25を、周方向孔部25aと軸方向孔部25bを有する構成としたが、例えば案内長孔25は、次のような構成であってもよい。すなわち、図16(a)に示すように、案内長孔25は、周方向孔部25a及び軸方向孔部25bを有し、周方向孔部25aの継手本体3の先端部側の孔縁部25aaには、図中二点鎖線で示す操作ピン26が係合するように継手本体3の先端部側に凹む引掛け部25cが形成されている。
通常、操作ピン26は、外側筒体6を介して第2のばね12により本体前部3aの挿入口20側に向けたばね力を受けているので、操作ピン26が周方向孔部25a内にあるときは、濫りに周方向Cに移動することはない。しかし、外部振動等の何らかの影響(以下、「移動要因」と呼ぶ。)により、操作ピン26が周方向孔部25a内を意図せず周方向Cに移動して、案内長孔25の周方向孔部25a及び軸方向孔部25bの連続する重複部分内に位置すると、操作ピン26が軸方向Pに移動し得る状態となる。引掛け部25cは、このような操作ピン26の周方向Cへの意図しない移動を防止するために設けられている。
引掛け部25cは、図示の例では操作ピン26の外周形状に合わせた円弧状の形状を有しているが、これに限定されるものではなく、操作ピン26が容易且つ確実に引っ掛かり得る形状であれば矩形状、逆台形状等種々の形状を採用し得る。また、引掛け部25cの孔縁部25aaに対する凹み深さ及び凹み幅は、移動要因により操作ピン26が濫りに引掛け部25cから外れず、且つ操作ピン26の操作性を損なわない程度の深さ及び幅であれば良い。例えば、図示の例の操作ピン26の直径が4mmである場合、引掛け部25cの凹み深さは0.5mm程度及び凹み幅は4mmよりやや大きい程度に設定されれば良い。
このように引掛け部25cが設けられることにより、操作ピン26を周方向孔部25a内に位置させて周方向Cに沿って移動させると、引掛け部25cの形成箇所に到達した際に第2のばね12のばね力によって、操作ピン26が継手本体3の先端部側に押し込まれ引掛け部25cに引っ掛かった状態で係合する。
このため、操作ピン26が移動要因により意図せず周方向Cに移動してしまうことを防止することができるので、パイプ部材2との接続を確実に保持して管継手1の安全性を更に高めることが可能となる。また、引掛け部25cを越えて操作ピン26を周方向Cに移動させる際には、適度にクリック感が演出される構造のため、操作環体8の操作の節度感を向上させることもできる。
なお、図16(a)に示す例では、引掛け部25cは、軸方向孔部25bとの重複部分からできるだけ距離が遠い方が安全性が高いとの観点から、周方向Cに重複部分とは反対側の端部の孔縁部25aaに1つ形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、引掛け部25cは、図16(b)に示すように、上記重複部分及びこれとは周方向Cに反対側の端部の孔縁部25aaにそれぞれ設けられ(複数設けられ)ていたり、図16(c)に示すように、重複部分及び上記反対側の端部の間(例えば、中間部分)の孔縁部25aaに設けられていたりしても良い。
なお、図16(b)に示すように、上記重複部分の孔縁部25aaに引掛け部25cが形成されていれば、操作ピン26を軸方向孔部25bから周方向孔部25aへ移動させるとき、又はその逆のときに、操作ピン26が一旦引掛け部25cに入り込むこととなるので、クリックストップの操作感を演出することができ、更に操作環体8の操作の節度感を向上させることが可能となる。