JP2019108467A - シラン架橋性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】押出機内においてスコーチを抑制し且つ押出後の自然架橋を早期に完了させながら、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できるシラン架橋性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルの製造方法を提供すること。【解決手段】ベース樹脂と、第1シランカップリング剤を含む架橋剤と、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物を含む難燃剤と、ベース樹脂に架橋剤をグラフト化させるグラフト化剤と、触媒とを含むシラン架橋性樹脂組成物であって、架橋剤が、ベース樹脂100質量部に対して1質量部以上6質量部以下の割合で配合され、グラフト化剤が、ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下の割合で配合され、触媒が、ベース樹脂100質量部に対して0.14質量部以上0.30質量部以下の割合で配合され、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物が、ベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で配合され、グラフト化剤が、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であり、第1シランカップリング剤が、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、グラフト化剤によりベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する、シラン架橋性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、シラン架橋性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルの製造方法に関する。
近年、太陽発電設備向けケーブルや自動車内で使用されるケーブルの被覆材などにおいては、高い耐熱性及び難燃性を有する樹脂が必要とされてきている。しかし、ケーブルの被覆材に汎用的に用いられている樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、ポリエチレンなど)では、高い耐熱性を満足させることは難しい。特に、太陽光発電設備向けケーブルに対する要求の中にホットセットという耐熱試験があり、この耐熱試験に合格するには、樹脂の架橋が必須となる。架橋方式には、過酸化物架橋、硫黄加硫、電子線架橋、シラン架橋がある。これらのうちシラン架橋は、架橋点を多くできることから、特にホットセットに有効である。またシラン架橋は、シラン架橋性樹脂組成物が空気中の水分と反応し進行するものであるため、特別な架橋設備を必要とせず、押出機だけで進行させることができるという利点もある。そのため、高い耐熱性を有する被覆材を得るためには、樹脂をシラン架橋してシラン架橋樹脂を製造することが有効である。
シラン架橋樹脂は一般には以下の反応1〜3を経て製造される。
反応1:グラフト化剤により、樹脂にシランカップリング剤をグラフト化させる反応
反応2:グラフト化したシランカップリング剤が触媒により加水分解し、ヒドロキシ基を生成する反応
反応3:ヒドロキシ基同士が触媒により脱水縮合することでシランカップリング剤同士が結合し、樹脂同士が架橋される反応
反応1:グラフト化剤により、樹脂にシランカップリング剤をグラフト化させる反応
反応2:グラフト化したシランカップリング剤が触媒により加水分解し、ヒドロキシ基を生成する反応
反応3:ヒドロキシ基同士が触媒により脱水縮合することでシランカップリング剤同士が結合し、樹脂同士が架橋される反応
このシラン架橋には、反応1と反応2〜3を二工程で行うツーステップ方式と、反応1〜3を一工程で行うワンステップ方式とがある。
これらのうち、低コストで、自由に配合及び設計ができることから、ワンステップ方式のシラン架橋が望ましい。
このようなワンステップ方式でシラン架橋性樹脂組成物をシラン架橋することは、例えば下記特許文献1に開示されている。下記特許文献1では、ベース樹脂と、第1シランカップリング剤を含む架橋剤と、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物を含む難燃剤と、ベース樹脂に架橋剤をグラフト化させるグラフト化剤と、触媒とを含むシラン架橋性樹脂組成物であって、架橋剤が、ベース樹脂100質量部に対して1質量部以上6質量部以下の割合で配合され、グラフト化剤が、ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下の割合で配合され、触媒が、ベース樹脂100質量部に対して0.02質量部以上0.06質量部以下の割合で配合され、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物が、ベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で配合され、グラフト化剤が、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であり、第1シランカップリング剤が、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、グラフト化剤によりベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する、シラン架橋性樹脂組成物が開示されている。
上記特許文献1に記載のシラン架橋性樹脂組成物は、押出機内においてスコーチを抑制しながら、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できる。しかし、上記特許文献1に記載のシラン架橋性樹脂組成物は、押出後に、温水による強制架橋を行えば架橋を早期に完了させることができるものの、自然架橋を行う場合にはその早期完了の点では改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、押出機内においてスコーチを抑制し且つ押出後の自然架橋を早期に完了させながら、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できるシラン架橋性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討した結果、上記特許文献1記載のシラン架橋性樹脂組成物において、ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合量の範囲を特定の範囲とすることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ベース樹脂と、第1シランカップリング剤を含む架橋剤と、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物を含む難燃剤と、前記ベース樹脂に前記架橋剤をグラフト化させるグラフト化剤と、触媒とを含むシラン架橋性樹脂組成物であって、前記架橋剤が、前記ベース樹脂100質量部に対して1質量部以上6質量部以下の割合で配合され、前記グラフト化剤が、前記ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下の割合で配合され、前記触媒が、前記ベース樹脂100質量部に対して0.14質量部以上0.30質量部以下の割合で配合され、前記第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物が、前記ベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で配合され、前記グラフト化剤が、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であり、前記第1シランカップリング剤が、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、前記グラフト化剤により前記ベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する、シラン架橋性樹脂組成物である。
本発明のシラン架橋性樹脂組成物によれば、押出機内においてスコーチを抑制し且つ押出後の自然架橋を早期に完了させながら、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できる。
上記効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推察している。
まず本発明により押出物に優れた耐熱性を付与できるのは、シラン架橋性樹脂組成物が押出機で溶融混練されて押出機から押し出された後、架橋されるためであると本発明者らは推察している。
また本発明により押出物に優れた難燃性を付与できるのは、主として、シラン架橋性樹脂組成物において、ベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物が配合されているためであると本発明者らは推察している。
さらに本発明により押出機内においてスコーチを抑制できるのは以下の理由によるものと本発明者らは推察している。
すなわち、まず本発明のシラン架橋性樹脂組成物は、架橋剤として第1シランカップリング剤を含んでおり、この第1シランカップリング剤は、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、グラフト化剤によりベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する。ここで、第1シランカップリング剤の加水分解性基は、炭素原子が1個以下の加水分解性基よりも低い反応性を有する。そのため、炭素原子を2個以上含む加水分解性基を有する第1シランカップリング剤を含む架橋剤を用いることで、押出機内でのベース樹脂への架橋剤のグラフト化中に第1シランカップリング剤の加水分解及び脱水縮合が進むことが十分に抑制される。
また本発明のシラン架橋性樹脂組成物では、グラフト化剤として1分間半減期温度が165℃以下である過酸化物が用いられる。このため、一般的に用いられている高温分解タイプのグラフト化剤(1分間半減期温度が165℃超であるグラフト化剤)を用いてベース樹脂に、架橋剤に含まれる第1シランカップリング剤をグラフト化させる場合に比べて、押出温度を一般的に設定される200〜220℃程度よりも十分に低い温度にすることができる。従って、触媒、及び、金属水酸化物の水酸基による第1シランカップリング剤の加水分解や脱水縮合が十分に抑制される。
以上のことから、本発明によって押出機内でのスコーチを抑えることができるものと本発明者らは推察している。
さらに本発明により、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた外観を付与できるのは以下の理由によるものと本発明者らは推察している。
すなわち、本発明のシラン架橋性樹脂組成物は、難燃剤として第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物を含んでいる。通常、難燃剤として用いられる金属水酸化物はそれ単体ではベース樹脂に対して低い親和性を有する。そのため、シラン架橋性樹脂組成物において、難燃剤が金属水酸化物のみで構成されると仮定した場合、ベース樹脂と金属水酸化物との界面にグラフト化剤の分解残渣や架橋剤に含まれる第1シランカップリング剤の揮発成分が侵入しやすくなる。この場合、シラン架橋性樹脂組成物が押出機で溶融混練され、押出機から押し出された後、押出機の圧力が解放されることで、グラフト化剤の分解残渣や架橋剤に含まれる第1シランカップリング剤の揮発成分が気化し、押出物の内部で発泡が生じる。これに対し、本発明のシラン架橋性樹脂組成物では、難燃剤が、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物を含む。このため、難燃剤の表面とベース樹脂との親和性が向上し、ベース樹脂と難燃剤との界面へのグラフト化剤の分解残渣や架橋剤の揮発成分の侵入が抑制される。そのため、シラン架橋性樹脂組成物が押出機で溶融混練され、押出機から押し出された後、押出機の圧力が解放された場合に発泡が生じることを抑制でき、その結果、架橋体に優れた外観を付与できるのではないかと本発明者らは推察している。
さらに本発明により、自然架橋を早期に完了させることができるのは以下の理由によるものと本発明者らは推察している。
すなわち、触媒の配合量が比較的多いことで、押出後のシラン架橋性樹脂組成物において、ベース樹脂にグラフト化した第1シランカップリング剤の加水分解性基の加水分解によるヒドロキシ基の生成が空気中で短時間で行われ、脱水縮合が促進されたためではないかと考えられる。
上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記ベース樹脂が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。
無水マレイン酸変性ポリオレフィンは金属水酸化物の水酸基との親和性により優れるため、ベース樹脂と金属水酸化物との結合がより強固になる。その結果、ベース樹脂が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含まない場合と比べて、押出機から押し出して得られる架橋体においてより発泡を抑制できる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記ベース樹脂中の前記無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率が0.1質量%以上であることが好ましい。
この場合、シラン架橋性樹脂組成物の押出時のスコーチ及び発泡がより十分に抑制され、架橋体に対してより優れた外観を付与できる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記ベース樹脂中の前記無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率が50質量%以下であることが好ましい。
この場合、ベース樹脂中の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率が50質量%を超える場合に比べて、シラン架橋性樹脂組成物の低コスト化が可能となり、シラン架橋性樹脂組成物の押出の際に押出設備(押出機内のスクリュー、ヘッド、ダイス等の金属部材)への貼付きをより十分に低減できる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記第1シランカップリング剤がビニルトリアルコキシシランであることが好ましい。
この場合、ビニルトリアルコキシシラン以外の第1シランカップリング剤を用いた場合と比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時においてスコーチを十分に抑制しつつ、高い架橋密度を有する架橋体が得られる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記グラフト化剤が、100℃以上の1分間半減期温度を有する過酸化物であることが好ましい。
この場合、シラン架橋性樹脂組成物の押出前において、シラン架橋性樹脂組成物の保管時に生じるグラフト化剤の分解をより十分に抑制でき、シラン架橋性樹脂組成物がより優れた品質安定性を有する。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記金属水酸化物が水酸化マグネシウムであることが好ましい。
この場合、金属水酸化物として水酸化マグネシウム以外の金属水酸化物を用いた場合と比べて、架橋度、難燃性及び機械特性のバランスに優れた架橋体が得られる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記金属水酸化物100質量部に対する前記第2シランカップリング剤の表面処理量が0.1質量部以上であることが好ましい。
この場合、金属水酸化物とベース樹脂との親和性がより向上し、シラン架橋性樹脂組成物の押出時の発泡をより十分に抑制できる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記金属水酸化物100質量部に対する前記第2シランカップリング剤の表面処理量が10質量部以下であることが好ましい。
この場合、金属水酸化物が過剰に表面処理されることによる架橋体の機械強度の低下をより十分に抑制できる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記第2シランカップリング剤が表面に付着した前記金属水酸化物が、前記ベース樹脂100質量部に対して300質量部以下の割合で配合されることが好ましい。
この場合、ベース樹脂100質量部に対する、第2シランカップリング剤が表面に付着した金属水酸化物の配合割合が300質量部を超える場合に比べて、架橋体に対して、より優れた機械特性及び柔軟性を付与できる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記難燃剤が、シリコーンをさらに含むことが好ましい。
この場合、難燃剤がシリコーンを含まない場合と比べて、架橋体の難燃性がより向上する。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物においては、前記触媒が有機錫化合物であることが好ましい。
この場合、触媒が有機錫化合物以外の触媒である場合と比べて、より高い架橋密度を有する架橋体が得られる。
また、上記シラン架橋性樹脂組成物は、前記ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以下の割合でベンズイミダゾール系老化防止剤をさらに含むことが好ましい。
この場合、シラン架橋性樹脂組成物がベンズイミゾダール系老化防止剤を含まない場合と比べて、押出機内においてスコーチをより十分に抑制することができる。また、シラン架橋性樹脂組成物が、ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部を超える割合でベンズイミダゾール系老化防止剤を含む場合と比べて、ベース樹脂に対する架橋剤のグラフト化反応をより阻害しにくくなる。
また、本発明は、導体と、前記導体を包囲するように設けられる被覆層とを備えたケーブルを製造するケーブルの製造方法であって、上記シラン架橋性樹脂組成物を押出機に投入し、前記押出機内において前記グラフト化剤の1分間半減期温度以上の温度で溶融混練し、前記押出機から前記導体を包囲するように前記押出物を押し出し、前記押出物を架橋させて前記被覆層を形成し、前記ケーブルを得る工程を含むケーブルの製造方法である。
本発明のケーブルの製造方法によれば、上記シラン架橋性樹脂組成物を押出機に投入し、押出機内においてグラフト化剤の1分間半減期温度以上の温度で溶融混練し、押出機から導体を包囲するように押出物を押し出し、押出物を架橋させて被覆層を形成するので、押出機においてスコーチを抑制し且つ自然架橋を早期に完了させながら、優れた耐熱性、難燃性及び外観を有する被覆層を備えたケーブルを得ることができる。
本発明によれば、押出機内においてスコーチを抑制し且つ自然架橋を早期に完了させながら、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できるシラン架橋性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルの製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[ケーブル]
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、丸型ケーブル10は、導体1と、導体1を被覆する被覆層2とを備えている。
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、丸型ケーブル10は、導体1と、導体1を被覆する被覆層2とを備えている。
被覆層2はシラン架橋性樹脂組成物の架橋体で構成されている。シラン架橋性樹脂組成物は、ベース樹脂と、第1シランカップリング剤を含む架橋剤と、第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物(以下、「シランカップリング剤表面処理金属水酸化物」と呼ぶ)を含む難燃剤と、ベース樹脂に架橋剤をグラフト化させるグラフト化剤と、触媒とを含む。シラン架橋性樹脂組成物においては、架橋剤が、ベース樹脂100質量部に対して1質量部以上6質量部以下の割合で配合され、グラフト化剤が、ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下の割合で配合され、触媒が、ベース樹脂100質量部に対して0.14質量部以上0.30質量部以下の割合で配合され、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物がベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で配合されている。ここで、グラフト化剤は、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であり、第1シランカップリング剤は、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、グラフト化剤によりベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する。
上記シラン架橋性樹脂組成物は、押出機内においてスコーチを抑制し且つ押出後の自然架橋を早期に完了させながら、押出機から押し出して得られる架橋体である被覆層2に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できる。このため、被覆層2は、優れた耐熱性、難燃性及び外観を有することが可能となる。
[ケーブルの製造方法]
次に、上述した丸型ケーブル10の製造方法について説明する。
次に、上述した丸型ケーブル10の製造方法について説明する。
<導体>
まず導体1を準備する。導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
まず導体1を準備する。導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
<シラン架橋性樹脂組成物>
一方、上記シラン架橋性樹脂組成物を準備する。シラン架橋性樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、架橋剤と、難燃剤と、グラフト化剤と、触媒とを含む。
一方、上記シラン架橋性樹脂組成物を準備する。シラン架橋性樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、架橋剤と、難燃剤と、グラフト化剤と、触媒とを含む。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの酸変性ポリオレフィン;及び、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、ベース樹脂は、EVA及びEEAを含むことが好ましい。
ベース樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの酸変性ポリオレフィン;及び、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、ベース樹脂は、EVA及びEEAを含むことが好ましい。
ベース樹脂は特に無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。無水マレイン酸変性ポリオレフィンは金属水酸化物の水酸基との親和性により優れるため、ベース樹脂と金属水酸化物との結合がより強固になる。その結果、ベース樹脂が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含まない場合と比べて、押出機から押し出して得られる架橋体において発泡をより十分に抑制できる。無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリスチレン及び無水マレイン酸変性EVAなどが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも、無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましい。
ベース樹脂中の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率は50質量%以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂中の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率が50質量%を超える場合に比べて、シラン架橋性樹脂組成物の低コスト化が可能となり、シラン架橋性樹脂組成物の押出の際に押出設備(押出機内のスクリュー、ヘッド、ダイス等の金属部材)への貼付きをより十分に低減できる。ベース樹脂中の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率は45質量%以下であることがより好ましい。但し、ベース樹脂中の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率は、0.1質量%以上であることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂組成物の押出時のスコーチ及び発泡がより十分に抑制され、より優れた外観を有する被覆層2が得られる。ベース樹脂中の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率は0.2質量%以上であることがより好ましい。
(2)架橋剤
架橋剤は、ベース樹脂同士を架橋するためのものであり、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、グラフト化剤によりベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する第1シランカップリング剤を含む。ここで、第1シランカップリング剤は、Siに結合する3個の加水分解性基と、Siに結合する1個の結合性基とで構成される。加水分解性基としては、エトキシ基、ブトキシ基及びフェノキシ基、プロピオキシ基及びt−ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。中でもエトキシ基が好ましい。結合性基としては、ビニル基、アミノ基、グリシジル基、エポキシ基、メルカプト基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、スルフィド基及びイソシアネート基などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも結合性基はビニル基であることが好ましい。
架橋剤は、ベース樹脂同士を架橋するためのものであり、炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、グラフト化剤によりベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する第1シランカップリング剤を含む。ここで、第1シランカップリング剤は、Siに結合する3個の加水分解性基と、Siに結合する1個の結合性基とで構成される。加水分解性基としては、エトキシ基、ブトキシ基及びフェノキシ基、プロピオキシ基及びt−ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。中でもエトキシ基が好ましい。結合性基としては、ビニル基、アミノ基、グリシジル基、エポキシ基、メルカプト基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、スルフィド基及びイソシアネート基などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも結合性基はビニル基であることが好ましい。
このような第1シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン及びアリルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。中でも、第1シランカップリング剤としては、ビニルトリアルコキシシランが好ましい。この場合、ビニルトリアルコキシシラン以外の第1シランカップリング剤を用いた場合と比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時においてスコーチを十分に抑制しつつ、高い架橋密度を有する被覆層2が得られる。ビニルアルコキシシランの中でも、第1シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシランが好ましい。この場合、ビニルトリエトキシシラン以外の第1シランカップリング剤を用いた場合と比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時においてスコーチをより十分に抑制しつつ、より高い架橋密度を有する被覆層2が得られる。
架橋剤は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して1質量部以上6質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する架橋剤の配合割合が1質量部未満である場合に比べて、被覆層2がより優れた耐熱性を有することが可能となる。また、ベース樹脂100質量部に対する架橋剤の配合割合が6質量部より大きい場合に比べて、押出機においてスコーチが起こりにくくなる。
ベース樹脂100質量部に対する架橋剤の配合割合は5.9質量部以下であることが好ましく、5.8質量部以下であることがより好ましい。この場合、架橋剤の配合割合が上記各範囲を外れる場合に比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時におけるスコーチや発泡をより十分に抑制できるため、被覆層2に対して、より優れた外観を付与できる。但し、ベース樹脂100質量部に対する架橋剤の配合割合は1.1質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する架橋剤の配合割合が1.1質量部未満である場合と比べて、被覆層2に対して、より優れた耐熱性を付与できる。
(3)グラフト化剤
グラフト化剤は、ベース樹脂に対し、架橋剤に含まれる第1シランカップリング剤をグラフト化させるためのものである。グラフト化剤は、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であれば特に限定されないが、グラフト化剤は、164℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であることが好ましい。この場合、押出時の温度を低温化でき、スコーチをより抑制できる。グラフト化剤は、163℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であることがより好ましい。但し、グラフト化剤は、100℃以上の1分間半減期温度を有する過酸化物であることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂組成物の押出前において、シラン架橋性樹脂組成物の保管時に生じるグラフト化剤の分解をより十分に抑制でき、シラン架橋性樹脂組成物がより優れた品質安定性を有する。グラフト化剤は、110℃以上の1分間半減期温度を有する過酸化物であることがより好ましい。グラフト化剤としては、例えば、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(1分間半減期温度:161.4℃)、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(1分間半減期温度:147℃)、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度:154℃)、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:153.8℃)、ベンゾイルパーオキサイド(1分間半減期温度:159℃)、ジアセチルパーオキサイド(1分間半減期温度:160℃)及びラウロイルパーオキサイド(1分間半減期温度:116℃)などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン又はこれらの混合物が好ましい。
グラフト化剤は、ベース樹脂に対し、架橋剤に含まれる第1シランカップリング剤をグラフト化させるためのものである。グラフト化剤は、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であれば特に限定されないが、グラフト化剤は、164℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であることが好ましい。この場合、押出時の温度を低温化でき、スコーチをより抑制できる。グラフト化剤は、163℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であることがより好ましい。但し、グラフト化剤は、100℃以上の1分間半減期温度を有する過酸化物であることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂組成物の押出前において、シラン架橋性樹脂組成物の保管時に生じるグラフト化剤の分解をより十分に抑制でき、シラン架橋性樹脂組成物がより優れた品質安定性を有する。グラフト化剤は、110℃以上の1分間半減期温度を有する過酸化物であることがより好ましい。グラフト化剤としては、例えば、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(1分間半減期温度:161.4℃)、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(1分間半減期温度:147℃)、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度:154℃)、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:153.8℃)、ベンゾイルパーオキサイド(1分間半減期温度:159℃)、ジアセチルパーオキサイド(1分間半減期温度:160℃)及びラウロイルパーオキサイド(1分間半減期温度:116℃)などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン又はこれらの混合物が好ましい。
グラフト化剤は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合が0.05質量部未満である場合に比べて、より優れた耐熱性が得られる。また、ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合が0.3質量部を超える場合に比べて、よりスコーチが起こりにくくなる。
ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合は0.29質量部未満であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合が0.29質量部以上である場合に比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時におけるスコーチや発泡をより十分に抑制できるため、被覆層2に対して、より優れた外観を付与できる。ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合は0.25質量部以下であることがさらに好ましい。但し、ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合は、0.06質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合が0.06質量部未満である場合に比べて、被覆層2に対して、より優れた耐熱性を付与できる。ベース樹脂100質量部に対するグラフト化剤の配合割合は0.10質量部以上であることがより好ましい。
(4)難燃剤
難燃剤は、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物を含む。ここで、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物においては、金属水酸化物の表面の少なくとも一部が第2シランカップリング剤によって覆われている。
難燃剤は、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物を含む。ここで、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物においては、金属水酸化物の表面の少なくとも一部が第2シランカップリング剤によって覆われている。
金属水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうち金属水酸化物としては、水酸化マグネシウムが好ましい。この場合、金属水酸化物として水酸化マグネシウム以外の金属水酸化物を用いた場合と比べて、架橋度、難燃性及び機械特性のバランスに優れた架橋体が得られる。
金属水酸化物の平均粒径は特に制限されるものではないが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。
第2シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。中でもビニルトリメトキシシランが好ましい。第2シランカップリング剤は、架橋剤として使用される第1シランカップリング剤と同一でも異なっていてもよい。
またシランカップリング剤表面処理金属水酸化物においては、金属水酸化物が第2シランカップリング剤に加えて、さらに脂肪酸で表面処理されていてもよい。すなわち、金属水酸化物の表面の少なくとも一部が第2シランカップリング剤及び脂肪酸によって覆われていてもよい。ここで、脂肪酸は、特に制限されるものではないが、脂肪酸としては、炭素数が12〜31である脂肪酸が好ましい。脂肪酸の具体例としては、例えばステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、オレイン酸、アライン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、エルカ酸、リノール酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
金属水酸化物100質量部に対する第2シランカップリング剤の表面処理量(付着量)は0.1質量部以上であることが好ましい。この場合、金属水酸化物とベース樹脂との親和性がより向上し、シラン架橋性樹脂組成物の押出時の発泡をより十分に抑制できる。金属水酸化物100質量部に対する第2シランカップリング剤の表面処理量(付着量)は、0.15質量部以上であることがより好ましい。但し、金属水酸化物100質量部に対する第2シランカップリング剤の表面処理量(付着量)は10質量部以下であることが好ましい。この場合、金属水酸化物が過剰に表面処理されることによる被覆層2の機械強度の低下をより十分に抑制できる。金属水酸化物100質量部に対する第2シランカップリング剤の表面処理量(付着量)は7質量部以下であることがより好ましい。
難燃剤は、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物のみで構成されてもよいが、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物のほか、シリコーンをさらに含むことが好ましい。この場合、難燃性がより向上する。シリコーンとしては、例えばメタクリル酸変性シリコーンなどの酸変性シリコーンのほか、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーンポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーンフッ素変性シリコーン、ハイドロジェン変性シリコーン、及びこれらを1種または2種以上組み合わせて変性させたシリコーンなどが挙げられる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーンの配合割合は0.5質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーンの配合割合が0.5質量部よりも少ない場合に比べ、得られる架橋体がより難燃性に優れる。ベース樹脂100質量部に対するシリコーンの配合割合は1質量部以上であることがより好ましい。但し、ベース樹脂100質量部に対するシリコーンの配合割合は15質量部以下であることが好ましい。この場合、シリコーンが得られる架橋体の表面にブリードすることをより十分に抑制でき、架橋体の外観がより良好になる。ベース樹脂100質量部に対するシリコーンの配合割合は10質量部以下であることがより好ましい。
シランカップリング剤表面処理金属水酸化物は、ベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で配合される。この場合、シランカップリング剤表面処理金属水酸化物の割合がベース樹脂100質量部に対して25質量部未満である場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
また、ベース樹脂100質量部に対するシランカップリング剤表面処理金属水酸化物の配合割合は300質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合が300質量部を超える場合に比べて、架橋体に対して、より優れた機械特性及び柔軟性を付与できる。
さらに、ベース樹脂100質量部に対するシランカップリング剤表面処理金属水酸化物の配合割合は250質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましく、180質量部以下であることがさらに好ましい。ベース樹脂100質量部に対するシランカップリング剤表面処理金属水酸化物の配合割合が上記範囲内である場合、配合割合が上記各範囲を外れる場合に比べて、架橋体に対して、より優れた機械特性や柔軟性を付与できるだけでなく、シラン架橋性樹脂組成物の押出時のトルクをより低くすることができることから、被覆層2の製造性をより向上させることができる。
またベース樹脂100質量部に対するシランカップリング剤表面処理金属水酸化物の配合割合は30質量部以上であることが好ましく、35質量部以上であることがより好ましく、36質量部以上であることがさらに好ましい。ベース樹脂100質量部に対するシランカップリング剤表面処理金属水酸化物の配合割合が上記範囲内である場合、配合割合が上記各範囲を外れる場合に比べて、架橋体に対して、より優れた難燃性を付与できる。
また、金属水酸化物として水酸化アルミニウムを用いる場合においては、難燃剤が、第2シランカップリング剤で表面処理した水酸化アルミニウムと、シリカとで構成されていてもよい。この場合、シリコーンがブリードすることを懸念することなく、得られる架橋体に高い難燃性を付与できる。シリカは、シランカップリング剤でシリカの表面を疎水処理した疎水性シリカであってもよいし、シランカップリング剤でシリカの表面を疎水処理していないシリカであってもよいが、シリカは疎水性シリカが好ましい。この場合、架橋体に対して、より優れた難燃性を付与できる。
ベース樹脂100質量部に対するシリカの配合割合は1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましい。この場合、得られる架橋体により優れた難燃性を付与できる。但し、ベース樹脂100質量部に対するシリカの配合割合は50質量部以下であることが好ましく、45質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることがさらに好ましい。この場合、上記各配合割合の範囲を外れる場合に比べて、得られる架橋体により優れた機械特性及び柔軟性を付与できるだけでなく、シラン架橋性樹脂組成物の押出時のトルクをより低くすることができることから、被覆層2の製造性がより向上する。
上記シラン架橋性樹脂組成物は、スコーチ防止剤としてベンズイミダゾール系老化防止剤をさらに含むことが好ましい。ベンズイミダゾール系老化防止剤とは、ベンズインダゾール構造を分子内に有する老化防止剤を言う。この場合、シラン架橋性樹脂組成物がベンズイミダゾール系老化防止剤を含まない場合と比べて、押出機においてスコーチがより起こりにくくなる。ベンズイミダゾール系老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール及びこれらの亜鉛塩などが挙げられる。中でも、2−メルカプトベンズイミダゾールが好ましい。これは、2−メルカプトベンズイミダゾールは容易に入手できるだけでなく、シラン架橋性樹脂組成物の押出時においてスコーチをより十分に抑制しながらも、ベース樹脂とシランカップリング剤との適切なグラフト化を進行させることができるためである。
ベース樹脂100質量部に対するベンズイミダゾール系老化防止剤の配合割合は、0.05質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するベンズイミダゾール系老化防止剤の配合割合が0.05質量部を超える場合と比べて、ベース樹脂に第1シランカップリング剤をグラフト化することがより阻害されにくくなる。ベース樹脂100質量部に対するベンズイミダゾール系老化防止剤の配合割合は0.049質量部以下であることがより好ましい。但し、ベース樹脂100質量部に対するベンズイミダゾール系老化防止剤の配合割合は、0.005質量部以上であることが好ましい。この場合、スコーチがより十分に抑制され、架橋体の製造性がより向上する。ベース樹脂100質量部に対するベンズイミダゾール系老化防止剤の配合割合は0.006質量部以上であることがより好ましい。
(5)触媒
触媒は、ベース樹脂にグラフト化した第1シランカップリング剤の加水分解性基を加水分解してヒドロキシ基を生成させ、脱水縮合させるためのものである。触媒としては、例えば有機錫化合物、チタン化合物、金属石けん、白金化合物及びシランカップリング剤(アミノ系、エポキシ系)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、触媒としては、高い架橋密度を有する架橋体が得られるという理由から、有機錫化合物が好ましい。有機錫化合物としては、例えばジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクチエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫メルカプタイド、オクチル錫メルカプタイド、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫オキサイド、ジオクチル錫クロライド、ジオクチル錫サルファイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクチエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫メルカプタイド及びジブチル錫マレートなどが挙げられる。
触媒は、ベース樹脂にグラフト化した第1シランカップリング剤の加水分解性基を加水分解してヒドロキシ基を生成させ、脱水縮合させるためのものである。触媒としては、例えば有機錫化合物、チタン化合物、金属石けん、白金化合物及びシランカップリング剤(アミノ系、エポキシ系)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、触媒としては、高い架橋密度を有する架橋体が得られるという理由から、有機錫化合物が好ましい。有機錫化合物としては、例えばジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクチエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫メルカプタイド、オクチル錫メルカプタイド、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫オキサイド、ジオクチル錫クロライド、ジオクチル錫サルファイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクチエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫メルカプタイド及びジブチル錫マレートなどが挙げられる。
触媒は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して0.14質量部以上0.30質量部以下の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合が0.14質量部未満である場合に比べて、押出後の自然架橋をより早期に完了させることができる。また、ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合が0.30質量部を超える場合に比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時におけるスコーチをより十分に抑制できる。
ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合は0.29質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合が0.29質量部を超える場合に比べて、シラン架橋性樹脂組成物の押出時におけるスコーチをより十分に抑制できる。ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合は0.28質量部以下であることがより好ましい。但し、ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合は、0.18質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合が0.18質量部未満である場合に比べて、押出後の自然架橋をより早期に完了させることができる。ベース樹脂100質量部に対する触媒の配合割合は0.20質量部以上であることがより好ましい。
上記シラン架橋性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤、カーボンブラックなどの充填剤などを必要に応じてさらに含んでもよい。
上記シラン架橋性樹脂組成物は、ベース樹脂、架橋剤、グラフト化剤、難燃剤及び触媒などを例えばドライブレンドすることにより得ることができる。ドライブレンドは、例えばブレンダーで行うことができる。具体的には、シラン架橋性樹脂組成物は、ベース樹脂の一部、グラフト化剤及び架橋剤などを含む架橋剤マスターバッチと、ベース樹脂の一部、難燃剤などを含む難燃樹脂と、ベース樹脂の残部及び触媒を含む触媒マスターバッチとをドライブレンドすることにより得ることができる。
次に、上記シラン架橋性樹脂組成物を押出機に投入し、押出機内においてグラフト化剤の1分間半減期温度以上の温度で溶融混練する。そして、押出機から、導体1を包囲するように押出物を押し出して押出物を架橋させる。こうして導体1を包囲するように被覆層2が形成される。
以上のようにして丸型ケーブル10が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ケーブルとして、1本の導体1を有する丸型ケーブル10が用いられているが、本発明のケーブルは丸形ケーブルに限定されるものではなく、被覆層2の内側に導体1を2本以上有するケーブルであってもよい。また、被覆層2と導体1との間には、絶縁体からなる絶縁層が設けられていてもよい。
また本発明のシラン架橋性樹脂組成物は、ケーブルの被覆層に限らず、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、電源プラグ、筐体、ケース、カバー、ホースなどにも適用可能である。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<シラン架橋性樹脂組成物の原料>
シラン架橋性樹脂組成物の調製には、原料として、以下のベース樹脂、グラフト化剤、架橋剤、難燃剤、老化防止剤、カーボン、スコーチ防止剤、シリコーンMB及び触媒を使用した。
シラン架橋性樹脂組成物の調製には、原料として、以下のベース樹脂、グラフト化剤、架橋剤、難燃剤、老化防止剤、カーボン、スコーチ防止剤、シリコーンMB及び触媒を使用した。
(1)ベース樹脂
EEA1:宇部丸善ポリエチレン社製、商品名「UBEポリエチレン ZE708」(EA含有率16質量%)
EEA2:宇部丸善ポリエチレン社製、商品名「UBEポリエチレン ZE742」(EA含有率25質量%)
EVA:三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックス EV460R」(VA含有率19質量%)
酸変性ポリオレフィン:無水マレイン酸変性ポリエチレン、デュポン社製、商品名「Fusabond E226Y」
EEA1:宇部丸善ポリエチレン社製、商品名「UBEポリエチレン ZE708」(EA含有率16質量%)
EEA2:宇部丸善ポリエチレン社製、商品名「UBEポリエチレン ZE742」(EA含有率25質量%)
EVA:三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックス EV460R」(VA含有率19質量%)
酸変性ポリオレフィン:無水マレイン酸変性ポリエチレン、デュポン社製、商品名「Fusabond E226Y」
(2)グラフト化剤
(2−1)グラフト化剤1(低温分解)
1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン
日本油脂株式会社製、商品名「パーヘキサC−80(S)」(1分間半減期温度:153.8℃)
(2−2)グラフト化剤2(低温分解)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート
日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルE」(1分間半減期温度:161.4℃)
(2−3)グラフト化剤3(高温分解)
ジクミルパーオキサイド
日本油脂株式会社製、商品名「パークミルD」(1分間半減期温度:175.2℃)
(2−1)グラフト化剤1(低温分解)
1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン
日本油脂株式会社製、商品名「パーヘキサC−80(S)」(1分間半減期温度:153.8℃)
(2−2)グラフト化剤2(低温分解)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート
日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルE」(1分間半減期温度:161.4℃)
(2−3)グラフト化剤3(高温分解)
ジクミルパーオキサイド
日本油脂株式会社製、商品名「パークミルD」(1分間半減期温度:175.2℃)
(3)架橋剤
(3−1)架橋剤1
ビニルトリエトキシシラン
信越シリコーン社製、商品名「KBE−1003」
(3−2)架橋剤2
ビニルトリメトキシシラン
信越シリコーン社製、商品名「KBM−1003」
(3−1)架橋剤1
ビニルトリエトキシシラン
信越シリコーン社製、商品名「KBE−1003」
(3−2)架橋剤2
ビニルトリメトキシシラン
信越シリコーン社製、商品名「KBM−1003」
(4)難燃剤
(4−1)難燃剤1
神島化学工業社製、商品名「マグシーズHV−6F」、平均粒径0.6μm
ビニルシランカップリング剤で水酸化マグネシウムを表面処理したもの。
水酸化マグネシウム:ビニルシランカップリング剤=100:0.7(質量比)
(4−2)難燃剤2
Martinswerk社製、商品名「OL−107ZO」、平均粒径1.9μm
ビニルシランカップリング剤で水酸化アルミニウムを表面処理したもの。
水酸化アルミニウム:ビニルシランカップリング剤=100:0.7(質量比)
(4−3)難燃剤3
疎水性シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールSS−30V」
(4−1)難燃剤1
神島化学工業社製、商品名「マグシーズHV−6F」、平均粒径0.6μm
ビニルシランカップリング剤で水酸化マグネシウムを表面処理したもの。
水酸化マグネシウム:ビニルシランカップリング剤=100:0.7(質量比)
(4−2)難燃剤2
Martinswerk社製、商品名「OL−107ZO」、平均粒径1.9μm
ビニルシランカップリング剤で水酸化アルミニウムを表面処理したもの。
水酸化アルミニウム:ビニルシランカップリング剤=100:0.7(質量比)
(4−3)難燃剤3
疎水性シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールSS−30V」
(5)老化防止剤
(6−1)老化防止剤1
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製、商品名「IRGANOX 1010」)
(6−2)老化防止剤2
ヒンダードアミン系光安定剤、Double Bond Chemical社製、商品名「Chisorb 622」
(6−1)老化防止剤1
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製、商品名「IRGANOX 1010」)
(6−2)老化防止剤2
ヒンダードアミン系光安定剤、Double Bond Chemical社製、商品名「Chisorb 622」
(6)カーボン
旭カーボン社製、商品名「旭#35」
旭カーボン社製、商品名「旭#35」
(7)スコーチ防止剤
2−メルカプトベンズイミダゾール、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックMB」
2−メルカプトベンズイミダゾール、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックMB」
(8)シリコーンMB
旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名「GENIOPLAST PELLET S」
シリコーン(難燃剤4):ヒュームドシリカ=65:35(質量比)
旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名「GENIOPLAST PELLET S」
シリコーン(難燃剤4):ヒュームドシリカ=65:35(質量比)
(9)触媒
ジオクチル錫ジラウレート
ジオクチル錫ジラウレート
<難燃樹脂の調製>
上記のシラン架橋性樹脂組成物の原料のうちEEA1、EVA、酸変性ポリオレフィン、難燃剤、シリコーンMB、老化防止剤(老化防止剤1及び老化防止剤2)、カーボン、スコーチ防止剤及び触媒を表1〜12に示す割合で配合し、バンバリーミキサー((株)神戸製鋼所製)を用いて150〜200℃で10〜20分間溶融混練することにより、難燃樹脂1〜42を得た。なお、表1〜12において、EEA1、EVA、酸変性ポリオレフィン、難燃剤、シリコーンMB、老化防止剤、カーボン、スコーチ防止剤及び触媒の配合量の単位は質量部である。
上記のシラン架橋性樹脂組成物の原料のうちEEA1、EVA、酸変性ポリオレフィン、難燃剤、シリコーンMB、老化防止剤(老化防止剤1及び老化防止剤2)、カーボン、スコーチ防止剤及び触媒を表1〜12に示す割合で配合し、バンバリーミキサー((株)神戸製鋼所製)を用いて150〜200℃で10〜20分間溶融混練することにより、難燃樹脂1〜42を得た。なお、表1〜12において、EEA1、EVA、酸変性ポリオレフィン、難燃剤、シリコーンMB、老化防止剤、カーボン、スコーチ防止剤及び触媒の配合量の単位は質量部である。
<架橋剤MBの調製>
上記のシラン架橋性樹脂組成物の原料のうち架橋剤1〜2及びグラフト化剤1〜3を表13〜14に示す割合でEEA2に含浸させることにより、架橋剤MB1〜8を得た。なお、表13〜14において、EEA2、架橋剤1〜2及びグラフト化剤1〜3の配合量の単位は質量部である。
上記のシラン架橋性樹脂組成物の原料のうち架橋剤1〜2及びグラフト化剤1〜3を表13〜14に示す割合でEEA2に含浸させることにより、架橋剤MB1〜8を得た。なお、表13〜14において、EEA2、架橋剤1〜2及びグラフト化剤1〜3の配合量の単位は質量部である。
<触媒MBの調製>
上記のシラン架橋性樹脂組成物の原料のうちEEA1及び触媒を表15に示す割合で配合し、二軸混練押出機((株)神戸製鋼所社製)を用いて100〜130℃で溶融混練することにより、触媒MBを得た。なお、表15において、EEA1及び触媒の配合量の単位は質量部である。
上記のシラン架橋性樹脂組成物の原料のうちEEA1及び触媒を表15に示す割合で配合し、二軸混練押出機((株)神戸製鋼所社製)を用いて100〜130℃で溶融混練することにより、触媒MBを得た。なお、表15において、EEA1及び触媒の配合量の単位は質量部である。
(実施例1〜80及び比較例1〜15)
上記のようにして得られた難燃樹脂1〜42、架橋剤MB1〜8及び触媒MBを表16〜37に示す割合(質量%)でブレンダー((株)友定建機社製)を用いてドライブレンドして実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を得た。
上記のようにして得られた難燃樹脂1〜42、架橋剤MB1〜8及び触媒MBを表16〜37に示す割合(質量%)でブレンダー((株)友定建機社製)を用いてドライブレンドして実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を得た。
上記のシラン架橋性樹脂組成物を押出機(HCI社製)に投入し、100〜215℃で溶融混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出して架橋させ、錫メッキ軟銅線からなる導体(断面積3.5mm2)上に、厚さ1.16mmとなるように被覆層を形成した。こうしてケーブルを得た。
なお、押出温度は、押出機から排出される時の押出物の温度であり、グラフト化剤1〜3ごとに決定した。具体的には、押出温度は、グラフト化剤1を用いている実施例及び比較例では183℃とし、グラフト化剤2を用いている実施例及び比較例では188℃とし、グラフト化剤3を用いている比較例では215℃とした。
[特性評価]
こうして得られたケーブルについて、以下のようにして耐熱性、難燃性、外観、スコーチ及び自然架橋速度の評価を行った。
こうして得られたケーブルについて、以下のようにして耐熱性、難燃性、外観、スコーチ及び自然架橋速度の評価を行った。
(1)耐熱性
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のケーブルについて、80℃の温水中に24hr浸漬して架橋を完了させ、JIS C 3660−2−1−9に準拠したホットセット試験を行い、荷重時の伸び、及び、解放冷却後の永久伸びを測定した。そして、荷重時の伸び、及び、解放冷却後の永久伸びを耐熱性の指標とした。このとき、オーブンの温度は200℃、荷重は20N/cm2とし、試験時間は15分とした。合否の結果を表16〜37に示す。なお、耐熱性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 荷重時の伸びが100%以下であり且つ解放冷却後の永久伸びが25%以下であること
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のケーブルについて、80℃の温水中に24hr浸漬して架橋を完了させ、JIS C 3660−2−1−9に準拠したホットセット試験を行い、荷重時の伸び、及び、解放冷却後の永久伸びを測定した。そして、荷重時の伸び、及び、解放冷却後の永久伸びを耐熱性の指標とした。このとき、オーブンの温度は200℃、荷重は20N/cm2とし、試験時間は15分とした。合否の結果を表16〜37に示す。なお、耐熱性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 荷重時の伸びが100%以下であり且つ解放冷却後の永久伸びが25%以下であること
(2)難燃性
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のケーブルについて、JIS C3005 4.26.2(2)に準拠した60度傾斜燃焼試験を行った。合否の結果を表16〜37に示す。なお、難燃性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 着火後60秒以内に自己消火すること
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のケーブルについて、JIS C3005 4.26.2(2)に準拠した60度傾斜燃焼試験を行った。合否の結果を表16〜37に示す。なお、難燃性の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 着火後60秒以内に自己消火すること
(3)外観
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を押出機(Φ115mm)に投入し、30rpmで30分間の連続押出し後に得られた被覆層を採取した。そして、マイクロスコープを用いて被覆層の表面及び断面の状態観察を行い、発泡の有無を調べた。この発泡の有無を外観の指標とした。結果を表16〜37に示す。なお、表16〜37において、「なし」は、発泡が確認されなかったことを意味し、「あり」は、発泡が確認されたことを意味する。外観の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 発泡が確認されないこと
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を押出機(Φ115mm)に投入し、30rpmで30分間の連続押出し後に得られた被覆層を採取した。そして、マイクロスコープを用いて被覆層の表面及び断面の状態観察を行い、発泡の有無を調べた。この発泡の有無を外観の指標とした。結果を表16〜37に示す。なお、表16〜37において、「なし」は、発泡が確認されなかったことを意味し、「あり」は、発泡が確認されたことを意味する。外観の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 発泡が確認されないこと
(4)スコーチ
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を押出機(Φ115mm)に投入し、30rpmで30分間の連続押出し後に得られた被覆層を採取した。そして、マイクロスコープを用いて被覆層の表面及び断面の状態観察を行い、スコーチに起因する粒状の樹脂塊のサイズを調べた。この樹脂塊のサイズをスコーチの指標とした。結果を表16〜37に示す。表16〜37において、「なし」は、樹脂塊のサイズが0.4mm以下であったことを意味し、「あり」は、樹脂塊のサイズが0.4mmより大きかったことを意味する。スコーチの合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 樹脂塊のサイズが0.4mm以下であること
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を押出機(Φ115mm)に投入し、30rpmで30分間の連続押出し後に得られた被覆層を採取した。そして、マイクロスコープを用いて被覆層の表面及び断面の状態観察を行い、スコーチに起因する粒状の樹脂塊のサイズを調べた。この樹脂塊のサイズをスコーチの指標とした。結果を表16〜37に示す。表16〜37において、「なし」は、樹脂塊のサイズが0.4mm以下であったことを意味し、「あり」は、樹脂塊のサイズが0.4mmより大きかったことを意味する。スコーチの合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 樹脂塊のサイズが0.4mm以下であること
(5) 自然架橋速度
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を32℃/80%RHの恒温恒湿槽で模擬的に自然架橋させ、架橋完了を意味する上記の耐熱性に関する合格基準を満たすまでの日数(自然架橋完了までの日数)を計測した。結果を表16〜37に示す。自然架橋速度の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 自然架橋が完了するまでの日数が20日以内であること
上記のようにして得られた実施例1〜80及び比較例1〜15のシラン架橋性樹脂組成物を32℃/80%RHの恒温恒湿槽で模擬的に自然架橋させ、架橋完了を意味する上記の耐熱性に関する合格基準を満たすまでの日数(自然架橋完了までの日数)を計測した。結果を表16〜37に示す。自然架橋速度の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) 自然架橋が完了するまでの日数が20日以内であること
表16〜37に示すように、実施例1〜80は、耐熱性、難燃性、外観、スコーチ及び自然架橋速度の点で合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜15は耐熱性、難燃性、外観、スコーチ又は自然架橋速度の点で合格基準に達していなかった。
以上より、本発明のシラン架橋樹脂組成物によれば、押出機内においてスコーチを抑制し且つ押出後の自然架橋を早期に完了させながら、押出機から押し出して得られる架橋体に優れた耐熱性、難燃性及び外観を付与できることが確認された。
1…導体
2…被覆層
10…ケーブル
2…被覆層
10…ケーブル
Claims (14)
- ベース樹脂と、
第1シランカップリング剤を含む架橋剤と、
第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物を含む難燃剤と、
前記ベース樹脂に前記架橋剤をグラフト化させるグラフト化剤と、
触媒とを含むシラン架橋性樹脂組成物であって、
前記架橋剤が、前記ベース樹脂100質量部に対して1質量部以上6質量部以下の割合で配合され、
前記グラフト化剤が、前記ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下の割合で配合され、
前記触媒が、前記ベース樹脂100質量部に対して0.14質量部以上0.30質量部以下の割合で配合され、
前記第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物が、前記ベース樹脂100質量部に対して25質量部以上の割合で配合され、
前記グラフト化剤が、165℃以下の1分間半減期温度を有する過酸化物であり、
前記第1シランカップリング剤が、
炭素原子を2個以上含む加水分解性基と、
前記グラフト化剤により前記ベース樹脂に結合することが可能な結合性基とを有する、シラン架橋性樹脂組成物。 - 前記ベース樹脂が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含む、請求項1に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記ベース樹脂中の前記無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率が0.1質量%以上である、請求項2に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記ベース樹脂中の前記無水マレイン酸変性ポリオレフィンの含有率が50質量%以下である、請求項2又は3に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記第1シランカップリング剤がビニルトリアルコキシシランである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記グラフト化剤が、100℃以上の1分間半減期温度を有する過酸化物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記金属水酸化物が水酸化マグネシウムである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記金属水酸化物100質量部に対する前記第2シランカップリング剤の表面処理量が0.1質量部以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記金属水酸化物100質量部に対する前記第2シランカップリング剤の表面処理量が10質量部以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記第2シランカップリング剤で表面処理した金属水酸化物が、前記ベース樹脂100質量部に対して300質量部以下の割合で配合される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記難燃剤がシリコーンをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記触媒が有機錫化合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 前記ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以下の割合でベンズイミダゾール系老化防止剤をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
- 導体と、前記導体を包囲するように設けられる被覆層とを備えたケーブルを製造するケーブルの製造方法であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載のシラン架橋性樹脂組成物を押出機に投入し、前記押出機内において前記グラフト化剤の1分間半減期温度以上の温度で溶融混練し、前記押出機から前記導体を包囲するように押出物を押し出し、前記押出物を架橋させて前記被覆層を形成し、前記ケーブルを得る工程を含むケーブルの製造方法。
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JP2017242255A JP2019108467A (ja) | 2017-12-18 | 2017-12-18 | シラン架橋性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルの製造方法 |
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