以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1において、エレベーター装置は、建築物に形成された昇降路10内を複数の階床間に跨って移動する乗りかご11が、ロープ12、プーリ13A、13Bを介して釣合錘14に連結されている。乗りかご11の上下方向の移動は、巻上機を構成する電動機15によってプーリ13Aが駆動されることにより行われる。
乗場23には乗場側扉19が配置され、乗りかご11にはかご側扉20が配置されており、かご側扉20は乗場側扉19とインターロックで連結されている。そして、かご側扉20の開閉動作に連動して乗場側扉19も開閉される構成となっている。乗場側扉19は、乗場側敷居21に摺動可能に係合しており、この乗場側扉19は乗場側敷居21によって開閉動作に対応して案内されている。同様に、かご側扉20はかご側敷居22に摺動可能に係合しており、このかご側扉20もかご側敷居22によって開閉動作に対応して案内されている。
以上は、エレベーター装置の構成を簡単に説明したものであるが、次に本発明の対象となる乗場側敷居21の取付構造について説明する。
図2は、乗場23の乗場側扉19を省略して昇降路10の側から乗場の乗降口を眺めたものである。乗降口24の床面23には乗場側敷居21が設けられており、この乗場側敷居21は乗降口24の間口を跨って水平方向に延びている。乗場側敷居21は、所定間隔を空けて配置された敷居取付部材25によって支持されている。この敷居取付部材の詳細な構成は、図3、図4で詳細に説明する。
また、乗場側敷居21に沿って配置されたそれぞれの敷居取付部材25の間には、乗場23の床面に施設されるモルタルの落下を防止するための第1閉塞部材26、及び第2閉塞部材27が配置されている。更に、本実施形態では第1閉塞部材26、及び第2閉塞部材27と敷居取付部材25の間には、長さ調整用の第3閉塞部材28、第4閉塞部材29が配置されている。ただ、第1閉塞部材26、及び第2閉塞部材27の長さが、敷居取付部材25の間隔とほぼ同じであれば、第3閉塞部材28、及び第4閉塞部材29を省略することができる。
第1閉塞部材26〜第4閉塞部材29は、乗場側敷居21の設置方向に沿って延びており、少なくとも、モルタルが施設される間口に亘って延びている。これらの第1閉塞部材26〜第4閉塞部材29の詳細な構成は、図3、図4で詳細に説明する。
尚、第1閉塞部材26は、乗場側敷居21の乗場側の側面部にボルトで固定され、第2閉塞部材27は、第1閉塞部材26の底面側にボルトで固定されている。また、第3閉塞部材28は、第1閉塞部材26の側端にボルトで固定され、第4閉塞部材29も、第2閉塞部材27の側端にボルトで固定されている。
次に、上述した敷居取付部材25、第1閉塞部材26〜第4閉塞部材29の詳細を図3、図4に基づき説明する。尚、図4は、図3のA-A矢視方向に断面した断面図を示している。
図3、図4において、敷居取付部材25は、昇降路の内壁に固定される略L字状に形成された内壁固定部材25Aと、内壁固定部材25Aにボルト/ナット30で連結、固定され、乗場側敷居21を保持する略L字状に形成された敷居保持部材25Bとから構成されている。
内壁固定部材25Aは、昇降路10の内壁に固定される内壁固定面部25A−1と、昇降路の内壁から遠ざかるようにしてL字状に折り曲げられた連結面部25A−2を有している。内壁固定面部25A−1には乗場側敷居21と同方向の水平方向に延びた調整長孔31が形成されており、水平方向の位置決めをした後にアンカーボルト32によって昇降路の内壁に固定される。
敷居保持部材25Bは、内壁固定部材25Aの連結面部25A−2とボルト/ナット30で固定される連結面部25B−1と、乗場側敷居21に沿ってL字状に折り曲げられた載置面部25B−2を有している。この載置面部25B−2には、乗場側敷居21が載置され、ボルト/ナット33によって、載置面部25B−2と乗場側敷居21とが固定されている。
図4にあるように、連結面部25B−1には乗場側敷居21と直交する方向の鉛直方向に延びた調整長孔34が形成されており、鉛直方向の位置決めをした後にボルト/ナット30によって、内壁固定部材25Aの連結面部25A-2と敷居保持部材25Bの連結面部25B-1が相互に固定される。
したがって、内壁固定部材25Aの内壁固定面部25A-1に設けられた水平方向の調整長孔31(図3参照)と、敷居保持部材25Bの連結面部25B-1に設けられた垂直方向の調整長孔34(図4参照)とによって、乗場側敷居21の位置調整が可能となる。
次に、各閉塞部材26〜29について説明するが、第1閉塞部材26の詳細な構造は図5A〜図5Cに示され、第2閉塞部材27の詳細な構造は図6A〜図6Cに示され、第3閉塞部材28の詳細な構造は図7A〜図7Bに示され、第4閉塞部材29の詳細な構造は図8A〜図8Cに示されている。以下、図5A〜図8Cも併せ参照しながら説明を加える。
図3、図4に戻って、第1閉塞部材26は、敷居保持部材25Bの載置面部25B−2に固定された乗場側敷居21の乗場側の側面部21S(図4参照)にボルト35で固定され、鉛直方向で下側に延びる横方向閉塞面部26A-1と、昇降路の内壁から遠ざかるようにして乗場側敷居21の下側にL字状に折り曲げられた連結面部26A−2を有している。また、これらの横方向閉塞面部26A-1と連結面部26A-2は、乗降口24の間口に沿って(乗場側敷居21に沿って)延びている。
そして、図3、図5A〜図5Cにある通り、第1閉塞部材26の上辺には、乗場側敷居21の側面部21Sに固定される2個の固定片36が形成されており、この固定片36には両側に貫通径大部36Hと、2つの貫通径大部36Hを接続する貫通溝部36Gが形成されている。貫通径大部36Hの直径は、ボルト35の頭部径よりを大きく形成され、貫通溝部36Gの幅は、ボルト35の頭部径より小さく、ボルト35のねじ部径より大きく形成されており、これは以下の理由によるものである。
例えば、乗場側敷居21と乗場床面との隙間の距離が、ボルト35の全長より小さい場合は、ボルト35によって第1閉塞部材26を固定できない恐れがある。したがって、予め乗場側敷居21にボルト35を螺合しておき、乗場側敷居21の位置を調整した後に、第1閉塞部材26の貫通径大部36Hを介してボルト35に挿通する。この状態で第1閉塞部材26の貫通溝部36Gをボルト35側に移動してボルト35を締め付けることで、第1閉塞部材26を乗場側敷居21に固定することができる。尚、乗場側敷居21と乗場の床面23との隙間の距離が大きい場合は、連結面部26A-2を水平方向に長く形成しても良いものである。
また、図5A〜図5Cにおいて、横方向閉塞面部26A-1の両端に設けた貫通孔37にはねじ溝が切られており、後述する第3閉塞部材28の横方向閉塞面部28A-1に形成した調整長孔38(図3参照)から挿通されたボルト39を螺合するためのねじ孔とされている。尚、ねじ孔ではなく、ボルト/ナットによる固定としても良い。
また、連結面部26A-2の中央付近設けた2個の貫通孔40にはねじ溝が切られており、後述する第2閉塞部材27の縦方向閉塞面部27A-1に形成した調整長孔41から挿通されたボルト42を螺合するためのねじ孔とされている。これも、ねじ孔ではなく、ボルト/ナットによる固定としても良い。尚、図5Aは第1閉塞部材26の正面を示し、図5Bは第1閉塞部材26の上面を示し、図5Cは第1閉塞部材26の側面を示している。
したがって、図4に示しているように、乗場の床面23に施設されたモルタルは、第1閉塞部材26に形成した横方向閉塞面部26A-1によって、乗場側敷居21の下側を移動するのが阻止され、乗場側敷居21の下側を通ってモルタルが昇降路10内に落下するのが抑制される。
次に第2閉塞部材27について説明する。図3、図4に戻って、第2閉塞部材27は、第1閉塞部材26の連結面部26A-2にボルト42で固定され、昇降路10の内壁に当接するように延びた、幅が長い長幅縦方向閉塞面部27A-2と、長幅縦方向閉塞面部27A-2から連続して鉛直方向で下側に延びた下方にL字状に折り曲げられた、幅が短い短幅縦方向閉塞面部27A-1を有している。この短幅縦方向閉塞面部27A-1と長幅縦方向閉塞面部27A-2は、乗降口24の間口に沿って(乗場側敷居21に沿って)延びている。
また、図6A〜図6Cにおいて、長幅縦方向閉塞面部27A-2には、第1閉塞部材26の連結面部26A-2に取り付けた状態において、第2閉塞部材27を昇降路10と直交する水平方向に移動可能に調整する短幅側調整長孔41Lが形成され、同様に短幅縦方向閉塞面部27A-1にも、第1閉塞部材26の連結面部26A-2に取り付けた状態において、第2閉塞部材27を昇降路10と直交する水平方向に移動可能に調整する長幅側調整長孔41Sとが形成されている。
それぞれの調整長孔41S、41Lは、それぞれの縦方向閉塞面部27A-1、27A-2の昇降路10の内壁側への突出長さを調整するものであり、それぞれの縦方向閉塞面部27A-1、27A-2が、昇降路10の内壁と当接した状態で、ボルト42によって第1閉塞部材26の連結面部26A-2と、縦方向閉塞面部27A-1、27A-2の一方が固定されるものである。尚、上述したように、第2閉塞部材27の固定は、第1閉塞部材26の連結面部26A-2に設けた貫通孔40のねじ孔ではなく、ボルト/ナットによる固定としても良いものである。
ここで、短幅縦方向閉塞面部27A-1と長幅縦方向閉塞面部27A-2を形成したのは、乗場側敷居21と乗場の床面23の隙間の距離が長い場合と、短い場合を想定したものであり、乗場側敷居21と乗場の床面23の隙間の距離が長い場合は、長幅縦方向閉塞面部27A-2を昇降路10の内壁に当接させれば良く、逆に、乗場側敷居21と乗場の床面23の隙間の距離が短い場合は、短幅縦方向閉塞面部27A-2を昇降路10の内壁に当接させれば良いものである。
したがって、図4に示しているように、乗場の床面23に施設されたモルタルは、第2閉塞部材27に形成した短幅縦方向閉塞面部27A-1或いは長幅縦方向閉塞面部27A-2によって、乗場の床面23と乗場側敷居21の隙間から昇降路10内に落下するのが阻止される。このように、第2閉塞部材27の短幅縦方向閉塞面部27A-1、或いは長幅縦方向閉塞面部27A-2は、第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1と協働することで、乗場の床面23に施設されたにモルタルが昇降路10の内部に落下するのを阻止することが可能となるものである。
また、第1閉塞部材26と第2閉塞部材27は、敷居取付部材25と独立して位置調整が可能であるので、簡単な構成で短時間に位置調整ができるようになる。
また、図6A〜図6Cにおいて、昇降路10の下側に延びる短幅縦方向閉塞面部27A-1、及び長幅縦方向閉塞面部27A-2の両端に設けた貫通孔43にはねじ溝が切られており、第4閉塞部材29の連結面部29A-1に形成した調整長孔44(図3参照)から挿通されたボルト45を螺合するためのねじ孔とされている。この場合も、ねじ孔ではなく、ボルト/ナットによる固定としても良い。尚、図6Aは第2閉塞部材27の正面を示し、図6Bは第2閉塞部材27の上面を示し、図6Cは第2閉塞部材27の側面を示している。
次に第3閉塞部材28について説明する。図3、図4に戻って、第3閉塞部材28の横方向閉塞面部28A-1は、第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1の側端と重ね合わされ、調整長孔38によって乗場側敷居21の延びる方向の位置が調整されている。これによって、敷居取付部材25の間の長さを調整できるようになる。この状態で第3閉塞部材28の横方向閉塞面部28A-1に形成した調整長孔38から挿通されたボルト39を第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1に形成した貫通孔37に螺合して、第3閉塞部材28の横方向閉塞面部28A-1と第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1を固定する。
図7A〜図7Bにおいて、上述したように、第3閉塞部材28の横方向閉塞面部28A-1の一方の側端には、調整長孔38が形成されており、この調整長孔38の位置を、第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1の貫通孔37に対して移動させることで長さ調整が可能である。
したがって、第3閉塞部材28の横方向閉塞面部28A-1と第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1を固定した状態で、図3、図4に示しているように、乗場の床面23に施設されたモルタルは、第3閉塞部材28に形成した横方向閉塞面部28A-1によって、乗場側敷居21の下側を移動するのが阻止され、乗場側敷居21の下側を通ってモルタルが昇降路10内に落下するのが抑制される。
次に第4閉塞部材29について説明する。図3、図4に戻って、第4閉塞部材29は、第2閉塞部材27の縦方向閉塞面27A-1の側端に重ね合わされ、ボルト45で固定されて昇降路10の内壁に当接するように水平方向に延びた、幅が長い長幅縦方向閉塞面部29A-2と、長幅縦方向閉塞面部29A-2から連続して鉛直方向で下側に延びた下方にL字状に折り曲げられた、幅が短い短幅縦方向閉塞面部29A-1を有している。この短幅縦方向閉塞面部29A-1と長幅縦方向閉塞面部29A-2は、乗降口24の間口に沿って(乗場側敷居21に沿って)延びている。したがって、第2閉塞部材27と同じような形態となり、短幅縦方向閉塞面部29A-1が昇降路10の内壁と当接して、長幅縦方向閉塞面部29A-2によって乗場側敷居21と乗場の床面23との間の隙間が閉塞されるようになる。
また、図8A〜図8Cにおいて、短幅縦方向閉塞面部29A-1には、第4閉塞部材29を乗場側敷居21の方向に移動可能に調整する短幅側調整長孔44Sが形成され、同様に長幅縦方向閉塞面部29A-2にも、第4閉塞部材29を乗場側敷居21の方向に移動可能に調整する短幅側調整長孔44Lが形成されている。
それぞれの調整長孔44S、44Lは、それぞれの縦方向閉塞面部29A-1、29A-2を、それぞれの敷居取付部材25の間に収まるように長さを調整するものであり、長さ調整された状態で、ボルト45によって第2閉塞部材26の縦方向閉塞面部27A-1、27A-2の一方と、第4閉塞部材29の縦方向閉塞面部29A-1、29A-2の一方が固定されるものである。
ここで、短幅縦方向閉塞面部29A-1と長幅縦方向閉塞面部29A-2を形成したのは、第2閉塞部材27と同様に、乗場側敷居21と乗場の床面23の隙間の距離が長い場合と、短い場合を想定したものであり、乗場側敷居21と乗場の床面23の隙間の距離が長い場合は、長幅縦方向閉塞面部29A-2を昇降路10の内壁に当接させれば良く、逆に、乗場側敷居21と乗場の床面23の隙間の距離が短い場合は、短幅縦方向閉塞面部29A-2を昇降路10の内壁に当接させれば良いものである。
したがって、図4に示しているように、乗場の床面23に施設されたモルタルは、第4閉塞部材29に形成した短幅縦方向閉塞面部29A-1或いは長幅縦方向閉塞面部29A-2によって、乗場の床面から乗場側敷居21の隙間から昇降路10内に落下するのが阻止される。このように、第1閉塞部材26の横方向閉塞面部26A-1、及び第3閉塞部材の横方向閉塞面部28A-1と、第2閉塞部材27の縦方向閉塞面部27A-1(或いは27A-2)、及び第4閉塞部材の縦方向閉塞面部29A-1(或いは29A-2)と協働することで、乗場の床面23に施設されたにモルタルが昇降路10の内部に落下するのを阻止することが可能となるものである。
また、第1閉塞部材26〜第4閉塞部材29は、敷居取付部材25と独立して位置調整が可能であるので、簡単な構成で短時間に位置調整ができるようになる。
また、図4にある通り、第1閉塞部材26、第2閉塞部材27、及び第4閉塞部材29の乗場側の床面23とは反対側に延びる夫々の短手方向の端部は、乗場側敷居の21の乗場側とは反対側の側面から昇降路の内壁に向けて距離Lだけ後退されており、これによって乗りかご11のかご側敷居22と干渉するのを防止している。本実施形態では、敷居取付部材25Aの連結面部25B-1の昇降路10から離れる方向に延びた端部と同じ位置まで後退されている。
尚、本実施形態では、第3閉塞部材28、及び第4閉塞部材29を用いて、敷居取付部材25の間の長さに対応して長さ調整しているが、第1閉塞部材26、及び第2閉塞部材27の長さを敷居取付部材25の間の長さを満足するように設定すれば、第3閉塞部材28、及び第4閉塞部材29を省略することができる。
以上述べた通り、本発明によれば、隣り合う敷居取付部材の間に、敷居取付部材の載置面部に取り付けられた乗場側敷居の乗場側の側面部に固定され、昇降路の下方向側に延びると共に乗場側敷居に沿って延びる横方向閉塞面部を有する第1閉塞部材と、第1閉塞部材の下側に固定され、横方向閉塞面部に繋がって乗場側の昇降路の内壁に当接するまで延びると共に乗場側敷居に沿って延びる縦方向閉塞面部を有する第2閉塞部材とが設けられている。
これによれば、モルタルの落下を防止すると共に、敷居取付部材、及び第1閉塞部材及び第2閉塞部材が共に独立して位置調整が可能となり、敷居取付部材及び閉塞部材の位置調整を簡単に短時間に行うことができるようになる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。