以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図17は、本発明の一実施の形態及びその変形例を説明するための図である。このうち、図1は、筋力補助装置10の全体を示す斜視図であり、とりわけ図1は、人体に着用した状態で筋力補助装置を示している。
筋力補助装置10は、相対動作可能に連結された第1装着具20及び第2装着具30と、第1装着具20及び第2装着具30の相対位置を制御するアシスト機構(位置制御装置)15と、を有している。第1装着具20及び第2装着具30は、可動部によって接続された人体の二つの部位にそれぞれ取り付けられる。可動部としては、間接や脊椎が例示され得る。
以下に説明する例において、第1装着具20及び第2装着具30は、アシスト軸線となる第1回転軸線d1を中心として相対回転可能となっている。アシスト機構15は、第2装着具30の第1装着具20に対するアシスト軸線(第1回転軸線d1)を中心とした回転位置を制御して、可動部を介した二つの部位の筋力を補助する。すなわち、アシスト軸線は、筋力補助装置10から筋力補助のために出力されるアシスト力によって相対回転を制御されるようになる第1装着具20及び第2装着具30の回転軸線のことを指している。アシスト機構15からの筋力補助力の供給および供給停止は、筋力補助装置10に取り付けられたセンサや、筋力補助装置10の着用者からの操作に基づき、図示しない制御部によって制御される。
なお、アシスト機構15から供給される動力は、人体の二つの部位の相対位置を保持する力であってもよいし、人体の二つの部位を積極的に相対動作させる力であってもよい。すなわち、アシスト機構15から供給される筋力補助力は、アシスト軸線を中心とした第1装着具20及び第2装着具30の相対回転位置を保持する力であってもよいし、アシスト軸線を中心として第1装着具20及び第2装着具30を相対回転させる力であってもよい。
以下、図面に示された例に基づき説明を行っていく。図示された例では、図1及び図2に示すように、第1装着具20が、第1フレーム21を介して着用者の胴体p1に取り付けられる。ここで胴体とは、人体の頭、首および四肢を除く部位であり、胴および腰と呼ばれる部位を含む。第2装着具30は、装着部35を介して上肢、とりわけ上腕p2に取り付けられる。この筋力補助装置10は、肩の動作を補助する。ここで、一つの関節は、互いに異なる軸線を中心とした複数種の相対回転運動を可能にする。図1に示すように、肩関節は、上腕を胴体に対して屈伸軸daを中心として相対回転させる屈曲伸展運動と、上腕を胴体に対して内外旋軸dbを中心として相対回転させる内旋外旋運動と、上腕を胴体に対して内外転軸dcを中心として相対回転させる内転外転運動と、を可能にする。
図示された例において、アシスト機構15は、動力源40及び動力伝達機構60を有している。動力源40は、第2装着具30を駆動する駆動力および第2装着具30を制動する制動力の少なくとも一方を出力する動力発生手段として機能する。動力伝達機構60は、動力源40からの動力を第2装着具30に伝達する動力伝達手段として機能する。動力源40は回転力や回転規制力を出力し、動力伝達機構60は回転力や回転規制力を第2装着具30まで伝達する。動力伝達機構60は、動力(駆動力または制動力)の出力部としての回転接続部材(出力軸)16を含んでいる。回転接続部材16は、第2装着具30と接続している。回転接続部材16の回転軸線となる第1回転軸線d1は、肩の屈伸軸daに対応して設けられている。そして、筋力補助装置10は、肩関節の屈曲伸展運動を補助するアシスト力を出力する。
とりわけ以下の例において、アシスト機構15は、回転接続部材16の自由な回転を許容する状態(自由状態)と、回転接続部材16の自由な回転を規制する状態(維持状態)と、回転接続部材16を積極的に回転させる状態(駆動状態)と、に切り替わる。維持状態では、回転接続部材16の自由な回転が規制されることで、第1回転軸線(アシスト軸線)d1を中心とした第2装着具30の第1装着具20に対する相対位置が維持され、とりわけ以下の例では、上腕が下がらないように所定の位置に保持される。駆動状態では、回転接続部材16が回転駆動されることで、第1回転軸線(アシスト軸線)d1を中心として第2装着具30が第1装着具20に対して相対移動させ、とりわけ以下の例では、上腕を持ち上げるアシスト力を出力する。
ところで、この筋力補助装置10では、自由状態において、第2装着具30が第1装着具20に対して第1回転軸線d1を中心として相対回転することにより、肩関節を中心とした、上腕の屈曲運動及び伸展運動が可能となる。このような着用者の屈曲進展運動を阻害しないためには、筋力補助装置の第1回転軸線d1が、着用者の屈伸軸da上に位置していることが重要となる。
なお、本発明による筋力補助装置は、図示された例に限られず、屈曲運動、伸展運動、内転運動、外転運動、内旋運動、外旋運動のいずれか一以上を補助するようにしてもよい。また、本発明による筋力補助装置は、図示された例に限られず、肘、首、腰、股、上肢、手首等における人体の動作を補助するようにしてもよい。さらに、図示された筋力補助装置10は、両方の肩に作用するように構成されているが、この例に限られず、筋力補助装置10は、片方の肩、片方の手首、片方の膝、片方の肘等に作用するようにしてもよい。
以下、図示された具体例を参照しながら、各構成要素について順に説明していく。なお、以下で参照する図1〜図17においては、理解の容易を図るため、一の図面で示されている構成要素が、他の図面に省略されていることもある。
まず、第1装着具20について説明する。第1装着具20は、アシスト機構15を支持している。第1装着具20は、胴体p1に取り付けられる。図示された例において、第1装着具20は、胴体に取り付けられる第1フレーム21と、第1フレーム21に対して相対移動可能な第2フレーム22と、第2フレーム22に対して相対移動可能な第3フレーム23と、を有している。各フレーム21〜23は、ABS樹脂やアルミニウム合金等を用いて形成され得る。また、第2フレーム22及び第3フレーム23の間に、位置調整機構25が設けられている。位置調整機構25は、第2フレーム22及び第3フレーム23を連結している。
第1フレーム21は、人体の胴体に取り付けられる部位である。第2フレーム22は、肩の後方に配置される。第3フレーム23は、横方向における外側から肩に対面するようになる。アシスト機構15の動力源40は、第1フレーム21及び第2フレーム22に支持されている。アシスト機構15の動力伝達機構60は、第2フレーム22及び第3フレーム23に支持されている。第3フレーム23は、アシスト機構15の回転接続部材16によって、第2装着具30に接続している。
なお、肩の動作を補助する図示された筋力補助装置10は、両方の肩に作用するように構成されている。具体的には、第1フレーム21の両側方にそれぞれ第2フレーム22が設けられている。各第2フレーム22に対応して別個の第3フレーム23及び位置調整機構25が設けられている。そして、各第3フレーム23は、それぞれ対応する第2装着具30に接続している。第1フレーム21を中心として両側方に設けられた一対の構成要素は、対称性を有しており、同様に構成され得る。したがって、以下の説明及び以下の説明で参照する図においては、一方の肩に作用する構成、具体的には右肩に作用する構成について記載する。
第1フレーム21は、主プレート21a及び一対の支持アーム21bを有している。主プレート21aは、人体の背中に対面して配置される。図示された例にいて、主プレート21aは、樹脂製又は金属製の板状材からなっている。支持アーム21bは、主プレート21aから延び出したアーム状の部材となっている。一対の支持アーム21bが、首を間に挟むようにして設けられている。各支持アーム21bは、着用者の肩に上方から載るようになる。図1〜図3に模式的に示すように、第1フレーム21は、ベルト材21cをさらに含んでいる。このベルト材21cが、胴体の前方および脇の下を延びて主プレート21aと支持アーム21bとを連結することで、第1フレーム21が胴体に固定される。ただし、このような第1フレーム21に代えて、縫製品として構成された装着部材が用いられても良いし、縫製品と板状材(プレート)との組み合わせとして構成された装着部材が用いられてもよい。
第2フレーム22は、肩の後方を横方向に延びるアーム状の部材として構成されている。第2フレーム22は、第1フレーム21に対して、回転軸線dxを中心として、相対回転可能に接続している。この回転軸線dxは、肩の内外旋軸dbに対応して設けられている。第2フレーム22が第1フレーム21に対して回転軸線dxを中心として相対回転することにより、肩関節を中心とした、上腕の内旋運動及び外旋運動が可能となる。
第3フレーム23は、アシスト機構15の回転接続部材16を回転可能に支持している。そして、回転接続部材16が第2装着具30に接続している。つまり、第3フレーム23は、位置調整機構25を介して第2フレーム22に接続している。位置調整機構25は、第2フレーム22及び第3フレーム23の間の距離を変更することができる。図示された例において、位置調整機構25は、一方向に沿って第2フレーム22及び第3フレーム23を相対移動させる。第2フレーム22は、位置調整機構25によって、第3フレーム23に対して前後に配置を変更することができる。すなわち、位置調整機構25を利用することで、着用者の体格に応じて第1装着具20の大きさを変更することができる。とりわけ図示された例では、位置調整機構25によって、回転接続部材16を支持して第1回転軸線d1を画定する第3フレーム23の位置を調整することができる。
図示された一例において、位置調整機構25は、支持棒25a及び固定具25bを有している。支持棒25aは、第2フレーム22の横方向における外側部から前方に延び出している。すなわち、支持棒25aは、着用者の肩に横方向外側から対面する位置を、前後延びている。そして、第3フレーム23は、支持棒25aに支持され、支持棒25aの長手方向である前後方向に支持棒25a上を移動可能となっている。固定具25bは、支持棒25a上の任意の位置に第3フレーム23を固定する。非限定的な具体例において、支持棒25aを雄螺子が形成された棒状の部材とし、第3フレーム23を雌螺子が形成されたブロック材とし、固定具25bを支持棒25aの雄螺子に螺合したナットすることができる。
ところで、本明細書で用いる「前」、「後」、「上」、「下」及び「横方向」等の用語は、筋力補助装置10を着用した着用者を基準とする「前」、「後」、「上」、「下」及び「横方向」を意味することとする。
次に、第2装着具30について説明する。第2装着具30は、詳しくは後述するアシスト機構15の出力軸をなす回転接続部材16と接続している。第2装着具30は、回転接続部材16の回転にともなって、回転接続部材16の回転軸線である第1回転軸線d1を中心として回転する。図1及び図3に示すように、第2装着具30は、人体に取り付けられる装着部35と、回転接続部材16と装着部35とを連結する連結アーム部31と、を有している。連結アーム部31は、回転接続部材16からアシスト軸線である第1回転軸線d1と非平行な方向に延び出している。連結アーム部31は、アシスト機構15のうちの動力の伝達経路における最下流側(最出力側)となる回転接続部材16から動力を入力される。連結アーム部31は、回転接続部材16の第1装着具20に対する回転にともなって装着部35が第1装着具20に対して回転するよう、回転接続部材16と装着部35とを連結している。
まず、装着部35について説明する。図示された例において、装着部35は、図3に示すように、人体の上腕p2に取り付けられる。装着部35は、アシスト機構15から供給される動力をアシスト力として上腕に効率的に伝達するため、第1回転軸線d1周りの回転にともなった移動方向への上腕との相対移動を規制されることが好ましい。とりわけ筋力補助装置10が上腕の持ち上げを補助する場合には、上腕の装着部35に対する下方又は後方への相対移動を効果的に規制することが好ましい。図3及び図4によく示されているように、図示された装着部35は、上腕が挿入される筒状部を形成する装着体35a及び補助ベルト35bを有している。装着体35aは、例えば、高剛性の樹脂成形物等からなる。装着体35aは、連結アーム部31と接続している。
次に、連結アーム部31について説明する。連結アーム部31は、アシスト機構15から供給される力を装着部35に効率的に伝達するため、第1回転軸線d1を中心として、装着部35及び回転接続部材16が相対回転しないように、装着部35及び回転接続部材16を連結することが好ましい。すなわち、第2装着具30は、アシスト機構15から第1回転軸線d1を中心とした回転力を加えられるため、遊びや構成要素自体の弾性変形を除くと、アシスト機構15から回転力を入力される連結アーム部31と人体にアシスト力を出力する装着部35は、アシスト機構15から入力される力の方向、つまり第1回転軸線d1を中心とした円周方向に、相対移動しないようになっていることが好ましい。
図1及び図3に示すように、具体的な構成として、図示された連結アーム部31は、回転接続部材16の側から装着部35の側へ順に、基部材32、第1部材33及び第2部材34を有している。基部材32は、回転接続部材16に固定され、第1回転軸線d1と非平行な方向に回転接続部材16から延び出している。基部材32は、回転接続部材16と同期して、第1回転軸線d1を中心として回転する。図3に示すように、第1部材33は、第3回転軸線d3を中心として基部材32と相対回転可能となるよう、基部材32に接続している。第2部材34は、第4回転軸線d4を中心として第1部材33と相対回転可能となるよう、第1部材33に接続している。第2部材34および装着部35の装着体35aは、第5回転軸線d5を中心として相対回転可能となるよう、接続している。
なお、連結アーム部31が回転接続部材16から延び出すとは、連結アーム部31が回転接続部材16と一体的に形成されていることも含む。すなわち、連結アーム部31の一部又は全部が、回転接続部材16と一体的に形成されていてもよい。例えば、基部材32が回転接続部材16と一体的に形成されていてもよい。
図示された連結アーム部31を用いた場合、連結アーム部31と装着部35との接続位置から第1回転軸線d1までの距離が変化可能となる。また、図示された連結アーム部31を用いた場合、回転接続部材16から連結アーム部31を介して装着部35までの部分が、3自由度の機構を形成する。このような第2装着具30によれば、着用者の拘束感を効果的に軽減することができる。
なお、第3回転軸線d3、第4回転軸線d4及び第5回転軸線d5は、互いに平行となっている。また、第3回転軸線d3、第4回転軸線d4及び第5回転軸線d5は、第1回転軸線d1に垂直となっている。第3回転軸線d3、第4回転軸線d4及び第5回転軸線d5は、肩の内外転軸dcに対応して設けられている。第3〜第5回転軸線d3,d4,d5を中心として構成要素が相対回転することにより、肩関節を中心とした、上腕の内転運動及び外転運動が可能となる。図示された例では、連結アーム部31と装着部35との接続位置から第3回転軸線d3までの距離が変化可能となっており、着用者の拘束感を効果的に軽減することができる。
次に、アシスト機構15について説明する。上述したように、図示されたアシスト機構15は、動力源40及び動力伝達機構60を有している。動力源40は、第2回転軸線d2を中心した回転力または回転規制力を動力軸部材56から出力することができる。動力伝達機構60は、動力軸部材56からの出力を回転接続部材16に伝達する。以下、アシスト機構15を構成する各機構について順に説明する。なお、以下の動力源40は、回転力及び回転規制力の両方を動力軸部材56から出力することができる。
動力源40について説明する。動力源40は、動力発生機構41及びディスクブレーキ機構45を有している。動力発生機構41は、ディスクブレーキ機構45を操作する動力を発生させる。ディスクブレーキ機構45は、動力発生機構41から出力される動力を回転力または回転規制力に変換して動力軸部材56から出力する。
まず、動力源40のディスクブレーキ機構45について説明する。図1〜図5に示す例において、ディスクブレーキ機構45は、第1装着具20の第2フレーム22に第2回転軸線d2を中心として回転可能に支持された動力軸部材56と、動力軸部材56上に固定された回転体(ディスク)51と、動力軸部材56上に設けられた補助フレーム53に動作可能に支持された一対の接触部材52(図4及び図5参照)と、を有している。一対の接触部材52は、後述する保持アーム49の回転軸線d7(図4及び図5参照)を中心とした円弧状の軌道にそって、回転体51に接離することができる。
図1〜図5に示された例において、ディスクブレーキ機構45は、動力軸部材56、回転体51及び接触部材52に加え、補助フレーム53、入力レバー46、被動ピン47、移動体48、保持アーム49及び位置決め部材55を有している。図1〜図5に示すように、補助フレーム53は、動力軸部材56上に設けられ、動力軸部材56に対して第2回転軸線d2を中心として回転可能となっている。図2によく示されているように、この補助フレーム53は、位置決め部材55を介して、第1装着具20の第2フレーム22と連結されている。より具体的には、位置決め部材55の一側端が、第2フレーム22の後方に延び出したブラケット部22cに取り付けられている。位置決め部材55によって、補助フレーム53は所定に位置に位置決めされている。ただし、位置決め部材55は、弾性変形可能な部材、例えば圧縮ばねである。したがって、この位置決め部材55を弾性変形させることにより、第2回転軸線d2を中心として第1装着具20の第2フレーム22に対して補助フレーム53を回転させることができる。
入力レバー46、被動ピン47、移動体48及び保持アーム49は、補助フレーム53に支持されている。図2に示すように、入力レバー46は、補助フレーム53に対して第6回転軸線d6を中心として回転可能(揺動可能)となっている。被動ピン47及び移動体48は、第2回転軸線d2を中心とする径方向(図4及び図5の紙面における上下方向)に補助フレーム53に対して相対移動可能となっている。被動ピン47は、入力レバー46の動作にともなって、径方向に移動する。また被動ピン47の径方向への移動によって、移動体48が径方向に移動する。図4及び図5に示すように、第7回転軸線d7を中心として揺動可能に、一対の保持アーム49が配置されている。各保持アーム49は、接触部材52を保持している。一対の保持アーム49は、接触部材52が互いに異なる側から回転体51の主面に接触するよう、配置されている。保持アーム49は、移動体48によって径方向に押圧されることで動作する。移動体48から保持アーム49への力伝達を円滑化するため、保持アーム49は、ローラ49aを有しており、このローラ49aを介して移動体48と接触する。
図1〜図5に示された例において、入力レバー46が、動力発生機構41に接続している。動力発生機構41は、入力レバー46を引くことにより、入力レバー46を駆動させる。動力発生機構41は、例えば直線動作を出力する機構とすることができる。図示された例において、動力発生機構41は、流体圧源42と、流体圧源42からの流体供給により動作する伸縮部材43と、を有している。伸縮部材43は、入力レバー46と第1装着具20の第2フレーム22(ブラケット部22c)とに接続し、流体圧源42からの流体供給により、その全長を変化させ、入力レバー46を引くことができる。例えば、伸縮部材43として、流体圧により膨張および収縮可能な部材を用いることができる。一具体例として、伸縮部材43として、流体圧式アクチュエータとして知られたMcKibben人工筋肉を用いることができる。図1〜図5に示すように、McKibben人工筋肉からなる伸縮部材43は、流体(典型的には、気体)を内部に供給されることで、拡径するとともに短縮する。伸縮部材43は、この短縮にともなって、収縮力を発生し、入力レバー46を引き込む。
図5に示すように、動力発生機構41によって、入力レバー46が引き込まれると、保持アーム49が動作して、一対の接触部材52によって回転体51を挟持するようになる。これにより、回転体51及び動力軸部材56が、第2回転軸線d2を中心として第1装着具20に対して自由に回転することを規制される。すなわち、動力軸部材56は、回転規制力を出力する。
ただし、動力軸部材56の回転規制力は、図2における反時計回り方向への回転を規制する。その一方で、位置決め部材55の弾性力に抗することで、補助フレーム53とともに動力軸部材56及び回転体51を、第2回転軸線d2を中心として、第1装着具20に対して図2における時計回り方向へ回転させることができる。すなわち、図示された例では、一方向(図2の紙面における時計回り方向)への回転を許容しつつ、一方向とは逆方向(図2の紙面における反時計回り方向)への回転を規制する。
なお、図1及び図2は、入力レバー46が引き込まれていない状態を示しており、図3は、入力レバー46が引き込まれている状態を示している。
次に、一対の接触部材52が回転体51に接触して制動力が発生している状態で、さらに、動力発生機構41が入力レバー46を引き込むと、位置決め部材55の弾性力に抗して補助フレーム53が第2回転軸線d2を中心として回転する。このとき、一対の接触部材52が回転体51を挟持していることから、補助フレーム53とともに回転体51及び動力軸部材56も、第2回転軸線d2を中心として回転する。すなわち、動力軸部材56の他方向への回転が規制されるだけでなく、動力軸部材56を一方向へ回転させる動力が作用する。
以上に説明した、動力源40のディスクブレーキ機構45は、第2フレーム22の横方向内側端の近傍に配置されている。また、動力源40の伸縮部材43は、各ディスクブレーキ機構45に対応して設けられ、第2フレーム22に支持されている。図1に示すように、右肩用のディスクブレーキ機構45及び伸縮部材43と、左肩用のディスクブレーキ機構45及び伸縮部材43は、胴体の中心近傍に位置し、且つ、胴体の中心に関して左右対称に配置されている。このような筋力補助装置10の重心は、着用者の胴体の中心近傍に位置するので、着用者は、第1フレーム21を用いて安定して支持することができる。また、流体圧源42は、右肩用の伸縮部材43と左肩用の伸縮部材43とで共通としてもよく、或いは、右肩用の伸縮部材43と左肩用の伸縮部材43とで別個に設けても良い。流体圧源42は、図2に二点鎖線で示すように第1装着具20の第1フレーム21に支持されるようにしてもよいし、第1装着具20の第2フレーム22に支持されるようにしてもよいし、或いは、筋力補助装置10とは別途に準備されたタンクや工場等の用力とすることもできる。
次に、動力伝達機構60について説明する。図1に示すように、動力伝達機構60は、動力を伝達される二以上の伝達要素61〜64と、二つの伝達要素の間で動力を伝達する伝達手段66〜68と、を有している。図示された例において、動力伝達機構60は、第1装着具20の第2フレーム22に対して回転可能な第1伝達要素61、第2伝達要素62及び第3伝達要素63と、第1装着具20の第3フレーム23に回転可能に支持された第4伝達要素64と、を有している。第1伝達要素61は、動力軸部材56に固定され、動力軸部材56と同期して回転する。第4伝達要素64は、回転接続部材16に固定され、回転接続部材16と同期して回転する。また、動力伝達機構60は、第1伝達要素61及び第2伝達要素62の間で動力を伝達する第1伝達手段66と、第2伝達要素62及び第3伝達要素63の間で動力を伝達する第2伝達手段67と、第3伝達要素63及び第4伝達要素64の間で動力を伝達する第3伝達手段68と、を有している。
図1に示すように、第1〜第4伝達要素61〜64は、いずれも、第1装着具20に回転可能に支持されている。第1伝達要素61及び第2伝達要素62は、それぞれ前後方向に延びる回転軸線(第2回転軸線d2及び第8回転軸線d8)を中心として回転可能となっている。第3伝達要素63及び第4伝達要素64は、それぞれ横方向に延びる回転軸線(第9回転軸線d9及び第1回転軸線d1)を中心として回転可能となっている。第1〜第4伝達要素61〜64は、伝達手段66〜68の構成にもよるが、プーリー、歯車、スプロケット等により構成することができる。
第1伝達手段66は、互いに平行な回転軸線d2,d8を中心として回転可能な第1伝達要素61及び第2伝達要素62の間で動力を伝達することから、第1伝達要素61及び第2伝達要素62に掛け渡された無端環状部材により構成することができる。第1伝達手段66を構成する無端環状部材として、伝達要素61,62がプーリーの場合にはベルト材を用いることができ、伝達要素61,62が歯車の場合には歯付きのベルト材を用いることができ、伝達要素61,62がスプロケットの場合にはチェーンを用いることができる。ベルト材としては、タイミングベルトのような歯付きのベルトや、Vベルトのような歯無しのベルトを用いることもできる。
一方、第2伝達手段67は、互いに非平行(とりわけ垂直)な回転軸線d8,d9を中心として回転可能な第2伝達要素62及び第3伝達要素63の間で動力を伝達することから、第2伝達要素62及び第3伝達要素63とそれぞれ同期して回転する一対の傘歯車や一対のねじ歯車を用いることができる。図示された例において、第2伝達手段67は、第2フレーム22の横方向外側端に設置されたギヤボックス22aと、ギヤボックス22a内に回転可能に収容された一対のねじ歯車22bと、を有している。
第3伝達手段68は、互いに平行な回転軸線d9,d1を中心として回転可能な第3伝達要素63及び第4伝達要素64の間で動力を伝達する。ただし、第3伝達要素63は、第2フレーム22に回転可能に支持され、第4伝達要素64は、第3フレーム23に回転可能に支持されている。そして、第2フレーム22及び第3フレーム23は、位置調整機構25によって支持されている。したがって、着用者の体格等に応じて、第2フレーム22及び第3フレーム23の間の距離が変化する。このため、第3伝達手段68は、二つのフレーム22,23の間の距離に応じて動力を伝達する伝達距離を調整可能な可変伝達手段70として構成されている。すなわち、第3伝達手段68は、異なる距離に配置された二つのフレーム22,23の間で動力を伝達することができる。言い換えると、第3伝達手段68は、距離が可変な二つのフレーム22,23の間で動力を伝達する。さらに言い換えると、第3伝達手段68は、二つのフレーム22,23の間の距離に依らず当該二つのフレーム22,23の間で動力を伝達することができる。
図示された例において、動力伝達距離を調整可能な可変伝達手段70としての第3伝達手段68は、回転可能な一方の伝達要素63および他方の伝達要素64の間に掛け渡された無端環状部材71と、一方の伝達要素63および他方の伝達要素64の間で無端環状部材71を張った状態に維持するテンショナー機構72と、を有している。第3伝達要素63及び第4伝達要素64は、上述した第1伝達要素61及び第2伝達要素62と同様に構成され得る。また、無端環状部材71は、上述した第1伝達手段66をなす無端環状部材と同様に構成され得る。
図3及び図6に示すように、テンショナー機構72は、無端環状部材71と接触するローラ72aと、ローラ72aを支持するローラ支持部72bと、を有している。ローラ72aは、ローラ支持部72bによって回転可能に支持される。図6に示された例において、ローラ支持部72bは、第3伝達要素63の回転軸線d9及び第4伝達要素64の回転軸線d1を結ぶ方向(前後方向)に対して非平行な方向、とりわけ直交する方向(上下方向)に沿って移動可能にローラ72aを支持している。ローラ72aは、図示しない固定具を用いて、ローラ支持部72b上に固定される。これにより、ローラ72aは、第3伝達要素63及び第4伝達要素64の間の距離によらず、無端環状部材71を押圧して無端環状部材71を張った状態に維持することができる。そして、張った状態に保たれた無端環状部材71は、第3伝達要素63及び第4伝達要素64の間で動力を効率的に伝達することができる。なお、ローラ72aは、無端環状部材71の動作にともなって回転することができるので、無端環状部材71を張った状態に維持するものの過度の抵抗を生じさせることはない。
ここで、図7は、テンショナー機構72の一変形例を示している。図7に示されたテンショナー機構72は、二つのローラ72aが設けられている。二つのローラ72aは、二つの伝達要素63,64に掛け渡された無端環状部材71の内側に配置されている。二つのローラ72aは、二つの伝達要素63,64の間を延びる無端環状部材71の一対の部位のうち、互いに異なる部位をそれぞれ外方に押圧する。このような例によれば、二つのローラ72aにより異なる向きに無端環状部材71を押圧することから、可変伝達手段70によって伝達可能な動力伝達距離の範囲を広げることができる。すなわち、位置調整機構25による二つの伝達要素63,64の距離を大きく変化させることができる。
また、図6及び図7に示された例では、無端環状部材71の内側に配置されたローラ72aが無端環状部材71を外方に押すようにしたが、この例に限られない。無端環状部材71の外側に配置されたローラ72aが無端環状部材71を内方に押すようにしてもよい。
次に、以上のような構成からなる筋力補助装置10の動作について説明する。
図1に示すように、まず、筋力補助装置10を着用者が着用する。具体的には、主プレート21a、支持アーム21b及びベルト材21cを用いて、第1装着具20の第1フレーム21を胴体に装着する。また、装着部35の装着体35a及び補助ベルト35bを用いて、第2装着具30の装着部35を上腕に装着する。
なお、第1装着具20の第2フレーム22及び第3フレーム23は、位置調整機構25によって連結されている。位置調整機構25は、第2フレーム22及び第3フレーム23の間の距離を変更することができる。したがって、筋力補助装置10の着用前、着用後、或いは着用中に、着用者の体格に応じて、位置調整機構25を操作して第2フレーム22及び第3フレーム23の相対位置を調節しておく。好ましくは、第1装着具20及び第2装着具30の相対回転軸線となる第1回転軸線d1が、着用者の屈伸軸da上に位置するよう又は屈伸軸da近傍に位置するよう、位置調整機構25を用いて第2フレーム22及び第3フレーム23の相対位置を調節する。このように、アシスト軸線である第1回転軸線d1の位置を、着用者に体格に応じて調節することで、着用者の肩関節の可動域が筋力補助装置10によって拘束されて狭められることを効果的に防止することができる。これにより、着用者が受ける拘束感を効果的に軽減することができる。
また、この筋力補助装置10において、アシスト機構15の動力源40は、第2フレーム22に回転可能に支持された動力軸部材56から動力を出力する。そして、アシスト機構15は、第2フレーム22及び第3フレーム23に支持された複数の伝達要素61〜64の間で動力を伝達し、回転接続部材16の回転を規制し又は回転接続部材16を回転駆動する。このうち、アシスト機構15の第3伝達要素63は、第2フレーム22に支持された第3伝達要素63と第3フレーム23に支持された第4伝達要素64との間で動力を伝達する。そして、位置調整機構25を用いて第2フレーム22及び第3フレーム23の間の距離を変更した場合、第3伝達要素63が動力伝達すべき伝達距離も変化する。
ここで、第3伝達要素63は、二つのフレーム22,23の間の距離に応じて動力を伝達する伝達距離を調整可能な可変伝達手段70として構成されている。具体的には、第3伝達要素63及び第4伝達要素64に掛け渡された無端環状部材71を、テンショナー機構72で張った状態に維持することができる。図示された筋力補助装置10では、位置調整機構25によって第3伝達要素63及び第4伝達要素64の距離を調整した場合、テンショナー機構72のローラ72aの位置を調節して、無端環状部材71を張った状態に維持することができる。これにより、第3伝達要素63及び第4伝達要素64の間の動力伝達距離、つまり、第8回転軸線d8及び第1回転軸線d1の距離に依らず、第3伝達要素63及び第4伝達要素64の間で安定して効率的に動力を伝達することが可能となる。
ところで、第3フレーム23によって動力源40を支持した場合、第2フレーム22及び第3フレーム23の間での動力伝達が行われず、第3フレーム23から第2装着具30へと動力が伝達されるだけとなる。この場合には、可変伝達手段70を用いる必要がなくなる。しかしながら、第3フレーム23によって動力源40を支持した場合、筋力補助装置10は、胴体の中心から離間した位置に重心を持つことになる。したがって、筋力補助装置10の使用中に、着用者上で筋力補助装置10の位置ずれが生じることが予想される。そして、筋力補助装置10の位置ずれが生じると、着用前に位置調整機構25を用いて位置合わせしたアシスト軸線(第1回転軸線)d1と屈伸軸daがずれてしまう。結果として、着用者が受ける拘束感を軽減することができない。さらに、胴体の中心から離れた位置に筋力補助装置10の重心が位置するので、着用者は作業中に大きな慣性力を受けることになり、着心地や作業性をも損なうことになる。
以上のようにして、位置調整機構25を用いることで個々の着用者の体格に応じて、筋力補助装置10のアシスト軸線である第1回転軸線d1の位置を着用者の屈伸軸daに対して調節することができる。そして、アシスト機構15の動力源40から動力が出力されていない場合、具体的には、流体が流体圧源42から伸縮部材43に供給されていない場合、回転体51の自由な回転が許容される(自由状態)。このとき、回転体51に接続した動力軸部材56、及び、動力伝達機構60を介して動力軸部材56と動力伝達される回転接続部材16は、自由に回転することができる。このため、第1装着具20及び第2装着具30の自由な相対回転が許容され、筋力補助装置10の着用者は、過度の拘束感を感じることなく、上腕の屈曲動作および進展動作を行うことができる。
次に、センサからの信号または着用者の操作によって、流体が流体圧源42から伸縮部材43に供給されると、まず、回転体51の自由な回転が規制される。図示された例では、回転体51の他方向(図2における反時計回り方向)への回転が規制され、例えば、図3に示された状態から第2装着具30が下方に下がることが規制される。このとき、第2装着具30を介してアシスト力が着用者の上腕に作用し、着用者の上腕を持ち上げた状態に維持する(維持状態)。
上述したように、図3に示された状態から、着用者が位置決め部材55の弾性力に抗することで、補助フレーム53とともに動力軸部材56及び回転体51を、第2回転軸線d2を中心として、第1装着具20の第2フレーム22に対して回転させることができる。すなわち、第2装着具30の第1装着具20に対する第1回転軸線d1を中心とした他方向への回転が規制される一方で、位置決め部材55の弾性力に抗することで、第2装着具30は第1装着具20に対して第1回転軸線d1を中心として一方向へ回転することができる。図示された例では、着用者は、上腕が下がることを規制される一方で、位置決め部材55の弾性力に抗することで上腕を持ち上げることができる。
次に、センサからの信号または着用者の操作によって、更に流体が流体圧源42から伸縮部材43に供給されると、補助フレーム53とともに動力軸部材56及び回転体51が、一方向(図2における時計回り方向)に回転する。動力伝達機構60は、動力軸部材56から出力された回転を、回転接続部材16を介して、第2装着具30に伝達する。このとき、第2装着具30を回転させる動力は、第2装着具30を介して上腕を持ち上げるアシスト力として上腕に作用する(駆動状態)。
ところで、筋力補助装置10では、アシスト機構15の動力源40から出力された動力が動力伝達機構60を経て第2装着具30まで伝達される。このような筋力補助装置10では、動力の出力時、とりわけ回転力の出力時(駆動時)に、アシスト機構15およびアシスト機構15を支持する第1装着具20に変形が生じてしまう。そして、この変形が大きくなると、アシスト機構15による動力伝達を安定して高効率で実現することができないこともある。このような不具合は、筋力補助装置10の剛性、とりわけアシスト機構15を支持する第1装着具20の剛性を向上させることで、改善され得るものと考えられる。しかしながら、筋力補助装置10の剛性を改善することは、拘束感を悪化させ、さらに、筋力補助装置10の重量増加にも繋がる。一方、図示された例において、アシスト機構15の第1伝達要素61及び第3伝達要素63は、柔軟性や屈曲性を有した無端環状部材として、動力を伝達する。このようなアシスト機構15によれば、回転可能な伝達要素の回転軸線の傾斜や軸間距離の変化が生じたとしても、高効率にて動力を伝達することができる。
以上に説明した一実施の形態において、筋力補助装置10は、人体の第1部分p1に取り付けられる第1装着具20と、第1部分p1とは異なる人体の第2部分p2に取り付けられる第2装着具30と、第1装着具20に支持されて動力源(駆動力源、制動力源)40からの力(駆動力、制動力)を第2装着具30に伝達するアシスト機構15と、を有している。第1装着具20は、少なくとも二つのフレーム22,23と、二つのフレーム22,23の間の距離を変更可能な位置調整機構25と、を有している。アシスト機構15は、二つのフレーム22,23の間の距離に応じて力を伝達する伝達距離を調整可能な伝達手段68,70を有している。
このような筋力補助装置10によれば、位置調整機構25によって、第1装着具20に含まれる二つのフレーム22,23の間の距離を変更することができる。また、アシスト機構15の可変伝達手段70,68によって、二つのフレーム22,23の間の距離に応じて力を伝達する伝達距離を調整することができる。これらのことから、第2装着具30を介してアシスト力を人体に効率的に作用させることを確保しながら、加えて、筋力補助装置10の着用者の体格に応じて第1装着具20の大きさを調節することできる。これにより、大きさの異なる複数の筋力補助装置を準備することなく、筋力補助装置10の装着具20が着用者の体格に合致していないことに起因した可動域の減少を回避して、着用者が受ける拘束感を軽減することが可能となる。
加えて、駆動力や制動力等の動力を供給する動力源40の第1装着具20への配置や第1装着具20内での動力の伝達経路を高い自由度で設計することができる。これにより、アシスト機構15を第1装着具20によって安定して支持することができる。すなわち、第1装着具20の重心位置の偏り等に起因した、第1装着具20の人体上での位置ずれを効果的に抑制することも可能となる。これにともなって、着用者が感じる拘束感を更に軽減することができる。
本実施の形態の一具体例において、アシスト機構15は、二つのフレーム22,23のうちの一方に支持された一方の伝達要素63と、二つのフレーム22,23のうちの他方に支持された他方の伝達要素64と、を有している。可変伝達手段70は、一方の伝達要素63の動作を他方の伝達要素64に伝達する。このような筋力補助装置10において、可変伝達手段70は、二つのフレーム22,23の間の距離に依らず、二つのフレーム22,23に支持された二つの伝達要素63,64の間で動力を伝達することができる。これにより、着用者が感じる拘束感を効果的に軽減することができる。
本実施の形態の一具体例において、可変伝達手段70は、回転可能な一方の伝達要素63および他方の伝達要素64の間に掛け渡された無端環状部材71と、一方の伝達要素63および他方の伝達要素64の間で無端環状部材71を張った状態に維持するテンショナー機構72と、を有している。このような筋力補助装置10では、簡易な機構により可変伝達手段70を構成することができる。これにより、有用な筋力補助装置10を軽量小型化することができる。
また、第1装着具20の剛性が低下して二つのフレーム22,23が位置ずれを起こした場合、アシスト機構15に対して動作を制限する外力が作用することも想定される。一方、上述し一具体例では、変形可能な無端環状部材71およびテンショナー機構72を用いて動力を伝達するので、第1装着具20の歪みにより二つのフレーム22,23の間で軸ズレ等の相対位置の変化が生じたとしても、二つのフレーム22,23の位置ずれに追従して無端環状部材71が変形することができ、しかも、テンショナー機構72によって無端環状部材71を張った状態に維持することができる。これにより、アシスト機構15が予定された機能を安定して発揮することができる。したがって、第1装着具20に対する第2装着具30の相対動作を確保し、且つ、第2装着具30を介してアシスト力を人体に効率的に作用させることが可能となる。とりわけこのような作用効果は、小型軽量化の要請が強いことから単純に高剛性化することができない着用型の筋力補助装置10において、極めて有用である。
本実施の形態の一具体例において、位置調整機構25は、一方向に沿って二つのフレーム22,23を相対移動させる。このような筋力補助装置10によれば、第1装着具20の大幅な剛性低下を効果的に回避しながら、単純な構成の位置調整機構25によって第1装着具20の大きさを着用者の体格に応じて調節することができる。
本実施の形態の一具体例において、第1装着具20は、人体の胴体に取り付けられ、第2装着具30は、人体の上肢または下肢に取り付けられる。人体の胴体に取り付けられる第1装着具20が、着用者の胴体に適合した大きさとなっていない場合、上肢または下肢の胴体に対する動作が、筋力補助装置10によって大きく拘束され、筋力補助装置10を着用した着用者は、可動域の制約に起因したひどい拘束感を感じることになる。上述した一具体例によれば、このような不具合に対処することができ、期待した作用効果が有効に発揮され得る。
本実施の形態の一具体例において、第1装着具20は、人体の胴体に取り付けられる第1フレーム21と、第1フレーム21に対して相対移動可能な第2フレーム22と、第2フレーム22に対して相対移動可能な第3フレーム23と、を有している。第2フレーム22は、第1フレーム21と第3フレーム23との間に配置され、人体の肩の後方に位置している。第3フレーム23は、肩の側方に位置して、人体の上腕に取り付けられる第2装着具30にアシスト機構15を介して接続している。位置調整機構25は、第1フレーム21及び第2フレーム22の間の距離を変更可能としている。或いは、図16及び図17を参照して後述する変形例のように、位置調整機構25は、第2フレーム22(中間第1フレーム22A)及び第3フレーム23(中間第2フレーム22B)の間の距離を変更可能となっていてもよい。或いは、図16及び図17を参照して後述する変形例のように、第1フレーム21(中間第1フレーム22A)及び第2フレーム22(中間第2フレーム22B)の間の距離を変更可能な第1の位置調整機構25Aと、第2フレーム22(中間第2フレーム22B)及び第3フレーム23の間の距離を変更可能な第2の位置調整機構25Bと、が設けられていてもよい。このような構成の第1装着具20によれば、着用者の体格に第1装着具20の大きさを効果的に適合させることができる。これにより、着用者が感じる拘束感を効果的に軽減することができる。
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
まず、二つのフレームの間の距離に応じて力を伝達する伝達距離を調整可能な可変伝達手段70の変形例について説明する。
上述した具体例では、可変伝達手段70が無端環状部材71及びテンショナー機構72を有していたが、この例に限られない。図8及び図9に示された例のように、可変伝達手段70は、回転可能な一方の伝達要素65Aおよび他方の伝達要素65Bにそれぞれ取り付けられ、一方の伝達要素65Aの回転にともなって一方の伝達要素65Aに巻き取られる紐状部材74を有していてもよい。なお、紐状部材74は、回転可能な伝達要素65Aに巻き取り可能な程度の柔軟性または屈曲性を有している。例えば、紐状部材74は、金属性ワイヤ、樹脂性ワイヤ等により構成され得る。また、伝達要素65A及び伝達要素65Bは、紐状部材74の構成に依存するが、例えばプーリーとして構成され得る。伝達要素65A及び伝達要素65Bは、第1装着具20に含まれる二つのフレーム24A,24Bに支持されている。この二つのフレーム24A,24Bの間の距離は、位置調整機構25によって可変となっている。
図8及び図9に示された例では、実線で示された紐状部材74xは、伝達要素65Aが一方向(図8及び図9における反時計回り方向)に回転すると、伝達要素65Aに巻き取られて符号74yで示した位置に移動する。このとき、伝達要素65Bは、伝達要素65Aに連動して一方向(図8及び図9における反時計回り方向)に回転し、紐状部材74は、伝達要素65Bから巻きほどかれる。したがって、伝達要素65Aが一方向への回転力を出力すると、例えば着用者の上腕を上げる動作を補助することができる。
一方、伝達要素65Aの回転が規制されていない場合、紐状部材74によって、伝達要素65Bの一方向(反時計回り方向)の回転は規制されない。ただし、このとき、伝達要素65Bの他方向(時計回り方向)の回転は、紐状部材74によって規制されるので、例えば、着用者の上腕が上げた状態に維持される。
次に、アシスト機構15が動力を出力していない場合、例えば着用者が上腕をさげることにより、伝達要素65Bが他方向(図8及び図9における時計回り方向)に回転すると、実線で示された紐状部材74xは、伝達要素65Bに巻き取られて符号74zで示した位置に移動する。このとき、伝達要素65Aは、伝達要素65Bに連動して他方向(時計回り方向)に回転し、紐状部材74は、伝達要素65Aから巻きほどかれる。このようにして、紐状部材74は、二つの伝達要素65A,65Bの間で動力を伝達することができる。
また、図8及び図9に示すように、位置調整機構25が二つの伝達要素65A,65Bの間の距離を短くした場合、紐状部材74を伝達要素65A,65Bに巻き取ることで、二つの伝達要素65A,65Bの間で紐状部材74を張った状態に維持することできる。また、位置調整機構25が二つの伝達要素65A,65Bの間の距離を長くした場合、紐状部材74を伝達要素65A,65Bから巻きほどくことで、紐状部材74を二つの伝達要素65A,65Bの間で張った状態に維持することできる。これにより、紐状部材74を含んだアシスト機構15は、二つの伝達要素65A,65Bの間での動力の伝達距離を調節することができる。
さらに、可変伝達手段70の他の例として、図10及び図11に示した構成を採用することができる。上述の図8及び図9に示した例では、伝達要素65Aをアシスト機構15による動力伝達経路における上流側の伝達要素とし、伝達要素65Bをアシスト機構15による動力伝達経路における下流側の伝達要素とすると、伝達要素65Bの一方向(反時計回り方向)への回転を駆動する動力および伝達要素65Bの他方向(時計回り方向)への回転を制動する動力を伝達し得る構成となっていた。図10及び図11に示された例では、追加の紐状部材74Bを設けることで、更、伝達要素65Bの他方向(時計回り方向)への回転を駆動する動力および伝達要素65Bの一方向(反時計回り方向)への回転を制動する動力をも伝達し得る構成となっている。
図10及び図11に示された例において、可変伝達手段70は、回転可能な一方の伝達要素65Aおよび他方の伝達要素65Bにそれぞれ取り付けられ且つ一方の伝達要素65Aの一方向(反時計回り方向)への回転にともなって一方の伝達要素65Aに巻き取られる第1紐状部材74Aと、一方の伝達要素65Aおよび他方の伝達要素65Bにそれぞれ取り付けられ且つ一方の伝達要素65Aの他方向(時計回り方向)への回転にともなって一方の伝達要素65Aに巻き取られる第2紐状部材74Bと、を有している。このうち、第1紐状部材74Aは、図8及び図9に示された例の紐状部材74と同一に構成され得る。また、第1紐状部材74A及び第2紐状部材74Bは、対称的に構成され得る。
図10及び図11に示すように、二つの伝達要素65A,65Bの距離が位置調整機構25によって変更された場合でも、第1紐状部材74A及び第2紐状部材74Bの二つの伝達要素65A,65Bへの巻き取り量を調節することで、第1紐状部材74A及び第2紐状部材74Bを張った状態に維持することができる。これにより、第1紐状部材74A及び第2紐状部材74Bを含んだアシスト機構15は、二つの伝達要素65A,65Bの間での動力の伝達距離を調節することができる。なお、図10及び図11に示された例においては、例えば、第1紐状部材74A及び第2紐状部材74Bのいずれかの伝達要素65A,65Bへの取り付け位置を変更することで、紐状部材74A,74Bの伝達要素65A,65Bへの巻き取り量を調節することができる。
図8〜図11に示された筋力補助装置10では、簡易な機構により伝達手段70を構成することができる。これにより、有用な筋力補助装置10を軽量小型化することができる。加えて、図8〜図11に示された例では、柔軟性や屈曲性を有した紐状部材74,74A,74Bを用いており、紐状部材74,74A,74Bを回転可能な伝達要素65A,65Bに巻き取ることで、二つの伝達要素65A,65Bの距離が変化したとしてもこの二つの伝達要素65A,65Bの間で動力を伝達することができる。このような紐状部材74,74A,74Bによれば、例えば図17を参照して後述する例のように、紐状部材74,74A,74Bが曲がることで、動力の伝達経路を曲げることも可能となる。したがって、動力の伝達経路を高い自由度で設計することができ、例えば図17に示すように非平行な回転軸線を中心として回転する二つの伝達要素の間で動力を伝達することもできる。加えて、紐状部材74,74A,74Bを用いることで、第1装着具20の歪みにより二つのフレーム24A,24Bの間で軸ズレ等の相対位置の変化が生じたとしても、二つのフレーム24A,24Bの位置ずれに追従して紐状部材74,74A,74Bが変形することができ、しかも、紐状部材74,74A,74Bを伝達要素65A,65Bに巻き取ることで紐状部材74,74A,74Bを張った状態に維持することができる。これにより、アシスト機構15が予定された機能を安定して発揮することができる。とりわけこれらの作用効果は、小型軽量化の要請が強いことから単純に高剛性化することが難しい着用型の筋力補助装置10において、極めて有用である。
次に、図12〜図15を参照して、アシスト機構15の更に他の変形例について説明する。図12〜図15に示された筋力補助装置10において、可変伝達手段70は、歯車として機能する回転可能な一方の伝達要素65Aおよび他方の伝達要素65Bの間に設けられ、二つのフレーム24A,24Bの間の距離変化にともない一方の伝達要素65Aおよび他方の伝達要素65Bの両方に対して相対移動可能に支持された中間歯車を有している。伝達要素65A及び伝達要素65Bは、それぞれ、フレーム24A,24Bによって回転可能に支持されている。この二つのフレーム24A,24Bの間の距離は、位置調整機構25によって可変となっている。このような筋力補助装置10によれば、簡易な機構により可変伝達手段70を構成することができる。これにより、有用な筋力補助装置10を軽量小型化することができる。
まず、図12及び図13に示された例について説明する。この例において、位置調整機構25は、一方のフレーム24Aと接続した支持プレート26を有している。一方のフレーム24Aと支持プレート26は、一体的に形成されていてもよい。支持プレート26は、第1長穴26a及び第2長穴26bを有している。他方のフレーム24Bは、その一部分を第1長穴26a内に挿入され、第1長穴26aの長手方向に沿って移動可能となっている。他方のフレーム24Bが、支持プレート26上で移動することにより、二つのフレーム24A,24Bの間の距離が変化する。
可変伝達手段70は、支持プレート26に移動可能に支持された移動フレーム77と、移動フレーム77に回転可能に支持された中間歯車78と、を有している。支持プレート26の第2長穴26bは、第1長穴26aの長手方向と非平行な長手方向を有している。図示された例において、第2長穴26bは円弧状に延びている。移動フレーム77は、その一部分を第2長穴26b内に挿入され、第2長穴26bの長手方向に沿って移動可能となっている。支持プレート26に対する他方のフレーム24Bの移動にともなって、移動フレーム77が支持プレート26に対して移動することで、中間歯車78が伝達要素65A及び伝達要素65Bの両方と噛み合った状態を維持することができる。すなわち、可変伝達手段70は、二つのフレーム24A,24Bの間の距離に応じて力を伝達する伝達距離を調整することができる。
次に、図14及び図15に示された例について説明する。この例において、位置調整機構25は、一方のフレーム24Aと接続した支持プレート26を有している。一方のフレーム24Aと支持プレート26は、一体的に形成されていてもよい。支持プレート26は、第1長穴26a及び第2長穴26bを有している。第1長穴26a及び第2長穴26bは、それぞれ長手方向を有し、直線状に延びている。第1長穴26a及び第2長穴26bは、長手方向が互いに平行となり、且つ、当該長手方向に沿って配列されている。すなわち、第1長穴26a及び第2長穴26bは、一直線上に配置されている。他方のフレーム24Bは、その一部分を第1長穴26a内に挿入され、第1長穴26aの長手方向に沿って移動可能となっている。他方のフレーム24Bが、支持プレート26上で移動することにより、二つのフレーム24A,24Bの間の距離が変化する。
可変伝達手段70は、支持プレート26に移動可能に支持された移動フレーム77と、移動フレーム77に回転可能に支持された第1中間歯車78A、第2中間歯車78B及び第3中間歯車78Cと、を有している。移動フレーム77に支持された三つの中間歯車は、順に噛み合っている。したがって、第1中間歯車78Aが回転すると、第2中間歯車78Bを介して第3中間歯車78Cに回転が伝達され、第3中間歯車78Cは、第1中間歯車78Aと同一方向に回転する。図示された例において、移動フレーム77は、その一部分を第2長穴26b内に挿入され、第2長穴26bの長手方向に沿って移動可能となっている。また、移動フレーム77は、支持プレート26に対して回転可能となっている。支持プレート26に対する他方のフレーム24Bの移動にともなって、移動フレーム77が支持プレート26に対して移動し、さらに支持プレート26に対して回転することで、第1中間歯車78Aが伝達要素65Aと噛み合い且つ第3中間歯車78Cが伝達要素65Bと噛み合った状態を維持することができる。すなわち、可変伝達手段70は、二つのフレーム24A,24Bの間の距離に応じて力を伝達する伝達距離を調整することができる。
次に、第1装着具20に含まれる二つのフレームの間の距離を変更可能な位置調整機構25の変形例について説明する。
例えば図8〜図15に示されているように、可変伝達手段70に対応して位置調整機構25を変形することができる。既に説明したように、図12〜図15に示された例において、位置調整機構25は、一方向に沿ってのみフレーム24Bを移動可能に支持する支持プレート26を有している。一方、図8〜図11に示された例において、位置調整機構25は、一方向のみに移動可能に接続した第1部分27a及び第2部分27bを有している。
また、位置調整機構25は、距離を可変とする二つのフレーム24A,24Bの一方または両方と一体的に形成されていてもよい。一例として、図12〜図15に示された例にいて、位置調整機構25の支持プレート26は、フレーム24Aと一体的に形成されていてもよい。また、図8〜図11に示された例において、位置調整機構25の第1部分27aは、伝達要素65Aを回転可能に支持するフレーム24Aと一体的に形成されていてもよい。さらに、図8〜図11に示された例において、位置調整機構25の第2部分27bは、伝達要素65Bを回転可能に支持するフレーム24Bと一体的に形成されていてもよい。
さらに、第1装着具20の構成とともに、位置調整機構25の配置を適宜変更することも可能である。上述した一具体例では、第1装着具20が、第1フレーム21、第2フレーム22及び第3フレーム23を有し、位置調整機構25が、第2フレーム22及び第3フレーム23の間の距離を調整可能となっていた。しかしながら、この例に限られず、第1装着具20のフレームの配置や数量、位置調整機構25の配置や数量等を種々変更することが可能である。また、第1装着具20及び位置調整機構25の構成を変更した場合、アシスト機構15も適宜変更することができる。
例えば、上述した第1装着具20の第1フレーム21及び第2フレーム22の間の距離が位置調整機構25によって調整可能となっていてもよい。この例において、アシスト機構15は、第1フレーム21及び第2フレーム22の間の距離に応じて力を伝達する伝達距離を調整可能な伝達手段70を有するようにしてもよい。
また、図16及び図17に示す例のように、上述した一具体例における第1装着具20の第2フレーム22が、二以上のフレームによって置き換えられてもよい。図16及び図17に示す例において、第2フレーム22は、中間第1フレーム22A及び中間第2フレーム22Bに分割されている。中間第1フレーム22A及び中間第2フレーム22Bは、共に、着用者の背及び肩の後方に位置するようになる。この例において、第1装着具20は、第1フレーム21、中間第1フレーム22A、中間第2フレーム22Bおよび第3フレーム23の順で接続された四つのフレームを含んでいる。そして、中間第1フレーム22A及び中間第2フレーム22Bの間の距離を変更可能な第1の位置調整機構25Aと、中間第2フレーム22B及び第3フレーム23の間の距離を変更可能な第2の位置調整機構25Bと、が設けられている。
第2の位置調整機構25Bは、上述した具体例の位置調整機構25と同一に構成され得る。第1の位置調整機構25Aは、横方向にそって、中間第1フレーム22A及び中間第2フレーム22Bの間の距離を調整可能としている。図示された例において、第1の位置調整機構25Aは、第2の位置調整機構25Bと同様に、中間第2フレーム22Bに固定された支持棒25aと、支持棒25a上に設けられた固定具25bと、を有している。支持棒25aは、雄螺子を形成され、第1の位置調整機構25Aは、支持棒25aの雄螺子に螺合する雌螺子を有している。第1位置調整機構25A及び第2位置調整機構25Bによれば、第1装着具20の横方向寸法および前後方向寸法を調整することができる。すなわち、このような第1装着具20によれば、筋力補助装置10の大きさを着用者に体格に応じてより適切に調節することができ、これにより、着用者が受ける拘束感をさらに低減することができる。
図16に示された例において、アシスト機構15の動力軸部材56は、中間第1フレーム22Aに回転可能に支持されている。アシスト機構15は、動力軸部材56から出力された動力を、中間第1フレーム22Aに支持された第1伝達要素61、中間第2フレーム22Bに支持された第2伝達要素62、中間第2フレーム22Bに支持された第3伝達要素63、及び、第3フレーム23に支持された第4伝達要素64の順で伝達していく。そして、第1伝達要素61と第2伝達要素62との間の動力伝達を第1の可変伝達手段70が担っており、第2伝達要素62と第3伝達要素63との間の動力伝達を上述した第2伝達手段67が担っており、第3伝達要素63と第4伝達要素64との間の動力伝達を第2の可変伝達手段70Bが担っている。可変伝達手段70A,70Bの構成は特に限定されず、例えば図示された例のように、可変伝達手段70A,70Bが、図8及び図9を参照して説明した紐状部材74を有する構成や、図10及び図11を参照して説明した第1紐状部材74A及び第2紐状部材74Bを有する構成となっていてもよい。
図17に示された例において、アシスト機構15の動力軸部材56は、中間第1フレーム22Aに回転可能に支持されている。アシスト機構15は、動力軸部材56から出力された動力を、中間第1フレーム22Aに支持された第1伝達要素61、中間第2フレーム22Bに支持された中間伝達要素65c、及び、第3フレーム23に支持された第4伝達要素64の順で伝達していく。そして、第1伝達要素61から第4伝達要素64までの間の動力伝達を可変伝達手段70が担っている。可変伝達手段70は、図8〜図11を参照して説明した紐状部材74,74A,74Bを有している。そして、中間伝達要素65cは、紐状部材74,74A,74Bを曲げることで、伝達経路を曲げている。
さらに、上述した一具体例における動力源40は一例に過ぎず、適宜変更することができる。例えば、上述した一具体例では、動力源40は、動力軸部材56の一方向への回転を許容しつつ、一方向とは逆方向への動力軸部材56の回転を規制する制動力と、動力軸部材56を一方向へ回転させる駆動力と、を出力する例を示したが、動力源40として、このような制動力および駆動力を出力することができる他の構成を採用するようにしてもよい。また、動力源40は、両方向への回転を規制する制動力を出力するようにしてもよいし、動力源40は、制動力および駆動力の一方のみ、例えば制動力のみを出力するようにしてもよい。例えば、図10及び図11には、モータおよびブレーキ機構を組み合わせてなる動力源40が、中間第1フレーム22Aに支持されている。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。