以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る内燃機関のSOx濃度取得装置について説明する。本発明の第1実施装置に係るSOx濃度取得装置(以下、「第1実施装置」と称呼する。)は、図1に示した内燃機関に適用される。
図1に示した内燃機関は、火花点火式内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。しかしながら、本発明は、圧縮自着火式内燃機関(いわゆるディーゼルエンジン)にも適用可能である。また、図1に示した内燃機関は、大部分の機関運転領域において、空燃比が理論空燃比(ストイキ)にて運転される。
図1において、50は内燃機関の本体、51はシリンダヘッド、52はシリンダブロック、53は燃焼室、54は燃料噴射弁、55は点火プラグ、56は燃料ポンプ、57は燃料供給管、60はピストン、61はコネクティングロッド、62はクランクシャフト、63はクランク角度センサ、70は吸気弁、71は吸気ポート、72は吸気マニホルド、73はサージタンク、74はスロットル弁、75は吸気管、76はエアフローメータ、77はエアフィルタ、80は排気弁、81は排気ポート、82は排気マニホルド、83は排気管、90は電子制御装置(以下、「ECU」と称呼する。)、91はアクセルペダル、92はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。
燃料噴射弁54、点火プラグ55、スロットル弁74、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、アクセルペダル踏込量センサ92、及び、限界電流式センサ10は、ECU90に電気的に接続されている。
ECU90は、エレクトロニックコントロールユニットであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。
ECU90は、燃料噴射弁54、点火プラグ55及びスロットル弁74を動作させるための信号をこれらに送信する。また、ECU90は、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、及び、アクセルペダル踏込量センサ92から信号を受信する。クランク角度センサ63からは、クランクシャフト62の回転速度に対応する信号が出力される。ECU90は、クランク角度センサ63から受信した信号に基づいて機関回転数を算出する。エアフローメータ76からは、そこを通過する空気の流量(ひいては、燃焼室53に吸入される空気の流量)に対応する信号が出力される。ECU90は、エアフローメータ76から受信した信号に基づいて吸入空気量を算出する。アクセルペダル踏込量センサ92からは、アクセルペダル91の踏込量に対応する信号が出力される。ECU90は、アクセルペダル踏込量センサ92から受信した信号に基づいて機関負荷KLを算出する。
第1実施装置は、限界電流式センサ10、センサセル電圧源15C、電流計15D、電圧計15E、及び、ECU90を含んでいる。限界電流式センサ10(以下、単に「センサ10」と称呼する。)は、1セルタイプの限界電流式センサであり、排気管83に配設されている。
図2に示したように、センサ10は、固体電解質層11、第1アルミナ層12A、第2アルミナ層12B、第3アルミナ層12C、第4アルミナ層12D、第5アルミナ層12E、拡散律速層13、ヒータ14、センサセル15、第1センサ電極15A、第2センサ電極15B、大気導入路16、及び、内部空間17を含んでいる。
固体電解質層11は、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層12A〜12Eは、アルミナからなる層である。拡散律速層13は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ10では、各層は、図2において下方から、第5アルミナ層12E、第4アルミナ層12D、第3アルミナ層12C、固体電解質層11、拡散律速層13及び第2アルミナ層12B、第1アルミナ層12Aの順で積層されている。ヒータ14は、第4アルミナ層12Dと第5アルミナ層12Eとの間に配置されている。
大気導入路16は、固体電解質層11と第3アルミナ層12Cと第4アルミナ層12Dとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間17は、第1アルミナ層12Aと固体電解質層11と拡散律速層13と第2アルミナ層12Bとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層13を介してセンサ外部に連通している。
第1センサ電極15A及び第2センサ電極15Bは、還元性の高い材料(例えば、白金もしくはロジウム等の白金族元素又はその合金)からなる電極である。第1センサ電極15Aは、固体電解質層11の一方の側の壁面(即ち、内部空間17を形成する固体電解質層11の壁面)に配置され、第2センサ電極15Bは、固体電解質層11の他方の側の壁面(即ち、大気導入路16を形成する固体電解質層11の壁面)に配置されている。これら電極15A、15Bと固体電解質層11とは、センサセル15を構成している。
機関50から排出された排気は、拡散律速層13を通って内部空間17に流入する。第1センサ電極15Aは、内部空間17に流入した排気に晒される。
センサ10は、センサセル15(具体的には、第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間)にセンサセル電圧源15Cから電圧を印加可能に構成されている。センサセル電圧源15Cは、センサセル15に直流電圧を印加可能に構成されている。センサセル電圧源15Cがセンサセル15に直流電圧を印加した場合、第1センサ電極15Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極15Bは陽極側の電極である。
ヒータ14、センサセル電圧源15C,電流計15D及び電圧計15Eは、ECU90に接続されている。
ECU90は、センサセル15の温度がセンサ10を活性状態とする温度(所謂、センサ活性温度)に維持されるようにヒータ14の作動を制御する。
更に、ECU90は、後述するように設定される電圧がセンサセル電圧源15Cからセンサセル15に印加されるようにセンサセル電圧源15Cの電圧を制御する。
電流計15Dは、センサセル15を含む回路に流れている電流Iss(以下、「センサ電流Iss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電流Issを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電流Issを取得する。
電圧計15Eは、センサセル15に印加されている電圧Vss(以下、「センサ電圧Vss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電圧Vssを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電圧Vssを取得する。
<第1実施装置の作動の概要>
<SOx濃度の取得>
センサセル15に電圧が印加されると、内部空間17に流入した排気中の硫黄酸化物(以下、「SOx」と称呼する。)が第1センサ電極15Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極15A上で還元されて分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層11の内部を第2センサ電極15Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間には、固体電解質層11の内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極15Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極15Bにおいて酸素となって大気導入路16に放出される。
センサ電圧Vssとセンサ電流Issと排気の空燃比A/Fとの間には、図3に示した関係がある。センサ電圧Vssは、センサセル電圧源15Cによってセンサセル15に印加される直流電圧である。センサ電流Issは、センサセル15に直流電圧が印加されたときに第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間に流れる電流である。排気の空燃比A/Fは、燃焼室53内に形成される混合気の空燃比に相当し、以下、「排気空燃比A/F」と称呼する。
図3において、「A/F=12」によって示したラインは、排気空燃比A/Fが「12」である場合のセンサ電圧Vssの変化に対するセンサ電流Issの変化を示している。同様に、「A/F=13〜A/F=18」によって示したラインは、それぞれ、排気空燃比A/Fが「13〜18」である場合のセンサ電圧Vssの変化に対するセンサ電流Issの変化を示している。
例えば、排気空燃比A/Fが「18」である場合、センサ電圧Vssが所定値Vthよりも小さい範囲では、センサ電流Issが負の値である場合、センサ電圧Vssが高いほど、センサ電流Issの絶対値が小さく、センサ電流Issが正の値である場合、センサ電圧Vssが高いほど、センサ電流Issの絶対値が大きい。一方、センサ電圧Vssが上記所定値Vth(以下、「限界電流域下限電圧Vth」と称呼する。)以上である一定の範囲では、センサ電圧Vssに依らず、センサ電流Issは一定の値となる。
こうしたセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとの関係は、排気空燃比A/Fが「12〜17」である場合にも同様に成立する。
ところで、「SOxを含んでおらず且つ酸素濃度が特定の一定濃度である排気」が第1センサ電極15Aに到達している場合に、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させた後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたとき、センサ電流Issは、図4の(A)に示したように変化することが判明した。
より具体的に述べると、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させ始めると、センサ電流Issは、図4の(A)に線LU1で示したように、約0.4mAから上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.35になるまで、センサ電圧Vssは急激に上昇する。センサ電圧Vssが約0.35Vになると、センサ電流Issは低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.6Vになるまで、センサ電流Issは緩やかに低下する。センサ電圧Vssが約0.6Vになると、センサ電流Issは上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.75Vになるまで、センサ電流Issは緩やかに上昇する。センサ電圧Vssが約0.75Vになると、センサ電流Issは低下し始める。そして、センサ電圧Vssが0.8Vに達すると、センサ電流Issは約0.55mAとなる。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めると、センサ電流Issは、図4の(A)に線LD1で示したように、約0.55mAから低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.6Vになった以降、センサ電流Issは、0.4mAよりも若干高い電流で略一定となる。その後、センサ電圧Vssが約0.5Vになって以降、センサ電流Issは低下する。その後、センサ電圧Vssが0.2Vよりも若干高い電圧になって以降、センサ電流Issは上昇する。そして、センサ電圧Vssが0.2Vに達すると、センサ電流Issは約0.4mAとなる。
一方、「SOxを含んでおり且つ酸素濃度が上記特定の一定の濃度である排気」が第1センサ電極15Aに到達している場合に、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させた後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたとき、センサ電流Issは、図4の(B)に示したように変化することが判明した。
より具体的に述べると、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させ始めると、センサ電流Issは、図4の(B)に線LU1で示したように、図4の(A)に示した例と同様に、約0.4mAから上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.35Vになるまで、センサ電圧Vssは急激に上昇する。センサ電圧Vssが約0.35Vになると、センサ電流Issは低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.6Vになるまで、センサ電流Issは緩やかに低下する。センサ電圧Vssが約0.6Vになると、センサ電流Issは上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.75Vになるまで、センサ電流Issは緩やかに上昇する。センサ電圧Vssが約0.75Vになると、センサ電流Issは低下し始める。そして、センサ電圧Vssが0.8Vに達すると、センサ電流Issは約0.55mAとなる。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めると、センサ電流Issは、図4の(B)に線LD1で示したように、約0.55mAから低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.3Vになるまで、センサ電流Issは低下し続ける。センサ電流Issの低下中、センサ電圧Vssが約0.6Vになるまでは、センサ電流Issの低下率が徐々に小さくなるが、センサ電圧Vssが約0.6Vになると、センサ電流Issの低下率が徐々に大きくなる。そして、センサ電圧Vssが約0.3Vになると、センサ電流Issは約0.31mAで最も小さい値となり、その後、上昇し始める。そして、センサ電圧Vssが0.2Vに達すると、センサ電流Issは約0.4mAとなる。
このように、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issの変化(図4の(B)を参照。)は、SOxを含んでいない排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issの変化(図4の(A)を参照。)とは明らかに異なる。
より具体的に述べると、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issは、概して、SOxを含んでいない排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issよりも低い。
本願の発明者は、排気がSOxを含んでいない場合よりも、排気がSOxを含んでいる場合のほうが、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issが低くなる理由を以下のように推察している。
センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vに上昇させている間にセンサ電圧Vssが或る値以上になると、第1センサ電極15Aに到達するSOxは、第1センサ電極15Aにおいて硫黄成分と酸素成分とに分解される。そして、酸素成分は、酸素イオンとなって固体電解質層11を通って第2センサ電極15Bに向かい、硫黄成分は、第1センサ電極15Aに付着する。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vに低下させる間にセンサ電圧Vssが或る値以下になると、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分は、第1センサ電極15A周辺の酸素によって酸化されてSOxに戻る。このとき、SOxが第1センサ電極15Aにおいて硫黄成分と酸素成分とに分解する分解反応が行われている可能性もあるが、その分解反応よりも、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分の酸化反応のほうが支配的になる。その結果、分解反応によってSOxから生成される酸素成分の量よりも、酸化反応によって消費される内部空間17内の酸素成分の量のほうが多くなるため、固体電解質層11を通って第2センサ電極15Bに向かう酸素イオンの量が少なくなる。その結果、センサ電流Issが低くなる。このため、本願の発明者は、排気がSOxを含んでいない場合よりも、排気がSOxを含んでいる場合のほうが、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issが低くなるものと推察している。
尚、本例において、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させた場合における0.8Vの電圧は、第1センサ電極15AにおけるSOxの分解量が正確なSOx濃度の取得に適した十分に多い量となるように適宜設定される電圧であり、以下、「昇圧終了電圧Vup_end」と称呼する。昇圧終了電圧Vup_endは、例えば、第1センサ電極15Aにて排気中の水分の分解反応等のSOxの分解反応以外の反応を最小限に抑制できる電圧である。
更に、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させた場合における0.2Vの電圧は、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分の酸化量が正確なSOx濃度の取得に適した十分に多い量となるように適宜設定される電圧であり、以下、「降圧終了電圧Vdown_end」と称呼する。特に、この0.2Vの電圧は、本例においては、SOxから分解されて第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分の総てが酸化されたと推定される時点でのセンサ電圧Vssである。
以上のことから、本願の発明者は、以下の知見を得た。尚、以下の説明の符号「(m)」における符号「m」は、1から順に大きくなる整数であり、例えば、センサ電流Iss(1)は「1番目のセンサ電流Iss」であり、センサ電流Iss(2)は、「2番目のセンサ電流Iss」であり、センサ電流Iss(m)は「m番目のセンサ電流Iss」を表す。符号「(n)」における符号「n」は、1からmまでの任意の整数の1つを意味する。従って、センサ電流Iss(n)は、センサ電流Iss(1)乃至センサ電流Iss(m)の何れか1つである。
センサ電圧Vssを「SOxが硫黄成分と酸素成分とに分解することにより生成される酸素成分の量のほうが硫黄成分が酸化してSOxとなることにより消費される酸素成分の量よりも多くなるセンサ電圧Vss(以下、「酸素増大電圧Vox_in」と称呼する。)よりも小さい電圧」から「酸素増大電圧Vox_inよりも高い電圧」まで上昇させる。
その後、センサ電圧Vssを「SOxが硫黄成分と酸素成分とに分解することにより生成される酸素成分の量よりも、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分が酸化してSOxとなることにより消費される酸素成分の量のほうが多くなるセンサ電圧Vss(以下、「酸素減少電圧Vox_de」と称呼する。)よりも低い電圧」まで低下させる。このとき、センサ電圧Vssを低下させ始めた後、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになったときのセンサ電流Issを基準電流Ibaseとして取得する。更に、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになって以降の複数のセンサ電流Iss(1)乃至Iss(m)を取得する。
そして、「それら取得したセンサ電流Iss(n)(即ち、センサ電流Iss(1)乃至Iss(m))それぞれ」と「基準電流Ibase」との差dIss(n)(=Ibase−Iss(n))の積算値S11(図5に符号A11で示した面積に対応。)を取得する。すると、その積算値S11と第1センサ電極15Aに到達する排気中のSOx濃度との間には、図6に示したように、積算値S11が大きくなるほどSOx濃度が大きくなるという関係がある。
そこで、第1実施装置は、図7に示したように、SOx濃度Csoxの取得が要求されていないとき(時刻t0以前の期間を参照。)には、センサ電圧Vssを酸素増大電圧Vox_inよりも低い電圧(本例においては、0.4V)に制御する一定電圧制御を実行しておく。
そして、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関50の運転状態(以下、「機関運転状態」と称呼する。)が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、第1実施装置は、以下に述べる分解昇圧制御と再酸化降圧制御とを含む濃度取得電圧制御を実行する。
尚、SOx濃度Csoxの取得は、例えば、燃料噴射弁54に供給される燃料を貯留するための燃料タンクに燃料が給油された後、機関50を搭載した車両が所定距離だけ走行した時点で要求される。或いは、SOx濃度Csoxの取得は、上記燃料タンクに燃料が給油された後、上記車両が所定距離だけ走行した時点で要求され、その後、その車両が所定距離だけ走行する毎に要求される。
更に、定常運転状態は、機関回転速度NE及び機関負荷KLが一定又は略一定である機関運転状態であり、従って、センサ10に到達する排気中の酸素濃度が一定又は略一定である機関運転状態である。更に、アイドリング運転状態は、アクセルペダル操作量APが零であって機関50の運転を維持するための最低限の量の空気を燃焼室53に流入させつつ燃料噴射弁54から燃料を噴射させている機関運転状態であり、従って、センサ10に到達する排気中の酸素濃度が一定又は略一定である機関運転状態である。
第1実施装置は、濃度取得電圧制御を開始すると、センサ電圧Vssの上昇速度が徐々に減少するようにセンサ電圧Vssを0.4Vから上昇させる分解昇圧制御を開始する(図7の時刻t0を参照。)。第1実施装置は、センサ電圧Vssが昇圧終了電圧Vup_end(本例においては、0.8V)に達したとき(図7の時刻t1を参照。)に分解昇圧制御を終了する。これにより、第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させる。
その後、第1実施装置は、センサ電圧Vssの低下速度が徐々に増大するようにセンサ電圧Vssを昇圧終了電圧Vup_end(本例においては、0.8V)から低下させる再酸化降圧制御を開始する(図7の時刻t1を参照。)。第1実施装置は、センサ電圧Vssが降圧終了電圧Vdown_end(本例においては、0.2V)に達したとき(図7の時刻t2を参照。)に再酸化降圧制御を終了する。これにより、第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる。
本例においては、第1実施装置は、分解昇圧制御において、センサ電圧Vssの上昇の開始から終了までの時間が0.1秒(=100ms)となるように、センサ電圧Vssを変化させる。しかしながら、第1実施形態の分解昇圧制御において、センサ電圧Vssの上昇の開始から終了までの時間は、0.1秒に限定されない。
更に、本例においては、第1実施装置は、再酸化降圧制御において、センサ電圧Vssの低下の開始から終了までの時間が0.1秒(=100ms)となるように、センサ電圧Vssを変化させる。しかしながら、第1実施装置は、再酸化降圧制御において、センサ電圧Vssの低下の開始から終了までの時間が0.1秒よりも長く且つ5秒以下の時間となるように、センサ電圧Vssを変化させるようにも構成され得る。
第1実施装置は、再酸化降圧制御の実行中、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_de(本例においては、0.6V)になったときのセンサ電流Issを基準電流Ibaseとして取得する。
更に、第1実施装置は、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになって以降、降圧終了電圧Vdown_end(本例においては、0.2V)まで低下する間、センサ電圧Vssが所定値だけ低下する毎にセンサ電流IssをSOx濃度電流Iss_sox(n)として取得し、それらSOx濃度電流Iss_sox(n)を、それら電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)と関連付けてRAMに保存する。
尚、SOx濃度電流Iss_sox(n)の取得に関しては、第1実施装置は、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになったときにセンサ電流IssをSOx濃度電流Iss_sox(1)として取得し、その後、所定時間の経過毎にセンサ電流IssをSOx濃度電流Iss_sox(n)として取得するようにも構成され得る。
そして、第1実施装置は、基準電流IbaseとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差dIss(n)(=Ibase−Iss(n))の積算値S11を取得する。
第1実施装置は、取得した積算値S11(以下、「電流差積算値S11」と称呼する。)をルックアップテーブルMap11Csox(S11)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。テーブルMap11Csox(S11)は、電流差積算値S11と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap11Csox(S11)によれば、電流差積算値S11が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第1実施装置は、電流差積算値S11を用いてSOx濃度Csoxを取得する。先に述べたように、電流差積算値S11は、第1センサ電極15Aに到達する排気中のSOx濃度に相関する値である。従って、第1実施装置によれば、排気中のSOx濃度を取得することができる。
更に、SOx濃度電流Iss_sox(n)は、SOxの分解反応によって生成された硫黄成分の酸化反応の影響を受けた電流である。加えて、基準電流Ibaseは、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deであるときに取得されたセンサ電流Issであるので、この基準電流Ibaseも、硫黄成分の酸化反応の影響を受けた電流である。
従って、電流差積算値S11は、「硫黄成分の酸化反応の影響を受けた基準電流Ibase」と「硫黄成分の酸化反応の影響を受けた複数のSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれ」との差である電流差dIss(n)を積算して取得される値である。このため、電流差積算値S11は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分が排除された値(或いは、殆ど排除された値)である。
まとめると、(1)電流差積算値S11の取得に利用される基準電流Ibase及びSOx濃度電流Iss_sox(n)は、SOxを起源とする硫黄成分の酸化反応の影響を受けた電流であり、(2)電流差積算値S11の取得に利用される電流差dIssは、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分が排除された値(或いは、殆ど排除された値)であり、(3)電流差積算値S11は、複数のSOx濃度電流Iss_sox(n)を用いて取得される値である。
従って、SOx濃度が変化したときの電流差積算値S11の変化割合は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていない電流を基準電流とする場合においてSOx濃度が変化したときの基準電流と1つのSOx濃度電流Iss_soxとの差の変化割合に比べて大きい。このため、電流差積算値S11は、SOx濃度の変化を明確に表す。第1実施装置は、その電流差積算値S11を用いてSOx濃度Csoxを取得する。このため、SOx濃度をより精度良く取得することができる。
尚、第1実施装置は、図8に示したように、分解昇圧制御におけるセンサ電圧Vssの上昇速度が一定に維持されるようにセンサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vに上昇させるようにも構成され得る。更に、第1実施装置は、再酸化降圧制御におけるセンサ電圧Vssの低下速度が一定に維持されるようにセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させるようにも構成され得る。
更に、分解昇圧制御におけるセンサ電圧Vssの上昇開始時点のセンサ電圧Vss(即ち、一定電圧制御においてセンサセル15に印加しておくセンサ電圧Vss)は、0.4Vに限定されず、酸素増大電圧Vox_inよりも低い電圧であればよく、例えば、0.2Vでもよい。
更に、分解昇圧制御におけるセンサ電圧Vssの上昇終了時点のセンサ電圧Vss(即ち、昇圧終了電圧Vup_end)は、0.8Vに限定されず、酸素増大電圧Vox_inよりも高い電圧であればよい。
更に、再酸化降圧制御におけるセンサ電圧Vssの低下終了時点のセンサ電圧Vss(即ち、降圧終了電圧Vdown_end)は、0.2Vに限定されず、酸素減少電圧Vox_deよりも低い電圧であればよい。
更に、基準電流Ibaseは、再酸化降圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_de(本例においては、0.6V)になったときのセンサ電流Issに限定されず、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_de以下の電圧になったときのセンサ電流Issであればよい。
更に、再酸化降圧制御の実行中に第1センサ電極15Aに到達する排気中の酸素の、センサ電流Issに対する影響を排除できるのであれば、第1実施装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求された場合、機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態になくても、濃度取得電圧制御を実行してSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
更に、第1実施装置は、電流差積算値S11そのものを用いてSOx濃度Csoxを取得しているが、補正係数によって電流差積算値S11を補正して得た値等の「電流差積算値S11に相関する値」を用いてSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
<酸素濃度の取得>
図3を参照すると分かるように、センサ10においては、排気中の酸素濃度(即ち、排気空燃比A/F)が一定である場合にセンサ電圧Vssに依らずセンサ電流Issが一定となるセンサ電圧Vssの範囲(以下、「限界電流域」と称呼する。)が存在する。従って、取得しようとする排気中の酸素濃度の範囲の酸素濃度総てにおける限界電流域の電圧をセンサセル15に印加すれば、センサ電流Issを用いて排気中の酸素濃度(即ち、排気空燃比A/F)を取得することができる。
先に述べたように、第1実施装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されていないときには、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を実行する。ここで、本例において、0.4Vの電圧は、「取得しようとする排気中の酸素濃度の範囲の酸素濃度総てにおける限界電流域の電圧」である。
そこで、第1実施装置は、一定電圧制御の実行中、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得し、その酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。
テーブルMapCoxy(Iss_oxy)は、センサ電圧Vssを0.4Vに制御したときのセンサ電流Issと排気中の酸素濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMapCoxy(Iss_oxy)によれば、酸素濃度電流Iss_oxyが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
これによれば、第1実施装置は、排気中のSOx濃度Csoxに加えて排気中の酸素濃度Coxyを取得することができる。
尚、一定電圧制御におけるセンサ電圧Vssは、0.4Vに限定されず、「取得しようとする排気中の酸素濃度の範囲の酸素濃度総てにおける限界電流域の電圧」であればよい。
<第1実施装置の具体的な作動>
次に、第1実施装置の具体的な作動について説明する。第1実施装置のECU90のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ900から処理を開始してステップ905に進み、SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」であるか否かを判定する。SOx濃度取得要求フラグXsoxの値は、SOx濃度Csoxの取得が要求された場合に「1」に設定され、SOx濃度Csoxの取得が完了した場合に「0」に設定される。
SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」である場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にあるか否かを判定する。
機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定してステップ915に進み、昇圧完了フラグXupの値が「0」であるか否かを判定する。昇圧完了フラグXupの値は、分解昇圧制御が終了したときに「1」に設定され、その後、再酸化降圧制御が終了したときに「0」に設定される。SOx濃度Csoxの取得が要求された直後においては、分解昇圧制御が開始されていないので、昇圧完了フラグXupの値は「0」である。
CPUがステップ915の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXupの値が「0」である場合、CPUは、ステップ915にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ920の処理を行う。その後、CPUは、ステップ925に進む。
ステップ920:CPUは、分解昇圧制御を開始していない場合、分解昇圧制御を開始し、既に分解昇圧制御を開始している場合、分解昇圧制御を継続する。CPUは、SOx濃度Csoxの取得が要求された後、ステップ915にて初めて「Yes」と判定した直後にステップ920の処理を行う場合、分解昇圧制御を開始していないので、分解昇圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ925にて「Yes」と判定するまで分解昇圧制御を継続する。
CPUは、ステップ925に進むと、センサ電圧Vssが0.8Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.8V以上であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.8Vよりも低い場合、CPUは、ステップ925にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.8V以上である場合、CPUは、ステップ925にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ930及びステップ935の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ930:CPUは、分解昇圧制御を停止する。
ステップ935:CPUは、昇圧完了フラグXupの値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ915に進むと、CPUは、ステップ915にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ915の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXupの値が「1」である場合、CPUは、ステップ915にて「No」と判定し、以下に述べるステップ940の処理を行う。その後、CPUは、ステップ942に進む。
ステップ940:CPUは、再酸化降圧制御を開始していない場合、再酸化降圧制御を開始し、既に再酸化降圧制御を開始している場合、再酸化降圧制御を継続する。CPUは、SOx濃度Csoxの取得が要求された後、ステップ915にて初めて「No」と判定した直後にステップ940の処理を行う場合、再酸化降圧制御を開始していないので、再酸化降圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ950にて「Yes」と判定するまで再酸化降圧制御を継続する。
CPUは、ステップ942に進むと、センサ電圧Vssが0.6V(即ち、酸素減少電圧Vox_de)以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.6Vよりも高い場合、CPUは、ステップ942にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、センサ電圧Vssが0.6V以下である場合、CPUは、ステップ942にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ945の処理を行う。その後、CPUは、ステップ950に進む。
ステップ945:CPUは、センサ電流Issを取得し、そのセンサ電流Issをそのときのセンサ電圧Vssと関連付けてSOx濃度電流Iss_sox(n)としてRAMに保存する。
CPUは、ステップ950に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.2V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vよりも高い場合、CPUは、ステップ950にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、センサ電圧Vssが0.2V以下である場合、CPUは、ステップ950にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ955乃至ステップ975の処理を順に行う。その後、CPUは、図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ955:CPUは、再酸化降圧制御を停止する。
ステップ960:CPUは、図10にフローチャートにより示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ960に進むと、図10のステップ1000から処理を開始し、以下に述べるステップ1010乃至ステップ1040の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1095を経由して図9のステップ975に進む。
ステップ1010:CPUは、SOx濃度電流Iss_sox(n)のうち、センサ電圧Vssが0.6V(即ち、酸素減少電圧Vox_de)であるときのSOx濃度電流Iss_sox(1)を基準電流Ibaseとして取得する。
ステップ1020:CPUは、基準電流IbaseとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差を電流差dIss(n)(=Ibase−Iss_sox(n))として取得する。
ステップ1030:CPUは、電流差dIss(n)の積算値を電流差積算値S11(=Σ(dIss(n)))として取得する。
ステップ1040:CPUは、電流差積算値S11をルックアップテーブルMap11Csox(S11)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
ステップ975:CPUは、SOx濃度取得要求フラグXsox、及び、昇圧完了フラグXupの値をそれぞれ「0」に設定する。
CPUがステップ905の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「0」である場合、及び、CPUがステップ910の処理を実行する時点において機関運転状態が定常運転状態でもアイドリング運転状態でもない場合、CPUは、それぞれ、ステップ905及びステップ910にて「No」と判定し、以下に述べるステップ980乃至ステップ990の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ980:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を開始していない場合には、一定電圧制御を開始し、既に一定電圧制御を開始している場合には、一定電圧制御を継続する。
ステップ985:CPUは、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得してRAMに保存する。
ステップ990:CPUは、酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、酸素濃度Coxyを取得する。
第1実施装置が図9に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。
更に、排気中のSOx濃度が「法令等によって規定された上限濃度Csox_limit」以下の濃度ではあるがそれに近い濃度である場合、排気中のSOx濃度が上限濃度Csox_limitに近いことを知らせるための警報等を発するためにも、排気中のSOx濃度が上限濃度Csox_limitに近いか否かを判定することは有益である。
そこで、CPUは、図11にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図11のステップ1100から処理を開始してステップ1110に進み、図10のステップ1040で取得したSOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定する。上限濃度Cthは、排気中のSOx濃度の許容可能な上限値である。
SOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きい場合、CPUは、ステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1120に進み、排気中のSOx濃度が上限濃度よりも高いと判定する。その後、CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、SOx濃度Csoxが上限濃度Cth以下である場合、CPUは、ステップ1110にて「No」と判定してステップ1130に進み、排気中のSOx濃度が上限濃度以下であると判定する。その後、CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
CPUが図11に示したルーチンを実行することにより、排気中のSOx濃度が上限濃度よりも大きいか否かを判定することができる。
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る内燃機関のSOx濃度取得装置(以下、「第1変形装置」と称呼する。)について説明する。
<第1変形装置の作動の概要>
先に述べたように、第1実施装置は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分が排除された電流差dIss(n)を用いているため、SOx濃度をより精度良く取得することができる。
これに関し、センサ電圧Vssが低下されて降圧終了電圧Vdown_end(本例において、0.2V)になったときのセンサ電流Iss(本例において、0.4mA)を低電圧電流Ilowとして取得し、センサ電圧Vssが低下されて酸素減少電圧Vox_de(本例において、0.6V)になったときのセンサ電流Iss(本例において、0.42mA)を高電圧電流Ihighとして取得し、センサ電流Issが高電圧電流Ihighから低電圧電流Ilowまで変化するときのセンサ電流Issの平均変化率Raveを取得した場合、その平均変化率Raveは、排気中のSOx濃度が零であるときにセンサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deから降圧終了電圧Vdown_endまで低下するときのセンサ電流Issの平均変化率に近い値となる。
従って、上記平均変化率Raveで高電圧電流Ihighから変化する電流のうち、SOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれを取得したときのセンサ電圧Vss(n)にそれぞれ対応する電流(図12に符号Lbaseで示したライン上の電流)をそれぞれ基準電流Ibase(n)として取得し、「SOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれを取得したときのセンサ電圧Vss(n)にそれぞれ対応する基準電流Ibase(n)それぞれ」と「SOx濃度電流Iss_sox(n)」との差を電流差dIss(n)として取得すると、その電流差dIss(n)は、第1実施装置が取得する電流差dIss(n)に比べて、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分がより排除された値となる。
このため、その電流差dIss(n)の積算値S12(図12に符号A12で示した領域の面積に対応。)に基づいてSOx濃度Csoxを取得すると、SOx濃度Csoxをより精度良く取得することができる。
そこで、第1変形装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、昇圧準備制御と予備昇圧制御と予備降圧制御とを含む予備電圧制御を開始する。
第1変形装置は、予備電圧制御を開始すると、センサ電圧Vssを0.4Vから低下させる昇圧準備制御を開始する。このとき、第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.4Vであるときのセンサ電流Issを参照電流Iref(本例においては、0.5mA)として取得しておく。その後、第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.2Vに達したときに昇圧準備制御を停止する。
第1変形装置は、昇圧準備制御を停止すると、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させる予備昇圧制御を開始する。第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.3Vに達したときに予備昇圧制御を停止する。予備昇圧制御の実行中、センサ電流Issは、図13に線LUで示したように上昇する。
第1変形装置は、予備昇圧制御を停止すると、センサ電圧Vssを0.3Vから低下させる予備降圧制御を開始する。第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.2Vに達したときに予備降圧制御を停止する。即ち、第1変形装置は、予備電圧制御を停止する。予備降圧制御の実行中、センサ電流Issは、図13に線LDで示したように低下する。第1変形装置は、予備降圧制御を停止したとき(即ち、センサ電圧Vssが0.2Vに達したとき)のセンサ電流Issを低電圧電流Ilowとして取得する。
第1変形装置は、予備電圧制御を停止すると、上記濃度取得電圧制御を開始する。第1変形装置は、濃度取得電圧制御を開始すると、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させる分解昇圧制御を開始する。第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.8Vに達したときに分解昇圧制御を停止する。
第1変形装置は、分解昇圧制御を停止すると、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させる再酸化降圧制御を開始する。第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.2Vに達したときに再酸化降圧制御を停止する。第1変形装置は、センサ電圧Vssが0.6Vから0.2Vまで低下するまでの間、センサ電圧Vssが所定値だけ低下する毎にセンサ電流IssをSOx濃度電流Iss_sox(n)として取得し、それらSOx濃度電流Iss_sox(n)を、それら電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)と関連付けてRAMに保存する。
第1変形装置は、参照電流IrefとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差の積算値(図14の(A)に符号A121で示した面積に対応。)を第1積算値S121(=Σ(Iref−Iss_sox(n)))として取得する。
更に、第1変形装置は、再酸化降圧制御の実行中、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_de(本例においては、0.6V)に達したときのセンサ電流Issを高電圧電流Ihighとして取得する。第1変形装置は、センサ電流Issが高電圧電流Ihighから低電圧電流Ilowまで変化するときのセンサ電流Issの平均変化率を基準電流変化率Rとして取得する。第1変形装置は、その基準電流変化率Rで高電圧電流Ihighから変化する電流のうち、SOx濃度電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)にそれぞれ対応する電流をそれぞれ基準電流Ibase(n)として取得する。
第1変形装置は、参照電流Irefと基準電流Ibase(n)との差の積算値(図14の(B)に符号A122で示した面積に対応。)を第2積算値S122(=Σ(Iref−Ibase(n)))として取得する。
そして、第1変形装置は、第1積算値S121から第2積算値S122を減じることにより、電流差積算値S12(=S121−S122)を取得する。
即ち、第1変形装置は、上述した手法により、基準電流Ibase(n)それぞれとSOx濃度電流Iss_sox(n)との差を電流差dIss(n)としてそれぞれ取得し、それら電流差dIss(n)の積算値を電流差積算値S12として取得する。
第1変形装置は、電流差積算値S12をルックアップテーブルMap12Csox(S12)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。テーブルMap12Csox(S12)は、電流差積算値S12と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap12Csox(S12)によれば、電流差積算値S12が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第1変形装置は、電流差積算値S12を用いてSOx濃度Csoxを取得する。電流差積算値S12は、第1センサ電極15Aに到達する排気中のSOx濃度に相関する値である。従って、排気中のSOx濃度を取得することができる。
更に、基準電流変化率Rは、排気中のSOx濃度が零である場合においてセンサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになって以降のセンサ電流Issの変化率に近い値である。従って、基準電流変化率Rに基づいて取得される電流を基準電流Ibase(n)として用いることにより、基準電流Ibase(n)それぞれとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分がより排除された値となる。このため、SOx濃度が変化したときの電流差積算値S12の変化割合は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていない電流を基準電流として用いる場合においてSOx濃度が変化したときの基準電流と1つのSOx濃度電流Iss_soxとの差の変化割合に比べて大きくなる。従って、電流差積算値S12は、SOx濃度の変化をより明確に表す。このため、SOx濃度をより精度良く取得することができる。
尚、上述した例においては、高電圧電流Ihighよりも低電圧電流Ilowのほうが低いが、第1変形装置は、センサ10が高電圧電流Ihighよりも低電圧電流Ilowのほうが高くなる場合にも適用可能である。
更に、第1変形装置のECU90のCPUの演算負荷が大きくなることを厭わない場合、或いは、そのCPUが十分な演算能力を有している場合、第1変形装置は、基準電流Ibase(n)それぞれとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれと差dIss(n)を直接取得し、それら差dIss(n)を積算することにより、電流差積算値S12を取得するようにも構成され得る。
更に、第1変形装置は、濃度取得電圧制御の実行前に予備電圧制御を実行しているが、濃度取得電圧制御の実行後に予備電圧制御を実行するようにも構成され得る。但し、濃度取得電圧制御の実行後に予備電圧制御を実行した場合、予備電圧制御を実行したときに濃度取得電圧制御によるSOxの分解反応及び硫黄成分の酸化反応の影響が第1センサ電極15Aに残存している可能性があるため、濃度取得電圧制御の実行前に予備電圧制御を実行することが好ましい。
更に、第1変形装置は、センサ電圧Vssが降圧終了電圧Vdown_end(本例においては、0.2V)であるときのセンサ電流Issを低電圧電流Ilowとして取得している。しかしながら、低電圧電流Ilowを取得するときのセンサ電圧Vssは、降圧終了電圧Vdown_endに限定されず、酸素減少電圧Vox_deよりも低い電圧であればよい。
更に、第1変形装置は、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_de(本例においては、0.6V)であるときのセンサ電流Issを高電圧電流Ihighとして取得している。しかしながら、高電圧電流Ihighを取得するときのセンサ電圧Vssは、酸素減少電圧Vox_deに限定されず、低電圧電流Ilowを取得するときのセンサ電圧Vssよりも高く且つ酸素減少電圧Vox_de以下の電圧であればよい。
更に、第1変形装置は、予備降圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが0.2Vになったときのセンサ電流Issを低電圧電流Ilowとして取得している。しかしながら、第1変形装置は、予備電圧制御を実行せずに、再酸化降圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deよりも低い電圧になったとき、特に、センサ電圧Vssが0.2Vになったときのセンサ電流Issを低電圧電流Ilowとして取得するようにも構成され得る。
更に、第1変形装置は、電流差積算値S12そのものを用いてSOx濃度Csoxを取得しているが、補正係数によって電流差積算値S12を補正して得た値等の「電流差積算値S12に相関する値」を用いてSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
<第1変形装置の具体的な作動>
第1変形装置のECU90のCPU(以下、単に「CPU」又は「第1変形装置のCPU」と称呼する。)は、図15にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図15のステップ1500から処理を開始してステップ1510に進み、SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」であるか否かを判定する。
SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1510にて「Yes」と判定してステップ1515に進み、機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にあるか否かを判定する。
機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、CPUは、ステップ1515にて「Yes」と判定してステップ1520に進み、予備電圧制御完了フラグXaltの値が「0」であるか否かを判定する。予備電圧制御完了フラグXaltの値は、予備電圧制御が終了したときに「1」に設定され、その後、濃度取得電圧制御が終了したときに「0」に設定される。SOx濃度Csoxの取得が要求された直後は、予備電圧制御が開始されていないので、予備電圧制御完了フラグXaltの値は「0」である。
CPUがステップ1520の処理を実行する時点において予備電圧制御完了フラグXaltの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1520にて「Yes」と判定してステップ1530に進み、図16にフローチャートにより示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、図15のステップ1530に進むと、図16のステップ1600から処理を開始してステップ1605に進み、準備完了フラグXpreの値が「0」であるか否かを判定する。準備完了フラグXpreの値は、昇圧準備制御が終了したときに「1」に設定され、その後、予備降圧制御が終了したときに「0」に設定される。
CPUがステップ1605の処理を実行する時点において準備完了フラグXpreの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1605にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1610の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1615に進む。
ステップ1610:CPUは、昇圧準備制御を開始していない場合、昇圧準備制御を開始し、既に昇圧準備制御を開始している場合、昇圧準備制御を継続する。CPUは、ステップ1605にて初めて「Yes」と判定した直後にステップ1610の処理を行う場合、昇圧準備制御を開始していないので、昇圧準備制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1615にて「Yes」と判定するまで昇圧準備制御を継続する。
CPUは、ステップ1615に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.2V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vよりも高い場合、CPUは、ステップ1615にて「No」と判定してステップ1695を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.2V以下である場合、CPUは、ステップ1615にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1620及びステップ1625の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1695を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1620:CPUは、昇圧準備制御を停止する。
ステップ1625:CPUは、準備完了フラグXpreの値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ1605に進むと、CPUは、ステップ1605にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ1605の処理を実行する時点において準備完了フラグXpreの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1605にて「No」と判定してステップ1630に進み、昇圧完了フラグXup1の値が「0」であるか否かを判定する。昇圧完了フラグXup1の値は、予備昇圧制御が終了したときに「1」に設定され、その後、予備降圧制御が終了したときに「0」に設定される。
CPUがステップ1630の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXup1の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1630にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1635の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1640に進む。
ステップ1635:CPUは、予備昇圧制御を開始していない場合、予備昇圧制御を開始し、既に予備昇圧制御を開始している場合、予備昇圧制御を継続する。CPUは、ステップ1630にて初めて「Yes」と判定した直後にステップ1635の処理を行う場合、予備昇圧制御を開始していないので、予備昇圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1640にて「Yes」と判定するまで予備昇圧制御を継続する。
CPUは、ステップ1640に進むと、センサ電圧Vssが0.3Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.3V以上であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.3Vよりも低い場合、CPUは、ステップ1640にて「No」と判定してステップ1695を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.3V以上である場合、CPUは、ステップ1640にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1645及びステップ1650の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1695を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1645:CPUは、予備昇圧制御を停止する。
ステップ1650:CPUは、昇圧完了フラグXup1の値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ1630に進むと、CPUは、ステップ1630にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ1630の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXup1の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1630にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1655の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1660に進む。
ステップ1655:CPUは、予備降圧制御を開始していない場合、予備降圧制御を開始し、既に予備降圧制御を開始している場合、予備降圧制御を継続する。CPUは、ステップ1630にて初めて「No」と判定した直後にステップ1655の処理を行う場合、予備降圧制御を開始していないので、予備降圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1660にて「Yes」と判定するまで予備降圧制御を継続する。
CPUは、ステップ1660に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.2V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vよりも高い場合、CPUは、ステップ1660にて「No」と判定してステップ1695を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.2V以下である場合、CPUは、ステップ1660にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1665乃至ステップ1675の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1695を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1665:CPUは、予備降圧制御を停止する。
ステップ1670:CPUは、センサ電流Issを低電圧電流Ilowとして取得してRAMに保存する。
ステップ1675:CPUは、予備電圧制御完了フラグXaltの値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUは、図15のステップ1520に進むと、「No」と判定するようになる。更に、CPUは、準備完了フラグXpre、及び、昇圧完了フラグXup1の値を「0」に設定する。
CPUが図15のステップ1520の処理を実行する時点において予備電圧制御完了フラグXaltの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1520にて「No」と判定してステップ1540に進み、図17にフローチャートにより示した濃度取得電圧制御を実行する。
従って、CPUは、ステップ1540に進むと、図17のステップ1700から処理を開始してステップ1705に進み、昇圧完了フラグXup2の値が「0」であるか否かを判定する。昇圧完了フラグXup2の値は、分解昇圧制御が終了したときに「1」に設定され、その後、再酸化降圧制御が終了されたときに「0」に設定される。
CPUがステップ1705の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXup2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1705にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1710の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1715に進む。
ステップ1710:CPUは、分解昇圧制御を開始していない場合、分解昇圧制御を開始し、既に分解昇圧制御を開始している場合、分解昇圧制御を継続する。CPUは、ステップ1705にて初めて「Yes」と判定した直後にステップ1710の処理を行う場合、分解昇圧制御を開始していないので、分解昇圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1715にて「Yes」と判定するまで分解昇圧制御を継続する。
CPUは、ステップ1715に進むと、センサ電圧Vssが0.8Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.8V以上であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.8Vよりも低い場合、CPUは、ステップ1715にて「No」と判定してステップ1795を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.8V以上である場合、CPUは、ステップ1715にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1720及びステップ1725の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1795を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1720:CPUは、分解昇圧制御を停止する。
ステップ1725:CPUは、昇圧完了フラグXup2の値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ1705に進むと、CPUは、ステップ1705にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ1705の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXup2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1705にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1730の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1732に進む。
ステップ1730:CPUは、再酸化降圧制御を開始していない場合、再酸化降圧制御を開始し、既に再酸化降圧制御を開始している場合、再酸化降圧制御を継続する。CPUは、ステップ1705にて初めて「No」と判定した直後にステップ1730の処理を行う場合、再酸化降圧制御を開始していないので、再酸化降圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1740にて「Yes」と判定するまで再酸化降圧制御を継続する。
CPUは、ステップ1732に進むと、センサ電圧Vssが0.6V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.6Vよりも高い場合、CPUは、ステップ1732にて「No」と判定してステップ1795を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、センサ電圧Vssが0.6V以下である場合、CPUは、ステップ1732にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ1735の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1740に進む。
ステップ1735:CPUは、センサ電流Issを取得し、そのセンサ電流Issをそのときのセンサ電圧Vssと関連付けてSOx濃度電流Iss_sox(n)としてRAMに保存する。
CPUは、ステップ1740に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.2V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vよりも高い場合、CPUは、ステップ1740にて「No」と判定してステップ1795を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、センサ電圧Vssが0.2V以下である場合、CPUは、ステップ1740にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1745乃至ステップ1775の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1795を経由して図15のステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1745:CPUは、再酸化降圧制御を停止する。
ステップ1750:CPUは、図18にフローチャートにより示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ1750に進むと、図18のステップ1800から処理を開始して以下に述べるステップ1805乃至ステップ1840の処理を順に行う。
ステップ1805:CPUは、SOx濃度Csoxの取得が要求された後、図15のステップ1515にて「Yes」と判定する直前に、ステップ1560(後述)で取得してRAMに保存したセンサ電流Issを参照電流Irefとして取得する。
ステップ1810:CPUは、SOx濃度電流Iss_sox(n)のうち、センサ電圧Vssが0.6V(即ち、酸素減少電圧Vox_de)であるときのSOx濃度電流Iss_sox(1)を高電圧電流Ihighとして取得する。
ステップ1815:CPUは、センサ電流Issが高電圧電流Ihighから低電圧電流Ilowまで変化するときのセンサ電流Issの変化率を基準電流変化率Rとして取得する。
ステップ1820:CPUは、基準電流変化率Rで高電圧電流Ihighから変化する電流のうち、SOx濃度電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)にそれぞれ対応する電流を基準電流Ibase(n)として取得する。
ステップ1825:CPUは、参照電流IrefとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差の積算値を第1積算値S121(=Σ(Iref−Iss_sox(n)))として取得する。
ステップ1830:CPUは、参照電流Irefと基準電流Ibase(n)それぞれとの差の積算値を第2積算値S122(=Σ(Iref−Ibase(n)))として取得する。
ステップ1835:CPUは、第1積算値S121から第2積算値S122を減じることにより、電流差積算値S12(=S121−S122)を取得する。
ステップ1840:CPUは、電流差積算値S12をルックアップテーブルMap12Csox(S12)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
図17のステップ1775:CPUは、SOx濃度取得要求フラグXsox、予備電圧制御完了フラグXalt、及び、昇圧完了フラグXupの値をそれぞれ「0」に設定する。
CPUが図15のステップ1510の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「0」である場合、及び、CPUがステップ1515の処理を実行する時点において機関運転状態が定常運転状態でもアイドリング運転状態でもない場合、CPUは、それぞれ、ステップ1510及びステップ1515にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1550乃至ステップ1570の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1550:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を開始していない場合には、一定電圧制御を開始し、既に一定電圧制御を開始している場合には、一定電圧制御を継続する。
ステップ1560:CPUは、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得してRAMに保存する。
ステップ1570:CPUは、酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、酸素濃度Coxyを取得する。
第1変形装置のCPUが図15乃至図17に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。
更に、第1変形装置のCPUは、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。第1変形装置のCPUが図11に示したルーチンを実行する場合、ステップ1110においては、図18のステップ1840で取得したSOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定する。
第1変形装置のCPUが図11に示したルーチンを実行することにより、第1変形装置は、排気中のSOx濃度が上限濃度よりも大きいか否かを判定することができる。
尚、第1変形装置が再酸化降圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが0.2Vになったときのセンサ電流Issを低電圧電流Ilowとして取得するように構成された場合、第1変形装置のCPUは、図19にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行する。
従って、この場合、所定のタイミングになると、第1変形装置のCPUは、図19のステップ1900から処理を開始する。図19のステップ1910、ステップ1915、及び、ステップ1950乃至ステップ1970の処理は、それぞれ、図15のステップ1510、ステップ1515、及び、ステップ1550乃至ステップ1570の処理と同じである。
第1変形装置のCPUは、図19のステップ1915にて「Yes」と判定すると、ステップ1930に進み、図17に示したルーチンを実行する。但し、この場合、図17のステップ1775においては、予備電圧制御完了フラグXaltの値を「0」に設定する処理は省略される。
更に、第1変形装置のCPUは、図17のステップ1750にて行われる図18に示したルーチンにおいて、ステップ1810の代わりに、図20に示したステップ2080の処理を行う。ステップ2080においては、第1変形装置のCPUは、SOx濃度電流Iss_sox(n)のうち、センサ電圧Vssが0.6V(即ち、酸素減少電圧Vox_de)であるときのSOx濃度電流Iss_sox(1)を高電圧電流Ihighとして取得すると共に、センサ電圧Vssが0.2V(即ち、降圧終了電圧Vdown_end)であるときのSOx濃度電流Iss_sox(n)を低電圧電流Ilowとして取得する。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関のSOx濃度取得装置(以下、「第2実施装置」と称呼する。)について説明する。第2実施装置は、図21に示した内燃機関に適用される。図21に示した内燃機関は、図1に示した内燃機関と同じである。
第2実施装置は、図22に示した内部構造を有する限界電流式センサ20、ポンプセル電圧源25C、センサセル電圧源26C、電流計25D、電流計26D、電圧計26E、及び、ECU90を含んでいる。限界電流式センサ20は、2セルタイプの限界電流式センサであり、排気管83に配設されている。
図22に示したように、センサ20は、第1固体電解質層21A、第2固体電解質層21B、第1アルミナ層22A、第2アルミナ層22B、第3アルミナ層22C、第4アルミナ層22D、第5アルミナ層22E、第6アルミナ層22F、拡散律速層23、ヒータ24、ポンプセル25、第1ポンプ電極25A、第2ポンプ電極25B、センサセル26、第1センサ電極26A、第2センサ電極26B、第1大気導入路27A、第2大気導入路27B、及び、内部空間28を含んでいる。
固体電解質層21A、21Bは、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層22A〜22Fは、アルミナからなる層である。拡散律速層23は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ20では、各層は、図22において下方から、第6アルミナ層22F、第5アルミナ層22E、第4アルミナ層22D、第2固体電解質層21B、拡散律速層23及び第3アルミナ層22C、第1固体電解質層21A、第2アルミナ層22B、第1アルミナ層22Aの順で積層されている。ヒータ24は、第5アルミナ層22Eと第6アルミナ層22Fとの間に配置されている。
第1大気導入路27Aは、第1アルミナ層22Aと第2アルミナ層22Bと第1固体電解質層21Aとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。第2大気導入路27Bは、第2固体電解質層21Bと第4アルミナ層22Dと第5アルミナ層22Eとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間28は、第1固体電解質層21Aと第2固体電解質層21Bと拡散律速層23と第3アルミナ層22Cとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層23を介してセンサ外部に連通している。
第1ポンプ電極25A及び第2ポンプ電極25Bは、還元性の低い材料(例えば、金と白金との合金)からなる電極である。第1ポンプ電極25Aは、第2固体電解質層21Bの一方の側の壁面(即ち、内部空間28を形成する第2固体電解質層21Bの壁面)に配置され、第2ポンプ電極25Bは、第2固体電解質層21Bの他方の側の壁面(即ち、第2大気導入路27Bを形成する第2固体電解質層21Bの壁面)に配置されている。これら電極25A、25Bと第2固体電解質層21Bとは、ポンプセル25を構成している。
機関50から排出された排気は、拡散律速層23を通って内部空間28に流入する。第1ポンプ電極25Aは、内部空間28に流入した排気に晒される。
センサ20は、ポンプセル25(具体的には、第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bとの間)にポンプセル電圧源25Cから直流電圧を印加可能に構成されている。ポンプセル電圧源25Cがポンプセル25に直流電圧を印加した場合、第1ポンプ電極25Aは陰極側の電極であり、第2ポンプ電極25Bは陽極側の電極である。
ポンプセル25に電圧が印加されると、内部空間28内の酸素が第1ポンプ電極25Aに接触したときに、この酸素が第1ポンプ電極25A上で酸素イオンとなり、この酸素イオンが第2固体電解質層21Bの内部を第2ポンプ電極25Bに向かって移動する。このとき、第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bとの間には、第2固体電解質層21Bの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2ポンプ電極25Bに達すると、酸素イオンは第2ポンプ電極25Bにおいて酸素となって第2大気導入路27Bに放出される。つまり、ポンプセル25は、排気中の酸素を排気からポンピングによって大気に放出し、排気中の酸素濃度を低下させることができる。このポンプセル25のポンピング能力は、ポンプセル電圧源25Cから当該ポンプセル25に印加される電圧が高いほど高い。
第1センサ電極26A及び第2センサ電極26Bは、還元性の高い材料(例えば、白金若しくはロジウム等の白金族元素又はその合金)からなる電極である。第1センサ電極26Aは、第1固体電解質層21Aの一方の側の壁面(即ち、内部空間28を形成する第1固体電解質層21Aの壁面)に配置され、第2センサ電極26Bは、第1固体電解質層21Aの他方の側の壁面(即ち、第1大気導入路27Aを形成する第1固体電解質層21Aの壁面)に配置されている。これら電極26A、26Bと第1固体電解質層21Aとは、センサセル26を構成している。
第1センサ電極26Aは、拡散律速層23を通って内部空間28に流入した排気に晒される。
センサ20は、センサセル26(具体的には、第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間)にセンサセル電圧源26Cから電圧を印加可能に構成されている。センサセル電圧源26Cは、センサセル26に直流電圧を印加可能に構成されている。センサセル電圧源26Cがセンサセル26に直流電圧を印加した場合、第1センサ電極26Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極26Bは陽極側の電極である。
センサセル26に電圧が印加されると、内部空間28内のSOxが第1センサ電極26Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極26A上で分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが第1固体電解質層21Aの内部を第2センサ電極26Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間には、第1固体電解質層21Aの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極26Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極26Bにおいて酸素となって第1大気導入路27Aに放出される。
ヒータ24、ポンプセル電圧源25C、センサセル電圧源26C、電流計25D、電流計26D及び電圧計26Eは、ECU90に接続されている。
ECU90は、センサセル26の温度がセンサ20を活性状態とする温度(所謂、センサ活性温度)に維持されるようにヒータ24の作動を制御する。
更に、ECU90は、後述するように設定される電圧がポンプセル電圧源25Cからポンプセル25に印加されるようにポンプセル電圧源25Cの電圧を制御する。
更に、ECU90は、後述するように設定される電圧がセンサセル電圧源26Cからセンサセル26に印加されるようにセンサセル電圧源26Cの電圧を制御する。
電流計25Dは、ポンプセル25を含む回路に流れている電流Ipp(以下、「ポンプ電流Ipp」と称呼する。)を検出し、その検出したポンプ電流Ippを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてポンプ電流Ippを取得する。
電流計26Dは、センサセル26を含む回路に流れている電流Iss(以下、「センサ電流Iss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電流Issを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電流Issを取得する。
電圧計26Eは、センサセル26に印加されている電圧Vss(以下、「センサ電圧Vss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電圧Vssを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電圧Vssを取得する。
<第2実施装置の作動の概要>
<SOx濃度の取得>
本願の発明者は、センサ20において、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加しつつ、センサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させた後、0.8Vから0.2Vまで低下させたとき、センサ10と同様に、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めた後、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになったときのセンサ電流Issを基準電流Ibaseとして取得し、更に、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになって以降の複数のセンサ電流Iss(1)乃至Iss(m)を取得し、「それら取得したセンサ電流Iss(n)(即ち、センサ電流Iss(1)乃至Iss(m))それぞれ」と「基準電流Ibase」との差dIss(n)(=Ibase−Iss(n))の積算値S21を取得すると、その積算値S21と第1センサ電極26Aに到達する排気中のSOx濃度との間にも、積算値S21が大きくなるほどSOx濃度が大きくなるという関係があるとの知見を得た。
そこで、第2実施装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されていないときには、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加した状態で、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を実行しておく。
そして、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、第2実施装置は、上記濃度取得電圧制御を開始する。
第2実施装置は、濃度取得電圧制御の実行中、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deである0.6Vになったときのセンサ電流Issを基準電流Ibaseとして取得する。更に、第2実施装置は、センサ電圧Vssが0.6Vから降圧終了電圧Vdown_endである0.2Vまで低下する間、センサ電圧Vssが所定値だけ低下する毎に取得したセンサ電流IssをそれぞれSOx濃度電流Iss_sox(n)として取得し、それらSOx濃度電流Iss_sox(n)を、それら電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)と関連付けてRAMに保存する。
第2実施装置は、基準電流IbaseとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差を電流差dIss(n)(=Ibase−Iss_sox(n))として取得し、それら電流差dIss(n)の積算値を電流差積算値S21(=Σ(dIss(n)))として取得する。
第2実施装置は、取得した電流差積算値S21をルックアップテーブルMap21Csox(S21)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。テーブルMap21Csox(S21)は、電流差積算値S21と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap21Csox(S21)によれば、電流差積算値S21が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第2実施装置は、濃度取得電圧制御の終了後、一定電圧制御を開始して、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させて0.4Vで一定とする。
第2実施装置は、電流差積算値S21を用いてSOx濃度Csoxを取得する。電流差積算値S21は、第1センサ電極26Aに到達する排気中のSOx濃度に相関する値である。従って、第2実施装置によれば、排気中のSOx濃度を取得することができる。
更に、(1)電流差積算値S21の取得に利用される基準電流Ibase及びSOx濃度電流Iss_sox(n)は、SOxを起源とする硫黄成分の酸化反応の影響を受けた電流であり、(2)電流差積算値S21の取得に利用される電流差dIssは、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分が排除された値(或いは、殆ど排除された値)であり、(3)電流差積算値S21は、複数のSOx濃度電流Iss_sox(n)を用いて取得される値である。
従って、SOx濃度が変化したときの電流差積算値S21の変化割合は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていない電流を基準電流とする場合においてSOx濃度が変化したときの基準電流と1つのSOx濃度電流Iss_soxとの差の変化割合に比べて大きい。このため、電流差積算値S21は、SOx濃度の変化を明確に表す。第2実施装置は、その電流差積算値S21を用いてSOx濃度Csoxを取得する。このため、SOx濃度をより精度良く取得することができる。
尚、第2実施装置は、予備電圧制御及び濃度取得電圧制御を実行するとき、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加している。このため、予備電圧制御及び濃度取得電圧制御の実行中に機関運転状態が変化しても、第1センサ電極26Aに到達する排気中の酸素濃度は略一定である。従って、第2実施装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態になくても、予備電圧制御及び濃度取得電圧制御を実行してSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
<NOx濃度の取得>
排気中に窒素酸化物(以下、「NOx」と称呼する。)が含まれている場合、センサ電圧Vssが0.4Vに維持されているときにNOxがセンサセル26によって還元されて窒素と酸素とに分解される。そして、NOxの分解によって生成された酸素は、センサセル26において酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層21Aの内部を第2センサ電極26Bに向かって移動する。
内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されていても、ポンプセル25を構成するポンプ電極25A及び25Bは、還元性の低い材料から形成されているので、ポンプセル25では、排気中のNOxは殆ど還元されない。そして、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されている場合、センサセル26に到達する排気中には、酸素は殆ど存在しない。
従って、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されており且つセンサ電圧Vssが0.4Vに維持されているときに固体電解質層21Aの内部を移動した酸素イオン量に比例して出力されるセンサ電流Issは、排気中のNOx濃度に比例した電流である。そして、このときのセンサ電流Issと排気中のNOx濃度との間には、図23に示した関係がある。従って、このときのセンサ電流Issを用いて排気中のNOx濃度を取得することができる。
そこで、第2実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加するポンプ電圧制御を実行しつつ、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を実行する。第2実施装置は、そのときのセンサ電流IssをNOx濃度電流Iss_noxとして取得し、そのNOx濃度電流Iss_noxをルックアップテーブルMapCnox(Iss_nox)に適用することにより、排気中のNOx濃度Cnoxを取得する。テーブルMapCnox(Iss_nox)は、センサ20のセンサ電流Issと排気中のNOx濃度Cnoxとの関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMapCnox(Iss_nox)によれば、NOx濃度電流Iss_noxが大きいほど、大きいNOx濃度Cnoxが取得される。
<酸素濃度の取得>
ポンプセル電圧源25Cからポンプセル25に印加される電圧(以下、「ポンプ電圧Vpp」と称呼する。)とポンプ電流Ippとの間にも、図3に示した関係がある。そこで、第2実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppをポンプセル25に印加するポンプ電圧制御の実行中のポンプ電流Ippを酸素濃度電流Ipp_oxyとして取得し、その酸素濃度電流Ipp_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Ipp_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。テーブルMapCoxy(Ipp_oxy)は、ポンプ電流Ippと排気中の酸素濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMapCoxy(Ipp_oxy)によれば、酸素濃度電流Ipp_oxyが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
これによれば、第2実施装置は、排気中のSOx濃度Csox及びNOx濃度Cnoxに加えて排気中の酸素濃度Coxyを取得することができる。
尚、センサ電圧Vssとセンサ電流Issと排気中の酸素濃度Coxyとの関係も、図3に示した関係と同じ関係にある。従って、第2実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vに制御した状態でポンプ電圧Vppを零にし、そのときのセンサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得し、その酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得するようにも構成され得る。テーブルMapCoxy(Iss_oxy)によれば、酸素濃度電流Iss_oxyが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
<第2実施装置の具体的な作動>
次に、第2実施装置の具体的な作動について説明する。第2実施装置のECU90のCPU(以下、「第2実施装置のCPU」と称呼する。)は、第1実施装置と同様に、図9及び図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第2実施装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第2実施装置のCPUは、図9のステップ960にて図10に示したルーチンを実行するが、第2実施装置のCPUは、図10のステップ1030においては、電流差積算値S21を取得し、図10のステップ1040においては、電流差積算値S21をルックアップテーブルMap21Csox(S21)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
また、第2実施装置のCPUは、図9のステップ980乃至ステップ990の処理の代わりに、図24のステップ2480乃至ステップ2490の処理を行う。
従って、第2実施装置のCPUが図9のステップ905の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「0」である場合、及び、第2実施装置のCPUがステップ910の処理を実行する時点において機関運転状態が定常運転状態でもアイドリング運転状態でもない場合、第2実施装置のCPUは、それぞれ、ステップ905及びステップ910にて「No」と判定し、以下に述べる図24のステップ2480乃至ステップ2490の処理を順に行う。その後、第2実施装置のCPUは、図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ2480:第2実施装置のCPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を開始していない場合、一定電圧制御を開始し、既に一定電圧制御を開始している場合、一定電圧制御を継続する。
ステップ2485:第2実施装置のCPUは、ポンプ電流Ipp及びセンサ電流Issをそれぞれ酸素濃度電流Ipp_oxy及びNOx濃度電流Iss_noxとして取得してRAMに保存する。
ステップ2487:第2実施装置のCPUは、NOx濃度電流Iss_noxをルックアップテーブルMapCnox(Iss_nox)に適用することにより、排気中のNOx濃度Cnoxを取得する。
ステップ2490:第2実施装置のCPUは、酸素濃度電流Ipp_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Ipp_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。
尚、第2実施装置のCPUは、別途、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppがポンプセル25に印加されるようにポンプセル電圧源25Cを制御している。
第2実施装置のCPUが図9に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox、NOx濃度Cnox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。更に、第2実施装置のCPUが図11に示したルーチンを実行することにより、排気中のSOx濃度が上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定することができる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例に係る内燃機関のSOx濃度取得装置(以下、「第2変形装置」と称呼する。)について説明する。
<第2変形装置の作動の概要>
センサ10と同様に、センサ20についても、センサ電圧Vssが高電圧電流Ihighから低電圧電流Ilowまで変化するときのセンサ電流Issの変化率を基準電流変化率Rとして取得し、その基準電流変化率Rで高電圧電流Ihighから変化する電流のうち、SOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれを取得したときのセンサ電圧Vss(n)にそれぞれ対応する電流をそれぞれ基準電流Ibase(n)として取得し、基準電流Ibase(n)それぞれとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差を電流差dIss(n)として取得し、それら電流差dIss(n)の積算値S22を取得すると、排気中のSOx濃度が大きいほど大きくなる積算値S22を取得することができる。
そこで、第2変形装置は、第1変形装置が行う処理と同様の処理を行うことにより、SOx濃度Csoxを取得する。即ち、第2変形装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、上記予備電圧制御を開始する。第2変形装置は、予備電圧制御の実行中に低電圧電流Ilowを取得する。
第2変形装置は、予備電圧制御を停止した後、上記濃度取得電圧制御を開始し、センサ電圧Vssが0.6Vから0.2Vまで低下するまでの間、センサ電圧Vssが所定値だけ低下する毎にセンサ電流IssをSOx濃度電流Iss_sox(n)として取得し、それらSOx濃度電流Iss_sox(n)を、それら電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)と関連付けてRAMに保存しておく。
第2変形装置は、参照電流IrefとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差の積算値を第1積算値S221(=Σ(Iref−Iss_sox(n)))として取得する。
更に、第2変形装置は、再酸化降圧制御の実行中、センサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_de(本例にておいは、0.6V)に達したときのセンサ電流Issを高電圧電流Ihighとして取得する。
第2変形装置は、センサ電流Issが高電圧電流Ihighから低電圧電流Ilowまで変化するときのセンサ電流Issの平均変化率を基準電流変化率Rを取得し、その基準電流変化率Rで高電圧電流Ihighから変化する電流のうち、SOx濃度電流Iss_sox(n)をそれぞれ取得したときのセンサ電圧Vss(n)にそれぞれ対応する電流をそれぞれ基準電流Ibase(n)として取得する。
第2変形装置は、参照電流Irefと基準電流Ibase(n)それぞれとの差の積算値を第2積算値S222(=Σ(Iref−Iss_sox(n)))として取得する。
第2変形装置は、第1積算値S221から第2積算値S222を減じることにより、電流差積算値S22(=S221−S222)を取得する。
即ち、第2変形装置は、上述した手法により、基準電流Ibase(n)それぞれとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差を電流差dIss(n)としてそれぞれ取得し、それら電流差dIss(n)の積算値を電流差積算値S22として取得する。
そして、第2変形装置は、電流差積算値S22をルックアップテーブルMap22Csox(S22)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。テーブルMap22Csox(S22)は、電流差積算値S22と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap22Csox(S22)によれば、電流差積算値S22が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第2変形装置は、電流差積算値S22を用いてSOx濃度Csoxを取得する。電流差積算値S22は、第1センサ電極26Aに到達する排気中のSOx濃度に相関する値である。従って、排気中のSOx濃度を取得することができる。
更に、センサ20において、基準電流変化率Rは、排気中のSOx濃度が零である場合においてセンサ電圧Vssが酸素減少電圧Vox_deになって以降のセンサ電流Issの変化率に近い値である。従って、基準電流変化率Rに基づいて取得される電流を基準電流Ibase(n)として用いることにより、基準電流Ibase(n)それぞれとSOx濃度電流Iss_sox(n)それぞれとの差は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていないセンサ電流Issの成分がより排除された値(或いは、殆ど排除された値)となる。このため、SOx濃度が変化したときの電流差積算値S22の変化割合は、硫黄成分の酸化反応の影響を受けていない電流を基準電流として用いる場合においてSOx濃度が変化したときの基準電流と1つのSOx濃度電流Iss_soxとの差の変化割合に比べて大きくなる。従って、電流差積算値S12は、SOx濃度の変化をより明確に表す。このため、SOx濃度をより精度良く取得することができる。
<第2変形装置の具体的な作動>
次に、第2変形装置の具体的な作動について説明する。第2変形装置のECU90のCPU(以下、「第2変形装置のCPU」と称呼する。)は、図15及び図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第2変形装置のCPUが図15に示したルーチンを実行する場合、第2変形装置のCPUは、図15のステップ1540にて図17に示したルーチンを実行し、図17のステップ1750にて図18に示したルーチンを実行するが、第2変形装置のCPUは、図18のステップ1835においては、電流差積算値S22を取得し、図18のステップ1840においては、電流差積算値S22をルックアップテーブルMap22Csox(S22)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
更に、第2変形装置のCPUは、図15のステップ1550乃至ステップ1570の処理の代わりに、図24のステップ2480乃至ステップ2490の処理を行う。
尚、第2変形装置のCPUも、別途、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppがポンプセル25に印加されるようにポンプセル電圧源25Cを制御している。
第2変形装置のCPUが図15に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox、NOx濃度Cnox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。更に、第2変形装置のCPUが図11に示したルーチンを実行することにより、排気中のSOx濃度が上限濃度よりも大きいか否かを判定することができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。