JP2019109063A - 内燃機関のSOx濃度取得装置 - Google Patents

内燃機関のSOx濃度取得装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より正確なSOx濃度を取得できる内燃機関のSOx濃度取得装置を提供する。【解決手段】固体電解質層を挟む電極と電極の間に印加される電圧Vssを、SOxの分解開始電圧よりも低い電圧から分解開始電圧以上の電圧まで上昇させる昇圧制御を実行し、その後、分解開始電圧よりも低い電圧まで低下させる降圧制御を実行する。昇圧制御及び降圧制御の実行時のセンサ電圧の位相に対するセンサ電流の位相のずれ角度に相当する時間を進角時間Tとして取得する。降圧制御の実行中にセンサ電流の最小値を最小電流Iminとして取得し、最小電流の取得時点よりも進角時間だけ前に電極間に印加されたセンサ電圧を基準電圧Vbaseとして取得する。昇圧制御の実行中にセンサ電圧が基準電圧となった時点よりも進角時間だけ前に流れたセンサ電流を参照電流として取得する。参照電流と最小電流との差dIss1に基づいて排気中のSOx濃度を取得する。【選択図】図10

Description

本発明は、内燃機関のSOx濃度取得装置に関する。
内燃機関から排出される排気中の硫黄酸化物(以下、「SOx」と称呼する。)の濃度を取得するSOx濃度取得装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この従来のSOx濃度取得装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、限界電流式センサを備える。限界電流式センサは、複数の固体電解質層、並びに、固体電解質層を挟むように配設された第1センサ電極及び第2センサ電極を備える。
従来装置は、第1センサ電極と第2センサ電極との間に印加する電圧(以下、「センサ電圧」と称呼する。)を上昇させた後に低下させる。そして、センサ電圧の低下中に第1センサ電極と第2センサ電極との間に流れる電流の最小値(以下、「最小電流」と称する。)が排気中のSOxの濃度(以下、「SOx濃度」と称呼する。)に相関する値であることから、従来装置は、最小電流に基づいてSOx濃度を取得するようになっている。
特開2015−17931号公報
最小電流に基づいたSOx濃度の取得方法として、最小電流が流れた時点のセンサ電圧と等しい値のセンサ電圧がセンサ電圧の上昇中に第1センサ電極と第2センサ電極との間に印加されたときに流れた電流を参照電流として取得し、この参照電流と最小電流との差に基づいてSOx濃度を取得するという方法が考えられる。
ところが、第1センサ電極、第2センサ電極及び固体電解質層を含む回路(以下、「センサセル回路」と称する。)は、容量成分を含む回路であり、センサ電圧を上昇させた後に低下させた場合、センサセル回路に交流電圧が印加されることになる。
一般に、容量成分を含む回路に交流電圧が印加されると、回路を流れる電流の位相が交流電圧の位相よりも進むことが知られている。従って、先に述べたように、参照電流と最小電流との差(以下、「電流差」と称する。)を取得した場合、その電流差は、同じ値のセンサ電圧に対応する電流同士の差ではないことになる。従って、排気中のSOx濃度が同じでも、条件によっては、電流差が異なる可能性がある。このため、上述した電流差に基づいてSOx濃度を取得した場合、そのSOx濃度が正確なSOx濃度ではない可能性がある。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、より正確なSOx濃度を取得できる内燃機関のSOx濃度取得装置を提供することにある。
本発明に係る内燃機関のSOx濃度取得装置(以下、「本発明装置」と称呼する。)は、固体電解質層(11:21A)、第1センサ電極(15A:26A)、第2センサ電極(15B:26B)及びセンサセル電圧源(15C:26C)を備える。
前記第1センサ電極と前記第2センサ電極とは、前記固体電解質層を挟むように配設される。前記センサセル電圧源は、前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間に電圧を印加するように配設される。
本発明装置は、前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間の前記固体電解質層を流れる電流をセンサ電流(Iss)として取得するように構成される。
本発明装置は、前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間に印加される電圧であるセンサ電圧(Vss)を、SOxを硫黄成分と酸素成分とに分解できる電圧の最小値である分解開始電圧(Vdec_start)よりも低い電圧から、前記分解開始電圧以上の電圧(Vup_end)まで上昇させる昇圧制御を実行し(図10のステップ1020の処理)、その後、前記分解開始電圧よりも低い電圧(Vdown_end)まで低下させる降圧制御を実行する(図10のステップ1045の処理)。
本発明装置は、前記昇圧制御と前記降圧制御とを実行したときの前記センサ電圧の位相に対する前記センサ電流の位相のずれ角度に相当する時間を進角時間(T)として取得する(図10のステップ1007の処理)。
更に、本発明装置は、前記降圧制御の実行中に前記センサ電流の最小値を最小電流(Imin)として取得すると共に、前記最小電流の取得時点よりも前記進角時間だけ前に前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間に印加された前記センサ電圧を基準電圧(Vbase)として取得する(図10のステップ1060の処理)。
更に、本発明装置は、前記昇圧制御の実行中に前記センサ電圧が前記基準電圧となった時点よりも前記進角時間だけ前に流れた前記センサ電流を参照電流(Iref)として取得する(図10のステップ1065の処理)。
そして、本発明装置は、前記参照電流と前記最小電流との差(dIss1:dIss2)に基づいて前記排気中のSOx濃度を取得する(図10のステップ1070及びステップ1075の処理:図13のステップ1375乃至ステップ1385の処理)。
本発明装置は、最小電流の取得時点よりも進角時間だけ前に第1センサ電極と第2センサ電極との間に印加されたセンサ電圧を基準電圧として取得し、そして、昇圧制御の実行中にセンサ電圧が基準電圧となった時点よりも進角時間だけ前に流れたセンサ電流を参照電流として取得する。このため、本発明装置は、最小電流を流したセンサ電圧と同じ値のセンサ電圧で流されたセンサ電流を参照電流として取得している。従って、参照電流と最小電流との差は、同じ値のセンサ電圧で流される電流同士の差である。このため、より正確なSOx濃度を取得することができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の第1実施形態に係るSOx濃度取得装置(以下、「第1実施装置」と称呼する。)を備えた内燃機関を示した図である。 図2は、第1実施装置のセンサの内部構造を示した図である。 図3は、第1実施装置のセンサのセンサセルに印加される電圧(センサ電圧)とセンサセルに流れる電流(センサ電流)と排気の空燃比との関係を示した図である。 図4は、第1実施装置のセンサセルに印加される電圧(センサ電圧)とセンサセルに流れる電流(センサ電流)との関係を示した図である。 図5は、電流差とSOx濃度との関係を示した図である。 図6は、センサセルを含む電気回路の等価回路を示した図である。 図7は、第1実施装置のセンサセルに印加される電圧(センサ電圧)とセンサセルに流れる電流(センサ電流)との関係を示した図である。 図8は、ナイキスト線図を示した図である。 図9は、第1実施装置のECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図10は、第1実施装置のECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図11は、第1実施装置のECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図12は、第1実施形態の変形例に係るSOx濃度取得装置のECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図13は、第1実施形態の変形例に係るSOx濃度取得装置のECUのCPUが行うステップを示した図である。 図14は、本発明の第2実施形態に係るSOx濃度取得装置(以下、「第2実施装置」と称呼する。)を備えた内燃機関を示した図である。 図15は、第2実施装置のセンサの内部構造を示した図である。 図16は、第2実施装置のセンサセルに流れる電流(センサ電流)とNOx濃度との関係を示した図である。 図17は、第2実施装置のECUのCPUが行うステップを示した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る内燃機関のSOx濃度取得装置について説明する。本発明の第1実施装置に係るSOx濃度取得装置(以下、「第1実施装置」と称呼する。)は、図1に示した内燃機関に適用される。
図1に示した内燃機関は、火花点火式内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。しかしながら、本発明は、圧縮自着火式内燃機関(いわゆるディーゼルエンジン)にも適用可能である。又、図1に示した内燃機関は、大部分の機関運転領域において、空燃比が理論空燃比(ストイキ)にて運転される。
図1において、50は内燃機関の本体、51はシリンダヘッド、52はシリンダブロック、53は燃焼室、54は燃料噴射弁、55は点火プラグ、56は燃料ポンプ、57は燃料供給管、60はピストン、61はコネクティングロッド、62はクランクシャフト、63はクランク角度センサ、70は吸気弁、71は吸気ポート、72は吸気マニホルド、73はサージタンク、74はスロットル弁、75は吸気管、76はエアフローメータ、77はエアフィルタ、80は排気弁、81は排気ポート、82は排気マニホルド、83は排気管、90は電子制御装置(以下、「ECU」と称呼する。)、91はアクセルペダル、92はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。
燃料噴射弁54、点火プラグ55、スロットル弁74、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、アクセルペダル踏込量センサ92、及び、限界電流式センサ10は、ECU90に電気的に接続されている。
ECU90は、エレクトロニックコントロールユニットであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。
ECU90は、燃料噴射弁54、点火プラグ55及びスロットル弁74に「それらを動作させるための信号」を送信する。又、ECU90は、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、及び、アクセルペダル踏込量センサ92から信号を受信する。
クランク角度センサ63は、クランクシャフト62の回転速度に対応する信号を出力する。ECU90は、クランク角度センサ63から受信した信号に基づいて機関回転数を算出する。
エアフローメータ76は、そこを通過する空気の流量(ひいては、燃焼室53に吸入される空気の流量)に対応する信号を出力する。ECU90は、エアフローメータ76から受信した信号に基づいて吸入空気量を算出する。
アクセルペダル踏込量センサ92は、アクセルペダル91の踏込量に対応する信号を出力する。ECU90は、アクセルペダル踏込量センサ92から受信した信号に基づいて機関負荷KLを算出する。
第1実施装置は、限界電流式センサ10、センサセル電圧源15C、電流計15D、電圧計15E、及び、ECU90を含んでいる。限界電流式センサ10(以下、単に「センサ10」と称呼する。)は、1セルタイプの限界電流式センサであり、排気管83に配設されている。
図2に示したように、センサ10は、固体電解質層11、第1アルミナ層12A、第2アルミナ層12B、第3アルミナ層12C、第4アルミナ層12D、第5アルミナ層12E、拡散律速層13、ヒータ14、センサセル15、第1センサ電極15A、第2センサ電極15B、大気導入路16、及び、内部空間17を含んでいる。
固体電解質層11は、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層12A〜12Eは、アルミナからなる層である。拡散律速層13は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ10では、各層は、図2において下方から、第5アルミナ層12E、第4アルミナ層12D、第3アルミナ層12C、固体電解質層11、拡散律速層13及び第2アルミナ層12B、第1アルミナ層12Aの順で積層されている。ヒータ14は、第4アルミナ層12Dと第5アルミナ層12Eとの間に配置されている。
大気導入路16は、固体電解質層11と第3アルミナ層12Cと第4アルミナ層12Dとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間17は、第1アルミナ層12Aと固体電解質層11と拡散律速層13と第2アルミナ層12Bとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層13を介してセンサ外部に連通している。機関50から排出された排気は、拡散律速層13を通って内部空間17に流入する。
第1センサ電極15A及び第2センサ電極15Bは、還元性の高い材料(例えば、白金もしくはロジウム等の白金族元素又はその合金)からなる電極である。第1センサ電極15Aは、固体電解質層11の一方の側の壁面(即ち、内部空間17を形成する固体電解質層11の壁面)に配置される。従って、第1センサ電極15Aは、内部空間17に露出している。第2センサ電極15Bは、固体電解質層11の他方の側の壁面(即ち、大気導入路16を形成する固体電解質層11の壁面)に配置されている。第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bと固体電解質層11とは、センサセル15を構成している。
センサ10は、センサセル15(具体的には、第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間)にセンサセル電圧源15Cから電圧を印加されるように構成されている。センサセル電圧源15Cは、センサセル15に直流電圧及び交流電流を選択的に印加するように構成されている。センサセル電圧源15Cがセンサセル15に直流電圧を印加した場合、第1センサ電極15Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極15Bは陽極側の電極である。
ヒータ14、センサセル電圧源15C,電流計15D及び電圧計15Eは、ECU90に接続されている。
ECU90は、所定の電圧がセンサセル電圧源15Cからセンサセル15に印加されるようにセンサセル電圧源15Cの電圧を制御する。
電流計15Dは、センサセル15に流れる電流Iss(以下、「センサ電流Iss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電流Issを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電流Issを取得する。
電圧計15Eは、センサセル15に印加されている電圧Vss(以下、「センサ電圧Vss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電圧Vssを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電圧Vssを取得する。
ECU90は、所定の条件が成立した場合、センサセル15に交流電圧が印加されるようにセンサセル電圧源15Cの電圧を制御する素子温電圧制御を実行し、そのときのセンサ電圧Vssの変化量及びセンサ電流Issの変化量に基づいてセンサセル15のインピーダンスZs(以下、「センサインピーダンスZs」と称呼する。)を取得する。センサインピーダンスZsは、センサセル15の温度が高いほど小さくなる。ECU90は、センサインピーダンスZsに基づいてセンサセル15の温度がセンサ10を活性状態とする温度(所謂、センサ活性温度)に維持されるようにヒータ14の作動を制御する。
<第1実施装置の作動の概要>
<SOx濃度の取得>
センサセル15に電圧が印加されると、内部空間17に流入した排気中の硫黄酸化物(以下、「SOx」と称呼する。)が第1センサ電極15Aに接触したとき、そのSOxが第1センサ電極15A上で還元されて分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層11の内部を第2センサ電極15Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間には、固体電解質層11の内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。酸素イオンは、第2センサ電極15Bに達すると、第2センサ電極15Bにおいて酸素となって大気導入路16に放出される。
センサ電圧Vssとセンサ電流Issと排気の空燃比A/Fとの間には、図3に示した関係がある。排気の空燃比A/Fは、燃焼室53内に形成される混合気の空燃比に相当し、以下、「排気空燃比A/F」と称呼する。
図3において、「A/F=12」によって示したラインは、排気空燃比A/Fが「12」である場合のセンサ電圧Vssの変化に対するセンサ電流Issの変化を示している。同様に、「A/F=13〜A/F=18」によって示したラインは、それぞれ、排気空燃比A/Fが「13〜18」である場合のセンサ電圧Vssの変化に対するセンサ電流Issの変化を示している。
例えば、排気空燃比A/Fが「18」である場合、センサ電圧Vssが所定値Vthよりも小さい範囲では、センサ電流Issが負の値である場合、センサ電圧Vssが高いほど、センサ電流Issの絶対値が小さく、センサ電流Issが正の値である場合、センサ電圧Vssが高いほど、センサ電流Issの絶対値が大きい。一方、センサ電圧Vssが上記所定値Vth以上である一定の範囲では、センサ電圧Vssに依らず、センサ電流Issは一定の値となる。
こうしたセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとの関係は、排気空燃比A/Fが「12〜17」である場合にも同様に成立する。
ところで、「SOxを含んでおらず且つ酸素濃度が特定の一定濃度である排気」が第1センサ電極15Aに到達している場合に、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させた後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたとき、センサ電流Issは、図4の(A)に示したように変化することが判明した。
より具体的に述べると、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させ始めると、図4の(A)に線LUで示したように、センサ電流Issは上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.25Vとなって以降、約0.6Vとなるまで、略一定となる。センサ電圧Vssが約0.6Vとなると、センサ電流Issは再び上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.78Vとなって以降、0.8Vとなるまで、センサ電流Issは略一定となる。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めると、図4の(A)に線LDで示したように、センサ電流Issは低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.6Vとなって以降、約0.25Vとなるまで、センサ電流Issは略一定となる。センサ電圧Vssが約0.25Vとなると、センサ電流Issは再び低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.22Vとなって以降、0.2Vとなるまで、センサ電流Issは上昇する。
一方、「SOxを含んでおり且つ酸素濃度が上記特定の一定の濃度である排気」が第1センサ電極15Aに到達している場合に、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させた後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたとき、センサ電流Issは、図4の(B)に示したように変化することが判明した。
より具体的に述べると、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させ始めると、図4の(B)に線LUで示したように、センサ電流Issは上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.25Vとなって以降、約0.6Vとなるまで、略一定となる。センサ電圧Vssが約0.6Vとなると、センサ電流Issは再び上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.78Vとなって以降、0.8Vとなるまで、センサ電流Issは略一定となる。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めると、図4の(B)に線LDで示したように、センサ電流Issは低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.62Vになると、センサ電流Issは上昇し始める。即ち、センサ電圧Vssが約0.62Vになったとき、センサ電流Issは最小値となる。そして、センサ電圧Vssが約0.45Vになって以降、約0.25Vとなるまで、センサ電流Issは略一定となる。センサ電圧Vssが約0.25Vとなると、センサ電流Issは低下し始める。そして、センサ電圧Vssが約0.21Vになって以降、0.2Vとなるまで、センサ電流Issは上昇する。
このように、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issの変化(図4の(B)を参照。)は、SOxを含んでいない排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issの変化(図4の(A)を参照。)とは明らかに異なる。
より具体的に述べると、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issは、概して、SOxを含んでいない排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issよりも低くなる。
特に、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到達している場合にセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させると、センサ電流Issは、ピークのある変化を示す。上述したように、本例においては、センサ電圧Vssが約0.62Vになったときに、センサ電流Issがピークとなる。
本願の発明者は、排気がSOxを含んでいない場合よりも、排気がSOxを含んでいる場合のほうが、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issが低くなり、そして、排気がSOxを含んでいる場合、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときにセンサ電流Issがピークのある変化を示す理由を以下のように推察している。
センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vに上昇させている間にセンサ電圧Vssが或る値以上になると、第1センサ電極15Aに到達するSOxは、第1センサ電極15Aにて硫黄成分と酸素成分とに分解される。そして、酸素成分は、酸素イオンとなって固体電解質層11を通って第2センサ電極15Bに向かい、硫黄成分は、第1センサ電極15Aに付着する。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vに低下させる間にセンサ電圧Vssが或る値以下になると、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分は、酸素によって酸化されてSOxに戻る。このとき、SOxが第1センサ電極15Aにて硫黄成分と酸素成分とに分解する分解反応が行われている可能性もあるが、その分解反応よりも、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分の酸化反応のほうが支配的になる。その結果、分解反応によってSOxから放出される酸素の量よりも、酸化反応によって消費される内部空間17内の酸素の量のほうが多くなるため、固体電解質層11を通って第2センサ電極15Bに向かう酸素イオンの量が少なくなる。このため、センサ電流Issが低くなる。
以上の理由から、本願の発明者は、排気がSOxを含んでいない場合よりも、排気がSOxを含んでいる場合のほうが、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issが低くなるものと推察している。
そして、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vに低下させる間に硫黄成分の酸化反応に消費される酸素の量は、センサ電圧Vssが或る値となったときに最も多くなる。このため、本願の発明者は、センサ電流Issがピークのある変化を示すものと推察している。
尚、本例において、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させた場合における0.8Vの電圧は、第1センサ電極15AにおけるSOxの分解量が正確なSOx濃度の取得に適した十分に多い量となるように適宜設定される電圧であり、以下、「昇圧終了電圧Vup_end」と称呼する。
更に、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させた場合における0.2Vの電圧は、第1センサ電極15Aに付着している硫黄成分の酸化量が正確なSOx濃度の取得に適した十分に多い量となるように適宜設定される電圧であり、以下、「降圧終了電圧Vdown_end」と称呼する。
更に、以下の説明において、SOxを硫黄成分と酸素成分とに分解できるセンサ電圧Vssの最小値を「分解開始電圧Vdec_start」と称呼し、硫黄成分が酸化されてSOxに戻るセンサ電圧Vssの最大値を「再酸化開始電圧Vox_start」と称呼する。
以上のことから、本願の発明者は、センサ電圧Vssを0.2Vから、0.8V(即ち、昇圧終了電圧Vup_end)まで上昇させる昇圧制御を行った後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2V(即ち、降圧終了電圧Vdown_end)まで低下させる降圧制御を行った場合における現象について、以下の知見を得た。
即ち、本願の発明者は、「降圧制御の実行中のセンサ電流Issのうち、最小のセンサ電流Iss」と「その最小のセンサ電流Issの取得時点でのセンサ電圧Vssと同じ値のセンサ電圧Vssが昇圧制御の実行中にセンサセル15に印加されたときに流れるセンサ電流Iss」との差(以下、「電流差」と称呼する。)を取得すると、図5に示したように、その電流差が大きくなるほど、第1センサ電極15Aに到達する排気中のSOx濃度が大きくなるとの知見を得た。
ところで、容量成分及び抵抗成分を含む回路に交流電圧を印加した場合、電圧の位相に対して回路を流れる電流の位相がずれることが知られている。
センサセル15を含む電気回路(以下、「センサセル回路」と称する。)は、図6に示した等価回路として表現できる。図6に示した等価回路において、抵抗R0は、センサセル回路のリード部の抵抗であり、抵抗R1は、固体電解質層11の粒子内抵抗(バルク抵抗)であり、抵抗R2は、固体電解質層11の粒界抵抗であり、容量C2は、固体電解質層11の粒界の容量であり、抵抗R3は、電極界面抵抗であり、容量C3は、第1センサ電極15Aと固体電解質層11との界面の容量である。
従って、第1実施装置が昇圧制御と降圧制御とを行うと、センサセル15に交流電圧が印加されることになるため、昇圧制御及び降圧制御の実行時にセンサ電圧Vssの位相に対してセンサ電流Issの位相がずれる。
従って、先に述べたように電流差を取得した場合、その電流差は、同じ値のセンサ電圧Vssに対応するセンサ電流Iss同士の差ではないことになる。即ち、その電流差は、同一条件下にあるセンサ電流Iss同士の差ではない。従って、第1センサ電極15Aに到達する排気中のSOx濃度が同じでも、条件によっては、電流差が異なる可能性がある。このため、上述した電流差に基づいてSOx濃度を取得した場合、そのSOx濃度が正確なSOx濃度ではない可能性がある。
そこで、第1実施装置は、以下に述べるようにして排気中のSOx濃度を取得する。即ち、第1実施装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関50の運転状態(以下、「機関運転状態」と称呼する。)が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、以下に述べる昇圧制御と降圧制御とを含む電圧変動制御を実行する。
尚、SOx濃度Csoxの取得は、例えば、燃料噴射弁54に供給される燃料を貯留するための燃料タンクに燃料が給油された後、機関50を搭載した車両が所定距離だけ走行した時点で要求される。或いは、SOx濃度Csoxの取得は、上記燃料タンクに燃料が給油された後、上記車両が所定距離だけ走行した時点で要求され、その後、その車両が所定距離だけ走行する毎に要求される。
更に、定常運転状態は、機関回転速度NE及び機関負荷KLが一定又は略一定である機関運転状態であり、従って、センサ10に到達する排気中の酸素濃度が一定又は略一定である機関運転状態である。更に、アイドリング運転状態は、アクセルペダル操作量APが零であって機関50の運転を維持するための最低限の量の空気を燃焼室53に流入させつつ燃料噴射弁54から燃料を噴射させている機関運転状態であり、従って、センサ10に到達する排気中の酸素濃度が一定又は略一定である機関運転状態である。
第1実施装置は、電圧変動制御を開始すると、センサ電圧Vssが所定周波数fsoxの正弦波をなして変化するように、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させる昇圧制御を行い、その後、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる降圧制御を行う。本例においては、所定周波数fsoxは、10kHzである。しかしながら、所定周波数fsoxは、10kHzに限定されない。
更に、先に述べたように、センサセル回路は、容量成分と抵抗成分とを含む回路であるが、本例においては、交流電圧をセンサセル回路に印加したときのセンサ電圧Vssの位相に対するセンサ電流Issの位相のずれ角度は、抵抗成分よりも、容量成分の影響を遙かに大きく受けるものと捉える。即ち、交流電圧をセンサセル回路に印加したときには、センサ電圧Vssの位相に対してセンサ電流Issの位相が90°進むものと捉える。
そこで、第1実施装置は、「電圧変動制御(即ち、昇圧制御及び降圧制御)を実行したときのセンサ電圧Vssの位相に対するセンサ電流Issの位相のずれ角度(即ち、90°)に相当する時間T(以下、「進角時間T」と称呼する。)」を、所定周波数fsoxを下式(1)に適用することによって取得する。
T=1/(4・fsox) …(1)
そして、第1実施装置は、昇圧制御の実行中、所定時間の経過毎(或いは、センサ電圧Vssが所定値だけ上昇する毎)にセンサ電流Issを取得する。第1実施装置は、昇圧制御の実行中に取得したセンサ電流Issそれぞれを、各センサ電流Issの取得時点よりも進角時間Tだけ前にセンサセル15に印加したセンサ電圧Vss_Tと関連付けて「昇圧電流Iup(n)」としてRAMに保存する。
更に、第1実施装置は、降圧制御の実行中、上記所定時間の経過毎(或いは、センサ電圧Vssが上記所定値だけ上昇する毎)にセンサ電流Issを取得する。第1実施装置は、降圧制御の実行中に取得したセンサ電流Issそれぞれを、各センサ電流Issの取得時点よりも進角時間Tだけ前にセンサセル15に印加したのセンサ電圧Vss_Tと関連付けて「降圧電流Idown(n)」としてRAMに保存する。
このように保存されたセンサ電圧Vss_Tと昇圧電流Iup(n)及び降圧電流Idown(n)との関係は、図7に示した関係となる。
そして、第1実施装置は、降圧電流Idown(n)のうち、最小の降圧電流Idown(n)を最小電流Iminとして取得すると共に、その最小電流Iminと関連付けられたセンサ電圧Vss_Tを基準電圧Vbaseとして取得する(図7を参照。)。
更に、第1実施装置は、昇圧電流Iup(n)のうち、基準電圧Vbaseと等しい値のセンサ電圧Vss_Tと関連付けられた昇圧電流Iup(n)を参照電流Irefとして取得する(図7を参照。)。
第1実施装置は、参照電流Irefから最小電流Iminを減じることにより、電流差dIss1を取得する(dIss1=Iref−Imin)。第1実施装置は、その電流差dIss1をルックアップテーブルMap1Csox(dIss1)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
即ち、第1実施装置は、進角時間Tを取得し、最小電流Iminを取得すると共に、その最小電流Iminの取得時点よりも進角時間Tだけ前に第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間に印加したセンサ電圧Vssを基準電圧Vbaseとして取得する。更に、第1実施装置は、昇圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが基準電圧Vbaseとなった時点よりも進角時間Tだけ前に流れたセンサ電流Issを参照電流Irefとして取得する。そして、第1実施装置は、参照電流Irefと最小電流Iminとの差(即ち、電流差dIss1)に基づいて排気中のSOx濃度を取得する。
ルックアップテーブルMap1Csox(dIss1)は、センサ10における電流差dIss1と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap1Csox(dIss1)によれば、電流差dIss1が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第1実施装置は、電圧変動制御の終了後、一定電圧制御を開始して、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させて0.4Vで一定とする。
参照電流Irefは、最小電流Iminを流したセンサ電圧Vssと等しい値のセンサ電圧Vssが流した電流である。従って、第1センサ電極15Aに到達する排気中のSOx濃度が同じ場合、同じ電流差dIss1が取得される可能性が高い。このため、第1実施装置によれば、より正確なSOx濃度を取得することができる。
尚、第1実施装置は、SOx濃度Csoxの取得に最小電流Iminを用いるが、最小電流Iminの直前又は直後のセンサ電流Issを用いるようにも構成され得る。
更に、第1実施装置は、以下に述べるようにしてSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。即ち、第1実施形態の変形例に係るSOx濃度取得装置(以下、「第1変形装置」と称呼する。)は、昇圧電流Iup(n)それぞれを参照電流Iref(n)とする。そして、第1変形装置は、「参照電流Iref(n)それぞれ」から「各参照電流Iref(n)と関連付けられたセンサ電圧Vss_Tと等しい値のセンサ電圧Vss_Tと関連付けられた降圧電流Idown(n)(最小電流Iminを含む)それぞれ」を減ずることにより、電流差dIss1(n)を取得する(dIss1(n)=Iref(n)−Idown(n))。
そして、第1変形装置は、取得した電流差dIss1(n)を積算することにより、積算値S1を取得する(S1=Σ(dIss1(n)))。第1変形装置は、取得した積算値S1をルックアップテーブルMap1Csox(S1)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
即ち、第1変形装置は、進角時間Tを取得し、最小電流Iminを少なくとも取得すると共に、その最小電流Iminの取得時点よりも進角時間Tだけ前に第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間に印加したセンサ電圧Vssを基準電圧Vbaseとして取得する。更に、第1変形装置は、昇圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが基準電圧Vbaseとなった時点よりも進角時間Tだけ前に流れたセンサ電流Issを参照電流Irefとして少なくとも取得する。そして、第1変形装置は、少なくとも参照電流Irefと最小電流Iminとの差(即ち、電流差dIss1)に基づいて排気中のSOx濃度を取得する。
ルックアップテーブルMap1Csox(S1)は、センサ10における積算値S1と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap1Csox(S1)によれば、積算値S1が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
又、第1実施装置及び第1変形装置は、素子温電圧制御の実行時にセンサ電圧Vssの位相に対するセンサ電流Issの位相のずれ角度θを取得しておき、このずれ角度θ及び電圧変動制御におけるセンサ電圧Vssの周波数fsoxを下式(2)に適用することによって取得される時間Tを「進角時間T」として取得するようにも構成され得る。
T=θ/(2・π・fsox) …(2)
これによれば、センサセル回路の容量成分の影響だけでなく抵抗成分の影響も反映した進角時間Tを取得することができる。このため、より正確なSOx濃度を取得することができる。
更に、図6に示した等価回路に周波数が徐々に小さくなるように交流電圧を印加してインピーダンスZを取得し、取得したインピーダンスZの実数成分を横軸とし且つ虚数成分を縦軸としてプロットした場合、図8に示したナイキスト線図が得られることが知られている。
図8に示したように、周波数が第1周波数f1(本例では、10kHz)であるときのインピーダンスZ(以下、「第1インピーダンスZ1」と称する。)の虚数成分は、零(又は零に近い極小値)となっている。又、周波数が第2周波数f2(本例では、0.01Hz)であるときのインピーダンスZ(以下、「第2インピーダンスZ2」と称する。)の虚数成分も、零(又は零に近い極値)となっている。
第1インピーダンスZ1の実数成分は、「リード部の抵抗R0」と「固体電解質層11の粒子内抵抗R1」と「固体電解質層11の粒界抵抗R2」とを合計した抵抗である。一方、第2インピーダンスZ2の実数成分は、「第1インピーダンスZ1」と「電極界面抵抗R3」とを合計した抵抗である。
そして、素子温電圧制御におけるセンサ電圧Vssの周波数ftempが第1周波数f1である場合、センサインピーダンスZsは、第1インピーダンスZ1である。従って、第1実施装置のECU90のROMにセンサインピーダンスZsに応じたナイキスト線図を予め保存しておき、素子温電圧制御におけるセンサ電圧Vssの周波数ftempを第1周波数f1に設定しておけば、センサインピーダンスZsに基づいてセンサセル15についてのナイキスト線図を推定することができる。
更に、第1周波数f1よりも大きく且つ第2周波数f2よりも小さい周波数f3の交流電圧をセンサセル15に印加した場合、図8に符号Lで示したライン上において、その周波数f3に対応する点Pが定まる。その点Pと原点Oとを結ぶ線と横軸とがなす角度θが電圧の位相に対する電流の位相のずれ角度である。
従って、電圧変動制御におけるセンサ電圧Vssの周波数fsoxを第1周波数f1よりも大きく且つ第2周波数f2よりも小さい周波数f3に設定すれば、ナイキスト線図から取得される上記角度θを用いることにより、電圧変動制御の実行時の進角時間Tを取得することができる。
そこで、第1実施装置及び第1変形装置は、素子温電圧制御におけるセンサ電圧Vssの周波数ftempを第1周波数f1に設定し、そのときに取得したセンサインピーダンスZsの値に基づいてセンサセル15についてのナイキスト線図を推定し、電圧変動制御におけるセンサ電圧Vssの周波数fsoxを「上記周波数ftemp(即ち、第1周波数f1)よりも小さく且つ第2周波数f2よりも大きい周波数f3」とし、上記推定したナイキスト線図において周波数fsoxに対応する点Pに基づいてセンサ電圧Vssの位相に対するセンサ電流Issの位相のずれ角度θを取得し、そのずれ角度θと周波数fsoxを上式(2)に適用して取得した時間Tを「進角時間T」として取得するようにも構成され得る。
更に、第1実施装置及び第1変形装置は、「昇圧制御によってセンサ電圧Vssが昇圧終了電圧Vup_endとなった時刻t(Vup_end)」と「昇圧制御によってセンサ電流Issが最大電流Imaxとなった時刻t(Imax)」との差(t(Vup_end)−t(Imax))を「進角時間T」として取得するようにも構成され得る。
更に、第1実施形態及び第1変形装置において、昇圧制御におけるセンサ電圧Vssの上昇開始時点のセンサ電圧Vss(即ち、センサセル15に定常的に印加しておくセンサ電圧Vss)は、0.4Vに限定されず、分解開始電圧Vdec_startよりも低い電圧であればよく、例えば、0.2Vでもよい。
更に、昇圧制御におけるセンサ電圧Vssの上昇終了時点のセンサ電圧Vss(即ち、昇圧終了電圧Vup_end)は、0.8Vに限定されず、分解開始電圧Vdec_startよりも高い電圧であればよい。
更に、降圧制御におけるセンサ電圧Vssの低下終了時点のセンサ電圧Vssは、0.2Vに限定されず、再酸化開始電圧Vox_startよりも低い電圧であればよい。
更に、電圧変動制御の実行中に第1センサ電極15Aに到達する排気中の酸素の、センサ電流Issに対する影響を排除できるのであれば、第1実施装置及び第1変形装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求された場合、機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態になくても、電圧変動制御を実行してSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
<酸素濃度の取得>
第1実施装置は、電圧変動制御を実行するとき以外のときには、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を実行する。0.4Vの電圧は、図3に示した限界電流域下限電圧Vth以上の電圧であって、且つ、排気中の酸素濃度(即ち、排気空燃比A/F)が一定である場合にセンサ電圧Vssに依らずセンサ電流Issが一定となる電圧である。従って、センサ電圧Vssが0.4Vに維持されているとき、センサ電流Issを用いて排気中の酸素濃度(即ち、排気空燃比A/F)を取得することができる。
そこで、第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を実行しているとき、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得し、その酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。テーブルMapCoxy(Iss_oxy)は、センサ電圧Vssを0.4Vに制御したときのセンサ電流Issと排気中の酸素濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMapCoxy(Iss_oxy)によれば、酸素濃度電流Iss_oxyが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
これによれば、第1実施装置は、排気中のSOx濃度Csoxに加えて排気中の酸素濃度Coxyを取得することができる。
<第1実施装置の具体的な作動>
次に、第1実施装置の具体的な作動について説明する。第1実施装置のECU90のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ900から処理を開始してステップ905に進み、SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」であるか否かを判定する。SOx濃度取得要求フラグXsoxの値は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに「1」に設定され、SOx濃度Csoxの取得が完了したときに「0」に設定される。
SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」である場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にあるか否かを判定する。
機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定してステップ940に進み、図10にフローチャートにより示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、図9のステップ940に進むと、図10のステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、進角時間取得フラグXtの値が「0」であるか否かを判定する。進角時間取得フラグXtの値は、進角時間Tが取得されたときに「1」に設定され、その後、降圧制御が終了したときに「0」に設定される。従って、SOx濃度の取得が要求された後、CPUが初めてステップ1005に進んだときには、進角時間取得フラグXtの値は「0」である。
進角時間取得フラグXtの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1007及びステップ1010の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1015に進む。
ステップ1007:CPUは、電圧変動制御におけるセンサ電圧Vssの周波数fsoxを上式(1)に適用することにより、進角時間Tを取得する。
ステップ1010:CPUは、進角時間取得フラグXtの値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ1005に進むと、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定するようになる。
進角時間取得フラグXtの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定し、ステップ1015に直接進む。
CPUは、ステップ1015に進むと、昇圧完了フラグXupの値が「0」であるか否かを判定する。昇圧完了フラグXupの値は、昇圧制御が終了したときに「1」に設定され、その後、降圧制御が終了したときに「0」に設定される。
昇圧完了フラグXupの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1015にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1020乃至ステップ1025の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1030に進む。
ステップ1020:CPUは、昇圧制御を開始していない場合、昇圧制御を開始し、既に昇圧制御を開始している場合、昇圧制御を継続する。CPUは、ステップ1015にて初めて「Yes」と判定した直後にステップ1020の処理を行う場合、昇圧制御を開始していないので、昇圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1030にて「Yes」と判定するまで昇圧制御を継続する。
ステップ1022:CPUは、センサ電流Issを取得する。
ステップ1025:CPUは、ステップ1022で取得したセンサ電流Issを、そのセンサ電流Issの取得時点よりも進角時間Tだけ前にセンサセル15に印加したセンサ電圧Vss_Tと関連付けて「昇圧電流Iup(n)」としてRAMに保存する。
CPUは、ステップ1030に進むと、センサ電圧Vssが0.8Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.8V以上であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.8Vよりも低い場合、CPUは、ステップ1030にて「No」と判定してステップ1095を経由して図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.8V以上である場合、CPUは、ステップ1030にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1035及びステップ1037の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1095を経由して図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1035:CPUは、昇圧制御を終了する。
ステップ1037:CPUは、昇圧完了フラグXupの値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ1015に進むと、CPUは、ステップ1015にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ1015の処理を実行する時点において昇圧完了フラグXupの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1015にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1040乃至ステップ1045の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1050に進む。
ステップ1040:CPUは、降圧制御を開始していない場合、降圧制御を開始し、既に降圧制御を開始している場合、降圧制御を継続する。CPUは、ステップ1015にて初めて「No」と判定した直後にステップ1040の処理を行う場合、降圧制御を開始していないので、降圧制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1050にて「Yes」と判定するまで降圧制御を継続する。
ステップ1042:CPUは、センサ電流Issを取得する。
ステップ1045:CPUは、ステップ1042で取得したセンサ電流Issを、そのセンサ電流Issの取得時間よりも進角時間Tだけ前にセンサセル15に印加したセンサ電圧Vss_Tと関連付けて「降圧電流Idown(n)」としてRAMに保存する。
CPUは、ステップ1050に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.2V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vよりも高い場合、CPUは、ステップ1050にて「No」と判定してステップ1095を経由して図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.2V以下である場合、CPUは、ステップ1050にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1055乃至ステップ1080の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1095を経由して図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1055:CPUは、降圧制御を終了する。
ステップ1060:CPUは、降圧電流Idown(n)のうち、最小の降圧電流Idown(n)を最小電流Iminとして取得すると共に、その最小電流Iminと関連付けられたセンサ電圧Vss_Tを基準電圧Vbaseとして取得する。
ステップ1065:CPUは、昇圧電流Iup(n)のうち、基準電圧Vbaseと等しい値のセンサ電圧Vss_Tと関連付けられた昇圧電流Iup(n)を参照電流Irefとして取得する。
ステップ1070:CPUは、参照電流Irefから最小電流Iminを減じることにより、電流差dIss1を取得する(dIss1=Iref−Imin)。
ステップ1075:CPUは、電流差dIss1をルックアップテーブルMap1Csox(dIss1)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
ステップ1080:CPUは、SOx濃度取得要求フラグXsox、進角時間取得フラグXt、及び、昇圧完了フラグXupの値をそれぞれ「0」に設定する。
CPUが図9のステップ905の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「0」である場合、及び、CPUがステップ910の処理を実行する時点において機関運転状態が定常運転状態でもアイドリング運転状態でもない場合、CPUは、それぞれ、ステップ905及びステップ910にて「No」と判定し、以下に述べるステップ945乃至ステップ955の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ945:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を開始していない場合には、一定電圧制御を開始し、既に一定電圧制御を開始している場合には、一定電圧制御を継続する。
ステップ950:CPUは、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得する。
ステップ955:CPUは、酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、酸素濃度Coxyを取得する。
第1実施装置は、図9に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。
更に、排気中のSOx濃度が「法令等によって規定された上限濃度Csox_limit」以下の濃度ではあるがそれに近い濃度である場合、排気中のSOx濃度が上限濃度Csox_limitに近いことを知らせるための警報等を発するためにも、排気中のSOx濃度が上限濃度Csox_limitに近いか否かを判定することは有益である。
そこで、第1実施装置のCPUは、図11にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図11のステップ1100から処理を開始してステップ1110に進み、図10のステップ1075で取得したSOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定する。上限濃度Cthは、排気中のSOx濃度の許容可能な上限値である。
SOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きい場合、CPUは、ステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1120に進み、排気中のSOx濃度が上限濃度よりも高いと判定する。その後、CPUは、ステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、SOx濃度Csoxが上限濃度Cth以下である場合、CPUは、ステップ1110にて「No」と判定してステップ1130に進み、排気中のSOx濃度が上限濃度以下であると判定する。その後、CPUは、ステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
第1実施装置は、図11に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定することができる。
<第1変形装置の具体的な作動>
一方、第1変形装置のECU90のCPU(以下、「第1変形装置のCPU」又は単に「CPU」と称呼する。)は、図12にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ1200から処理を開始してステップ1205に進み、SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」であるか否かを判定する。SOx濃度取得要求フラグXsoxは、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに「1」に設定され、SOx濃度Csoxの取得が完了したときに「0」に設定される。
SOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1205にて「Yes」と判定してステップ1210に進み、機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にあるか否かを判定する。
機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、CPUは、ステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1215に進み、準備完了フラグXpreの値が「0」であるか否かを判定する。準備完了フラグXpreの値は、昇圧準備制御が終了したときに「1」に設定され、その後、電圧変動制御の降圧制御が終了したときに「0」に設定される。
準備完了フラグXpreの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1215にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1220の処理を行う。その後、CPUは、ステップ1225に進む。
ステップ1220:CPUは、昇圧準備制御を開始していない場合、昇圧準備制御を開始し、既に昇圧準備制御を開始している場合、昇圧準備制御を継続する。CPUは、ステップ1215にて初めて「Yes」と判定した直後にステップ1220の処理を行う場合、昇圧準備制御を開始していないので、昇圧準備制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1225にて「Yes」と判定するまで昇圧準備制御を継続する。
CPUは、ステップ1225に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否か、即ち、センサ電圧Vssが0.2V以下であるか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vよりも高い場合、CPUは、ステップ1225にて「No」と判定してステップ1295に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.2V以下である場合、CPUは、ステップ1225にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1230及びステップ1235の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1295に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1230:CPUは、昇圧準備制御を終了する。
ステップ1235:CPUは、準備完了フラグXpreの値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ1215に進むと、CPUは、ステップ1215にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ1215の処理を実行する時点において準備完了フラグXpreの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1215にて「No」と判定してステップ1240に進み、先に説明した図10に示したルーチンを実行する。
但し、第1変形装置のCPUが図10に示したルーチンを実行する場合、第1変形装置のCPUは、図10のステップ1060乃至ステップ1080に代えて、図13のステップ1375乃至ステップ1390の処理を順に行う。
従って、第1変形装置のCPUは、図10のステップ1055の処理を行った後、以下に述べるステップ1375乃至ステップ1390の処理を順に行う。
ステップ1375:CPUは、昇圧電流Iup(n)それぞれを参照電流Iref(n)とし、「これら参照電流Iref(n)それぞれ」から「各昇圧電流Iup(n)と関連付けられたセンサ電圧Vss_Tと等しい値のセンサ電圧Vss_Tと関連付けられた降圧電流Idown(n)それぞれ」を減ずることにより、電流差dIss1(n)を取得する(dIss1(n)=Iref(n)−Idown(n))。
ステップ1380:CPUは、電流差dIss1(n)を積算することにより、積算値S1を取得する。
ステップ1385:CPUは、積算値S1をルックアップテーブルMap1Csox(S1)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
ステップ1390:CPUは、SOx濃度取得要求フラグXsox、準備完了フラグXpre、進角時間取得フラグXt、及び、昇圧完了フラグXupの値をそれぞれ「0」に設定する。
CPUが図12のステップ1205の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「0」である場合、及び、CPUがステップ1210の処理を実行する時点において機関運転状態が定常運転状態でもアイドリング運転状態でもない場合、CPUは、それぞれ、ステップ1205及びステップ1210にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1245乃至ステップ1255の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1295に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1245:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を開始していない場合、一定電圧制御を開始し、既に一定電圧制御を開始している場合、一定電圧制御を継続する。
ステップ1250:CPUは、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得する。
ステップ1255:CPUは、酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、酸素濃度Coxyを取得する。
第1変形装置は、図12に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。
更に、第1変形装置のCPUは、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。但し、第1変形装置が図11に示したルーチンを実行する場合、第1変形装置のCPUは、図11のステップ1110においては、図13のステップ1385で取得したSOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定する。
第1変形装置は、図11に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関のSOx濃度取得装置(以下、「第2実施装置」と称呼する。)について説明する。第2実施装置は、図14に示した内燃機関に適用される。図14に示した内燃機関は、図1に示した内燃機関と同じである。
第2実施装置は、図15に示した内部構造を有する限界電流式センサ20、ポンプセル電圧源25C、センサセル電圧源26C、電流計25D、電流計26D、電圧計26E、及び、ECU90を含んでいる。限界電流式センサ20(以下、単に「センサ20」と称呼する。)は、2セルタイプの限界電流式センサであり、排気管83に配設されている。
図15に示したように、センサ20は、第1固体電解質層21A、第2固体電解質層21B、第1アルミナ層22A、第2アルミナ層22B、第3アルミナ層22C、第4アルミナ層22D、第5アルミナ層22E、第6アルミナ層22F、拡散律速層23、ヒータ24、ポンプセル25、第1ポンプ電極25A、第2ポンプ電極25B、センサセル26、第1センサ電極26A、第2センサ電極26B、第1大気導入路27A、第2大気導入路27B、及び、内部空間28を含んでいる。
固体電解質層21A、21Bは、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層22A〜22Fは、アルミナからなる層である。拡散律速層23は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ20では、各層は、図15において下方から、第6アルミナ層22F、第5アルミナ層22E、第4アルミナ層22D、第2固体電解質層21B、拡散律速層23及び第3アルミナ層22C、第1固体電解質層21A、第2アルミナ層22B、第1アルミナ層22Aの順で積層されている。ヒータ24は、第5アルミナ層22Eと第6アルミナ層22Fとの間に配置されている。
第1大気導入路27Aは、第1アルミナ層22Aと第2アルミナ層22Bと第1固体電解質層21Aとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。第2大気導入路27Bは、第2固体電解質層21Bと第4アルミナ層22Dと第5アルミナ層22Eとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間28は、第1固体電解質層21Aと第2固体電解質層21Bと拡散律速層23と第3アルミナ層22Cとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層23を介してセンサ外部に連通している。機関50から排出された排気は、拡散律速層23を通って内部空間28に流入する。
第1ポンプ電極25A及び第2ポンプ電極25Bは、還元性の低い材料(例えば、金と白金との合金)からなる電極である。第1ポンプ電極25Aは、第2固体電解質層21Bの一方の側の壁面(即ち、内部空間28を形成する第2固体電解質層21Bの壁面)に配置され、第2ポンプ電極25Bは、第2固体電解質層21Bの他方の側の壁面(即ち、第2大気導入路27Bを形成する第2固体電解質層21Bの壁面)に配置されている。第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bと第2固体電解質層21Bとは、ポンプセル25を構成している。
センサ20は、ポンプセル25(具体的には、第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bとの間)にポンプセル電圧源25Cから直流電圧を印加するように構成されている。ポンプセル電圧源25Cがポンプセル25に直流電圧を印加した場合、第1ポンプ電極25Aは陰極側の電極であり、第2ポンプ電極25Bは陽極側の電極である。
ポンプセル25に電圧が印加されると、内部空間28内の酸素が第1ポンプ電極25Aに接触したときに、この酸素が第1ポンプ電極25A上で酸素イオンとなり、この酸素イオンが第2固体電解質層21Bの内部を第2ポンプ電極25Bに向かって移動する。このとき、第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bとの間には、第2固体電解質層21Bの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2ポンプ電極25Bに達すると、酸素イオンは第2ポンプ電極25Bにおいて酸素となって第2大気導入路27Bに放出される。つまり、ポンプセル25は、排気中の酸素を排気からポンピングによって大気に放出し、排気中の酸素濃度を低下させることができる。このポンプセル25のポンピング能力は、ポンプセル電圧源25Cから当該ポンプセル25に印加される電圧が高いほど高い。
第1センサ電極26A及び第2センサ電極26Bは、還元性の高い材料(例えば、白金若しくはロジウム等の白金族元素又はその合金)からなる電極である。第1センサ電極26Aは、第1固体電解質層21Aの一方の側の壁面(即ち、内部空間28を形成する第1固体電解質層21Aの壁面)に配置される。従って、第1センサ電極26Aは、内部空間28に露出している。第2センサ電極26Bは、第1固体電解質層21Aの他方の側の壁面(即ち、第1大気導入路27Aを形成する第1固体電解質層21Aの壁面)に配置されている。第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bと第1固体電解質層21Aとは、センサセル26を構成している。
センサ20は、センサセル26(具体的には、第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間)にセンサセル電圧源26Cから電圧を印加するように構成されている。センサセル電圧源26Cは、センサセル26に直流電圧及び交流電圧を選択的に印加するように構成されている。センサセル電圧源26Cがセンサセル26に直流電圧を印加した場合、第1センサ電極26Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極26Bは陽極側の電極である。
センサセル26に電圧が印加されると、内部空間28内のSOxが第1センサ電極26Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極26A上で分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが第1固体電解質層21Aの内部を第2センサ電極26Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間には、第1固体電解質層21Aの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極26Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極26Bにおいて酸素となって第1大気導入路27Aに放出される。
ヒータ24、ポンプセル電圧源25C、センサセル電圧源26C、電流計25D、電流計26D及び電圧計26Eは、ECU90に接続されている。
ECU90は、後述するように設定される電圧がポンプセル電圧源25Cからポンプセル25に印加されるようにポンプセル電圧源25Cの電圧を制御する。
更に、ECU90は、後述するように設定される電圧がセンサセル電圧源26Cからセンサセル26に印加されるようにセンサセル電圧源26Cの電圧を制御する。
電流計25Dは、ポンプセル25を含む回路に流れている電流Ipp(以下、「ポンプ電流Ipp」と称呼する。)を検出し、その検出したポンプ電流Ippを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてポンプ電流Ippを取得する。
電流計26Dは、センサセル26を含む回路に流れている電流Iss(以下、「センサ電流Iss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電流Issを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電流Issを取得する。
電圧計26Eは、センサセル26に印加されている電圧Vss(以下、「センサ電圧Vss」と称呼する。)を検出し、その検出したセンサ電圧Vssを表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてセンサ電圧Vssを取得する。
更に、ECU90は、所定の条件が成立した場合、センサセル26に交流電圧が印加されるようにセンサセル電圧源15Cの電圧を制御する素子温電圧制御を実行し、そのときのセンサ電圧Vssの変化量及びセンサ電流Issの変化量に基づいてセンサセル26のインピーダンスZs(即ち、センサインピーダンスZs)を取得する。センサインピーダンスZsは、センサセル26の温度が高いほど小さくなる。ECU90は、センサインピーダンスZsに基づいてセンサセル26の温度がセンサ20を活性状態とする温度(所謂、センサ活性温度)に維持されるようにヒータ24の作動を制御する。
<第2実施装置の作動の概要>
<SOx濃度の取得>
第2実施装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態にある場合、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加した状態で、上記電圧変動制御を実行する。
そして、第2実施装置は、「電圧変動制御(即ち、昇圧制御及び降圧制御)を実行したときのセンサ電圧Vssの位相に対するセンサ電流Issの位相のずれ角度に相当する時間(即ち、進角時間T)」を、電圧変動制御におけるセンサ電圧Vssの周波数fsoxを上式(1)に適用することによって取得する。
そして、第2実施装置は、昇圧制御の実行中、所定時間の経過毎(或いは、センサ電圧Vssが所定値だけ上昇する毎)にセンサ電流Issを取得する。第2実施装置は、昇圧制御の実行中に取得したセンサ電流Issそれぞれを、各センサ電流Issの取得時点よりも進角時間Tだけ前にセンサセル15に印加したセンサ電圧Vss_Tと関連付けて「昇圧電流Iup(n)」としてRAMに保存する。
更に、第2実施装置は、降圧制御の実行中、上記所定時間の経過毎(或いは、センサ電圧Vssが上記所定値だけ上昇する毎)にセンサ電流Issを取得する。第2実施装置は、降圧制御の実行中に取得したセンサ電流Issそれぞれを、各センサ電流Issの取得時点よりも進角時間Tだけ前にセンサセル15に印加したセンサ電圧Vss_Tと関連付けて「降圧電流Idown(n)」としてRAMに保存する。
そして、第2実施装置は、降圧電流Idown(n)のうち、最小の降圧電流Idown(n)を最小電流Iminとして取得すると共に、その最小電流Iminと関連付けられたセンサ電圧Vss_Tを基準電圧Vbaseとして取得する。
更に、第2実施装置は、昇圧電流Iup(n)のうち、基準電圧Vbaseと等しい値のセンサ電圧Vss_Tと関連付けられた昇圧電流Iup(n)を参照電流Irefとして取得する。
第2実施装置は、参照電流Irefから最小電流Iminを減じることにより、電流差dIss2を取得する(dIss2=Iref−Imin)。第2実施装置は、その電流差dIss2をルックアップテーブルMap2Csox(dIss2)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
即ち、第2実施装置は、第1実施装置と同様に、進角時間Tを取得し、最小電流Iminを取得すると共に、その最小電流Iminの取得時点よりも進角時間Tだけ前に第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間に印加したセンサ電圧Vssを基準電圧Vbaseとして取得する。更に、第2実施装置は、昇圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが基準電圧Vbaseとなった時点よりも進角時間Tだけ前に流れたセンサ電流Issを参照電流Irefとして取得する。そして、第2実施装置は、参照電流Irefと最小電流Iminとの差(即ち、電流差dIss2)に基づいて排気中のSOx濃度を取得する。
ルックアップテーブルMap2Csox(dIss2)は、センサ20における電流差dIss2と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap2Csox(dIss2)によれば、電流差dIss2が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第2実施装置は、電圧変動制御の終了後、一定電圧制御を開始して、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させて0.4Vで一定とする。
参照電流Irefは、最小電流Iminを流したセンサ電圧Vssと等しい値のセンサ電圧Vssが流した電流である。従って、第1センサ電極26Aに到達する排気中のSOx濃度が同じ場合、同じ電流差dIss2が取得される可能性が高い。このため、第2実施装置によれば、より正確なSOx濃度を取得することができる。
尚、第2実施装置は、以下に述べるようにしてSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。即ち、第2実施形態の変形例に係るSOx濃度取得装置(以下、「第2変形装置」と称呼する。)は、昇圧電流Iup(n)それぞれを参照電流Iref(n)とする。そして、第2変形装置は、「参照電流Iref(n)それぞれ」から「各参照電流Iref(n)と関連付けられたセンサ電圧Vss_Tと等しいセンサ電圧Vss_Tと関連付けられた降圧電流Idown(n)(最小電流Iminを含む)それぞれ」を減ずることにより、電流差dIss2(n)を取得する(dIss2(n)=Iref(n)−Idown(n))。
そして、第2変形装置は、取得した電流差dIss2(n)を積算することにより、積算値S2を取得する(S2=Σ(dIss2(n)))。第2変形装置は、取得した積算値S2をルックアップテーブルMap2Csox(S2)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
即ち、第2変形装置は、第1変形装置と同様に、進角時間Tを取得し、最小電流Iminを少なくとも取得すると共に、その最小電流Iminの取得時点よりも進角時間Tだけ前に第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間に印加したセンサ電圧Vssを基準電圧Vbaseとして取得する。更に、第2変形装置は、昇圧制御の実行中にセンサ電圧Vssが基準電圧Vbaseとなった時点よりも進角時間Tだけ前に流れたセンサ電流Issを参照電流Irefとして少なくとも取得する。そして、第2変形装置は、少なくとも参照電流Irefと最小電流Iminとの差(即ち、電流差dIss2)に基づいて排気中のSOx濃度を取得する。
ルックアップテーブルMap2Csox(S2)は、センサ20における積算値S2と排気中のSOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMap2Csox(S2)によれば、積算値S2が大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
尚、第2実施装置及び第2変形装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加した状態で電圧変動制御を実行する。従って、電圧変動制御の実行中、第1センサ電極26Aに到達する排気中の酸素濃度は殆ど変化しない。従って、第2実施装置及び第2変形装置は、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに機関運転状態が定常運転状態又はアイドリング運転状態であるか否かにかかわらず、電圧変動制御を実行するようにも構成され得る。
<NOx濃度の取得>
排気中に窒素酸化物(以下、「NOx」と称呼する。)が含まれている場合、センサ電圧Vssが0.4Vに維持されているときにNOxがセンサセル26によって還元されて窒素と酸素とに分解される。そして、NOxの分解によって生成された酸素は、センサセル26において酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層21Aの内部を第2センサ電極26Bに向かって移動する。
内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されていても、ポンプセル25を構成するポンプ電極25A及び25Bは、還元性の低い材料から形成されているので、ポンプセル25では、排気中のNOxは殆ど還元されない。そして、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されている場合、センサセル26に到来する排気中には、酸素は殆ど存在しない。
従って、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されており且つセンサ電圧Vssが0.4Vに維持されているときに固体電解質層21Aの内部を移動した酸素イオン量に比例して出力されるセンサ電流Issは、排気中のNOx濃度に比例した電流である。そして、このときのセンサ電流Issと排気中のNOx濃度との間には、図16に示した関係がある。従って、このときのセンサ電流Issを用いて排気中のNOx濃度を取得することができる。
そこで、第2実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加するポンプ電圧制御を実行しつつ、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を実行する。第2実施装置は、一定電圧制御の実行中、センサ電流IssをNOx濃度電流Iss_noxとして取得し、そのNOx濃度電流Iss_noxをルックアップテーブルMapCnox(Iss_nox)に適用することにより、排気中のNOx濃度Cnoxを取得する。テーブルMapCnox(Iss_nox)は、センサ20におけるセンサ電流Issと排気中のNOx濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMapCnox(Iss_nox)によれば、NOx濃度電流Iss_noxが大きいほど、大きいNOx濃度Cnoxが取得される。
<酸素濃度の取得>
ポンプセル電圧源25Cからポンプセル25に印加される電圧(以下、「ポンプ電圧Vpp」と称呼する。)とポンプ電流Ippとの間にも、図3に示した関係がある。そこで、第2実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppをポンプセル25に印加するポンプ電圧制御を実行しているとき、ポンプ電流Ippを酸素濃度電流Ipp_oxyとして取得し、その酸素濃度電流Ipp_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Ipp_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。テーブルMapCoxy(Ipp_oxy)は、センサ20におけるポンプ電流Ippと排気中の酸素濃度との関係についての実験等に基づいて予め作成される。テーブルMapCoxy(Ipp_oxy)によれば、酸素濃度電流Ipp_oxyが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
これによれば、第2実施装置は、排気中のSOx濃度Csox及びNOx濃度Cnoxに加えて排気中の酸素濃度Coxyを取得することができる。
尚、センサ電圧Vssとセンサ電流Issと排気中の酸素濃度Coxyとの関係も、図3に示した関係と同じ関係にある。従って、第2実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vに制御した状態でポンプ電圧Vppを零にし、そのとき、センサ電流Issを酸素濃度電流Iss_oxyとして取得し、その酸素濃度電流Iss_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Iss_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得するようにも構成され得る。テーブルMapCoxy(Iss_oxy)によれば、酸素濃度電流Iss_oxyが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
<第2実施装置の具体的な作動>
次に、第2実施装置の具体的な作動について説明する。第2実施装置のECU90のCPU(以下、「第2実施装置のCPU」又は単に「CPU」と称呼する。)は、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第2実施装置のCPUは、図9に示したルーチンの実行時に図10に示したルーチンを実行する場合、図10のステップ1070においては、電流差dIss2を取得し、ステップ1075においては、電流差dIss2をルックアップテーブルMap2Csox(dIss2)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
更に、第2実施装置のCPUは、図9のステップ945乃至ステップ955の処理の代わりに、図17のステップ1750乃至ステップ1765の処理を行う。
従って、第2実施装置のCPUが図9のステップ905の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグXsoxの値が「0」である場合、及び、第2実施装置のCPUがステップ910の処理を実行する時点において機関運転状態が定常運転状態でもアイドリング運転状態でもない場合、CPUは、それぞれ、ステップ905及びステップ910にて「No」と判定し、以下に述べる図17のステップ1750乃至ステップ1765の処理を順に行う。その後、CPUは、図9のステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1750:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御する一定電圧制御を開始していない場合、一定電圧制御を開始し、既に一定電圧制御を開始している場合、一定電圧制御を継続する。
ステップ1755:CPUは、ポンプ電流Ipp及びセンサ電流Issをそれぞれ酸素濃度電流Ipp_oxy及びNOx濃度電流Iss_noxとして取得する。
ステップ1760:CPUは、NOx濃度電流Iss_noxをルックアップテーブルMapCnox(Iss_nox)に適用することにより、排気中のNOx濃度Cnoxを取得する。
ステップ1765:CPUは、酸素濃度電流Ipp_oxyをルックアップテーブルMapCoxy(Ipp_oxy)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。
尚、第2実施装置のCPUは、別途、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppがポンプセル25に印加されるようにポンプセル電圧源25Cを制御している。
第2実施装置は、図9に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csox、NOx濃度Cnox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。
更に、第2実施装置は、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。第2実施装置は、図11に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定することができる。
<第2変形装置の具体的な作動>
一方、第2変形装置は、図12に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。但し、第2変形装置は、図12に示したルーチンの実行時に図10に示したルーチンを実行する場合、図10のステップ1060乃至ステップ1080に代えて、図13のステップ1375乃至ステップ1390の処理を行う。この場合、第2変形装置は、ステップ1375においては、電流差dIss2(n)を取得し、ステップ1380においては、電流差dIss2(n)を積算することにより、積算値S2を取得し、ステップ1385においては、積算値S2をルックアップテーブルMap2Csox(S2)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
更に、第2変形装置は、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。第2変形装置は、図11に示したルーチンを実行することにより、SOx濃度Csoxが上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
10、20…限界電流式センサ、11、21A…固体電解質層、15、26…センサセル、15A、15B、26A、26B…センサ電極、15C、26C…センサセル電圧源、15D、26D…電流計、15E、26E…電圧計、90…ECU

Claims (1)

  1. 固体電解質層、第1センサ電極、第2センサ電極及びセンサセル電圧源を備え、
    前記第1センサ電極と前記第2センサ電極とが前記固体電解質層を挟むように配設されると共に、前記センサセル電圧源が前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間に電圧を印加するように配設されており、
    前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間の前記固体電解質層を流れる電流をセンサ電流として取得するように構成された、
    内燃機関のSOx濃度取得装置において、
    前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間に印加される電圧であるセンサ電圧を、SOxを硫黄成分と酸素成分とに分解できる電圧の最小値である分解開始電圧よりも低い電圧から、前記分解開始電圧以上の電圧まで上昇させる昇圧制御を実行し、その後、前記分解開始電圧よりも低い電圧まで低下させる降圧制御を実行し、
    前記昇圧制御と前記降圧制御とを実行したときの前記センサ電圧の位相に対する前記センサ電流の位相のずれ角度に相当する時間を進角時間として取得し、
    前記降圧制御の実行中に前記センサ電流の最小値を最小電流として取得すると共に、前記最小電流の取得時点よりも前記進角時間だけ前に前記第1センサ電極と前記第2センサ電極との間に印加された前記センサ電圧を基準電圧として取得し、
    前記昇圧制御の実行中に前記センサ電圧が前記基準電圧となった時点よりも前記進角時間だけ前に流れた前記センサ電流を参照電流として取得し、
    前記参照電流と前記最小電流との差に基づいて前記排気中のSOx濃度を取得する、
    ように構成された、
    内燃機関のSOx濃度取得装置。
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