以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る内燃機関のSOx指標取得装置について説明する。本発明の第1実施装置に係るSOx指標取得装置(以下、「第1実施装置」と称呼する。)は、図1に示した内燃機関に適用される。
図1に示した内燃機関は、火花点火式内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。しかしながら、本発明は、圧縮自着火式内燃機関(いわゆるディーゼルエンジン)にも適用可能である。また、図1に示した内燃機関は、大部分の機関運転領域において、空燃比が理論空燃比(ストイキ)にて運転される。
図1において、50は内燃機関の本体、51はシリンダヘッド、52はシリンダブロック、53は燃焼室、54は燃料噴射弁、55は点火プラグ、56は燃料ポンプ、57は燃料供給管、60はピストン、61はコネクティングロッド、62はクランクシャフト、63はクランク角度センサ、70は吸気弁、71は吸気ポート、72は吸気マニホルド、73はサージタンク、74はスロットル弁、75は吸気管、76はエアフローメータ、77はエアフィルタ、80は排気弁、81は排気ポート、82は排気マニホルド、83は排気管、90は電子制御装置(以下、「メインECU」と称する。)、91はアクセルペダル、92はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。
燃料噴射弁54、点火プラグ55、スロットル弁74、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、アクセルペダル踏込量センサ92、及び、限界電流式センサ20、30は、メインECU90に電気的に接続されている。
メインECU90は、エレクトロニックコントロールユニットであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
メインECU90は、燃料噴射弁54、点火プラグ55及びスロットル弁74を動作させるための信号をこれらに送信する。また、メインECU90は、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、及び、アクセルペダル踏込量センサ92から信号を受信する。クランク角度センサ63からは、クランクシャフト62の回転速度に対応する信号が出力される。メインECU90は、クランク角度センサ63から受信した信号に基づいて機関回転数を算出する。エアフローメータ76からは、そこを通過する空気の流量(ひいては、燃焼室53に吸入される空気の流量)に対応する信号が出力される。メインECU90は、エアフローメータ76から受信した信号に基づいて吸入空気量を算出する。アクセルペダル踏込量センサ92からは、アクセルペダル91の踏込量に対応する信号が出力される。メインECU90は、アクセルペダル踏込量センサ92から受信した信号に基づいて機関負荷を算出する。
第1実施装置は、限界電流式センサ10、センサセル電圧源15C、電流計15D、電圧計15E、及び、センサECU93を含んでいる。限界電流式センサ10(以下、単に「センサ10」と称する。)は、1セルタイプの限界電流式センサであり、排気管83に配設されている。
図2に示したように、センサ10は、固体電解質層11、第1アルミナ層12A、第2アルミナ層12B、第3アルミナ層12C、第4アルミナ層12D、第5アルミナ層12E、拡散律速層13、ヒータ14、センサセル15、第1センサ電極15A、第2センサ電極15B、大気導入路16、及び、内部空間17を含んでいる。
固体電解質層11は、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層12A〜12Eは、アルミナからなる層である。拡散律速層13は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ10では、各層は、図2において下方から、第5アルミナ層12E、第4アルミナ層12D、第3アルミナ層12C、固体電解質層11、拡散律速層13及び第2アルミナ層12B、第1アルミナ層12Aの順で積層されている。ヒータ14は、第4アルミナ層12Dと第5アルミナ層12Eとの間に配置されている。
大気導入路16は、固体電解質層11と第3アルミナ層12Cと第4アルミナ層12Dとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間17は、第1アルミナ層12Aと固体電解質層11と拡散律速層13と第2アルミナ層12Bとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層13を介してセンサ外部に連通している。
第1センサ電極15A及び第2センサ電極15Bは、還元性の高い材料(例えば、白金もしくはロジウム等の白金族元素又はその合金)からなる電極である。第1センサ電極15Aは、固体電解質層11の一方の側の壁面(即ち、内部空間17を形成する固体電解質層11の壁面)に配置され、第2センサ電極15Bは、固体電解質層11の他方の側の壁面(即ち、大気導入路16を形成する固体電解質層11の壁面)に配置されている。これら電極15A、15Bと固体電解質層11とは、センサセル15を構成している。
センサ10は、センサセル15(具体的には、第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間)にセンサセル電圧源15Cから電圧を印加可能に構成されている。センサセル電圧源15Cは、センサセル15に直流電圧と交流電圧とを選択的に印加可能に構成されている。センサセル電圧源15Cがセンサセル15に直流電圧を印加した場合、第1センサ電極15Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極15Bは陽極側の電極である。
センサECU93は、エレクトロニックコントロールユニットであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
ヒータ14、センサセル電圧源15C,電流計15D及び電圧計15Eは、センサECU93に接続されている。
センサECU93は、センサセル15の温度が所定の一定温度(即ち、センサ活性温度)に維持されるようにヒータ14の作動を制御する。
更に、センサECU93は、後述するように設定される電圧がセンサセル電圧源15Cからセンサセル15に印加されるようにセンサセル電圧源15Cの電圧を制御する。
電流計15Dは、センサセル15を含む回路に流れている電流Iss(以下、「センサ電流Iss」と称する。)を検出し、その検出したセンサ電流Issを表す信号をセンサECU93に出力する。センサECU93は、その信号に基づいてセンサ電流Issを取得する。
電圧計15Eは、センサセル15に印加されている電圧Vss(以下、「センサ電圧Vss」と称する。)を検出し、その検出したセンサ電圧Vssを表す信号をセンサECU93に出力する。センサECU93は、その信号に基づいてセンサ電圧Vssを取得する。
<第1実施装置の作動の概要>
<SOx濃度の取得>
センサセル15に電圧が印加されると、内部空間17内の硫黄酸化物(以下、「SOx」と称呼する。)が第1センサ電極15Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極15A上で還元されて分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層11の内部を第2センサ電極15Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間には、固体電解質層11の内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極15Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極15Bにおいて酸素となって大気導入路16に放出される。
センサ電圧Vssとセンサ電流Issと排気の空燃比A/Fとの間には、図3に示した関係がある。センサ電圧Vssは、センサセル電圧源15Cによってセンサセル15に印加される直流電圧である。センサ電流Issは、センサセル15に電圧が印加されたときに第1センサ電極15Aと第2センサ電極15Bとの間に流れる電流である。排気の空燃比A/Fは、燃焼室53内に形成される混合気の空燃比に相当し、以下、「排気空燃比A/F」と称呼する。
図3において、「A/F=12」によって示したラインは、排気空燃比A/Fが「12」である場合のセンサ電圧Vssの変化に対するセンサ電流Issの変化を示している。同様に、「A/F=13〜A/F=18」によって示したラインは、それぞれ、排気空燃比A/Fが「13〜18」である場合のセンサ電圧Vssの変化に対するセンサ電流Issの変化を示している。
例えば、排気空燃比A/Fが「18」である場合、センサ電圧Vssが所定値Vthよりも小さい範囲では、センサ電流Issが負の値である場合、センサ電圧Vssが高いほど、センサ電流Issの絶対値が小さく、センサ電流Issが正の値である場合、センサ電圧Vssが高いほど、センサ電流Issの絶対値が大きい。一方、センサ電圧Vssが上記所定値Vth以上である一定の範囲では、センサ電圧Vssに依らず、センサ電流Issは一定の値となる。
こうしたセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとの関係は、排気空燃比A/Fが「12〜17」である場合にも同様に成立する。
このようなセンサ電流Issの出力特性を有するセンサ10において、本願の発明者は、センサ電圧Vssを所定電圧から低下させることにより、排気中のSOx濃度に対応するセンサ電流Issを得られるとの知見を得た。次に、このことについて説明する。尚、以下の説明において、排気中の酸素濃度は1%で一定である。
図4の(A)は、SOxを含んでいない排気が第1センサ電極15Aに到来している場合に、センサ電圧Vssを0.2V(厳密には、図4の(A)に示した例では、0.2Vよりも若干低い電圧)から0.8V(厳密には、図4の(A)に示した例では、0.8Vよりも若干低い電圧)まで上昇させ、その後、センサ電圧Vssを0.8Vから元の0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issの変化を示している。
センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させ始めると、センサ電流Issは、図4の(A)に線LU1で示したように、約0.35mAから上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.4Vになって以降、センサ電流Issは若干低下する。その後、センサ電圧Vが約0.5Vになって以降、センサ電流Issは若干上昇する。その後、センサ電圧Vssが約0.7Vになって以降、センサ電流Issは低下する。そして、センサ電圧Vssが0.8Vに達すると、センサ電流Issは約0.5mAとなる。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めると、センサ電流Issは、図4の(A)に線LD1で示したように、約0.5mAから低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.6Vになった以降、センサ電流Issは、約約0.3mAで一定となる。その後、センサ電圧Vssが約0.22Vになって以降、センサ電流Issは上昇する。そして、センサ電圧Vssが0.2Vに達すると、センサ電流Issは約0.35mAとなる。
一方、図4の(B)は、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到来している場合に、センサ電圧Vssを0.2V(厳密には、図4の(B)に示した例では、0.2Vよりも若干低い電圧)から0.8V(厳密には、図4の(B)に示した例では、0.8Vよりも若干低い電圧)まで上昇させ、その後、センサ電圧Vssを0.8Vから元の0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issの変化を示している。
センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させ始めると、センサ電流Issは、図4の(B)に線LU1で示したように、約0.35mAから上昇し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.45Vになって以降、センサ電流Issは若干低下する。その後、センサ電圧Vが約0.6Vになって以降、センサ電流Issは若干上昇する。その後、センサ電圧Vssが約0.7Vになって以降、センサ電流Issは低下する。そして、センサ電圧Vssが0.8Vに達すると、センサ電流Issは約0.5mAとなる。
その後、センサ電圧Vssを0.8Vから低下させ始めると、センサ電流Issは、図4の(B)に線LD1で示したように、約0.5mAから低下し始める。その後、センサ電圧Vssが約0.3Vになって以降、センサ電流Issは上昇する。即ち、センサ電圧Vssが約0.3Vになったとき、センサ電流Issは、最も小さい値となる。そして、センサ電圧Vssが0.2Vに達すると、センサ電流Issは約0.35mAとなる。
このように、SOxを含む排気が第1センサ電極15Aに到来しているときには、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させると、センサ電流Issは、最小値(即ち、ピーク電流Ipeak)のある変化を示す。上述したように、本例においては、センサ電圧Vssが約0.3Vに達したときに、センサ電流Issがピーク電流Ipeakとなる。
更に、本願の発明者は、SOx濃度Csoxを取得するためにセンサ電圧Vssを0.8Vに上昇させる前に、「酸素濃度に応じたセンサ電流Issを出力させることができるセンサ電圧Vss」である0.4Vをセンサセル15に印加しておき、このときのセンサ電圧Vssを参照電流Irefとして取得しておき、その後、「センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させたときのセンサ電流Issのピーク電流Ipeak」と参照電流Irefとの差を「ピーク値dIpeak」として取得した場合、そのピーク値dIpeakとSOx濃度Csoxとの間には、図5に示したように、ピーク値dIpeakが大きいほど、排気中のSOx濃度が高いとの知見を得た。
そこで、第1実施装置は、図6に示したように、通常、センサ電圧Vssを0.4Vに維持しておく(時刻T0以前の期間を参照。)。そして、第1実施装置は、センサ電圧Vssの上昇速度が徐々に減少するようにセンサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させ(時刻T0から時刻T1までの期間を参照。)、その後、センサ電圧Vssの低下速度が徐々に増大するようにセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる(時刻T1から時刻T2までの期間を参照。)。
第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる間に取得されるピーク値dIpeak(=|Iref−Iss|)をルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。そして、第1実施装置は、後述する補正係数Kcによって基準SOx濃度Csox_baseを補正することにより、SOx濃度に関する指標(以下、「SOx指標」と称呼する。)としてのSOx濃度Csoxを取得する。テーブルMap1Csox_base(dIpeak)によれば、ピーク値dIpeakが大きいほど、大きいSOx濃度Csoxが取得される。
第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させた後、センサ電圧Vssを0.2Vから上昇させて0.4Vで一定とする。
尚、第1実施装置は、SOx濃度Csoxを取得するためにセンサ電圧Vssを上昇させる場合、センサ電圧Vssをいったん0.4Vから0.2Vに低下させたうえで、センサ電圧Vssを0.2Vから0.8Vまで上昇させるようにも構成され得る。
ところで、SOx濃度Csoxを取得するためのセンサ電圧Vssの低下の速度(スイープ速度)が速すぎると、センサ電圧Vssが低下されても、ピーク電流Ipeakが出力されなかったり、SOx濃度Csoxに十分に対応するピーク電流Ipeakが出力されなかったりする可能性がある。そこで、センサ電圧Vssを低下させたときにSOx濃度Csoxに十分に対応するピーク電流Ipeakが出力されるセンサ電圧Vssの低下の速度を選択されることが好ましい。
そこで、第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させた後、0.8Vから0.2Vまで低下させるまでのセンサ電圧Vssの変化を周波数で表したとき、この周波数が100Hz以下であるようにセンサ電圧Vssを変化させる。別の言い方をすると、センサ電圧Vssの上昇が開始されてからセンサ電圧Vssの低下が終了されるまでの時間が0.01秒以上であることが好ましい。
尚、第1実施装置は、図7に示したように、センサ電圧Vssの上昇速度が一定に維持されるようにセンサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vに上昇させた後、センサ電圧Vssの低下速度が一定に維持されるようにセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下するように構成され得る。
また、ピーク電流Ipeakは、センサ電圧Vssの低下中のセンサ電流Issのうち、SOx濃度が零である場合のセンサ電流Issから最も大きく異なる出力電流である。従って、ピーク電流Ipeakは、SOx濃度に精度良く対応するセンサ電流Issであると言える。このため、SOx濃度取得用のセンサ電流Issとしてピーク電流Ipeakを用いることによって、SOx濃度をより精度良く取得することができる。
また、第1実施装置は、センサ電圧Vssの低下開始前、0.4Vの電圧をセンサセル15に印加しておく。この電圧は、センサ電圧Vssの低下開始時点のセンサ電圧Vssである0.8Vよりも低い。このため、センサ電圧Vssの低下開始前に0.8Vの電圧をセンサセル15に印加しておく場合に比べて、SOx濃度の取得に消費される電力を少なくすることができる。
更に、センサ電圧Vssが低下されたときにSOx濃度に対応するセンサ電流Issがセンサ10から出力される理由は、センサセル15においてSOxに関連する反応が生じていることであると推察される。このSOxに関連する反応は、センサセル15の温度の影響を大きく受ける。従って、排気中のSOx濃度が極めて低いことを考慮すれば、SOx濃度を精度良く取得するためには、センサセル15の温度を一定に維持しておくことが好ましい。
第1実施装置は、センサセル15の温度が所定の一定温度に維持されるようにヒータ14の作動を制御する。従って、SOx濃度を精度良く取得することができる。
尚、センサ電圧Vssの上昇開始時点のセンサ電圧Vss(即ち、センサセル15に定常的に印加しておくセンサ電圧Vss)は、0.4Vに限定されず、センサ電圧Vssの上昇後にセンサ電圧Vssを低下させたときにピーク電流Ipeakを持つセンサ電流Issの変化を発生させる電圧であればよく、例えば、0.6V以下であればよく、特に、0.2Vでもよい。
また、センサ電圧Vssの上昇終了時点のセンサ電圧Vssは、0.8Vに限定されず、センサ電圧Vssの上昇後にセンサ電圧Vssを低下させたときにピーク電流Ipeakを持つセンサ電流Issの変化を発生させる電圧、又は、出力安定電圧範囲(即ち、SOx濃度が零である場合に、センサ電圧Vssに依らずセンサ電流Issが略一定である範囲であって、例えば、0.2V〜0.8Vの範囲)の最大電圧以上の電圧であればよく、例えば、0.8V以上であればよい。
また、センサ電圧Vssの低下終了時点のセンサ電圧Vssは、0.2Vに限定されず、「ピーク電流Ipeakがセンサセル15から出力されるセンサ電圧Vss」以下の電圧であればよい。
また、第1実施装置は、SOx濃度Csoxを取得するためにピーク電流Ipeakを用いるが、これに代えて、センサ電圧Vssが0.8Vから0.2Vまで低下される間にセンサ電流Issが急激に低下する範囲又は急激に上昇する範囲の出力電流を用いるようにも構成され得る。
また、第1実施装置は、ピーク電流Ipeakと参照電流Irefとを用いてSOx濃度Csoxを取得するのに代えて、ピーク電流Ipeakに変換係数Kconvertを乗じることにより、SOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る(Csox=Ipeak・Kconvert)。この場合、変換係数Kconvertは、ピーク電流Ipeakが負の値である場合、ピーク電流Ipeakの絶対値が大きいほど、取得されるSOx濃度Csoxが大きく、ピーク電流Ipeakが正の値である場合、ピーク電流Ipeakの絶対値が小さいほど、取得されるSOx濃度Csoxが大きくなるように設定される。尚、変換係数Kconvertは、図5に示した関係に従ってピーク電流IpeakをSOx濃度Csoxに変換する係数である。
<SOx濃度の補正>
ところで、第1センサ電極15Aを構成する材料が排気の熱等の影響によってシンタリングして劣化する可能性がある。第1センサ電極15Aが劣化すると、SOx濃度Csoxを取得するためにセンサ電圧Vssを上昇させた後、低下させる間における第1センサ電極15AでのSOxの反応速度が遅くなる。このため、このときに取得されるピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseは、排気中の実際のSOx濃度よりも小さい。
これに関し、本願の発明者は、第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなるほど、第1センサ電極15Aと固体電解質層11との界面における電気抵抗値(以下、「電極界面抵抗Rkai」と称する。)が大きくなるとの知見を得た。
そこで、第1実施装置は、電極界面抵抗Rkaiを取得し、その電極界面抵抗Rkaiに基づいて、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseを補正するための補正係数Kcを取得する。そして、第1実施装置は、補正係数Kcによって基準SOx濃度Csox_baseを補正することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
より具体的には、センサセル15を含む電気回路(以下、「センサセル回路」と称する。)は、図8の(A)に示した等価回路として表現できる。図8の(A)に示した等価回路において、抵抗R0は、センサセル回路のリード部の抵抗であり、抵抗R1は、固体電解質層11の粒子内抵抗(バルク抵抗)であり、抵抗R2は、固体電解質層11の粒界抵抗であり、容量成分C2は、固体電解質層11の粒界の容量成分であり、抵抗R3は、電極界面抵抗であり、容量成分C3は、センサ電極15Aと固体電解質層11との界面の容量成分である。
図8の(A)に示した等価回路に、0Vを中心として正弦波をなすように変動する電圧Vを変動周波数fが徐々に小さくなるように印加してインピーダンスZを取得し、取得したインピーダンスZの実数成分を横軸、虚数成分を縦軸としてプロットした場合、図8の(B)に示したナイキスト線図が得られることが知られている。
これによれば、変動周波数fが第1周波数f1(本例では、10kHz)であるときに取得されたインピーダンスZ(以下、「第1インピーダンスZ1」と称する。)の虚数成分が零又は零に近い極小値となっている。又、変動周波数fが第2周波数f2(本例では、0.01Hz)であるときに取得されたインピーダンスZ(以下、「第2インピーダンスZ2」と称する。)の虚数成分が零又は零に近い極値となっている。
第1インピーダンスZ1の実数成分は、リード部の抵抗R0と、固体電解質層11の粒子内抵抗R1と、固体電解質層11の粒界抵抗R2と、を合計した抵抗である。一方、第2インピーダンスZ2の実数成分は、リード部の抵抗R0と、固体電解質層11の粒子内抵抗R1と、固体電解質層11の粒界抵抗R2と、電極界面抵抗R3と、を合計した抵抗である。
従って、第2インピーダンスZ2から第1インピーダンスZ1を減じることにより、電極界面抵抗Rkaiを取得することができる。
そこで、第1実施装置は、0Vを中心として正弦波をなすようにセンサ電圧Vssを変動させると共に、センサ電圧Vssの変動周波数fが「所定の第1周波数f1よりも所定値だけ高い周波数f1_high」から「第1周波数f1よりも所定値だけ低い周波数f1_low」まで徐々に小さくなるようにセンサ電圧Vssの変動周波数fを変化させる第1電圧変動制御を行う。
第1実施装置は、第1電圧変動制御を行っている間に取得したセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとに基づいてインピーダンスZを取得する。そして、第1実施装置は、取得したインピーダンスZのうち、虚数成分が最小(零又は略零)であるインピーダンスZの実数成分を第1インピーダンスZ1として取得する。
更に、第1実施装置は、0Vを中心として正弦波をなすようにセンサ電圧Vssを変動させると共に、センサ電圧Vssの変動周波数fが「第1周波数f1よりも小さい所定の第2周波数f2よりも所定値だけ高い周波数f2_high」から「第2周波数f2よりも所定値だけ低い周波数f2_low」まで徐々に小さくなるようにセンサ電圧Vssの変動周波数fを変化させる第2電圧変動制御を行う。尚、周波数f2_highは、周波数f1_lowよりも低い周波数である。
第1実施装置は、第2電圧変動制御を行っている間に取得したセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとに基づいてインピーダンスZを取得する。そして、第1実施装置は、取得したインピーダンスZのうち、虚数成分が最小(零又は略零)であるインピーダンスZの実数成分を第2インピーダンスZ2として取得する。
そして、第1実施装置は、第2インピーダンスZ2から第1インピーダンスZ1を減じることにより、電極界面抵抗Rkaiを取得する(Rkai=Z2−Z1)。第1実施装置は、取得した電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKc(Rkai)に適用することにより、補正係数Kcを取得する。
第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなるほど、電極界面抵抗Rkaiが大きくなり、その結果、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる間、同じSOx濃度に対して流れるセンサ電流Issが大きくなる。このため、ピーク値dIpeakが小さくなる。従って、テーブルMapKc(Rkai)は、電極界面抵抗Rkaiが大きいほど、大きい補正係数Kcが取得されるように作成されている。尚、補正係数Kcは、「1」以上の値である。
そして、第1実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseに補正係数Kcを乗じることにより、基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx指標としてのSOx濃度Csoxを取得する(Csox=Csox_base・Kc)。
第1実施装置は、第1センサ電極15Aの劣化度に応じて変化する電極界面抵抗Rkaiを用いて基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx濃度Csoxを取得する。従って、第1実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
尚、第1実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、ピーク値dIpeakを補正するための補正係数Ki_1を電極界面抵抗Rkaiに基づいて取得し、その補正係数Ki_1をピーク値dIpeakに乗じてピーク値dIpeakを補正し、この補正後のピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得するようにも構成され得る。
この場合、補正係数Ki_1は、「1」以上の値であって、電極界面抵抗Rkaiが大きいほど大きい値である。
これによっても、第1実施装置は、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
更に、第1実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、電極界面抵抗Rkaiに基づいてルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)を補正し、この補正後のルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)にピーク値dIpeakを適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得するようにも構成され得る。
更に、電極界面抵抗Rkai及び固体電解質抵抗Rdenは、排気の温度、排気の流量及び排気中の成分等が変化すると変化する。従って、機関50の運転中に電極界面抵抗Rkaiを取得する場合には、より正確な電極界面抵抗Rkaiを取得するために、第1実施装置は、機関50の運転状態が定常状態にあることを条件として、上記第1電圧変動制御及び第2電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
或いは、機関50を搭載した車両が一時的に停止したときに機関50が一時的に停止されるように構成されている場合には、より正確な電極界面抵抗Rkaiを取得するために、第1実施装置は、機関50が一時的に停止されていることを条件として、上記第1電圧変動制御及び第2電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
或いは、内燃機関と電動モータとを車両駆動源とするハイブリッド車両の内燃機関として機関50が利用されており、車両の走行中に機関50の運転と停止とが適宜行われる場合には、より正確な電極界面抵抗Rkaiを取得するために、第1実施装置は、車両の走行中に機関50が停止されていることを条件として、上記第1電圧変動制御及び第2電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
更に、センサ10は、その温度Tssがその活性温度Tact以上であるときに安定したセンサ電流Issを出力する。従って、より正確な電極界面抵抗Rkaiを取得するために、第1実施装置は、センサ10の温度Tssが活性温度Tactであることを条件として上記第1電圧変動制御及び第2電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
更に、固体電解質抵抗Rdenは、センサ10の温度Tssが低いほど大きくなる。従って、より正確な固体電解質抵抗Rdenを取得し、結果として、より正確な電極界面抵抗Rkaiを取得するために、第1実施装置は、センサ10の温度Tssが一定であること或いは一定範囲内にあることを条件として上記第1電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
従って、第1実施装置は、センサ10の温度Tssが一定ではないとき或いは一定範囲内にないときに上記第1電圧変動制御を実行した場合、センサ10の温度Tssが低いほど小さい固体電解質抵抗Rdenを取得するように構成され得る。
<酸素濃度の取得>
第1実施装置は、通常、センサ電圧Vssを0.4Vに維持している。0.4Vの電圧は、図3に示した電圧Vth以上の電圧であって、且つ、排気中の酸素濃度(即ち、排気空燃比A/F)が一定である場合にセンサ電圧Vssに依らずセンサ電流Issが一定となる電圧である。従って、センサ電圧Vssが0.4Vに維持されているとき、センサ電流Issを用いて排気中の酸素濃度(即ち、排気空燃比A/F)を取得することができる。
そこで、第1実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vに維持しているとき、センサ電流IssをルックアップテーブルMapCoxy(Iss)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。テーブルMapCoxy(Iss)によれば、センサ電流Issが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
これによれば、第1実施装置は、排気中のSOx濃度Csoxに加えて排気中の酸素濃度Coxyを取得することができる。
尚、本願の発明者は、センサ電圧Vssが一定の電圧(例えば、0.4V)に維持されているとき、又は、センサ電圧Vssが上昇されているときには、センサ電流Issに占めるSOxの影響よりもセンサ電流Issに占める他の成分(例えば、酸素(O2)や窒素酸化物(NOx))の影響のほうが大きいが、センサ電圧Vssが所定電圧(例えば、0.8V)から低下されているときには、センサ電流Issに占める他の成分の影響よりも、センサ電流Issに占めるSOxの影響のほうが大きいとの知見を得ている。このため、排気中の酸素濃度を取得することができるセンサ10を用いて排気中のSOx濃度を精度良く取得することができるのである。
更に、電極界面抵抗Rkaiは、第1センサ電極15Aに到来する排気中の酸素濃度が大きいほど小さくなる。従って、より正確な電極界面抵抗Rkaiを取得するためには、第1実施装置は、上記第1電圧変動制御及び第2電圧変動制御を実行する直前にセンサ電流Issに基づいて取得した酸素濃度Coxyが大きいほど小さい電極界面抵抗Rkaiを取得するように構成されることが好ましい。
<第1実施装置の具体的な作動>
次に、第1実施装置の具体的な作動について説明する。第1実施装置のセンサECU93のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ900から処理を開始してステップ905に進み、SOx濃度取得要求フラグX1の値が「1」であるか否かを判定する。SOx濃度取得要求フラグX1の値は、SOx濃度の取得が要求された場合に「1」に設定され、SOx濃度の取得が完了した場合に「0」に設定される。
SOx濃度取得要求フラグX1の値が「1」である場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、電圧上昇完了フラグX2の値が「0」であるか否かを判定する。
SOx濃度の取得が要求された直後においては、電圧上昇完了フラグX2の値は、「0」である。電圧上昇完了フラグX2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ915の処理を行う。その後、CPUは、ステップ920に進む。
ステップ915:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させるセンサ電圧上昇制御を開始していない場合、センサ電圧上昇制御を開始し、既にセンサ電圧上昇制御を開始している場合、センサ電圧上昇制御を継続する。CPUがステップ910にて始めて「Yes」と判定した直後にステップ915の処理を行うときにはセンサ電圧上昇制御を開始していないので、CPUは、センサ電圧上昇制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ920にて「Yes」と判定するまでセンサ電圧上昇制御を継続する。
CPUは、ステップ920に進むと、センサ電圧Vssが0.8Vに到達したか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.8Vに到達していない場合、CPUは、ステップ920にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、センサ電圧Vssが0.8Vに到達した場合、CPUは、ステップ920にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ925及びステップ930の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ925:CPUは、センサ電圧上昇制御を停止する。
ステップ930:CPUは、電圧上昇完了フラグX2の値を「1」に設定する。これにより、その後、CPUがステップ910に進むと、CPUは、ステップ910にて「No」と判定するようになる。
CPUがステップ910の処理を実行する時点において電圧上昇完了フラグX2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ910にて「No」と判定し、以下に述べるステップ935及びステップ940の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ945に進む。
ステップ935:CPUは、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させるセンサ電圧低下制御を開始していない場合、センサ電圧低下制御を開始し、既にセンサ電圧低下制御を開始している場合、センサ電圧低下制御を継続する。CPUがステップ910にて始めて「No」と判定された直後にステップ935の処理を行うときにはセンサ電圧低下制御を開始していないので、CPUは、センサ電圧低下制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ945にて「Yes」と判定するまでセンサ電圧低下制御を継続する。
ステップ940:CPUは、センサ電流Issを取得してRAMに保存する。
CPUは、ステップ940に進むと、センサ電圧Vssが0.2Vに到達したか否かを判定する。センサ電圧Vssが0.2Vに到達していない場合、CPUは、ステップ940にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。この場合、センサ電圧低下制御が継続される。
一方、センサ電圧Vssが0.2Vに到達した場合、CPUは、ステップ945にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ950乃至ステップ960の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ950:CPUは、センサ電圧低下制御を停止する。
ステップ955:CPUは、RAMに保存したセンサ電流Issのピーク電流Ipeakと参照電流Irefとの差をピーク値dIpeakとして算出し、そのピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。そして、CPUは、この基準SOx濃度Csox_baseに補正係数Kcを乗じることにより、SOx濃度Csoxを取得する。補正係数Kcは、後述する図10に示したルーチンによって取得されてRAMに保存されている。
ステップ960:CPUは、SOx濃度取得要求フラグX1及び電圧上昇完了フラグX2の値をそれぞれ「0」に設定する。
CPUがステップ905の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグX1の値が「0」である場合、CPUは、ステップ905にて「No」と判定し、以下に述べるステップ965乃至ステップ975の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ965:CPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御するためのセンサ電圧制御を実行する。尚、CPUがセンサ電圧低下制御を停止した直後においては、センサ電圧Vssが0.2Vに制御されているので、CPUは、センサ電圧Vssを0.2Vから0.4Vに上昇させる。
ステップ970:CPUは、センサ電流Issを取得する。
ステップ975:CPUは、ステップ970にて取得したセンサ電流IssをルックアップテーブルMapCoxy(Iss)に適用することにより、酸素濃度Coxyを取得する。
更に、CPUは、図10に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、補正係数取得要求フラグX3の値が「1」であるか否かを判定する。補正係数取得要求フラグX3の値は、補正係数Kcの取得が要求された場合に「1」に設定され、補正係数Kcの取得が完了した場合に「0」に設定される。
補正係数取得要求フラグX3の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、補正係数取得要求フラグX3の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、第1電圧変動完了フラグX4の値が「0」であるか否かを判定する。補正係数Kcの取得が要求された直後においては、第1電圧変動完了フラグX4の値は、「0」である。
第1電圧変動完了フラグX4の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1015及びステップ1020の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1025に進む。
ステップ1015:CPUは、上記第1電圧変動制御を実行する。詳細には、CPUは、第1電圧変動制御を開始していない場合、第1電圧変動制御を開始し、既に第1電圧変動制御を開始している場合、第1電圧変動制御を継続する。補正係数Kcの取得の要求後、CPUがステップ1010にて始めて「Yes」と判定した場合、CPUは、第1電圧変動制御を開始していないので、第1電圧変動制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1025にて「Yes」と判定するまで第1電圧変動制御を継続する。
ステップ1020:CPUは、インピーダンスZを取得してRAMに保存する。
CPUは、ステップ1025に進むと、センサ電圧Vssの変動周波数fが第1周波数f1よりも所定値だけ低い周波数f1_lowに到達したか否かを判定する。変動周波数fが周波数f1_lowに到達していない場合、CPUは、ステップ1025にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。この場合、第1電圧変動制御が継続される。
変動周波数fが周波数f1_lowに到達した場合、CPUは、ステップ1025にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1030乃至ステップ1040の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1030:CPUは、第1電圧変動制御を停止する。
ステップ1035:CPUは、第1電圧変動完了フラグX4の値を「1」に設定する。これにより、CPUは、その後、ステップ1010に進むと、「No」と判定するようになる。
ステップ1040:CPUは、ステップ1020にて取得してRAMに保存してあるインピーダンスZのうち、虚数成分が最小(略零)であるインピーダンスZの実数成分を第1インピーダンスZ1として取得してRAMに保存する。
CPUがステップ1010の処理を実行する時点において第1電圧変動完了フラグX4の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1010にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1045及び1250の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1055に進む。
ステップ1045:CPUは、上記第2電圧変動制御を実行する。詳細には、CPUは、第2電圧変動制御を開始していない場合、第2電圧変動制御を開始し、既に第2電圧変動制御を開始している場合、第2電圧変動制御を継続する。補正係数Kcの取得が要求された後、CPUがステップ1010にて初めて「No」と判定した場合、CPUは、第2電圧変動制御を開始していないので、第2電圧変動制御を開始する。その後、CPUは、後述するステップ1055にて「Yes」と判定するまで第2電圧変動制御を継続する。
ステップ1050:CPUは、インピーダンスZを取得してRAMに保存する。
CPUは、ステップ1055に進むと、センサ電圧Vssの変動周波数fが第2周波数f2よりも所定値だけ低い周波数f2_lowに到達したか否かを判定する。変動周波数fが周波数f2_lowに到達していない場合、CPUは、ステップ1055にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。この場合、第2電圧変動制御が継続される。
変動周波数fが周波数f2_lowに到達した場合、CPUは、ステップ1055にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1060乃至ステップ1075の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1060:CPUは、第2電圧変動制御を停止する。
ステップ1065:CPUは、補正係数取得要求フラグX3及び第1電圧変動完了フラグX4の値をそれぞれ「0」に設定する。
ステップ1070:CPUは、「ステップ1050にて取得してRAMに保存してあるインピーダンスZ」のうち、虚数成分が最小(略零)であるインピーダンスZの実数成分を第2インピーダンスZ2として取得する。そして、CPUは、第2インピーダンスZ2から「ステップ1040にて取得してRAMに保存してある第1インピーダンスZ1」を減じることにより、電極界面抵抗Rkaiを取得する。
ステップ1075:CPUは、「ステップ1070にて取得した電極界面抵抗Rkai」及び「ステップ1015にて第1電圧変動制御を開始する直前に取得してある酸素濃度Coxy」をルックアップテーブルMapKc(Rkai,Coxy)に適用することにより、補正係数Kcを取得してRAMに保存する。
以上が第1実施装置の具体的な作動である。これにより、第1実施装置は、SOx濃度Csox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。更に、第1実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第1変形装置」と称呼する。)について説明する。先に述べたように、第1センサ電極15Aが劣化した場合に取得されるピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得したSOx濃度Csoxは、排気中の実際のSOx濃度よりも小さい。
これに関し、本願の発明者は、第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなるほど、固体電解質層11の電気抵抗値(以下、「固体電解質抵抗Rden」と称呼する。)が大きくなるとの知見を得た。
そこで、第1変形装置は、電極界面抵抗Rkaiに代えて、固体電解質抵抗Rdenを用いて、基準SOx濃度Csox_baseを補正するための補正係数Kcを取得する。
より具体的には、先に述べたように、第1インピーダンスZ1の実数成分は、リード部の抵抗R0と、固体電解質層11の粒子内抵抗R1と、固体電解質層11の粒界抵抗R2と、を合計した抵抗である。リード部の抵抗R0は、略一定であるので、第1インピーダンスZ1の実数成分は、固体電解質抵抗Rdenと相関する値である。
そこで、第1変形装置は、この第1インピーダンスZ1の実数成分を固体電解質抵抗Rdenとして取得し、取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc(Rden)に適用することにより、補正係数Kcを取得する。
第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなるほど、固体電解質抵抗Rdenが大きくなり、その結果、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる間、同じSOx濃度に対して流れるセンサ電流Issが大きくなる。このため、ピーク値dIpeakが小さくなる。従って、テーブルMapKc(Rden)は、固体電解質抵抗Rdenが大きいほど、大きい補正係数Kcが取得されるように作成されている。尚、補正係数Kcは、「1」以上の値である。
第1変形装置は、取得した補正係数Kcを基準SOx濃度Csox_baseに乗じることにより、基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx指標としてのSOx濃度Csoxを取得する(Csox=Csox_base・Kc)。
第1変形装置は、第1センサ電極15Aの劣化度に応じて変化する固体電解質抵抗Rdenを用いて基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx濃度Csoxを取得する。従って、第1変形装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
尚、第1変形装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、ピーク値dIpeakを補正するための補正係数Ki_1を固体電解質抵抗Rdenに基づいて取得し、その補正係数Ki_1をピーク値dIpeakに乗じてピーク値dIpeakを補正し、この補正後のピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用することにより、SOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
この場合、補正係数Ki_1は、「1」以上の値であって、固体電解質抵抗Rdenが大きいほど大きい値である。
これによっても、第1変形装置は、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
更に、第1変形装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、固体電解質抵抗Rdenに基づいてルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)を補正し、この補正後のルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)にピーク値dIpeakを適用することにより、SOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。
更に、固体電解質抵抗Rdenは、排気の温度、排気の流量及び排気中の成分等の影響を受けて変化する。従って、機関50の運転中に固体電解質抵抗Rdenを取得する場合には、より正確な固体電解質抵抗Rdenを取得するために、第1変形装置は、機関50の運転状態が定常状態にあることを条件として、上記第1電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
或いは、機関50を搭載した車両が一時的に停止したときに機関50が一時的に停止されるように構成されている場合には、より正確な固体電解質抵抗Rdenを取得するために、第1変形装置は、機関50が一時的に停止されていることを条件として、上記第1電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
或いは、内燃機関と電動モータとを車両駆動源とするハイブリッド車両の内燃機関として機関50が利用されており、車両の走行中に機関50の運転と停止とが適宜行われる場合には、より正確な固体電解質抵抗Rdenを取得するために、第1変形装置は、車両の走行中に機関50が停止されていることを条件として、上記第1電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
更に、固体電解質抵抗Rdenは、センサセル15の温度Tssが低いほど大きくなる。従って、より正確な固体電解質抵抗Rdenを取得するために、第1変形装置は、センサ10の温度Tssが一定であること或いは一定範囲内にあることを条件として上記第1電圧変動制御を実行するように構成されることが好ましい。
従って、第1変形装置は、センサ10の温度Tssが一定ではないとき或いは一定範囲内にないときに上記第1電圧変動制御を実行した場合、センサ10の温度Tssが低いほど小さい補正係数Ki_1を取得するように構成され得る。
<第1変形装置の具体的な作動>
次に、第1変形装置の具体的な作動について説明する。第1変形装置のセンサECU93のCPU(以下、「第1変形装置のCPU」と称呼する。)も、第1実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
更に、第1変形装置のCPUは、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、第1変形装置のCPUは、ステップ1100から処理を開始してステップ1105に進み、補正係数取得要求フラグX3の値が「1」であるか否かを判定する。図11に示したルーチンにおける補正係数取得要求フラグX3の値は、補正係数Kcの取得が要求された場合に「1」に設定され、補正係数Kcの取得が完了した場合に「0」に設定される。
補正係数取得要求フラグX3の値が「0」である場合、第1変形装置のCPUは、ステップ1105にて「No」と判定してステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、補正係数取得要求フラグX3の値が「1」である場合、第1変形装置のCPUは、ステップ1105にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1115及びステップ1120の処理を順に行う。その後、第1変形装置のCPUは、ステップ1125に進む。
ステップ1115:第1変形装置のCPUは、上記第1電圧変動制御を実行する。詳細には、第1変形装置のCPUは、第1電圧変動制御を開始していない場合、第1電圧変動制御を開始し、既に第1電圧変動制御を開始している場合、第1電圧変動制御を継続する。補正係数Kcの取得の要求後、第1変形装置のCPUがステップ1105にて始めて「Yes」と判定した場合、第1変形装置のCPUは、第1電圧変動制御を開始していないので、第1電圧変動制御を開始する。その後、第1変形装置のCPUは、後述するステップ1125にて「Yes」と判定するまで第1電圧変動制御を継続する。
ステップ1120:第1変形装置のCPUは、インピーダンスZを取得してRAMに保存する。
第1変形装置のCPUは、ステップ1125に進むと、センサ電圧Vssの変動周波数fが第1周波数f1よりも所定値だけ低い周波数f1_lowに到達したか否かを判定する。変動周波数fが周波数f1_lowに到達していない場合、第1変形装置のCPUは、ステップ1125にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。この場合、第1電圧変動制御が継続される。
変動周波数fが周波数f1_lowに到達した場合、第1変形装置のCPUは、ステップ1125にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1130乃至ステップ1075の処理を順に行う。その後、第1変形装置のCPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1130:第1変形装置のCPUは、第1電圧変動制御を停止する。
ステップ1135:第1変形装置のCPUは、補正係数取得要求フラグX3の値を「1」に設定する。これにより、第1変形装置のCPUは、その後、ステップ1105に進むと、「No」と判定するようになる。
ステップ1140:第1変形装置のCPUは、ステップ1120にて取得してRAMに保存してあるインピーダンスZのうち、虚数成分が最小(略零)であるインピーダンスZの実数成分(即ち、第1インピーダンスZ1)を固体電解質抵抗Rdenとして取得する。
ステップ1175:第1変形装置のCPUは、ステップ1140にて取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc(Rden)に適用することにより、補正係数Kcを取得してRAMに保存する。
以上が第1変形装置の具体的な作動である。これにより、第1変形装置は、SOx濃度Csox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。更に、第1変形装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第2実施装置」と称呼する。)について説明する。
排気中のSOx濃度が「法令等によって規定された上限濃度Csox_limit」以下の濃度ではあるがそれに近い濃度である場合、排気中のSOx濃度が上限濃度Csox_limitに近いことを知らせるための警報等を発するためにも、排気中のSOx濃度が上限濃度Csox_limitに近いか否かを判定することは有益である。
そこで、第2実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化していないとき(即ち、電極界面抵抗Rkaiが所定値であるとき)の排気中のSOx濃度の許容可能な上限値(以下、「許容上限濃度」と称呼する。)を基準上限濃度Cbaseとして予め定めて記憶しておく。
そして、第2実施装置は、第1センサ電極15Aの劣化度に応じて基準上限濃度Cbaseを補正するための補正係数Kc_siを取得し、この補正係数Kc_siによって基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、この補正後上限濃度Cthを用いて排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての判定結果をSOx指標として取得する。
より具体的には、第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなると、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得したSOx濃度Csoxは小さくなる。従って、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての正確な判定結果を取得するためには、第1センサ電極15Aの劣化度が大きいほど、基準上限濃度Cbaseが小さくなるように基準上限濃度Cbaseを補正する必要がある。
そこで、第2実施装置は、電極界面抵抗Rkaiを取得し、取得した電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKc_si(Rkai)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得する。テーブルMapKc_si(Rkai)は、電極界面抵抗Rkaiが大きくなるほど、小さい補正係数Kc_siが取得されるように作成されている。補正係数Kc_siは、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第2実施装置は、基準上限濃度Cbaseに補正係数Kc_siを乗じることにより、基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得する(Cth=Cbase・Kc_si)。
そして、第2実施装置は、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得する。第2実施装置は、そのSOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cthよりも高いか否かを判定する。SOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cthよりも高い場合、第2実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を取得する。一方、SOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cth以下である場合、第2実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度以下であるとの判定結果を取得する。
これにより、第2実施装置は、第1センサ電極15Aの劣化度に応じて変化する電極界面抵抗Rkaiを用いて基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、その補正後上限濃度Cthを用いて排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての判定結果を取得する。従って、第2実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての正確な判定結果をSOx指標として取得することができる。
尚、第2実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての判定結果をピーク値dIpeakを用いて取得するようにも構成され得る。
この場合、第2実施装置は、基準上限濃度Cbaseに対応するピーク値dIpeakの上限値を基準上限電流(言い換えれば、基準判定電流)Ibase_1として予め定めて記憶しておく。
そして、第2実施装置は、電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKi_si_1(Rkai)に適用することにより、補正係数Ki_si_1を取得する。テーブルMapKi_si_1(Rkai)は、電極界面抵抗Rkaiが大きくなるほど、小さい補正係数Ki_si_1が取得されるように作成されている。補正係数Ki_si_1は、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第2実施装置は、取得した補正係数Ki_si_1を基準上限電流Ibase_1に乗じることにより、基準上限電流Ibase_1を補正して補正後上限電流(言い換えれば、補正後判定電流)Ith_1を取得する(Ith_1=Ibase_1・Ki_si_1)。
そして、第2実施装置は、ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_1よりも大きいか否かを判定する。ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_1よりも大きい場合、第2実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を取得する。これに対し、ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_1以下である場合、第2実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度以下であるとの判定結果を取得する。
これによっても、第2実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての正確な判定結果をSOx指標として取得することができる。
更に、第2実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseを電極界面抵抗Rkai又は固体電解質抵抗Rdenに基づいて補正してSOx濃度Csoxを取得し、そのSOx濃度Csoxが基準上限濃度Cbaseよりも高いか否かを判定することにより、高SOx濃度判定結果を取得するようにも構成され得る。
更に、第2実施装置は、ピーク値dIpeakを電極界面抵抗Rkai又は固体電解質抵抗Rdenに基づいて補正し、その補正したピーク値dIpeakが基準上限電流Ibaseよりも高いか否かを判定することにより、高SOx濃度判定結果を取得するようにも構成され得る。
<第2実施装置の具体的な作動>
次に、第2実施装置の具体的な作動について説明する。第2実施装置のセンサECU93のCPU(以下、「第2実施装置のCPU」と称呼する。)も、第1実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第2実施装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第2実施装置のCPUは、図9のステップ955において、RAMに保存されているセンサ電流Issのピーク電流Ipeakと参照電流Irefとの差をピーク値dIpeakとして算出し、そのピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。そして、第2実施装置のCPUは、取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度CsoxとしてRAMに保存する。
更に、第2実施装置のCPUは、第1実施装置と同様に、図10に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第2実施装置のCPUが図10に示したルーチンを実行する場合、補正係数取得要求フラグX3は、補正係数Kc_siの取得が要求された場合に「1」に設定され、補正係数Kc_siの取得が完了した場合に「0」に設定される。
更に、第2実施装置のCPUは、図10のステップ1075においては、ステップ1070にて取得した電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKc_si(Rkai)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得してRAMに保存する。
更に、第2実施装置のCPUは、図12にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、第2実施装置のCPUは、図12のステップ1200から処理を開始してステップ1210に進み、基準上限濃度Cbaseに補正係数Kc_siを乗じることにより、補正後上限濃度Cthを取得する。
次いで、第2実施装置のCPUは、ステップ1220に進んでSOx濃度Csoxがステップ1210にて取得した補正後上限濃度Cthよりも大きいか否かを判定する。
SOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cthよりも大きい場合、第2実施装置のCPUは、ステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1230に進み、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を示す信号(高SOx濃度判定信号)をメインECU90に送出する。その後、第2実施装置のCPUは、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、SOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cth以下である場合、第2実施装置のCPUは、ステップ1220にて「No」と判定してステップ1240に進み、排気中のSOx濃度が許容上限濃度以下であるとの判定結果を示す信号(低SOx濃度判定信号)をメインECU90に送出する。その後、第2実施装置のCPUは、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上が第2実施装置の具体的な作動である。これにより、第2実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての正確な判定結果をSOx指標として取得することができる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第2変形装置」と称呼する。)について説明する。先に述べたように、本願の発明者は、第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなるほど、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるとの知見を得ている。
そこで、第2変形装置は、電極界面抵抗Rkaiに代えて、固体電解質抵抗Rdenを用いて、基準上限濃度Cbaseを補正するための補正係数Kc_siを取得する。
より具体的には、第2変形装置は、第1インピーダンスZ1の実数成分を固体電解質抵抗Rdenとして取得し、取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc_si(Rden)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得する。
センサ10の第1センサ電極15Aの劣化度が大きくなると、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap1Csox_base(dIpeak)に適用して取得される基準SOx濃度Csox_baseは小さくなる。従って、補正係数Kc_siを取得するためのルックアップテーブルMapKc_si(Rden)は、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるほど、小さい補正係数Kc_siが取得されるように作成されている。補正係数Kc_siは、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第2変形装置は、第2実施装置と同様に、取得した補正係数Kc_siを用いて基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、その補正後上限濃度Cthを用いて排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての判定結果(以下、「高SOx濃度判定結果」と称呼する。)をSOx指標として取得する。
第2変形装置は、第1センサ電極15Aの劣化度に応じて変化する固体電解質抵抗Rdenを用いて基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、その補正後上限濃度Cthを用いて高SOx濃度判定結果を取得する。従って、第2実施装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
尚、第2変形装置は、ピーク値dIpeakを用いて高SOx濃度判定結果を取得するようにも構成され得る。
この場合、第2変形装置は、基準上限濃度Cbaseに対応するピーク値dIpeakの上限電流を基準上限電流(言い換えれば、基準判定電流)Ibase_1として予め定めて記憶しておく。
そして、第2変形装置は、固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKi_si_1(Rden)に適用することにより、補正係数Ki_si_1を取得する。テーブルMapKi_si_1(Rden)は、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるほど、小さい補正係数Ki_si_1が取得されるように作成されている。補正係数Ki_si_1は、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第2変形装置は、取得した補正係数Ki_si_1を基準上限電流Ibase_1に乗じることにより、基準上限電流Ibase_1を補正して補正後上限電流(言い換えれば、補正後判定電流)Ith_1を取得する(Ith_1=Ibase_1・Ki_si_1)。
そして、第2変形装置は、ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_1よりも大きいか否かを判定する。ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_1よりも大きい場合、第2変形装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を取得する。これに対し、ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_1以下である場合、第2変形装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度以下であるとの判定結果を取得する。
これによっても、第2変形装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
<第2変形装置の具体的な作動>
次に、第2変形装置の具体的な作動について説明する。第2変形装置のセンサECU93のCPU(以下、「第2変形装置のCPU」と称呼する。)は、第2実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
更に、第2変形装置のCPUは、第1変形装置と同様に、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第2変形装置のCPUが図11に示したルーチンを実行する場合、第2変形装置のCPUは、ステップ1175において、ステップ1140にて取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc_si(Rden)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得してRAMに保存する。
更に、第2変形装置のCPUは、第2実施装置と同様に、図12に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
以上が第2変形装置の具体的な作動である。これにより、第2変形装置は、第1センサ電極15Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第3実施装置」と称呼する。)について説明する。第3実施装置は、図13に示した内燃機関に適用される。図13に示した内燃機関は、図1に示した内燃機関と同じである。
第3実施装置は、図14に示した内部構造を有する限界電流式センサ20、ポンプセル電圧源25C、センサセル電圧源26C、電流計25D、電流計26D、電圧計26E、及び、センサECU93を含んでいる。限界電流式センサ20は、2セルタイプの限界電流式センサであり、排気管83に配設されている。
図14に示したように、センサ20は、第1固体電解質層21A、第2固体電解質層21B、第1アルミナ層22A、第2アルミナ層22B、第3アルミナ層22C、第4アルミナ層22D、第5アルミナ層22E、第6アルミナ層22F、拡散律速層23、ヒータ24、ポンプセル25、第1ポンプ電極25A、第2ポンプ電極25B、センサセル26、第1センサ電極26A、第2センサ電極26B、第1大気導入路27A、第2大気導入路27B、及び、内部空間28を含んでいる。
固体電解質層21A、21Bは、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層22A〜22Fは、アルミナからなる層である。拡散律速層23は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ20では、各層は、図14において下方から、第6アルミナ層22F、第5アルミナ層22E、第4アルミナ層22D、第2固体電解質層21B、拡散律速層23及び第3アルミナ層22C、第1固体電解質層21A、第2アルミナ層22B、第1アルミナ層22Aの順で積層されている。ヒータ24は、第5アルミナ層22Eと第6アルミナ層22Fとの間に配置されている。
第1大気導入路27Aは、第1アルミナ層22Aと第2アルミナ層22Bと第1固体電解質層21Aとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。第2大気導入路27Bは、第2固体電解質層21Bと第4アルミナ層22Dと第5アルミナ層22Eとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間28は、第1固体電解質層21Aと第2固体電解質層21Bと拡散律速層23と第3アルミナ層22Cとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層23を介してセンサ外部に連通している。
第1ポンプ電極25A及び第2ポンプ電極25Bは、還元性の低い材料(例えば、金と白金との合金)からなる電極である。第1ポンプ電極25Aは、第2固体電解質層21Bの一方の側の壁面(即ち、内部空間28を形成する第2固体電解質層21Bの壁面)に配置され、第2ポンプ電極25Bは、第2固体電解質層21Bの他方の側の壁面(即ち、第2大気導入路27Bを形成する第2固体電解質層21Bの壁面)に配置されている。これら電極25A、25Bと第2固体電解質層21Bとは、ポンプセル25を構成している。
センサ20は、ポンプセル25(具体的には、第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bとの間)にポンプセル電圧源25Cから電圧を印加可能に構成されている。第1ポンプ電極25Aは陰極側の電極であり、第2ポンプ電極25Bは陽極側の電極である。
ポンプセル25に電圧が印加されると、内部空間28内の酸素が第1ポンプ電極25Aに接触したときに、この酸素が第1ポンプ電極25A上で酸素イオンとなり、この酸素イオンが第2固体電解質層21Bの内部を第2ポンプ電極25Bに向かって移動する。このとき、第1ポンプ電極25Aと第2ポンプ電極25Bとの間には、第2固体電解質層21Bの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2ポンプ電極25Bに達すると、酸素イオンは第2ポンプ電極25Bにおいて酸素となって第2大気導入路27Bに放出される。つまり、ポンプセル25は、排気中の酸素を排気からポンピングによって大気に放出し、排気中の酸素濃度を低下させることができる。このポンプセル25のポンピング能力は、ポンプセル電圧源25Cから当該ポンプセル25に印加される電圧が高いほど高い。
第1センサ電極26A及び第2センサ電極26Bは、還元性の高い材料(例えば、白金若しくはロジウム等の白金族元素又はその合金)からなる電極である。第1センサ電極26Aは、第1固体電解質層21Aの一方の側の壁面(即ち、内部空間28を形成する第1固体電解質層21Aの壁面)に配置され、第2センサ電極26Bは、第1固体電解質層21Aの他方の側の壁面(即ち、第1大気導入路27Aを形成する第1固体電解質層21Aの壁面)に配置されている。これら電極26A、26Bと第1固体電解質層21Aとは、センサセル26を構成している。
センサ20は、センサセル26(具体的には、第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間)にセンサセル電圧源26Cから電圧を印加可能に構成されている。センサセル電圧源26Cは、センサセル26に直流電圧と交流電圧とを選択的に印加可能に構成されている。センサセル電圧源26Cがセンサセル26に直流電圧を印加した場合、第1センサ電極26Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極26Bは陽極側の電極である。
センサセル26に電圧が印加されると、内部空間28内のSOxが第1センサ電極26Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極26A上で分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが第1固体電解質層21Aの内部を第2センサ電極26Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極26Aと第2センサ電極26Bとの間には、第1固体電解質層21Aの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極26Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極26Bにおいて酸素となって第1大気導入路27Aに放出される。
ヒータ24、ポンプセル電圧源25C、センサセル電圧源26C、電流計25D、電流計26D及び電圧計26Eは、センサECU93に接続されている。
センサECU93は、センサセル26の温度が所定の一定温度(即ち、センサ活性温度)に維持されるようにヒータ24の作動を制御する。
更に、センサECU93は、後述するように設定される電圧がポンプセル電圧源25Cからポンプセル25に印加されるようにポンプセル電圧源25Cの電圧を制御する。
更に、センサECU93は、後述するように設定される電圧がセンサセル電圧源26Cからセンサセル26に印加されるようにセンサセル電圧源26Cの電圧を制御する。
電流計25Dは、ポンプセル25を含む回路に流れている電流Ipp(以下、「ポンプ電流Ipp」と称する。)を検出し、その検出したポンプ電流Ippを表す信号をセンサECU93に出力する。センサECU93は、その信号に基づいてポンプ電流Ippを取得する。
電流計26Dは、センサセル26を含む回路に流れている電流Iss(以下、「センサ電流Iss」と称する。)を検出し、その検出したセンサ電流Issを表す信号をセンサECU93に出力する。センサECU93は、その信号に基づいてセンサ電流Issを取得する。
電圧計26Eは、センサセル26に印加されている電圧Vss(以下、「センサ電圧Vss」と称する。)を検出し、その検出したセンサ電圧Vssを表す信号をセンサECU93に出力する。センサECU93は、その信号に基づいてセンサ電圧Vssを取得する。
<第3実施装置の作動の概要>
<SOx濃度の取得>
本願の発明者は、センサ20においても、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加しつつ、センサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させ、その後、0.8Vから0.2Vまで低下させれば、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させている間にSOx濃度Csoxに相関するピーク電流Ipeakがセンサセル26から出力されるとの知見を得た。
そこで、第3実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加した状態で、センサ電圧Vssを0.4Vに維持しておく。そして、第3実施装置は、センサ電圧Vssの上昇速度が徐々に減少するようにセンサ電圧Vssを0.4Vから0.8Vまで上昇させ、その後、センサ電圧Vssの低下速度が徐々に増大するようにセンサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる。
第3実施装置は、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる間に取得されるピーク値dIpeak(=|Iref−Iss|)をルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。そして、第3実施装置は、後述する補正係数Kcによって基準SOx濃度Csox_baseを補正することにより、SOx指標としてのSOx濃度Csoxを取得する。テーブルMap2Csox_base(dIpeak)によれば、ピーク値dIpeakが大きいほど、大きい基準SOx濃度Csox_baseが取得される。
<SOx濃度の補正>
ところで、第1実施装置の第1センサ電極15Aと同様に、第3実施装置の第1センサ電極26Aを構成する材料が排気の熱等の影響によってシンタリングして劣化する可能性がある。
そこで、第3実施装置も、第1センサ電極26Aと固体電解質層21Aとの界面における電極界面抵抗Rkaiを取得し、その電極界面抵抗Rkaiに基づいて基準SOx濃度Csox_baseを補正するための補正係数Kcを取得し、その補正係数Kcによって基準SOx濃度Csox_baseを補正することにより、SOx濃度Csoxを取得する。
より具体的には、第3実施装置は、0Vを中心として正弦波をなすようにセンサ電圧Vssを変動させると共に、センサ電圧Vssの変動周波数fが「所定の第1周波数f1よりも所定値だけ高い周波数f1_high周波数」から「第1周波数f1よりも所定値だけ低い周波数f1_low」まで徐々に小さくなるようにセンサ電圧Vssの変動周波数fを変化させる第1電圧変動制御を行う。
第3実施装置は、第1電圧変動制御を行っている間に取得したセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとに基づいてインピーダンスZを取得する。そして、第3実施装置は、取得したインピーダンスZのうち、虚数成分が最小(零又は略零)であるインピーダンスZの実数成分を第1インピーダンスZ1として取得する。
更に、第3実施装置は、0Vを中心として正弦波をなすようにセンサ電圧Vssを変動させると共に、センサ電圧Vssの変動周波数fが「第1周波数f1よりも小さい所定の第2周波数f2よりも所定値だけ高い周波数f2_high」から「第2周波数f2よりも所定値だけ低い周波数f1_low」まで徐々に小さくなるようにセンサ電圧Vssの変動周波数fを変化させる第2電圧変動制御を行う。尚、周波数f2_highは、周波数f1_lowよりも低い周波数である。
第3実施装置は、第2電圧変動制御を行っている間に取得したセンサ電圧Vssとセンサ電流Issとに基づいてインピーダンスZを取得する。そして、第3実施装置は、取得したインピーダンスZのうち、虚数成分が最小(零又は略零)であるインピーダンスZの実数成分を第2インピーダンスZ2として取得する。
そして、第3実施装置は、第2インピーダンスZ2から第1インピーダンスZ1を減じることにより、電極界面抵抗Rkaiを取得する(Rkai=Z2−Z1)。第3実施装置は、取得した電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKc(Rkai)に適用することにより、補正係数Kcを取得する。
第1センサ電極26Aの劣化度が大きくなるほど、電極界面抵抗Rkaiが大きくなり、その結果、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる間、同じSOx濃度に対して流れるセンサ電流Issが大きくなる。このため、ピーク値dIpeakが小さくなる。従って、テーブルMapKc(Rkai)は、電極界面抵抗Rkaiが大きいほど、大きい補正係数Kcが取得されるように作成されている。尚、補正係数Kcは、「1」よりも大きい値である。
第3実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseに補正係数Kcを乗じることにより、SOx濃度Csoxを補正する(Csox=Csox_base・Kc)。
第3実施装置は、第1センサ電極26Aの劣化度に応じて変化する電極界面抵抗Rkaiを用いて基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx濃度Csoxを取得する。従って、第3実施装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
尚、第3実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、ピーク値dIpeakを補正するための補正係数Ki_2を電極界面抵抗Rkaiに基づいて取得し、その補正係数Ki_2をピーク値dIpeakに乗じてピーク値dIpeakを補正し、この補正後のピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得するようにも構成され得る。
この場合、補正係数Ki_2は、「1」以上の値であって、電極界面抵抗Rkaiが大きいほど大きい値である。
これによっても、第3実施装置は、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
更に、第3実施装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、電極界面抵抗Rkaiに基づいてルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)を補正し、この補正後のルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)にピーク値dIpeakを適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得するようにも構成され得る。
更に、先に述べたように、電極界面抵抗Rkaiは、第1センサ電極26Aに到来する排気中の酸素濃度が大きいほど小さくなる。しかしながら、第3実施装置においては、第1センサ電極26Aに到来する排気中の酸素濃度は、一定に維持されているため、排気中の酸素濃度に基づいて電極界面抵抗Rkaiを補正する必要はない。
<NOx濃度の取得>
排気中に窒素酸化物(以下、「NOx」と称する。)が含まれている場合、センサ電圧Vssが0.4Vに維持されているときにNOxがセンサセル26によって還元されて窒素と酸素とに分解される。そして、NOxの分解によって生成された酸素は、センサセル26において酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層21Aの内部を第2センサ電極26Bに向かって移動する。
内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されていても、ポンプセル25を構成するポンプ電極25A及び25Bは、還元性の低い材料から形成されているので、ポンプセル25では、排気中のNOxはほとんど還元されない。そして、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されている場合、センサセル26に到来する排気中には、酸素はほとんど存在しない。
従って、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppがポンプセル25に印加されており且つセンサ電圧Vssが0.4Vに維持されているときに固体電解質層21Aの内部を移動した酸素イオン量に比例して出力されるセンサ電流Issは、排気中のNOx濃度に比例した電流である。そして、このときのセンサ電流Issと排気中のNOx濃度との間には、図15に示した関係がある。従って、このときのセンサ電流Issを用いて排気中のNOx濃度を取得することができる。
そこで、第3実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にする電圧Vppをポンプセル25に印加しつつ、センサ電圧Vssを0.4Vに制御し、そのときに取得されるセンサ電流IssをルックアップテーブルMapCnox(Iss)に適用することにより、排気中のNOx濃度Cnoxを取得する。テーブルMapCnox(Iss)によれば、センサ電流Issが大きいほど、大きいNOx濃度Cnoxが取得される。
<酸素濃度の取得>
ポンプセル電圧源25Cからポンプセル25に印加される電圧(以下、「ポンプ電圧Vpp」と称する。)とポンプ電流Ippとの間にも、図3に示した関係がある。そこで、第3実施装置は、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppをポンプセル25に印加しているときに取得されるポンプ電流IppをルックアップテーブルMapCoxy(Ipp)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得する。テーブルMapCoxy(Ipp)によれば、ポンプ電流Ippが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
これによれば、第3実施装置は、排気中のSOx濃度Csox及びNOx濃度Cnoxに加えて排気中の酸素濃度Coxyを取得することができる。
尚、センサ電圧Vssとセンサ電流Issと排気中の酸素濃度Coxyとの関係も、図3に示した関係と同じ関係にある。従って、第3実施装置は、センサ電圧Vssを0.4Vに制御した状態でポンプ電圧Vppを零にし、そのときに取得されるセンサ電流IssをルックアップテーブルMapCoxy(Iss)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得するようにも構成され得る。テーブルMapCoxy(Iss)によれば、センサ電流Issが大きいほど、大きい酸素濃度Coxyが取得される。
<第3実施装置の具体的な作動>
次に、第3実施装置の具体的な作動について説明する。第3実施装置のセンサECU93のCPU(以下、「第3実施装置のCPU」と称呼する。)は、第1実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第3実施装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第3実施装置のCPUは、図9のステップ955においては、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。
更に、第3実施装置のCPUは、図9のステップ965乃至ステップ975の処理の代わりに、図16のステップ1665乃至ステップ1675の処理を行う。
尚、第3実施装置のCPUは、別途、内部空間28内の排気中の酸素濃度を零(又は、略零)にするポンプ電圧Vppがポンプセル25にされるようにポンプセル電圧源25Cを制御している。
第3実施装置のCPUがステップ905の処理を実行する時点においてSOx濃度取得要求フラグX1の値が「0」である場合、第3実施装置のCPUは、ステップ905にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1665乃至ステップ1675の処理を順に行う。その後、第3実施装置のCPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1665:第3実施装置のCPUは、センサ電圧Vssを0.4Vに制御するためのセンサ電圧制御を実行する。
ステップ1670:第3実施装置のCPUは、ポンプ電流Ipp及びセンサ電流Issを取得する。
ステップ1675:第3実施装置のCPUは、ステップ1670にて取得したポンプ電流IppをルックアップテーブルMapCoxy(Ipp)に適用することにより、排気中の酸素濃度Coxyを取得すると共に、ステップ1670にて取得したセンサ電流IssをルックアップテーブルMapCnox(Iss)に適用することにより、排気中のNOx濃度Cnoxを取得する。
更に、第3実施装置のCPUは、図10に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
以上が第3実施装置の具体的な作動である。これにより、第3実施装置は、SOx濃度Csox、NOx濃度Cnox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。更に、第3実施装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
<第3実施形態の変形例>
次に、第3実施形態の変形例に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第3変形装置」と称呼する。)について説明する。先に述べたように、本願の発明者は、第1センサ電極26Aの劣化度が大きくなるほど、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるとの知見を得ている。
そこで、第3変形装置は、電極界面抵抗Rkaiに代えて、固体電解質抵抗Rdenを用いて、基準SOx濃度Csox_baseを補正するための補正係数Kcを取得する。
より具体的には、第3変形装置は、第1インピーダンスZ1の実数成分を固体電解質抵抗Rdenとして取得し、取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc(Rden)に適用することにより、補正係数Kcを取得する。
第1センサ電極26Aの劣化度が大きくなるほど、固体電解質抵抗Rdenが大きくなり、その結果、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vまで低下させる間、同じSOx濃度に対して流れるセンサ電流Issが大きくなる。このため、ピーク値dIpeakが小さくなる。従って、テーブルMapKc(Rden)は、固体電解質抵抗Rdenが大きいほど、大きい補正係数Kcが取得されるように作成されている。尚、補正係数Kcは、「1」以上の値である。
第3変形装置は、取得した補正係数Kcを基準SOx濃度Csox_baseに乗じることにより、基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx濃度Csoxを取得する(Csox=Csox_base・Kc)。
第3変形装置は、第1センサ電極26Aの劣化度に応じて変化する固体電解質抵抗Rdenを用いて基準SOx濃度Csox_baseを補正してSOx濃度Csoxを取得する。従って、第3変形装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
尚、第3変形装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、ピーク値dIpeakを補正するための補正係数Ki_2を固体電解質抵抗Rdenに基づいて取得し、その補正係数Ki_2をピーク値dIpeakに乗じてピーク値dIpeakを補正し、この補正後のピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得するようにも構成され得る。
この場合、補正係数Ki_2は、「1」以上の値であって、固体電解質抵抗Rdenが大きいほど大きい値である。
これによっても、第3変形装置は、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
更に、第3変形装置は、基準SOx濃度Csox_baseを補正係数Kcで補正するのではなく、固体電解質抵抗Rdenに基づいてルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)を補正し、この補正後のルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)にピーク値dIpeakを適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得するようにも構成され得る。
<第3変形装置の具体的な作動>
次に、第3変形装置の具体的な作動について説明する。第2変形装置のセンサECU93のCPU(以下、「第3変形装置のCPU」と称呼する。)も、第1実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第3変形装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第3変形装置のCPUは、図9のステップ955においては、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。
更に、第3変形装置のCPUは、第1変形装置と同様に、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。但し、第3変形装置のCPUが図11に示したルーチンを実行する場合、第3変形装置のCPUは、図11のステップ1175において、ステップ1140にて取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc(Rden)に適用することにより、補正係数Kcを取得してRAMに保存する。
以上が第3変形装置の具体的な作動である。これにより、第3変形装置は、SOx濃度Csox、NOx濃度Cnox及び酸素濃度Coxyを取得することができる。更に、第3変形装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確なSOx濃度CsoxをSOx指標として取得することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第4実施装置」と称呼する。)について説明する。第4実施装置は、センサ20のセンサ電流Issに基づいて取得したSOx濃度Csoxを用いて高SOx濃度判定結果を取得する。
具体的には、第4実施装置は、第2実施形態と同様に、第1センサ電極26Aが劣化していないとき(即ち、電極界面抵抗Rkaiが所定値であるとき)の排気中のSOx濃度の許容可能な上限値(即ち、許容上限濃度)を基準上限濃度Cbaseとして予め定めて記憶しておく。
そして、第4実施装置は、第1センサ電極26Aの劣化度に応じて基準上限濃度Cbaseを補正するための補正係数Kc_siを取得し、この補正係数Kc_siによって基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、この補正後上限濃度Cthを用いて高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得する。
より具体的には、第1センサ電極26Aの劣化度が大きくなると、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用して取得したSOx濃度Csoxは小さくなる。従って、正確な高SOx濃度判定結果を取得するためには、第1センサ電極26Aの劣化度が大きいほど、基準上限濃度Cbaseが小さくなるように基準上限濃度Cbaseを補正する必要がある。
そこで、第4実施装置は、電極界面抵抗Rkaiを取得し、取得した電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKc_si(Rkai)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得する。テーブルMapKc_si(Rkai)は、電極界面抵抗Rkaiが大きくなるほど、小さい補正係数Kc_siが取得されるように作成されている。補正係数Kc_siは、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第4実施装置は、基準上限濃度Cbaseに補正係数Kc_siを乗じることにより、基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得する(Cth=Cbase・Kc_si)。
そして、第4実施装置は、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用して取得した基準SOx濃度Csox_baseをSOx濃度Csoxとして取得する。第4実施装置は、そのSOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cthよりも高いか否かを判定する。SOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cthよりも高い場合、第4実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を取得する。一方、SOx濃度Csoxが補正後上限濃度Cth以下である場合、第4実施装置は、排気中のSOx濃度Csoxが許容上限濃度以下であるとの判定結果を取得する。
これにより、第4実施装置は、第1センサ電極26Aの劣化度に応じて変化する電極界面抵抗Rkaiを用いて基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、その補正後上限濃度Cthを用いて排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての判定結果を取得する。従って、第4実施装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いか否かについての正確な判定結果をSOx指標として取得することができる。
尚、第4実施装置は、センサ20のピーク値dIpeakを用いて高SOx濃度判定結果を取得するようにも構成され得る。
この場合、第4実施装置は、基準上限濃度Cbaseに対応するセンサ20のピーク値dIpeakを基準上限電流(言い換えれば、基準判定電流)Ibase_2として予め定めて記憶しておく。
そして、第4実施装置は、電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKi_si_2(Rkai)に適用することにより、補正係数Ki_si_2を取得する。テーブルMapKi_si_2(Rkai)は、電極界面抵抗Rkaiが大きくなるほど、小さい補正係数Ki_si_2が取得されるように作成されている。補正係数Ki_si_2は、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第4実施装置は、取得した補正係数Ki_si_2を基準上限電流Ibase_2に乗じることにより、基準上限電流Ibase_2を補正して補正後上限電流(言い換えれば、補正後判定電流)Ith_2を取得する(Ith_2=Ibase_2・Ki_si_2)。
そして、第4実施装置は、センサ20のピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_2よりも大きいか否かを判定する。ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_2よりも大きい場合、第4実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を取得する。これに対し、ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_2以下である場合、第4実施装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度以下であるとの判定結果を取得する。
これによっても、第4実施装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
<第4実施装置の具体的な作動>
次に、第4実施装置の具体的な作動について説明する。第4実施装置のセンサECU93のCPU(以下、「第4実施装置のCPU」と称呼する。)も、第2実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第4実施装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第4実施装置のCPUは、図9のステップ940において、センサ20のセンサ電流Issを取得してRAMに保存する。
更に、第4実施装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第4実施装置のCPUは、図9のステップ955においては、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。
更に、第4実施装置のCPUは、第1実施装置と同様に、図10に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第4実施装置のCPUが図10に示したルーチンを実行する場合、補正係数取得要求フラグX3は、補正係数Kc_siの取得が要求された場合に「1」に設定され、補正係数Kc_siの取得が完了した場合に「0」に設定される。
更に、第4実施装置のCPUは、図10のステップ1075においては、ステップ1070にて取得した電極界面抵抗RkaiをルックアップテーブルMapKc_si(Rkai)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得してRAMに保存する。
更に、第4実施装置のCPUは、図12にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
以上が第4実施装置の具体的な作動である。これにより、第4実施装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
<第4実施形態の変形例>
次に、第4実施形態の変形例に係る内燃機関のSOx指標取得装置(以下、「第4変形装置」と称呼する。)について説明する。先に述べたように、本願の発明者は、第1センサ電極26Aの劣化度が大きくなるほど、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるとの知見を得ている。
そこで、第4変形装置は、電極界面抵抗Rkaiに代えて、固体電解質抵抗Rdenを用いて、基準上限濃度Cbaseを補正するための補正係数Kc_siを取得する。
より具体的には、第4変形装置は、第1インピーダンスZ1の実数成分を固体電解質抵抗Rdenとして取得し、取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc_si(Rden)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得する。
センサ20の第1センサ電極26Aの劣化度が大きくなると、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用して取得される基準SOx濃度Csox_baseは小さくなる。従って、補正係数Kc_siを取得するためのルックアップテーブルMapKc_si(Rden)は、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるほど、小さい補正係数Kc_siが取得されるように作成されている。補正係数Kc_siは、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第4変形装置は、第4実施装置と同様に、取得した補正係数Kc_siを用いて基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、その補正後上限濃度Cthを用いて高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得する。
第4変形装置は、第1センサ電極26Aの劣化度に応じて変化する固体電解質抵抗Rdenを用いて基準上限濃度Cbaseを補正して補正後上限濃度Cthを取得し、その補正後上限濃度Cthを用いて高SOx濃度判定結果を取得する。従って、第4実施装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
尚、第4変形装置は、センサ20のピーク値dIpeakを用いて高SOx濃度判定結果を取得するようにも構成され得る。
この場合、第4変形装置は、基準上限濃度Cbaseに対応するセンサ20のピーク値dIpeakを基準上限電流(言い換えれば、基準判定電流)Ibase_2として予め定めて記憶しておく。
そして、第4変形装置は、固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKi_si_2(Rden)に適用することにより、補正係数Ki_si_2を取得する。テーブルMapKi_si_2(Rden)は、固体電解質抵抗Rdenが大きくなるほど、小さい補正係数Ki_si_2が取得されるように作成されている。補正係数Ki_si_2は、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。
第4変形装置は、取得した補正係数Ki_si_2を基準上限電流Ibase_2に乗じることにより、基準上限電流Ibase_2を補正して補正後上限電流(言い換えれば、補正後判定電流)Ith_2を取得する(Ith_2=Ibase_2・Ki_si_2)。
そして、第4変形装置は、センサ20のピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_2よりも大きいか否かを判定する。ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_2よりも大きい場合、第4変形装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの判定結果を取得する。これに対し、ピーク値dIpeakが補正後上限電流Ith_2以下である場合、第4変形装置は、排気中のSOx濃度が許容上限濃度以下であるとの判定結果を取得する。
これによっても、第4変形装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
<第4変形装置の具体的な作動>
次に、第4変形装置の具体的な作動について説明する。第4変形装置のセンサECU93のCPU(以下、「第4変形装置のCPU」と称呼する。)は、第4実施装置と同様に、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第4変形装置のCPUが図9に示したルーチンを実行する場合、第4変形装置のCPUは、図9のステップ955においては、ピーク値dIpeakをルックアップテーブルMap2Csox_base(dIpeak)に適用することにより、基準SOx濃度Csox_baseを取得する。
更に、第4変形装置のCPUは、第1変形装置と同様に、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
但し、第4変形装置のCPUが図11に示したルーチンを実行する場合、第4変形装置のCPUは、ステップ1175において、ステップ1140にて取得した固体電解質抵抗RdenをルックアップテーブルMapKc_si(Rden)に適用することにより、補正係数Kc_siを取得してRAMに保存する。
更に、第4変形装置のCPUは、第2実施装置と同様に、図12に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
以上が第4変形装置の具体的な作動である。これにより、第4変形装置は、第1センサ電極26Aが劣化しても、正確な高SOx濃度判定結果をSOx指標として取得することができる。
尚、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記実施装置及び変形装置は、第1電圧変動制御及び第2電圧変動制御において、0Vを中心として正弦波をなすようにセンサ電圧Vssを変動させる代わりに、図17に示したように、0Vから所定の電圧Vhighまで上昇した後、0Vまで低下するセンサ電圧Vssの変動を繰り返し行うように構成され得る。
この場合、上記実施装置及び変形装置は、0Vから所定の電圧Vhighまで上昇し、その後、0Vに低下するまでの時間Tを1周期の時間としてセンサ電圧Vssの変動周波数を変化させるように構成される。
更に、上記実施装置及び変形装置は、SOx濃度Csoxを取得する場合、センサ電圧Vssの低下前にセンサ電圧Vssを上昇させる。しかしながら、センサ電圧Vssを低下しさえすれば、その直前にセンサ電圧Vssを上昇させなくても、SOx濃度Csoxを取得することができる。従って、上記実施装置及び変形装置は、SOx濃度Csoxの取得が完了した後、SOx濃度Csoxの取得が要求されるまでの間、センサ電圧Vssを0.8Vに維持し、SOx濃度Csoxの取得が要求されたときに、センサ電圧Vssを0.8Vから0.2Vに向けて低下させるようにも構成され得る。
更に、上記実施装置及び変形装置は、ピーク電流Ipeakと参照電流Irefとの差であるピーク値dIpeakを用いて基準SOx濃度Csox_base又はSOx濃度Csoxを取得しているが、ピーク電流Ipeakそのものを用いて基準SOx濃度Csox_base又はSOx濃度Csoxを取得するようにも構成され得る。この場合、ピーク電流Ipeakが小さいほど、大きい基準SOx濃度Csox_base又はSOx濃度Csoxが取得される。
更に、上記実施装置及び変形装置は、ピーク値dIpeakに基づいて取得したSOx濃度Csoxと補正後上限濃度Cthとを比較し、或いは、ピーク値dIpeakと補正後上限電流Ith_1又はIth_2とを比較して、高SOx濃度判定結果を取得している。
しかしながら、上記実施装置及び変形装置は、基準上限濃度Cbaseに対応するピーク電流Ipeakを基準下限電流(言い換えれば、基準判定電流)として予め記憶しておき、電極界面抵抗Rkai又は固体電解質抵抗Rdenに基づいて上記基準下限電流を補正して補正後下限電流(言い換えれば、補正後判定電流)を取得し、ピーク電流Ipeakが補正後下限電流よりも小さい場合、SOx濃度が許容上限濃度よりも高いとの高SOx濃度判定結果を取得するようにも構成され得る。
この場合、電極界面抵抗Rkai又は固体電解質抵抗Rdenが大きいほど、大きい補正後下限電流が取得されるように基準下限電流が補正される。
更に、排気中の成分を浄化する触媒が排気管に設けられている場合、排気中のSOxが触媒に捕捉される可能性がある。この場合、センサが触媒下流の排気管に取り付けられていると、SOx濃度を精度良く取得できない可能性がある。そこで、触媒が排気管に設けられている場合、上記実施装置及び変形装置のセンサは、触媒上流の排気管に取り付けられることが好ましい。