以下、センサの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1,2に示す電圧センサ1は、「センサ」の一例であって、芯線11が絶縁被覆12で覆われて絶縁された被覆電線10(図2参照)に供給されている電圧(被覆電線についての被検出量の一例)を金属非接触(導体非接触)で検出する際に使用可能に構成されている。この電圧センサ1は、電極部2、電極保持部3、支持部4およびロックナット5を備えて被覆電線10に装着可能に構成されると共に、接続ケーブル(電気信号入出力用のケーブルであって、一例として、芯線および芯線を覆うシールドを備えたシールドケーブル:図示せず)を介して測定装置(図示せず)に接続可能に構成されている。
電極部2は、「電極部」の一例であって、図2に示すように、導電性を有する金属材料(一例として、黄銅(真鍮))で円柱状に形成された検出電極21を備え、その先端部P2aが電極保持部3の先端部P3aから露出するように電極保持部3に挿入されて電極保持部3と一体化されている。この電極部2は、検出電極21の基端部P2bが接続ケーブルを介して測定装置に接続されると共に、後述するように支持部4によって支持されている被覆電線10に検出電極21の先端面が押し付けられたときに、検出電極21の先端面が絶縁被覆12を介して芯線11と容量結合させられる。
なお、先端部P2aから基端部P2bまでを1つの金属材料で一体形成した検出電極21で構成された電極部2を備えた例について説明するが、検出電極21における先端部P2a側の部位(被覆電線10に当接させられる部位)と、それ以外の部位とを別個に製作して一体化させた構成(図示せず)や、検出電極21における先端部P2a側の部位、基端部P2b側の部位(接続ケーブルに接続される部位)、および先端部P2a側の部位と基端部P2b側の部位とを電気的に接続する部位を別個に製作して一体化させた構成(図示せず)を採用することもできる。
電極保持部3は、「電極保持部」の一例であって、電極部2(検出電極21)を挿入可能な円筒状に形成されている。この電極保持部3は、シールド体31、筒状体32、カラー33,34およびEリング35を備え、軸線A(「支持部における先端部と基端部とを結ぶ軸線方向」の一例)を回動中心とする電極部2の相対的な回動を許容しつつ、軸線Aの方向に沿った電極部2の移動を規制した状態で電極部2を保持可能に構成されている。
シールド体31は、電極部2(検出電極21)に対する外乱の影響を低減することを主目的とする部材であって、導電性を有する材料(一例として、ステンレス鋼や黄銅(真鍮)などの金属材料や、ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料)で円筒状に形成されている。このシールド体31の基端部P3b側には、Eリング35を嵌め込むための溝部31aが形成されている。
筒状体32は、シールド体31と相俟って「保持部本体」を構成する部材であって、導電性を有する樹脂材料(一例として、ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料:「第2の樹脂材料」の一例)を成形材料とする射出成形加工によってシールド体31を挿入可能な円筒状に形成されて、電極保持部3の外表面部位を構成する。この筒状体32の外周面F32には、「雄ネジ」の一例である雄ネジ32aが形成されている。また、筒状体32の基端部には、後述するように支持部4に対して電極保持部3(筒状体32)を回動させる回動操作用の操作部32bが設けられている。この場合、本例の電圧センサ1では、一例として、筒状体32の操作部32bが六角形(六角ナットや六角ボルトの頭部と同形状)に形成されている。
この筒状体32は、挿入されたシールド体31に対して電気的に接続されて、シールド体31と同電位に維持される。なお、シールド体31と筒状体32とを別個に製作して一体化させた構成の電極保持部3について説明するが、電圧センサ1の電極保持部3におけるシールド体31に相当する部位と筒状体32に相当する部位とを導電性を有する樹脂材料(ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料)で一体形成することもできる(図示せず)。
カラー33,34は、「絶縁部」に相当し、シールド体31に対して電極部2(検出電極21)を位置決めすると共に、シールド体31の内周面から検出電極21を離間させることでシールド体31と検出電極21とを相互に絶縁するための部材であって、絶縁性を有する材料(一例として、ポリテトラフルオロエチレン)で円筒状に形成されている。このカラー33,34は、電極部2(検出電極21)の先端部P2aおよび基端部P2bにそれぞれ取り付けられた状態で電極部2と共にシールド体31内に収容されることでシールド体31に対して電極部2を絶縁しつつ位置決め保持する。
Eリング35は、シールド体31の溝部31aに嵌入されることにより、電極部2が挿入された状態のシールド体31に対する筒状体32の相対的な回動を許容しつつ、シールド体31に対する筒状体32の軸線Aの方向に沿った移動を規制する。
支持部4は、「支持部」の一例であって、導電性を有する樹脂材料(一例として、ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料:「第1の樹脂材料」の一例)を成形材料とする射出成形加工によって円筒状に形成されている。この支持部4は、筒状部41(「周壁」の一例)における先端部P4aの側が閉塞されると共に、筒状部41における基端部P4bの側が開口されて電極保持部3を筒状部41内に嵌入可能に構成されている。また、支持部4は、筒状部41の一部が切り欠かれて形成された側面視L字状の挿入部41a(「挿入部」の一例)が設けられて挿入部41aに挿入された被覆電線10を支持可能に構成されている。さらに、支持部4は、筒状部41の内周面F41aに「雌ネジ」の一例である雌ネジ41bが形成され、電極保持部3(筒状体32)の雄ネジ32aを螺合させることができるように構成されている。
これにより、本例の電圧センサ1では、後述するように支持部4(雌ネジ41b)に対する電極保持部3(雄ネジ32a)の相対的な回動により、支持部4に対して電極保持部3を軸線Aの方向に沿って相対的に移動させることが可能となっている(「電極保持部が軸線方向に沿って移動可能に支持部に嵌入され」との構成の一例)。また、本例の電圧センサ1では、支持部4の雌ネジ41bに対して電極保持部3の雄ネジ32aを螺合させた状態(「雌ネジに対する雄ネジの螺合」の一例)とすることで、支持部4に対する電極保持部3の軸線Aの方向に沿った相対的な移動が制限されるように構成されている。
この支持部4は、前述したように導電性を有する樹脂材料で形成されており、電極保持部3が嵌入された状態において筒状体32を介してシールド体31と電気的に接続され、シールド体31と同電位に維持される。また、図1に示すように、支持部4における筒状部41の外周面F41bには、一対の平行な平面部41c,41cが形成されている。なお、図示および詳細な説明を省略するが、本例の電圧センサ1では、支持部4の外周面F41bを含む外表面の全体が、外部とのショートを防止するために絶縁性を有するように構成されている。具体的には、一例として、支持部4の外表面には、絶縁性を有する材料を用いたコーティング処理によって絶縁層が形成されている。
ロックナット5は、「止めナット」の一例であって、樹脂材料(一例として、ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料や、それらの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料:「第3の樹脂材料」の一例)を成形材料とする射出成形加工によって形成された六角ナットで構成されている。このロックナット5は、電極保持部3(筒状体32)の雄ネジ32aに螺合させられると共に、後述するように、支持部4(雌ネジ41b)に対して電極保持部3(雄ネジ32a)をねじ込んだ状態で雄ネジ32aに対して右回りで回動されることで支持部4の基端部P4bに当接させられ、支持部4に対する電極保持部3の相対的な回動(緩み)を規制する。
次に、電圧センサ1を使用して被覆電線10の電圧(被測定量)を測定する測定処理について、添付図面を参照して説明する。
被覆電線10の電圧を測定する際には、最初に、電圧センサ1を被覆電線10に装着する。具体的には、まず、支持部4が電極保持部3(筒状体32の雄ネジ32a)に螺合されている状態であるときには、電極保持部3に対して支持部4を回動させて支持部4を電極保持部3から取り外す。次いで、支持部4の挿入部41aに被覆電線10を挿入して被覆電線10を支持部4によって支持させる。続いて、雄ネジ32aにロックナット5を螺合させた状態の電極保持部3における先端部P3aを、支持部4の基端部P4bから筒状部41内に軸線Aの方向に沿って挿入する。
次いで、電極保持部3を右回りに回動させることにより、支持部4の雌ネジ41bに対して電極保持部3の雄ネジ32aをねじ込む。この際には、支持部4に対する電極保持部3のねじ込みにより、電極保持部3によって保持されている電極部2が電極保持部3と共に支持部4の先端部P4aの側に向かって移動させられる。
この場合、本例の電圧センサ1では、支持部4の筒状部41に形成された両平面部41c,41cを指先で摘まんで支持部4を挟持すると共に、電極保持部3の操作部32bを指先で摘まんで電極保持部3を挟持することにより、支持部4に対して電極保持部3を確実かつ容易にねじ込むことができると共に、支持部4が電極保持部3と共に回動して支持部4によって保持される被覆電線10に捻れが生じる事態を回避することが可能となっている。
次いで、雌ネジ41bに対して雄ネジ32aをさらにねじ込み、電極保持部3および電極部2を支持部4の先端部P4a側にさらに移動させることにより、電極部2(検出電極21)の先端面を被覆電線10(絶縁被覆12)に当接させる。続いて、雌ネジ41bに対して雄ネジ32aをさらにねじ込むことにより、図2に示すように、電極部2の先端面を被覆電線10に押し付ける。これにより、支持部4の挿入部41aにおける先端部P4a側の縁部と、電極部2の先端面との間に被覆電線10が挟み込まれた状態となる。
この際には、支持部4(挿入部41aの縁部)と電極部2(検出電極21の先端面)との間に挟み込まれた被覆電線10において絶縁被覆12が弾性復帰不能に変形したり芯線11が破断したりすることがなく、かつ支持部4と被覆電線10との間、および電極部2と被覆電線10との間に隙間が生じることのない程度に、十分なトルクを電極保持部3に加えて雌ネジ41bに雄ネジ32aをねじ込む。
次いで、電極保持部3(雄ネジ32a)に対してロックナット5を右回りに回動させて支持部4の基端部P4bにロックナット5を当接させる。これにより、支持部4に対する電極保持部3の相対的な回動(緩み)が規制される。以上により、被覆電線10への電圧センサ1の装着が完了する。
続いて、電圧センサ1における電極部2および電極保持部3の基端部P2b,P3bに接続ケーブルを接続することによって電圧センサ1を測定装置に接続する。この後、測定装置の図示しない操作部を操作することにより、測定処理を開始させる。なお、この種のセンサを使用した電圧の測定方法については、前述した先行出願の背景技術等にも開示したように当業者間において公知のため、詳細な説明を省略する。
この場合、この測定装置の電圧センサ1では、電極保持部3に必要十分なトルクを加えて雌ネジ41bに雄ネジ32aをねじ込むことで、電極部2の先端面を被覆電線10に対して確実に押し付けた状態とすることができ、かつ、その状態で被覆電線10が振動したり、電圧センサ1に外力が加わったりしたとしても、支持部4に対する電極部2の移動(支持部4に対する電極保持部3の緩み)を生じさせることなく、装着時の状態を維持することができる。このため、電極部2の先端面と被覆電線10との密着性を十分に高めた状態を確実に維持することが可能となっており、被覆電線10の電圧を測定する際に重要となる被覆電線10の芯線11と検出電極21の先端面との間に形成される静電容量の容量値が大きく変動する事態が確実に回避される。これにより、電圧の検出精度を十分に向上させることが可能となっている。
一方、電圧を測定した被覆電線10についての測定処理を再び実行する必要がなくなったときや、他の被覆電線10についての測定処理を実行するときには、電圧センサ1を被覆電線10から取り外す。この際には、ロックナット5を左回りにネジ回して支持部4の基端部P4bから離間させる。続いて、電極保持部3を左回りに回動させて、電極保持部3および電極部2を支持部4の先端部P4aから離間させる向きに移動させ、電極部2の先端部P2aを被覆電線10から離間させる。次いで、被覆電線10が挿入部41aから外れるように電圧センサ1を移動させる。以上により、被覆電線10からの電圧センサ1の取り外しが完了する。なお、他の被覆電線10に対する電圧センサ1の装着の手順については前述した装着作業時と同様のため、詳細な説明を省略する。
この場合、出願人が先行出願において開示している電圧センサでは、前述したように、その表面部位を構成する部材(電極保持部や支持部)が金属材料で形成されている。このため、高温環境下に晒されたときに短時間で温度上昇する。したがって、例えば複数の被覆電線を測定対象としてそれぞれの被測定量を短時間で順次測定する際に、いずれかの被覆電線が高温環境下に設置されているときには、次の被覆電線を対象とする測定処理に先立ち、表面部位が温度上昇した電圧センサの脱着を行うこととなる。このため、手袋を装着した状態での作業、或いは工具を使用した作業が必要となる結果、迅速かつ正確な作業が困難となっている現状がある。
これに対して、本例の電圧センサ1では、その表面部位を構成する部材(電極保持部3支持部4およびロックナット5)が樹脂材料で形成されている。この場合、これらに用いられている樹脂材料が金属材料と比較して熱伝導率が低いため、高温環境下に晒されたとしても、高温まで温度上昇するのに長い時間を要する。したがって、例えば複数の被覆電線10を測定対象としてそれぞれの電圧(被測定量)を短時間で順次測定する際に、いずれかの被覆電線10が高温環境下に設置されていたとしても、その被覆電線10を対象とする測定処理時に電圧センサ1が高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、測定処理を比較的短時間で終了したときには、次の被覆電線を対象とする測定処理に先立つ脱着作業時に電圧センサ1の温度がそれほど温度上昇していない。これにより、電圧センサ1に素手で触れて脱着作業を行うことが可能となり、迅速かつ正確な作業が可能となっている。
また、出願人が先行出願において開示している電圧センサでは、その表面部位を構成する金属材料性の部材(電極保持部や支持部)が、切削加工によって形成されている。このため、それらの部材の製作コストの低減が困難となっており、これに起因して、電圧センサの製造コストが高騰しているという現状がある。
これに対して、本例の電圧センサ1では、前述したように、樹脂材料を成形材料とする射出成形処理によって電極保持部3(筒状体32)、支持部4およびロックナット5がそれぞれ形成されている。このため、金属の切削加工によって形成された部材と比較して、それらの部材の製作コストが十分に低減されており、これにより、電圧センサ1の製造コストが十分に低減されている。
このように、この電圧センサ1によれば、導電性を有する「第1の樹脂材料」によって支持部4を形成したことにより、測定処理時に電圧センサ1が高温環境下に晒されたとしても、支持部4が高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、そのような環境下で行われる測定処理が短時間のときには、支持部4に素手で触れて電圧センサ1の脱着を行うことができる。これにより、手袋を装着して支持部4を保持する脱着作業や、工具で支持部4を保持する脱着作業と比較して、迅速かつ正確に作業を完了させることができる。
また、この電圧センサ1によれば、導電性を有する「第2の樹脂材料」によって電極保持部3の筒状体32を形成したことにより、測定処理時に電圧センサ1が高温環境下に晒されたとしても、電極保持部3(筒状体32)が高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、そのような環境下で行われる測定処理が短時間のときには、支持部4だけでなく、電極保持部3にも素手で触れて電圧センサ1の脱着を行うことができる。これにより、手袋を装着して電極保持部3を保持する脱着作業や、工具で電極保持部3を保持する脱着作業と比較して、一層迅速かつ一層正確に作業を完了させることができる。
さらに、この電圧センサ1によれば、電極保持部3(筒状体32)の外周面F32に雄ネジ32aを形成し、かつ支持部4の内周面F41aに雌ネジ41bを形成して、雌ネジ41bに対する雄ネジ32aの螺合によって支持部4に対する電極保持部3の軸線Aの方向に沿った移動を制限可能に構成したことにより、電極保持部3に十分なトルクを加えて雌ネジ41bに雄ネジ32aをねじ込むことで、電極保持部3によって保持されている電極部2の先端面を被覆電線10に対して確実に押し付けることができる。これにより、電極部2の先端面と被覆電線10との密着性を十分に高めて、その状態を確実に維持することができるため、被覆電線10が振動したり、電圧センサ1に外力が加わったりしたとしても、被覆電線10の芯線11と検出電極21の先端面との間の静電容量の容量値が大きく変動する事態を確実に回避することができる結果、「被検出量(本例では、電圧)」の検出精度を十分に向上させることができる。
また、この電圧センサ1によれば、雄ネジ32aに螺合して支持部4に対する電極保持部3の相対的な回動を規制するロックナット5を、「第3の樹脂材料」で形成したことにより、電極部2の先端面と被覆電線10との密着性を十分に高めた状態を一層確実に維持することができる。
次に、「センサ」の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図3〜6に示す電圧センサ1Aは、「センサ」の他の一例であって、前述した電圧センサ1と同様にして被覆電線10(図5参照)に供給されている電圧を金属非接触(導体非接触)で検出する際に使用可能に構成されている。この電圧センサ1Aは、電極部2A、電極保持部3Aおよび支持部4Aを備えて被覆電線10に装着可能に構成されると共に、接続ケーブル(図示せず)を介して測定装置(図示せず)に接続可能に構成されている。
電極部2Aは、「電極部」の他の一例であって、図5,6に示すように、導電性を有する金属材料(一例として、黄銅(真鍮))で円柱状に形成された検出電極21Aを備え、その先端部P2Aaが電極保持部3Aの先端部P3Aaから露出するように電極保持部3Aに挿入されて電極保持部3Aと一体化されている。この電極部2Aは、検出電極21Aの基端部P2Abが接続ケーブルを介して測定装置に接続されると共に、後述するように支持部4Aによって支持されている被覆電線10に検出電極21Aの先端面が押し付けられたときに、検出電極21Aの先端面が絶縁被覆12を介して芯線11と容量結合させられる。
なお、先端部P2Aaから基端部P2Abまでを1つの金属材料で一体形成した検出電極21Aで構成された電極部2Aを備えた例について説明するが、検出電極21Aにおける先端部P2Aa側の部位(被覆電線10に当接させられる部位)と、それ以外の部位とを別個に製作して一体化させた構成(図示せず)や、検出電極21Aにおける先端部P2Aa側の部位、基端部P2Ab側の部位(接続ケーブルに接続される部位)、および先端部P2Aa側の部位と基端部P2Ab側の部位とを電気的に接続する部位を別個に製作して一体化させた構成を採用することもできる(図示せず)。
電極保持部3Aは、「電極保持部」の一例であって、電極部2A(検出電極21A)を挿入可能な円筒状に形成されている。この電極保持部3Aは、筒状体51,52、およびカラー53,54を備え、軸線Aの方向に沿った電極部2Aの移動を規制した状態で電極部2Aを保持可能に構成されている。
筒状体51は、筒状体52と相俟って「保持部本体」を構成し、導電性を有する樹脂材料(一例として、ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料:「第2の樹脂材料」の一例)を成形材料とする射出成形加工によって電極部2Aを挿入可能な円筒状に形成されると共に、前述した電圧センサ1におけるシールド体31と同様に電極部2A(検出電極21A)に対する外乱の影響を低減する部材としての機能を有するように構成されている。この筒状体51の外周面F51には、「第1の係合用溝部」の一例である溝部51a(図3,4参照)が全周に沿って形成されている。また、筒状体51の基端部には、筒状体52が嵌入されている。
筒状体52は、導電性を有する材料(一例として、ステンレス鋼や黄銅(真鍮)などの金属材料)で円筒状に形成されて上記のように筒状体51の基端部に嵌入され、電極保持部3Aの基端部P3Abを構成する。この筒状体52は、筒状体51に嵌入されることで筒状体51に対して電気的に接続されて、筒状体51と同電位に維持される。なお、筒状体51,52を別個に製作して一体化させた構成の電極保持部3Aについて説明するが、電圧センサ1Aの電極保持部3Aにおける筒状体51,52に相当する部位を、導電性を有する樹脂材料で一体形成することもできる(図示せず)。
カラー53,54は、「絶縁部」に相当し、筒状体51,52に対して電極部2A(検出電極21A)を位置決めすると共に、筒状体51,52の内周面から検出電極21Aを離間させることで筒状体51,52と検出電極21Aとを相互に絶縁するための部材であって、絶縁性を有する材料(一例として、ポリテトラフルオロエチレン)で円筒状に形成されている。このカラー53,54は、電極部2A(検出電極21A)の先端部P2Aaおよび基端部P2Abにそれぞれ取り付けられた状態で電極部2Aと共に筒状体51,52内に収容されることで筒状体51,52に対して電極部2Aを絶縁しつつ位置決め保持する。
支持部4Aは、「支持部」の他の一例であって、導電性を有する材料(一例として、ポリアミド合成樹脂などの樹脂材料にカーボンなどの導電性を有するフィラーを含有させた導電性樹脂材料:「第1の樹脂材料」の一例)を成形材料とする射出成形加工によって円筒状に形成されている。この支持部4Aは、筒状部61(「周壁」の他の一例)における先端部P4Aaの側が閉塞されると共に、筒状部61における基端部P4Abの側が開口されて電極保持部3Aを筒状部61内に嵌入可能に構成されている。また、支持部4Aは、筒状部61の一部が基端部P4Abから先端部P4Aaに向かって切り欠かれて形成された挿入部61a(「挿入部」の他の一例)が設けられて挿入部61aに挿入された被覆電線10を支持可能に構成されている。
さらに、支持部4Aは、筒状部61の内周面F61aに「第2の係合用凸部」の一例である凸部61bが形成されている。この場合、本例の電圧センサ1Aにおける支持部4Aは、筒状部61(凸部61bを除く)の内径が、電極保持部3Aにおける筒状体51の先端部P3Aa側の部位(溝部51aを除く)の外径と同程度となるように形成されている。
これにより、本例の電圧センサ1Aでは、後述するように支持部4Aに対して電極保持部3Aの先端部P3Aaを挿入して軸線Aの方向に沿って相対的に移動させ(「電極保持部が軸線方向に沿って移動可能に支持部に嵌入され」との構成の一例)、筒状体51の溝部51aに筒状部61の凸部61bを係合させることで支持部4Aに対する電極保持部3Aの軸線Aの方向に沿った相対的な移動を制限可能に構成されている。
この支持部4Aは、前述したように導電性を有する樹脂材料で形成されており、電極保持部3Aが嵌入された状態において筒状体51,52と電気的に接続され、筒状体51,52と同電位に維持される。また、図3,4に示すように、支持部4Aにおける筒状部61の外周面F61bには、一対の平行な平面部61c,61c(両図では、一方の平面部61cのみが図示されている)が形成されている。なお、図示および詳細な説明を省略するが、本例の電圧センサ1Aでは、支持部4Aの外周面F61bを含む外表面の全体が、外部とのショートを防止するために絶縁性を有するように構成されている。具体的には、一例として、支持部4Aの外表面には、絶縁性を有する材料を用いたコーティング処理によって絶縁層が形成されている。
次に、電圧センサ1Aを使用して被覆電線10の電圧(被測定量)を測定する測定処理について、添付図面を参照して説明する。
被覆電線10の電圧を測定する際には、最初に、電圧センサ1Aを被覆電線10に装着する。具体的には、まず、支持部4Aに電極保持部3Aが嵌入された状態であるときには、電極保持部3Aに対して支持部4Aを軸線Aの方向に移動させることで、図4,6に示すように支持部4Aを電極保持部3Aから取り外す。次いで、支持部4Aの挿入部61aに被覆電線10を挿入して被覆電線10を支持部4Aによって支持させる。続いて、電極保持部3Aにおける先端部P3Aaを、支持部4Aの基端部P4Abから筒状部61内に軸線Aの方向に沿って挿入する。この際には、支持部4Aに対する電極保持部3Aの移動により、電極保持部3Aによって保持されている電極部2Aが電極保持部3Aと共に支持部4Aの先端部P4Aaの側に向かって移動させられる。
この場合、本例の電圧センサ1Aでは、支持部4Aの筒状部61に形成された両平面部61c,61cを指先で摘まんで支持部4Aを挟持することにより、支持部4Aが電極保持部3Aに対して回動して支持部4Aによって保持されている被覆電線10に捻れが生じる事態を回避することが可能となっている。
次いで、電極保持部3Aおよび電極部2Aを支持部4Aの先端部P4Aa側にさらに移動させることにより、電極部2A(検出電極21A)の先端面を被覆電線10(絶縁被覆12)に当接させる。続いて、電極保持部3Aおよび電極部2Aを支持部4Aの先端部P4Aa側にさらに移動させることにより、電極部2Aの先端面を被覆電線10に押し付ける。この際には、図5に示すように、支持部4Aの挿入部61aにおける先端部P4Aa側の縁部と、電極部2Aの先端面との間に被覆電線10が挟み込まれた状態になる。
また、電極保持部3A(筒状体51)の溝部51aに支持部4A(筒状部61)の凸部61bが係合した状態になる。これにより、支持部4Aに対する電極保持部3Aの相対的な移動(緩み)が溝部51aおよび凸部61bによって規制される。以上により、被覆電線10への電圧センサ1Aの装着が完了する。
続いて、電圧センサ1Aにおける電極部2Aおよび電極保持部3Aの基端部P2Ab,P3Abに接続ケーブルを接続することにより、接続ケーブルを介して電圧センサ1Aを測定装置に接続する。この後、測定装置の図示しない操作部を操作することにより、測定処理を開始させる。
この場合、この測定装置の電圧センサ1Aでは、電極保持部3Aの溝部51aに支持部4Aの凸部61bを係合させた状態となるまで支持部4Aに対して電極保持部3Aを挿入することで、電極部2Aの先端面を被覆電線10に対して確実に押し付けた状態とすることができ、かつ、その状態で被覆電線10が振動したり、電圧センサ1Aに外力が加わったりしたとしても、支持部4Aに対する電極部2Aの移動(支持部4Aに対する電極保持部3Aの移動)を生じさせることなく、装着時の状態を維持することができる。このため、電極部2Aの先端面と被覆電線10との密着性を十分に高めた状態を確実に維持することが可能となっており、被覆電線10の電圧を測定する際に重要となる被覆電線10の芯線11と検出電極21Aの先端面との間に形成される静電容量の容量値が大きく変動する事態が確実に回避される。これにより、電圧の検出精度を十分に向上させることが可能となっている。
一方、電圧を測定した被覆電線10についての測定処理を再び実行する必要がなくなったときや、他の被覆電線10についての測定処理を実行するときには、電圧センサ1Aを被覆電線10から取り外す。この際には、電極保持部3Aおよび電極部2Aを支持部4Aの先端部P4Aaから離間させる向き(装着作業時とは逆向き)に移動させ、電極部2Aの先端部P2Aaを被覆電線10から離間させる。次いで、被覆電線10が挿入部61aから外れるように電圧センサ1Aを移動させる。以上により、被覆電線10からの電圧センサ1Aの取り外しが完了する。なお、他の被覆電線10に対する電圧センサ1Aの装着の手順については前述した装着作業時と同様のため、詳細な説明を省略する。
この場合、前述したように、出願人が先行出願において開示している電圧センサでは、例えば複数の被覆電線を測定対象としてそれぞれの被測定量を短時間で順次測定する際に、いずれかの被覆電線が高温環境下に設置されているときには、手袋を装着した状態での作業、或いは工具を使用した作業が必要となる結果、迅速かつ正確な作業が困難となっている現状がある。
これに対して、本例の電圧センサ1Aでは、その表面部位を構成する部材(電極保持部3Aおよび支持部4A)が樹脂材料で形成されている。したがって、例えば複数の被覆電線10を測定対象としてそれぞれの電圧(被測定量)を短時間で順次測定する際に、いずれかの被覆電線10が高温環境下に設置されていたとしても、その被覆電線10を対象とする測定処理時に電圧センサ1Aが高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、測定処理を比較的短時間で終了したときには、次の被覆電線を対象とする測定処理に先立つ脱着作業時に電圧センサ1Aの温度がそれほど温度上昇していない。これにより、電圧センサ1Aに素手で触れて脱着作業を行うことが可能となり、前述した電圧センサ1と同様にして、迅速かつ正確な作業が可能となっている。
また、本例の電圧センサ1Aでは、樹脂材料を成形材料とする射出成形処理によって電極保持部3A(筒状体51)および支持部4Aがそれぞれ形成されている。このため、金属の切削加工によって形成された部材と比較して、それらの部材の製作コストが十分に低減されており、これにより、電圧センサ1Aの製造コストが十分に低減されている。
なお、「電極保持部」の一例である電極保持部3A(筒状体51)に「第1の係合用溝部」の一例である溝部51aを形成すると共に、「支持部」の一例である支持部4A(筒状部61)に「第2の係合用凸部」の一例である凸部61bを形成した構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、「電極保持部」の外周面に「第1の係合用凸部」を形成すると共に、「支持部」の内周面に「第1の係合用凸部が係合可能な第2の係合用溝部」を形成し、「第2の係合用溝部」に対する「第1の係合用凸部」の係合によって「支持部」に対する「電極保持部」の軸線方向に沿った移動を制限可能に構成することもできる(図示せず)。
このように、この電圧センサ1Aによれば、導電性を有する「第1の樹脂材料」によって支持部4Aを形成したことにより、測定処理時に電圧センサ1Aが高温環境下に晒されたとしても、支持部4Aが高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、そのような環境下で行われる測定処理が短時間のときには、支持部4Aに素手で触れて電圧センサ1Aの脱着を行うことができる。これにより、手袋を装着して支持部4Aを保持する脱着作業や、工具で支持部4Aを保持する脱着作業と比較して、迅速かつ正確に作業を完了させることができる。
また、この電圧センサ1Aによれば、導電性を有する「第2の樹脂材料」によって電極保持部3Aの筒状体51を形成したことにより、測定処理時に電圧センサ1Aが高温環境下に晒されたとしても、電極保持部3A(筒状体51)が高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、そのような環境下で行われる測定処理が短時間のときには、支持部4Aだけでなく、電極保持部3Aにも素手で触れて電圧センサ1Aの脱着を行うことができる。これにより、手袋を装着して電極保持部3Aを保持する脱着作業や、工具で電極保持部3Aを保持する脱着作業と比較して、一層迅速かつ一層正確に作業を完了させることができる。
さらに、この電圧センサ1Aでは、溝部51aが電極保持部3A(筒状体51)の外周面F51に形成され、かつ溝部51aに係合可能な凸部61bが支持部4A(筒状部41)の内周面F41aに形成されて、溝部51aに対する凸部61bの係合によって支持部4Aに対する電極保持部3Aの軸線方向に沿った移動を制限可能に構成されている。
したがって、この電圧センサ1Aによれば、溝部51aに対して凸部61bが係合した状態となるように支持部4Aに対して電極保持部3Aを挿入することで、電極保持部3Aによって保持されている電極部2Aの先端面を被覆電線10に対して確実に押し付けることができる。これにより、電極部2Aの先端面と被覆電線10との密着性を十分に高めて、その状態を確実に維持することができるため、被覆電線10が振動したり、電圧センサ1Aに外力が加わったりしたとしても、被覆電線10の芯線11と検出電極21Aの先端面との間の静電容量の容量値が大きく変動する事態を確実に回避することができる結果、「被検出量(本例では、電圧)」の検出精度を十分に向上させることができる。
なお、「センサ」の構成は、上記の電圧センサ1,1Aの構成の例に限定されない。例えば、「第1の樹脂材料」、「第2の樹脂材料」および「第3の樹脂材料」については、同種の樹脂材料に限定されず、種類が異なる樹脂材料を採用することができる。具体的には、「第1の樹脂材料」および「第2の樹脂材料」としては、導電性を有していることを条件として種類が異なる樹脂材料を採用することができ、「第3の樹脂材料」については、導電性を有しているか否かを問わず、「第1の樹脂材料」および「第2の樹脂材料」とは種類が異なる樹脂材料を採用することができる。
また、電極保持部3(筒状体32)、支持部4およびロックナット5のすべてを導電性樹脂材料で形成した電圧センサ1や、電極保持部3A(筒状体51)および支持部4Aの双方を導電性樹脂材料で形成した電圧センサ1Aの構成を例に挙げて説明したが、電圧センサ1における支持部4を導電性樹脂材料で形成し、電極保持部3やロックナット5については金属材料で形成したり、電圧センサ1Aにおける支持部4Aを導電性樹脂材料で形成し、電極保持部3A(筒状体51)については金属材料で形成したりすることもできる。
このような構成を採用した場合においても、測定処理時に電圧センサ1,1Aが高温環境下に晒されたとときに、支持部4,4Aが高温まで温度上昇するのに長い時間を要するため、そのような環境下で行われる測定処理が短時間のときには、支持部4,4Aに素手で触れて電圧センサ1,1Aの脱着を行うことができる。これにより、手袋を装着して支持部4,4Aを保持する脱着作業や、工具で支持部4,4Aを保持する脱着作業と比較して、迅速かつ正確に作業を完了させることができる。
また、「被検出量」としての被覆電線10の電圧を検出する際に使用可能な電圧センサ1,1Aの構成を例に挙げて説明したが、電圧以外の任意の電気的パラメータを「被検出量」として検出可能な「センサ」において電圧センサ1,1A等と同様の構成を採用することもできる。(一例として、支持部4,4A、電極保持部3のシールド体31および筒状体32や電極保持部3Aの筒状体51,並びに電極部2,2Aを磁性材料で形成することにより、被覆電線10等を流れる電流を「被検出量」として金属非接触で検出する「センサ(電流センサ)」に適用することができる。