以下、検出プローブおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1に示す検出プローブとしての電圧検出プローブ1(以下、単に「検出プローブ1」ともいう)の構成について、図面を参照して説明する。
この検出プローブ1は、一例として、図1に示すように、グリップ部2および検出電極ユニット3を備え、後述の本体ユニット4(図9参照)と共に測定装置MDを構成する。また、検出プローブ1は、シールドケーブル5を介して本体ユニット4と接続されると共に、検出電極ユニット3の先端に設けられた後述の挿入凹部33内に測定対象電線6(図4参照)を挿入して使用される。本実施の形態でのシールドケーブル5とは、信号伝送用の配線、およびこの配線をシールドするシールド導体を備えたケーブルであって、例えば、信号伝送用の配線としての芯線およびこの芯線を覆うシールド導体を備えたシールド線(同軸ケーブルを含む)や、ツイストペア線を含んでいる。本例では一例として、図2に示すように、芯線5aおよびこの芯線5aを覆うシールド導体5bを備えたシールド線をシールドケーブル5の一例として挙げて説明する。
グリップ部2は、使用者によって把持される部材であって、一例として、図1,2に示すように、合成樹脂材料などの電気的絶縁性を有する材料(以下、単に絶縁材料ともいう)を用いて検出電極ユニット3を収容可能な中空の柱状体に形成されている。また、グリップ部2の先端部(図1,2における左側の端部)側の端面11には、検出電極ユニット3の後述する第1シールド筒体21(第1シールド体)が挿通される貫通孔11aが形成されている。また、グリップ部2の基端部(図1,2における右側の端部)側の端面13には、図2に示すように、貫通孔13aが形成されている。シールドケーブル5は、シールドケーブル5に一体的に取り付けられた自在ブッシュ5cがこの貫通孔13aに嵌め込まれることにより、グリップ部2の基端部に連結されている。
また、グリップ部2の外周壁の外面には、一例として、グリップ部2の長さ方向(後述する軸線L(図1,2参照)と平行な方向)に沿って延びる長溝15が形成されると共に、この長溝15の底壁(グリップ部2の外周壁の一部の部位)には、グリップ部2の長さ方向に沿って延びる第1ガイド孔16がこの底壁を貫通して形成されている。
検出電極ユニット3は、一例として、図2〜6に示すように、第1シールド筒体21、第2シールド筒体22(第2シールド体)、検出電極23、絶縁被覆24、第1蓋体25、第2蓋体26、第3蓋体27、絶縁筒体28、ガイド筒体29、連結ピン30、付勢部材31および操作レバー32を備えている。
第1シールド筒体21は、「導電体」の一例であって、図3,5に示すように導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて外形が一例として直径3mm〜5mm程度の筒状の剛性体(本例では一例として円筒状体)に形成されると共に、先端部(図2〜6では左端部)には、この先端部における外周壁の一部が軸線Lに対して交差する方向(本例では一例として直交する方向)に沿って例えば切削加工などの手法によって切り欠かれて測定対象電線6(図4,6,8参照)が挿入される挿入凹部33が形成されている。なお、本例での測定対象電線6は、図8に示すように、芯線6aが絶縁被覆6bで覆われた被覆電線である。また、第1シールド筒体21は、図3,5に示すように、基端部側(両図における右側)が第2シールド筒体22に収容された状態で第2シールド筒体22に固定されている。
挿入凹部33は、本例では一例として、図2,5に示すように(詳細には図5の要部拡大図である図7に示すように)、この挿入凹部33を構成する第1シールド筒体21の各切欠き面33a,33b,33cのうちの第1シールド筒体21の先端部側に位置する先端側切欠き面33aは、軸線Lと直交する基準平面PLを基準として第1シールド筒体21の基端部側に傾斜する構成(つまり、軸線L(軸線Lを含む仮想平面)と先端側切欠き面33aとの角度θ1を鋭角にする構成)となっている。この構成により、挿入凹部33内に挿入された測定対象電線6が、後述するようにして検出電極23における先端部側の端面23a(以下、先端面23aともいう)によって先端側切欠き面33aに押し付けられた状態(図6,8参照)のときに、挿入凹部33から外れにくくなっている。
本例では一例として、各切欠き面33a,33b,33cのうちの第1シールド筒体21の基端部側に位置する基端側切欠き面33bは、軸線Lと直交する基準平面PL(図7参照)を基準として、先端側切欠き面33aよりも第1シールド筒体21の基端部側に傾斜する構成(つまり、軸線L(軸線Lを含む仮想平面)と先端側切欠き面33aとの角度θ2を角度θ1よりも小さくなる状態で鋭角にする構成)となっている。この構成により、上記のような先端側切欠き面33aを傾けたときの効果(挿入凹部33から測定対象電線6を外れにくくできるとの効果)を維持しつつ、各切欠き面33a,33b間の軸線L方向に沿った距離を奥側切欠き面33c(挿入凹部33を構成する奥側の切欠き面)から離間するに従って徐々に広くする構成(挿入凹部33の開口幅を徐々に広くする構成)にし得るため、測定対象電線6の挿入凹部33内への挿入の容易性を高めることが可能となっている。
また、本例では、奥側切欠き面33cは、一例として軸線Lとほぼ平行な平面となる構成であるが、この構成に限定されるものではなく、弧状面に形成する構成を採用することもできる。
本例の検出プローブ1が使用される測定対象電線6は、背景技術で説明した各種の検出プローブでは装着することが困難であった導体、例えば、通常は他の同じような小径な配線材と共に結束された状態で引き回される小径な配線材の1本などのように、他の導体(他の配線材など)と極めて近接した状態で存在している1本の小径な配線材(被覆電線)である。
このため、この検出プローブ1の検出電極ユニット3では、第1シールド筒体21として、このような小径の配線材が測定対象電線6として挿入可能な幅および深さの挿入凹部33を先端部に形成し得る限りにおいて、より細い筒状の剛性体を使用することが可能となっている。また、測定対象電線6とこの測定対象電線6に隣接する他の配線材との間の距離が短い状態であっても測定対象電線6を選択的に挿入凹部33に挿入できるようにするためにも、第1シールド筒体21に使用する筒状の剛性体は、なるべく細いものであるのが好ましい。例えば、上記のような小径(直径が約2mm)の配線材を収容するためには、挿入凹部33は、例えば、2mmよりも若干深い深さで、かつ2mmよりも若干広い幅(開口幅)に形成する必要がある。このため、第1シールド筒体21は、上記したように、一例として直径3mm〜5mm程度の筒状の剛性体で形成するのが好ましい。
第2シールド筒体22は、図3,5に示すように導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて外形が一例として直径7mm〜10mm程度の筒状の剛性体(本例では一例として円筒状体)に形成され、図2,4に示すように、グリップ部2内に収容された状態でグリップ部2に固定されている。また、第2シールド筒体22の外周壁には、第2シールド筒体22の長さ方向(軸線L方向)に沿って延びる第2ガイド孔(貫通孔)34が形成されている。
検出電極23は、図3,5に示すように導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて外形が柱状体(第1シールド筒体21の断面形状に合致した断面形状の柱状体。本例では一例として円柱状体)に形成されている。この検出電極23は、図6に示すように、第1シールド筒体21の挿入凹部33に挿入された測定対象電線6に先端面23aが当接した状態において測定対象電線6の電圧V1(物理量:図9参照)を検出する。
また、検出電極23は、図3,7に示すように、測定対象電線6の電圧V1を検出する際に検出対象としての測定対象電線6に当接する先端面23a、および外周面23b(連結ピン30が接続される基端部側の端面(図3,5中の右端面)を除く他の表面)が絶縁体としての絶縁被覆24で覆われている。
ここで、絶縁被覆24を構成する材料によっては、検出プローブ1によって検出した物理量としての電圧V1の値が安定しないことが発明者の実験結果から明らかとなっている。この原因として、絶縁被覆24に対して加わる外力や絶縁被覆24の変形に起因して絶縁被覆24に電荷が発生し、この電荷が検出電極23によってノイズとして検出されることが考えられる。具体的には、例えば、測定作業において検出プローブ1を操作する際に、大きさや方向が変化する外力が検出プローブ1に加わったときには、検出プローブ1を構成する各部材を介してその外力が絶縁被覆24に加わって絶縁被覆24が振動し、その振動によって絶縁被覆24に電荷が発生すると考えられる。また、検出プローブ1に対して静的な(大きさや方向が変化しない、または変化が少ない)外力が加わったときにも、その外力が各部材を介して絶縁被覆24に加わって絶縁被覆24に電荷が発生すると考えられる。さらに、温度変化等によって絶縁被覆24が変形したときには、絶縁被覆24に応力が発生し、その応力によって絶縁被覆24に電荷が発生すると考えられる。このため、この検出プローブ1では、外力が加わったときおよび変形が生じたときの少なくとも一方のとき電荷の発生を低レベルに維持する物性を有する材料で絶縁被覆24を形成することで、ノイズの影響の低減を図っている。
この場合、この検出プローブ1では、上記の物性を有する材料として、圧電効果が低い材料(以下、「低圧電効果材料」ともいう)が採用され、この低圧電効果材料で絶縁被覆24が形成されている。具体的には、この検出プローブ1では、低圧電効果材料として、結晶構造を有していない材料である非晶性材料が採用され、より具体的には、非晶性材料として、非晶性樹脂が採用されている。非晶性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、変形ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミドおよびポリエーテルイミド等が知られているが、この検出プローブ1では、加工の容易さおよびコスト低減の観点から、ポリ塩化ビニルが採用されている。
また、この検出プローブ1では、一例として、次のようにして絶縁被覆24が検出電極23に配設されている。まず、ポリ塩化ビニルで形成した厚みが0.1mm未満(一例として0.05mm程度)のチューブ(筒状体)を検出電極23に被せ、次いで、チューブに対する熱風の吹き付け等によってチューブを熱収縮させることで、チューブを検出電極23の先端面23aおよび外周面23bに固着させる。これにより、非晶性樹脂としてのポリ塩化ビニルで形成された絶縁被覆24が検出電極23の先端面23aおよび外周面23bに配設される。
また、このようにして表面に絶縁被覆24が形成された検出電極23は、図3,5に示すように、軸線L方向に沿って摺動自在(グリップ部2に対して移動可能)に第1シールド筒体21内に収納されている(つまり、第1シールド筒体21に対して検出電極23が相対的に移動可能に構成されている)。また、検出電極23は、図3に示すように、先端面23aが後述するように第1シールド筒体21における先端部側の開口部に装着された第1蓋体25と当接する状態において、基端部側が第1シールド筒体21の基端部側から突出する長さに規定されている。また、本例では、検出電極23の先端面23aは、図7に示すように、基準平面PLと平行な平面で形成されている。
第1蓋体25は、導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて形成されて、第1シールド筒体21における先端部(図2,3では左端部)側の開口部に圧入や溶着などの手法(電気的に接続される手法)によって装着されることで、この開口部を閉塞する。また、第1蓋体25は、先端部が半球状に形成されている。第1蓋体25をこのような形状に形成することで、結束された複数の配線材のうちの1本の配線材だけを挟持して電圧測定を行う際に、結束された複数の配線材の中に第1シールド筒体21の先端部を挿入し易くすることが可能となっている。
第2蓋体26は、導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて形成されて、第2シールド筒体22における先端部(図2,3では左端部)側の開口部に圧入や溶着などの手法(電気的に接続される手法)によって装着されている。また、第2蓋体26は、中央部分に貫通孔26aが形成されている。上記の第1シールド筒体21は、その基端部側がこの貫通孔26a内に挿入されると共に、溶着などの導通状態を確保し得る手法によって第2蓋体26に接合(固定)されている。
第3蓋体27は、導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて形成されて、第2シールド筒体22における基端部(図2,3では右端部)側の開口部に圧入や溶着などの手法(電気的に接続される手法)によって装着されている。また、第3蓋体27は、中央部分に貫通孔27aが形成されている。なお、本例では一例として、第1シールド筒体21と第1蓋体25とを別体に形成すると共に、第2シールド筒体22と第2蓋体26および第3蓋体27とを別体に形成する構成を採用しているが、第1シールド筒体21と第1蓋体25とを一体的に形成する構成や、第2蓋体26および第3蓋体27のうちの少なくとも一方(第2蓋体26だけ、第3蓋体27だけ、または第2蓋体26および第3蓋体27の双方)を第2シールド筒体22と一体的に形成する構成を採用することもできる。
絶縁筒体28は、図3,5に示すように、絶縁材料を用いて筒状体(本例では一例として円筒状体)に形成されて、第3蓋体27の貫通孔27a内に装着されている。この絶縁筒体28は、後述するように絶縁筒体28内に挿着されるガイド筒体29と第3蓋体27とを電気的に絶縁するためのものである。したがって、同図に示す構成では、絶縁筒体28は、第2シールド筒体22における基端部側の内面にも接する長さに形成されているが、貫通孔27a内にのみ配置される構成としてもよいのは勿論である。
ガイド筒体29は、図3,5に示すように、導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて一端側(図3中の左端側)が開口し、他端側(図3中の右端側)が閉塞する筒状体(本例では一例として円筒状体)に形成されている。なお、本例では、ガイド筒体29における他端側の端面に、シールドケーブル5の芯線5aを挿入して半田付けするための筒状突起29aが形成されているが、この筒状突起29aの形成は任意である。また、ガイド筒体29は、開口する端部側から絶縁筒体28内に圧入などされることで、この絶縁筒体28を介在させた状態で第3蓋体27に固定されている。
連結ピン30は、図3,5に示すように、導電性材料(導電性を有する金属材料)を用いて柱状体(ガイド筒体29の断面形状に合致した断面形状の柱状体。本例では一例として円柱状体)に形成されている。また、連結ピン30は、一端側(図3中の左端側)がガイド筒体29から突出する状態で、他端側(図3中の右端側)がガイド筒体29内に摺動自在に挿入されている。また、連結ピン30は、一端側が検出電極23の基端側に導通状態が確保された状態で連結されている。
付勢部材31は、一例として導電性材料(導電性を有する金属材料)製の圧縮コイルばねで構成されて、図3,5に示すように、ガイド筒体29内に、このガイド筒体29における閉塞された他端側の内面と、連結ピン30の他端側の端面との間に縮長状態(押し縮められた状態)で収容されている。この構成により、付勢部材31は、連結ピン30をその一端側がガイド筒体29から常時突出する方向(第1シールド筒体21の先端部方向)に付勢する。また、これにより、付勢部材31は、連結ピン30に連結された検出電極23、さらには後述するようにこの検出電極23に連結された操作レバー32についても、第1シールド筒体21の先端部方向に常時付勢する。
操作レバー32は、図3,5に示すように、第2シールド筒体22の第2ガイド孔34に挿通されている直方体状の支柱部32aと、支柱部32aにおける第2ガイド孔34から外方に突出する部位の先端に形成されたつまみ部32cとを備え、これらの部材が絶縁材料を用いて一体的に形成されて構成されている。また、操作レバー32は、支柱部32aにおける第2シールド筒体22の内側に延出する端部(図3,5での下端部)が検出電極23(検出電極23における第1シールド筒体21から突出する基端部側)に連結されている。
この構成により、例えばグリップ部2を把持する使用者の親指からつまみ部32cが第2シールド筒体22における基端部方向への外力F1(図4,5参照)を受けたときには、操作レバー32は、支柱部32aが第2ガイド孔34によってガイドされた状態で、付勢部材31の付勢力に抗して検出電極23および連結ピン30と共に第2シールド筒体22における基端部方向に移動する。一方、操作レバー32は、上記の外力F1が解除されたときには、付勢部材31の付勢力F2(図6参照)により、検出電極23および連結ピン30と共に第2シールド筒体22における先端部方向に、検出電極23の先端部が第1蓋体25に当接するまで移動する。
また、この構成の検出電極ユニット3では、図3,5に示すように、第2シールド筒体22の外側に(第2シールド筒体22の外面に沿って)フランジ部32bが配設され、このフランジ部32bが、操作レバー32の支柱部32aにおける第2ガイド孔34から突出する部位に取り付けられている。したがって、フランジ部32bは、操作レバー32に対する移動操作に応じて、第2シールド筒体22の外面と接触した状態で外面に沿って移動(摺動)させられる。この場合、フランジ部32bは、導電性材料(例えば、第2シールド筒体22を構成する材料と同じ材料)を用いて断面が円弧状(樋状)に形成されており、第2シールド筒体22に接触することで、第2シールド筒体22と同電位となっている。また、フランジ部32bは、第2シールド筒体22における第2ガイド孔34の長さ(操作レバー32の移動方向(軸線Lの方向)に沿った長さ)よりもやや長く形成されている。このフランジ部32bは、挿入凹部33の先端側切欠き面33aと検出電極23の端面23aとによって測定対象電線6を挟持した状態(図6に示す状態)において、第2ガイド孔34を遮蔽する第3シールド体として機能する。
また、この構成の検出電極ユニット3では、検出電極23、検出電極23に連結される連結ピン30、およびこの連結ピン30が挿入されているガイド筒体29のほぼ全体が、互いに同じ電位(シールドケーブル5のシールド導体5bの電位)に規定された第1シールド筒体21、第2シールド筒体22、第1シールド筒体21の先端部側の開口部に挿着された第1蓋体25、第2シールド筒体22の先端部側の開口部を閉塞する第2蓋体26、および第2シールド筒体22の基端部側の開口部を閉塞する第3蓋体27で覆われた構成(つまり、シールド導体5bの電位でシールドされた構成)となっている。
このように構成された検出電極ユニット3は、図2,4,6に示すように、第1シールド筒体21がグリップ部2の端面11に形成された貫通孔11aに挿通され、かつ操作レバー32の支柱部32aがグリップ部2の第1ガイド孔16に挿通されてつまみ部32cがグリップ部2の長溝15内に配置された状態で、グリップ部2内に収容されている。したがって、第1シールド筒体21は、その基端部がグリップ部2内に収容された検出電極ユニット3の第2蓋体26に固定された状態でグリップ部2内に収容された構成であるため、検出プローブ1全体として見たときにその基端部がグリップ部2に連結されている状態と等価となっている。
また、グリップ部2の端面13には、シールドケーブル5の端部が、図2,4,6に示すように、この端面13に形成された貫通孔13aに自在ブッシュ5cが嵌め入れられた状態で接続されている。また、このシールドケーブル5におけるグリップ部2内に位置する端部では、シールドケーブル5の芯線5aが筒状突起29aに半田付けされることでガイド筒体29に接続され、かつシールドケーブル5のシールド導体5bが検出電極ユニット3を構成する第3蓋体27に半田付けされている(つまり、第1シールド筒体21は、第2蓋体26、第2シールド筒体22および第3蓋体27を介してシールド導体5bに接続されている)。
本体ユニット4は、図9に示すように、一例として、主電源回路51、DC/DCコンバータ(以下、単に「コンバータ」ともいう)52、電圧検出部53、電流電圧変換用の抵抗54、電圧生成部55、電圧計56、処理部57および表示部58を備えている。
主電源回路51は、本体ユニット4の上記の各構成要素53〜58を作動させるための正電圧Vddおよび負電圧Vss(第1基準電位としてのグランドG1の電位を基準として生成される絶対値が同じで、互いの極性の異なる直流電圧)を出力する。コンバータ52は、一例として互いに電気的に絶縁された一次巻線および二次巻線を有する絶縁型のトランスと、このトランスの一次巻線を駆動する駆動回路と、トランスの二次巻線に誘起される交流電圧を整流平滑する直流変換部(いずれも図示せず)とを備えて、一次側に対して二次側が電気的に絶縁された絶縁型電源として構成されている。
このコンバータ52では、入力した正電圧Vddおよび負電圧Vssに基づいて駆動回路が作動して、正電圧Vddが印加された状態にあるトランスの一次巻線を駆動して二次巻線に交流電圧を誘起させる。また、直流変換部が、この交流電圧を整流して平滑する。これにより、コンバータ52の二次側から、この二次側の内部基準電位(第2基準電位)G2を基準とする正電圧Vf+および負電圧Vf−がフローティング状態(グランドG1、正電圧Vddおよび負電圧Vssと電気的に分離された状態)で生成される。このようにして生成されたフローティング電圧としての正電圧Vf+および負電圧Vf−は、第2基準電位G2と共に電圧検出部53に供給される。なお、正電圧Vf+および負電圧Vf−は、絶対値がほぼ同一で、極性が互いに異なる直流電圧として生成される。
電圧検出部53は、電流電圧変換回路53a、積分回路53b、駆動回路53cおよび絶縁回路53d(一例として駆動回路53cによって駆動されるフォトカプラを図示しているが、例えば、図示はしないが、フォトカプラに代えて絶縁トランスを使用する構成など、他の種々の構成を採用することができる)を備え、電圧検出部53における基準電位が上記の第2基準電位G2に規定された状態で、コンバータ52から正電圧Vf+および負電圧Vf−の供給を受けて作動する。
電流電圧変換回路53aは、一例として、非反転入力端子が抵抗を介して電圧検出部53における第2基準電位G2に規定された部位に接続(以下、「第2基準電位G2に接続」ともいう)されると共に、反転入力端子がシールドケーブル5の芯線5a(つまり、この芯線5aを介して検出プローブ1の検出電極23)に接続され、かつ帰還抵抗が反転入力端子と出力端子との間に接続された第1演算増幅器を備えて構成されている。この電流電圧変換回路53aは、第1演算増幅器が正電圧Vf+および負電圧Vf−で作動して、測定対象電線6の電圧V1(物理量および被測定量に相当する)と第2基準電位G2(電圧生成部55から出力される電圧信号V4の電圧でもある)との電位差Vdi(図9参照)に起因して、この電位差Vdiに応じた電流値で測定対象電線6と検出電極23との間に流れる検出電流(電流信号)Iを検出電圧信号V2に変換して出力する。この場合、検出電圧信号V2は、その振幅が電流信号Iの振幅に比例して変化する。
積分回路53bは、一例として、非反転入力端子が抵抗を介して第2基準電位G2に接続されると共に、反転入力端子が入力抵抗を介して第1演算増幅器の出力端子に接続され、かつ帰還コンデンサが反転入力端子と出力端子との間に接続された第2演算増幅器を備えて構成されている。この積分回路53bは、第2演算増幅器が正電圧Vf+および負電圧Vf−で作動して、検出電圧信号V2を積分することにより、上記の電位差Vdiに比例して電圧値が変化する積分信号V3を生成して出力する。
駆動回路53cは、積分信号V3のレベルに応じて絶縁回路53dをリニア領域で駆動し、駆動された絶縁回路53dは、この積分信号V3を電気的に分離して新たな積分信号(第1信号)V3aとして出力する。つまり、電圧検出部53は、検出プローブ1と相俟って、測定対象電線6の電圧V1を示す積分信号V3aを出力する。
電流電圧変換用の抵抗54は、一端が負電圧Vssに接続されると共に、他端が電圧検出部53内の対応する絶縁回路53d(本例ではフォトカプラにおけるフォトトランジスタのコレクタ端子)に接続されている。
電圧生成部55は、積分信号V3aを入力して増幅することにより、電圧信号V4を生成して、電圧検出部53における第2基準電位G2に規定された部位に印加する。この電圧信号V4はその電圧が後述するように測定対象電線6の電圧V1に応じて変化する。これにより、第2基準電位G2を基準とするフローティング電圧である正電圧Vf+および負電圧Vf−は、電圧信号V4の電圧に応じて変化するフローティング電圧となる。
この電圧生成部55は、一例として、電圧検出部53の第2基準電位G2(第2基準電位G2と同電位のシールドケーブル5のシールド導体5b)、検出電極23および電圧検出部53(電流電圧変換回路53a、積分回路53b、駆動回路53cおよび絶縁回路53d(本例ではフォトカプラ))と共にフィードバックループを形成して、電位差Vdiを減少させるように積分信号V3aを増幅する増幅動作を行うことにより、電圧信号V4を生成する。
本例では、一例として、電圧生成部55は、図9に示すように、増幅回路55a、位相補償回路55bおよび昇圧回路55cを備えて構成されている。ここで、増幅回路55aは、積分信号V3aを入力して増幅することにより、電圧信号V4aを生成する。この場合、増幅回路55aは、積分信号V3aの電圧値についての絶対値の増加・減少に対応して、電圧値の絶対値が変化する電圧信号V4aを増幅動作によって生成する。位相補償回路55bは、フィードバック制御動作の安定化(発振防止)を図るため、電圧信号V4aを入力してその位相を調整して電圧信号V4bとして出力する。昇圧回路55cは、一例として昇圧トランスを用いて構成されて、電圧信号V4bを所定の倍率で昇圧することにより(極性は変えずに絶対を増加させることにより)、電圧信号V4を生成して第2基準電位G2に印加する。電圧計56は、グランドG1の電位を基準として電圧信号V4を測定すると共に、その電圧値をディジタルデータに変換して電圧データDvとして出力する。
処理部57は、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、電圧計56から出力される電圧データDvに基づいて測定対象電線6の電圧V1を算出する電圧算出処理を実行する。また、処理部57は、電圧算出処理で算出した電圧V1を表示部58に表やグラフの形式で表示させる。表示部58は、一例として、液晶ディスプレイなどのモニタ装置で構成されている。
この検出プローブ1および本体ユニット4を備えた測定装置MDを用いて測定対象電線6の電圧V1を測定する際には、第1シールド筒体21の先端部に形成された挿入凹部33内に測定対象電線6を挿入する。
具体的には、まず、図4に示す矢印方向の外力F1を操作レバー32のつまみ部32cに手(具体的には指)で加えることにより、つまみ部32c(つまり、操作レバー32全体)を図2に示す位置から図4に示す位置まで付勢部材31の付勢力に抗してスライドさせる(矢印方向にスライドさせる)ことで、第1シールド筒体21内において検出電極23を摺動(スライド)させる。これにより、検出プローブ1を、図2に示すように挿入凹部33が検出電極23で閉塞された状態から、図4に示すように挿入凹部33が開口された状態に移行させる。次いで、開口状態となった挿入凹部33内に測定対象電線6を挿入する。この場合、測定対象電線6は被覆電線であるため、測定対象電線6の芯線6aと第1シールド筒体21とは電気的に絶縁された状態(金属非接触の状態)に維持されている。
また、特にこの検出プローブ1では、図1〜図6、詳細には図8に示すように、挿入凹部33を構成する基端側切欠き面33bが先端側切欠き面33aよりも第1シールド筒体21の基端部側に傾斜する構成であり、各切欠き面33a,33b間の軸線L方向に沿った距離が挿入凹部33の奥側から開口部側に向かうに従って徐々に広くなる構成となっていることから、測定対象電線6を挿入凹部33内に容易に挿入することが可能になっている。
続いて、つまみ部32cから手(指)を離す。これにより、つまみ部32cに加わっていた外力F1がなくなるため、付勢部材31の付勢力F2により、ガイド筒体29内において連結ピン30が第1シールド筒体21方向に押動される。また、検出電極23が、この連結ピン30で押動されて、第1シールド筒体21内を第1蓋体25方向に向けて、図6,8に示すように検出電極23における先端面23aと先端側切欠き面33aとの間で測定対象電線6を挟持する位置まで摺動(スライド)する。以上により、検出プローブ1の測定対象電線6へのクランプ作業(装着作業)が完了する。この場合、測定対象電線6は被覆電線であるため、測定対象電線6の芯線6aと検出電極23とは電気的に絶縁された状態(金属非接触の状態)に維持されている。
ここで、この検出プローブ1では、図6に示すように、検出電極23の先端面23aと先端側切欠き面33aとで測定対象電線6を挟持した状態では、第2シールド筒体22に形成されている第2ガイド孔34が、第2シールド筒体22の外側に配設されているフランジ部32bによって遮蔽される。このため、この検出プローブ1では、測定対象電線6を挟持した状態において第2ガイド孔34が遮蔽されない構成と比較して、検出電極23に対する外乱の影響(例えば、他の導体からの影響)を十分に低減させることが可能となっている。
この検出プローブ1では、このようにして測定対象電線6が挟持されることにより、挿入凹部33内に測定対象電線6が挿入された状態が維持される。したがって、検出プローブ1から手を放した状態においても、測定対象電線6の電圧V1を測定する際に重要となる測定対象電線6の芯線6aと検出電極23の先端面23aとの間に形成される静電容量C0(図8参照)の容量値が大きく変動するといった事態の発生が十分に回避されている。これにより、この検出プローブ1は、その検出用の電極である検出電極23を測定対象電線6の芯線6aに直接接触させることなく互いに容量結合させるだけで、この測定対象電線6の電圧V1を正確に検出し得るいわゆる導体(金属)非接触型の電圧検出プローブとして機能することが可能に構成されている。
また、特にこの検出プローブ1では、図8等に示すように、測定対象電線6を挟持する先端側切欠き面33aが基準平面PLを基準として第1シールド筒体21の基端部側に傾斜する構成(つまり、軸線Lと先端側切欠き面33aとの角度θ1が鋭角となる構成)であるため、基準平面PLと平行な平面に形成された検出電極23の先端面23aと相俟って、測定対象電線6を挟持する先端側切欠き面33aと先端面23aとの間の隙間を挿入凹部33の奥側から開口側に向かうに従って徐々に狭くし得る構成となっている。これにより、この検出プローブ1では、挿入凹部33内に測定対象電線6が挿入された状態を一層確実に維持することが可能になっている。
この状態において、測定対象電線6の電圧V1と、電圧検出部53の第2基準電位G2の電圧(第2基準電位G2と同電位となるシールドケーブル5のシールド導体5b、検出電極ユニット3の第3蓋体27、第2シールド筒体22、第2蓋体26、第1シールド筒体21および第1蓋体25の各電圧。つまり、電圧信号V4の電圧)との電位差Vdiが増加しているとき(例えば、電圧V1の上昇に起因して電位差Vdiが増加しているとき)には、本体ユニット4の電圧検出部53では、測定対象電線6から検出電極23を介して電流電圧変換回路53aに流れ込む電流信号Iの電流量が増加する。この場合、電流電圧変換回路53aは、出力している検出電圧信号V2の電圧値を低下させる。積分回路53bでは、この検出電圧信号V2の低下に起因して、第2演算増幅器の出力端子からコンデンサを介して反転入力端子に向けて流れる電流が増加する。このため、積分回路53bは、積分信号V3の電圧を上昇させる。また、この積分信号V3の電圧上昇に伴い、駆動回路53cのトランジスタが深いオン状態に移行する。これにより、絶縁回路53d(フォトカプラ)では、その発光ダイオードに流れる電流が増加し、フォトトランジスタの抵抗が減少する。したがって、抵抗54の抵抗値とフォトトランジスタの抵抗値とで電位差(Vdd−Vss)が分圧されて生成される積分信号V3aは、その電圧値が低下する。
また、本体ユニット4では、電圧生成部55が、この積分信号V3aに基づいて、生成している電圧信号V4の電圧値を上昇させる。この測定装置MDでは、このようにしてフィードバックループを構成する電流電圧変換回路53a、積分回路53b、駆動回路53c、絶縁回路53dおよび電圧生成部55が、測定対象電線6の電圧V1の上昇を検出して、電圧信号V4の電圧値を上昇させるフィードバック制御動作を実行することにより、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させる。
また、電圧V1の低下に起因して電位差Vdiが増加したときには、検出電極23を介して電流電圧変換回路53aから測定対象電線6に流れ出る(流出する)電流信号Iの電流量が増加する。この際には、フィードバックループを構成する電流電圧変換回路53a等が上記のフィードバック制御動作とは逆の動作でのフィードバック制御動作を実行して、電圧信号V4の電圧を低下させることにより、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させる。
このようにして、測定装置MDでは、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させるフィードバック制御動作が短時間に実行されて、電圧検出部53の第2基準電位G2等の電圧(電流電圧変換回路53aの第1演算増幅器のバーチャルショートにより、検出電極23の電圧でもある)が電圧V1に一致させられる(収束させられる)。電圧計56は、電圧信号V4の電圧値をリアルタイムで計測して、その電圧値を示す電圧データDvを出力する。また、電圧信号V4は、測定対象電線6の電圧V1に一旦収束した後は、フィードバックループを構成する各構成要素が上記のように動作することにより、電圧V1の変動に追従する。したがって、測定対象電線6の電圧V1を示す電圧データDvが電圧計56から連続して出力される。
処理部57は、電圧計56から出力された電圧データDvを入力してメモリに記憶する。次いで、処理部57は、電圧算出処理を実行して、電圧データDvに基づいて測定対象電線6の電圧V1を算出してメモリに記憶する。最後に、処理部57は、メモリに記憶されている測定結果(電圧V1)を表示部58に表示させる。これにより、測定装置MDによる測定対象電線6の電圧V1の測定が完了する。
この場合、この検出プローブ1では、外力が加わったときおよび変形が生じたときのいずれのときにおいても電荷の発生を低レベルに維持する物性を有する材料としての低圧電効果材料である非晶性材料(本例では、非晶性樹脂の一例としてのポリ塩化ビニル)で絶縁被覆24が形成されている。このため、この検出プローブ1では、例えば、測定作業において検出プローブ1を操作する際に検出プローブ1に加わる外力が検出プローブ1を構成する各部材を介して絶縁被覆24に加わったり、温度変化等によって絶縁体が変形したりしたとしても、これらに起因するノイズの発生が低減されて、ノイズの影響で検出精度および測定精度の低下が防止される。
ここで、この検出プローブ1では、上記したように、測定対象電線6を挟持した状態(図6に示す状態)において、フランジ部32bによって第2シールド筒体22の第2ガイド孔34が遮蔽されているため、検出電極23に対する外乱の影響(例えば、他の導体からの影響)が十分に低減されている。このため、この検出プローブ1では、電圧V1を正確に測定することが可能となっている。
引き続き、他の測定対象電線6の電圧V1を測定する際には、まず、図4に示す矢印方向の外力F1を操作レバー32のつまみ部32cに加えることにより、操作レバー32をグリップ部2の基端部方向に向けてスライドさせて、検出電極23についても同方向に摺動(スライド)させることで、挿入凹部33の先端側切欠き面33aと検出電極23の先端面23aとの間での測定対象電線6の挟持状態を解消する。次いで、挿入凹部33内から測定対象電線6を外す(測定対象電線6のクランプ状態を解消する)。これにより、検出プローブ1を次の測定対象電線6に装着(クランプ)することが可能となる。
このように、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、検出電極23と第1シールド筒体21との間に配設する絶縁被覆24を、外力が加わったときおよび変形が生じたときの少なくとも一方のときに電荷の発生を低レベルに維持する物性を有する材料で形成したことにより、例えば、測定作業において検出プローブ1を操作する際に検出プローブ1に加わる外力が検出プローブ1を構成する各部材を介して絶縁被覆24に加わったり、温度変化等によって絶縁被覆24が変形したりしたとしても、これらに起因するノイズの発生を確実に低減することができるため、ノイズの影響による検出精度および測定精度の低下を防止して、検出精度および測定精度を十分に向上させることができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、低圧電効果材料で絶縁被覆24を形成したことにより、絶縁被覆24に大きな外力が加わったり、絶縁被覆24が大きく変形したりしたときのノイズの発生をより確実に低減することができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、非晶性材料で絶縁被覆24を形成したことにより、非晶性材料が圧電効果を生じ難いため、絶縁被覆24に加わったときのノイズの発生をさらに確実に低減することができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、非晶性樹脂で絶縁被覆24を形成したことにより、非晶性樹脂の加工が容易なため、絶縁被覆24を配設するための加工コストを十分に低減することができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、物理量としての電圧V1を検出する際にシールドとして機能する導電体としての第1シールド筒体21と検出電極23との間に絶縁被覆24を配設したことにより、第1シールド筒体21と検出電極23との間の絶縁性を確保しつつ、ノイズの発生を確実に低減することができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、検出電極23を第1シールド筒体21に対して相対的に移動可能に構成したことにより、検出電極23を移動させて測定対象電線6(検出対象)に検出電極23における先端部の先端面23aを接触させる構成の検出プローブ1の検出精度、およびこの検出プローブ1を備えた測定装置MDの測定精度を十分に向上させることができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、絶縁被覆24を検出電極23に固着させたことにより、検出電極23に対する絶縁被覆24の移動を規制することができるため、両者の相対的な移動に起因するノイズの発生を確実に低減することができる結果、検出精度および測定精度をさらに向上させることができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDでは、検出電極23の先端面23aと外周面23bとを覆うように絶縁被覆24が検出電極23に固着されている。このため、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、検出電極23の露出部分(使用者が検出電極23に直接接触する可能性がある部分)を十分少なくすることができるため、安全性を向上させることができる。
また、この検出プローブ1および測定装置MDでは、絶縁被覆24が、筒状体で構成されて、その筒状体に検出電極23が挿入された状態で配設されている。このため、この検出プローブ1および測定装置MDによれば、例えば、検出電極23が挿入された絶縁被覆24(筒状体)を熱収縮させる簡易な方法で、絶縁被覆24を検出電極23に確実に固着(配設)することができる結果、絶縁被覆24の配設作業を効率的に行うことができる。
なお、上記の検出プローブ1では、検出電極23の先端面23aは基準平面PLと平行な平面に形成されているが、図10に示すように、第1シールド筒体21の先端部側に傾斜する斜面に形成する構成を採用することもできる。この構成の検出プローブ1およびこの検出プローブ1を備えた測定装置MDによれば、挿入凹部33内に挿入された測定対象電線6が検出電極23の先端面23aによって先端側切欠き面33aに押し付けられた状態(先端面23aと先端側切欠き面33aとで挟持された状態)において、測定対象電線6を挿入凹部33から一層外れにくくすることができる。
また、上記の検出プローブ1では、各切欠き面33a,33bを基準平面PLを基準として第1シールド筒体21の基端部側に傾斜させる構成を採用しているが、この構成に限定されず、例えば、図11に示すように、各切欠き面33a,33bを共に基準平面PLと平行にする構成や、図示はしないが、先端側切欠き面33aを基準平面PLと平行にし、かつ基端側切欠き面33bを基端部側に傾斜させる構成や、先端側切欠き面33aを基端部側に傾斜させ、かつ基端側切欠き面33bを基準平面PLと平行にする構成を採用することもできる。
また、上記の検出プローブ1(つまり、検出電極ユニット3)では、図8,10に示すように、検出電極23の先端面23aと測定対象電線6の芯線6aとが容量結合している状態(容量結合状態)、つまり、測定対象電線6が挿入凹部33内で先端側切欠き面33aと先端面23aとで挟持されている状態において、シールド部材(シールド導体5bの電位と同電位の部材)の存在しない挿入凹部33の開口部分を介して測定対象電線6が外乱の影響を若干ではあるが受ける可能性のある構成となっているが、この可能性をできる限り低減するのが好ましい。
そこで、図12に示す構成の検出電極ユニット3のように、第1シールド筒体21の内面と接触状態となっている検出電極23の外周面(本例では、絶縁被覆24で覆われた検出電極23の外周面(絶縁被覆24の表面)をさらに導電体層36で覆う構成を採用することにより、第1シールド筒体21の内面との接触(電気的接触)によって第1シールド筒体21と同電位となることで上記のシールド部材として機能するこの導電体層36における挿入凹部33の開口部分から露出する部位で、この挿入凹部33の開口部分の一部を閉塞して(挿入凹部33の開口部分におけるシールド部材の存在しない領域の面積を低減して)、測定対象電線6に対する外乱の影響をより低減させることができる。この場合、導電体層36は、導電性金属材料を用いて、例えば0.1mm未満(一例として0.01mm程度)の厚みで絶縁被覆24の表面に形成することができる。
また、この測定装置MDは、電圧測定機能以外に電流測定機能を備える構成であってもよく、さらには、測定した電圧値および電流値に基づいて抵抗を測定する抵抗測定機能や電力を測定する電力測定機能などの他の測定機能を備える構成であってもよい。
次に、検出プローブの他の一例としての図13,15に示す検出プローブ101(以下、単に「検出プローブ101」ともいう)について説明する。なお、以下の説明において、上記した検出プローブ1と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。この検出プローブ101では、第2シールド筒体22がグリップ部2に固定されている。また、この検出プローブ101では、両図に示すように、第1シールド筒体21が第2シールド筒体22に対して(つまり、グリップ部2に対して)軸線L方向に沿って移動可能に構成されている。また、この検出プローブ101では、検出電極23がグリップ部2に固定されている。
この場合、図13に示すように、第1シールド筒体21がグリップ部2の基端部(同図における右側の端部)側に移動させられているときには、検出電極23の先端面23aが第1シールド筒体21の先端部(第1蓋体25)側に位置して挿入凹部33が閉塞される。また、図15に示すように、第1シールド筒体21がグリップ部2の先端部(同図における左側の端部)側に移動させられているときには、検出電極23の先端面23aが第1シールド筒体21の先端部から離間して、挿入凹部33が開放される。
また、この検出プローブ101では、図14に示すように、検出電極23の外周面23bだけが絶縁被覆24によって覆われ、検出電極23の先端面23aは絶縁被覆24によって覆われることなく露出している。また、この検出プローブ101においても、低圧電効果材料としての非晶性材料である非晶性樹脂(ポリ塩化ビニル)で絶縁被覆24を形成することで、ノイズの影響の低減が図られている。また、この検出プローブ101においても、ポリ塩化ビニルで形成したチューブ(筒状体)を検出電極23に被せ、チューブを熱収縮させることで、検出電極23の外周面23bにチューブ(絶縁被覆24)が固着されている。
この検出プローブ101およびこの検出プローブ101を備えた測定装置MDでは、検出電極23の先端面23aが露出しかつ検出電極23の外周面23bを覆うように絶縁被覆24が検出電極23に固着されている。このため、この検出プローブ101および測定装置MDによれば、測定対象電線6に当接する先端面23aが絶縁被覆24によって覆われていない(先端面23aが露出している)分だけ、検出電極23の感度を向上させることができるため、検出精度および測定精度をさらに向上させることができる。
また、この検出プローブ101では、図13,15に示すように、操作レバー32が、第2シールド筒体22の第2ガイド孔34に挿通された支柱部32aと、支柱部32aの先端に形成されたつまみ部32cとを備え、これらの部材が絶縁材料を用いて一体的に形成されて構成されている。また、支柱部32aにおける第2シールド筒体22および後述する第3シールド筒体123の内側に延出する端部(図13,15において下側の不図示の端部)が第1シールド筒体21に連結されている。
また、この検出プローブ101では、図13,15に示すように、第2シールド筒体22(両図では、第2シールド筒体22を破線で示している)の内側に(第2シールド筒体22の内面に沿って)筒状(一例として円筒状)の第3シールド筒体123が配設され、この第3シールド筒体123が、操作レバー32の支柱部32aに取り付けられている。したがって、第3シールド筒体123は、操作レバー32に対する移動操作に応じて、第2シールド筒体22の内面と接触した状態で内面に沿って移動(摺動)させられる。この場合、第3シールド筒体123は、導電性材料(例えば、第2シールド筒体22を構成する材料と同じ材料)を用いて筒状(例えば、円筒状)に形成されており、第2シールド筒体22に接触することで、第2シールド筒体22と同電位となっている。また、第3シールド筒体123は、第2シールド筒体22における第2ガイド孔34の長さ(操作レバー32の移動方向(軸線Lの方向)に沿った長さ)と同程度の長さに形成されている。この第3シールド筒体123は、挿入凹部33の先端側切欠き面33aと検出電極23の端面23aとによって測定対象電線6を挟持した状態(図16に示す状態)において、第2ガイド孔34を遮蔽する第3シールド体として機能する。
また、この検出プローブ101では、図13,15に示すように、第2シールド筒体22内における第2蓋体26と第3シールド筒体123との間に、付勢部材131が配設されている。付勢部材131は、一例として導電性材料(例えば、金属材料)製の圧縮コイルばねで構成されて、縮長状態(押し縮められた状態)で収容されている。この構成により、第3シールド筒体123、第3シールド筒体123に取り付けられている操作レバー32、および操作レバー32の支柱部32aに連結されている第1シールド筒体21が、付勢部材131によってグリップ部2の基端部側に付勢されている。なお、引張コイルばねで構成された付勢部材131を、第2シールド筒体22内における第3蓋体27と第3シールド筒体123との間に配設する構成を採用することもできる。
この検出プローブ101を備えた測定装置MDを用いて測定対象電線6の電圧V1を測定する際には、まず、図13に示す矢印方向の外力F1を操作レバー32のつまみ部32cに指で加え、つまみ部32cを同図に示す位置から図15に示す位置まで付勢部材131の付勢力に抗して移動させる(操作レバー32に対する移動操作)。この際に、この移動操作に応じて第1シールド筒体21が同図に示す矢印方向に移動させられる。これにより、挿入凹部33が、検出電極23で閉塞された状態(図13に示す状態)から、開口された状態(図15に示す状態)に移行する。次いで、図16に示すように、開口状態となった挿入凹部33内に測定対象電線6を挿入する。
続いて、つまみ部32cから指を離す。この際に、図16に示すように、第3シールド筒体123、操作レバー32および第1シールド筒体21が、付勢部材31の付勢力F2によってグリップ部2の基端部側に押動させられる。この結果、同図に示すように、検出電極23の先端面23aと挿入凹部33の先端側切欠き面33aとによって測定対象電線6が挟持される。以上により、検出プローブ101による測定対象電線6のクランプ作業(装着作業)が完了する。次いで、本体ユニット4の各部が各処理を実行することにより、測定対象電線6の電圧V1が測定される。
ここで、この検出プローブ1では、図16に示すように、検出電極23の先端面23aと挿入凹部33の先端側切欠き面33aとで測定対象電線6を挟持した状態では、第2シールド筒体22に形成されている第2ガイド孔34が、第2シールド筒体22の内側に配設されている第3シールド筒体123によって遮蔽される。このため、この検出プローブ101、および検出プローブ101を備えた測定装置MDにおいても、測定対象電線6を挟持した状態において第2ガイド孔34が遮蔽されない構成と比較して、検出電極23に対する外乱の影響(例えば、他の導体からの影響)を十分に低減させることができる結果、測定対象電線6の電圧V1を正確に測定することができる。
また、この検出プローブ101およびこの検出プローブ101を備えた測定装置MDでは、第1シールド筒体21が軸線L方向に沿って移動可能に構成されている。この場合、検出電極23を移動させる構成では、操作レバー32の支柱部32aを検出電極23に連結するために、支柱部32aを挿通させるガイド孔(第2シールド筒体22の第2ガイド孔34と同様のガイド孔)等を第1シールド筒体21に形成する必要があり、その分シールド効果が低下する。これに対して第1シールド筒体21を移動させるこの検出プローブ101および測定装置MDでは、第1シールド筒体21にガイド孔を形成する必要がないため、その分、検出電極23を移動させる構成よりもシールド効果を高めることができる。
また、この検出プローブ101およびこの検出プローブ101を備えた測定装置MDによれば、第3シールド筒体123を第2シールド筒体22の内側に配設したことにより、第3シールド筒体123を第2シールド筒体22の外側に配設するためのスペースを第2シールド筒体22とグリップ部2との間に設ける必要がない分、検出プローブ101を小型化することができる。
また、この検出プローブ101およびこの検出プローブ101を備えた測定装置MDによれば、第3シールド筒体123を円筒状に形成したことにより、検出電極23を第3シールド筒体123で取り囲むことができるため、第3シールド筒体123によるシールド効果をさらに高めることができる。
なお、電圧検出プローブの構成は上記した構成に限定されない。例えば、非晶性材料として非晶性樹脂を用いる例について上記したが、ガラス、ゴムおよびエラストマー等の非晶性樹脂以外の非晶性材料を用いることもできる。また、外力が加わったときおよび変形が生じたときの少なくとも一方のときに電荷の発生を低レベルに維持する物性を有する材料として、低圧電効果材料以外の材料を用いることもできる。具体的には、結晶構造を有する結晶性材料(つまり、低圧電効果材料である非晶性材料以外の材料)と非晶性材料とを混合したり複合したりした各種の複合材料(コンポジット材料)を用いることができる。一例として、結晶性樹脂と非晶性樹脂とで構成した複合材料を用いることができる。この場合、結晶性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリイミドおよびフッ素樹脂等を用いることができる。
また、外力が加わったときおよび変形が生じたときの少なくとも一方のときに電荷の発生を低レベルに維持する物性を有する材料である限り、固体に限定されず流動性を有する材料(ゲル状の材料、液体の材料および気体の材料)を用いることもできる。
また、絶縁体としての絶縁被覆24を検出電極23に配設する例について上記したが、絶縁体を導電体としての第1シールド筒体21に配設する構成を採用することもできる。この場合、例えば、射出成形によって非晶性樹脂(一例としてのポリ塩化ビニル)で形成した絶縁被覆24を第1シールド筒体21の内周面に固着させたり、溶剤を含んで流動性を有する非晶性樹脂を絶縁被覆24の内周面に塗布した後に乾燥させたりすることによって絶縁被覆24を第1シールド筒体21の内周面に固着させる構成を採用することができる。
この構成によれば、絶縁被覆24を第1シールド筒体21に固着させたことにより、第1シールド筒体21に対する絶縁被覆24の移動を規制することができるため、絶縁被覆24の移動に起因するノイズの発生を確実に低減することができる結果、検出精度および測定精度をさらに向上させることができる。
また、この構成によれば、検出電極23を挿入可能な筒状に形成した第1シールド筒体21の内周面に絶縁被覆24を固着させたことにより、第1シールド筒体21の内周面の全面に絶縁被覆24を固着させることで、第1シールド筒体21と検出電極23との間の全域において絶縁被覆24を介在させることができるため、両者を確実に絶縁することができる。
また、絶縁体としての絶縁被覆24を、検出電極23の表面(先端面23aや外周面23b)、および第1シールド筒体21の内周面に固着させる例について上記したが、検出電極23の表面や第1シールド筒体21の内周面から離間した状態で絶縁体を配設する構成を採用することもできる。
また、上記した検出プローブ1(検出電極23を軸線L方向に沿って移動させる構成)において、第3シールド体として機能するフランジ部32bを第2シールド筒体22の内側に配設する構成や、第2シールド筒体22の内側および外側の双方に配設する構成を採用することもできる。また、上記した検出プローブ1において、フランジ部32bに代えて、筒状(円筒状)の第3シールド体を採用することもできる。また、上記した検出プローブ101(第1シールド筒体21を軸線L方向に沿って移動させる構成)において、第3シールド筒体123を第2シールド筒体22の外側に配設する構成や内側および外側の双方に配設する構成を採用することもできる。また、上記した検出プローブ101において、筒状の第3シールド筒体123に代えて、断面が円弧状(樋状)の第3シールド体を採用することもできる。
また、導電体としての第1シールド筒体21内に検出電極23が摺動自在に収納されて、検出電極23および第1シールド筒体21が相対的に移動可能に構成された検出プローブ1,101における絶縁体としての絶縁被覆24に本願を適用した例について上記したが、検出電極23および第1シールド筒体21が相対的に移動しない構成の検出プローブにおける絶縁体に本願を適用することもできる。具体的には、検出電極23の近傍に導電体が配設され、これらが相対的に移動しない構成の検出プローブ(従来の)において、検出電極23と導電体との間に配設した絶縁体に本願を適用することができる。
また、筒状の第1シールド筒体21を導電体として用いる例について上記したが、板状や柱状の導電体を用いる構成を採用することもできる。
また、物理量としての電圧V1を検出する検出プローブ1に適用した例について上記したが、電圧V1以外の他の物理量(例えば、電流や磁界等)を検出する検出プローブに適用することもできる。