以下、センサの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1,2に示す電圧センサ1は、「センサ」の一例であって、導線(芯線)が絶縁被覆で覆われて絶縁された被覆電線X(「被覆電線」の一例:図5参照)に供給されている電圧(「被覆電線についての被検出量」の一例)を被覆電線Xの導線に対して非接触の状態で検出可能に構成されている。この電圧センサ1は、電極2、電極保持部3および電線挿入部4を備え、検出対象の被覆電線Xに装着可能(被覆電線Xを挿入可能)に構成されると共に、図示しない測定装置に信号ケーブル5を介して接続可能に構成されている。
電極2は、「電極」の一例であって、図5に示すように、導電性を有する金属材料で柱状(本例では円柱状)に形成され、後述するように電線挿入部4に挿入された被覆電線Xに先端部2a(先端面S2:図13参照)が押し付けられた状態で、被覆電線Xの絶縁被覆を介して被覆電線Xの導線と容量結合させられる。この電極2は、図13に示すように、電極保持部3における後述の保持部本体11から先端部2a(先端面S2)が露出するように保持部本体11に挿通させられて保持部本体11と一体化されると共に、図5に示すように、保持部本体11内において信号ケーブル5が基端部2bに接続されている。
電極保持部3は、「電極保持部」の一例であって、全体として筒状(本例では、円筒状)に形成されている。この電極保持部3は、図3,4に示すように、保持部本体11、絶縁体12a,12b(図5参照)、筒状部13、コイルスプリング14、操作用ノブ21およびコイルスプリング22を備えている。
保持部本体11は、絶縁体12a,12bと相俟って「第1部材」を構成する部材であって、一例として、導電性を有する金属材料で電極2を挿通可能な筒状(円筒状)に形成されている。この保持部本体11には、後述するようにコイルスプリング14の一端部が当接させられる凸部11aが長手方向の中央部に形成されると共に、保持部本体11に対する筒状部13の移動を制限するためのストッパ15(スナップリング)を嵌入可能な溝部11b(図5,6等参照)が長手方向の後端部に形成されている。
なお、上記の保持部本体11の構成に代えて、ストッパ15のようなスナップリング等を嵌入可能な溝部を凸部11aの形成位置に形成し、この溝部にスナップリング等を嵌入して凸部11aと同様にコイルスプリング14を当接させることもできる(図示せず)。また、溝部11bの形成位置に凸部11aのような凸部を形成し、この凸部をストッパ15と同様に機能させる構成を採用することもできる(図示せず)。
また、保持部本体11には、後述するように電線挿入部4に設けられたスリット32c(「係合用溝部」の一例:図3,5,6等参照)に係合可能に凸部11c(「係合用凸部」の一例)が設けられている。これにより、本例の保持部本体11は、電線挿入部4に対する筒長方向への相対的な移動が許容された状態で電線挿入部4に対する相対的な回動が規制される。さらに、図3~6に示すように、保持部本体11の後端部には、信号ケーブル5の屈曲を防止するためのブッシュ5aが取り付けられている。
絶縁体12a,12bは、電極2および保持部本体11を相互に絶縁しつつ保持部本体11に対して電極2を保持可能に筒状(円筒状)に形成されている。この場合、本例の電圧センサ1では、図5,6に示すように、絶縁体12a,12bによって保持部本体11内に電極2を保持することで、電極2、保持部本体11および絶縁体12a,12bが一体化された状態となっている。
筒状部13は、「第2部材」の一例であって、図3,4に示すように、保持部本体11を挿通可能な筒状(円筒状)に形成されると共に、図5,6に示すように、保持部本体11に対する筒長方向への相対的な移動、および保持部本体11に対する相対的な回動が許容された状態で保持部本体11に装着されている。この筒状部13には、図3~6に示すように、電線挿入部4の内周面に形成されている後述の雌ネジ32bに螺合可能な雄ネジ13aが外周面に形成されると共に、図3,4に示すように、後述のコイルスプリング22の一端部が当接させられるストッパ23(スナップリング)を嵌入可能な溝部13bが形成されている。
なお、本例の電圧センサ1では、電線挿入部4の雌ネジ32bと筒状部13の雄ネジ13aとが相俟って「ネジ部」が構成されている(「電極保持部の外周面および電線挿入部の内周面と、電線挿入部の外周面および電極保持部の内周面とのいずれか」が「電極保持部の外周面および電線挿入部の内周面」である構成の例)。これにより、本例の電圧センサ1では、後述するように、電線挿入部4に対する筒状部13の相対的な回動によって電線挿入部4および電極保持部3(保持部本体11および筒状部13等)の筒長方向に沿って筒状部13が相対的に移動させられて、筒状部13と共に保持部本体11および電極2が電線挿入部4に対して移動させられ、電線挿入部4に挿入された被覆電線Xに対して電極2を接近させる接近方向(各図における矢印B1の向き)、および被覆電線Xから電極2を離間させる離間方向(各図における矢印B2の向き)に電極2を移動させることが可能となっている。
また、本例の電圧センサ1における筒状部13は、図5,6等に示すように、上記の雄ネジ13aが形成されている部位の外径が電線挿入部4において雌ネジ32bが形成されている部位の内径と同程度となるように(雌ネジ32bに対して雄ネジ13aを螺合可能となるように)形成されると共に、その他の部位の外径が雄ネジ13aの形成部位の外径よりも小径となるように形成されている。これにより、本例の筒状部13では、外周面における雄ネジ13aの形成部位とその他の部位との間に段部が生じており、後述するように、この外周面の段部に操作用ノブ21の凸部21aが当接して筒状部13に対する操作用ノブ21の筒長方向に沿った移動が制限される。
さらに、図3,4に示すように、筒状部13の外周面における上記の雄ネジ13aの形成部位以外の部位には、この筒状部13に対する操作用ノブ21の相対的な回動を規制可能に平面部13c,13cが設けられている。この場合、本例の筒状部13では、互いに並行な一対の平面部13c,13cが形成されているが、筒状部13に対する操作用ノブ21の相対的な回動を規制可能な形状としては、その筒径方向の断面形状が非正円形であればよく、一例として、筒状部13における両平面部13c,13のうちのいずれか一方だけを設けて筒状部13に対する操作用ノブ21の相対的な回動を規制することもできる。
また、本例の筒状部13では、図5,6に示すように、上記の雄ネジ13aの形成部位以外の部位の内径が保持部本体11の外径と同程度(僅かに大径)となるように形成されると共に、雄ネジ13aの形成部位の内径が保持部本体11の外径よりも大径でコイルスプリング14を挿入可能な内径となるように形成されている。これにより、本例の筒状部13では、内周面における雄ネジ13aの形成部位とその他の部位との間にも段部が生じており、後述するように、この内周面の段部にコイルスプリング14の一端部が当接させられる。
コイルスプリング14は、「第1付勢部材」としての「コイルスプリング」の一例であって、図5,6に示すように、一端部が保持部本体11の凸部11aに当接すると共に他端部が保持部本体11に装着された筒状部13における内周面の段部に当接するように保持部本体11と筒状部13との間に配設され(「第2部材内に第1部材と共に配設され」との構成の一例)、その弾性復元力(伸長方向への付勢力)によって筒状部13に対して保持部本体11を「接近方向(矢印B1の向き)」に付勢する。
操作用ノブ21は、「第3部材」の一例であって、図3,4に示すように、筒状部13を挿通可能な筒状(円筒状)に形成されると共に、筒状部13に対する筒長方向への相対的な移動が許容され、かつ筒状部13に対する相対的な回動が規制された状態で筒状部13に装着されている。この場合、本例の電圧センサ1では、蓄光顔料を含有する樹脂材料(一例として、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂や、ポリプロピレン樹脂などに蓄光顔料を含有させた樹脂材料:「第1樹脂材料」の一例)で操作用ノブ21が形成されている。この操作用ノブ21は、後述するように被覆電線Xに対して電圧センサ1を装着するとき、および被覆電線Xから電圧センサ1を取り外すときには、電線挿入部4や保持部本体11に対して筒状部13を相対的に回動させるための操作用部材として機能すると共に、被覆電線Xに対して電圧センサ1を装着した状態においては、電線挿入部4や保持部本体11に対して筒状部13が相対的に回動するのを規制するための回動規制部材として機能する。
具体的には、図3~6に示すように、操作用ノブ21は、筒状部13における外周面の段部に当接可能な内径の凸部21aが内周面に形成されると共に、この凸部21aの形成部位における内側形状(開口形状)が、筒状部13における雄ネジ13aの形成部位以外の部位の外形と同形の非正円形に形成されて、これにより、筒状部13に対する相対的な回動が規制されている。また、図3,7,8に示すように、操作用ノブ21において電線挿入部4に当接させられる当接部F3(先端部側の端面:「保持部側当接部」の一例)には、後述するように電線挿入部4において操作用ノブ21に当接させられる当接部F4(後端部側の端面:「挿入部側当接部」の一例)に設けられた係合部E4(「挿入部側係合部」の一例)に係合可能な係合部E3(「保持部側係合部」の一例)が設けられている。
コイルスプリング22は、「第2付勢部材」としての「コイルスプリング」の一例であって、図5,6に示すように、一端部が筒状部13に装着された操作用ノブ21の凸部21aに当接すると共に他端部が筒状部13の溝部13bに嵌入されたストッパ23に当接するように筒状部13と操作用ノブ21との間に配設され(「第3部材内に第2部材と共に配設され」との構成の一例)、その弾性復元力(伸長方向への付勢力)によって筒状部13に対して操作用ノブ21を「接近方向(矢印B1の向き)」に付勢する。
電線挿入部4は、「電線挿入部」の一例であって、図3~6に示すように、一例として、ステンレス鋼で筒状(本例では円筒状)に形成されている。この電線挿入部4は、「周壁」を構成する筒状部31の基端部が開口されて(「筒長方向の一端部が開口され」との構成の一例)電極保持部3を嵌入可能に構成されると共に、筒状部31の先端部が閉塞されている(「筒長方向の他端部が閉塞され」との構成の一例)。
また、電線挿入部4は、筒状部31の一部が切り欠かれて形成された側面視L字状の切欠き32a(「切欠き」の一例)が設けられて、切欠き32aに被覆電線Xを挿入可能に構成されている。この場合、本例の電圧センサ1における電線挿入部4では、図13に示すように、切欠き32aにおける先端部側(「電線挿入部の他端部の側」:同図における左側)の電線挿入部4の周方向に沿った開口幅(同図における上下方向の開口幅)が基端部から先端部に向かうほど狭くなるように(「電線挿入部の一端部から他端部に向かうほど狭くなるように」との構成の一例)切欠き32aにおける先端部側が円弧状に形成されている。
また、本例の電線挿入部4では、図13,14に示すように、電線挿入部4の内面において電極保持部3によって保持された電極2の先端面S2と対向させられる対向面S4が電線挿入部4の筒径方向において切欠き32aにおける先端部側の内縁部の一部と一直線状に連続するように形成されて(本例では、側面視において対向面S4が切欠き32aの内縁部と正接するように形成されて)、切欠き32aに挿入された被覆電線Xが電線挿入部4に対して径方向に沿って一直線状に接する電線接触部Pxが設けられている。この場合、この電線挿入部4では、切欠き32aの内縁部における先端部側の頂部Ppに電線接触部Pxが設けられている。
さらに、筒状部31の内周面には、前述のように筒状部13の外周面に形成された雄ネジ13aと相俟って「ネジ部」を構成する雌ネジ32bが形成され、電極保持部3(筒状部13)の雄ネジ13aを螺合させることができるように構成されている。この場合、本例の電圧センサ1では、電極保持部3における筒状部13の雄ネジ13a、および電線挿入部4(筒状部31)の雌ネジ32bで構成される「ネジ部」が正ネジで構成されている。また、「ネジ部」が正ネジで構成されている本例では、電線挿入部4に対して筒状部13を回動させる矢印A1の向きが「接近時回動方向」に相当し、かつ電線挿入部4に対して筒状部13を回動させる矢印A2の向きが「離間時回動方向」に相当する。なお、本例の電圧センサ1とは異なり、雄ネジ13aおよび雌ネジ32bで構成する「ネジ部」を逆ネジで構成した場合には、矢印A2の向きが「接近時回動方向」に相当し、かつ矢印A1の向きが「離間時回動方向」に相当する。
また、筒状部31には、前述のように保持部本体11に設けられた凸部11cが係合可能なスリット32cが設けられている。なお、本例の電圧センサ1における保持部本体11の凸部11c、および電線挿入部4(筒状部31)のスリット32cに代えて、「第1部材」に「係合用溝部」を設けると共に、そのような「係合用溝部」に係合可能な「係合用凸部」を「電線挿入部」に設けて「電線挿入部」に対する「第1部材」の筒長方向への相対的な移動を許容しつつ、「電線挿入部」に対する「第1部材」の相対的な回動を規制することもできる(図示せず)。
さらに、図4,7,8に示すように、電線挿入部4(筒状部31)において電極保持部3が当接させられる当接部F4(後端部側の端面:「挿入部側当接部」の一例)には、前述のように電極保持部3において電線挿入部4に当接させられる当接部F3に設けられた係合部E3に係合可能な係合部E4(「挿入部側係合部」の一例)が設けられている。
この場合、図3,4,7,8に示すように、電線挿入部4の係合部E4は、電線挿入部4の周方向に沿って当接部F4に等間隔で形成された複数の凸部C4a(「挿入部側凸部」の一例)を備えて構成されている。また、電極保持部3における操作用ノブ21の係合部E3は、電線挿入部4の周方向において隣接する凸部C4aの間の凹部C4b(「挿入部側凹部」の一例)にそれぞれ係合可能に筒状部13の周方向に沿って当接部F3に等間隔で形成された複数の凸部C3a(「保持部側凸部」の一例)を備え、周方向において隣接する凸部C3aの間の凹部C3b(「保持部側凹部」の一例)に凸部C4aがそれぞれ係合可能に構成されている。これにより、本例の電圧センサ1では、係合部E3,E4が互いに係合させられることにより、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の相対的な回動が規制され、係合部E3,E4の係合が解除されることにより、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の相対的な回動が許容される。
この場合、図7に示すように、係合部E3,E4を互いに係合させた状態(すなわち、係合部E3の各凸部C3a,C3a・・が係合部E4の各凹部C4b,C4b・・内に嵌入させられると共に、係合部E4の各凸部C4a,C4a・・が係合部E3の各凹部C3b,C3b・・内に嵌入させられた状態)から、図8に示すように、係合部E3,E4の係合が解除される状態(すなわち、係合部E3の各凸部C3a,C3a・・が係合部E4の各凹部C4b,C4b・・から離脱して各凸部C3a,C3a・・の頂部が係合部E4の各凸部C4a,C4a・・の頂部に接すると共に、係合部E4の各凸部C4a,C4a・・が係合部E3の各凹部C3b,C3b・・から離脱して各凸部C4a,C4a・・の頂部が係合部E3の各凸部C3a,C3a・・の頂部に接した状態)とするためには、電線挿入部4に対して電極保持部3をコイルスプリング22の付勢力に抗して距離L5(各凸部C3a,C4aの高さであり、各凹部C3b,C4bの深さである距離)だけ矢印B2の向きに移動させる必要がある。
また、本例の電圧センサ1では、図7,8に示すように、電線挿入部4の周方向(矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C4a,C4aのうちの、保持部本体11に対する筒状部13の回動に伴って電線挿入部4に対して保持部本体11が回動させられることで電線挿入部4に対して保持部本体11が「接近方向(各図における矢印B1の向き)」で相対的に移動させられるときの電線挿入部4に対する筒状部13の回動方向である「接近時回動方向(矢印A1の向き)」の側に位置している凸部C4aにおける頂部と、隣接する両凸部C4a,C4aの間の凹部C4bにおける底部との矢印A1の向きに沿った「第1の距離(距離L1)」よりも、電線挿入部4の周方向(矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C4a,C4aのうちの「接近時回動方向(矢印A1の向き)」とは逆向きの「離間時回動方向(矢印A2の向き)」の側に位置している凸部C4aにおける頂部と、隣接する両凸部C4a,C4aの間の凹部C4bにおける底部との矢印A2の向きに沿った「第2の距離(距離L2)」が短くなるように各凸部C4a,C4a・・が電線挿入部4の当接部F4に形成されている。
さらに、本例の電圧センサ1では、電極保持部3の周方向(矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C3a,C3aのうちの、「接近時回動方向(矢印A1の向き)」の側に位置している凸部C3aにおける頂部と、隣接する両凸部C3a,C3aの間の凹部C3bにおける底部との矢印A1の向きに沿った「第3の距離(距離L3)」が「第2の距離(距離L2)」と等しくなり、かつ電極保持部3の周方向(矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C3a,C3aのうちの「接近時回動方向(矢印A1の向き)」とは逆向きの「離間時回動方向(矢印A2の向き)」の側に位置している凸部C3aにおける頂部と、隣接する両凸部C3a,C3aの間の凹部C3bにおける底部との矢印A2の向きに沿った「第4の距離(距離L4)」が「第1の距離(距離L1)」と等しくなるように各凸部C3a,C3a・・が操作用ノブ21の当接部F3に形成されている。
また、本例の電圧センサ1では、前述したように、電線挿入部4(筒状部31)の雌ネジ32bに筒状部13の雄ネジ13aが螺合させられると共に、コイルスプリング22の弾性復元力(伸長方向への付勢力)によって筒状部13に対して操作用ノブ21が「接近方向(矢印B1の向き)」で付勢されている。
したがって、本例の電圧センサ1では、係合部E3,E4が係合させられた状態において、操作用ノブ21を電線挿入部4に対して矢印A1の向きで回動させて電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印B2の向きに距離L5だけ移動させることで係合部E4に対する係合部E3の係合を解除するのに要する力(係合が解除されるように電線挿入部4に対して操作用ノブ21を「接近時回動方向」に回動させるのに要する力)よりも、操作用ノブ21を電線挿入部4に対して矢印A2の向きで回動させて電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印B2の向きに距離L5だけ移動させることで係合部E4に対する係合部E3の係合を解除するのに要する力(係合が解除されるように電線挿入部4に対して操作用ノブ21を「離間時回動方向」に回動させるのに要する力)の方が大きくなっている。
また、本例の電圧センサ1では、前述したように、筒状部13の外周面における雄ネジ13aの形成部位とその他の部位との間に段部が生じており、この外周面の段部に操作用ノブ21の凸部21aが当接して筒状部13に対する操作用ノブ21の矢印B1の向きへの移動が制限されている。これにより、本例の電圧センサ1では、図5に示すように、電線挿入部4に挿入された被覆電線Xの絶縁被覆に対して電極保持部3によって保持された電極2が接しない「非接触位置」に保持部本体11が位置しているときに、保持部本体11に対する筒状部13の「接近方向(矢印B1の向き)」への移動が規制されて当接部F4から当接部F3を離間させた状態が維持される(筒状部13の外周面に設けた「段部」が「移動規制部」として機能する構成の例)。
次に、電圧センサ1を使用して被覆電線Xの電圧(被検出量)を検出して電圧値を測定する測定処理について、添付図面を参照して説明する。
被覆電線Xの導線に印加されている電圧の電圧値を測定する際には、最初に、電圧センサ1を被覆電線Xに装着する。この際に、図1,2に示すように被覆電線Xに対して非装着状態の電圧センサ1において、電極2の先端部や保持部本体11における先端部側の周面が電線挿入部4の切欠き32a内に位置した状態となっているときには、電極2や保持部本体11の先端部を電線挿入部4の筒状部31内に収容する。具体的には、一例として、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きで回動させる。なお、電極2や保持部本体11の先端部が電線挿入部4の切欠き32aに位置した状態においては、電線挿入部4の係合部E4に電極保持部3(操作用ノブ21)の係合部E3が係合させられて電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動が規制されるため、この係合部E3,E4の係合を解除する操作が必要となるが、この解除操作については、後に詳細に説明する。
また、上記のように操作用ノブ21が矢印A2の向きに回動させられたときには、筒状部13が操作用ノブ21と共に電線挿入部4に対して矢印A2の向きに回動させられる。これにより、雌ネジ32bに対して雄ネジ13aが螺合させられている筒状部13が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられると共に、筒状部13が装着されている保持部本体11が筒状部13と共に電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる結果、保持部本体11と一体化されている電極2が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる。この結果、図5に示すように、電極2および保持部本体11の先端部が電線挿入部4の筒状部31内に収容された状態となる。
この場合、上記のように電極2や保持部本体11の先端部を電線挿入部4の筒状部31内に収容する作業場所が暗いときには、操作用ノブ21の位置を把握するのが困難となるおそれがある。しかしながら、本例の電圧センサ1では、前述したように、蓄光顔料を含有する樹脂材料で操作用ノブ21が形成されている。これにより、作業場所が暗くても、操作用ノブ21の発光によってその位置を確実かつ容易に把握することができる結果、操作用ノブ21を確実かつ容易に掴むことができる。
次いで、電線挿入部4の切欠き32aに被覆電線Xが挿入された状態となるように被覆電線Xに対して電圧センサ1を移動させる。この際に、被覆電線Xの設置場所が暗いときには、電圧センサ1の視認(電圧センサ1の位置の把握)が困難となり、切欠き32a内に被覆電線Xが挿入されるように電圧センサ1を移動させるのが困難となるおそれがある。しかしながら、本例の電圧センサ1では、被覆電線Xの設置場所が暗くても、操作用ノブ21の発光によって電圧センサ1の位置を確実かつ容易に把握することができるため、切欠き32a内に被覆電線Xが挿入された状態となるように電圧センサ1を確実かつ容易に移動させることができる。
続いて、被覆電線Xの絶縁被覆に電極2を当接させて電極2を被覆電線Xの導線と容量結合させる。具体的には、一例として、電線挿入部4に挿入されている被覆電線Xの捩れを回避するために、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きで回動させる。この際には、前述したように、筒状部13の外周面に設けられた段部が「移動規制部」として機能し、この段部に操作用ノブ21の凸部21aが当接させられて電極保持部3(操作用ノブ21)の当接部F3が電線挿入部4の当接部F4から離間した状態(すなわち、係合部E4に対する係合部E3の係合が解除された状態)となっているため、電線挿入部4に対して操作用ノブ21をスムースに回動させることが可能となっている。
また、上記のように操作用ノブ21が矢印A1の向きに回動させられたときには、筒状部13が操作用ノブ21と共に電線挿入部4に対して矢印A1の向きに回動させられる。この際には、図6に示すように、雌ネジ32bに対して雄ネジ13aが螺合させられている筒状部13が電線挿入部4に対して矢印B1の向きに移動させられると共に、筒状部13が装着されている保持部本体11が筒状部13と共に電線挿入部4に対して矢印B1の向きに移動させられる結果、保持部本体11と一体化されている電極2が電線挿入部4に対して矢印B1の向きに移動させられる。これにより、電極保持部3(操作用ノブ21)の当接部F3(係合部E3における各凸部C3aの突端)が電線挿入部4の当接部F4(係合部E4における各凸部C4aの突端)に接した状態となる。
また、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きにさらに回動させたときには、電線挿入部4に対する筒状部13の矢印B1の向きへの移動に伴い、電線挿入部4の係合部E4に対する電極保持部3(操作用ノブ21)の係合部E3の係合の度合い(すなわち、凹部C4bに対する凸部C3aの進入の度合い)、および係合部E3に対する係合部E4の係合の度合い(すなわち、凹部C3bに対する凸部C4aの進入の度合い)が徐々に大きくなる。
この場合、係合部E4の凹部C4bに係合部E3の凸部C3aが進入し、かつ係合部E3の凹部C3bに係合部E4の凸部C4aが進入した状態で電線挿入部4に対して操作用ノブ21を回動させるためには、凸部C3a,C4aの進入量に応じて、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印B2の向きにコイルスプリング22の付勢力に抗して移動させる必要がある。このため、係合部E3,E4の係合の度合いが強くなるのに応じて、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を回動させるのに要する力が徐々に大きくなる(操作抵抗が徐々に大きくなる)。
しかしながら、本例の電圧センサ1では、前述のように、係合部E3,E4が係合している状態において電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きに回動させるのに要する力よりも矢印A2の向きに回動させるのに要する力が大きくなるように(言い換えれば、矢印A2の向きに回動させるのに要する力よりも矢印A1の向きに回動させるのに要する力が小さくなるように)係合部E3,E4が形成されている。したがって、それほど大きな操作力を加えることなく、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きに回動させることが可能となっている。
また、上記のような電線挿入部4に対する操作用ノブ21の矢印A1の向きへの回動に伴って筒状部13が電線挿入部4に対して矢印B1の向きへさらに移動させられることにより、電極2が保持部本体11および筒状部13と共に矢印B1の向きに移動させられて、図9に示すように、電極2が被覆電線Xの絶縁被覆に接した状態となる。
次いで、図10に示すように、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きにさらに回動させることで電線挿入部4に対して電極2を矢印B1の向きにさらに移動させて、被覆電線Xに対して電極2の先端部2aを十分な押付け力で押し付けた状態とする。
この場合、図9に示すように被覆電線Xの絶縁被覆に電極2が接した状態から、操作用ノブ21の矢印A2の向きへの回動に伴って筒状部13が矢印B1の向きに移動させられたときには、被覆電線Xに対する電極2の矢印B1の向きへの押付け力の増加に伴い、筒状部13に対して保持部本体11を矢印B1の向きに付勢しているコイルスプリング14が徐々に縮長させられる。この結果、電極2と一体化されている保持部本体11が筒状部13に対して矢印B2の向きへ相対的に後退させられる結果、被覆電線Xに対して電極2が過剰に大きな力で押し付けられた状態となるのが好適に回避される。
また、本例の電圧センサ1では、前述したように、電線挿入部4の内面における対向面S4が電線挿入部4の筒径方向において切欠き32aにおける先端部側の内縁部の一部と一直線状に連続するように形成されて電線挿入部4に電線接触部Pxが設けられている。これにより、電線挿入部4における切欠き32aの内縁部および対向面S4と、電極2における先端部2aの先端面S2との間に挟み込まれた被覆電線Xにおいて、弾性復帰が困難な程度に絶縁被覆が変形したり、断線(導線の接断)が生じたりする事態を招くことなく、電線挿入部4と電極2との間に被覆電線Xが挟み込まれた状態とすることができる。以上により、被覆電線Xの導線に対して電極2が好適状態で容量結合され、被覆電線Xに対する電圧センサ1の装着が完了する。
この場合、電圧センサ1への装着が完了したときには、図7に示すように、係合部E4の各凹部C4bに係合部E3の各凸部C3aが十分に進入し、かつ係合部E3の各凹部C3bに係合部E4の各凸部C4aが十分に進入した状態で係合部E3,E4が係合した状態となり、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動が規制された状態となる。これにより、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動に伴って電線挿入部4に対して電極2、保持部本体11および筒状部13が矢印B2の向きで移動する事態、すなわち、被覆電線Xに対する電極2の押付け力が低下する事態が好適に回避される。
続いて、信号ケーブル5を測定装置に接続することで測定装置に電圧センサ1を接続した後に、測定装置の図示しない操作部を操作することにより、測定処理を開始させる。なお、この種のセンサを使用した電圧の測定方法については当業者間において公知のため、詳細な説明を省略する。
この際に、上記のように被覆電線Xに対する電圧センサ1の装着作業時よりも高温となる環境化で測定処理を実行したときには、電圧センサ1や被覆電線Xの温度上昇に伴って電圧センサ1の各部や被覆電線Xが熱膨張すると共に、樹脂材料で形成されている絶縁被覆が軟化して変形し易い状態となる。また、被覆電線Xに対する電圧センサ1の装着作業時よりも低温となる環境化で測定処理を実行したときには、電圧センサ1や被覆電線Xの温度低下に伴って電圧センサ1の各部や被覆電線Xが収縮する。
この場合、筒状部13に対して保持部本体11をコイルスプリング14によって矢印B1の向きに付勢する構成を採用しなかったときに、電圧センサ1の各部を構成する材料の組合せ(各部材の熱膨張率の相違)によっては、電線挿入部4の切欠き32aにおける先端部側の縁部と電極2の先端部との間の距離が長くなるような熱膨張や収縮が生じることがある。しかしながら、本例の電圧センサ1では、そのような熱膨張や収縮が生じたときに、電線挿入部4に螺合させられている筒状部13に対してコイルスプリング14によって付勢されている保持部本体11が筒状部13に対して矢印B1の向きに相対的に移動させられるため、電線挿入部4に挿入されている被覆電線Xに対して、保持部本体11によって保持されている電極2の先端部2aを矢印B1の向きで被覆電線Xに押し付けた状態が好適に維持される。
また、筒状部13に対して保持部本体11をコイルスプリング14によって矢印B1の向きに付勢する構成を採用しなかったときに、電圧センサ1の各部を構成する材料の組合せ(各部材の熱膨張率の相違)によっては、電線挿入部4の切欠き32aにおける先端部側の縁部と電極2の先端部2aとの間の距離が短くなるような熱膨張や収縮が生じることがある。しかしながら、本例の電圧センサ1では、そのような熱膨張や収縮が生じたときに、電線挿入部4に螺合させられている筒状部13に対して保持部本体11がコイルスプリング14の付勢力に抗して筒状部13に対して矢印B2の向きに相対的に移動させられるため、電線挿入部4に挿入されている被覆電線Xに対して、保持部本体11によって保持されている電極2の先端部2aが矢印B1の向きで過剰に強い力で押し付けられた状態となるのが好適に回避される。
さらに、本例の電圧センサ1では、上記のような温度上昇に伴って被覆電線Xの絶縁被覆が軟化したときに、電線挿入部4に螺合させられている筒状部13に対してコイルスプリング14によって付勢されている保持部本体11が筒状部13に対して矢印B1の向きに相対的に移動させられるため、電線挿入部4に挿入されている被覆電線Xに対して、保持部本体11によって保持されている電極2を矢印B1の向きで被覆電線Xに好適な押付け力で押し付けた状態が維持される。
また、出願人が開示している前述の電圧センサでは、電極保持部に対する電線挿入部の相対的な回動を規制するロックナットとを備えている。しかしながら、前述したように、電圧センサの各部を構成する材料の組合せ(各部材の熱膨張率の相違)によっては、電線挿入部やロックナットの熱膨張率が電極保持部の熱膨張率よりも低くなるような材質の組合せで電圧センサが構成されているときに、温度上昇に伴う熱膨張や温度低下に伴う収縮が電圧センサに生じたときに、電線挿入部に対するロックナットの押付け力が低下してロックナットによる電線挿入部の回動規制力が低下するおそれがある。
これに対して、本例の電圧センサ1では、電線挿入部4に挿入されている被覆電線Xに対して電極2を好適な押付け力で押し付けた状態において、電線挿入部4に対して筒状部13を回動させるための操作用ノブ21の当接部F3が電線挿入部4の当接部F4に当接させられて、当接部F4に形成されている係合部E4に対して当接部F3に形成されている係合部E3が係合させられる結果、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の相対的な回動が規制された状態となっている。したがって、本例の電圧センサ1では、電線挿入部4に対する筒状部13の相対的な回動が規制されて、電線挿入部4に対する電圧センサ1の矢印B2の向きへの相対的な移動が好適に規制される。これにより、本例の電圧センサ1では、保持部本体11によって保持されている電極2を矢印B1の向きで被覆電線Xに好適な押付け力で押し付けた状態が維持される。
この場合、前述したように、本例の電圧センサ1では、係合部E3,E4が係合させられた状態において、図7に示す矢印A2の向き(離間時回動方向)で電線挿入部4に対して操作用ノブ21が回動し難い状態となっている。したがって、測定処理中に電圧センサ1に振動が加わったり、測定環境の温度が変化して電圧センサ1の各部に熱膨張や収縮が生じたりしても、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の矢印A2の向きへの回動が規制された状態が維持される結果、電極2が被覆電線Xから離間する「離間方向」である矢印B2の向きへの保持部本体11および筒状部13の移動が阻止されて、電極2を被覆電線Xに押し付けた状態が維持される。
このように、本例の電圧センサ1では、装着作業時とは異なる温度環境化で測定処理が実行されたり、測定処理中に電圧センサ1に対して振動が加えられたりしたとしても、電極2の先端部と被覆電線X(絶縁被覆)との間や切欠き32aの縁部と被覆電線X(絶縁被覆)との間に隙間が生じたり、被覆電線Xに断線を生じさせたりすることなく、被覆電線Xに対して電極2を好適な押し付け力で押し付けた状態を維持することができる。これにより、本例の電圧センサ1では、被覆電線Xの導線に対して電極2を容量結合させた状態が好適に維持される(容量結合の度合いが変化する事態が回避される)ため、電圧の検出精度を十分に向上させることが可能となっている。
一方、被覆電線Xについての測定処理を再び実行する必要がなくなったときには、被覆電線Xから電圧センサ1を取り外す。この場合、被覆電線Xにおける電圧センサ1の装着場所が暗いときには、取り外すべき電圧センサ1を見付ける(被覆電線Xにおけるいずれの位置に電圧センサ1が装着されているかを把握する)のが困難となるおそれがある。しかしながら、本例の電圧センサ1では、前述したように、蓄光顔料を含有する樹脂材料で操作用ノブ21が形成されている。これにより、電圧センサ1の装着場所が暗くても、操作用ノブ21の発光によって電圧センサ1を確実かつ容易に見付ける(電圧センサ1の装着位置を確実かつ容易に把握する)ことができる。
一方、電圧センサ1の取り外しに際しては、図11に示すように、電線挿入部4に螺合させられている筒状部13に対してコイルスプリング22の付勢力に抗して操作用ノブ21を矢印B2の向きに移動させる(前述した「解除操作」の例)。これにより、係合部E3,E4の係合が解除されて、操作用ノブ21および筒状部13の電線挿入部4に対する回動規制が解除される。この際に、被覆電線Xにおける電圧センサ1の装着場所が暗いときには操作用ノブ21の位置を把握するのが困難となるおそれがある。しかしながら、本例の電圧センサ1では、電圧センサ1の装着場所が暗くても、操作用ノブ21の発光によってその位置を確実かつ容易に把握することができるため、操作用ノブ21を確実かつ容易に掴むことができる。
次いで、操作用ノブ21を矢印B2の向きに移動させた状態(コイルスプリング22を押し縮めた状態)を維持しつつ、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きに回動させる。この際には、筒状部13が操作用ノブ21と共に電線挿入部4に対して矢印A2の向きに回動させられる。これにより、雌ネジ32bに対して雄ネジ13aが螺合させられている筒状部13が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられると共に、筒状部13が装着されている保持部本体11が筒状部13と共に電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる結果、保持部本体11と一体化されている電極2が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる。
これにより、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きへ十分に回動させることにより、図6に示すように、電極2が被覆電線X(絶縁被覆)から離間させられる。また、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きへさらに回動させることにより、図5に示すように、電極2および保持部本体11の先端部が電線挿入部4の筒状部31内に収容された状態となる。このような状態において、切欠き32a内の被覆電線Xを電線挿入部4の外に位置させるようにして、被覆電線Xおよび/または電圧センサ1を移動させる。以上により、被覆電線Xからの電圧センサ1の取り外しが完了する。
このように、この電圧センサ1では、電極2を保持する電極保持部3が、電極2を挿通可能な筒状に形成されて電極2と一体化されると共に電線挿入部4に対する筒長方向への相対的な移動が許容された状態で電線挿入部4に対する相対的な回動が規制された保持部本体11および絶縁体12a,12bと、保持部本体11を挿通可能な筒状に形成され、かつ電線挿入部4に設けられている雌ネジ32bに螺合可能な雄ネジ13aが形成されると共に、保持部本体11に対する筒長方向への相対的な移動および保持部本体11に対する相対的な回動が許容された状態で保持部本体11に装着された筒状部13と、筒状部13に対して保持部本体11を「接近方向(本例では、矢印B1の向き)」に付勢するコイルスプリング14とを備えている。
したがって、この電圧センサ1によれば、被覆電線Xへの装着時とは相違する温度環境下で電圧を検出する際に、電圧センサ1の各部や被覆電線Xに温度変化に伴う熱膨張や収縮が生じたり、被覆電線Xの絶縁被覆が軟化したりしても、コイルスプリング14によって保持部本体11が筒状部13に対して矢印B1の向きに付勢されているため、保持部本体11によって保持されている電極2が被覆電線Xに対して好適な押付け力で押し付けられた状態を維持することができる。これにより、被覆電線Xの導線に対して電極2を容量結合させた状態を維持できるため、被覆電線Xに印加されている電圧を好適に検出することができる。また、例えば、切欠き32aに被覆電線Xが挿入されている電線挿入部4に対して筒状部13(操作用ノブ21)を矢印A1の向きで回動させ過ぎて電線挿入部4に対して筒状部13を矢印B1の向きに移動させ過ぎたとしても、コイルスプリング14の付勢力に抗して保持部本体11が筒状部13に対して矢印B2の向きに相対的に移動するため、保持部本体11によって保持されている電極2が被覆電線Xに対して過剰に強い押付け力で押し付けられた状態となるのを回避することができる。これにより、被覆電線Xの断線等を招くことなく電圧を検出することができる。
また、この電圧センサ1によれば、保持部本体11を挿通可能なコイルスプリングで「第1付勢部材(本例では、コイルスプリング14)」を構成したことにより、「第1付勢部材」として板バネ等を採用する構成とは異なり、保持部本体11に対する筒状部13の回動姿勢に拘わらず、好適な付勢力で筒状部13に対して保持部本体11を付勢することができる。
さらに、この電圧センサ1では、電極保持部3が、筒状部13を挿通可能な筒状に形成されると共に、筒状部13に対する筒長方向への相対的な移動が許容され、かつ筒状部13に対する相対的な回動が規制された状態で筒状部13に装着された操作用ノブ21と、筒状部13に対して操作用ノブ21を「接近方向(矢印B1の向き)」に付勢するコイルスプリング22とを備え、電線挿入部4における当接部F4に係合部E4が設けられると共に、操作用ノブ21における当接部F3に係合部E4と係合可能な係合部E3が設けられて、係合部E3,E4が相互に係合させられることで電線挿入部4に対する操作用ノブ21の相対的な回動が規制されるように構成されている。
したがって、この電圧センサ1によれば、電圧センサ1の各部に温度変化に伴う熱膨張や収縮が生じたとしても、コイルスプリング22の付勢力に抗して操作用ノブ21を矢印B2の向きに移動させない限り、係合部E3,E4が係合した状態が維持されて電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動、すなわち、電線挿入部4に対する筒状部13の回動が規制された状態が維持される。これにより、電線挿入部4に対する筒状部13の意図しない回動に伴って電線挿入部4に対して保持部本体11および電極2が矢印B2の向きに移動する事態を回避して、被覆電線Xに対して電極2を押し付けた状態を好適に維持することができる。
また、この電圧センサ1によれば、筒状部13を挿通可能なコイルスプリングで「第2付勢部材(本例では、コイルスプリング22)」を構成したことにより、「第2付勢部材」として板バネ等を採用する構成とは異なり、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動姿勢に拘わらず、好適な付勢力で筒状部13に対して操作用ノブ21を付勢して操作用ノブ21を電線挿入部4に押し付けた状態とすることができる。
また、この電圧センサ1では、係合部E4において電線挿入部4の周方向(本例では、矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C4a,C4aのうちの「接近時回動方向(本例では、矢印A1の向き)」の側に位置する凸部C4aにおける頂部と、隣接する両凸部C4a,C4aの間の凹部C4bにおける底部との「接近時回動方向(矢印A1の向き)」に沿った「第1の距離(距離L1)」よりも、周方向(矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C4a,C4aのうちの「離間時回動方向(矢印A2の向き)」の側に位置する凸部C4aにおける頂部と、隣接する両凸部C4a,C4aの間の凹部C4bにおける底部との「離間時回動方向(矢印A2の向き)」に沿った「第2の距離(距離L2)」が短くなるように各凸部C4a,C4a・・が形成されると共に、係合部E3において電極保持部3の周方向(本例では、矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C3a,C3aのうちの「接近時回動方向(矢印A1の向き)」の側に位置する凸部C3aにおける頂部と、隣接する両凸部C3a,C3aの間の凹部C3bにおける底部との「接近時回動方向(矢印A1の向き)」に沿った「第3の距離(距離L3)」が「第2の距離(距離L2)」と等しくなり、かつ周方向(矢印A1,A2の向き)で隣接する凸部C3a,C3aのうちの「離間時回動方向(矢印A2の向き)」の側に位置する凸部C3aにおける頂部と隣接する両凸部C3a,C3aの間の凹部C3bにおける底部との「離間時回動方向(矢印A2の向き)」に沿った「第4の距離(距離L4)」が「第1の距離(距離L1)」と等しくなるように各凸部C3a,C3a・・が形成されている。
したがって、この電圧センサ1によれば、各凸部C3a,C3a・・が各凹部C4b,C4b・・内に進入し、かつ各凸部C4a,C4a・・が各凹部C3b,C3b・・内に進入した状態において、矢印A1の向きへの電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動操作を小さな力で行うことができ、逆に矢印A2の向きへの電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動操作に大きな力を要する状態となるため、電極2を被覆電線Xに押し付ける向きへの電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動操作を容易に行うことができると共に、被覆電線Xに押し付けられている電極2が被覆電線Xから離間する向きへの電線挿入部4に対する操作用ノブ21の意図しない回動を好適に維持することができる。
さらに、この電圧センサ1によれば、「非接触位置」に保持部本体11および絶縁体12a,12bが位置しているときに、筒状部13に対する操作用ノブ21の「接近方向(矢印B1の向き)」への移動を規制して当接部F4から当接部F3を離間させた状態とする「移動規制部(本例では、外周側の段部)」を筒状部13に設けたことにより、電極2を切欠き32a内の被覆電線Xに接近させる際の回動操作時には、係合部E3,E4が係合しない状態で、筒状部13が係合している電線挿入部4に対して操作用ノブ21を回動させることができるため、操作用ノブ21を容易に回動させることができ、電極2が被覆電線Xに対して十分に接近したとき、および電極2が被覆電線Xに対して押し付けられた状態となったときには、係合部E3,E4が係合した状態となることにより、筒状部13に対する操作用ノブ21の意図しない回動を好適に規制することができる。
また、この電圧センサ1では、電線挿入部4における「筒長方向」の一端部が電極保持部3およびストッパ6を挿入可能に開口され、かつ電線挿入部4における「筒長方向」の他端部が閉塞されると共に、電線挿入部4の内面において電極保持部3によって保持された電極の先端面S2と対向させられる対向面S4が電線挿入部4の筒径方向において切欠き32aにおける他端部の側の内縁部の一部と一直線状に連続するように形成されて電線挿入部4に電線接触部Pxが設けられている。
したがって、この電圧センサ1によれば、電線挿入部4における切欠き32aの内縁部および対向面S4と、電極2における先端部2aの先端面S2との間に挟み込まれた被覆電線Xにおいて、弾性復帰が困難な程度に絶縁被覆が変形したり、断線(導線の接断)が生じたりする事態を招くことなく、電線挿入部4と電極2との間に被覆電線Xが挟み込まれた状態とすることができるため、被覆電線Xを傷付けることなく確実に保持する(被覆電線Xに対して電圧センサ1を確実に装着する)ことができる。
さらに、この電圧センサ1によれば、切欠き32aにおける他端部の側の電線挿入部4の「周方向」に沿った開口幅が一端部から他端部に向かうほど狭くなるように切欠き32aにおける他端部の側を円弧状に形成すると共に、切欠き32aの内縁部における他端部の側の頂部Ppに電線接触部Pxを設けて電線挿入部4を構成したことにより、切欠き32a内に挿入した被覆電線Xを確実に電線接触部Pxに対して接触させた状態とすることができる。
また、この電圧センサ1によれば、蓄光顔料を含有する「第1樹脂材料」で操作用ノブ21を形成したことにより、暗所において被覆電線Xに電圧センサ1を装着するときや、暗所において被覆電線Xから電圧センサ1を取り外すときに、操作用ノブ21の発光によって電圧センサ1の位置を確実かつ容易に把握することができるため、装着作業や取外し作業の作業性を十分に向上させることができる。また、発光によって操作用ノブ21の位置を確実かつ容易に把握できるため、操作用ノブ21を確実かつ容易に掴んで的確に操作することができる。
なお、「センサ」の構成は、上記の電圧センサ1の構成の例に限定されない。例えば、蓄光顔料を含有する樹脂材料で形成した操作用ノブ21を「第3部材」として備えた電圧センサ1の構成を例に挙げて説明したが、蓄光顔料に代えて(または、蓄光顔料に加えて)蛍光顔料を含有する樹脂材料(「第1樹脂材料」の他の一例)で操作用ノブ21(第3部材)を形成することもできる。
この場合、蛍光顔料を含有する樹脂材料で形成した操作用ノブ21を備えた「センサ」によれば、蛍光顔料を含有していない樹脂材料で操作用ノブ21を形成した構成と比較して、暗所において被覆電線Xに電圧センサ1を装着するときや、暗所において被覆電線Xから電圧センサ1を取り外すときに、操作用ノブ21による光の反射量が増加して電圧センサ1の位置を確実かつ容易に把握することができるため、装着作業や取外し作業の作業性を十分に向上させることができる。また、光の反射量の増加によって操作用ノブ21の位置を確実かつ容易に把握できるため、操作用ノブ21を確実かつ容易に掴んで的確に操作することができる。
また、電線挿入部4の当接部F4に係合部E3を設けると共に、当接部F3に係合部E3を設けた操作用ノブ21を筒状部13に装着してコイルスプリング22によって操作用ノブ21を矢印B1の向きに付勢することで係合部E3,E4を係合させて、電線挿入部4に対する筒状部13の回動を規制する構成を備えた電圧センサ1を例に挙げて説明したが、「電線挿入部」に対する「第2部材」の回動を規制する部材を備えない構成を採用することもできる。
具体的には、図12に示す電圧センサ1Aは、「センサ」の他の一例であって、上記の電圧センサ1における電極保持部3および電線挿入部4に代えて、「電極保持部」の他の一例である電極保持部3A、および「電線挿入部」の他の一例である「電線挿入部4A」を備えて構成されている。なお、この電圧センサ1Aにおいて電圧センサ1の各構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
電線挿入部4Aは、一例として、係合部E3が形成されていない点を除いて電圧センサ1の電線挿入部4と同様に構成されている。また、電極保持部3Aは、一例として、電圧センサ1の電極保持部3における操作用ノブ21およびコイルスプリング22に相当する部材を備えずに、電極保持部3における筒状部13に代えて筒状部43を備えている点を除き、電極保持部3と同様に構成されている。この場合、筒状部43には、「第2部材」の他の一例であって、外周面の一端部側に雄ネジ13aが形成されると共に他端部側に操作部43aが形成されている。また、筒状部43には、筒状部13の内周面に設けられた段部と同様にしてコイルスプリング14の他端部が係合可能な段部が内周面に設けられている。
したがって、この電圧センサ1Aでは、前述した電圧センサ1と同様にして、被覆電線Xへの装着時とは相違する温度環境下で電圧を検出する際に、電圧センサ1Aの各部や被覆電線Xに温度変化に伴う熱膨張や収縮が生じたり、被覆電線Xの絶縁被覆が軟化したりしても、コイルスプリング14によって保持部本体11が筒状部43に対して矢印B1の向きに付勢されているため、保持部本体11によって保持されている電極2が被覆電線Xに対して好適な押付け力で押し付けられた状態を維持することができる。これにより、被覆電線Xの導線に対して電極2を容量結合させた状態を維持できるため、被覆電線Xに印加されている電圧を好適に検出することができる。また、例えば、切欠き32aに被覆電線Xが挿入されている電線挿入部4Aに対して筒状部43を矢印A1の向きで回動させ過ぎて電線挿入部4に対して筒状部43を矢印B1の向きに移動させ過ぎたとしても、コイルスプリング14の付勢力に抗して保持部本体11が筒状部43に対して矢印B2の向きに相対的に移動するため、保持部本体11によって保持されている電極2が被覆電線Xに対して過剰に強い押付け力で押し付けられた状態となるのを回避することができる。これにより、被覆電線Xの断線等を招くことなく電圧を検出することができる。
この場合、操作用ノブ21を備えていない電圧センサ1Aについては、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方を含有する樹脂材料(一例として、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂や、ポリプロピレン樹脂などに蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方を含有させた樹脂材料:「第1樹脂材料」の一例)で筒状部43を形成することにより、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方を含有する樹脂材料で形成した操作用ノブ21を備えている電圧センサ1と同様の効果を奏することができる。
また、「第1樹脂材料」で操作用ノブ21を形成するか否かを問わず、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方と、導電性フィラーとを含有する樹脂材料(導電性を有する樹脂材料:一例として、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂や、ポリプロピレン樹脂などに蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方と導電性フィラーとを含有させた樹脂材料:「第2樹脂材料」の一例)で電線挿入部4を形成したり、「第1樹脂材料」で筒状部43を形成するか否かを問わず、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方と、導電性フィラーとを含有する樹脂材料(導電性を有する樹脂材料:一例として、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂や、ポリプロピレン樹脂などに蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方と導電性フィラーとを含有させた樹脂材料:「第2樹脂材料」の一例)で電線挿入部4Aを形成したりすることもできる。
この場合、前述したように被覆電線Xに対して電圧センサ1,1Aを装着する際に、被覆電線Xの設置場所が暗いときには、電圧センサ1,1Aの視認(電圧センサ1,1A自体の位置、および電圧センサ1,1Aにおける電線挿入部4,4Aの位置の把握)が困難となり、電線挿入部4,4Aに形成されている切欠き32a内に被覆電線Xが挿入された状態となるように電圧センサ1を移動させるのが困難となるおそれがある。しかしながら、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方を含有する樹脂材料で電線挿入部4,4Aを形成することで、電線挿入部4,4Aの発光や、電線挿入部4,4Aによる光の反射量の増加により、電圧センサ1,1A自体の位置、および電圧センサ1,1Aにおける電線挿入部4,4Aの位置(切欠き32aの位置)を確実かつ容易に把握することが可能となる。
同様にして、被覆電線Xから電圧センサ1,1Aを取り外す際に、被覆電線Xにおける電圧センサ1,1Aの装着場所が暗いときには、電圧センサ1,1Aを見付けるのが困難となるおそれがある。また、電線挿入部4,4Aの位置の把握が困難であることに起因して、切欠き32a内に挿入されている被覆電線Xの位置の把握も困難となるおそれがある。しかしながら、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方を含有する樹脂材料で電線挿入部4,4Aを形成することで、電線挿入部4,4Aの発光や、電線挿入部4,4Aによる光の反射量の増加により、電線挿入部4,4Aの位置(切欠き32aの位置)を確実かつ容易に把握することが可能となり、結果として、切欠き32a内に挿入されている被覆電線Xの位置も確実かつ容易に把握することが可能となる。
このように、蓄光顔料および蛍光顔料の少なくとも一方を含有する「第2樹脂材料」で形成した電線挿入部4,4Aを備えた電圧センサ1,1Aによれば、暗所において被覆電線Xに電圧センサ1,1Aを装着するときや、暗所において被覆電線Xから電圧センサ1,1Aを取り外すときに、電線挿入部4,4Aの発光や、電線挿入部4,4Aによる光の反射量の増加によって電圧センサ1,1Aの位置を確実かつ容易に把握することができるため、装着作業や取外し作業の作業性を十分に向上させることができる。また、電線挿入部4,4Aの発光や、電線挿入部4,4Aによる光の反射量の増加によって、被覆電線Xを挿入すべき切欠き32aの位置を確実かつ容易に把握できるため、装着作業の作業性を十分に向上させることができると共に、切欠き32aに挿入されている被覆電線Xの位置を確実かつ容易に把握できるため、取外し作業の作業性を十分に向上させることができる。
また、「電極保持部」に対する「電線挿入部」の「離間方向」への相対的な移動を規制する「第4部材」を備えて「センサ」を構成することもできる。具体的には、図1,2,13~18に示す電圧センサ1Bは、「センサ」の他の一例であって、電極保持部3と電線挿入部4との間に配設されたストッパ6を備えている点を除き、前述した電圧センサ1と同様に構成されている。なお、この電圧センサ1Bにおいて上記の電圧センサ1と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この場合、ストッパ6は、「第4部材」の一例であって、図15,16に示すように、ステンレス鋼、リン青銅およびベリリウム銅などのばね用鋼材で全体としてC字状(「環状」の一例)に形成されると共に、図17,18に示すように、筒状部31内に圧入されて電線挿入部4に固定されている。このストッパ6は、電極保持部3および電線挿入部4の間に配設されて電極保持部3に対する筒長方向への相対的な移動が可能な状態で電線挿入部4に固定されると共に、電極保持部3に対して電線挿入部4が「予め規定された位置」まで「離間方向(矢印B1の向き)」へ移動させられたときに電極保持部3における保持部本体11の周面に設けられている前述の凸部11cに当接して電極保持部3に対する電線挿入部4の「離間方向(矢印B1の向き)」へ移動を規制可能に構成されている。
具体的には、本例の電圧センサ1Bにおけるストッパ6は、電線挿入部4に圧入されていない状態における外径が電線挿入部4における筒状部31の内径よりも僅かに大きく、かつ、電線挿入部4に圧入された状態(圧入によって縮径された状態)における内径が電極保持部3における保持部本体11の外径よりも僅かに大きくなるような大きさに形成されている。また、ストッパ6は、ストッパ6の周方向における一端部と他端部との間の隙間における周方向の長さが、電線挿入部4に圧入されていない状態において電極保持部3の保持部本体11における周方向に沿った凸部11cの長さ以上となり、かつ電線挿入部4に圧入された状態において保持部本体11における周方向に沿った凸部11cの長さを下回るように弾性変形可能に構成されている。
また、この電圧センサ1Bでは、保持部本体11に形成された上記の凸部11cが「部材当接用凸部」として機能し、電線挿入部4に固定された上記のストッパ6に当接させられることで電線挿入部4に対する保持部本体11(電極保持部3)の移動が規制される構成が採用されている。この場合、本例の電極保持部3(保持部本体11)では、「部材当接用凸部」としての機能を有する凸部11cが1つだけ設けられている。
この電圧センサ1Bの組立てに際しては、まず、電極2および絶縁体12a,12bを保持部本体11内に挿入してこれらを一体化させると共に、電極2の基端部2bに信号ケーブル5の芯線を半田付けして電極2に信号ケーブル5を固定する。また、筒状部13の基端部側から操作用ノブ21およびコイルスプリング22を装着した後に、筒状部13の溝部13bにストッパ23を嵌入して操作用ノブ21およびコイルスプリング22の筒状部13からの離脱を規制する。次いで、保持部本体11の基端部側からコイルスプリング14および筒状部13をこの順で装着した後に、保持部本体11の溝部11bにストッパ15を嵌入してコイルスプリング14および筒状部13の保持部本体11からの離脱を規制する。
続いて、信号ケーブル5を挿通させたブッシュ5aを保持部本体11の基端部に固定すると共に、保持部本体11に対してストッパ6を装着する。この場合、保持部本体11に対するストッパ6の装着時には、まず、保持部本体11の先端部にストッパ6を取り付け、次いで、ストッパ6の周方向における一端部および他端部の間の隙間を凸部11cが通過するように保持部本体11に対してストッパ6を相対的に移動させることにより、凸部11a,11cの間にストッパ6を位置させる。続いて、保持部本体11に対してストッパ6を180度回動させ、凸部11cに対して保持部本体11の筒長方向にストッパ6の隙間が存在しない状態とする。
次いで、電線挿入部4における基端部側の開口部から保持部本体11の先端部を挿入し、電線挿入部4に対して保持部本体11を各図の矢印B1の向きで押し込む。この際に、保持部本体11の凸部11a,11cの間に位置させられているストッパ6が電線挿入部4における筒状部31の基端部に接した状態から電線挿入部4に対して保持部本体11をさらに押し込んだときには、ストッパ6が縮径方向で弾性変形して筒状部31内に進入させられる。
また、電線挿入部4に対して保持部本体11をさらに押し込んで電線挿入部4におけるスリット32cの後端に凸部11cが位置したときには、電線挿入部4に対して保持部本体11を相対的に回動させることによって凸部11cがスリット32c内に進入可能な状態とする。さらに、凸部11cをスリット32c内に進入させた状態から電線挿入部4に対して保持部本体11をさらに押し込むことにより、電線挿入部4の後端部に筒状部13の先端部が当接したときには、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きに回動させることで電線挿入部4に対して筒状部13を回動させ、雌ネジ32bに対して筒状部13の雄ネジ13aを螺合させる。この際に、保持部本体11の先端部に装着されているストッパ6は、保持部本体11の凸部11aに押されるようにして筒状部13内を先端部に向けて移動させられる。
次いで、一例として、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A1の向きで回動させることにより、操作用ノブ21と共に筒状部13を電線挿入部4に対して矢印A1の向きに回動させる。これにより、雌ネジ32bに対して雄ネジ13aが螺合させられている筒状部13が電線挿入部4に対して矢印B1の向きに移動させられると共に、筒状部13が装着されている保持部本体11が筒状部13と共に電線挿入部4に対して矢印B1の向きに移動させられる。この結果、保持部本体11と一体化されている電極2や保持部本体11に装着されているストッパ6が電線挿入部4に対して矢印B1の向きに移動させられる。
なお、上記のような電線挿入部4に対する操作用ノブ21の回動操作時には、電極保持部3(操作用ノブ21)の当接部F3(係合部E3における各凸部の突端)が電線挿入部4の当接部F4(係合部E4における各凸部の突端)に接した状態以降、コイルスプリング22の弾性変形によって筒状部13に対して操作用ノブ21がスライドさせられて、係合部E3,E4の係合および係合解除が繰り返される。
また、電線挿入部4に対する操作用ノブ21の矢印A1の向きへの回動によって、電極保持部3が電線挿入部4の最も奥側(最も先端部側)まで移動させられたとき(本例の電圧センサ1Bでは、電極保持部3によって保持された電極2の先端面S2が電線挿入部4の対向面S4に接する位置まで移動させられたとき)には、電線挿入部4に対する保持部本体11の移動に伴い、凸部11aに押されるようにして筒状部13内を先端部に向けて移動させられたストッパ6が、電線挿入部4内の固定位置(図17,18におけるストッパ6の位置)に位置させられる(電線挿入部4内にストッパ6を圧入した状態の一例)。これにより、ストッパ6の弾性復帰力によって電線挿入部4の内側にストッパ6が固定された状態となる。以上により、電圧センサ1Bの組立てが完了する。
一方、この電圧センサ1Bを使用した電圧値の測定に際しては、電圧センサ1Bを被覆電線Xに装着する。この際に、図1,2に示すように、被覆電線Xに対して非装着状態の電圧センサ1Bにおいて電極2の先端部や保持部本体11における先端部側が電線挿入部4における切欠き32aの形成部位に位置した状態(保持部本体11の周面を切欠き32aから視認できる状態)となっているときには、電極2や保持部本体11の先端部を電線挿入部4の筒状部31内に収容する。具体的には、係合部E3,E4の係合を解除する前述の解除操作を行った後に、一例として、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きで回動させる。
また、上記のように操作用ノブ21が矢印A2の向きに回動させられたときには、筒状部13が操作用ノブ21と共に電線挿入部4に対して矢印A2の向きに回動させられる。これにより、雌ネジ32bに対して雄ネジ13aが螺合させられている筒状部13が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられると共に、筒状部13が装着されている保持部本体11が筒状部13と共に電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる結果、保持部本体11と一体化されている電極2が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる。この結果、図17に示すように、電極2および保持部本体11の先端部が電線挿入部4の筒状部31内に収容された状態(保持部本体11の周面を視認できない状態)となる。
この場合、本例の電圧センサ1Bでは、上記のように電極2および保持部本体11の先端部が電線挿入部4の筒状部31内に収容された状態において、電線挿入部4内に固定されているストッパ6の端面に保持部本体11の凸部11cが当接した状態となるように構成されている。これにより、この電圧センサ1Bでは、ストッパ6が固定されている電線挿入部4に対する保持部本体11の矢印B2の向きへのさらなる移動が規制されるため、電線挿入部4に対して保持部本体11をどの程度移動させたかを把握していなくても、保持部本体11に装着された筒状部13の雄ネジ13aと電線挿入部4の内面に形成された雌ネジ32bとが螺合した状態、すなわち、電極保持部3(保持部本体11および筒状部13等)と電線挿入部4とが一体化した状態が維持される。したがって、この電圧センサ1Bでは、電極保持部3および電線挿入部4の意図しない分離に起因するいずれかの落下が好適に回避される。
次いで、電線挿入部4の切欠き32aに被覆電線Xを挿入した後に、被覆電線Xの絶縁被覆に電極2を当接させて電極2を被覆電線Xの導線と容量結合させる。なお、この際の作業手順(電線挿入部4に対する操作用ノブ21の矢印A1の向きへの回動による電線挿入部4に対する電極保持部3および電極2の矢印B1の向きへの移動)は、前述した電圧センサ1の被覆電線Xへの装着時の作業手順と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、図18に示すように、被覆電線Xに対して電極2の先端部2a(先端面S2)が十分な押付け力で押し付けられた状態となる。以上により、被覆電線Xの導線に対して電極2が好適状態で容量結合され、被覆電線Xに対する電圧センサ1Bの装着が完了する。この後、信号ケーブル5を測定装置に接続することで測定装置に電圧センサ1Bを接続した状態で測定装置の図示しない操作部を操作することにより、測定処理を開始させることにより、電圧センサ1Bを介して電圧が検出される。
一方、被覆電線Xについての測定処理を再び実行する必要がなくなったときには、被覆電線Xから電圧センサ1Bを取り外す。この際には、被覆電線Xから電圧センサ1を取り外したときと同様にして「解除操作」を行い、電線挿入部4に螺合させられている筒状部13に対してコイルスプリング22の付勢力に抗して操作用ノブ21を矢印B2の向きに移動させる。次いで、操作用ノブ21を矢印B2の向きに移動させた状態(コイルスプリング22を押し縮めた状態)を維持しつつ、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きに回動させる。これにより、保持部本体11が筒状部13と共に電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる結果、保持部本体11と一体化されている電極2が電線挿入部4に対して矢印B2の向きに移動させられる。
また、電線挿入部4に対して操作用ノブ21を矢印A2の向きへさらに回動させることにより、図17に示すように、電極2および保持部本体11の先端部が電線挿入部4の筒状部31内に収容された状態となったときには、凸部11cが電線挿入部4内のストッパ6に当接して電線挿入部4に対する保持部本体11のさらなる移動が規制される。これにより、電極保持部3および電線挿入部4の分離が規制される。このような状態において、切欠き32a内の被覆電線Xを電線挿入部4の外に位置させるようにして、被覆電線Xおよび/または電圧センサ1Bを移動させる。以上により、被覆電線Xからの電圧センサ1Bの取り外しが完了する。
このように、この電圧センサ1Bでは、電極保持部3および電線挿入部4の間に配設されて電極保持部3に対する「筒長方向」への相対的な移動が可能な状態で電線挿入部4に固定されると共に、電極保持部3に対して電線挿入部4が予め規定された位置まで「離間方向」へ相対的に移動させられたときに電極保持部3の周面に設けられている凸部11cに当接して電極保持部3に対する電線挿入部4の「離間方向」への相対的な移動を規制するストッパ6を備えている。
したがって、この電圧センサ1Bによれば、電線挿入部4に固定されているストッパ6に凸部11cが当接したときに、電極保持部3に対する電線挿入部4のさらなる移動が規制されるため、電線挿入部4に電極保持部3が挿入された状態を維持させて、電極保持部3および電線挿入部4の意図しない分離を好適に回避することができる。これにより、電極保持部3および電線挿入部4の分離に起因するいずれかの落下を確実に回避することができる。
また、この電圧センサ1Bによれば、ストッパ6を環状に形成すると共に電線挿入部4内に圧入して電線挿入部4に固定したことにより、接着やネジ止めなどの固定方法で固定する構成とは異なり、電線挿入部4に対してストッパ6を容易に固定することができるため、その製造コストを十分に低減することができる。
さらに、この電圧センサ1Bでは、電極保持部3が、「部材当接用凸部」としての機能を有する凸部(本例では、凸部11c)が1つだけ設けられ、ストッパ6が、C字状に形成されると共に、ストッパ6の周方向における一端部と他端部との間の隙間における周方向の長さが、電線挿入部4に圧入されていない状態において電極保持部3(保持部本体11)の周方向に沿った凸部11cの長さ以上となり、かつ電線挿入部4に圧入された状態において電極保持部3(保持部本体11)の周方向に沿った凸部11cの長さを下回るように弾性変形可能に構成されている。
したがって、この電圧センサ1Bによれば、組立てに際して、ストッパ6の周方向における一端部および他端部の間の隙間を凸部11cが通過するように保持部本体11に対してストッパ6を相対的に移動させてストッパ6を電極保持部3(保持部本体11)における凸部11cよりも基端部側に位置させ、その後に、凸部11cに対して電極保持部3(保持部本体11)の筒長方向にストッパ6の隙間が存在しない状態となるようにストッパ6を回動させた状態で、電線挿入部4に電極保持部3を挿入してストッパ6を電線挿入部4内に固定することで、ストッパ6を確実かつ容易に電線挿入部4内に固定することができると共に、電極保持部3に対して電線挿入部4を「離間方向」へ相対的に移動させた際に凸部11cをストッパ6に対して確実に当接させて電極保持部3および電線挿入部4の意図しない分離を確実に回避することができる。
なお、電線挿入部4に固定した状態において周方向の両端間に隙間が生じるようにC字状に形成したストッパ6を備えた電圧センサ1Bを例に挙げて説明したが、「第4部材」の形状はこれに限定されない。例えば、その内径が「電極保持部」の外径と同程度で、その外径が「電線挿入部」の内径と同程度の一対の半環状の部材によって構成した「第4部材」を備えて構成することができる。また、周方向で連続する1つの環状体で構成した「第4部材」を備えて構成することができる。この場合、1つの環状体で構成した「第4部材」を採用する場合には、その内周部に「部材当接用凸部」の通過が可能な凹部を設けることで、前述した電圧センサ1Bと同様に、組立てに際して「第4部材」を「電極保持部」に装着した状態で「電極保持部」と共に「電線挿入部」に挿入することで「電線挿入部」に「第4部材」を固定することが可能となる。
また、電極保持部3に凸部11cを1つだけ設けた電圧センサ1Bを例に挙げて説明したが、「電極保持部」に周方向に沿って複数の「部材当接用凸部」を設けることもできる。このような構成を採用した場合には、前述のように、一対の半環状の部材によって構成した「第4部材」を採用したり、「部材当接用凸部」の通過が可能な複数の凹部を内周部に設けた1つの環状体で構成した「第4部材」を採用したりすることにより、前述した電圧センサ1Bと同様に、組立てに際して「第4部材」を「電極保持部」に装着した状態で「電極保持部」と共に「電線挿入部」に挿入することで「電線挿入部」に「第4部材」を固定することが可能となる。
また、「電線挿入部」に対する「第4部材」の固定方法は、電線挿入部4に対するストッパ6の固定方法のような圧入に限定されず、接着やネジ止め等の各種の固定方法で「電線挿入部」に対して「第4部材」を固定することができる。また、電線挿入部4に対する電極保持部3の回動を規制可能にスリット32cに嵌合させられる凸部11cを「部材当接用凸部」として備えた構成を例に挙げて説明したが、「部材当接用凸部」としての機能以外の機能を備えない専用の凸部を「部材当接用凸部」として「電極保持部」に設けることもできる。
さらに、切欠き32aの内縁部および対向面S4に電線接触部Pxを設けた電線挿入部4,4Aを備えて電圧センサ1,1A,1Bを例に挙げて説明したが、このような「電線接触部」が存在しない「電線挿入部」を備えて構成することもできる。また、内周面に雌ネジ32bを形成した電線挿入部4,4Aに対して、外周面に雄ネジ13aが形成された筒状部13,43(電極保持部3,3A)を挿入する構成の電圧センサ1,1A,1Bを例に挙げて説明したが、内周面に雌ネジを形成した「第2部材(電極保持部)」に対して、外周面に雄ネジを形成した「電線挿入部」を挿入するように「センサ」を構成することもできる(図示せず)。
さらに、被覆電線Xの電圧を「被検出量」として検出する際に使用可能な電圧センサ1,1A,1Bの構成を例に挙げて説明したが、電圧以外の任意の電気的パラメータを「被検出量」として検出可能な「センサ」において電圧センサ1,1A,1B等と同様の構成を採用することもできる(図示せず)。