JP2019104833A - 水系塗料組成物、フィルムおよびフィルムの製造方法 - Google Patents
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(1)変性セルロースナノファイバーと、多価アミンと、水系溶媒とを含む水系塗料組成物であって、前記変性セルロースナノファイバー中の水酸基の一部が、酸化または置換反応により変性されており、変性により導入された置換基が、式(1):
−COO-N+R1R2R3H (1)
(式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれHまたはモノアミンを構成する置換基である。)であらわされる構造を含む、水系塗料組成物。
(2)前記水系塗料組成物において、前記変性セルロースナノファイバーの配合量が0.5〜30質量%であって、前記変性セルロースナノファイバーの前記変性により導入された置換基の置換基量に対し、前記多価アミンの配合割合が10〜70%mol等量である(1)に記載の水系塗料組成物。
(3)前記変性セルロースナノファイバーは酸化セルロースナノファイバーを含み、前記酸化セルロースナノファイバーのカルボキシル基量が0.6〜2.2mmol/gである、(1)または(2)に記載の水系塗料組成物。
(4)前記変性セルロースナノファイバーはカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含み、前記カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのグルコース単位あたりのカルボキシメチル置換度が、0.01〜0.50である、(1)または(2)に記載の水系塗料組成物。
(5)さらにバインダー成分を含む、(1)〜(4)の何れかに記載の水系塗料組成物。
(6)さらに防腐剤を含む、(1)〜(5)の何れかに記載の水系塗料組成物。
(7)さらにレオロジーコントロール剤を含む、(1)〜(6)の何れかに記載の水系塗料組成物。
(8)(1)〜(7)の何れかに記載の水系塗料組成物を用いた1液型の水系塗料組成物。
(9)(1)〜(7)の何れかに記載の水系塗料組成物に含まれる成分の内、前記変性セルロースナノファイバーと、前記多価アミンとを別にした2液型の水系塗料組成物。
(10)(1)〜(9)の何れかに記載の水系塗料組成物を含有するフィルム。
(11)(1)〜(9)の何れかに記載の水系塗料組成物を得る混合工程と、前記混合工程にて得られた水系塗料組成物を支持体に塗布する塗布工程と、前記塗布工程にて得られた前記水系塗料組成物が塗布された前記支持体を、加熱することにより乾燥して、前記支持体上に前記水系塗料組成物由来の塗膜を形成する塗膜形成工程と、を含むフィルムの製造方法であって、前記変性セルロースナノファイバー中の水酸基の一部が、酸化または置換反応により変性されており、変性により導入された置換基が、式(1):
−COO-N+R1R2R3H (1)
(式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれHまたはモノアミンを構成する置換基である。)であらわされる構造を含む、フィルムの製造方法。
(12)前記支持体がフィルム状の基材であり、前記塗膜形成工程において前記支持体上に前記塗膜を形成し塗工フィルムを製造する(11)に記載のフィルムの製造方法。
(13)前記支持体上に形成された前記塗膜を前記支持体から剥離する工程をさらに含み、前記支持体から剥離された前記塗膜からなる自立フィルムを製造する(11)に記載のフィルムの製造方法。
−COO-N+R1R2R3H (1)
(式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれHまたはモノアミンを構成する置換基である。)であらわされる構造を含む。
本発明に用いる変性セルロースナノファイバーは、水酸基の一部が酸化または置換反応により変性されており、変性により導入された置換基に含まれるカルボキシル基がアンモニアなどのモノアミンと酸塩基反応を起こしてモノアミン塩を形成している。
本発明に用いる変性セルロースナノファイバーの平均繊維径は、2〜200nmであることが好ましく、4〜100nm程度であることがより好ましい。本発明に用いる変性セルロースナノファイバーの平均繊維長は、40〜2,000nm以下であることが好ましく、100〜1,000nm程度であることがより好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。
本発明に用いる変性セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常は10以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
カルボキシル基含有変性セルロースの製造方法は特に限定されないが、例えば、セルロース原料を変性するとともにカルボキシル基、又はカルボキシル基を含む置換基を導入することができる変性方法が挙げられる。斯かる変性方法は特に限定されないが、例えば、酸化、エーテル化、エステル化などが挙げられる。中でも酸化、カルボキシメチル化が好ましい。
セルロース原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)広葉樹未漂白サルファイトパルプ(LUSP)、広葉樹漂白サルファイトパルプ(LBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば、酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかであってもよいし2以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
酸化の方法は特に限定されないが、1つの例としては、N−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基と、カルボキシル基及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース又は酸化セルロースナノファイバー〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース又は酸化セルロースナノファイバーの質量〔g〕
カルボキシメチル化の方法は、特に限定されないが、例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。溶媒としては例えば、水、アルコール(例えば低級アルコール)及びこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノールが挙げられる。混合溶媒における低級アルコールの混合割合は、通常は60質量%以上又は95質量%以下であり、60〜95質量%であることが好ましい。溶媒の量は、セルロース原料に対し通常は3質量倍である。上限は特に限定されないが20質量倍であることが好ましい。従って、溶媒の量は3〜20質量倍であることが好ましい。
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
水分子の進入による膨潤を抑えるためには、カルボキシル基含有変性セルロース表面のカルボキシル基の対イオンの親水性を抑制することが必要となる。対イオンがNaの場合、水分子の進入により膨潤しやすい。そのため、極力Naの量は少ないほうが好ましい。
次に、カルボキシル基含有変性セルロースを微細化する工程について説明する。
酸洗したカルボキシル基含有変性セルロースを微細化する方法としては、まず、カルボキシル基含有変性セルロースを分散媒としての水に浸漬してからアルカリでpHの値を7以上12以下に調整する必要がある。このとき、アルカリとしてアンモニアなどのモノアミンを使用することで、カルボキシル基含有変性セルロース繊維に含まれる少なくとも一部のカルボキシル基が、モノアミンとイオン結合する。pHの値が7より低い値の場合、電気的な反発が起き難く、溶液は不透明である。pHの値を7以上12以下に調整して微細化すると、カルボキシル基の静電気的な反発からカルボキシル基含有セルロースがナノオーダーまで解繊され、溶液の透明性が上昇する。
カルボキシル基含有変性セルロースをモノアミンで処理する場合におけるモノアミンの種類は特に限定されるわけではないが、水系塗料組成物を加熱して水とモノアミンを系外に揮発させる工程を考慮すると、沸点が110℃以下のモノアミンが好ましい。モノアミンとしては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N−エチルメチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−アミルアミン、N−メチルペントリルアミン、イソアミルアミン、ネオペンチルアミン等があげられ、炭素数5以下のモノアルキルアミン、炭素数3以下のジアルキルアミン、炭素数2以下のトリアルキルアミンを用いることがより好ましい。
本発明に用いる多価アミンの種類は特に限定されるわけではないが、2価〜6価のアミンが好ましい。2価アミンとしては、1,2−エチレンジアミン(以下、「1,2−エタンジアミン」ということがある)、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン(以下、「テトラメチレンジアミン」ということがある)、1,5−ペンタンジアミン(以下、「ペンタメチレンジアミン」ということがある)、1,6−ヘキサンジアミン(以下、「ヘキサメチレンジアミン」ということがある)、1,7−ヘプタンジアミン(以下、「ヘプタメチレンジアミン」ということがある)、1,8−オクタンジアミン(以下、「オクタメチレンジアミン」ということがある)、1,9−ノナンジアミン(以下、「ノナメチレンジアミン」ということがある)、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン、α,ω-ポリエーテルジアミン等があげられ、3価アミンとしては、トリス(2−アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン(「2,2’−ジアミノジエチルアミン」ということがある)、4価アミンとしては、トリエチレンテトラミン(「N,N’−ジ(2-アミノエチル)エチレンジアミン」ということがある。)、5価アミンとしては、テトラエチレンペンタミン(「1,4,7,10−ペンタアザトリデカン」ということがある)、6価アミンとしては、ペンタエチレンヘキサミン(「1,4,7,10,13,16−ヘキサアザヘキサデカン」ということがある)等があげられる。分子鎖の長さの観点から、1,4-ブタンジアミンのような両末端アミノ基間のC,O,Nからなる分子鎖長4以上のアミンが好ましく、1,6−ヘキサンジアミンのような6以上のアミンがより好ましく用いられる。
水系溶媒の種類は特に限定されるわけではないが、水、水溶性有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒であることが好ましい。変性セルロースの分散性を考慮すると、水系溶媒としては水、または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が好ましい。水系溶媒が水である場合は、前述のとおりに調製した変性セルロースナノファイバーの水分散液をそのまま用いることができる。あるいは当該水分散液にろ過処理等を行い濃縮された水分散液としてもよい。
本発明の水系塗料組成物に含まれる変性セルロースナノファイバーは、バインダーとしての機能を有するが、本発明の水系塗料組成物には、変性セルロースナノファイバー以外のバインダー成分を含んでいても良い。本発明において、必要に応じて用いられるバインダー成分の種類は特に限定されるわけではないが、例えば、水溶性の樹脂、ディスパージョン、エマルション、ミクロゲル等の形態を有する樹脂が使用できる。さらに具体的に上記水溶性の樹脂を例示すると、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。水溶性の樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂を用いることが好ましい。
なお、本発明の水系塗料組成物には、上記変性セルロースナノファイバー、多価アミン、水系溶媒、および必要に応じて用いられるバインダー成分とともに、防腐剤を用いてもよい。
本発明の水系塗料組成物は、レオロジーコントロール剤を含有してもよい。レオロジーコントロール剤は、粘性を上昇させたり下降させたりするときに用いられたり、表面エネルギーを下げて、基材への濡れ性付与、接着性付与、表面に平滑性を付与する役割がある。
本発明の水系塗料組成物における各成分の配合割合は特に限定はされないが、変性セルロースナノファイバー配合量を100質量%としたときに、バインダー成分の配合割合は、バリア性の観点から、好ましくは0〜100質量%、より好ましくは0〜55質量%であり、また、水系塗料組成物の全体を100質量%としたときに、変性セルロースナノファイバーの配合量は、変性セルロースナノファイバーの分散安定性の観点から、0.5〜30質量%が好ましい。
本発明の水系塗料組成物は、結合剤組成物(水系結合剤組成物)である。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)1.95g(絶乾1gのセルロースに対し0.025mmol)と臭化ナトリウム51.4g(絶乾1gのセルロースに対し1mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物に塩酸を添加し、pHを2.4にした後、ガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(酸化(カルボキシル化)セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。
パルプを混ぜることができる撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙製)を乾燥質量で253g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で56.3g(パルプのグルコース残基当たり0.9倍モル)加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分間撹拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを127g(パルプのグルコース残基当たり0.7倍モル)添加した。30分間撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。
pH調整に使用する薬品をアンモニアから表1に示すモノアミンに変更した以外は、製造例1と同様にしてセルロースナノファイバー3〜22(CNF3〜22)の水分散液を得た。
pH調整に使用する薬品をアンモニアから水酸化ナトリウムに変更した以外は、製造例1と同様にしてセルロースナノファイバー23(CNF23)の水分散液を得た。
〔実施例1〕
製造例1で作製したセルロースナノファイバー1を固形分換算値で1質量部、ヘキサメチレンジアミンを固形分換算値で0.1部添加し、最終組成物における溶媒の成分比が2−プロパノール/水=30/70になるように2−プロパノールと水を加え、全体を100質量部とした。次に、ホモミキサーを用いて、12000rpmで15分間混合して、水系塗料組成物を得た。
セルロースナノファイバー1をセルロースナノファイバー2〜18に変更した以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
ヘキサメチレンジアミンを表2に示す多価アミンとそれぞれの添加量に変更した以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
ヘキサメチレンジアミンを加えなかった以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
セルロースナノファイバー1を、セルロースナノファイバー23に変更した以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
セルロースナノファイバー1を、セルロースナノファイバー19〜22に変更した以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
ヘキサメチレンジアミン0.1部添加を、1,2−エタンジアミン0.05部添加に変更した以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
ヘキサメチレンジアミン0.1部添加を、ピペリジン0.07部添加に変更した以外は、実施例1と同様にして水系塗料組成物を得た。
セルロースナノファイバー1を固形分換算値で1質量部、ヘキサメチレンジアミンを固形分換算値で0.1質量部、防腐剤:メチルパラベンを0.005質量部、ウレタン会合型レオロジーコントロール剤アデカノールUH-420((株)ADEKA製、有効成分量:30%)を有効成分換算値で0.1部、さらに水系ウレタン樹脂エマルション(有効成分量40%)を固形分換算値で0.43質量部を計量し、最終組成物における溶媒の成分比が2−プロパノール/水=30/70になるように2−プロパノールと水を加え、全体を100質量部とした。次に、ホモミキサーを用いて、12000rpmで15分間混合して、水系塗料組成物を得た。
水系ウレタン樹脂エマルションを1.0部にした以外は、実施例32と同様にして水系塗料組成物を得た。
着色剤である酸化チタン15質量部並びに炭酸カルシウム7質量部、及び水(顔料分散用)20質量部を計量し、ビーズミルで分散処理をして、52.4%質量濃度の顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液0.15質量部に、セルロースナノファイバー1を固形分換算値で1質量部、ヘキサメチレンジアミンを固形分換算値で0.1質量部、防腐剤:メチルパラベンを0.005質量部、ウレタン会合型レオロジーコントロール剤アデカノールUH−420((株)ADEKA製、有効成分量:30%)を有効成分換算値で0.1部、最終組成物における溶媒の成分比が2−プロパノール/水=30/70になるように2−プロパノールと水を加え、全体を100質量部とした。次に、ホモミキサーを用いて、12000rpmで15分間混合して、水系塗料組成物を得た。
実施例34で得られた顔料分散液を0.18部加えた以外は実施例32と同様にして水系塗料組成物を得た。
水系ウレタン樹脂エマルションを固形分換算値で1.5質量部、防腐剤メチルパラベンを0.0005部、ウレタン会合型レオロジーコントロール剤アデカノールUH−420((株)ADEKA製、有効成分量:30%)を有効成分換算値で0.1部にした以外は、実施例32と同様にして水系塗料組成物を得た。
水系ウレタン樹脂エマルションを固形分換算値で10質量部、ウレタン会合型レオロジーコントロール剤アデカノールUH−420((株)ADEKA製、有効成分量:30%)を有効成分換算値で0.37部にした以外は、比較例9と同様にして水系塗料組成物を得た。
実施例1〜35および比較例1〜10で作製した水系塗料組成物を、コロナ放電処理した25μm厚PETフィルムに、乾燥後の膜厚が1.0μmになるようにバーコーターを用いて塗布した後、120℃で30分間乾燥して塗工フィルムの試験片を得た。表2および表3に塗工フィルムの評価結果を示す。
実施例1〜2および比較例2で作製した水系塗料組成物を、バーコーターを用いてPETフィルムに塗工した後、120℃で30分間乾燥し、基材PETフィルムからはがして自立フィルムを得た。表4に自立フィルムの評価結果を示す。
各実施例および各比較例にて得られた塗工フィルムおよび自立フィルムを25℃の水中に10日間浸漬した後、塗膜の状態を下記の判定基準に従い目視で判定した。
○:塗膜の剥がれや膨れがみとめられない。
△:一部に塗膜の剥がれや膨れがみとめられる。
×:全体に塗膜の剥がれや膨れがみとめられる。
各実施例および各比較例にて得られた塗工フィルムおよび自立フィルムの塗膜上にろ紙を2枚並べて置き、各ろ紙上にスポイトで78%エタノールとトルエンをそれぞれ滴下してろ紙を湿らせた。このスポイトによる滴下を1時間間隔で5回行い、その後2時間経過後にろ紙を除いた表面を目視により、下記の基準で評価した。
○:膨れや剥がれなどの異常が殆どなく問題にならないレベル
△:目視で軽度な膨れや剥がれなどの異常が見つかる
×: 塗膜が溶けてしまう
各実施例および各比較例にて得られた塗工フィルムおよび自立フィルムについて、高湿度条件での酸素透過度を測定した。酸素透過度は、MOCON社製OX−TRAN2/21を使用し、23℃−85%RH条件にて測定した。
Claims (13)
- 変性セルロースナノファイバーと、多価アミンと、水系溶媒とを含む水系塗料組成物であって、前記変性セルロースナノファイバー中の水酸基の一部が、酸化または置換反応により変性されており、変性により導入された置換基が、式(1):
−COO-N+R1R2R3H (1)
(式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれHまたはモノアミンを構成する置換基である。)であらわされる構造を含む、水系塗料組成物。 - 前記水系塗料組成物において、前記変性セルロースナノファイバーの配合量が0.5〜30質量%であって、前記変性セルロースナノファイバーの前記変性により導入された置換基の置換基量に対し、前記多価アミンの配合割合が10〜70%mol等量である請求項1に記載の水系塗料組成物。
- 前記変性セルロースナノファイバーは酸化セルロースナノファイバーを含み、前記酸化セルロースナノファイバーのカルボキシル基量が0.6〜2.2mmol/gである、請求項1または2に記載の水系塗料組成物。
- 前記変性セルロースナノファイバーはカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含み、前記カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのグルコース単位あたりのカルボキシメチル置換度が、0.01〜0.50である、請求項1または2に記載の水系塗料組成物。
- さらにバインダー成分を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の水系塗料組成物。
- さらに防腐剤を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の水系塗料組成物。
- さらにレオロジーコントロール剤を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の水系塗料組成物。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の水系塗料組成物を用いた1液型の水系塗料組成物。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の水系塗料組成物に含まれる成分の内、前記変性セルロースナノファイバーと、前記多価アミンとを別にした2液型の水系塗料組成物。
- 請求項1〜9の何れか一項に記載の水系塗料組成物を含有するフィルム。
- 前記(1)〜(9)の何れか一項に記載の水系塗料組成物を得る混合工程と、
前記混合工程にて得られた水系塗料組成物を支持体に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程にて得られた前記水系塗料組成物が塗布された前記支持体を、加熱することにより乾燥して、前記支持体上に前記水系塗料組成物由来の塗膜を形成する塗膜形成工程と、を含むフィルムの製造方法であって、
前記変性セルロースナノファイバー中の水酸基の一部が、酸化または置換反応により変性されており、変性により導入された置換基が、式(1):
−COO-N+R1R2R3H (1)
(式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれHまたはモノアミンを構成する置換基である。)であらわされる構造を含む、フィルムの製造方法。 - 前記支持体がフィルム状の基材であり、前記塗膜形成工程において前記支持体上に前記塗膜を形成し塗工フィルムを製造する請求項11に記載のフィルムの製造方法。
- 前記支持体上に形成された前記塗膜を前記支持体から剥離する工程をさらに含み、前記支持体から剥離された前記塗膜からなる自立フィルムを製造する請求項11に記載のフィルムの製造方法。
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