JP2019102347A - 触媒層、空気極、金属空気電池及び触媒層の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本実施形態の触媒層2について、更に説明する。触媒層2は、結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有する。
結着剤は、触媒層2の形状を保つ目的で、触媒層2に含有される。結着剤は、PTFEを含む。PTFEは、繊維形状を有する。繊維形状を有するPTFEの繊維径の数平均値は、100nm以下である。PTFEの繊維径の数平均値が100nm以下であると、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2を撥水層4にしっかりと密着させることができる。これにより、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。触媒層2と撥水層4との密着性を高めるためには、PTFEの繊維径の数平均値が、90nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、45nm以下であることが一層好ましく、43nm以下であることが特に好ましい。一方、触媒層2の形状を保つためには、PTFEの繊維径の数平均値は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましく、40nm以上であることが一層好ましい。
触媒粒子は、酸素還元反応に対する触媒活性を有する。触媒粒子の表面において、酸素還元反応が進行する。触媒粒子の材料としては、例えば、金属酸化物及び銀が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化マンガン(具体的には、MnO2、及びMn3O4等)及びペロブスカイト型金属酸化物が挙げられる。触媒粒子の表面は、導電剤により覆われていてもよい。また、触媒粒子の表面が、導電剤により構成される多孔質層で覆われていてもよい。触媒粒子の表面が導電剤により覆われていることで、酸素還元反応が進行する触媒粒子の表面に、速やかに電子を供給することができる。触媒粒子の体積中位径D50は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。触媒粒子の体積中位径D50がこのような範囲内であると、触媒粒子の表面を導電剤で容易に覆うことができる。
導電剤は、集電体3と触媒粒子の表面とを電気的に接続し、酸素還元反応に必要な電子を触媒粒子の表面に供給する。導電剤は、例えば、炭素粒子である。導電剤の材料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、活性炭、及びグラファイトが挙げられる。導電剤の体積中位径D50は、10nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。導電剤の体積中位径D50がこのような範囲内であると、触媒層2内で、導電剤が効率的に導電経路を形成する傾向がある。
空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度(HIT)は、6.00N/mm2以下であることが好ましく、5.00N/mm2以下であることがより好ましく、2.00N/mm2以下であることが更に好ましく、1.80N/mm2以下であることが特に好ましい。空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度が6.00N/mm2以下であると、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2と撥水層4とをしっかりと密着させることができる。その結果、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。一方、空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度は、特に限定されないが、例えば、1.00N/mm2以上とすることができる。
以下、触媒層2の製造方法の一例を説明する。触媒層2の製造方法は、例えば、混練工程、及び成形工程を含む。
次に、空気極10を説明する。空気極10の概要は、図1を参照して、既に述べたとおりである。空気極10は、本実施形態の触媒層2と、撥水層4と、集電体3とを備える。以下、撥水層4、及び集電体3について説明する。なお、触媒層2については、既に述べたとおりである。
撥水層4は、漏液を防止するために備えられる。撥水層4は、空気を通過させる孔を有し、この孔の内壁は撥水性を有する。このため、水はこの孔にほとんど侵入しないが、空気はこの孔を通過することができる。撥水層4は、多孔質層であることが好ましく、フッ素樹脂の多孔質層であることがより好ましく、PTFEの多孔質層であることが更に好ましい。撥水層4は、焼成膜であってもよく、未焼成膜であってもよい。未焼成膜は、撥水層4の原料の混練物を焼成することなく、自然乾燥させることにより得られる。撥水層4は、2層又は3層以上の多層構造を有していてもよい。
集電体3は、気体である酸素ガスと、液体である水と、固体である触媒粒子との三相界面(例えば、触媒粒子の表面)に、電子を供給する。集電体3は、水を通過させる孔を有しており、多孔質である。集電体3の厚さは、100μm以上600μm以下であることが好ましい。
以下、図5を参照しながら、空気極10の製造方法の一例を説明する。空気極10の製造方法は、例えば、プレス工程を含む。プレス工程において、撥水層4と触媒層2との間に集電体3を配置した積層体12に、圧力を付与(プレス)することにより、空気極10(図1参照)が得られる。積層体12の表面に対して垂直方向(図5中の矢符方向)に圧力を付与しながら、積層体12をプレスする。これにより、撥水層4と集電体3と触媒層2とが好適に接合して、一体化した空気極10が得られる。
次に、金属空気電池20を説明する。金属空気電池20の概要は、図2を参照して、既に述べたとおりである。金属空気電池20は、空気極10と、金属極13と、電解質14とを備える。空気極10は、本実施形態の触媒層2を備える。金属空気電池20は、金属極13を負極(アノード)とし、空気極10を正極(カソード)とする電池である。金属空気電池20は、例えば、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池、マグネシウム空気電池、アルミニウム空気電池、又は鉄空気電池である。金属極13の材料としては、例えば、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び鉄が挙げられる。電解質14としては、電解液が好ましく、水酸化カリウム水溶液がより好ましい。金属空気電池20は、公知の方法により組み立てることができる。以上、金属空気電池20について説明した。
(触媒層(A−1)の作製)
触媒としての二酸化マンガン(中央電気工業株式会社製「CMD−K200」)1.0質量部と、導電剤としてのカーボンブラック1.5質量部とを、ボールミルを用いて、一晩混合した。ボールミルには、直径4mmのジルコニアボールを使用した。加圧ニーダーの容器に、得られた混合物(詳しくは、二酸化マンガン及びカーボンブラックの混合物)と、結着剤としてのPTFE(ダイキン工業株式会社製「ポリフロン PTFE D−210C」、PTFE分散液、分散媒:水、固形分濃度:60wt%、PTFEの溶融粘度:1×1011P、PTFEの数平均分子量:5.0×106、PTFEの形状:粒子状)と、水とを加えた。PTFE分散液の添加量は、容器内の全固形分の質量に対するPTFEの含有率が25wt%となるような量であった。水の添加量は、容器内の全固形分の濃度が50wt%となるような量であった。加圧ニーダーを用いて、混練温度15℃で、容器の内容物を混練して、混練物を得た。ロール圧延機を用いて、混練物をシート状に成形して、乾燥させた。これにより、触媒層(A−1)を得た。
15℃から表1に示す温度に混練温度を変更した以外は、触媒層(A−1)の作製と同じ方法で、触媒層(A−2)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−3)の各々を得た。例えば、触媒層(A−2)の混練温度は、表1に示す18℃であった。
次の点を変更した以外は、触媒層(A−1)の作製と同じ方法で、触媒層(B−4)を得た。触媒層(A−1)の作製におけるPTFEを、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合体(FEP、三井・デュポン・フロロケミカル株式会社製「テフロン(登録商標)FEP 120−JRB」、分散媒:水、固形分濃度:54wt%、FEPの形状:粒子状)に変更した。なお、FEP分散液の添加量は、容器内の全固形分の質量に対するFEPの含有率が25wt%となるような量であった。また、触媒層(A−1)の作製における15℃の混練温度を、260℃に変更した。260℃未満の混練温度では、FEPが結着しないからである。
次の点を変更した以外は、触媒層(A−1)の作製と同じ方法で、触媒層(B−5)を得た。触媒層(A−1)の作製におけるPTFEを、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA、三井・デュポン・フロロケミカル株式会社製「テフロン(登録商標)PFA 920HP」、分散媒:水、固形分濃度:60wt%、PFAの形状:粒子状)に変更した。なお、PFA分散液の添加量は、容器内の全固形分の質量に対するPFAの含有率が25wt%となるような量であった。また、触媒層(A−1)の作製における15℃の混練温度を、300℃に変更した。300℃未満の混練温度では、PFAが結着しないからである。
PTFE(ダイキン工業株式会社製「ポリフロンPTFE F−104」、粉体)2質量部と、エタノール1質量部とを混練して、混練物を得た。ロール圧延機を用いて、混練物を圧延した後、1軸延伸した。これにより、シート状のPTFEを得た。シート状のPTFEを自然乾燥させて、撥水層を得た。
図5を再び参照して、空気極の作製方法を説明する。図5に示すように、積層体12は、触媒層2と集電体3と撥水層4とを備えていた。触媒層2の上に、集電体3を配置した。集電体3の上に、撥水層4を配置した。触媒層2として、上記<触媒層の作製>で得られた触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の何れかを使用した。集電体3として、ニッケルメッシュ(ワイヤー径:250μm、開口部の1辺の長さ:1mm、20メッシュ)を使用した。撥水層4として、上記<撥水層の作製>で得られた撥水層を使用した。積層体12の表面に対して垂直方向(図5中の矢符方向)に、圧力を付与(プレス)することで、撥水層4と集電体3と触媒層2とを一体化して、空気極10(図1参照)を得た。プレスの条件は、プレス圧が2.15kN/cm2であり、プレス時間が2分間であり、プレス温度が25℃であった。得られた空気極10の触媒層2の厚さは500μmであり、撥水層4の厚さは200μmであった。
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「電界放出形走査電子顕微鏡 S−4800」)を用いて、1万倍の倍率で、触媒層(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の各々)を観察し、PTFEの形状を確認した。なお、SEMによる観察は、上記<触媒層の作製>の後、上記<空気極の作製>の前に行った。各触媒層中のPTFEの形状を、表1に示す。
上記<触媒層の作製>の後、上記<空気極の作製>の前に、触媒層(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の各々)の塑性硬度(HIT)を測定した。塑性硬度は、フィッシャー・インストルメンツ製「FISCHERSCOPE(登録商標) HM2000」を用いて測定した。測定された触媒層の塑性硬度は、空気極作成においてプレスされる前の触媒層の塑性硬度である。プレスされる前の触媒層の塑性硬度を、表1の触媒層塑性硬度(プレス前)の欄に示す。
上記<空気極の作製>の後に、空気極に備えられた触媒層(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の各々)の塑性硬度(HIT)を測定した。塑性硬度は、フィッシャー・インストルメンツ製「FISCHERSCOPE(登録商標) HM2000」を用いて測定した。測定された触媒層の塑性硬度は、空気極作成においてプレスされた後の触媒層の塑性硬度である。プレスされた後の触媒層の塑性硬度を、表1の触媒層塑性硬度(プレス後)の欄に示す。
図6を参照して、触媒層と撥水層との密着性の評価方法を説明する。図6に示すように、空気極10は、触媒層2(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の何れか)と、集電体3と、撥水層4とを備えていた。空気極10の一端において、集電体3及び触媒層2から、撥水層4を剥がした。剥がした側の集電体3及び触媒層2の一端を固定したまま、撥水層4の一端を引っ張り、撥水層4を剥がし切るまでの最大張力(180°剥離強度、単位:N)を測定した。測定に使用した空気極10のサンプルの幅は55mmであり、長さは55mmであった。また、引張り速度は2mm/秒であった。剥離強度の測定結果を、表2に示す。剥離強度が大きいほど、触媒層2と撥水層4との密着性が高いことを示す。
図2に示すような金属空気電池20を作製して、電気特性の評価を行った。以下、図2を再び参照して、金属空気電池20について説明する。金属空気電池20は、空気極10と、金属極13と、電解質14とを備えていた。空気極10(正極)として、上記<空気極の作製>で得られた空気極(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の何れかを備える空気極)を使用した。金属極13(負極)として、亜鉛板を使用した。電解質14として、7Mの水酸化カリウム水溶液を使用した。
3、31 :集電体
4 :撥水層
10、11:空気極
12 :積層体
13 :金属極
14 :電解質
20 :金属空気電池
Claims (10)
- ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有し、
前記ポリテトラフルオロエチレンは、繊維形状を有し、
前記ポリテトラフルオロエチレンの繊維径の数平均値は、100nm以下である、触媒層。 - 前記ポリテトラフルオロエチレンの繊維径の標準偏差は、65未満である、請求項1に記載の触媒層。
- 前記触媒層の表面積1μm2あたりに、2.0本以上の前記ポリテトラフルオロエチレンが存在する、請求項1又は2に記載の触媒層。
- 前記触媒層の塑性硬度は、6.00N/mm2以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の触媒層。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の触媒層と、撥水層と、前記触媒層と前記撥水層との間に配置される集電体とを備える、空気極。
- 前記触媒層の塑性硬度は、20.00N/mm2以下である、請求項5に記載の空気極。
- 請求項5又は6に記載の空気極と、金属極と、電解質とを備える、金属空気電池。
- ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と触媒粒子と導電剤とを混練することにより、繊維径の数平均値が100nm以下である繊維形状となるように、前記ポリテトラフルオロエチレンを変形させる工程を含む、触媒層の製造方法。
- 前記結着剤と前記触媒粒子と前記導電剤とを混練する温度は、20℃以下である、請求項8に記載の触媒層の製造方法。
- 混練する前の前記ポリテトラフルオロエチレンの380℃における溶融粘度は、1×1010P以上である、請求項8又は9に記載の触媒層の製造方法。
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CN111933954A (zh) * | 2020-08-07 | 2020-11-13 | 中科院过程工程研究所南京绿色制造产业创新研究院 | 一种空气电极及其制备方法和空气电池 |
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