JP2019102347A - 触媒層、空気極、金属空気電池及び触媒層の製造方法 - Google Patents

触媒層、空気極、金属空気電池及び触媒層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力が低下することを抑制できる触媒層、及び触媒層の製造方法を提供する。【解決手段】触媒層は、ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有する。ポリテトラフルオロエチレンは、繊維形状を有する。ポリテトラフルオロエチレンの繊維径の数平均値は、100nm以下である。また、触媒層の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを混練することにより、繊維径の数平均値が100nm以下である繊維形状となるように、ポリテトラフルオロエチレンを変形する工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒層、空気極、金属空気電池及び触媒層の製造方法に関する。
金属空気電池は、電池の正極作用物質として、空気中の酸素を使用する。特許文献1に記載の金属空気電池の正極ケース内には、撥水層、触媒層、及び集電体層を有する空気極が収納されている。酸素の供給を効率的に行うために、この正極ケースは、底面に多数の空気孔を有している。
特開2003−151647号公報
しかし、特許文献1に記載の金属空気電池において、撥水層と触媒層とが剥離して、撥水層と触媒層との界面にすき間が生じることがある。このようなすき間が生じると、触媒層内に浸透してきた電解液がすき間に溜まり、電解液層が形成されて、触媒層への空気の供給量が減少する。触媒層への空気の供給量が減少すると、金属空気電池の出力が低下する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力低下を抑制できる触媒層を提供することである。また、本発明の別の目的は、このような触媒層を備える空気極、及び金属空気電池を提供することである。また、本発明の別の目的は、金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力低下を抑制できる触媒層の製造方法を提供することである。
本発明の触媒層は、ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有する。前記ポリテトラフルオロエチレンは、繊維形状を有する。前記ポリテトラフルオロエチレンの繊維径の数平均値は、100nm以下である。
本発明の空気極は、上記触媒層と、撥水層と、前記触媒層と前記撥水層との間に配置される集電体とを備える。
本発明の金属空気電池は、上記空気極と、金属極と、電解質とを備える。
本発明の触媒層の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と触媒粒子と導電剤とを混練することにより、繊維径の数平均値が100nm以下である繊維形状となるように、前記ポリテトラフルオロエチレンを変形させる工程を含む。
本発明の触媒層は、金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力低下を抑制することができる。また、本発明の空気極、及び金属空気電池は、このような触媒層を備えることで、金属空気電池の出力低下を抑制することができる。また、本発明の触媒層の製造方法によれば、金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力低下を抑制できる触媒層を製造することができる。
空気極の概略断面図であり、この空気極は本発明の一実施形態の触媒層を備える。 金属空気電池の概略断面図であり、この金属空気電池は本発明の一実施形態の触媒層を備える。 (a)は、本発明の一実施形態の触媒層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真図である。(b)は、(a)で示すSEM写真を用いて、ポリテトラフルオロエチレンの繊維径を測定する方法を説明する図である。 空気極の概略断面図であり、この空気極は本発明の一実施形態の触媒層を備える。 空気極の製造方法を説明する図であり、この空気極は本発明の一実施形態の触媒層を備える。 触媒層と撥水層との密着性の評価方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されない。また、図面を参照しながら本実施形態を説明するが、図面は例示であって、本発明は図面で示す範囲に何ら限定されない。冗長を避けるために、図中の同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。以下、粉体(例えば、触媒粒子、及び導電剤)の体積中位径D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折散乱法に基づき測定された値である。また、「wt%」は、質量%を意味する。
本実施形態は、触媒層に関する。本実施形態の触媒層は、金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力低下を抑制することができる。
理解を容易にするために、本実施形態の触媒層の説明に先立ち、図1及び図2を参照して、空気極10及び金属空気電池20について説明する。図1は、空気極10の概略断面図である。空気極10は、本実施形態の触媒層2と、撥水層4と、集電体3とを備える。集電体3は、触媒層2と撥水層4との間に配置される。空気極10は、酸素ガスを電極活物質とする。図2は、金属空気電池20の概略断面図である。金属空気電池20は、本実施形態の触媒層2を備える空気極10と、金属極13と、電解質14(例えば、電解液)とを備える。図2に示すように、空気極10の触媒層2は、金属極13に対向して配置される。金属極13は、電解質14内に配置される。空気極10の触媒層2は、電解質14と接している。空気極10の撥水層4は、空気と接している。金属極13側から触媒層2に、水を含む電解質14が浸み込む。撥水層4側から触媒層2に、酸素ガスを含む空気が供給される。この結果、空気極10の触媒層2において、電極反応(酸素還元反応)、詳しくは「O2+2H2O+4e-→4OH-」で表される反応が進行する。これにより、金属空気電池20が出力する。
ここで、通常の空気極では、撥水層と触媒層とが剥離して、撥水層と触媒層との界面にすき間が生じることがある。このようなすき間が生じると、電解質がすき間に溜まり撥水層と触媒層との間に電解液層が形成される現象(以下、漏液と記載することがある)が発生する。漏液が発生すると、撥水層側から触媒層への空気の供給量が減少し、金属空気電池の出力が低下する。
しかし、本実施形態の触媒層2は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記載することがある)を含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有する。PTFEは、繊維形状を有する。PTFEの繊維径の数平均値は、100nm以下である。このような構成を有する触媒層2は、硬度が低く、柔らかい。このため、触媒層2が空気極10に備えられた場合に、集電体3を介して触媒層2が撥水層4にしっかりと密着する。これにより、撥水層4と触媒層2とが剥離して、撥水層4と触媒層2との間にすき間が生じることを抑制できる。この結果、長期に渡って、漏液の発生を抑制でき、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。
<触媒層>
以下、本実施形態の触媒層2について、更に説明する。触媒層2は、結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有する。
(結着剤)
結着剤は、触媒層2の形状を保つ目的で、触媒層2に含有される。結着剤は、PTFEを含む。PTFEは、繊維形状を有する。繊維形状を有するPTFEの繊維径の数平均値は、100nm以下である。PTFEの繊維径の数平均値が100nm以下であると、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2を撥水層4にしっかりと密着させることができる。これにより、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。触媒層2と撥水層4との密着性を高めるためには、PTFEの繊維径の数平均値が、90nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、45nm以下であることが一層好ましく、43nm以下であることが特に好ましい。一方、触媒層2の形状を保つためには、PTFEの繊維径の数平均値は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましく、40nm以上であることが一層好ましい。
PTFEの繊維径の標準偏差σは、65未満であることが好ましく、55以下であることがより好ましく、35以下であることが更に好ましく、30以下であることが一層好ましい。PTFEの繊維径の標準偏差σは、PTFEの繊維径のばらつきを示す。PTFEの繊維径の下限は、特に限定されないが、例えば、5以上とすることができる。PTFEの繊維径の標準偏差σが小さくなる程、PTFEの繊維径のばらつきが小さくなる。PTFEの繊維径のばらつきが小さく、PTFEが均一で細い繊維となる程、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2を撥水層4にしっかりと密着させることができる。その結果、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。
触媒層2の表面積1μm2あたりに存在する繊維形状のPTFEの本数(以下、単位面積当たりのPTFE数と記載することがある)は、2.0本以上であることが好ましく、3.0本以上であることがより好ましく、4.5本以上であることが更に好ましく、5.0本以上であることが一層好ましい。単位面積当たりのPTFE数の上限は、特に限定されないが、例えば、10.0本以下とすることができる。単位面積当たりのPTFE数が多くなる程、触媒層2中でPTFEが細く密な状態で存在する。これにより、触媒層2に適度な柔軟性が付与され、集電体3を介して触媒層2と撥水層4とをしっかりと密着させることができる。その結果、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。
PTFEの繊維径の数平均値、PTFEの繊維径の標準偏差σ、及び単位面積当たりのPTFE数の各々は、例えば、後述する混練工程において、結着剤と触媒粒子と導電剤とを混練する温度(以下、混練温度と記載することがある)を変更することにより、調整することができる。混練温度が低くなる程、PTFEの繊維径の数平均値は小さくなる。混練工程において、粒子状のPTFEが凝集(繊維径方向へ成長)した後、繊維状に伸長(繊維長方向へ成長)しながら、触媒粒子と導電剤とを結着していく。混練温度が低い程、PTFEの凝集が抑制されるため、PTFEの繊維径の数平均値は小さくなる。また、混練温度が低くなる程、PTFEの繊維径の標準偏差σは小さくなる。また、混練温度が低くなる程、単位面積当たりのPTFE数は多くなる。
PTFEの繊維径の数平均値、PTFEの繊維径の標準偏差σ、及び単位面積当たりのPTFE数の各々は、例えば、後述する混練工程において、混練時間、混練機のせん断力、及び添加するPTFEの濃度の少なくとも1つを変更することによっても、調整することができる。
以下、図3(a)を参照して、PTFEの繊維径の数平均値、PTFEの繊維径の標準偏差σ、及び単位面積当たりのPTFE数の各々の測定方法を説明する。図3(a)は、本実施形態の触媒層2のSEM写真の一例を示す。まず、SEMを用いて、1万倍の倍率で、触媒層2を観察する。次いで、SEMの観察視野内の1本のPTFEについて、1箇所の繊維径を測定する。この繊維径の測定をn本のPTFEについて行い、合計n箇所の繊維径を測定する。なお、nは、誤差が十分小さくなる相当数の数に設定される。nは、例えば10であり、好ましくは100である。n箇所の繊維径の合計を、測定数(n箇所)で除することにより、PTFEの繊維径の数平均値を算出する。
次いで、測定したn箇所の繊維径の値から、下記数式(1)に従い、PTFEの繊維径の標準偏差σを算出する。数式(1)中、σは、PTFEの繊維径の標準偏差を示す。nは、測定したPTFEの数(n箇所)を示す。xiは、測定した各繊維径を示す。μは、母集団(測定した各繊維径)の平均値を示す。
次いで、SEMの一観察視野内に観察されるPTFEの本数を数える。観察視野の面積(S、単位:μm2)と、観察視野内のPTFEの本数(N、単位:本)とから、単位面積当たりのPTFE数(即ちN/S、単位:本/μm2)を算出する。
以下、図3(b)を参照して、測定箇所の数nが10である場合を例に挙げて、更に具体的に説明する。図3(b)は、図3(a)で示すSEM写真を用いて、PTFEの繊維径を測定する方法を説明する図である。図3(b)では、図3(a)で示すSEM写真に、説明のための矢符対及びスケールバーを追加して示している。SEMの観察視野(図3(a)で示すSEM写真)内の1本のPTFEについて、1箇所の繊維径(図3(b)中のn1で示す矢符対の間の長さ)を測定する。この繊維径の測定を10本のPTFEについて行い、合計10箇所の繊維径(図3(b)中のn1〜n10で示す矢符対の間の各々の長さ)を測定する。計算式「PTFEの繊維径の数平均値=(n1〜n10で示す矢符対の間の各々の長さの合計)/10」により、PTFEの繊維径の数平均値を算出する。次いで、測定した10箇所の繊維径の値(n1〜n10で示す矢符対の間の各々の長さ)から、数式(1)に従い、PTFEの繊維径の標準偏差σを算出する。次いで、SEMの一観察視野内に観察されるPTFEの本数を数える。観察視野の面積(S、単位:μm2)と、観察視野内のPTFEの本数(N、単位:本)とから、単位面積当たりのPTFE数(即ちN/S、単位:本/μm2)を算出する。なお、図3(b)に示すSEM写真の観察視野の面積Sは、12μm2である。
以上、図3(a)及び図3(b)を参照して、PTFEの繊維径の数平均値、PTFEの繊維径の標準偏差σ、及び単位面積当たりのPTFE数の各々の測定方法を説明した。
なお、後述するプレス工程において触媒層2がプレスされた場合、触媒層2中の繊維形状のPTFEの間の空隙が先につぶれる。このため、PTFEの繊維径は、プレス前後で変化しない。このため、PTFEの繊維径の数平均値、PTFEの繊維径の標準偏差σ、及び単位面積当たりのPTFE数の各々は、プレス前後で変化しない。
触媒層2は、繊維形状のPTFEに加えて、繊維形状以外の形状を有するPTFEを更に含有していてもよい。繊維形状以外の形状を有するPTFEとしては、例えば、粒子状のPTFEが挙げられる。
(触媒粒子)
触媒粒子は、酸素還元反応に対する触媒活性を有する。触媒粒子の表面において、酸素還元反応が進行する。触媒粒子の材料としては、例えば、金属酸化物及び銀が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化マンガン(具体的には、MnO2、及びMn34等)及びペロブスカイト型金属酸化物が挙げられる。触媒粒子の表面は、導電剤により覆われていてもよい。また、触媒粒子の表面が、導電剤により構成される多孔質層で覆われていてもよい。触媒粒子の表面が導電剤により覆われていることで、酸素還元反応が進行する触媒粒子の表面に、速やかに電子を供給することができる。触媒粒子の体積中位径D50は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。触媒粒子の体積中位径D50がこのような範囲内であると、触媒粒子の表面を導電剤で容易に覆うことができる。
(導電剤)
導電剤は、集電体3と触媒粒子の表面とを電気的に接続し、酸素還元反応に必要な電子を触媒粒子の表面に供給する。導電剤は、例えば、炭素粒子である。導電剤の材料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、活性炭、及びグラファイトが挙げられる。導電剤の体積中位径D50は、10nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。導電剤の体積中位径D50がこのような範囲内であると、触媒層2内で、導電剤が効率的に導電経路を形成する傾向がある。
(触媒層の塑性硬度等)
空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度(HIT)は、6.00N/mm2以下であることが好ましく、5.00N/mm2以下であることがより好ましく、2.00N/mm2以下であることが更に好ましく、1.80N/mm2以下であることが特に好ましい。空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度が6.00N/mm2以下であると、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2と撥水層4とをしっかりと密着させることができる。その結果、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。一方、空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度は、特に限定されないが、例えば、1.00N/mm2以上とすることができる。
空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度は、例えば、後述する混練工程の混練温度を変更することにより、調整することができる。混練温度が低くなる程、空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度は低くなる。また、空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度は、例えば、後述する混練工程において、混練時間、混練機のせん断力、及び添加するPTFEの濃度の少なくとも1つを変更することによっても、調整することができる。空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度の測定方法は、実施例に記載の方法、又はその代替法である。
触媒層2は、多孔質層であることが好ましい。触媒層2の厚さは、例えば、100μm以上2mm以下であることが好ましく、200μm以上1mm以下であることがより好ましい。
<触媒層の製造方法>
以下、触媒層2の製造方法の一例を説明する。触媒層2の製造方法は、例えば、混練工程、及び成形工程を含む。
混練工程において、PTFEを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを混練する。これにより、繊維径の数平均値が100nm以下である繊維形状となるように、PTFEを変形させる。このような形状にPTFEを変形させることにより、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2と撥水層4とをしっかりと密着させることができる。その結果、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。混練する前のPTFEの形状は、例えば、粒子状である。混練に使用する混練機としては、例えば、加圧ニーダーが挙げられる。
混練温度は、20℃以下であることが好ましく、19℃以下であることがより好ましく、18℃以下であることが更に好ましく、16℃以下であることが一層好ましい。混練温度がこのような範囲内であると、PTFEが緩やかに繊維形状に変形(即ち、繊維化)されるため、所望の形状のPTFEを得ることができる。これにより、製造される触媒層2に適度な柔軟性を付与することができる。これにより、集電体3を介して触媒層2を撥水層4にしっかりと密着させることができる。その結果、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。混練温度の下限は、特に限定されないが、例えば、10℃以上とすることができる。
PTFEを所望の形状に変形させるために、混練時間は、1分以上5分以下であることが好ましい。PTFEを所望の形状に変形させるために、混練機のせん断力は、0.5MPa以上2.0MPa以下であることが好ましい。
混練工程において使用するPTFEは、粉体であってもよい。好適に混練を進め易いことから、PTFEと分散媒(例えば、水)とを混合して、PTFE分散液の状態で使用してもよい。好適に混練を進め易いことから、PTFE、触媒粒子及び導電剤に加えて、水を更に添加してもよい。水の添加量は、混練物の全固形分の濃度が30wt%以上70wt%以下となるような量であることが好ましい。
混練する前のPTFEの380℃における溶融粘度(以下、PTFEの溶融粘度と記載することがある)は、1×1010P以上であることが好ましい。溶融粘度の単位「P」は、ポアズ(poise)を示す。溶融粘度が低いPTFE(例えば、溶融粘度が700万P以下であるPTFE)は、繊維化しない傾向がある。混練する前の溶融粘度が1×1010P以上であるPTFEを使用することで、PTFEの繊維化を好適に進行させることができる。混練する前のPTFEの溶融粘度の上限は、特に限定されないが、例えば、1×1012P以下とすることができる。
PTFEの溶融粘度は、例えば、フローテスター法を用いて測定することができる。PTFEの溶融粘度は、米国試験材料協会規格(ASTM) D 1238に準拠した方法により測定される。詳しくは、フローテスター(株式会社島津製作所社製)を用いて、PTFEの溶融粘度を測定する。まず、フローテスターのダイ(2φ−8L)に2gの測定試料(PTFE)をセットし、380℃で5分間加熱する。次いで、測定試料の温度を380℃に保ちながら、0.7MPaの荷重を測定試料に付与することにより、測定試料の溶融粘度を測定する。
なお、混練工程の前に、導電剤と触媒粒子とを混合して、混合物を得てもよい。得られた導電剤と触媒粒子との混合物と、結着樹脂とを、混練工程で混練してもよい。混合装置としては、例えば、ボールミルが挙げられる。
次いで、成形工程においては、混練工程で得られた混練物を成形して、触媒層2を得る。成形後の触媒層2の形状は、例えば、シート状である。成形装置としては、例えば、ロール圧延機が挙げられる。以上、触媒層2の製造方法の一例を説明した。
<空気極>
次に、空気極10を説明する。空気極10の概要は、図1を参照して、既に述べたとおりである。空気極10は、本実施形態の触媒層2と、撥水層4と、集電体3とを備える。以下、撥水層4、及び集電体3について説明する。なお、触媒層2については、既に述べたとおりである。
(撥水層)
撥水層4は、漏液を防止するために備えられる。撥水層4は、空気を通過させる孔を有し、この孔の内壁は撥水性を有する。このため、水はこの孔にほとんど侵入しないが、空気はこの孔を通過することができる。撥水層4は、多孔質層であることが好ましく、フッ素樹脂の多孔質層であることがより好ましく、PTFEの多孔質層であることが更に好ましい。撥水層4は、焼成膜であってもよく、未焼成膜であってもよい。未焼成膜は、撥水層4の原料の混練物を焼成することなく、自然乾燥させることにより得られる。撥水層4は、2層又は3層以上の多層構造を有していてもよい。
撥水層4の厚さは、100μm以上250μm以下であることが好ましい。撥水層4の厚さが100μm以上であると、撥水層4に適度な強度を付与できる。撥水層4の厚さが250μm以下であると、触媒層2への空気の供給が容易となる。
(集電体)
集電体3は、気体である酸素ガスと、液体である水と、固体である触媒粒子との三相界面(例えば、触媒粒子の表面)に、電子を供給する。集電体3は、水を通過させる孔を有しており、多孔質である。集電体3の厚さは、100μm以上600μm以下であることが好ましい。
集電体3の材質としては、例えば、ニッケル、銀、金、白金及びステンレス鋼が挙げられる。また、集電体3の材質は、ニッケルめっき処理された金属であってもよい。ニッケルめっき処理された金属としては、例えば、ニッケルメッキされた鉄、及びニッケルメッキされたステンレス鋼が挙げられる。集電体3の材質は、ニッケル又はニッケルめっき処理された金属であることが好ましい。このような材質の集電体3は耐アルカリ性を有するため、集電体3がアルカリ性の電解質14により腐食されることを抑制できる。また、このような材質の集電体3は十分な硬度を有するため、集電体3の一部を、本実施形態の触媒層2にくい込ませることができる。これにより、集電体3を介して触媒層2と撥水層4とを強く密着させることができる。
集電体3の形状は特に限定されず、集電体3は、例えば、平板状構造、又は網状構造を有していてもよい。集電体3を介して触媒層2と撥水層4とを強く密着させるためには、集電体3が網状構造を有していることが好ましい。
以下、図4を参照して、網状構造を有する集電体31を備える空気極11について説明する。図4は、空気極11の概略断面図である。空気極11は、本実施形態の触媒層2と、撥水層4と、集電体31とを備える。集電体31は網状構造を有する。集電体31は、触媒層2と撥水層4との間に配置される。集電体31の一部が撥水層4にくい込み、集電体31の他の一部が触媒層2にくい込むことにより、触媒層2と撥水層4とがつなぎ合わされている。このような構造を有する空気極11は、集電体31を介して触媒層2と撥水層4とをしっかりと密着させることができる。これにより、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。
網状構造を有する集電体31としては、例えば、金属メッシュ、エキスパンドメタル、及びパンチングメタルが挙げられる。金属メッシュとしては、例えば、平織、綾織、平畳織、及び綾畳織の金属メッシュが挙げられる。集電体3は、平織の金属メッシュを含むことが好ましく、10メッシュ以上30メッシュ以下平織の金属メッシュを含むことがより好ましい。以上、図4を参照して、網状構造を有する集電体31を備える空気極11について説明した。
<空気極の製造方法>
以下、図5を参照しながら、空気極10の製造方法の一例を説明する。空気極10の製造方法は、例えば、プレス工程を含む。プレス工程において、撥水層4と触媒層2との間に集電体3を配置した積層体12に、圧力を付与(プレス)することにより、空気極10(図1参照)が得られる。積層体12の表面に対して垂直方向(図5中の矢符方向)に圧力を付与しながら、積層体12をプレスする。これにより、撥水層4と集電体3と触媒層2とが好適に接合して、一体化した空気極10が得られる。
空気極10に備えられた後(プレス後に相当)の触媒層2の塑性硬度は、20.00N/mm2以下であることが好ましく、15.00N/mm2以下であることがより好ましく、10.00N/mm2以下であることが更に好ましく、5.00N/mm2以下であることが一層好ましく、3.30N/mm2以下であることが特に好ましい。空気極10に備えられた後の触媒層2の塑性硬度が20.00N/mm2以下であると、触媒層2に適度な柔軟性が付与される。これにより、集電体3を介して触媒層2と撥水層4とをしっかりと密着させることができる。これにより、漏液の発生を抑制して、金属空気電池20の出力低下を抑制することができる。一方、触媒層2の形状を好適に保つためには、空気極10に備えられた後の触媒層2の塑性硬度は、例えば、1.00N/mm2以上とすることができる。なお、プレス工程において触媒層2がプレスされることにより、空気極10に備えられた後の触媒層2の塑性硬度は、既に述べた空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度と比較して、高くなる。
空気極10に備えられた後の触媒層2の塑性硬度は、例えば、空気極10に備えられる前の触媒層2の塑性硬度を変更することにより、調整することができる。また、空気極10に備えられた後の触媒層2の塑性硬度は、プレス工程で付与する圧力、プレス時間、及びプレス温度の少なくとも1つを変更することにより、調整することもできる。空気極10に備えられた後の触媒層2の塑性硬度の測定方法は、実施例に記載の方法、又はその代替法である。
<金属空気電池>
次に、金属空気電池20を説明する。金属空気電池20の概要は、図2を参照して、既に述べたとおりである。金属空気電池20は、空気極10と、金属極13と、電解質14とを備える。空気極10は、本実施形態の触媒層2を備える。金属空気電池20は、金属極13を負極(アノード)とし、空気極10を正極(カソード)とする電池である。金属空気電池20は、例えば、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池、マグネシウム空気電池、アルミニウム空気電池、又は鉄空気電池である。金属極13の材料としては、例えば、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び鉄が挙げられる。電解質14としては、電解液が好ましく、水酸化カリウム水溶液がより好ましい。金属空気電池20は、公知の方法により組み立てることができる。以上、金属空気電池20について説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
表1に、実施例又は比較例に係る触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)を示す。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の数平均を評価値とした。
以下、表1に示す触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の作製方法、空気極の作製方法、測定方法、評価方法、及び評価結果について、説明する。
<触媒層の作製>
(触媒層(A−1)の作製)
触媒としての二酸化マンガン(中央電気工業株式会社製「CMD−K200」)1.0質量部と、導電剤としてのカーボンブラック1.5質量部とを、ボールミルを用いて、一晩混合した。ボールミルには、直径4mmのジルコニアボールを使用した。加圧ニーダーの容器に、得られた混合物(詳しくは、二酸化マンガン及びカーボンブラックの混合物)と、結着剤としてのPTFE(ダイキン工業株式会社製「ポリフロン PTFE D−210C」、PTFE分散液、分散媒:水、固形分濃度:60wt%、PTFEの溶融粘度:1×1011P、PTFEの数平均分子量:5.0×106、PTFEの形状:粒子状)と、水とを加えた。PTFE分散液の添加量は、容器内の全固形分の質量に対するPTFEの含有率が25wt%となるような量であった。水の添加量は、容器内の全固形分の濃度が50wt%となるような量であった。加圧ニーダーを用いて、混練温度15℃で、容器の内容物を混練して、混練物を得た。ロール圧延機を用いて、混練物をシート状に成形して、乾燥させた。これにより、触媒層(A−1)を得た。
(触媒層(A−2)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−3)の作製)
15℃から表1に示す温度に混練温度を変更した以外は、触媒層(A−1)の作製と同じ方法で、触媒層(A−2)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−3)の各々を得た。例えば、触媒層(A−2)の混練温度は、表1に示す18℃であった。
(触媒層(B−4)の作製)
次の点を変更した以外は、触媒層(A−1)の作製と同じ方法で、触媒層(B−4)を得た。触媒層(A−1)の作製におけるPTFEを、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合体(FEP、三井・デュポン・フロロケミカル株式会社製「テフロン(登録商標)FEP 120−JRB」、分散媒:水、固形分濃度:54wt%、FEPの形状:粒子状)に変更した。なお、FEP分散液の添加量は、容器内の全固形分の質量に対するFEPの含有率が25wt%となるような量であった。また、触媒層(A−1)の作製における15℃の混練温度を、260℃に変更した。260℃未満の混練温度では、FEPが結着しないからである。
(触媒層(B−5)の作製)
次の点を変更した以外は、触媒層(A−1)の作製と同じ方法で、触媒層(B−5)を得た。触媒層(A−1)の作製におけるPTFEを、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA、三井・デュポン・フロロケミカル株式会社製「テフロン(登録商標)PFA 920HP」、分散媒:水、固形分濃度:60wt%、PFAの形状:粒子状)に変更した。なお、PFA分散液の添加量は、容器内の全固形分の質量に対するPFAの含有率が25wt%となるような量であった。また、触媒層(A−1)の作製における15℃の混練温度を、300℃に変更した。300℃未満の混練温度では、PFAが結着しないからである。
<撥水層の作製>
PTFE(ダイキン工業株式会社製「ポリフロンPTFE F−104」、粉体)2質量部と、エタノール1質量部とを混練して、混練物を得た。ロール圧延機を用いて、混練物を圧延した後、1軸延伸した。これにより、シート状のPTFEを得た。シート状のPTFEを自然乾燥させて、撥水層を得た。
<空気極の作製>
図5を再び参照して、空気極の作製方法を説明する。図5に示すように、積層体12は、触媒層2と集電体3と撥水層4とを備えていた。触媒層2の上に、集電体3を配置した。集電体3の上に、撥水層4を配置した。触媒層2として、上記<触媒層の作製>で得られた触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の何れかを使用した。集電体3として、ニッケルメッシュ(ワイヤー径:250μm、開口部の1辺の長さ:1mm、20メッシュ)を使用した。撥水層4として、上記<撥水層の作製>で得られた撥水層を使用した。積層体12の表面に対して垂直方向(図5中の矢符方向)に、圧力を付与(プレス)することで、撥水層4と集電体3と触媒層2とを一体化して、空気極10(図1参照)を得た。プレスの条件は、プレス圧が2.15kN/cm2であり、プレス時間が2分間であり、プレス温度が25℃であった。得られた空気極10の触媒層2の厚さは500μmであり、撥水層4の厚さは200μmであった。
<触媒層中のPTFEの形状、繊維径、及びPTFE数の測定>
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「電界放出形走査電子顕微鏡 S−4800」)を用いて、1万倍の倍率で、触媒層(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の各々)を観察し、PTFEの形状を確認した。なお、SEMによる観察は、上記<触媒層の作製>の後、上記<空気極の作製>の前に行った。各触媒層中のPTFEの形状を、表1に示す。
次いで、SEMの観察視野内の1本のPTFEについて、1箇所の繊維径を測定した。この繊維径の測定を誤差が十分小さくなる相当数のPTFEについて行った。測定した繊維径の合計を、測定数で除することにより、PTFEの繊維径の数平均値を算出した。また、測定した繊維径の値から、標準偏差σを算出した。各触媒層について、PTFEの繊維径の数平均値及び標準偏差σを、表1に示す。なお、PTFEの繊維径の標準偏差σが小さいほど、PTFEの繊維径のばらつきが小さいことを示す。
次いで、SEMの観察視野内のPTFEの本数を数えた。観察視野の面積(S、単位:μm2)と、観察視野内のPTFEの本数(N、単位:本)とから、単位面積当たりのPTFE数(即ちN/S、単位:本/μm2)を算出した。各触媒層について、単位面積当たりのPTFE数を、表1に示す。
<塑性硬度(プレス前)の測定>
上記<触媒層の作製>の後、上記<空気極の作製>の前に、触媒層(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の各々)の塑性硬度(HIT)を測定した。塑性硬度は、フィッシャー・インストルメンツ製「FISCHERSCOPE(登録商標) HM2000」を用いて測定した。測定された触媒層の塑性硬度は、空気極作成においてプレスされる前の触媒層の塑性硬度である。プレスされる前の触媒層の塑性硬度を、表1の触媒層塑性硬度(プレス前)の欄に示す。
<塑性硬度(プレス後)の測定>
上記<空気極の作製>の後に、空気極に備えられた触媒層(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の各々)の塑性硬度(HIT)を測定した。塑性硬度は、フィッシャー・インストルメンツ製「FISCHERSCOPE(登録商標) HM2000」を用いて測定した。測定された触媒層の塑性硬度は、空気極作成においてプレスされた後の触媒層の塑性硬度である。プレスされた後の触媒層の塑性硬度を、表1の触媒層塑性硬度(プレス後)の欄に示す。
<触媒層と撥水層との密着性の評価>
図6を参照して、触媒層と撥水層との密着性の評価方法を説明する。図6に示すように、空気極10は、触媒層2(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の何れか)と、集電体3と、撥水層4とを備えていた。空気極10の一端において、集電体3及び触媒層2から、撥水層4を剥がした。剥がした側の集電体3及び触媒層2の一端を固定したまま、撥水層4の一端を引っ張り、撥水層4を剥がし切るまでの最大張力(180°剥離強度、単位:N)を測定した。測定に使用した空気極10のサンプルの幅は55mmであり、長さは55mmであった。また、引張り速度は2mm/秒であった。剥離強度の測定結果を、表2に示す。剥離強度が大きいほど、触媒層2と撥水層4との密着性が高いことを示す。
<電気特性の評価>
図2に示すような金属空気電池20を作製して、電気特性の評価を行った。以下、図2を再び参照して、金属空気電池20について説明する。金属空気電池20は、空気極10と、金属極13と、電解質14とを備えていた。空気極10(正極)として、上記<空気極の作製>で得られた空気極(詳しくは、触媒層(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−5)の何れかを備える空気極)を使用した。金属極13(負極)として、亜鉛板を使用した。電解質14として、7Mの水酸化カリウム水溶液を使用した。
バッテリテストシステム(菊水電子工業株式会社製「PFX2011」)を用いて、作製した金属空気電池のI−V曲線特性を評価した。詳しくは、30mA/cm2の条件下で、金属空気電池の放電電圧(単位:V)を測定した。金属空気電池の作製直後(初期)の金属空気電池の放電電圧(V0)、作製から1ヶ月後の金属空気電池の放電電圧(V1)、及び作製から6ヶ月後の金属空気電池の放電電圧(V6)を、各々、測定した。V0、V1、及びV6の測定結果を、表2に示す。次いで、V0からのV1の変化率(即ち、100×(V0−V1)/V0、単位:%)を算出した。また、V0からのV6の変化率(即ち、100×(V0−V6)/V0、単位:%)を算出した。算出したV0からのV1の変化率、及びV0からのV6の変化率を、表2に示す。V0からのV6の変化率が大きい程、経時的に放電電圧が低下し、金属空気電池の出力が低下したことを示す。V0からのV6の変化率が10.0%以下である空気電池を、電気特性が良好であると評価した。
表1に示すように、触媒層(A−1)〜(A−4)の各々は、PTFEを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有していた。PTFEは、繊維形状を有していた。PTFEの繊維径の数平均値は、100nm以下であった。このため、表2に示すように、触媒層(A−1)〜(A−4)の各々を備える空気極では、剥離強度が0.88以上であり、触媒層と撥水層との密着性が向上していた。また、表2に示すように、触媒層(A−1)〜(A−4)の各々を備える空気金属電池では、V0からのV6の変化率が7.1%以下であり、金属空気電池の出力が低下することなく、空気金属電池の電気特性が良好であった。
一方、表1に示すように、触媒層(B−1)〜(B−3)の各々に含まれるPTFEの繊維径の数平均値は、100nm超であった。このため、表2に示すように、触媒層(B−1)〜(B−3)の各々を備える空気極では、剥離強度が0.64以下であり、触媒層と撥水層との密着性が低下していた。また、表2に示すように、触媒層(B−1)〜(B−3)の各々を備える空気金属電池では、V0からのV6の変化率が10.5%以上であり、金属空気電池の出力が低下していた。この理由は、次のように推測される。触媒層と撥水層との密着性が弱いため、触媒層と撥水層との間にすき間が生じた。このすき間に電解液が溜まり、触媒層への空気の供給が阻害されたため、金属空気電池の出力が低下した。
表1に示すように、触媒層(B−4)〜(B−5)の各々は、PTFEを含む結着剤を含有していなかった。触媒層(B−4)〜(B−5)の各々の結着剤(詳しくは、FEP、及びPFA)は、繊維化しなかった。このため、表1に示すように、触媒層(B−4)〜(B−5)の各々においては、混練後の結着剤の繊維径の数平均値、標準偏差、及び触媒層の表面積1μm2あたりに存在する繊維形状の結着剤の数を測定することができなかった。また、触媒層(B−4)〜(B−5)の各々のプレス前の塑性硬度が高くなり過ぎ、上記<空気極の作製>において、プレスにより撥水層4と集電体3と触媒層2とを一体化することができなかった。このため、空気極を作製することができず、表1に示すように、プレス後の触媒層の塑性硬度を測定することができなかった。また、空気極を作製することができず、表2に示すように、剥離強度、並びに電気特性評価におけるV0、V1、及びV6を測定することができなかった。
以上のことから、本発明の触媒層は、金属空気電池の空気極に備えられた場合に、金属空気電池の出力低下を抑制できることが示された。また、本発明の触媒層を備える空気極、及び金属空気電池は、金属空気電池の出力低下を抑制できることが示された。更に、本発明の触媒層の製造方法によれば、金属空気電池の出力低下を抑制できる触媒層を製造できることが示された。
本発明の触媒層、及び本発明の製造方法により製造される触媒層は、金属空気電池の空気極に利用することができる。本発明の空気極は、金属空気電池に利用することができる。本発明の金属空気電池は、例えば、補聴器、携帯電話、及びデジタルカメラのような電子機器の主電源、補助電源、及び充電器に利用することができる。
2 :触媒層
3、31 :集電体
4 :撥水層
10、11:空気極
12 :積層体
13 :金属極
14 :電解質
20 :金属空気電池

Claims (10)

  1. ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と、触媒粒子と、導電剤とを含有し、
    前記ポリテトラフルオロエチレンは、繊維形状を有し、
    前記ポリテトラフルオロエチレンの繊維径の数平均値は、100nm以下である、触媒層。
  2. 前記ポリテトラフルオロエチレンの繊維径の標準偏差は、65未満である、請求項1に記載の触媒層。
  3. 前記触媒層の表面積1μm2あたりに、2.0本以上の前記ポリテトラフルオロエチレンが存在する、請求項1又は2に記載の触媒層。
  4. 前記触媒層の塑性硬度は、6.00N/mm2以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の触媒層。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の触媒層と、撥水層と、前記触媒層と前記撥水層との間に配置される集電体とを備える、空気極。
  6. 前記触媒層の塑性硬度は、20.00N/mm2以下である、請求項5に記載の空気極。
  7. 請求項5又は6に記載の空気極と、金属極と、電解質とを備える、金属空気電池。
  8. ポリテトラフルオロエチレンを含む結着剤と触媒粒子と導電剤とを混練することにより、繊維径の数平均値が100nm以下である繊維形状となるように、前記ポリテトラフルオロエチレンを変形させる工程を含む、触媒層の製造方法。
  9. 前記結着剤と前記触媒粒子と前記導電剤とを混練する温度は、20℃以下である、請求項8に記載の触媒層の製造方法。
  10. 混練する前の前記ポリテトラフルオロエチレンの380℃における溶融粘度は、1×1010P以上である、請求項8又は9に記載の触媒層の製造方法。
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CN111933954A (zh) * 2020-08-07 2020-11-13 中科院过程工程研究所南京绿色制造产业创新研究院 一种空气电极及其制备方法和空气电池

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