JP2007128671A - ガス拡散電極、膜−電極接合体とその製造方法、および固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応ガスの供給、除去を速やかに行うための撥水性、発生した電気を効率よく伝える導電性に優れた固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極を提供する。
【解決手段】固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、繊維状炭素材料のみよりなるか、または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料とよりなる炭素材料をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布することによって形成された多孔質フッ素樹脂膜を有する。このガス拡散電極3a、3bを高分子電解質膜1の両面に触媒層2a、2bを介して積層して、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体を作製することができる。
【選択図】図5
【解決手段】固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、繊維状炭素材料のみよりなるか、または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料とよりなる炭素材料をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布することによって形成された多孔質フッ素樹脂膜を有する。このガス拡散電極3a、3bを高分子電解質膜1の両面に触媒層2a、2bを介して積層して、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体を作製することができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極、それを用いた膜−電極接合体およびその製造方法、ならびにそれを用いた固体高分子型燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を連続的に供給し、これが電気化学反応したときの化学エネルギーを電力として取り出す発電システムである。この電気化学反応による発電方式を用いた燃料電池は、水の電気分解の逆反応、すなわち水素と酸素が結びついて電子と水が生成する仕組みを利用しており、高効率と優れた環境特性を有することから近年脚光を浴びている。
燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、アルカリ型燃料電池および固体高分子型燃料電池に分別される。近年、特に常温で起動し、かつ起動時間が極めて短い等の利点を有する固体高分子型燃料電池が注目されている。この固体高分子型燃料電池を構成する単セルの基本構造は、固体高分子電解質膜の両側に触媒層を有するガス拡散電極を接合し、その外側の両面にセパレータを配したものである。
このような固体高分子型燃料電池では、まず、燃料極側に供給された水素がセパレータ内のガス流路を通ってガス拡散電極に導かれる。次いで、その水素は、ガス拡散電極にて均一に拡散された後に、燃料極側の触媒層に導かれ、白金などの触媒によって水素イオンと電子とに分離される。そして、水素イオンは電解質膜を通って電解質膜を挟んで反対側の酸素極における触媒層に導かれる。一方、燃料極側に発生した電子は、負荷を有する回路を通って、酸素極側のガス拡散層に導かれ、更には酸素側の触媒層に導かれる。これと同時に、酸素極側のセパレータから導かれた酸素は、酸素極側のガス拡散電極を通って、酸素極側の触媒層に到達する。そして、酸素、電子、水素イオンとから水を生成して発電サイクルを完結する。なお、固体高分子型燃料電池に用いられる水素以外の燃料としては、メタノールおよびエタノール等のアルコールがあげられ、それらを直接燃料として用いることもできる。
従来、固体高分子型燃料電池のガス拡散層としては、カーボン繊維からなるカーボンペーパーやカーボンクロスが用いられている。このカーボンペーパーやカーボンクロスにおいては、燃料電池運転時の加湿水やカソードでの電極反応で生成した水によるフラッディングを防止する目的で、表面またはその空隙内部に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性バインダーによって撥水処理が施されている。しかしながら、これらのカーボンペーパーやカーボンクロスは、空孔径が非常に大きいため、十分な撥水効果が得られずに空孔中に水が滞留することがあった。
この点を改善するためのものとして、例えば特許文献1に示すように、カーボンペーパーに炭素等からなる導電性フィラーを含む有孔性樹脂を含有させたガス拡散電極が提案されている。しかしながら、特許文献1に示されるようなガス拡散電極は、カーボンペーパー表面上に直接、炭素などからなる導電性フィラーを含む有孔性樹脂を構成する塗料を塗布し、含浸・溶媒抽出・乾燥して作製するために、カーボンペーパーの空隙を多く塞いでしまい、そのため、空隙内部のガス透過性が悪くなり、電池性能を低下させるという問題を有していた。
また、特許文献2には、ステンレス鋼メッシュにカーボンブラックとPTFEとの混合物を塗布して撥水化層を形成することが記載されている。しかしながら、このような混合物を塗布して形成したものは、ステンレス鋼メッシュの空隙を多く塞いでしまい、そのため空隙内部のガス透過性が悪くなり、電池性能が低下するという問題があった。さらに、燃料電池の製造時には、ガス拡散電極を電解質に密着させたり、接着剤を用いて接着させたりする必要があるが、ガス拡散電極に圧力が付加されると、ガス拡散電極の多孔質膜の空隙がつぶされ、ガス・水の排出が妨げられてしまうという問題もあった。
特許文献3には、粒子径の分布中心の異なる少なくとも2種類の炭素粒子を混合したガス拡散層を備えた固体高分子膜型燃料電池が記載され、粒子径の大きい方の炭素粒子として黒鉛を用いること、フッ素樹脂で被覆して撥水性を付与した炭素粒子を用いて拡散層を形成することが記載されている。しかしながら、この固体高分子膜型燃料電池は、形成された拡散層の強度が低く、拡散層の撥水性も十分でないという問題があった。
特開2003−303595号公報
特開2000−58072号公報
特開2001−57215号公報
本発明は、以上のような問題点を改善することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、多孔質の膜を通してガス拡散性を良好に保ち、それによって電池特性を良好に保ち得る固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極を提供することにある。本発明の他の目的は、上記の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極を用いた膜−電極接合体およびその簡便な製造方法を提供することにある。本発明の更に他の目的は、上記の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極を用いた電池性能が優れた固体高分子型燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決する本願発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、少なくとも繊維状炭素材料を含む炭素材料をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布することによって形成された多孔質フッ素樹脂膜を有することを特徴とする。
本発明において、繊維状炭素材料を含む炭素材料は、繊維状炭素材料のみよりなっていてもよいが、粒子状炭素材料と繊維状炭素材料とからなることが好ましい。そして、繊維状炭素材料はそのアスペクト比が10〜500の範囲内であることが好ましい。また、粒子状炭素材料は、カーボンブラックであること、とりわけ、アセチレンブラックであることが好ましい。
本発明において、前記フッ素樹脂はフッ化オレフィン系樹脂であることが好ましく、さらに、前記フッ素樹脂と繊維状炭素材料との配合比は、フッ素樹脂1重量部に対して、繊維状炭素材料0.005重量部以上、370重量部以下であることが好ましい。また、本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、多孔質膜にシート状導電性多孔質体が積層されていてもよい。
本発明の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体は、高分子電解質膜の両面に、触媒層を介して上記の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極が積層されたことを特徴とする。
上記の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を製造する本発明の第1の製造方法は、基体上に、繊維状炭素材料または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料の混合物をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布することによって多孔質フッ素樹脂膜を形成した後、該多孔質フッ素樹脂膜上に触媒層を形成し、触媒層付きガス拡散電極を得る第1工程と、該触媒層付きガス拡散電極の触媒層面を、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配し、熱プレスにて、触媒層付きガス拡散電極と高分子電解質膜とを接合する第2工程と、各触媒層付きガス拡散電極から基体を剥離する第3工程とを有することよりなることを特徴とする。
また第2の製造方法は、高分子電解質膜の両面に触媒層を形成して、触媒層付き高分子電解質膜を得る第1工程と、基体上に繊維状炭素材料または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料の混合物をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布して形成した多孔質フッ素樹脂膜を有するガス拡散電極を、該多孔質フッ素樹脂膜が上記触媒層付き高分子電解質膜の各触媒層面に接触するように配し、熱プレスにて触媒層付き高分子電解質膜とガス拡散電極を接合する第2工程と、各ガス拡散電極から基体を剥離する第3工程とを有することよりなることを特徴とする。
また、本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に、触媒層を介して、上記の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極を設け、その外側にセパレータを配したことを特徴とする。
本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、繊維状炭素材料を含む多孔質フッ素樹脂膜を有することを特徴とし、フッ素樹脂による撥水性・排水性、および繊維状炭素材料による導電性を備えた滑らかな表面を有するものである。本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、上記の特徴を有しているので、燃料電池運転時の加湿水や生成水によるフラッディングを防止し、また反応ガスの供給、除去を速やかに行うための撥水性、発生した電気を効率よく伝える導電性に優れている。また、繊維状炭素材料の働きにより、燃料電池作製時に負荷されるガス拡散電極への圧力によっても、多孔質であるガス拡散電極の空隙がつぶされることがなく、水やガスの透過を妨げることがない。また、繊維状炭素材料を用いることにより導電性も保たれる。
一方、本発明のガス拡散電極を用いた燃料電池は、発電サイクルにおいて、ガス・水の排出性、導電性に優れている。また、本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、滑らかな表面を有するので、従来の炭素繊維シートを用いた場合に比べて、触媒層や高分子固体電解質膜を傷つけたり破壊したりすることがないという効果もある。
以下、本発明について具体的に説明する。本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、少なくとも繊維状炭素材料を含む多孔質フッ素樹脂膜を有し、フッ素樹脂による撥水性・排水性、および炭素材料による導電性を備えた滑らかな表面を有するものである。
本発明において、上記フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等があげられ、これらの1種以上からなるフッ素樹脂を選択して用いることができる。これらの中でも、フッ化オレフィン系樹脂は、耐熱性が高く、機械的強度が良好であるので、特に好ましい。フッ化オレフィン系樹脂は、精度良く多孔質膜を形成することが可能であり、多孔質膜内部の加湿水およびカソードでの生成水を良好に排水することができるという利点を有している。本発明でいうフッ化オレフィン系樹脂とは、フッ化ビニリデンのホモポリマーの他、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、エチレンからなる群より選ばれる1種類以上のモノマーとフッ化ビニリデンとからなるコポリマーおよび3元以上の多元重合体を包含する。また、これらの樹脂を単独で用いる場合に加えて、2種以上の樹脂を混合して使用することも本発明に包含される。
上記フッ素樹脂は、質量平均分子量が10万〜120万の範囲にあることが好ましい。
質量平均分子量が10万未満の場合は、強度が低くなる場合があり、一方、120万を越えると、溶媒への溶解性が劣ることから、塗料化が困難になったり、塗料の粘度ムラが生じて、最終的なガス拡散電極の厚さ精度が低下し、触媒層との密着性が不均一となる場合がある。
質量平均分子量が10万未満の場合は、強度が低くなる場合があり、一方、120万を越えると、溶媒への溶解性が劣ることから、塗料化が困難になったり、塗料の粘度ムラが生じて、最終的なガス拡散電極の厚さ精度が低下し、触媒層との密着性が不均一となる場合がある。
本発明において、上記ガス拡散電極には、炭素材料として、繊維状炭素材料を使用する点に特徴を有している。炭素材料としては、繊維状炭素材料のみを用いてもよいが、繊維状炭素材料と粒子状炭素材料の両者を用いるのが好ましい。フッ素樹脂と炭素材料との配合比は、フッ素樹脂1重量部に対して、炭素材料0.9重量部〜370重量部の範囲に設定するのが好ましい。
繊維状炭素材料は、燃料電池作製時に負荷される圧力によって、フッ素樹脂からなる多孔質膜の空隙がつぶれ、ガスや水の移動が妨げられるのを防ぐ空隙つぶれ防止材としての作用をすると共に、導電性を保持する。本発明において用いる繊維状炭素材料とは、アスペクト比(繊維の断面の直径と繊維の長さの比)が5〜10000の範囲のものをいう。本発明において好ましいアスペクト比は、10〜500の範囲である。アスペクト比が小さすぎると空隙つぶれ防止ができず、大きすぎると、フッ素樹脂中への分散性が劣化するので、上記の範囲のものが好ましく使用される。また、繊維状炭素材料は、平均直径約150nm程度のものが好ましく用いられる。
具体的な繊維状炭素材料としては、カーボン繊維、気相法炭素繊維(例えば、昭和電工社製のカーボンナノファイバー、(商品名:VGCF))及びカーボンナノチューブ等があげられる。
本発明において、フッ素樹脂と繊維状炭素材料との配合比は、フッ素樹脂1重量部に対して、繊維状炭素材料0.005重量部〜370重量部の範囲が好ましい。繊維状炭素材料の配合比が0.005重量部より少ないと、燃料電池作製時に負荷されるガス拡散電極への圧力によって、多孔質であるガス拡散電極の空隙がつぶされてしまい、370重量部よりも多いと、多孔質膜内部のフッ素樹脂への分散性が劣化し,ガス拡散電極の表面に凹凸が生じて,隣接層(例えば触媒層)との間に微小な隙間が生じ、ガス拡散能力が低下する。いずれの場合においても、結果としては、燃料電池性能の低下を引き起こす。
本発明において、炭素材料は、上記繊維状炭素材料と共に、粒子状炭素材料が含有されているのが好ましい。粒子状炭素材料としては、如何なるものでも利用することが可能であり、例えば、ファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック等に代表される、いわゆるカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは、比表面積や粒子径の大きさによらず、いずれのグレードのものでも使用可能であり、例えば、ライオンアクゾ社製:ケッチェンEC、キャボット社製:バルカンXC72R、電気化学工業社製:デンカブラック等があげられる。また、これらの中でも、高導電性および塗液中での分散性の点から、特にアセチレンブラックが好適に用いられる。本発明において、これらの粒子状炭素材料は、平均一次粒子径が10〜100nmの範囲のものが好ましい。
上記フッ素樹脂と上記の粒子状炭素材料の配合比は、フッ素樹脂を1重量部に対して、粒子状炭素材料3重量部までの範囲が好ましい。さらに好ましくは、1/3重量部〜3/2重量部の範囲である。粒子状炭素材料の配合比が3重量部より多いと、多孔質膜の内部に充填され過ぎてガス拡散能力が低下し、燃料電池性能の低下を引き起こす。なお、1/3重量部より少ないと、導電性が低下する。
また、粒子状炭素材料は、繊維状炭素材料1重量部に対して、0.0025重量部〜185重量部の範囲で用いるのが好ましい。
また、粒子状炭素材料は、繊維状炭素材料1重量部に対して、0.0025重量部〜185重量部の範囲で用いるのが好ましい。
本発明においては、多孔質フッ素樹脂膜に、さらに上記の炭素材料以外のフィラーが含まれてもよい。このフィラーの添加によって、ガス・水の排出、多孔質膜の孔径および、炭素材料の分散をコントロールすることが可能になり、燃料電池性能に大きく影響を及ぼすことになる。上記炭素材料以外のフィラーとしては、親水性を有するものが好ましく、無機微粒子または有機微粒子のいずれのものも用いることが可能であるが、燃料電池中のガス拡散電極内部の環境を考慮すると、無機微粒子の方が好ましい。撥水性を有するフッ素樹脂に、親水性のフィラーが添加されることによって、撥水部と親水部が微視的に入り組むことにより、および炭素材料と凝集体を形成して多孔質膜の孔径が拡大されることにより、ガス・水の排出が良好に行なわれるからである。その結果、フラッディング現象に起因する電池性能低下を防止することが可能となる。親水性のフィラーとしては、二酸化チタン及び二酸化ケイ素等の無機酸化物微粒子が好ましい。これらは、燃料電池中のガス拡散電極内部の環境に耐え、且つ、十分な親水性を持ち合わせているからである。上記フィラーの粒子径としては、いずれの大きさのものでも使用可能であるが、非常に微小の場合は、塗料中での分散が困難になり、また、非常に大きい場合は、多孔質の空孔を塞いでしまうという問題が発生する。したがって、一般には、粒子状の炭素材料の粒子径と同程度の粒径範囲、すなわち、10〜100nmの範囲のものが用いられる。
また、上記フィラーとフッ素樹脂の重量比は、フッ素樹脂1重量部に対して、フィラー3重量部以下が好ましい。さらに好ましくは、3/2重量部以下である。上記フィラーの配合量が3重量部より多いと、多孔質膜の内部に充填され過ぎてしまい、ガス拡散能力の低下および導電性の低下の原因となる。結果的には、燃料電池性能の低下を引き起こす。
また、本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極において、上記多孔質膜にシート状の導電性多孔質体が積層されていてもよい。導電性多孔質体としては、カーボン繊維からなるカーボンペーパー及びカーボンクロス、発泡ニッケル、チタン繊維焼結体等をあげることができる。導電性多孔質体が積層されたガス拡散電極は、多孔質膜と導電性多孔質体とが積層構造を有しているため、前記特許文献1に記載の燃料電池用ガス拡散電極とは異なり、多孔質膜を構成する樹脂及び炭素材料などによって導電性多孔質体の空隙が塞がれることがない。したがって、空隙内部のガス透過性が良好であり、電池性能を低下させるという問題がなくなる。
本発明において、前記固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極の多孔質膜の厚みとしては、5μm乃至150μmであることが好ましく、より好ましくは10μm乃至100μmであり、さらに好ましくは15μm乃至50μmである。厚みが5μmより小さいと、保水効果が十分でなく、150μmより大きいと、厚すぎてガス拡散能力、排水能力が低下し、電池性能低下を引き起こす。
本発明のガス拡散電極の多孔質膜は、上記フッ素樹脂により多孔質フッ素樹脂膜が形成されるが、多孔質膜の構造を測る尺度としては、密度、空隙率、孔径がある。本発明のガス拡散電極において、多孔質フッ素樹脂膜の空隙率は、60%〜95%の範囲が好適であり、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上の範囲である。空隙率が60%未満では、ガス拡散能および水の排出が不十分であり、95%を超えると、機械的強度が著しく低下し、燃料電池を組み上げるまでの工程で破損しやすくなる。
なお、上記の空隙率は、(多孔質フッ素樹脂膜のフッ素樹脂の比重)×(多孔質フッ素樹脂膜のフッ素樹脂の質量含有率)=a、(粒子状の炭素材料の比重)×(多孔質フッ素樹脂膜における粒子状炭素材料の質量含有率)=b、(フィラーの比重)×(多孔質フッ素樹脂膜におけるフィラーの質量含有率)=c、(繊維状炭素材料の比重)×(多孔質フッ素樹脂膜における繊維状炭素材料の質量含有率)=d、および多孔質フッ素樹脂膜の密度を下記の式に代入することにより求めることができる。
空隙率(%)=[{(a+b+c+d)−多孔質フッ素樹脂膜の密度}/(a+b+c+d)]
×100
空隙率(%)=[{(a+b+c+d)−多孔質フッ素樹脂膜の密度}/(a+b+c+d)]
×100
また、密度は、以下に示すように、ガス拡散電極の多孔質フッ素樹脂膜の膜厚および単位面積当たりの質量で決定でき、0.10乃至0.75g/cm3の範囲が上記と同様の理由で好適である。
密度(g/cm3)=単位面積当たりの質量/(膜厚×単位面積)
密度(g/cm3)=単位面積当たりの質量/(膜厚×単位面積)
また、孔径は、1μm〜10μmの範囲が好適であり、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。孔径が1μm以下であると、ガス拡散能および水の排出が不十分である。
本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、次のようにして製造することができる。まず、フッ素樹脂を溶媒に溶解させ、繊維状と粒子状の炭素材料、さらに、場合によっては炭素材料以外のフィラーを分散させて溶媒混合物を作製する。次いで、前記フッ素樹脂が溶解する溶媒よりも沸点が高く、且つ前記フッ素樹脂を溶解しない溶媒を混合し、塗料を作製する。フッ素樹脂が溶解する溶媒としては、例えば、1−メチル−2−ピロリドンがあげられる。
また、フッ素樹脂を溶解しない溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールがあげられる。塗料の溶解・分散・混合は、市販の撹拌機、分散機を用いることができる。得られた塗料を、適当な基体の上に塗布し、乾燥することによって導電性の多孔質フッ素樹脂膜を形成し、本発明のガス拡散電極を得ることができる。なお、基体は、燃料電池に組み込む際には除去されるものであって、例えばポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)などが好適に使用される。
また、本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極が、上記の多孔質フッ素樹脂膜にシート状導電性多孔質体を積層した構造の場合には、上記のようにして形成された多孔質フッ素樹脂膜の上に、シート状の導電性多孔質体を重ね、熱プレス等によって加圧して接合することによって作製することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体は、上記のようにして作製された固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極が、高分子電解質膜の両面に触媒層を介して積層された構造を有するものである。この固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体は、次のようにして製造することができる。その製造方法の一つは、まず、基体の上に、上記と同様にして、繊維状炭素材料または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料の混合物を含むフッ素樹脂よりなる多孔質フッ素樹脂膜を形成してガス拡散電極を作製し、その上に触媒層形成用の塗料を塗布して触媒層付きガス拡散電極を作製し、次いで得られた2つの触媒層付きガス拡散電極を、それらの触媒層が高分子電解質膜の両面に接するように載置し、熱プレスによって、高分子電解質膜と触媒層付きガス拡散電極とを接合させる。次いで、基体を剥離することによって、固体高分子型燃料電池用の膜−電極接合体を作製することができる。
また、他の一つは、高分子電解質膜の両面に触媒層形成用の塗料を塗布して触媒層を形成し、触媒層付き高分子電解質膜を作製する。次いで、触媒層付き高分子電解質膜の触媒層両面に、それぞれ上記のようにして作製されたガス拡散電極を配し、熱プレスにて触媒層付き高分子電解質膜とガス拡散電極を接合させる。次いで、基体を剥離することによって、固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体を作製することができる。
本発明の膜−電極接合体の製造方法は、上記のように触媒層付きガス拡散電極又は触媒層付き高分子電解質膜を作製し、熱プレスによりそれぞれ高分子電解質膜又はガス拡散電極に接合し、触媒層付きガス拡散電極の触媒層面とは反対の面にある基体を剥離するのみであるので、膜−電極接合体を非常に簡単に製造することができる。また、形成された膜−電極接合体は、上記のガス拡散電極を備えているので、ガス・水の排出が良く、導電性に優れている。
したがって、カーボンペーパーをこの膜−電極接合体の両面に配し、そしてその外側にセパレータを配したセルよりなる本発明の固体高分子型燃料電池は、優れた発電特性を有するものとなる。なお、セパレータとしては、固体高分子型燃料電池において使用される公知のものならば如何なるものでも使用することができる。図5は、本発明の固体高分子型燃料電池の層構成を模式的に示す断面図であって、固体高分子電解質膜1の両面に触媒層2a、2bを介して上記ガス拡散電極3a、3bが設けられ、その外側にセパレータ4a、4bが配されている。
本発明を実施例によってより具体的に説明する。以下のようにガス拡散電極を作製し、続いて該ガス拡散電極を燃料極側および酸素極側の何れにも配備した固体高分子型燃料電池を作製し評価した。
[実施例1〜10、比較例1及び2]
(ガス拡散電極の製造)
フッ化ビニリデン樹脂30重量部を600重量部の1−メチル−2−ピロリドンに溶解し、これに平均一次粒子径40nmのアセチレンブラックおよび炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF(アスペクト比10〜500)を表1に記載の配合量で添加し、分散させて分散液を得た。次いで、45重量部のジエチレングリコールを混合・撹拌して塗料を得た。得られた塗料を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムにアプリケーターを用いて塗工して塗工膜を得、乾燥させて、多孔質フッ素樹脂膜よりなるガス拡散電極を得た。
(ガス拡散電極の製造)
フッ化ビニリデン樹脂30重量部を600重量部の1−メチル−2−ピロリドンに溶解し、これに平均一次粒子径40nmのアセチレンブラックおよび炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF(アスペクト比10〜500)を表1に記載の配合量で添加し、分散させて分散液を得た。次いで、45重量部のジエチレングリコールを混合・撹拌して塗料を得た。得られた塗料を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムにアプリケーターを用いて塗工して塗工膜を得、乾燥させて、多孔質フッ素樹脂膜よりなるガス拡散電極を得た。
(物性値測定と空隙つぶれ確認試験)
得られたガス拡散電極の単位面積当たりの質量と膜厚を測定した。測定した質量から密度を算出し、前期の空隙率を算出した。続いて、熱プレスによる空隙つぶれの程度を確認するために、ポリエチレンナフタレートフィルム上で熱プレス(120℃、10MPa、10分)して、熱プレス後の膜厚を測定した。続いて、膜厚変化率(%)を次式によって求めた。
膜厚変化率(%)=(熱プレス前の膜厚−熱プレス後の膜厚)/熱プレス前の膜厚×100
得られたガス拡散電極の単位面積当たりの質量と膜厚を測定した。測定した質量から密度を算出し、前期の空隙率を算出した。続いて、熱プレスによる空隙つぶれの程度を確認するために、ポリエチレンナフタレートフィルム上で熱プレス(120℃、10MPa、10分)して、熱プレス後の膜厚を測定した。続いて、膜厚変化率(%)を次式によって求めた。
膜厚変化率(%)=(熱プレス前の膜厚−熱プレス後の膜厚)/熱プレス前の膜厚×100
表1に、アセチレンブラックと炭素繊維の配合量、熱プレス前および後の膜厚、膜厚変化率及び熱プレス前の空隙率を示す。
(ガス拡散電極の観察)
上記実施例4と比較例2のガス拡散電極について、熱プレス前と熱プレス後の断面細部構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した(図1乃至図4)。熱プレス前の画像では、実施例4及び比較例2では、共にフッ素樹脂が多孔質膜を形成しており、そして、アセチレンブラックが炭素繊維とフッ素樹脂の表面及び内部に存在していることが確認できた。また、熱プレス後の画像では、実施例4では空隙つぶれが小さかったが(図2参照)、比較例2では空隙構造につぶれが生じ、上下の表面層のフッ素樹脂に引き寄せられるようにつぶれていることが判明した(図4参照)。
上記実施例4と比較例2のガス拡散電極について、熱プレス前と熱プレス後の断面細部構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した(図1乃至図4)。熱プレス前の画像では、実施例4及び比較例2では、共にフッ素樹脂が多孔質膜を形成しており、そして、アセチレンブラックが炭素繊維とフッ素樹脂の表面及び内部に存在していることが確認できた。また、熱プレス後の画像では、実施例4では空隙つぶれが小さかったが(図2参照)、比較例2では空隙構造につぶれが生じ、上下の表面層のフッ素樹脂に引き寄せられるようにつぶれていることが判明した(図4参照)。
比較例2と実施例4のガス拡散電極について、膜厚変化率を比較したところ、比較例2では53.8%もつぶれているのに対して、実施例4では比較例2の半分以下の24.2%しかつぶれが生じていず、孔つぶれに対して顕著な抑制効果があることが判明した。
また、比較例1は、実施例3の炭素繊維をアセチレンブラックで置き換えたものに該当するものであるが、すなわちアセチレンブラックの重量部が実施例3の炭素材料(アセチレンブラックと炭素繊維の合計)の重量部と等しいが、膜厚変化率が51.2%であり、実施例3の26.0%に比べて大きかった。この結果より、アセチレンブラックでは、炭素繊維に比べ、空隙つぶれ抑制の効果が期待できないことが確認できた。
[実施例1−A〜実施例10−A、比較例1−A及び比較例2−A]
(固体高分子型燃料電池の作製例A)
実施例1〜10、比較例1〜2で得られた50mm角のガス拡散電極(基材付き)を2枚用意した。白金触媒を担持させたカーボンとイオン伝導性樹脂および水とエタノールの混合溶媒からなる触媒塗料を2枚のガス拡散電極の多孔質膜の表面にそれぞれ塗布・乾燥し、触媒層を形成し、触媒層付きガス拡散電極を得た。それぞれの白金触媒の量は、0.3mg/cm2であった。次いで、触媒層付きガス拡散電極を、触媒層面が高分子電解質膜(デュポン社製、商品名:ナフィオン117)と接するように配し、熱プレス(120℃、10MPa、10分)にて触媒層付きガス拡散電極と高分子電解質膜とを接合し、ガス拡散電極製造時に用いた基材であるPENフィルムを剥離除去して、膜−電極接合体を得た。得られた膜−電極接合体の両側にカーボンペーパーを配し、その外側に黒鉛製セパレータを配し、単セルに組み込んで評価用の固体高分子型燃料電池を得た(実施例1−A〜実施例10−A、比較例1−A及び比較例2−A)。
(固体高分子型燃料電池の作製例A)
実施例1〜10、比較例1〜2で得られた50mm角のガス拡散電極(基材付き)を2枚用意した。白金触媒を担持させたカーボンとイオン伝導性樹脂および水とエタノールの混合溶媒からなる触媒塗料を2枚のガス拡散電極の多孔質膜の表面にそれぞれ塗布・乾燥し、触媒層を形成し、触媒層付きガス拡散電極を得た。それぞれの白金触媒の量は、0.3mg/cm2であった。次いで、触媒層付きガス拡散電極を、触媒層面が高分子電解質膜(デュポン社製、商品名:ナフィオン117)と接するように配し、熱プレス(120℃、10MPa、10分)にて触媒層付きガス拡散電極と高分子電解質膜とを接合し、ガス拡散電極製造時に用いた基材であるPENフィルムを剥離除去して、膜−電極接合体を得た。得られた膜−電極接合体の両側にカーボンペーパーを配し、その外側に黒鉛製セパレータを配し、単セルに組み込んで評価用の固体高分子型燃料電池を得た(実施例1−A〜実施例10−A、比較例1−A及び比較例2−A)。
[実施例1−B〜実施例10−B、比較例1−B及び比較例2−B]
(固体高分子型燃料電池の作製例B)
高分子電解質膜(デュポン社製、商品名:ナフィオン117)の両面に、白金触媒を担持させたカーボンとイオン伝導性樹脂および溶媒からなる触媒塗料を塗布・乾燥し、触媒層を形成して、触媒層付き高分子電解質膜を得た。それぞれの白金触媒の量は、0.3mg/cm2であった。次いで、前記実施例1〜10、比較例1〜2で得られたガス拡散電極(基材付き)を、ガス拡散電極面が触媒層付き高分子電解質膜に接するように配し、熱プレス(120℃、10MPa、10分)にて触媒層付き高分子電解質膜とガス拡散電極とを接合し、ガス拡散電極製造時に用いた基材であるPENフィルムを剥離除去して、膜−電極接合体を得た。得られた膜−電極接合体の両面にカーボンペーパーを配し、その外側に黒鉛製セパレータを配し、単セルに組み込んで評価用の固体高分子型燃料電池を得た(実施例1−B〜実施例10−B、比較例1−B及び比較例2−B)。
(固体高分子型燃料電池の作製例B)
高分子電解質膜(デュポン社製、商品名:ナフィオン117)の両面に、白金触媒を担持させたカーボンとイオン伝導性樹脂および溶媒からなる触媒塗料を塗布・乾燥し、触媒層を形成して、触媒層付き高分子電解質膜を得た。それぞれの白金触媒の量は、0.3mg/cm2であった。次いで、前記実施例1〜10、比較例1〜2で得られたガス拡散電極(基材付き)を、ガス拡散電極面が触媒層付き高分子電解質膜に接するように配し、熱プレス(120℃、10MPa、10分)にて触媒層付き高分子電解質膜とガス拡散電極とを接合し、ガス拡散電極製造時に用いた基材であるPENフィルムを剥離除去して、膜−電極接合体を得た。得られた膜−電極接合体の両面にカーボンペーパーを配し、その外側に黒鉛製セパレータを配し、単セルに組み込んで評価用の固体高分子型燃料電池を得た(実施例1−B〜実施例10−B、比較例1−B及び比較例2−B)。
(固体高分子型燃料電池の評価)
上記、固体高分子型燃料電池24種(実施例1−A〜実施例10−A、比較例1−A及び比較例2−A並びに実施例1−B〜実施例10−B、比較例1−B及び比較例2−B)の発電特性を下記の要領で評価した。固体高分子型燃料電池の供給ガスとして、燃料極側に水素ガスおよび酸素極側に酸素ガスを用いた。水素ガスは85℃の加湿温度で500mL/min、0.1MPaとなるように供給し、酸素ガスは70℃の加湿温度で1000mL/min、0.1MPaとなるように供給した。この条件下で、電流密度1A/cm2での電圧を測定した。その結果を表2に示す。
上記、固体高分子型燃料電池24種(実施例1−A〜実施例10−A、比較例1−A及び比較例2−A並びに実施例1−B〜実施例10−B、比較例1−B及び比較例2−B)の発電特性を下記の要領で評価した。固体高分子型燃料電池の供給ガスとして、燃料極側に水素ガスおよび酸素極側に酸素ガスを用いた。水素ガスは85℃の加湿温度で500mL/min、0.1MPaとなるように供給し、酸素ガスは70℃の加湿温度で1000mL/min、0.1MPaとなるように供給した。この条件下で、電流密度1A/cm2での電圧を測定した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜10のガス拡散電極を備えた固体高分子型燃料電池、(実施例1−A〜実施例10−A及び実施例1−B〜実施例10−B)は、比較例1及び2のガス拡散電極を備えた固体高分子型燃料電池(比較例1−A、比較例2−A、比較例1−B及び比較例2−B)よりも、電流密度1A/cm2での電圧は高く、発電特性が優れていた。これは、本発明のガス拡散電極が、繊維状の炭素材料のみ、または繊維状炭素材料と微粒子状炭素材料とを複合して含有するフッ素樹脂よりなる多孔質膜を有するので、燃料電池運転時の加湿水や生成水によるフラッディングを防止することができ、ガス透過性が高くなったことによるものであり、その結果、本発明の固体高分子型燃料電池は、発電特性に代表される電池性能が良好になっている。
1…固体高分子電解質膜、2a、2b…触媒層、3a、3b…ガス拡散電極、4a、4b…セパレータ。
Claims (13)
- 少なくとも繊維状炭素材料を含む炭素材料をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布することによって形成された多孔質フッ素樹脂膜を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記炭素材料が繊維状炭素材料のみよりなることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記炭素材料が繊維状炭素材料と粒子状炭素材料とからなることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記繊維状炭素材料のアスペクト比が10〜500の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記フッ素樹脂がフッ化オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 粒子状炭素材料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項3に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記カーボンブラックがアセチレンブラックであることを特徴とする請求項6に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記フッ素樹脂と繊維状炭素材料との配合比が、フッ素樹脂1重量部に対して、繊維状炭素材料0.005重量部乃至370重量部であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記多孔質フッ素樹脂膜にシート状導電性多孔質体が積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
- 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極が、高分子電解質膜の両面に触媒層を介して積層されてなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体。
- 基体上に、繊維状炭素材料または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料の混合物をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布することによって多孔質フッ素樹脂膜を形成した後、該多孔質フッ素樹脂膜上に触媒層を形成し、触媒層付きガス拡散電極を得る第1工程と、該触媒層付きガス拡散電極の触媒層面を、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配し、熱プレスにて、触媒層付きガス拡散電極と高分子電解質膜とを接合する第2工程と、各触媒層付きガス拡散電極から基体を剥離する第3工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
- 高分子電解質膜の両面に触媒層を形成して、触媒層付き高分子電解質膜を得る第1工程と、基体上に繊維状炭素材料または繊維状炭素材料と粒子状炭素材料の混合物をフッ素樹脂溶液に分散した塗布液を塗布して形成した多孔質フッ素樹脂膜を有するガス拡散電極を、該多孔質フッ素樹脂膜が上記触媒層付き高分子電解質膜の各触媒層面に接触するように配し、熱プレスにて触媒層付き高分子電解質膜とガス拡散電極を接合する第2工程と、各ガス拡散電極から基体を剥離する第3工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
- 固体高分子電解質膜の両面に、触媒層を介して請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極を設け、その外側にセパレータを配したことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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