JP2019101356A - 画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents

画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに含有させることで良好な定着性を付与することができ、着色剤と混ぜても所望の色を再現できる画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。【解決手段】本発明の画像記録用組成物は、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに用いることができる画像記録用組成物であって、光異性化化合物を含有し、当該光異性化化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体であることを特徴とする。【化1】(上記一般式(1)において、R1は、アルキル基を表す。R2は、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。R3〜R10は、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよいアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法に関する。より詳しくは、本発明は、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに含有させることで良好な定着性を付与することができ、着色剤と混ぜても所望の色を再現できる画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法に関する。
省エネルギー化や対応メディアの拡大される中、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクを記録媒体に定着させる際に、熱とは異なるエネルギーで定着する方法が注目されている。中でも光によって定着する方法が注目されており、光によって軟化する現像剤(光溶融トナー)も報告されている。
特許文献1及び特許文献2に記載の光溶融トナーは、光を吸収し固体から液体へ相転移する材料(光相転移材料)を含有していることが特徴である。しかし、このような光相転移材料の報告例は極めて少なく、光相転移のメカニズムが十分には明らかになっておらず、光溶融トナーの光軟化メカニズムも同様である。
また、特許文献1及び特許文献2に記載されているトナーに用いられている光相転移材料は、アゾベンゼン誘導体である。アゾベンゼン誘導体は、光を吸収し固体状態から軟化(光相転移)する材料であることが知られている。また、アゾベンゼン化合物の光相転移は、シス−トランス異性化により結晶構造が崩れることで生じていると考えられている。
しかしながら、アゾベンゼン誘導体は、黄色い着色があるため、着色剤と混合してトナーにする際に所望の色再現ができないという問題があった。アゾベンゼン誘導体は、置換基の選択により多少色を調整することはできても、根本的に無色化することは困難である。
特開2014−191077号公報 特開2014−191078号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに含有させることで良好な定着性を付与することができ、着色剤と混ぜても所望の色を再現できる画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、所定の構造を有するスチルベン誘導体を、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに含有させることで、定着性を向上できるとともに、当該スチルベン誘導体が透明であるため着色剤と混ぜても所望の色を再現できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに用いることができる画像記録用組成物であって、
光異性化化合物を含有し、当該光異性化化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体であることを特徴とする画像記録用組成物。
Figure 2019101356
(上記一般式(1)において、Rは、アルキル基を表す。Rは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよいアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。)
2.前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数が1〜10のアルキル基であることを特徴とする第1項に記載の画像記録用組成物。
3.前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数が2〜6のアルキル基であることを特徴とする第1項に記載の画像記録用組成物。
4.前記一般式(1)におけるRのアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基に含まれるアルキル鎖の炭素原子数が、1〜12であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
5.前記一般式(1)におけるRのアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基に含まれるアルキル鎖の炭素原子数が、4〜8であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
6.前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数4〜8のアルコキシ基であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
7.前記一般式(1)におけるR〜R10が、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよい炭素原子数が1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
8.前記スチルベン誘導体の最大光吸収波長が、320〜410nmの波長域内にあることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
9.トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子中に、第1項から第8項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
10.前記トナー粒子中に、結着樹脂を含有することを特徴とする第9項に記載の静電荷像現像用トナー。
11.前記結着樹脂が、スチレン−アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする第10項に記載の静電荷像現像用トナー。
12.前記トナー粒子中に、着色剤を含有することを特徴とする第9項から第11項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
13.光照射によって画像を定着する工程を有する画像形成方法であって、
第1項から第8項までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物を含有する静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクを用いて、記録媒体上に画像を形成する工程と、
前記記録媒体上に形成された画像に対して、320〜410nmの波長領域内の光を照射し、当該画像を定着する工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
14.前記画像に前記光を照射した後に、前記画像が形成された前記記録媒体を加圧部材により加圧する工程を含むことを特徴とする第13項に記載の画像形成方法。
15.前記加圧部材の温度が、30〜100℃の範囲内であることを特徴とする第14項に記載の画像形成方法。
本発明によれば、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに含有させることで良好な定着性を付与することができ、着色剤と混ぜても所望の色を再現できる画像記録用組成物、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することができる。本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明に係るスチルベン誘導体には、2個のベンゼン環のパラ位に片方はジアルキルアミノ基を導入し、もう片方にジアルキルアミノ基より電子吸引性の大きい置換基であるアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を導入している。これにより、320〜410nmの波長域内に高い吸光係数のピークを有しやすくなり、ほぼ無色のスチルベン誘導体を提供することができる。
一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体を含有させた静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに光照射すると、当該スチルベン誘導体が光異性化することにより相転移をおこし軟化溶融するので、良好な定着性を付与することができると推察される。
さらに、本発明に係るスチルベン誘導体は無色であり、トナーに添加する際に、着色剤と混ぜても所望の色再現を実現できる。
本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図 図1の画像形成装置のトナー像定着装置を拡大した模式図
本発明の画像記録用組成物は、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに用いることができる画像記録用組成物であって、光異性化化合物を含有し、当該光異性化化合物が、上記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体であることを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより有効に得ることができる融点にする観点から、前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数が1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が2〜6のアルキル基であることがより好ましい。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより有効に得る観点から、静電荷像現像用トナーに含有する結着樹脂との相溶性が向上するために、前記一般式(1)におけるRのアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基に含まれるアルキル鎖の炭素原子数が、1〜12であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。また、Rが、炭素原子数4〜8のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより有効に得る観点から、前記一般式(1)におけるR〜R10が、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよい炭素原子数が1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより有効に得る観点から、汎用的な350〜405nmのUV光源を使用して最も光吸収効率を高くするために、前記スチルベン誘導体の最大光吸収波長が、320〜410nmの波長域内にあることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー粒子中に、本発明の画像記録用組成物を含有することを特徴とする。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより有効に得る観点から、前記トナー粒子中に、結着樹脂を含有することが好ましい。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより有効に得る観点から、前記結着樹脂が、スチレン−アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の実施態様としては、前記トナー粒子中に、着色剤を含有することが好ましい。
本発明の画像形成方法は、光照射によって画像を定着する工程を有する画像形成方法であって、本発明の画像記録用組成物を含有する静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクを用いて、記録媒体上に画像を形成する工程と、前記記録媒体上に形成された画像に対して、320〜410nmの波長領域内の光を照射し、当該画像を定着する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の実施態様としては、記録媒体への定着性をより向上させる観点から、前記画像に前記光を照射した後に、前記画像が形成された前記記録媒体を加圧部材により加圧する工程を含むことが好ましい。また、前記加圧部材の温度が、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
[画像記録用組成物]
本発明の画像記録用組成物は、静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに用いることができる画像記録用組成物であって、光異性化化合物を含有し、当該光異性化化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体である。
Figure 2019101356
上記一般式(1)において、Rは、アルキル基を表す。また、炭素原子数が多いと融点が下がり、炭素原子数が少ないと結晶性が高くなって融点が高くなるので、本発明の効果をより有効に得ることができる融点とするために、Rは、炭素原子数が1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が2〜6のアルキル基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)において、Rは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。また、Rは、本発明の効果をより有効に得る観点から、静電荷像現像用トナーに含有する結着樹脂との相溶性が向上するために、上記一般式(1)におけるRのアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基に含まれるアルキル鎖の炭素原子数が、1〜12であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。また、Rが、炭素原子数4〜8のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
また、上記一般式(1)において、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよいアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。また、R〜R10は、シス−トランス異性化に必要な自由体積を確保しやすくするため、分岐を有していてもよい炭素原子数が1〜4のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、分岐を有していてもよい炭素原子数が1〜2のアルキル基又はアルコキシ基がより好ましい。
〜R10に導入する置換基の数が増えると融点が下がる傾向にあるため、トナーの耐熱保管の観点から、R〜R10のうち置換基を導入する数は、1個又は2個であることが好ましい。
また、上記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体の最大光吸収波長は、320〜410nmの波長域内にあることが本発明の効果をより有効に得る観点から好ましい。
また、本発明に係るスチルベン誘導体の化合物例を以下の表Iに示す。表Iは、上記一般式(1)のR〜R10に導入される水素原子又は置換基の例を示している。ただし、本発明に係るスチルベン誘導体は、表Iに示す化合物例に限られない。
また、本発明において、「最大光吸収波長」は、分子軌道計算用ソフトウェアを用いて算出したものを用いている。具体的には、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)を用い、分子軌道計算用ソフトウェアとして、米国Gaussian社製のGaussian09(Revision C.01,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,2010.)を用いて計算した。なお、ソフトウェアには、特に限定はなく、いずれを用いても同様に求めることができる。
Figure 2019101356
本発明の画像記録用組成物を含有させた静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーとも称する。)又はインクジェット用インク(以下、単にインクとも称する。)に光照射すると、当該スチルベン誘導体が光異性化することにより相転移をおこし軟化溶融するので、トナー又はインクに良好な定着性を付与することができると推察される。
次に、まず本発明の画像記録用組成物を含有する静電荷像現像用トナーについて詳細に説明する。
[静電荷像現像用トナー]
本発明に係るトナーは、少なくともトナー粒子を含んで構成され、当該トナー粒子に本発明の画像記録用組成物を含有するものである。
また、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。また、トナー粒子は、少なくともトナー母体粒子を含有し、トナー粒子とは、トナー母体粒子自体又は当該トナー母体粒子に、少なくとも外添剤を添加したものをいう。
<トナー母体粒子>
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂中に本発明の画像記録用組成物を含有するものであることが好ましい。また、トナー母体粒子には、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
また、本発明に係るトナー母体粒子を製造する方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。
<結着樹脂>
トナー母体粒子に含有する結着樹脂としては、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられている樹脂を制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂、及びエポキシ樹脂などが挙げられる。これら結着樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、溶融すると低粘度になり、かつ高いシャープメルト性を有するという観点から、結着樹脂は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレン−アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、結着樹脂のガラス転移温度Tgは、耐熱保管性等の観点から、好ましくは35〜70℃であり、より好ましくは40〜60℃である。
ここで、ガラス転移温度Tgは、非晶性樹脂単独のガラス転移温度に基づいてバインダーの合成に用いる単量体種を適宜選択すること、単量体の共重合比(質量比)や分子量を調節することによって、調整することができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体を例にとると、単量体全体に対し、ガラス転移温度の低いn−ブチルアクリレートの共重合比(質量比)を大きくすることによりガラス転移温度(Tg)を低くすることができる。また、ガラス転移温度の高いスチレンの共重合比(質量比)を大きくすることにより、ガラス転移温度(Tg)を高くすることができる。また、非晶性ポリエステル樹脂を例にとると、ジカルボン酸単量体及びジオール単量体の種類、及び、これらの混合比率(質量比)を調節することにより、ガラス転移温度を制御することができる。例えば、トリメリット酸のような3官能以上の多官能単量体を任意の重合比(質量比)で共重合させることにより、分子内や分子間で架橋を生じさせ、ガラス転移温度を高くすることができる。
結着樹脂は、「上記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体:結着樹脂=5:95〜80:20(質量比)」の範囲内となるように含有させることが好ましい。この範囲内であれば、スチルベン誘導体の光相転移が生じやすくし、トナーの光照射による軟化速度が十分なものとなりやすい。
<着色剤>
本発明に係るトナー母体粒子には、着色剤として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色素は公知の材料を用いることができる。また、二酸化チタン等の無機粒子を用いた着色剤(白色)も使用することができる。着色剤の具体例は以下のとおりである。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などの顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同60、同62、同66、同76、同15:3などの顔料が挙げられる。
白色の着色剤としては、具体的には、例えば、無機顔料(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、チタンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネートカオリン、アルミノケイ酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト等)、有機顔料(例えば、ポリスチレン樹脂粒子、尿素ホルマリン樹脂粒子等)が挙げられる。また中空構造を有する顔料、例えば、中空樹脂粒子、中空シリカ等も挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、トナー中に0.5〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
<離型剤>
本発明に係るトナーは、離型剤を含有してもよい。使用される離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン又は酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィン、合成エステルワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、特に、低融点及び低粘度であることから、合成エステルワックスを用いることが好ましく、合成エステルワックスとしてベヘン酸ベヘニル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどを用いることが特に好ましい。
離型剤の含有割合は、トナー中1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、3〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明に係るトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の正帯電性の荷電制御剤及び負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー中0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
<外添剤>
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などの無機粒子が挙げられる。これらは単独でも又は2種以上を組み合わせても用いることができる。
これら無機粒子は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性や環境安定性の向上のために、表面が修飾されていてもよい。
これら外添剤の添加量は、トナー中0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。
<トナーの粒径>
トナーの粒径は、体積基準のメジアン径(D50)で4〜10μmであることが好ましく、4〜7μmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径(D50)が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなりハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
本発明において、トナーの体積基準のメジアン径(D50)は、「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター(株)製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター(株)製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター(株)製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定する粒子の数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径(D50)とされる。
[二成分現像剤]
本発明に係るトナーと、下記キャリア粒子とを混合することにより、二成分現像剤を得ることができる。混合の際に用いられる混合装置としては特に制限されないが、例えば、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機等が挙げられる。
二成分現像剤中のトナーの含有量(トナー濃度)は、特に制限されないが、4.0〜8.0質量%であると好ましい。
<キャリア粒子>
キャリア粒子は、磁性体により構成され、公知のものを用いることができる。例えば、キャリア粒子としては、磁性体からなる芯材粒子と、当該芯材粒子の表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子や、樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子等が挙げられる。キャリア粒子は、感光体に対するキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。以下、被覆型キャリア粒子について説明する。
被覆型キャリア粒子を構成する芯材粒子(キャリアコア)は、磁性体、例えば、磁場によって強く磁化する物質によって構成される。磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル及びコバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物、並びに熱処理することにより強磁性を示す合金等が挙げられる。上記磁性体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記強磁性を示す金属及びこれらの金属を含む合金又は化合物としては、鉄、下記式(a)で表されるフェライト、及び、下記式(b)で表されるマグネタイトが挙げられる。式(a)、式(b)中のMは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiからなる群から選択される一つ以上の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金としては、マンガン−銅−アルミニウム及びマンガン−銅−スズなどのホイスラー合金、並びに、二酸化クロム等が挙げられる。
一般に、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなる。よって、現像容器内における撹拌の衝撃力をより小さくするという観点から、上記の中でも、芯材粒子として、各種のフェライトを用いると好ましい。
上記芯材粒子の表面を被覆材(キャリアコート樹脂)により被覆することにより、被覆型キャリア粒子を得ることができる。このとき、被覆材としては、芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。かような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル樹脂及びポリビニリデン樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やスチレン−アクリル酸共重合体などの共重合体樹脂;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性樹脂(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどによる変性樹脂);ポリフッ化ビニルなどのフッ素樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリカーボネート樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点、及び、被覆材と芯材粒子との密着性を高める観点から、被覆材は、シクロアルキル基を有する樹脂であると好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が挙げられる。なかでも、被覆材と芯材粒子(好ましくはフェライト粒子)との密着性の観点からシクロペンチル基又はシクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
被覆材としてのキャリアコート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、10000〜800000の範囲内であると好ましく、100000〜750000の範囲内であるとより好ましい。なお、上記重量平均分子量(Mw)は、実施例の結晶性樹脂の分子量測定に記載のGPC装置を用いた方法により測定することができる。当該樹脂における上記シクロアルキル基を有する構成単位の含有量は、例えば10〜90質量%である。なお、樹脂中のシクロアルキル基を有する構成単位の含有量は、例えば、熱分解−ガスクロマトグラフ/質量分析(Py−GC/MS)やH−NMR等によって求めることが可能である。
上記被覆材及び芯材粒子に対して機械的衝撃力や熱を加えることにより、被覆材を芯材粒子に対して付着、固着させることができ、これにより、キャリアを得ることができる。
キャリア粒子の体積基準のメジアン径は、15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
キャリア粒子のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(株式会社日本レーザー製)を用いて湿式にて測定されるものである。具体的には、まず、焦点位置200mmの光学系を選択し、測定時間を5秒に設定する。そして、測定用の磁性体粒子を0.2%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波洗浄機「US−1」(アズワン株式会社製)を用いて3分間分散させて測定用試料分散液を作製し、これをレーザー回折式粒度分布測定装置に数滴供給し、試料濃度ゲージが測定可能領域に達した時点で測定を開始する。得られた粒度分布を粒度範囲(チャンネル)に対して、小径側から累積分布を作成し、累積50%となる粒径を体積平均粒子径とする。
[トナーの製造方法]
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
また、本発明に係るトナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液に貧溶媒を滴下して転相乳化を行ったのちに脱溶媒することで、樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のトナーの製造方法として、乳化凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1A)結着樹脂粒子の分散液を調製する工程
(1B)本発明に係る光異性化化合物の粒子の分散液を調製する工程
(2)結着樹脂粒子、本発明に係る光異性化化合物の粒子、及び必要に応じて含まれる着色剤粒子が混合された水系媒体中に、凝集剤を添加し、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行い、会合粒子を形成する会合工程
(3)会合粒子の形状制御をすることによりトナー粒子を形成する熟成工程
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤等を除去する濾過、洗浄工程
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程
(6)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
本発明のトナーの製造方法は、上記各工程を含むことが好ましい。トナーが着色剤を含む場合は、(2)の会合工程の前に、(1C)着色剤粒子の分散液を調製する工程を行うことが好ましい。
なお、上述した(2)における必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子は、2層以上の多層構造を有するように製造してもよい。例えば3層構造を有する結着樹脂微粒子を製造する場合、第1段重合(内層の形成)、第2段重合(中間層の形成)及び第3段重合(外層の形成)の3段階に分けて結着樹脂微粒子を合成する重合反応を行うことで、製造することができる。また、ここで、第1段重合〜第3段重合のそれぞれの重合反応において、重合性単量体の組成を変更することで、組成の異なる3層構成の結着樹脂微粒子を製造できる。また、例えば、第1段重合〜第3段重合のいずれかにおいて、離型剤等の適宜の内添剤を含有した状態で結着樹脂の合成反応を行うことで、適宜の内添剤を含有する3層構成の結着樹脂微粒子を形成することができる。
このように、着色剤の「微粒子」と、非晶性樹脂「微粒子」や結晶性樹脂「微粒子」などの結着樹脂「微粒子」とが凝集、会合、融着することで、トナー母体「粒子」を形成するものとすることができる。
<外添剤処理工程>
トナー母体粒子に対する外添剤の外添混合処理(外添剤処理工程)は、機械式混合装置を用いることができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする又は撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行えばよい。また、複数種類の外添剤を使用する場合、トナー粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、又は外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
外添剤の混合方法は、上記機械式混合装置を用いて、混合強度、すなわち撹拌羽根の周速、混合時間、又は、混合温度等を制御することによって外添剤の解砕度合いや付着強度を制御することができる。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、光照射によって画像を定着する工程を有する画像形成方法であって、本発明の画像記録用組成物を含有する静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクを用いて、記録媒体上に画像を形成する工程と、前記記録媒体上に形成された画像に対して、320〜410nmの波長領域内の光を照射し、当該画像を定着する工程と、を含むことを特徴とする。
以下、静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法について、電子写真画像形成方法の具体例を挙げて説明をする。
本発明に係る電子写真画像形成方法は、例えば、回転駆動される感光体の回転方向に沿って、帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を行うことによって記録媒体上に画像を形成する工程と、当該記録媒体上に形成された画像に対して所定の光を照射して画像を定着する工程と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング工程と、を有する。
また、記録媒体への定着性をより向上させる観点から、前記画像に前記光を照射した後に、前記画像が形成された前記記録媒体を加圧部材により加圧する工程を含むことが好ましい。また、前記加圧部材の温度が、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の効果発現を阻害しない範囲内で公知の工程を経て画像を形成することとすればよい。
なお、記録媒体としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、具体的には、例えば、普通紙や塗工紙といった用紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に付着した色材を定着させることが可能な種々の媒体が挙げられる。
以下、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程、加圧工程及びクリーニング工程について順に説明する。
<帯電工程>
本工程では、電子写真感光体を帯電させる。帯電させる方法は、特に限定されず、例えば、帯電ローラーによって電子写真感光体の帯電が行われる帯電ローラー方式など、公知の方法でよい。
<露光工程>
本工程では、電子写真感光体(静電潜像担持体)上に静電潜像を形成する。
電子写真感光体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリシラン又はフタロポリメチンなどの有機感光体よりなるドラム状のものが挙げられる。
静電潜像の形成は、例えば、電子写真感光体の表面を帯電手段により一様に帯電させ、露光手段により電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行われる。なお、静電潜像とは、このような帯電手段によって電子写真感光体の表面に形成される像である。
帯電手段及び露光手段としては、特に限定されず、電子写真方式において一般的に使用されているものを用いることができる。
<現像工程>
本工程は、静電潜像を、トナー(一般的には、トナーを含む乾式現像剤)により現像してトナー像を形成する工程である。
トナー像の形成は、例えば、トナーを含む乾式現像剤を用いて、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラーとからなる現像手段を用いて行われる。
具体的には、現像手段においては、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラーの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラーは、電子写真感光体近傍に配置されているため、マグネットローラーの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって電子写真感光体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて電子写真感光体の表面にトナー像が形成される。
<転写工程>
本工程では、記録媒体へのトナー像の転写をする。
トナー像の記録媒体への転写は、トナー像を記録媒体に剥離帯電することにより行われる。
転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラーなどを用いることができる。
また、転写する工程は、例えば、中間転写体を用い、中間転写体上にトナー像を一次転写した後、このトナー像を記録媒体上に二次転写する態様の他、電子写真感光体上に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する態様などによって行うこともできる。
<定着工程>
本発明に係る定着工程は、記録媒体上に形成された画像(トナー像)に対して、320〜410nmの波長領域内の光を照射し、当該画像を定着する工程を有する。
本発明に係る画像記録用組成物に含有するスチルベン誘導体は、320〜410nm付近の波長域内に最大光吸収波長を有するので、320〜410nmの波長領域内の光を照射することで、本発明の効果をより効率よく発現でき、さらには、消費電力を低減できる。また、照射する光の波長が300nm以上であれば、トナー像が含有する樹脂等の化合物の開裂が起きにくくなるため好ましい。
また、定着工程では、前記トナーの極大吸収波長に関わらず一定の波長の光を照射することが好ましい。一定の波長の光を照射することにより、画像形成装置内のスペースを取りすぎることを抑制でき、制御が煩雑となることを回避できる。
なお、光源の「最大発光波長」とは、光源の発光スペクトルにおいて、発光ピーク(発光帯)の極大値のうち、発光強度が最大となる発光波長をいう。
また、トナーの「極大吸収波長」とは、トナーの吸収スペクトルにおいて、吸収ピーク(吸収帯)の極大値のうち、吸収強度が最大となる吸収波長をいう。
また、光を照射する方法は特に限定されず、320〜410nmの波長領域内の光を照射できる光源を使用する方法であればよい。例えば、光源を光ファイバーで導光する方法など公知の光源・方法を用いることができ、特に、発光ダイオード又はレーザー光源などの光源によって光を照射する方法が好ましい。発光ダイオード又はレーザー光源を使用することで、320〜410nmの波長領域内の光によって、本発明に係る固体から液体へ相転移効果を好適に発現でき、さらには、消費電力を低減できることから好ましい。
また、光を照射するための光源の数は特に限定されない。特に、本工程では、単一又は複数の光源を有し、かつ、記録媒体上に転写されたトナー像に対して、当該トナー像が含有するトナーの極大吸収波長に関わらず、全ての光源から光を照射することが好ましい。本発明に係る320〜410nmの波長領域内の光は、トナーに通常使用される着色剤(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイトなど。)が吸収する。このため、光源の数や波長領域の違いに関わらず一斉に光を照射しても、問題なく本発明の効果を発現できる。したがって、複数の光源を有していても、全ての光源から光を照射することができ、ひいては、光源ごとのON/OFF制御を必要としないような簡素な制御でも効果を発現することができる。
<加圧工程>
定着工程の後に、画像が形成された前記記録媒体を加圧部材により加圧する工程を含むことが好ましい。
加圧する方法としては、トナー像が形成された記録媒体を加圧できる構成であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、後述の加圧部9が有する加圧部材91及び92などのローラーによって加圧することとしてもよい。
トナー像が形成された記録媒体への加圧力は、特に限定されないが、0.01〜1.0MPaの範囲内が好ましく、0.05〜0.8MPaの範囲内がより好ましい。この範囲内で加圧することで、より好適に内部の空気を押し出すことができ、かつ、伝熱を好適に促進することができる。具体的には、0.01MPa以上であれば、トナーの変形量を十分にでき、より好適に内部の空気を押しだすことができる。また、1.0MPa以下であれば、画像の光沢が大きくなりすぎることを回避しやすくなる。
なお、加圧する工程は光を照射する工程の後に有することが好ましい。
また、加圧工程で用いる加圧部材の温度は、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。トナー像が形成された記録媒体を、加圧しつつ、加熱することで、光照射によって軟化したトナー像は、この加熱によりさらに軟化させ、その結果、トナー像の記録媒体への定着性がより向上させることができる。
なお、加圧部材は、特に限定されない。具体的には、例えば、後述の加圧部材91及び92のような加熱可能なローラーを使用することで、トナー像を加圧しつつ、加熱することとしてもよい。
また、加圧工程で用いる加圧部材の温度は、トナー像を形成するトナーのうち、ガラス転移温度の最も低い色のトナーのガラス転移温度をTg-minとしたときに、前記トナー像の表面温度を、(Tg-min+20)℃以上の温度まで加熱することが好ましく、より好ましくはガラス転移温度(Tg-min+20)〜(Tg-min+100)℃の範囲内であり、更に好ましくは(Tg-min+25)〜(Tg-min+80)℃の範囲内である。前記範囲で加熱することで、より確実に効果を発現することができる。なお、(Tg-min+20)℃以上であれば、加圧による効果を十分に得ることができ、(Tg-min+100)℃以下であれば、ホットオフセットを回避できる。なお、ホットオフセットとは、定着する工程において、ローラー等の加圧部材にトナーの一部が転移してしまい、トナー層が分断してしまう現象をいう。
なお、トナーのガラス転移温度については、後述する示差走査熱量測定装置「DSC 8500」(パーキンエルマー社製)を用いて測定することができる。
また、トナー像の表面温度は、非接触温度センサーにて測定することができる。具体的には、例えば、トナー像の表面温度を測定できる位置(例えば、加圧部材91からの記録媒体が排出される位置)に前記非接触温度センサー241a,241bを設置して、記録媒体上のトナー像の表面温度を測定すればよい。
<クリーニング工程>
本工程では、感光体、中間転写体などの現像剤担持体上には、画像形成に使用されなかった又は転写されずに残った現像剤を現像剤担持体上から除去する。
クリーニングの方法は、特に限定されないが、先端が感光体等のクリーニング対象に当接して設けられた、感光体表面を擦過するブレードが用いられる方法であることが好ましい。
[画像形成装置]
本発明の画像形成方法を行うための画像形成装置について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成の一例示す断面図である。図1に示す画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるものであり、4組の画像形成部(プロセスカートリッジ)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状の中間転写体ユニット7と、給紙搬送部21と、トナー像定着装置24とを備える。装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成部10Yは、イエロー色の画像を形成するものである。画像形成部10Yは、ドラム状の電子写真感光体1Yの周囲に帯電部2Yと露光部3Yと現像部4Yとクリーニング部6Yとが配置されて構成され、一次転写ローラー5Yをさらに有する。
画像形成部10Mは、マゼンタ色の画像を形成するものである。画像形成部10Mは、ドラム状の電子写真感光体1Mの周囲に帯電部2Mと露光部3Mと現像部4Mとクリーニング部6Mとが配置されて構成され、一次転写ローラー5Mをさらに有する。
画像形成部10Cは、シアン色の画像を形成するものである。画像形成部10Cは、ドラム状の電子写真感光体1Cの周囲に帯電部2Cと露光部3Cと現像部4Cとクリーニング部6Cとが配置されて構成され、一次転写ローラー5Cをさらに有する。
画像形成部10Bkは、黒色画像を形成するものである。画像形成部10Bkは、ドラム状の電子写真感光体1Bkの周囲に帯電部2Bkと露光部3Bkと現像部4Bkとクリーニング部6Bkとが配置されて構成され、一次転写ローラー5Bkをさらに有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Bkに形成されるトナー像の色が異なることを除いては同様に構成されている。そのため、以下では、画像形成部10Yを例に挙げて説明する。
本実施形態では、画像形成部10Yにおいて、少なくとも、電子写真感光体1Yと帯電部2Yと現像部4Yとクリーニング部6Yとが一体化されている。
帯電部2Yは、電子写真感光体1Yに対して一様な電位を与えて電子写真感光体1Yの表面を帯電(例えば負に帯電)させる。帯電部2Yは、非接触帯電方式によって電子写真感光体1Yの表面を帯電させても良い。
露光部3Yは、帯電部2Yにより一様な電位が与えられた電子写真感光体1Yの表面に対して、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、これにより、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する。露光部3Yとしては、電子写真感光体1Yの軸方向に発光素子がアレイ状に配列されて構成されたLEDと結像素子(商品名;セルフォック(登録商標)レンズ)とを備えたもの、又は、レーザー光学系などを用いることができる。
現像部4Yは、露光部3Yにより形成された静電潜像を静電潜像現像剤により現像してトナー像を形成する。用いる静電潜像現像剤は特に限定されないが、乾式現像剤であることが好ましい。
図1の画像形成装置では、電子写真感光体1Yと帯電部2Yと露光部3Yと現像部4Yとクリーニング部6Yなどがプロセスカートリッジとして一体化されて構成され、このプロセスカートリッジが装置本体Aに対して着脱可能に装着されても良い。また、帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、転写又は分離器、及び、クリーニング部6Yのうちの少なくとも一つが電子写真感光体1Yとともに一体に支持されてプロセスカートリッジが構成され、そのプロセスカートリッジが装置本体Aに対して着脱可能な単一画像形成ユニット(画像形成部)に構成され、その単一画像形成ユニットが装置本体Aのレールなどの案内手段を用いて装置本体Aに対して着脱可能に装着されても良い。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと無端ベルト状の中間転写体ユニット7とを有する筐体8は、支持レール82L、82Rにより、装置本体Aから引き出し可能に構成されている。筐体8では、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。無端ベルト状の中間転写体ユニット7は、図2において感光体1Y、1M、1C、1Bkの左側方に配置されており、ローラー71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状の中間転写体70と、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと、クリーニング部6bとを有する。
以下では、図1に示す画像形成装置を用いた画像形成方法について示す。画像形成部10Y、10M、10C、10Bkにより形成された各色の画像は、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状の中間転写体70上に逐次転写される。これにより、合成されたカラー画像が形成される。
給紙カセット20に収容された記録媒体(例えば、普通紙、透明シートなど。)Pは、給紙搬送部21により供給され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22Dとレジストローラー23とを経て、二次転写ローラー5bに搬送される。二次転写ローラー5bでは、合成されたカラー画像が記録媒体Pに二次転写され、よって、カラー画像が記録媒体Pに一括に転写される。合成されたカラー画像が記録媒体Pに二次転写されると、無端ベルト状の中間転写体70はその記録媒体Pを曲率分離する。この記録媒体Pは、トナー像定着装置(以下、単に「定着装置」ともいう。)24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26に載置される。一方、中間転写体70に付着した静電潜像現像剤はクリーニング部6bにより除去される。
画像形成中、一次転写ローラー5Bkは、常時、電子写真感光体1Bkの表面に当接している。一方、一次転写ローラー5Y、5M、5Cは、カラー画像形成時にのみ、対応する電子写真感光体1Y、1M、1Cの表面に当接する。また、二次転写ローラー5bは、二次転写ローラー5bを記録媒体Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状の中間転写体70の表面に当接する。
<定着装置>
本発明に係る定着装置は、画像形成装置に用いる定着装置であって、記録媒体上のトナー像に対して320〜410nmの波長領域内の光を照射する光照射部101と、トナー像が形成された記録媒体を加圧する加圧部9と、を含む。
図2は、図1に示す画像形成装置に記載の定着装置24を拡大した図である。
図2に示す例において、光照射部101は、記録媒体Pのトナー像Tに対し、光を照射する。光照射部101は、320〜410nmの波長領域内の光を照射できるものであれば、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、発光ダイオード又はレーザー光源を好適に使用できる。
光照射部101は、記録媒体Pを搬送する方向において、加圧部9の上流側又は下流側に設置されるが、好ましくは、図2に示すように、加圧部9の上流側に設置される。
光照射部101における光の照射量は、好ましくは0.1〜200J/cm、より好ましくは0.5〜100J/cm、さらに好ましくは、1.0〜50J/cmである。
<加圧部>
加圧部9は、加圧部材91及び92のようなローラーによって、記録媒体上のトナー像を上下から加圧しつつ、搬送する構成であることが好ましい。なお、加圧する方法は、トナー像に対して加圧できる方法であれば特に限定されず、例えば、加圧部材91及び92のいずれか一方を固定し、他方によって、記録媒体上のトナー像を加圧する構成であってもよい。
また、加圧部材91又は92は、記録媒体が当該加圧部材91及び92の間を通過する際に、記録媒体P上のトナー像を加熱できることが好ましい。加熱する方法は特に限定されず、例えば、加圧部材91又は92に、ランプ式又は誘導加熱式のヒーターを内蔵させてもよい。この場合、定着装置は、さらに、加圧部材91又は92の温度を検出する温度計などを備え、当該温度計に基づいて加熱温度を制御するような態様であってもよい。
このような加圧部材91又は92とすることで、記録媒体上に転写されたトナー像を加圧しつつ、加熱する工程を実現できる。
加圧部材91又は92の温度は、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。トナー像が形成された記録媒体を、加圧しつつ、加熱することで、光照射によって軟化したトナー像は、この加熱によりさらに軟化させ、その結果、トナー像の記録媒体への定着性がより向上させることができる。
定着装置に搬送された記録媒体Pは、光照射部101による光照射及び加圧部9による加圧等されたのち、排紙トレイ26まで搬送される。
[インクジェット用インク]
以上の説明では、本発明の画像記録用組成物を含有する静電荷像現像用トナー、当該静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法等について詳細に説明した。本発明の画像記録用組成物は、インクジェット用インクに含有することによっても本発明の効果を同様に発現させることができる。
本発明の画像記録用組成物を含有するインクジェット用インクは、例えば、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤や着色剤等を含有する任意の各成分と、本発明の画像記録用組成物とを混合することにより得ることができる。
また、本発明の画像記録用組成物を含有するインクジェット用インクは、インクジェット法による画像形成に用いられる。ここで、本発明の画像記録用組成物を含有するインクジェット用インクを用いて、インクジェット法によって記録媒体に形成された画像に、320〜410nmの波長領域内の光を照射することで、当該インクに熱エネルギーを付与して軟化・溶融させることができる。また、これにより、記録媒体への定着強度をより向上させることができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[スチルベン誘導体(光異性化化合物)の合成]
(スチルベン誘導体化合物3の合成)
Figure 2019101356
冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた200mLの4頭フラスコに、ジエチル(4−(ジエチルアミノ)ベンゾイル)ホスホネート(4.79g、16.0mmol)と、水酸化ナトリウム(2.33g、58.17mmol)と、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.234g、0.727mmol)と、水1.5mLと、テトラヒドロフラン(THF)20mLを投入した。次いで、内温を35℃にして撹拌し、これに4−(ヘキシルオキシ)ベンズアルデヒド(3.00g、14.54mmol)をTHF15mLに溶解した溶液を、内温35℃に保ったまま滴下した。滴下終了後、内温を50℃まで上げ、3時間反応を続けた。TLCにて4−(ヘキシルオキシ)ベンズアルデヒドが消失したことを確認し、水20mLを反応液に添加し反応を止めた。酢酸エチルにて目的物を抽出し、洗浄液が中性になるまで水洗した。
酢酸エチル溶液を乾燥させた後、濃縮してスチルベン誘導体化合物3の粗結晶を得た。これをシリカゲルカラムにて精製を行い、目的物であるスチルベン誘導体化合物3を4.1g(収率;80.2%)得た。
実施例及び比較例で用いた他のスチルベン誘導体化合物も、それぞれに対応するベンズアルデヒド体及びホスホネート体を用いることで、上記スチルベン誘導体化合物3と同様の方法で合成した。
また、比較例として用いたスチルベン誘導体化合物C1及びC2の化合物は、以下のとおりである。
Figure 2019101356
[結着樹脂の作製]
<スチレン−アクリル樹脂1を含有するスチレン−アクリル樹脂粒子分散液1の作製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート16.0質量部よりなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下した。次に、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、スチレン−アクリル樹脂粒子(1a)を含有するスチレン−アクリル樹脂粒子分散液(1A)を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記のスチレン−アクリル樹脂粒子分散液(1A)260質量部、スチレン245質量部、n−ブチルアクリレート120質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋社製)67質量部を90℃にて溶解させた重合性モノマー溶液を添加した。次に、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、スチレン−アクリル樹脂粒子(1b)を含有するスチレン−アクリル樹脂粒子分散液(1B)を調製した。
(第3段重合)
上記のスチレン−アクリル樹脂粒子分散液(1B)に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下において、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート8質量部からなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却しスチレン−アクリル樹脂1を含有するスチレン−アクリル樹脂粒子分散液1を得た。また、このスチレン−アクリル樹脂1のガラス転移点Tgを測定したところ、45℃であった。
<ポリエステル樹脂1を含有するポリエステル樹脂粒子分散液1の作製>
(第1段重合)
窒素導入管、脱水管、撹拌器、及び熱電対を備えた容量10リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物524質量部、テレフタル酸105質量部、フマル酸69質量部、及びオクチル酸スズ(エステル化触媒)2質量部を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行った。さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却し、ポリエステル樹脂1を得た。このポリエステル樹脂1の100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(株式会社徳寿工作所製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて、V−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。また、このポリエステル樹脂1のガラス転移点Tgを測定したところ、42℃であった。
[トナー1の作製]
(カーボンブラック分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解し、カーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」25質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックス(登録商標)WモーションCLM−0.8(エム・テクニック株式会社製)」を用い、カーボンブラック分散液を調製した。
(スチルベン誘導体粒子分散液1の調製)
ジクロロメタン80質量部と、スチルベン誘導体化合物11の20質量部とを50℃で加熱しながら混合撹拌し、スチルベン誘導体化合物11を含む液を得た。この液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間撹拌して乳化させ、スチルベン誘導体乳化液1を得た。
得られたスチルベン誘導体乳化液1をセパラブルフラスコへ投入し、窒素を気相中へ送気しながら40℃で90分間加熱撹拌して有機溶媒を除去して、スチルベン誘導体粒子分散液を得た。
(凝集・融着)
上記スチレン−アクリル樹脂粒子分散液1を固形分換算で504質量部、上記スチルベン誘導体粒子分散液を固形分換算で216質量部、イオン交換水900質量部、及び上記カーボンブラック分散液を固形分換算で70質量部を、撹拌装置、温度センサー、及び冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、70℃を保持したま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。70℃で1時間撹拌した後、さらに昇温を行い、75℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させた。その後、30℃まで冷却することにより、トナー粒子の分散液を得た。
上記で得られたトナー粒子の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して、トナー1を作製した。
[トナー2〜20、22〜26の作製]
スチルベン誘導体化合物の種類と結着樹脂の種類を下記表IIに記載のものに変更した以外はトナー1と同様にして、トナー2〜20、22〜26を作製した。
なお、トナー22の作製では、上記「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液1」の調製において、スチレン−アクリル樹脂粒子分散液1の代わりに、ポリエステル樹脂粒子分散液1を用いて、第2段重合及び第3段重合を行って得た分散液を用いた。
[トナー21の作製]
スチルベン誘導体化合物8をハンマーミルにて粒径1mm以下になるように粗粉砕し、次いで、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕しスチルベン誘導体の粉砕物を得た。次に、クラッシールを用いて微粉及び粗粉を同時に分級除去し、トナー21を得た。
Figure 2019101356
[現像剤の作製]
体積基準のメジアン径が70μmの鉄粉9.5gと、上記各トナー0.5gとを、20mLガラス製容器に入れ、毎分200回、振り角度45度、アーム50cmで20分間振った。これにより、各トナーについて、それぞれ現像剤を作製した。
《評価方法》
[評価:定着性評価]
定着性評価は、各トナーを用いて作製した現像剤と、下記画像形成装置1〜3を用いて、以下のように行った。結果は、表IIIに示す。
<画像形成装置について>
(画像形成装置1)
図1に示すような、帯電部、露光部、現像部及び転写部(転写ローラー)等を備えた複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ(株)製)において、定着装置を改造したものを用いて下記評価を行った。
画像形成装置1では、定着装置として、発光波長が365nm±10nmのLED光源を備えたものを用いた。LED光源は、図1及び図2に示す光照射部101に対応している。なお、画像形成装置1の定着装置には、図1及び図2に示した加圧部9は備えていない。
(画像形成装置2)
画像形成装置2では、画像形成装置1の定着装置において、さらに、図1及び図2に示すような加圧部材(加圧ローラー)91及び92を備えたものを用いた。また、画像形成装置2を用いた場合には、光照射部101による光照射の後、加圧部材91及び92によって、画像形成装置トナー像が形成された記録媒体を加圧した。加圧は、トナー像が形成された部分を両面から挟むようにして、加圧力0.2MPaで行った。当該加圧部材(加圧ローラー)91及び92は、加熱せずに室温状態のまま用いた。
(画像形成装置3)
画像形成装置3は、画像形成装置2の定着装置において、加圧部材(加圧ローラー)91及び92を80℃に加熱して用いた以外は同様のものとした。
<定着性評価>
(トナー1について)
定着性試験を、上記で得られたトナー1を用いて作製した現像剤と、画像形成装置1とを用いて、常温常湿環境下(温度20℃、湿度50%RH)で行った。一方に現像剤、他方に普通紙(坪量:64g/m)を設置した一対の平行平板(アルミ)電極間に、現像剤を磁力によって摺動させながら配置し、電極間ギャップが0.5mm、DCバイアスとACバイアスとはトナー付着量3g/mとなる条件でトナーを現像させ、紙の表面にトナー像(ベタ画像)を形成した。
このトナー像に対し、光照射部としてのLED光源(発光波長が365nm±10nm)によって、365nmの波長を有する光を照射量10J/cmで照射となるように照射した。これにより、トナー像を普通紙に定着した。そして、この定着後の印刷物を用いて評価を行った。
この印刷物の1cm角の画像を、「JKワイパー(登録商標)」(日本製紙クレシア株式会社製)で50kPaの圧力をかけて10回こすり、画像の定着率で評価した。本発明では、定着率50%以上を合格とした。
ここで、画像の定着率とは、プリント後の画像濃度(こする前の画像濃度)と、こすった後の画像濃度と、を反射濃度計「RD−918」(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)でそれぞれ測定し、こすった後のベタ画像の反射濃度を、プリント後(こする前)のベタ画像の反射濃度で除した値を百分率で表した数値である。
(トナー2〜26について)
トナー1についての定着性評価の方法において、表IIIに記載のように、画像形成装置を変更した以外は同様にして、評価を行った。
Figure 2019101356
表IIIに記載のように、本発明の画像記録用組成物を静電荷像現像用トナーに含有させたものは、定着性が良好であり、比較例に画像記録用組成物を静電荷像現像用トナーに含有させたものは定着性が劣るものであることがわかった。
また、本発明に係るスチルベン誘導体化合物(光異性化化合物)の色を目視で確認したところ全てがほぼ無色透明であった。したがって、着色剤を含有するトナーに、本発明に係る画像記録用組成物を含有させても、所望の色再現を実現できる。
24 トナー像定着装置
9 加圧部
91、92 加圧部材
101 光照射部
P 記録媒体
T トナー像

Claims (15)

  1. 静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクに用いることができる画像記録用組成物であって、
    光異性化化合物を含有し、当該光異性化化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有するスチルベン誘導体であることを特徴とする画像記録用組成物。
    Figure 2019101356
    (上記一般式(1)において、Rは、アルキル基を表す。Rは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよいアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。)
  2. 前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数が1〜10のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録用組成物。
  3. 前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数が2〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録用組成物。
  4. 前記一般式(1)におけるRのアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基に含まれるアルキル鎖の炭素原子数が、1〜12であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
  5. 前記一般式(1)におけるRのアルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基に含まれるアルキル鎖の炭素原子数が、4〜8であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
  6. 前記一般式(1)におけるRが、炭素原子数4〜8のアルコキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
  7. 前記一般式(1)におけるR〜R10が、それぞれ独立して、水素原子又は分岐を有していてもよい炭素原子数が1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
  8. 前記スチルベン誘導体の最大光吸収波長が、320〜410nmの波長域内にあることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物。
  9. トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記トナー粒子中に、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  10. 前記トナー粒子中に、結着樹脂を含有することを特徴とする請求項9に記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 前記結着樹脂が、スチレン−アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項10に記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 前記トナー粒子中に、着色剤を含有することを特徴とする請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 光照射によって画像を定着する工程を有する画像形成方法であって、
    請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の画像記録用組成物を含有する静電荷像現像用トナー又はインクジェット用インクを用いて、記録媒体上に画像を形成する工程と、
    前記記録媒体上に形成された画像に対して、320〜410nmの波長領域内の光を照射し、当該画像を定着する工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  14. 前記画像に前記光を照射した後に、前記画像が形成された前記記録媒体を加圧部材により加圧する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
  15. 前記加圧部材の温度が、30〜100℃の範囲内であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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