JP2019100001A - 構造物の振動抑制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制震壁の減衰性能が低下した場合でも、構造物の過大な層間変形を防止することができる構造物の振動抑制装置を提供する。【解決手段】下側の梁5と上側の梁5との間に連結された制震壁11を備えた構造物の振動抑制装置10であって、制震壁11は、上方に開口する箱状に形成され、下端部が下側の梁5に連結された金属製の収容壁14と、板状に形成され、上端部が上側の梁5に連結されるとともに収容壁14に開口を介して挿入され、収容壁14の内面との間に間隔を存した状態に配置された金属製の内壁15と、収容壁14の内部に充填され、収容壁14の内面と内壁15の間に存する粘性体16と、を有しており、上側の梁5に連結されかつ制震壁11の両側に垂下した状態で、収容壁14と所定間隔を隔てて対向するように設けられ、下側の梁5と上側の梁5との相対変位を抑制するための一対のストッパ12、12を、さらに備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、粘性体を利用して減衰機能を発揮する制震壁を用い、構造物の振動を抑制するための構造物の振動抑制装置に関する。
従来、構造物の壁面に設置され、粘性体を利用する制震壁として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この制震壁は、下端部が床側に取り付けられ、上方に開口するとともに内部に粘性体が充填された薄型箱状の容器と、上端部が天井側に取り付けられ、その取り付けられた部位よりも下側の大部分が容器に収容された抵抗板とを備えている。容器及び抵抗板は、いずれも鋼板で構成されており、抵抗板が容器の内面との間に隙間を存する状態で配置されている。また、粘性体は、高粘性物質で構成されており、容器の内面と抵抗板との間に存している。
上記の制震壁が設置された構造物では、風揺れや地震などによる振動に伴い、床側と天井側の間で水平方向に相対変位が発生すると、制震壁の抵抗板が容器に対して水平方向に移動する。この場合、抵抗板には、その移動の際の速度に応じて、容器内の粘性体によるせん断抵抗が作用し、抵抗板の移動、すなわち床側と天井側の相対変位が抑制される。このように、制震壁は、構造物の振動エネルギーを粘性体による抵抗力によって吸収し、構造物の振動を減衰させることによって、その振動を抑制している。
特開平11−71935号公報
上記の制震壁を備えた構造物では、風揺れや比較的小さい地震による振動であれば、粘性体の抵抗力によって減衰機能が十分に発揮され、振動が抑制される。しかし、例えば大規模な地震によって長周期地震動が発生する場合、構造物が長時間にわたって振動し、その際に、構造物の振動エネルギーを吸収する制震壁の粘性体の温度が上昇し、それに伴い、粘性体の粘度が低下することがある。この場合、粘性体の粘性抵抗の低下に伴い、抵抗板に作用するせん断抵抗も低下し、それにより、制震壁による減衰性能が低下してしまう。その結果、構造物において、制震壁の上下に大きな相対変位が生じ、層間変形が過大になるおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、粘性体の粘度低下によって制震壁の減衰性能が低下した場合でも、構造物の過大な層間変形を防止することができる構造物の振動抑制装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、構造物の壁面に設置され、壁面の下側に位置しかつ壁面の横幅方向に沿って延びる下側構造材と、壁面の上側に位置しかつ壁面の横幅方向に沿って延びる上側構造材との間に連結された制震壁を備えた構造物の振動抑制装置であって、制震壁は、上方に開口する箱状に形成され、下端部が下側構造材に連結された金属製の収容壁と、板状に形成され、上端部が上側構造材に連結されるとともに収容壁に開口を介して挿入され、収容壁の内面との間に間隔を存した状態に配置された金属製の内壁と、収容壁の内部に充填され、収容壁の内面と内壁との間に存する粘性体と、を有しており、上側構造材に連結されかつ制震壁の両側に垂下した状態で、収容壁と所定間隔を隔てて対向するように設けられ、下側構造材と上側構造材との相対変位を抑制するための一対のストッパを、さらに備えていることを特徴とする。
この振動抑制装置によれば、構造物の壁面に設置される制震壁が、上記の下側構造材と上側構造材の間に連結されるとともに、一対のストッパが、制震壁の両側に垂下した状態で、上側構造材に連結されている。具体的には、制震壁において、上方に開口する箱状の収容壁は、その下端部が下側構造材に連結されており、また、開口を介して収容壁に挿入され、その内面との間に間隔を存した状態に配置された内壁は、その上端部が上側構造材に連結されており、さらに、収容壁の内部に充填された粘性体は、収容壁の内面と内壁との間に存している。一方、一対のストッパは、制震壁を間にして、上側構造材から垂下しており、各ストッパが制震壁の収容壁と所定間隔を隔てて対向している。
例えば風揺れや地震などにより、構造物が振動する場合において、構造物の下側構造材と上側構造材の間でそれらの長さ方向(壁面の横幅方向)に相対変位が生じると、それに伴い、内壁が収容壁に対してその横幅方向に移動する。この場合、内壁には、その移動の際の速度に応じて、収容壁内の粘性体によるせん断抵抗が作用し、内壁の移動、すなわち収容壁と内壁の相対変位が抑制され、それにより、収容壁と内壁がそれぞれ連結された下側構造材と上側構造材の相対変位が抑制される。このように、制震壁は、構造物の振動エネルギーを粘性体による抵抗力によって吸収し、構造物の振動を減衰させることによって、その振動を抑制することができる。
また、前述したように、大規模な地震による長周期地震動の発生などにより、構造物が長時間にわたって振動し、その振動エネルギーを吸収する制震壁の粘性体の温度上昇に伴う粘度低下によって、制震壁の減衰性能が低下することがある。この場合、制震壁の収容壁が連結された下側構造材と、一対のストッパが連結された上側構造材との相対変位により、収容壁と一対のストッパとが当たり、それにより、下側構造材と上側構造材のそれ以上の大きな相対変位が抑制される。以上のように、本発明によれば、粘性体の粘度低下によって制震壁の減衰性能が低下した場合でも、構造物の過大な層間変形を防止することができ、その結果、構造物の過大な損傷を防止することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構造物の振動抑制装置において、一対のストッパの各々には、収容壁と対向する部位に、収容壁との衝突の際の衝撃を緩和するための衝撃緩和部材が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、一対のストッパの各々には、制震壁の収容壁と対向する部位に、衝撃緩和部材が設けられているので、収容壁とストッパが衝突する場合、衝撃緩和部材が収容壁に当たる。これにより、収容壁とストッパが直接、衝突する場合に比べて、その際の衝撃を緩和できるので、収容壁及びストッパの損傷を低減することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構造物の振動抑制装置において、衝撃緩和部材は、構造物の振動に伴い、収容壁との衝突によって塑性変形することにより、振動のエネルギーを吸収可能な材料で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、構造物の振動に伴い、制震壁の収容壁とストッパの衝撃緩和部材とが衝突する場合に、衝撃緩和部材が塑性変形することによって、構造物の振動エネルギーが吸収される。このように、衝撃緩和部材を上記のような材料で構成することにより、構造物の振動を早期に終了させることができる。
本発明の第1実施形態による振動抑制装置を、所定の複数階(1〜3階)に設置した建物とともに概略的に示す正面図である。 振動抑制装置の制震壁を、その左端部を破断して示す斜視図である。 他の制震壁を、図2と同様に示す斜視図である。 制震壁の複数の減衰力−変位曲線を示す図である。 図1の建物が振動している場合において、上階ほど右方に変位しているときの状態を示す図である。 第1実施形態の振動抑制装置におけるストッパの抵抗力と変位の関係を説明するための図である。 本発明の第2実施形態による振動抑制装置を、所定の複数階(1〜3階)に設置した建物とともに概略的に示す正面図である。 図7の建物が振動している場合において、上階ほど右方に変位しているときの状態を示す図である。 第2実施形態の振動抑制装置におけるストッパの抵抗力と変位の関係を説明するための図である。 第2実施形態の変形例の振動抑制装置におけるストッパの抵抗力と変位の関係を説明するための図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による振動抑制装置を、これを適用した建物とともに概略的に示している。同図に示す建物1(構造物)は、例えば5階建ての中層建物であり、1〜3階部分のみを示している。この建物1は、地盤2に埋設された基礎3に立設され、上下方向に延びる複数(図1では2本のみ図示)の柱4と、水平に延び、柱4、4間を連結する複数(図1では3つのみ図示)の梁5とを備えている。なお、上記の各柱4及び梁5は、建物1の構造材であり、H形鋼などの鋼材によって構成され、また、柱4、4をそれぞれ支持する基礎3、3の間には、基礎梁6が設けられている。
上記の建物1には、2つの柱4、4と、上下の梁5、5(基礎梁6を含む。以下同じ)とで画成される複数の壁面に適宜、振動抑制装置10が設置されている。なお、図1では、建物1の1〜3階に設置された3つの振動抑制装置10のみを示している。
各振動抑制装置10は、上下の梁5、5(上側構造材及び下側構造材)の間に連結され、減衰機能を有する制震壁11と、上側の梁5(上側構造材)に連結され、制震壁11の左右両側に垂下するように設けられた一対のストッパ12、12とを備えている。
図2は、制震壁11を示す斜視図であり、その左端部を破断して示している。同図に示すように、制震壁11は、上方に開口し、薄型箱状に形成された収容壁14と、この収容壁14に開口を介して上方から挿入された板状の内壁15と、収容壁14に充填され、収容壁14の内面と内壁15の間に存する粘性体16とを有している。
収容壁14は、所定の形状及びサイズの複数の鋼板を溶接することなどによって構成されている。具体的には、この収容壁14は、正面形状が矩形状に形成され、比較的大きな所定の面積を有するとともに、互いに前後方向に所定間隔を隔てて平行に配置された前壁部14a及び後壁部14bと、これらの左端部同士及び右端部同士にそれぞれ連なり、互いに左右方向に所定距離を隔てて平行に配置された左壁部14c(図1参照)及び右壁部14dと、これらの壁部14a〜14dの下端部に連なり、前壁部14a及び後壁部14bよりも外方に突出し、平面形状が横長矩形状のフランジ部14eとで構成されている。
前壁部14a及び後壁部14bの上端部は、前方及び後方にそれぞれ突出して上方に屈曲するように形成されており、これにより、収容壁14の上端部は、それよりも下側の部分の前後方向の幅に比べて幅広に形成されている。また、フランジ部14eの前端部及び後端部にはそれぞれ、複数の取付孔14fがフランジ部14eの長さ方向に沿って、所定の間隔ごとに形成されている。そして、これらの取付孔14fを介して、上方からそれぞれ挿入されたボルト(図示せず)を下側の梁5にねじ込むことにより、その梁5にフランジ部14eが固定される。このように、収容壁14は、下端部のフランジ部14eを介して、下側の梁5に連結される。
内壁15は、正面形状が矩形状に形成され、所定のサイズを有する鋼板で構成された内壁本体15aと、この内壁本体15aの上端部に連なり、平面形状が横長矩形状の鋼板で構成されたフランジ部15bとで構成されている。内壁本体15aは、収容壁14の前壁部14a及び後壁部14bとの間に所定間隔を有するとともに、左壁部14c、右壁部14d及びフランジ部14eとの間に、より大きな所定間隔を有するように配置されている。また、フランジ部15bの前端部及び後端部にはそれぞれ、複数の取付孔15cがフランジ部15bの長さ方向に沿って、所定間隔ごとに形成されている。そして、これらの取付孔15cを介して、下方からそれぞれ挿入されたボルト(図示せず)を上側の梁5にねじ込むことにより、その梁5にフランジ部15bが固定される。このように、内壁15は、上端部のフランジ部15bを介して、上側の梁5に連結される。
粘性体16は、粘性が比較的高い流体、例えばポリイソブチレンから成る流体で構成されている。図2に示すように、粘性体16は、収容壁14の上端付近まで充填され、収容壁14の内面と内壁本体15aとの間に存している。
また、上記の制震壁11では、収容壁14に、単一の内壁本体15aを挿入した制震壁(以下、適宜「シングルタイプの制震壁」という)について説明したが、本発明の制震壁はこれに限定されるものではなく、例えば、図3に示すように、複数(図3では2つ)の内壁本体15aを収容壁14に挿入した制震壁11Aを採用することも可能である。
図3に示すように、この制震壁11Aでは、内壁15が、互いに前後方向に所定間隔を隔てて平行に配置された前後2つの内壁本体15a、15aを有する一方、収容壁14が、前壁部14aと後壁部14bの間を前後に仕切る仕切壁部14gを有している。また、この制震壁11Aでは、前述したシングルタイプの制震壁11よりも前後方向の厚さが厚く形成されている。加えて、制震壁11Aでは、内壁15の前側の内壁本体15aと、収容壁14の前壁部14a及び仕切壁部14gとの間隔、並びに内壁15の後側の内壁本体15aと、収容壁14の後壁部14b及び仕切壁部14gとの間隔が、シングルタイプの制震壁11の内壁本体15aと、収容壁14の前壁部14a及び後壁部14bとの間隔とほぼ同じに設定されている。
一方、一対のストッパ12の各々は、所定長さを有するH形鋼などの鋼材によって構成されている。各ストッパ12は、その上端部が上側の梁5にボルト(図示せず)などによって固定され、下端が収容壁14の上端よりも下方の所定高さに位置している。そして、左側のストッパ12の下端部が、収容壁14の左壁部14cの上端部に、所定間隔を隔てて対向する一方、右側のストッパ12の下端部が、収容壁14の右壁部14dの上端部に、所定間隔を隔てて対向している。
図4は、振動抑制装置10における制震壁11の減衰力と変位の関係を表す曲線(以下「減衰力−変位曲線」という)を示している。同図は、粘性体16が所定温度(例えば20.3〜22.2℃)に保持された状態において、所定の振動数(例えば0.25Hzの正弦波)における複数の振幅・速度で加振したときの制震壁11の減衰力−変位曲線を、5つのループ(ループA〜E)で表したものである。これらのループA〜Eは、入力振幅が大きいほど、大きな速度で加振したときの減衰力−変位曲線である。したがって、ループA〜Eのうち、サイズが最も大きいループEで表される減衰力−変位曲線では、ループA〜Dのそれに比べて、制震壁11の収容壁11と内壁15との相対変位、及び制震壁11の減衰力が、最も大きくなっている。
次に、建物1が振動する場合において、振動抑制装置10による建物1の振動の抑制手法について説明する。例えば、風揺れや地震などによる振動に伴い、建物1における上下の梁5、5の間で水平方向に相対変位が発生すると、制震壁11の内壁15が収容壁14に対して水平方向に移動する。この場合、内壁15には、その移動の際の速度に応じて、収容壁14内の粘性体16によるせん断抵抗が作用し、内壁15の移動、すなわち収容壁14と内壁15の相対変位が抑制され、それにより、内壁15と収容壁14がそれぞれ連結された上下の梁5、5の相対変位が抑制される。このように、建物1に設置された各振動抑制装置10の制震壁11は、建物1の振動エネルギーを粘性体16による抵抗力によって吸収し、建物1の振動を減衰させることによって、その振動を抑制する。
また、例えば、大規模な地震による長周期地震動の発生などにより、建物1が長時間にわたって振動し、その振動エネルギーを吸収する制震壁11の粘性体16の温度上昇に伴う粘度低下によって、制震壁11の減衰性能が低下することがある。この場合、振動抑制装置10が設置された上下の梁5、5の相対変位が制震壁11で抑制できなくなると、その振動抑制装置10の一対のストッパ12、12の下部が、制震壁11の収容壁14(左壁部14c又は右壁部14d)に当たることがある。
図5は、建物1が振動している場合において、上階ほど右方に変位しているときの状態を示している。また、同図では、2階に設置された振動抑制装置10の左側のストッパ12が、制震壁11の収容壁14の左壁部14cに当たった直後の状態を示している。
ここで、上記の図5に加えて、図6を参照しながら、振動抑制装置10の一対のストッパ12、12が、制震壁11の収容壁14に当たるときのストッパ12の抵抗力と変位の関係について説明する。
なお、以下の説明では、一対のストッパ12、12のうち、図5に示す左側及び右側のストッパ12をそれぞれ適宜、「左ストッパ12L」及び「右ストッパ12R」というものとする。また、図6に示す点P0では、ストッパ12に作用する抵抗力は値0であり、変位も値0である。また、図6では、図5に示すストッパ12の右方への変位を+(プラス)、左方への変位を−(マイナス)として表し、また、右方への変位による抵抗力を+(プラス)、左方への変位による抵抗力を−(マイナス)として表すものとする。
まず、図5に示すように、振動している建物1の梁5が右方に変位すると、その梁5に連結された一対のストッパ12、12も右方に変位する。そして、例えば図5の建物1の2階に設置された振動抑制装置10のように、左ストッパ12Lが制震壁11の収容壁14の左壁部14cに当接する(図6の点P1)。この状態から、上記の左ストッパ12Lを連結した梁5がさらに右方に変位しようとすると、その左ストッパ12Lによる抵抗力が急激に高くなるとともに、右方への変位が抑制される(点P2)。このように、右方へ変位する左ストッパ12Lが制震壁11の収容壁14に当たると、その際の抵抗力により、左ストッパ12Lが連結された梁5のさらなる右方への大きな変位が抑制される。なお、点P2における変位は、制震壁11の減衰力−変位曲線のサイズが最も大きいループEのプラス側の最大変位と同程度になっている。
その後、建物1の梁5は、復元するように上記と反対方向に変位する。すなわち、右方に変位していた梁5は、左方に戻るように変位し、それにより、左ストッパ12Lは、その抵抗力が急激に低下し(点P1)、変位が値0に戻る(点P0)。
次いで、左ストッパ12Lの変位が値0に戻った後、建物1の梁5が左方に変位することにより、その梁5に連結された一対のストッパ12、12も左方に変位する。そして、右ストッパ12Rが制震壁11の収容壁14の右壁部14dに当接する(図6の点M1)。その状態から、上記の右ストッパ12Rを連結した梁5がさらに左方に変位しようとすると、その右ストッパ12Rによる抵抗力が急激に高くなるとともに、左方への変位が抑制される(点M2)。このように、左方へ変位する右ストッパ12Rが制震壁11の収容壁14に当たると、その際の抵抗力により、右ストッパ12Rが連結された梁5のさらなる左方への大きな変位が抑制される。なお、点M2における変位は、左ストッパ12Lによる前述した場合と同様、制震壁11の減衰力−変位曲線のサイズが最も大きいループEのマイナス側の最大変位と同程度になっている。
その後、建物1の梁5は、復元により、右方に戻るように変位し、それにより、右ストッパ12Rは、その抵抗力が急激に低下し(点M1)、変位が値0に戻る(点P0)。
以上のように、本実施形態によれば、例えば地震などにより、建物1が振動する場合において、振動抑制装置10の制震壁11は、建物1の振動エネルギーを粘性体16による抵抗力によって吸収し、建物1の振動を減衰させることによって、その振動を抑制することができる。
また、大規模な地震による長周期地震動の発生などにより、前述したように、各振動抑制装置10の制震壁11の減衰性能が低下することがある。この場合、前述したように、下側の梁5に連結された収容壁14と、上側の梁5に連結された一対のストッパ12、12とが当たることにより、下側の梁5と上側の梁5のそれ以上の大きな相対変位が抑制される。したがって、制震壁11の減衰性能が低下した場合でも、建物1の過大な層間変位を防止することができ、その結果、建物1の過大な損傷を防止することができる。
また、建物1において、剛性や耐性が低い層が存在する場合、その層の壁面に、本発明の振動抑制装置10を設置することにより、建物1に振動が付加された際のアンバランスな応答を補正することができる。加えて、建物1において、剛性や耐性が低い上記のような層が存在しない場合でも、過大な地震動により局所的な塑性変形が生じるおそれがある層の壁面に、本発明の振動抑制装置10を設置することにより、その層の塑性変形に対する対抗力を高めることができる。
次に、図7〜図9を参照して、本発明の第2実施形態の振動抑制装置について説明する。なお、以下の説明では、前述した第1実施形態の振動抑制装置10との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同一箇所については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略するものとする。
図7に示すように、第2実施形態の振動抑制装置10Aは、前述した第1実施形態の振動抑制装置10に対し、一対のストッパ12、12の各々に、防舷材18を設けたことのみが異なっている。この防舷材18は、ストッパ12が制震壁11の収容壁14に衝突する際に、その衝撃を緩和するためのものである。具体的には、防舷材18は、例えばゴムなどの弾性体から成り、各ストッパ12の下部において、収容壁14側に突出した状態で、左壁部14c又は右壁部14dに対向するように設けられている。
図8及び図9はそれぞれ、前述した第1実施形態の図5及び図6と同様の図である。図8に示すように、振動している建物1の梁5が右方に変位すると、その梁5に連結された一対のストッパ12、12も右方に変位し、左ストッパ12Lの防舷材18が制震壁11の収容壁14の左壁部14cに当接する(図9の点P1’)。なお、図9の点P1’では、点P0からの変位量が、前述した図6の点P1のそれよりも、防舷材18のストッパ12からの突出量の分、少なくなっている。
左ストッパ12Lの防舷材18が収容壁14の左壁部14cに当接した状態から、上記の左ストッパ12Lを連結した梁5がさらに右方に変位しようとすると、防舷材18が左右方向に押しつぶされながら、その左ストッパ12Lによる抵抗力が急激に高くなり、前述した第1実施形態と同様、右方への変位が抑制される(点P2)。その後、右方に変位していた梁5は、復元するように左方に変位し、それにより、左ストッパ12Lは、その抵抗力が急激に低下し(点P1’)、変位が値0に戻る(点P0)。
次いで、左ストッパ12Lの変位が値0に戻った後、建物1の梁5が左方に変位することにより、その梁5に連結された一対のストッパ12、12も左方に変位し、右ストッパ12Rの防舷材18が、制震壁11の収容壁14の右壁部14dに当接する(図9の点M1’)。なお、図9の点M1’では、前述した点P1’と同様の理由から、点P0からの変位量が、図6の点M1のそれよりも少なくなっている。
右ストッパ12Rの防舷材18が収容壁14の右壁部14dに当接した状態から、上記の右ストッパ12Rを連結した梁5がさらに左方に変位しようとすると、梁5が右方に変位した場合と同様、防舷材18が左右方向に押しつぶされながら、その右ストッパ12Rによる抵抗力が急激に高くなり、前述した第1実施形態と同様、左方への変位が抑制される(点M2)。その後、左方に変位していた梁5は、復元するように右方に変位し、それにより、右ストッパ12Rは、その抵抗力が急激に低下し(点M1’)、変位が値0に戻る(点P0)。
以上のように、本実施形態によれば、制震壁11の収容壁14とストッパ12が衝突する場合、防舷材18が収容壁14に当たる。これにより、収容壁14とストッパ12が直接、衝突する場合に比べて、その際の衝撃を緩和することができるので、収容壁14及びストッパ12の損傷を低減することができる。
なお、上記の実施形態では、防舷材18として、ゴムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の防舷材18として、建物1の振動のエネルギーを吸収可能な材料、例えば収容壁14が衝突することによって塑性変形する金属などで構成してもよい。
図10は、前述した図9に対応し、第2実施形態と防舷材18の材料のみが異なる変形例について、上述した振動エネルギーの吸収機能を有する防舷材18が設けられたストッパ12の抵抗力と変位の関係を示している。前述した第2実施形態と同様にして、左ストッパ12Lの防舷材18が、収容壁14の左壁部14cに当たると(図10の点P1’)、左ストッパ12Lによる抵抗力が所定値まで急激に高くなり(点P2’)、その抵抗力が所定値に維持されながら、防舷材18が塑性変形する(点P2)。その後、右方に変位していた梁5が、復元するように左方に変位することで、左ストッパ12Lによる抵抗力が急激に低下し(点P3(P3>P1’))、変位が値0に戻る(点P0)。
次いで、左ストッパ12Lの変位が値0に戻った後、前述した第2実施形態と同様にして、右ストッパ12Rの防舷材18が、収容壁14の右壁部14dに当たると(図10の点M1’)、右ストッパ12Rによる抵抗力が所定値まで急激に高くなり(点M2’)、その抵抗力が所定値に維持されながら、防舷材18が塑性変形する(点M2)。その後、左方に変位していた梁5が、復元するように右方に変位することで、右ストッパ12Rによる抵抗力が急激に低下し(点M3(M3<M1’))、変位が値0に戻る(点P0)。
このように、振動エネルギーの吸収機能を有する防舷材18により、図10の点P1’、P2’、P2及びP3で囲まれる領域、並びに点M1’、M2’、M2及びM3で囲まれる領域に相当する建物1の振動エネルギーが吸収される。これにより、建物1の振動を早期に終了させることができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、単一又は2つの内壁本体15aを有する制震壁11を例示したが、本発明は、3つ以上の内壁本体を有する制震壁を採用することも、もちろん可能である。また、実施形態では、本発明の上側構造材及び下側構造材としての上下の梁5、5の間に、振動抑制装置10の制震壁11を連結するとともに、上側の梁5に一対のストッパ12、12を連結したが、梁5に代えて、建物1の構造材としてのスラブなどに、制震壁11及び一対のストッパ12、12を連結することも可能である。さらに、建物1に設置される振動抑制装置10の数や場所については、その建物の高さや構造に応じて適宜、決定することができる。
また、実施形態で示した制震壁11及びストッパ12の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 建物(構造物)
4 柱
5 梁(上側構造材、下側構造材)
10 振動抑制装置
11 制震壁
12 ストッパ
14 収容壁
14a 前壁部
14b 後壁部
14c 左壁部
14d 右壁部
15 内壁
15a 内壁本体
16 粘性体
18 防舷材(衝撃緩和部材)

Claims (3)

  1. 構造物の壁面に設置され、前記壁面の下側に位置しかつ当該壁面の横幅方向に沿って延びる下側構造材と、前記壁面の上側に位置しかつ当該壁面の横幅方向に沿って延びる上側構造材との間に連結された制震壁を備えた構造物の振動抑制装置であって、
    前記制震壁は、
    上方に開口する箱状に形成され、下端部が前記下側構造材に連結された金属製の収容壁と、
    板状に形成され、上端部が前記上側構造材に連結されるとともに前記収容壁に前記開口を介して挿入され、前記収容壁の内面との間に間隔を存した状態に配置された金属製の内壁と、
    前記収容壁の内部に充填され、当該収容壁の内面と前記内壁との間に存する粘性体と、
    を有しており、
    前記上側構造材に連結されかつ前記制震壁の両側に垂下した状態で、前記収容壁と所定間隔を隔てて対向するように設けられ、前記下側構造材と前記上側構造材との相対変位を抑制するための一対のストッパを、さらに備えていることを特徴とする構造物の振動抑制装置。
  2. 前記一対のストッパの各々には、前記収容壁と対向する部位に、当該収容壁との衝突の際の衝撃を緩和するための衝撃緩和部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の振動抑制装置。
  3. 前記衝撃緩和部材は、前記構造物の振動に伴い、前記収容壁との衝突によって塑性変形することにより、前記振動のエネルギーを吸収可能な材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の構造物の振動抑制装置。
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