JP2019099730A - ゴムウエットマスターバッチの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐屈曲疲労性に優れた加硫ゴムの原料となるゴムウエットマスターバッチ(WMB)の製造方法の提供。【解決手段】充填材、分散溶媒及びゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i)、充填材含有ゴムラテックス溶液を凝固して、充填材含有ゴム凝固物を製造する工程(ii)及び充填材含有ゴム凝固物を脱水・乾燥してゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iii)を有し、工程(i)中に硫化モリブデンを添加し、次いで式(I)で表される化合物を添加するWMBの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として得られるゴムウエットマスターバッチの製造方法に関する。
従来から、ゴム業界においては、カーボンブラックなどの充填材を含有するゴム組成物を製造する際の加工性や充填材の分散性を向上させるために、ゴムウエットマスターバッチを用いることが知られている。これは、充填材と分散溶媒とを予め一定の割合で混合し、機械的な力で充填材を分散溶媒中に分散させた充填材含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、その後、酸などの凝固剤を加えて凝固させたものを回収して乾燥するものである。ゴムウエットマスターバッチを用いる場合、充填材とゴムとを乾式混合して得られるゴムドライマスターバッチを用いる場合に比べて、充填材の分散性に優れ、加工性や補強性などのゴム物性に優れる加硫ゴムが得られる。このようなゴム組成物を原料とすることで、例えば転がり抵抗が低減され、耐屈曲疲労性に優れた空気入りタイヤなどのゴム製品を製造することができる。
しかしながら、近年では市場において、例えばタイヤ部材の耐屈曲疲労性などの向上が強く要求されており、かかる要求を満たすべく、ゴム組成物中の充填材のさらなる分散性向上を図る必要があった。
下記特許文献1には、少なくともジエンエラストマー、補強用充填材および架橋系をベースとするゴム組成物に、所定量の板状充填材および金属塩を配合する技術が記載されている。
特表2012−522092号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、加硫ゴムの酸素不透過特性の向上を目的としたものであり、充填材のさらなる分散性向上が図れるわけではない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐屈曲疲労性に優れた加硫ゴムの原料となるゴムウエットマスターバッチの製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち本発明は、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として得られるゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、前記充填材、前記分散溶媒、および前記ゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i)、前記充填材含有ゴムラテックス溶液を凝固して、充填材含有ゴム凝固物を製造する工程(ii)、および前記充填材含有ゴム凝固物を脱水・乾燥することによりゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iii)を有し、前記工程(i)中に硫化モリブデンを添加し、次いで下記式(I)に記載の化合物:
Figure 2019099730

(式(I)中、RおよびRは、水素原子、ならびに炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Mはナトリウムイオン、カリウムイオンまたはリチウムイオンを示す。)を添加することを特徴とするゴム組成物の製造方法に関する。
上記ゴムウエットマスターバッチの製造方法によれば、充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i)において、まず硫化モリブデンを添加する。工程(i)では、充填材とゴムラテックス溶液とは液相状態で存在し、この状態で硫化モリブデンを添加し、混合した場合、硫化モリブデンが分散しつつ充填材間に入り込み、充填材が均一に分散する。次いで、式(I)に記載の化合物を添加すると、充填材が均一に分散した状態で、充填材とゴムラテックスを構成するゴムポリマーとが、式(I)に記載の化合物を介して効率良く結合を形成する。これにより、充填材含有ゴムラテックス溶液中で充填材の分散性が向上する。
充填材含有ゴムラテックス溶液中での充填材の分散性が向上することにより、ゴムウエットマスターバッチ中での充填材の分散性も向上するため、これを原料として得られる加硫ゴム中でも充填材の分散性が向上する。このため、加硫ゴム中での充填材の凝集塊も少なくなることから、加硫ゴムに応力が付与された場合に、加硫ゴムの局所への応力集中が著しく抑制できる。その結果、本発明で製造されたゴムウエットマスターバッチを原料として得られる加硫ゴムは、耐屈曲疲労性に優れる。
上記ゴムウエットマスターバッチの製造方法において、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、前記硫化モリブデンの配合量が0.1〜5.0質量部であり、前記式(I)に記載の化合物の配合量が0.1〜5.0質量部である場合、ゴムウエットマスターバッチ中の充填材の分散性および分散安定性を特に向上できる。したがって、かかるゴムウエットマスターバッチを原料として得られる加硫ゴムは、さらに耐屈曲疲労性に優れる。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として使用する。
本発明において、充填材とは、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなど、ゴム工業において通常使用される充填材を意味する。上記充填材の中でも、本発明においてはカーボンブラックを特に好適に使用することができる。
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。ゴム成分の全量を100質量部としたとき、充填材、特にはカーボンブラックの配合量が10〜80質量部であることが好ましく、20〜60質量部であることがより好ましい。
分散溶媒としては、特に水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。
ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
天然ゴムラテックス溶液は、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものが好ましい。本発明において使用する天然ゴムラテックス中の天然ゴムの数平均分子量は、200万以上であることが好ましく、250万以上であることがより好ましい。天然ゴムラテックス溶液については濃縮ラテックスやフィールドラテックスといわれる新鮮ラテックスなど区別なく使用できる。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものがある。
本発明においては、充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i)中に、硫化モリブデンを添加する。硫化モリブデンはモリブデンの硫化物であり、組成式がMoSと表される黒色の固体である。本発明においては、特に粉末化した硫化モリブデンを使用することが好ましい。ゴム組成物中の充填材の分散性および分散安定性を考慮した場合、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、硫化モリブデンの配合量は0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.3〜3.0質量部であることがより好ましい。
さらに本発明においては、工程(i)中に硫化モリブデンを添加した後、次いで下記式(I)に記載の化合物を添加する。
Figure 2019099730

(式(I)中、RおよびRは、水素原子、ならびに炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Mはナトリウムイオン、カリウムイオンまたはリチウムイオンを示す。)
なお、充填材、特にはカーボンブラックへの親和性を高めるためには、式(I)中のRおよびRが水素原子であり、Mがナトリウムイオンである下記式(I’)に記載の化合物:
Figure 2019099730

を使用することが特に好ましい。
最終的に得られる加硫ゴム中での充填材の分散性を考慮した場合、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、式(I)に記載の化合物の配合量は0.1〜5.0質量部であることが好ましい。
以下に、本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法について具体的に説明する。かかる製造方法は、充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i)、充填材含有ゴムラテックス溶液を凝固して、充填材含有ゴム凝固物を製造する工程(ii)、および充填材含有ゴム凝固物を脱水・乾燥することによりゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iii)を有し、工程(i)中に硫化モリブデンを添加し、次いで式(I)に記載の化合物を添加することを特徴とする。
(1)工程(i)
工程(i)では、充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する。特に、本発明においては、前記工程(i)が、前記充填材を前記分散溶媒中に分散させる際に、前記ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有するスラリー溶液を製造する工程(i−(a))、およびゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有するスラリー溶液と、残りの前記ゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i−(b))を含むことが好ましい。以下に、工程(i−(a))および工程(i−(b))について説明する。特に、本実施形態では、充填材としてカーボンブラックを使用した例について説明する。
工程(i−(a))
工程(i−(a))では、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造する。ゴムラテックス溶液は、あらかじめ分散溶媒と混合した後、カーボンブラックを添加し、分散させても良い。また、分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで所定の添加速度で、ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良く、あるいは分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで何回かに分けて一定量のゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良い。ゴムラテックス溶液が存在する状態で、分散溶媒中にカーボンブラックを分散させることにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造することができる。工程(i−(a))におけるゴムラテックス溶液の添加量としては、使用するゴムラテックス溶液の全量(工程(i−(a))および工程(i−(b))で添加する全量)に対して、0.075〜12質量%が例示される。
工程(i−(a))では、添加するゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、カーボンブラックとの質量比で0.25〜15%であることが好ましく、0.5〜6%であることが好ましい。また、添加するゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.25〜1.5質量%であることがより好ましい。これらの場合、ゴムラテックス粒子をカーボンブラックに確実に付着させつつ、カーボンブラックの分散度合いを高めたゴム組成物を製造することができる。
工程(i−(a))において、ゴムラテックス溶液存在下でカーボンブラックおよび分散溶媒を混合する方法としては、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用してカーボンブラックを分散させる方法が挙げられる。
上記「高せん断ミキサー」とは、ローターとステーターとを備えるミキサーであって、高速回転が可能なローターと、固定されたステーターと、の間に精密なクリアランスを設けた状態でローターが回転することにより、高せん断作用が働くミキサーを意味する。このような高せん断作用を生み出すためには、ローターとステーターとのクリアランスを0.8mm以下とし、ローターの周速を5m/s以上とすることが好ましい。このような高せん断ミキサーは、市販品を使用することができ、例えばSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」が挙げられる。
本発明においては、ゴムラテックス溶液存在下でカーボンブラックおよび分散溶媒を混合し、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造する際、カーボンブラックの分散性向上のために界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤としては、ゴム業界において公知の界面活性剤を使用することができ、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤などが挙げられる。また、界面活性剤に代えて、あるいは界面活性剤に加えて、エタノールなどのアルコールを使用しても良い。ただし、界面活性剤を使用した場合、最終的な加硫ゴムのゴム物性が低下することが懸念されるため、界面活性剤の配合量は、ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、実質的に界面活性剤を使用しないことが好ましい。
工程(i−(b))
工程(i−(b))では、スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を製造する。スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを液相で混合する方法は特に限定されるものではなく、スラリー溶液および残りのゴムラテックス溶液とを高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用して混合する方法が挙げられる。必要に応じて、混合の際に分散機などの混合系全体を加温してもよい。
残りのゴムラテックス溶液は、次工程(iii)での脱水時間・労力を考慮した場合、工程(i−(a))で添加したゴムラテックス溶液よりも固形分(ゴム)濃度が高いことが好ましく、具体的には固形分(ゴム)濃度が10〜60質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
本発明においては、工程(i)中に硫化モリブデンを添加し、次いで式(I)に記載の化合物を添加する。工程(i)において先にカーボンブラックを分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する場合は、カーボンブラックと硫化モリブデンとを同時に分散溶媒中に添加・分散させてスラリー溶液を製造してもよい。あるいは、先にカーボンブラックを分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造後、該スラリー溶液中に硫化モリブデンを添加・分散させてスラリー溶液を製造してもよい。また、式(I)に記載の化合物の添加タイミングとしても、スラリー溶液中にゴムラテックス溶液を添加・分散させる前段階であってもよく、スラリー溶液中にゴムラテックス溶液を添加・分散させた後段階であってもよい。また、工程(i)が工程(i−(a))と工程(i−(b))とを含む場合、これらのいずれの段階でも硫化モリブデンを添加・混合し、次いで式(I)に記載の化合物を添加可能である。
本発明においては、工程(i)中に硫化モリブデンを添加し、次いで式(I)に記載の化合物を添加するが、いずれの投入タイミングであっても、硫化モリブデンを添加後、前記の分散機を使用して硫化モリブデンを均一に分散させた後、式(I)に記載の化合物を添加し、分散させることが好ましい。
(2)工程(ii)
工程(ii)では、カーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を凝固して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する。凝固方法としては、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液中に凝固剤を含有させる方法が例示可能である。この場合、凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。なお、工程(ii)の後、工程(iii)の前に、必要に応じて、充填材含有ゴム凝固物が含む水分量を適度に低減する目的で、例えば遠心分離工程や加熱工程などの固液分離工程を設けても良い。
(3)工程(iii)
工程(iii)では、カーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥することにより、ゴムウエットマスターバッチを製造する。工程(iii)では例えば、単軸押出機を使用し、100〜250℃に加熱しつつ、カーボンブラック含有ゴム凝固物にせん断力を付与しながら脱水・乾燥することが可能である。また、ゴムウエットマスターバッチをさらに乾燥するために、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種乾燥装置を使用することができる。
(4)工程(iv)
工程(iii)で得られたゴムウエットマスターバッチに各種ゴム配合剤を添加し、乾式混合することにより、ゴム組成物を製造することができる(工程(iv))。使用可能なゴム配合剤としては、例えば、硫黄系加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、メチレン受容体およびメチレン供与体、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤が挙げられる。
硫黄系加硫剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
本発明に係る製造方法により製造されたゴムウエットマスターバッチでは、充填材、特にはカーボンブラックの分散性および分散安定性に優れている。したがって、かかるゴムウエットマスターバッチに各種ゴム配合剤を混合することにより得られるゴム組成物を加硫して得られるゴム部材によりタイヤのトレッドなどを構成した場合、耐屈曲疲労性などに優れるため好ましい。
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。
(使用原料)
a)ゴムラテックス溶液;Golden Hope社製、「天然ゴムラテックス溶液(NRフィールドラテックス)」(DRC=31.2%)
b)カーボンブラック;東海カーボン社製、「シーストSO」
c)式(I)に記載の化合物((2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム);住友化学社製、「スミリンク200」
d)酸化亜鉛;三井金属社製、「亜鉛華1号」
e)ステアリン酸;花王社製、「ルナックS−20」
f)ワックス;日本精蝋社製、「OZOACE0355」
g)老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン);モンサント社製、「6PPD」
h)硫化モリブデン(MoS);シグマアルドリッチ社製
i)硫黄;鶴見化学工業社製、「5%油入微粉末硫黄」
j)加硫促進剤;三新化学社製、「サンセラーNS−G」
実施例1〜5
濃度0.52質量%に調整した天然ゴム希薄ラテックス水溶液に、表1に記載の配合量となるようにカーボンブラックおよび硫化モリブデンを添加し(水に対するカーボンブラックの濃度は5質量%)、これにPRIMIX社製ロボミックスを使用してカーボンブラックを分散させることにより(該ロボミックスの条件:9000rpm、30分)、表1に記載の天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造した(工程(i−(a)))。次に、工程(i−(a))で製造された天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液に、式(I)に記載の化合物および天然ゴムラテックス溶液を、表1に記載の配合量となるように添加し、次いでSANYO社製家庭用ミキサーSM−L56型を使用して混合し(ミキサー条件11300rpm、30分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を製造した(工程(i−(b)))。
工程(i)で製造されたカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液に、凝固剤としての蟻酸を溶液全体がpH4となるまで添加し、カーボンブラック含有天然ゴム凝固物を製造した(工程(ii))。得られたカーボンブラック含有天然ゴム凝固物に対し、固液分離工程を実施し、次いでスエヒロEPM社製スクリュープレスV−01型に投入し、乾燥することでゴムウエットマスターバッチを製造した(工程(iii))。表1中の配合比率は、天然ゴムラテックス溶液中のゴム成分(固形分)の全量を100質量部としたときの質量部(phr)で示す。
得られたゴムウエットマスターバッチに、表1に記載の各種ゴム配合剤を添加し、バンバリーミキサーを用いて乾式混合することにより、ゴム組成物を製造した(工程(iv))。なお、表1中の配合比率は、天然ゴムラテックス溶液中のゴム成分(固形分)の全量を100質量部としたときの質量部(phr)で示す。
比較例1〜4
比較例1においては、式(I)に記載の化合物および硫化モリブデンのいずれも配合しなかったこと以外は、実施例と同様の方法によりゴム組成物を製造した。また、比較例2においては、式(I)に記載の化合物を配合せず、硫化モリブデンを工程(iv)で乾式混合したこと以外は、実施例と同様の方法によりゴム組成物を製造した。また、比較例3においては、式(I)に記載の化合物を配合しなかったこと以外は、実施例と同様の方法によりゴム組成物を製造した。また、比較例4においては、硫化モリブデンを配合しなかったこと以外は、実施例と同様の方法によりゴム組成物を製造した。
[耐屈曲疲労性]
JIS K6260に準拠し、得られたゴム組成物の加硫ゴムの耐屈曲疲労性を評価した。具体的には、150℃×30分の条件で加硫した試験片について、デマチャ屈曲試験機を用い、亀裂成長回数を測定した。比較例1の亀裂成長回数を100とした際の指数で表示し、数値が大きいほど耐屈曲疲労性に優れることを示す。結果を表1に示す。
Figure 2019099730
表1の結果から、実施例1〜5で製造されたゴムウエットマスターバッチを原料として得られた加硫ゴムは耐屈曲疲労性に優れることがわかる。一方、比較例2−3では式(I)に記載の化合物が配合されていないため、また比較例4では硫化モリブデンが配合されていないため、いずれも耐屈曲疲労性が悪化していることがわかる。

Claims (2)

  1. 少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として得られるゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、
    前記充填材、前記分散溶媒、および前記ゴムラテックス溶液を混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(i)、前記充填材含有ゴムラテックス溶液を凝固して、充填材含有ゴム凝固物を製造する工程(ii)、および前記充填材含有ゴム凝固物を脱水・乾燥することによりゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iii)を有し、
    前記工程(i)中に硫化モリブデンを添加し、次いで下記式(I)に記載の化合物:
    Figure 2019099730

    (式(I)中、RおよびRは、水素原子、ならびに炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Mはナトリウムイオン、カリウムイオンまたはリチウムイオンを示す。)を添加することを特徴とするゴムウエットマスターバッチの製造方法。
  2. ゴム成分の全量を100質量部としたとき、前記硫化モリブデンの配合量が0.1〜5.0質量部であり、前記式(I)に記載の化合物の配合量が0.1〜5.0質量部である請求項1に記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
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