JP2019099127A - スライド装置 - Google Patents

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忠佑 樋口
Tadasuke Higuchi
忠佑 樋口
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Abstract

【課題】 内蔵型スライド装置において、電動モータ等の駆動装置と固定レールとの干渉を回避可能なスライド装置の一例を開示する。【解決手段】 スライド装置10では、中間歯車33を介してピニオン32に駆動装置20の駆動力が伝達される。このため、駆動装置20は、ピニオン32から離間した位置に配置される。したがって、当該スライド装置10では、駆動装置20と固定レール12との干渉が回避され得る。ピニオン32及び中間歯車33を支持するための第1支持体41及び第2支持体42が一体成形された一体成形品にて構成されている。これにより、ピニオン32に対する中間歯車33の相対位置ずれ寸法が小さくなる。【選択図】図8

Description

本開示は、乗物用シートをスライド可能に支持するスライド装置に関する。
例えば、特許文献1に記載のスライド装置は、固定レールの外側面に固定されたラック、可動レールと一体的に変位するピニオン、及び当該ピニオンに駆動力を供給する電動モータ等を有して構成されている。当該電動モータの出力軸は、ピニオンの回転中心軸に嵌合している。つまり、電動モータは、中間歯車等を介すことなく、直接的にピニオンに駆動力を供給している。
特開2015−116833号公報
ラックが固定レール内に固定されたスライド装置(以下、内蔵型スライド装置という。)においては、ピニオンの一部が固定レール内に位置する。このため、内蔵型スライド装置において、仮に、電動モータの出力軸がピニオンの回転中心軸に嵌合した構成であると、電動モータが固定レールと干渉する可能性が極めて高い。
本開示は、上記点に鑑み、内蔵型スライド装置において、電動モータ等の駆動装置と固定レールとの干渉を回避可能なスライド装置の一例を開示する。
スライド装置(10)は、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、乗物に対して固定される固定レール(12)と、乗物用シートが固定されるとともに、固定レール(12)に対してスライド可能な可動レール(13)と、固定レール(12)内に固定されて当該固定レール(12)の長手方向と平行な方向に延びるラック(31)と、ラック(31)の上方側に配置されて当該ラック(31)と噛み合うピニオン(32)と、ピニオン(32)と噛み合う中間歯車(33)であって、駆動力を受けて回転することにより、当該駆動力を当該ピニオン(32)に伝達する中間歯車(33)と、中間歯車(33)に駆動力を供給する駆動装置(20)と、ピニオン(32)及び中間歯車(33)を支持する支持部材(40)であって、可動レール(13)に固定された支持部材(40)とである。
これにより、当該スライド装置(10)に係る駆動装置(20)は、特許文献1に記載のスライド装置に係る電動モータに比べて、ピニオン(32)から離間した位置に配置される。したがって、当該スライド装置では、駆動装置(20)と固定レール(12)との干渉が回避され得る。
ところで、ピニオン(32)に対する中間歯車(33)の相対位置が大きくずれていると、スライド装置が作動した際に大きな作動音及び大きな振動が発生する。これに対して、当該スライド装置(10)では、ピニオン(32)及び中間歯車(33)を支持するための第1支持体(41)及び第2支持体(42)が一体成形された一体成形品にて構成(以下、一体構成という。)されている。
これにより、第1支持体(41)と第2支持体(42)とが互いに組み付けられた構成(以下、組付構成という。)に比べて、ピニオン(32)に対する中間歯車(33)の相対位置ずれ寸法(以下、バラツキ寸法という。)が小さくなるので、ピニオン(32)と中間歯車(33)との噛み合いが不適切な状態となることが抑制される。
すなわち、組付構成のバラツキ寸法は、第1支持体(41)及び第2支持体(42)それぞれの寸法バラツキ、及び組付作業時に発生する組付バラツキ等の積算値となる。これに対して、一体構成のバラツキ寸法は、一体構成された1つの部品の寸法バラツキのみである。したがって、一体構成は組付構成に比べてバラツキ寸法が小さくなる。
なお、ピニオン(32)を支持部材(40)に組み付ける者又は組付装置(以下、作業者等という。)は、第1支持体(41)の上端(41A)及び第2支持体(42)の上端(42A)が互いに離間するように、第1支持体(41)及び第2支持体(42)を弾性変形させた状態で、ピニオン(32)を第1支持体(41)及び第2支持体(42)に組み付ける。
作業者等は、組み付け作業の終了後、規制体(43)を第1支持体(41)の上端(41A)及び第2支持体(42)の上端(42A)に組み付ける。
これにより、第1支持体(41)の上端(41A)及び第2支持体(42)の上端(42A)が、互いに離間することが規制体(43)により規制される。したがって、組付作業の終了後、ピニオン(32)が第1支持体(41)及び第2支持体(42)から離脱してしまうことが抑制される。
なお、スライド装置(10)は、以下の構成であってもよい。
すなわち、規制体(43)は、第1壁部(13A)と第1支持体(41)との間に配置された第1スペーサ(43A)、及び第2壁部(13B)と第2支持体(42)との間に配置された第2スペーサ(43B)を有して構成されていることが望ましい。
これにより、第1支持体(41)の上端(41A)及び第2支持体(42)の上端(42A)の弾性変位は、可動レール(13)により規制されるので、規制体(43)の部品点数及び組付工数等の増大が抑制される。
なお、第1壁部(13A)は、可動レール(13)に設けられ、第1支持体(41)を挟んで第2支持体(42)と反対側において、当該第1支持体(41)と離間した部位である。第2壁部(13B)は、可動レール(13)に設けられ、第2支持体(42)を挟んで第1支持体(41)と反対側において、当該第2支持体(42)と離間した部位である。
駆動装置(20)を可動レール(13)に固定するためのボルト(B1)は、中心軸線と平行な方向に延びている。さらに、当該ボルト(B1)は、第1スペーサ(43A)、第2スペーサ(43B)、第1支持体(41)、第2支持体(42)、第1壁部(13A)及び第2壁部(13B)を貫通し、かつ、第1スペーサ(43A)及び第2スペーサ(43B)は、ゴム製であることが望ましい。
これにより、駆動装置(20)と共に第1スペーサ(43A)及び第2スペーサ(43B)がボルト(B1)によって可動レール(13)に固定されるので、規制体(43)の固定構造が簡素な構造となり得る。さらに、駆動装置(20)の稼働時に発生する振動がゴム製の第1スペーサ(43A)及び第2スペーサ(43B)により吸収される。
さらに、第1支持体(41)及び第2支持体(42)は、樹脂製の一体成形品であることが望ましい。これにより、支持部材(40)の生産性が向上するとともに、当該支持部材(40)の製造原価上昇が抑制される。
ラックの歯の歯形は、インボリュート歯形又は台形歯形であることが望ましい。これにより、ラック(31)とピニオン(32)とを滑らかに噛み合わせることが可能となり得るので、ラック(31)及びピニオン(32)の耐久性を向上させることが可能となり得る。
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
第1実施形態に係る乗物用シート及びスライド装置を示す図である。 第1実施形態に係るスライド装置の側面図である。 第1実施形態に係るスライド装置を示す図である。 第1実施形態に係るスライド装置を示す図である。 第1実施形態に係るスライド装置における中間歯車、ピニオン及びラックの噛み合い状態を示す図である。 第1実施形態に係るラックを示す図である。 第1実施形態に係るスライド装置の分解斜視図である。 第1実施形態に係る支持部材の構造を示す図である。 第1実施形態に係る支持部材の構造を示す斜視図である。 第1実施形態に係る支持部材の構造を示す図である。 第1実施形態に係るグロメットを示す図である。 第1実施形態に係る支持部材及びピニオン等の組み付け説明図である。 第2実施形態に係る支持部材の構造を示す斜視図である。 第2実施形態に係るキャップの構造を示す図である。 第3実施形態に係るスライド装置におけるピニオン及びラックの噛み合い状態を示す図である。
以下に説明する「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
以下、本開示の実施形態を図面と共に説明する。
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に本開示に係るシートが適用された例である。各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。
したがって、本開示に係る発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。
(第1実施形態)
1.乗物用シートの概要
乗物用シート1は、図1に示されるように、シートクッション3及びシートバック5等を少なくとも備える。シートクッション3は着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック5は着席者の背部を支持するための部位である。
乗物用シート1は、シート幅方向一端側及びシート幅方向他端側それぞれに配置されたスライド装置10を介して乗物に固定されている。2つのスライド装置10は、乗物用シートをスライド可能に支持するための装置である。
2.スライド装置の構成
2.1 スライド装置の概要
シート幅方向一端側(本実施形態では、右端側)に配置されたスライド装置10は、支持ユニット11等を有して構成されている。シート幅方向他端側(本実施形態では、左端側)に配置されたスライド装置10は、支持ユニット11及び駆動装置20等を有して構成されている。
シート幅方向一端側に配置された支持ユニット11とシート幅方向他端側に配置された支持ユニット11とは同一構造である。以下の説明は、シート幅方向他端側に配置されたスライド装置10の詳細構造である。
2.2 スライド装置の詳細
<支持ユニット>
支持ユニット11は、図2に示されるように、固定レール12及び可動レール13等を少なくとも有する。固定レール12は、乗物に直接的又は間接的に固定される部材である。
可動レール13は、乗物用シート1が固定されるとともに、固定レール12に対してスライド可能な部材である。つまり、乗物用シート1は、支持ユニット11を介してスライド可能に乗物に搭載される。
<スライド駆動機構>
スライド駆動機構は、可動レール13をスライド変位させるための機構である。図3に示されるように、当該スライド駆動機構30は、駆動装置20、ラック31及びピニオン32等を少なくとも有して構成されている。
駆動装置20は、ピニオン32を回転させる駆動力を発生する。当該駆動装置20は、図4に示されるように、電動モータ21、減速機構22及びブラケット23等を有している。減速機構22は、電動モータ21で発生した回転力を減速して出力する歯車機構である。
電動モータ21と減速機構22とは、当該減速機構22を収納する歯車ケーシング22Aにて一体化されている。ブラケット23は、駆動装置20を可動レール13に固定するための部材である。
ラック31は、図2に示されるように、固定レール2内に固定された状態で当該固定レール12の長手方向と平行な方向に延びる半径が無限大の歯車である。ピニオン32は、図5に示されるように、ラック31の上方側に配置されて当該ラック31と噛み合う歯車である。
つまり、ピニオン32は、ラック31と噛み合う複数の歯部32Aを有するとともに、回転中心O1がラック31の上方側に位置する半径が有限な歯車である。本実施形態に係るラック31は、図6に示されるように、各歯部32Aが挿入可能な複数の穴31Aを有する帯板状の部材である。
当該ラック31は、圧延鋼板等の金属製の帯板に複数の穴31Aがプレス成形等により形成されたものである。ラック31の長手方向両端は、図5に示されるように、ボルト又はピン等の固定具31Bにより固定レール12に固定されている。カラー31Cは、ラック31の上下方向位置を規制するための筒状の部材である。
中間歯車33は、ピニオン32と噛み合った状態で駆動装置20から駆動力を受けて回転する。つまり、中間歯車33は、駆動装置20から駆動力を受けて回転することにより、当該駆動力をピニオン32に伝達する。本実施形態に係る中間歯車33は、駆動装置20の出力歯車を兼ねている(図7参照)。
なお、中間歯車33に伝達された駆動力は、駆動シャフト24(図1参照)を介してシート幅方向一端側(本実施形態では、右端側)に配置されたスライド装置10にも伝達される。このため、2つのスライド装置10は、機械的に同期して作動する。
<支持部材>
支持部材40は、図8及び図9に示されるように、ピニオン32及び中間歯車33を回転可能に支持するための部材である。当該支持部材40は、第1支持体41及び第2支持体42等を少なくとも有して構成されている。
第1支持体41及び第2支持体42、つまり支持部材40は樹脂又は金属(本実施形態では、樹脂)にて一体成形された一体成形品である。第1支持体41は、ピニオン32の中心軸線方向一端側(図8では右端側)を支持する弾性変形可能な板状の部位である。なお、中間歯車33の中心軸線方向一端側(図8では右端側)は、歯車ケーシング22Aに回転可能に支持されている。
第2支持体42は、ピニオン32及び中間歯車33の中心軸線方向他端側(図8では左側)を支持する弾性変形可能な板状の部位である。つまり、第1支持体41は、ピニオン32の中心軸線方向において、当該ピニオン32を挟んで第2支持体42と反対側に位置している。
第1支持体41及び第2支持体42、つまり支持部材40の下端40Aは、ピニオン32より下方側に位置している。そして、第1支持体41と第2支持体42とは、ピニオン32より下方側(本実施形態では、下端40A側)で繋がって一体化されている。
つまり、ラック31の延び方向と直交する仮想面に投影された支持部材40は、図9に示されるように、ラック31側で繋がった略U字状に構成されている。なお、本実施形態に係る支持部材40の下端40Aは、図8に示されるように、ラック31より下方側に位置している。
支持部材40の上端、つまり第1支持体41の上端41A及び第2支持体42の上端42Aは、可動レール13内、つまり、第1壁部13Aと第2壁部13Bとの間に位置している。第1壁部13Aは、可動レール13の一部を構成するとともに、第1支持体41を挟んで第2支持体42と反対側において、当該第1支持体41と離間した壁部である。
第2壁部13Bは、可動レール13の一部を構成するとともに、第2支持体42を挟んで第1支持体41と反対側において、当該第2支持体42と離間した壁部である。第1壁部13Aと第2壁部13Bとは、溶接又は締結具等の接合部にて上端で繋がっている。
第1壁部13Aと第1支持体41との間には第1スペーサ43Aが配置されている。第2壁部13Bと第2支持体42との間には第2スペーサ43Bが配置されている。第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bは、規制体43の一例である。
規制体43は、第1支持体41の上端41Aと第2支持体42の上端42Aとが互いに離間するような弾性変位を規制する。すなわち、第1壁部13Aと第2壁部13Bとは、互いに上端で繋がって略U字状に構成された金属製の部材である。
そして、第1スペーサ43Aが第1壁部13Aと第1支持体41との間に配置されているので、第1支持体41が第2支持体42から離間するように第1壁部13A側に大きく変位することが規制される。
同様に、第2スペーサ43Bが第2壁部13Bと第2支持体42との間に配置されているので、第2支持体42が第1支持体41から離間するように第2壁部13B側に大きく変位することが規制される。
<支持部材の固定構造>
支持部材40は、可動レール13内に配置された状態で当該可動レール13に固定されている。具体的には、図10に示されるように、支持部材40は、ピニオン32の中心軸線と平行な方向に延びるボルト(本実施形態では、ロック穴付きボルト)B1により可動レール13に固定されている。
ボルトB1は、第1スペーサ43A、第2スペーサ43B、第1支持体41、第2支持体42、第1壁部13A及び第2壁部13Bを貫通し、駆動装置20のブラケット23に連結されている。
つまり、ボルトB1は、支持部材40を可動レール13に固定するとともに、駆動装置20を可動レール13に固定する。なお、第1支持体41と第2支持体42との間には、樹脂製の第3スペーサ43Cが配置されている。ボルトB1は、第3スペーサ43Cも貫通している。
本実施形態に係る第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bは、図11に示されるグロメットGにて構成されている。グロメットGは、筒状の管部G1の両端に円盤状のフランジ部G2、G3が設けられたものである。
管部G1及びフランジ部G2、G3は、ゴム等の樹脂製にて一体成形された一体成形品である。本実施形態では、グロメットGのフランジ部G2が第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bとして利用されている。
フランジ部G2にはテーパ状の面取り部C1が設けられている。面取り部C1は、図10に示されるように、フランジ部G2のうち第1支持体41又は第2支持体42と接触する端面側に設けられている。
なお、本実施形態では、図7に示されるように、3本のボルトB1により支持部材40及び駆動装置20が可動レール13に固定される。このため、グロメットG(第1スペーサ43A及び第2スペーサ43B)並びに第3スペーサ43Cも3つずつ設けられている。
<ラック位置の規制構造>
図5に示されるように、支持部材40の下端40A側には、規制部50が設けられている。規制部50は、少なくとも可動レール13がスライドする際、つまりピニオン32が回転する際に、ラック31に接触することにより、当該ラック31がピニオン32から離間する向きに変位することを規制する部位である。
本実施形態に係る規制部50は、図10に示されるように、第1摺接部51、第2摺接部52及び第3摺接部53等を有して構成されている。第1摺接部51は、ラック31の下面の少なくとも一部に滑り接触可能な部位である(図5参照)。
ラック31の長手方向と略直交する水平方向を幅方向としたとき、本実施形態に係る第1摺接部51は、図10に示されるように、幅方向全域にてラック31の下面に滑り接触可能である。
第2摺接部52は、ラック31の幅方向一端側(本実施形態では、右端側)に滑り接触可能な部位である。第3摺接部53は、ラック31の幅方向他端側(本実施形態では、左端側)に滑り接触可能な部位である。
本実施形態では、第1摺接部51、第2摺接部52及び第3摺接部53のうちラック31と滑り接触する部位は、支持部材40の長手方向全域に亘って設けられている。支持部材40の長手方向とは、ラック31の長手方向と平行な方向をいう。
なお、本実施形態に係る第1摺接部51、第2摺接部52及び第3摺接部53は、支持部材40の下端40A側において、長手方向に貫通する貫通穴により構成されている(図10参照)。当該貫通穴の穴形状は、ラック31の断面形状と略合同な形状である。
3.本実施形態に係るスライド装置の特徴
3.1 支持部材等について
本実施形態に係るスライド装置10では、中間歯車33を介してピニオン32に駆動装置20の駆動力が伝達される。したがって、例えば、電動モータ21の出力軸がピニオン32の回転中心軸に嵌合した構成に比べて、駆動装置20は、ピニオン32から離間した位置に配置される。延いては、当該スライド装置10では、駆動装置20と固定レール12との干渉が回避され得る。
ところで、ピニオン32に対する中間歯車33の相対位置が大きくずれていると、スライド装置10が作動した際に大きな作動音及び大きな振動が発生する。
これに対して、本実施形態に係るスライド装置10では、第1支持体41及び第2支持体42が一体成形された一体成形品にて構成(以下、一体構成という。)されている。
これにより、第1支持体41と第2支持体42とが互いに組み付けられた構成(以下、組付構成という。)に比べて、ピニオン32に対する中間歯車33の相対位置ずれ寸法(以下、バラツキ寸法という。)が小さくなるので、ピニオン32と中間歯車33との噛み合いが不適切な状態となることが抑制される。
すなわち、組付構成のバラツキ寸法は、第1支持体41及び第2支持体42それぞれの寸法バラツキ、及び組付作業時に発生する組付バラツキ等の積算値となる。これに対して、一体構成のバラツキ寸法は、一体構成された1つの部品の寸法バラツキのみである。したがって、一体構成は組付構成に比べてバラツキ寸法が小さくなる。
なお、ピニオン32を支持部材40に組み付ける者又は組付装置(以下、作業者等という。)は、図12の二点鎖線に示されるように、第1支持体41及び第2支持体42を弾性変形させることにより、第1支持体41の上端41Aと第2支持体42の上端42Aとを互いに離間させた状態で、ピニオン32及び3つの第3スペーサ43Cを第1支持体41及び第2支持体42に組み付ける。
作業者等は、組み付け作業の終了後、規制体43、つまり第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bを第1支持体41の上端41A及び第2支持体42の上端42Aに組み付けた後、ボルトB1を挿入して可動レール13に支持部材40及び駆動装置20を固定する(図10参照)。
これにより、第1支持体41の上端41A及び第2支持体42の上端42Aが、互いに離間することが規制される。したがって、組付作業の終了後、ピニオン32が第1支持体41及び第2支持体42から離脱してしまうことが抑制される。
第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bにより規制体43が構成されている。これにより、第1支持体41の上端41A及び第2支持体42の上端42Aの弾性変位は、可動レール13により規制されるので、後述する第2実施形態等に比べて、規制体43の部品点数及び組付工数等の増大が抑制され得る。
駆動装置20を可動レール13に固定するためのボルトB1は、中心軸線と平行な方向に延びるとともに、第1スペーサ43A、第2スペーサ43B、第1支持体41、第2支持体42、第1壁部13A及び第2壁部13Bを貫通している。そして、第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bはゴム等の弾性部材にて構成されている。
これにより、駆動装置20と共に第1スペーサ43A及び第2スペーサ43BがボルトB1によって可動レール13に固定されるので、規制体43の固定構造が簡素な構造となり得る。さらに、駆動装置20の稼働時に発生する振動がゴム製の第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bにより吸収される。
第1支持体41及び第2支持体42は、樹脂にて構成された一体成形品である。これにより、支持部材40の生産性が向上するとともに、当該支持部材40の製造原価上昇が抑制される。
3.2 ラック位置の規制構造について
本実施形態に係るスライド装置10は規制部50を備えているので、ラック31がピニオン32から離間することが規制される。したがって、ピニオン32とラック31との噛み合いが不適切な状態となることが抑制される。スライド装置10の作動時に発生する作動音及び振動が低減され得る。
規制部50は、ラック31の下面の少なくとも一部に滑り接触可能な第1摺接部51を有する。これにより、ラック31が下方側に変位してしまうことが抑制され得るので、ピニオン32とラック31との噛み合いが不適切な状態となることが確実に抑制され得る。
第1摺接部51は、幅方向全域にてラック31に滑り接触可能である。これにより、ピニオン32とラック31との噛み合いが不適切な状態となることが確実に抑制され得る。
規制部50は、第2摺接部52及び第3摺接部53を有する。これにより、ラック31が幅方向に変位してしまうことが抑制され得るので、ピニオン32とラック31との噛み合いが不適切な状態となることが確実に抑制され得る。
規制部50は支持部材40に設けられている。これにより、ピニオン32及び中間歯車33を支持する部材と規制部50とが異なる部材に設けられた構成に比べて、中間歯車33とピニオン32とラック31との相対位置ずれが小さくなる。したがって、中間歯車33とピニオン32とラック31との噛み合いが不適切な状態となることが確実に抑制され得る。
ラック31は帯板状の部材であって、かつ、当該ラック31は、図7に示されるように、長手方向両端が固定具31Bにより固定レール12に固定された両端支持構である。このため、特に、ラック31の長手方向中央においては、当該ラック31がピニオン32から離間するように下側に撓み変位する可能性がある。
したがって、本実施形態のごとく、規制部50を備えるスライド装置10であれば、ピニオン32とラック31との噛み合いが不適切な状態となることが効果的に抑制され得る。
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る規制体43は、第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bにより構成されていた。これに対して、本実施形態に係る規制体43は、図13に示されるキャップ43Dにより構成されている。
キャップ43Dは、ピニオン32の中心軸線方向と平行な方向から支持部材40の上端41A、42Aを挟み込むように、当該上端41A、42A側を覆う部材である。具体的には、図14に示されるように、キャップ43Dは、第1壁部43E及び第2壁部43F等を有している。
第1壁部43Eは第1スペーサ43Aと同様な機能を発揮する。第2壁部43Fは第2スペーサ43Bと同様な機能を発揮する。第1壁部43Eと第2壁部43Fとは、天板部43Gにより一体化されている。
本実施形態に係るキャップ43D、つまり第1壁部43E、第2壁部43F及び天板部43Gは、樹脂にて一体成形された一体成形品である。当該樹脂は、第1スペーサ43Aを構成する樹脂(ゴム)より硬質な樹脂である。
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号を付したので、重複する説明は省略する。
(第3実施形態)
上述の実施形態に係るラック31の歯の歯形は、図5に示されるように、矩形波状であった。これに対して、本実施形態に係るラック31の歯の歯形は、図15に示されるように、インボリュート歯形又は台形歯形である。
なお、ピニオン32の歯の歯形は、インボリュート歯形である。このため、ピニオン32と噛み合うラック31の歯の歯形もインボリュート歯形であることが望ましい。通常、インボリュート歯形の歯車において、歯数が増大すると、台形歯形に近づいていく。
ラック31は、曲率半径が無限大の歯車であるので、インボリュート歯形に成形しても、現実の歯形は台形歯形に略等しい。したがって、ラック31の歯の歯形は、ピニオン32の圧力角と同一の角度にて構成された台形状であってもよい。
以上により、本実施形態では、ラック31とピニオン32とを滑らかに噛み合わせることが可能となり得るので、ラック31及びピニオン32の耐久性を向上させることが可能となり得る。
なお、本実施形態及び第1実施形態においては、ラック31及びピニオン32の歯は、歯筋方向が固定レール12の長手方向に対して傾いたヘリカル状であってもよい。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るスライド装置10では、中間歯車33を介してピニオン32に駆動装置20の駆動力が伝達された。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
上述の実施形態では、ピニオン32及び中間歯車33を支持するための第1支持体41及び第2支持体42が樹脂にて一体成形された一体成形品であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、当該発明は、例えば、(a)第1支持体41及び第2支持体42が金属にて一体成形された一体成形品(ダイキャスト品)、又は(b)第1支持体41と第2支持体42とがネジ等の締結具を介して組み付けられて一体化された構成等であってもよい。
上述の実施形態では、規制体43により、第1支持体41の上端41A及び第2支持体42の上端42Aが互いに離間することが規制される構成であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、当該発明は、例えば、規制体43が廃止された構成であってもよい。なお、当該構成においては、第1壁部13A及び第2壁部13Bが支持部材40に接触することにより、第1支持体41の上端41A及び第2支持体42の上端42Aが互いに離間することが規制される構成であってもよい。
上述の実施形態に係る規制体43は、グロメットGを利用した第1スペーサ43A及び第2スペーサ43Bにて構成されていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、当該発明は、例えば、規制体43が金属又はグロメットGに比べて硬質な樹脂にて構成されていてもよい。なお、当該規制体43は、上記ボルトB1とは異なる、固定専用のボルトにて可動レール13及び支持部材40に固定される構成であってもよい。
上述の実施形態では、規制部50が支持部材40に設けられていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、(a)規制部50が廃止され構成、又は(b)規制部50が支持部材40以外(例えば、固定レール12)に設けられた構成等であってもよい。
上述の実施形態に係る規制部50は、第1摺接部51〜第3摺接部53を有していた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、第1摺接部51〜第3摺接部53のうち少なくとも1つが廃止された構成であってもよい。
上述の実施形態に係る第1摺接部51は、幅方向全域にてラック31に滑り接触可能であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明に係る第1摺接部51は、例えば、幅方向中央を除く部位にてラック31に滑り接触可能な構成であってもよい。
上述の実施形態に係るラック31は、ラック31は帯板状の部材であって、かつ、当該ラック31は、長手方向両端が固定レール12に固定された両端支持構であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明に係るラック31は、例えば、ピニオン32の歯部32Aと噛み合う歯部を有する構成であってもよい。
上述の実施形態では、普通乗用車に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本開示の適用はこれに限定されるものではなく、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態に示された発明の構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
1… 乗物用シート 3… シートクッション 5… シートバック
10… スライド装置 11… 支持ユニット 12… 固定レール
13… 可動レール 13A… 第1壁部 13B… 第2壁部
20… 駆動装置 21… 電動モータ 22… 減速機構
22A… 歯車ケーシング 23… ブラケット 24… 駆動シャフト
30… スライド駆動機構 31… ラック 31A… 穴
32… ピニオン 33… 中間歯車 40… 支持部材
41… 第1支持体 42… 第2支持体 43A… 第1スペーサ
43B… 第2スペーサ 43… 規制体 50… 規制部
51… 第1摺接部 52… 第2摺接部 53… 第3摺接部

Claims (5)

  1. 乗物用シートをスライド可能に支持するスライド装置において、
    乗物に対して固定される固定レールと、
    乗物用シートが固定されるとともに、前記固定レールに対してスライド可能な可動レールと、
    前記固定レール内に固定され、当該固定レールの長手方向と平行な方向に延びるラックと、
    前記ラックの上方側に配置され、当該ラックと噛み合うピニオンと、
    前記ピニオンと噛み合う中間歯車であって、駆動力を受けて回転することにより、当該駆動力を当該ピニオンに伝達する中間歯車と、
    前記中間歯車に駆動力を供給する駆動装置と、
    前記ピニオン及び前記中間歯車を支持するための支持部材であって、前記可動レールに固定された支持部材とを備え、
    前記支持部材は、
    少なくとも前記ピニオンの中心軸線方向一端側を支持する弾性変形可能な第1支持体であって、下端が前記ピニオンより下方側に位置する第1支持体、並びに
    前記ピニオン及び前記中間歯車の中心軸線方向他端側を支持する弾性変形可能な第2支持体であって、下端が前記ピニオンより下方側に位置する第2支持体を有して構成されており、
    前記第1支持体と前記第2支持体とは、前記ピニオンより下方側で繋がった一体成形品であり、
    さらに、前記第1支持体のうち前記ピニオンより上端側及び前記第2支持体うち前記ピニオンより上端側が互いに離間するような弾性変位を規制する規制体を備えるスライド装置。
  2. 前記可動レールは、
    前記第1支持体を挟んで前記第2支持体と反対側において、当該第1支持体と離間した第1壁部、及び
    前記第2支持体を挟んで前記第1支持体と反対側において、当該第2支持体と離間した第2壁部を有しており、
    さらに、前記規制体は、前記第1壁部と前記第1支持体との間に配置された第1スペーサ、及び前記第2壁部と前記第2支持体との間に配置された第2スペーサを有して構成されている
    請求項1に記載のスライド装置。
  3. 前記中心軸線と平行な方向に延びるとともに、前記第1スペーサ、前記第2スペーサ、前記第1支持体、前記第2支持体、前記第1壁部及び前記第2壁部を貫通するボルトであって、前記駆動装置を前記可動レールに固定するためのボルトを備え、
    前記第1スペーサ及び前記第2スペーサは、ゴム製である請求項1又は2に記載のスライド装置。
  4. 前記第1支持体及び前記第2支持体は、樹脂製の一体成形品である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスライド装置。
  5. 前記ラックの歯の歯形は、インボリュート歯形又は台形歯形である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライド装置。
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