JP2019098329A - 複合半透膜および複合半透膜の製造方法 - Google Patents

複合半透膜および複合半透膜の製造方法 Download PDF

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淳 岡部
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剛志 浜田
貴史 小川
Takashi Ogawa
貴史 小川
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Tomoya Yoshizaki
友哉 吉崎
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Abstract

【課題】本発明は、優れた耐久性と透水性とを両立する複合半透膜を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、基材と、前記基材上に形成される多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に形成される分離機能層とを備える複合半透膜であって、前記分離機能層の重量が、前記多孔性支持層の重量に対し0.75重量%以上である複合半透膜に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な複合半透膜に関する。本発明によって得られる複合半透膜は、例えば海水やかん水の淡水化に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。
膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられている。
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜であり、多孔性支持層上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、多孔性支持層上でモノマーを重縮合した活性層を有するものとの2種類がある。
なかでも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜は、透過性や選択分離性の高い分離膜として広く用いられている。
複合半透膜からエレメントを製造する際に、分離機能層に流路材などが接触することにより分離機能層の表面を傷付けてしまうことがある。また、薬液によってエレメント膜面の染物質洗浄を行う際に、例えばシリカなどの析出成分が分離膜面上で析出することにより、分離機能層の表面を傷付け、分離性能の低下を引き起こすことがある。従って、分離機能層には、そのような物理的外力にも十分に耐える強度を備えていることが要求される。
分離機能層の耐久性を向上させた例として、分離機能層の表面に架橋重合体を被覆する方法が提案されている。(例えば特許文献1、2)。
特開2003−200026号公報 国際公開第97/34686号パンフレット
上述した種々の提案で耐久性を有する膜もあるが、膜の透水性を確保するため被覆層は親水性の重合体であることが多く、耐久性の向上効果は不十分であった。また、製膜時に架橋重合体を被覆する工程が増えるため、製造コストが増加する点に課題があった。
本発明は、ポリアミド分離機能層自体の耐久性を向上させ、長期間高い塩除去率を維持する高耐久複合半透膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成をとる。
[1]基材と、前記基材上に形成される多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に形成されたポリアミド膜である分離機能層とを備える複合半透膜であって、
前記分離機能層の重量が、前記多孔性支持層の重量に対し0.75重量%以上である複合半透膜。
[2]前記分離機能層の重量が0.13g/m以上である[1]記載の複合半透膜。
[3]前記多孔性支持層の重量が14g/m以上22g/m以下である[1]または[2]に記載の複合半透膜。
[4]前記複合半透膜の分離機能層側表面を全反射赤外吸収スペクトル法で測定した際のピーク強度比(I1660/I1585)が、0.45〜1.0である[1]から[3]のいずれか1項に記載の複合半透膜。
[5]基材と、前記基材上に位置する多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に位置する分離機能層とを備えた複合半透膜の製造方法であって、
多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液とを用い、前記基材及び前記多孔性支持層を含む支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、架橋ポリアミドを形成する工程を備え、
前記界面重縮合反応の反応場にエステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤を含み、
前記多官能アミンを含有する水溶液中の多官能アミン濃度A(重量%)と、前記多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度B(重量%)が、B/A≧0.07の関係式を満たす複合半透膜の製造方法。
[6]前記多官能アミンを含有する水溶液中の多官能アミン濃度A(重量%)と、前記多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度B(重量%)が、B/A≧0.10の関係式を満たす[5]記載の複合半透膜の製造方法。
[7]前記エステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤が、多官能酸ハロゲン化物を溶解した有機溶媒に含まれる[5]または[6]に記載の複合半透膜の製造方法。
[8]前記多孔性支持層を形成する工程であって、前記基材上に、ポリスルホン溶液を固形分が14g/m以上22g/m以下となるように塗布し、その後に前記ポリスルホン溶液を凝固浴に接触させて相分離を起こすことで、多孔性支持層を形成する工程をさらに備える[5]から[7]のいずれか1項に記載の複合半透膜の製造方法。
[9]前記有機溶媒が、沸点80℃以上である[5]から[8]のいずれか1項に記載の複合半透膜の製造方法。
本発明によって、複合半透膜における高い耐久性が実現される。
スパイラル型の複合半透膜エレメントの斜視図である。
1.複合半透膜
複合半透膜は、基材および多孔性支持層を含む支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備える。分離機能層は、複合半透膜において溶質の分離機能を担う層である。一方、支持膜は実質的にイオン等の分離性能を有さず、分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。
(1−1)分離機能層
分離機能層は、具体的には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合によって得られる架橋ポリアミドを主成分とする。
ここで、多官能アミンは、芳香族多官能アミン及び脂肪族多官能アミンから選ばれた少なくとも1つの成分からなることが好ましい。
芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミンであり、特に限定されるものではないが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン等が例示される。また、そのN−アルキル化物として、N,N−ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジエチルパラフェニレンジアミン等が例示される。性能発現の安定性から、特にメタフェニレンジアミン(以下、m−PDAという。)、または1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。
また、脂肪族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンであり、好ましくはピペラジン系アミン及びその誘導体である。例えば、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジン、エチレンジアミン等が例示される。性能発現の安定性から、特に、ピペラジンまたは2,5−ジメチルピペラジンが好ましい。これらの多官能アミンは、1種を単独で用いても、2種類以上を混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記多官能アミンとの反応によりポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸等のハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応の容易さ等の点から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライド(以下、TMCという。)が好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は1種を単独で用いても、2種類以上を混合物として用いてもよい。
本発明の分離機能層の重量は0.13g/m以上であることが好ましく、より好ましくは0.16g/m以上である。通常の複合半透膜に用いられる分離機能層は0.08〜0.12g/m程度であるので、本発明では分離機能層の重量はそれよりも大きい。
分離機能層の重量が0.13g/m以上であれば、分離機能層が十分なポリアミド量を有するため高い強度を有しており、流路材などが接触することにより分離機能層の表面に生じる欠点を減らすことができる。また膜洗浄等の際、薬品に接触した場合の膜性能の変化を遅らせることができると考えられる。分離機能層の重量は、0.20g/m以下であることが好ましい。
このとき、分離機能層が高い強度を有しているため、後述する多孔性支持層の重量が低く多孔性支持層の耐圧性が低い場合であっても、複合半透膜を加圧運転した際に高い塩除去性能が得られる。本発明の複合半透膜は、分離機能層の重量が、多孔性支持層の重量に対し0.75重量%以上であり、好ましくは1重量%以上である。分離機能層の重量が、多孔性支持層の重量に対し0.75重量%以上であることで、分離機能層が十分な強度を有しており、かつ、多孔性支持層部分の抵抗が小さいため高い透水性を得ることができる。
分離機能層の重量は、多孔性支持層の重量の2重量%以下または1.5重量%以下であることが好ましい。
複合半透膜における分離機能層の重量と、多孔性支持層の重量は、重量法で測定することができる。例えば、複合半透膜から基材を剥離後に分離機能層と多孔性支持層の重量を測定し、さらに多孔性支持層から分離機能層を剥離することで分離機能層の重量と、多孔性支持層の重量を測定することができる。測定したそれぞれの重量から、多孔性支持層に対する分離機能層の重量比を算出できる。
上記ポリアミド分離機能層は、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物の重合反応に由来するアミド基、未反応末端官能基に由来するアミノ基及びカルボキシ基を有する。これらの官能基量は、複合半透膜の透水性能や塩除去率に影響を与える。
ポリアミド形成後に化学処理を行うと、ポリアミド中の官能基を変換したり、ポリアミドに新たな官能基を導入したりすることができ、これによって複合半透膜の透過水量や塩除去率を向上させることができる。導入する官能基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、アゾ基等が挙げられる。
例えば、ポリアミドにアゾ基を導入すると、塩除去率が向上するため好ましい。アゾ基は、ポリアミド中の(アゾ基のモル当量)/(アミド基のモル当量)の比が0.1以上1.0以下になるように導入されることが好ましい。この比が0.1以上1.0以下であることで、高い塩除去率を得ることができる。
また、分離機能層中のアミノ基割合「(アミノ基のモル当量)/(アミド基のモル当量)」は複合半透膜の耐久性に関係し、このアミノ基割合を0.18以下となるようにアミノ基を別の官能基に変換することが好ましい。「(アミノ基のモル当量)/(アミド基のモル当量)」が0.18以下であれば、層の堅牢性が増して膜の耐久性が向上する。
これらのポリアミド中の官能基量は、例えば、13C固体NMR測定で求めることができる。具体的には、複合半透膜から基材を剥離し、分離機能層と多孔性支持層を得た後、多孔性支持層を溶解及び除去し、分離機能層を得る。得られた分離機能層をDD/MAS−13C固体NMR測定を行い、各官能基が結合している炭素原子のピークの積分値を算出する。この積分値から各官能基量を同定できる。
また、本発明の複合半透膜の全反射赤外吸収測定(以下、ATR−IRという。)において、1660cm−1のピーク強度と1585cm−1のピーク強度の比(I1660/I1585)が、0.45〜1.0であることが好ましい。
本発明のピーク強度比(I1660/I1585)は、分離機能層強度の指標として用いることができる。多孔性支持層に対する吸収ピーク値と分離機能層に対応する吸収ピーク値との比であり、大きいほど多孔性支持層の強度が小さく、分離機能層が多く形成されていることを示す。
1660:1660cm−1の分離機能層に対応する吸収ピーク値
1585:1585cm−1の多孔性支持層に対応する吸収ピーク値
ピーク強度比(I1660/I1585)の測定は、以下のとおり行うことができる。まず、測定する膜を充分に乾燥させる。次に、膜の表面(つまり分離機能層の表面)に赤外線を照射して、反射光を検知することで、スペクトルを得る。より具体的な測定方法については実施例に記載されている。本書に記載のピーク強度比(I1660/I1585)は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定した値から算出したものである。
(1−2)支持膜
本発明において支持膜は、基材と多孔性支持層とを備えるものであり、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。
本発明の複合半透膜は、多孔性支持層の重量が14g/m以上22g/m以下であることが好ましく、より好ましくは15g/m以上20g/m以下である。多孔性支持層の重量が14g/m以上22g/m以下であれば、複合半透膜が十分な透水性を得られ、さらには加圧時の分離機能層の変形、または多孔性支持層部分への落ち込みを抑えることもでき、安定した膜性能を得られる。多孔性支持層の重量が14g/m未満の場合には複合半透膜の強度が低く、加圧時の塩除去性能が低下する。多孔性支持層の重量が22g/m以上の場合には、水透過における多孔性支持層の抵抗が大きく、複合半透膜の透水性能が低下する。
通常の複合半透膜に用いられる多孔性支持層は23〜25g/m程度であるので、本発明ではそれよりも重量の小さい多孔性支持層が用いられる。この場合には通常の複合半透膜よりも多孔性支持層の強度が低くなるが、本発明の分離機能層を用いることにより、優れた耐久性と透水性を両立することができる。
多孔性支持層の素材にはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを単独であるいはブレンドして使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられ、さらに、これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用できる。
上記の支持膜の厚みは、複合半透膜の強度およびそれを膜エレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、30〜300μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは50〜250μmの範囲内である。また、多孔性支持層の厚みは、10〜100μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは20〜400μmの範囲内である。基材の厚みは10〜250μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは20〜200μmの範囲内である。
特に、多孔性支持層は、ポリスルホンで形成される場合、密度が0.3〜0.75g/cmであることが好ましい。後述する溶解助剤を添加して界面重縮合を行う本願発明においては、多孔性支持層からのアミン水溶液供給量が通常よりも高いことが好ましい。多孔性支持層の密度が上記範囲であることで、適切な量のアミン水溶液を反応場へ提供することができる。
上記基材や多孔性支持層、及び複合半透膜の厚みは、デジタルシックネスゲージによって測定することができる。また、後述する分離機能層の厚みは多孔性支持層と比較して非常に薄いので、複合半透膜の厚みを多孔性支持層の厚みとみなすこともできる。従って、複合半透膜の厚みをデジタルシックネスゲージで測定し、複合半透膜の厚みから基材の厚みを引くことで、多孔性支持層の厚みを簡易的に算出することができる。デジタルシックネスゲージとしては、尾崎製作所株式会社のPEACOCKなどが使用できる。デジタルシックネスゲージを用いる場合は、20箇所について厚みを測定して平均値を算出する。
なお、基材や多孔性支持層、複合半透膜の厚みを上述した顕微鏡で測定してもよい。1つのサンプルについて任意の5箇所における断面観察の電子顕微鏡写真から厚みを測定し、平均値を算出することで厚みが求められる。なお、本発明における厚みや孔径は平均値を意味するものである。
本発明に使用する多孔性支持層は、ミリポア社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することもできる。
本発明における多孔性支持層は、前記基材上に位置する。
前記基材に用いられる布帛には、強度、凹凸形成能、流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は基材には高分子重合体の溶液を流延した際の浸透性に優れ、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じたりすることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、分離膜の連続製膜においては、製膜方向に対し張力がかけられることからも、基材にはより寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。また、前記基材が、主成分としてポリエステルを含有する長繊維不織布であることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるため好ましい。より具体的に、前記長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標であり、連続製膜を行う際の製膜方向を0°とし、製膜方向と直角方向、すなわち不織布基材の幅方向を90°としたときの、不織布基材を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、該サンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°とし、不織布の幅方向(横方向)を90°としたときの角度を測定し、それらの平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度として求める。
2.複合半透膜の製造方法
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。製造方法は、支持膜の形成工程及び分離機能層の形成工程を含む。
(2−1)支持膜の形成工程
支持膜の形成工程は、基材に高分子溶液を塗布する工程及び高分子溶液を塗布した前記基材を凝固浴に浸漬させて高分子を凝固させる工程を含む。
基材に高分子溶液を塗布する工程において、高分子溶液は、多孔性支持層の成分である高分子を、その高分子の良溶媒に溶解して調製する。
高分子溶液塗布時の高分子溶液の濃度と高分子溶液の塗布厚みは、多孔性支持層の重量が14g/m以上22g/m以下となるように適宜調整することができる。
多孔性支持層の材料としてポリスルホンを含有する場合、高分子溶液のポリスルホン濃度は、好ましくは18重量%以下であり、より好ましくは16重量%以下である。また、高分子溶液のポリスルホン濃度は、好ましくは12重量%以上であり、より好ましくは13重量%以上である。高分子濃度が18重量%以下であることで、高分子の凝固前に相分離が十分に進行できるので、水透過における多孔性支持層の抵抗を小さくすることができる。また、高分子濃度が12重量%以上であることで、本発明の分離機能層に十分な強度を与えることができる。
通常の複合半透膜に用いられる多孔性支持層は15〜20重量%程度であるので、本発明ではそれよりも重量の小さい多孔性支持層が用いられる。この場合には通常の複合半透膜よりも多孔性支持層の強度が低くなるが、多孔性支持層上に本発明の分離機能層を形成することで、高い塩除去性と透水性を両立することができる。
基材上への高分子溶液の塗布は、種々のコーティング法によって実施できるが、正確な量のコーティング溶液を供給できるダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング等の前計量コーティング法が好ましく適用される。
高分子溶液塗布時の高分子溶液の温度は、高分子としてポリスルホンを用いる場合、10℃以上60℃以下であることが好ましい。高分子溶液の温度が、この範囲内であれば、高分子が析出することがなく、高分子溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。その結果、アンカー効果により多孔性支持層が基材に強固に接合し、良好な支持膜を得ることができる。なお、高分子溶液の好ましい温度範囲は、用いる高分子の種類や、所望の溶液粘度等によって適宜調整することができる。
基材上に高分子溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間は、0.1秒以上5秒以下であることが好ましい。凝固浴に浸漬するまでの時間がこの範囲であれば、高分子を含む有機溶媒溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。なお、凝固浴に浸漬するまでの時間の好ましい範囲は、用いる高分子溶液の種類や、所望の溶液粘度等によって適宜調整することができる。
凝固浴としては、通常水が使われるが、多孔性支持層の成分である高分子を溶解しないものであればよい。凝固浴の組成によって得られる支持膜の膜形態が変化し、それによって得られる複合半透膜も変化する。凝固浴の温度は、−20℃以上100℃以下が好ましく、さらに好ましくは10℃以上50℃以下である。凝固浴の温度がこの範囲以内であれば、熱運動による凝固浴面の振動が激しくならず、膜形成後の膜表面の平滑性が保たれる。また、凝固浴の温度がこの範囲内であれば、凝固速度が適当で、製膜性が良好である。
次に、このようにして得られた支持膜を、膜中に残存する溶媒を除去するために熱水洗浄する。このときの熱水の温度は40℃以上100℃以下が好ましく、さらに好ましくは60℃以上95℃以下である。熱水の温度がこの範囲内であれば、支持膜の収縮度が大きくならず、透過水量が良好である。また、熱水の温度がこの範囲内であれば、洗浄効果が十分である。
(2−2)分離機能層の形成工程
次に、複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程を説明する。分離機能層の形成工程では、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、ポリアミド骨格を形成することができる。本発明の分離機能層の形成工程は、
(a)多孔性支持層と多官能アミン溶液を接触させる工程
(b)上記(a)で得られた膜に対し多官能酸ハロゲン化物およびエステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤を接触させることで、界面重縮合反応により、多孔性支持層上でポリアミドを生成する工程を含む。
多官能アミン水溶液には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン構造、脂肪酸エステル構造、スルホ基を有する界面活性剤又は水酸基を有する界面活性剤が挙げられる。
ポリオキシアルキレン構造としては、例えば、−(CHCHO)−、−(CHCH(CH)O)−、−(CHCHCHO)−、−(CHCHCHCHO)−などを挙げることができる。
脂肪酸エステル構造としては、長鎖脂肪族基を有する脂肪酸が挙げられる。長鎖脂肪族基としては、直鎖状、分岐状いずれでもよいが、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、およびその塩などが挙げられる。また、油脂由来の脂肪酸エステル、例えば牛脂、パーム油、ヤシ油等も挙げられる。
スルホ基を有する界面活性剤としては、1−ヘキサンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
水酸基を有する界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖等が挙げられる。
界面活性剤は、多孔性支持層表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果がある。
有機溶媒としては、例えば、鎖状アミド化合物や環状アミド化合物等が挙げられる。
鎖状アミド化合物として、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミドが挙げられる。
環状アミド化合物として、例えば、N−メチルピロリジノン、γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
有機溶媒は、界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重縮合反応を効率良く行える場合がある。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩及び炭酸水素塩無機化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機化合物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)及びテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト及びトリノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。
その他の酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸又はそのアルカリ金属塩、ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソール等の立体障害フェノール化合物、クエン酸イソプロピル、dl−α−トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸、没食子酸プロピル等が挙げられる。
工程(a)において、上述の多官能アミン水溶液を多孔性支持層に接触させる。接触は、多孔性支持層の表面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、多官能アミン水溶液を多孔性支持層に塗布する方法、コーティングする方法、または多孔性支持層を多官能アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。多孔性支持層と多官能アミン水溶液との接触時間は、1〜10分間の範囲内であることが好ましく、10秒〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。
多官能アミン水溶液を多孔性支持層に接触させた後は、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、例えば、日本国特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の多孔性支持層を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
次いで工程(b)において、多官能アミン水溶液接触後の多孔性支持層に、多官能酸ハロゲン化物およびエステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤を接触させ、界面重縮合反応により架橋ポリアミドを形成する。架橋ポリアミド形成時には、分子量の小さいアミドのオリゴマーが多数存在しており、反応の進行とともに高分子量化する。高分子量化したオリゴマーは反応場から析出し、界面に分離機能層を形成する。通常、界面重縮合反応は分離機能層が形成されることで多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物が接触できなくなることで反応が停止する。そのため、界面重縮合反応で得られる架橋ポリアミドは反応速度に応じておおよそ一定の重量となり、欠点が少なく塩除去性に優れている。
上記工程(b)において、多官能酸ハロゲン化物に、さらにエステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤を併せて添加することで以下のような効果が得られる。
本発明の溶解助剤は、アミドオリゴマーと高い親和性を持つ。よって、このような溶解助剤が重縮合の反応場にあると、分子量の小さいオリゴマーとこの溶解助剤とが相互作用することで、オリゴマー同士の凝集を抑制することができる。その結果、高分子量化したオリゴマーは析出することなく溶解した状態で反応場に存在することができ、分離機能層形成による反応阻害がないため、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物を長時間反応させることができる。従って、本発明では通常よりも重量の大きい分離機能層を得ることができる。
溶解助剤に用いられるエステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、クロトン酸エチル、クロトン酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸ペンチル、乳酸ヘキシル、乳酸シクロヘキシル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケロン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルペンチルケトン、プロピルブチルケトン、エチルヘキシルケトン、プロピルペンチルケトン、プロピルヘキシルケトン、ブチルペンチルケトン、ブチルヘキシルケトン、ジペンチルケトン、ペンチルヘキシルケトン、ジヘキシルケトン、メチルイソブテニルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルフェニルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセトニルアセトンなどが挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
これら溶解助剤は有機溶媒への溶解性およびオリゴマー同士の凝集を抑制する観点から、溶解助剤の炭素数は4〜20が好ましく、炭素数6〜18がより好ましい。
分離機能層の形成は、多官能アミンを含有する水溶液中の多官能アミン濃度Aと、多官能酸ハロゲン化物濃度B(重量%)の影響を受ける。エステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤を添加する本発明においては、多官能アミンを含有する水溶液中の多官能アミン濃度A(重量%)と、多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度B(重量%)が、B/A≧0.07の関係式を満たすことが好ましい。また、比B/Aは、溶解助剤により適宜設定されるが、0.08以上であることが好ましく、より好ましくは0.10以上である。
通常の分離機能層を形成する際の比B/Aは0.02〜0.06程度であるので、本発明ではそれよりも多官能酸ハロゲン化物濃度Bの比率が高いことが好ましい。溶解助剤は多官能酸ハロゲン化物の反応性基部分とも相互作用するため、反応性が低下する。比率B/Aが通常の範囲内であると、多官能アミンに対して多官能酸ハロゲン化物が不足する。比率B/Aが0.07以上であることで、界面重縮合反応時に分子量の小さいオリゴマーを数多く生成することができる。本発明では溶解助剤の効果によって、分子量の小さいオリゴマーを反応場で安定に存在させることができ、その結果、重量の大きい分離機能層を形成し、耐久性の向上に寄与する。比率B/Aが0.07未満の場合には、界面中縮合時のオリゴマー形成が不十分となり、得られる分離機能層の重量が少なくなるため、耐久性が低下する。
多官能アミン水溶液における多官能アミンの濃度Aは0.1重量%以上10重量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.3重量%以上7重量%以下の範囲内であり、特に好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。この範囲であると十分な透水性と塩およびホウ素の除去性能を得ることができる。
有機溶媒溶液中の多官能酸ハロゲン化物の濃度Bは、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。0.01重量%以上とすることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下とすることで副反応の発生を抑制することができるためである。
有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多官能酸ハロゲン化物を溶解し、多孔性支持層を破壊しないものが好ましく、多官能アミン化合物および多官能酸ハロゲン化物に対して不活性であることが好ましい。例として、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられ、それらの混合溶媒を用いてもよい。
さらに、界面中縮合時のオリゴマー形成を十分に行う観点からは、高沸点の有機溶媒を用いることが好ましく、沸点80℃以上、より好ましくは150℃以上である。上記範囲の沸点を有する有機溶媒を用いることで、界面重縮合時の有機溶媒の揮発が抑制され、オリゴマー形成を十分に行うことができる。
多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液の多官能アミン化合物水溶液相への接触の方法は、上記の多官能アミン水溶液の多孔性支持層への被覆方法と同様に行えばよい。特に、多孔性支持層上に溶液を塗布する方法、多孔性支持層を溶液でコーティングする方法が好適である。
多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させて界面重縮合反応を行い、多孔性支持層上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成したあとは、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分の間にあることが好ましく、1〜3分間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
(2−3)その他の処理
上記方法により得られた複合半透膜は、50〜150℃、好ましくは70〜130℃で、1秒〜10分間、好ましくは1分〜8分間熱水処理する工程などを付加することにより、複合半透膜の除去性能および透水性を向上させることができる。
また、本発明で得られる複合半透膜は、熱水処理後に分離機能層上の第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物(I)と接触させ、その後前記化合物(I)との反応性をもつ水溶性化合物(II)を接触させる工程を含むことにより、塩除去率をさらに向上させることができる。
接触させる第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物(I)としては、亜硝酸およびその塩、ニトロシル化合物などの水溶液が挙げられる。亜硝酸やニトロシル化合物の水溶液は気体を発生して分解しやすいので、例えば、亜硝酸塩と酸性溶液との反応によって亜硝酸を逐次生成するのが好ましい。
一般に、亜硝酸塩は水素イオンと反応して亜硝酸(HNO)を生成するが、水溶液のpHが7以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下で効率よく生成する。中でも、取り扱いの簡便性から水溶液中で塩酸または硫酸と反応させた亜硝酸ナトリウムの水溶液が特に好ましい。
前記第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物(I)、例えば亜硝酸ナトリウムの濃度は、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。この範囲であると十分なジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する効果が得られ、溶液の取扱いも容易である。
該化合物の温度は15℃〜45℃が好ましい。この範囲だと反応に時間がかかり過ぎることもなく、亜硝酸の分解が早過ぎず取り扱いが容易である。
該化合物との接触時間は、ジアゾニウム塩および/またはその誘導体が生成する時間であればよく、高濃度では短時間で処理が可能であるが、低濃度であると長時間必要である。そのため、上記濃度の溶液では10分間以内であることが好ましく、3分間以内であることがより好ましい。
また、接触させる方法は特に限定されず、該化合物の溶液を塗布(コーティング)しても、該化合物の溶液に該複合半透膜を浸漬させてもよい。該化合物を溶かす溶媒は該化合物が溶解し、該複合半透膜が侵食されなければ、いかなる溶媒を用いてもかまわない。また、溶液には、第一級アミノ基と試薬との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や酸性化合物、アルカリ性化合物などが含まれていてもよい。
次に、ジアゾニウム塩またはその誘導体が生成した複合半透膜を、ジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)と接触させる。ここでジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)とは、塩化物イオン、臭化物イオン、シアン化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化ホウ素酸、次亜リン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸イオン、芳香族アミン、フェノール類、硫化水素、チオシアン酸等が挙げられる。
亜硫酸水素ナトリウム、および亜硫酸イオンと反応させると瞬時に置換反応が起こり、アミノ基がスルホ基に置換される。また、芳香族アミン、フェノール類と接触させることでジアゾカップリング反応が起こり膜面に芳香族を導入することが可能となる。これらの化合物は単一で用いてもよく、複数混合させて用いてもよく、異なる化合物に複数回接触させてもよい。接触させる化合物として、好ましくは亜硫酸水素ナトリウム、および亜硫酸イオンである。
ジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)と接触させる濃度と時間は、目的の効果を得るために適宜調節することができる。
ジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)と接触させる温度は10〜90℃が好ましい。この温度範囲であると反応が進みやすく、一方ポリマーの収縮による透過水量の低下も起こらない。
(3)複合半透膜の利用
このように製造される本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、0.5MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
本発明に係る複合半透膜によって処理される原水としては、例えば、海水、かん水、排水等の50mg/L〜100g/Lの塩(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、塩は総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例および比較例における測定は次のとおり行った。
(NaCl除去率)
複合半透膜に、温度25℃、pH7、塩化ナトリウム濃度2,000ppmに調整した評価水を操作圧力1.03MPaで供給して膜ろ過処理を行なった。供給水及び透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製の電気伝導度計「WM−50EG」で測定して、それぞれの実用塩分、すなわちNaCl濃度を得た。こうして得られたNaCl濃度及び下記式に基づいて、NaCl除去率を算出した。
NaCl除去率(%)=100×{1−(透過水中のNaCl濃度/供給水中のNaCl濃度)}
(膜透過流束)
前項の試験において、供給水(NaCl水溶液)の膜透過水量を測定し、膜面1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)に換算した値を膜透過流束(m/m/日)とした。
(全反射赤外分光法)
ATR−IR測定は、Nicolet株式会社製Avatar360FT−IR測定機を用い、全反射測定用のアクセサリーとして同社製の一回反射型水平状ATR測定装置(OMNI−Sampler)及びゲルマニウム製のATRクリスタルを用いて、多孔質体表面に赤外線を照射することで、スペクトルを得た。測定条件として、分解能を4cm−1に設定し、スキャン回数を256回に設定し、任意の10点で測定を行った。こうして得られたスペクトルについて、オートベースライン補正を行った後に、2000cm−1をゼロ点として補正した。このようにして得たスペクトルから、1660cm−1と1585cm−1のピーク強度比I1660/I1585を求め、10点測定の平均値を算出した。
(多孔性支持層厚み)
多孔性支持層が形成される前の基材の厚み、および完成した複合半透膜の厚みを尾崎製作所株式会社製PEACOCKデジタルシックネスゲージにより測定して、その差を多孔性支持層厚みとした。基材の厚みおよび複合半透膜の厚みは、それぞれ幅方向に20点測定して平均値を算出した。
多孔性支持層厚み(μm)=複合半透膜厚み(μm)−基材厚み(μm)。
(多孔性支持層の重量)
複合半透膜を1m切り出し、真空下で乾燥した。乾燥後の複合半透膜から基材を剥離し、多孔性支持層の重量を測定することで、単位面積当たりの重量を得た。
(分離機能層の重量)
複合半透膜を1m切り出し、真空下で乾燥した。乾燥後の複合半透膜から基材を剥離し、多孔性支持層と分離機能層の積層体とした後、ジクロロメタンで多孔性支持層を溶解させて分離機能層を単離した。得られた分離機能層を真空下で乾燥し、乾燥後の重量を測定することで、単位面積当たりの重量を得た。
(通気度)
通気度は、JIS L1096(2010)に基づき、フラジール形試験機によって測定した。基材を200mm×200mmの大きさに切り出し、フラジール形試験機に取り付け、傾斜形気圧計が125Paの圧力になるように吸込みファン及び空気孔を調整し、このときの垂直形気圧計の示す圧力と使用した空気孔の種類から通気度を求めた。フラジール形試験機は、カトーテック株式会社製KES−F8−AP1を使用した。
(耐擦過性試験)
複合半透膜を用いて、これを袋状にスパイラル型に巻囲して複合半透膜エレメントとした。図1は、本発明の複合半透膜エレメントを示している。複合半透膜エレメント1は、集水孔2を有する集水管3の周りに、複合半透膜4と透過液流路材5と原液流路材6とを含む膜ユニット7がスパイラル状に巻回されており、その膜ユニット7の外側に外装体8が形成されて流体分離素子9が構成されている。この流体分離素子9の端面には流体分離素子9がテレスコープ状に変形することを防止するためのテレスコープ防止板10が装着され、複合半透膜エレメント1となる。n=10でエレメント化前後でのNaCl除去率の比較を行った。
(実施例1)
長繊維からなるポリエステル不織布(通気度2.0cc/cm2/sec)上にポリスルホン(PSf)の15重量%DMF溶液を25℃の条件下でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、多孔性支持層の厚みが50μmである支持膜を作製した。作製した支持膜を20cm四方に切り取り、金属製の枠に固定し、m−PDAの2重量%水溶液中に2分間浸漬した。該支持膜を上記水溶液から垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。その後、TMC0.14重量%、溶解助剤として酢酸エチル2重量%を含む25℃のn−デカン溶液25mlを、支持膜の表面が完全に濡れるように枠内に注ぎ込み、n−デカン溶液と支持膜の最初の接触から1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りし、その後、80℃の熱水で2分間洗浄して複合半透膜を得た。
(実施例2)
実施例1において、PSf18重量%溶液を用い、多孔性支持層の厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例3)
実施例1において、PSf13重量%溶液を用い、多孔性支持層の厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例4)
実施例1において、多孔性支持層の厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例5)
実施例4において、TMC濃度を0.2重量%とした以外は、実施例4と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例6)
実施例4において、多孔性支持層の厚みを30μmとした以外は、実施例4と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例1)
実施例1において、PSf18重量%溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例2)
実施例4において、n−デカン溶液に溶解助剤を添加しない以外は、実施例4と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例3)
実施例5において、n−デカン溶液に溶解助剤を添加しない以外は、実施例5と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例4)
実施例4において、TMC濃度を0.07重量%とした以外は、実施例4と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例5)
比較例4において、n−デカン溶液に溶解助剤を添加しない以外は、比較例4と同様にして複合半透膜を得た。
以上の結果を表1に示す。これらの結果より、本発明により、優れた耐久性および透水性を両立した複合半透膜が得られることがわかる。
(実施例7〜11)
実施例6において、n−デカン溶液に添加する溶解助剤を表2に示す種類に変え、TMC比2mol%添加した以外は、実施例6と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例6)
実施例6において、n−デカン溶液に溶解助剤を添加しない以外は、実施例6と同様にして複合半透膜を得た。
Figure 2019098329
Figure 2019098329
なお、表2中の略記号は次のとおりである。
DBF:N,N−ジブチルホルムアミド
DEAC:N,N−ジエチルアセトアミド
DMIB:N,N−ジメチルイソブチルアミド
TPeMA:N,N,N′,N′−テトラペンチルマロンアミド
TBU:1,1,3,3−テトラブチル尿素
本発明の複合半透膜は、ナノろ過膜または逆浸透膜として、特に、海水やかん水の脱塩に好適に用いることができる。
1:複合半透膜エレメント
2:集水孔
3:集水管
4:複合半透膜
5:透過液流路材
6:原液流路材
7:膜ユニット
8:外装体
9:流体分離素子
10:テレスコープ防止板

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材上に形成される多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に形成されたポリアミド膜である分離機能層とを備える複合半透膜であって、
    前記分離機能層の重量が、前記多孔性支持層の重量に対し0.75重量%以上である複合半透膜。
  2. 前記分離機能層の重量が0.13g/m以上である請求項1記載の複合半透膜。
  3. 前記多孔性支持層の重量が14g/m以上22g/m以下である請求項1または2に記載の複合半透膜。
  4. 前記複合半透膜の分離機能層側表面を全反射赤外吸収スペクトル法で測定した際のピーク強度比(I1660/I1585)が、0.45〜1.0である請求項1から3のいずれか1項に記載の複合半透膜。
  5. 基材と、前記基材上に位置する多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に位置する分離機能層とを備えた複合半透膜の製造方法であって、
    多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液とを用い、前記基材及び前記多孔性支持層を含む支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、架橋ポリアミドを形成する工程を備え、
    前記界面重縮合反応の反応場にエステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤を含み、
    前記多官能アミンを含有する水溶液中の多官能アミン濃度A(重量%)と、前記多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度B(重量%)が、B/A≧0.07の関係式を満たす複合半透膜の製造方法。
  6. 前記多官能アミンを含有する水溶液中の多官能アミン濃度A(重量%)と、前記多官能酸ハロゲン化物を有機溶媒に溶解した溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度B(重量%)が、B/A≧0.10の関係式を満たす請求項5記載の複合半透膜の製造方法。
  7. 前記エステル類、ケトン類、アミド類から選ばれる少なくとも1の溶解助剤が、多官能酸ハロゲン化物を溶解した有機溶媒に含まれる請求項5または6に記載の複合半透膜の製造方法。
  8. 前記多孔性支持層を形成する工程であって、前記基材上に、ポリスルホン溶液を固形分が14g/m以上22g/m以下となるように塗布し、その後に前記ポリスルホン溶液を凝固浴に接触させて相分離を起こすことで、多孔性支持層を形成する工程をさらに備える
    請求項5から7のいずれか1項に記載の複合半透膜の製造方法。
  9. 前記有機溶媒が、沸点80℃以上である請求項5から8のいずれか1項に記載の複合半透膜の製造方法。
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