JP2018122221A - 複合半透膜 - Google Patents

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宏樹 峰原
Hiroki Minehara
宏樹 峰原
田中 宏明
Hiroaki Tanaka
宏明 田中
萌菜美 鈴木
Monami Suzuki
萌菜美 鈴木
貴史 小川
Takashi Ogawa
貴史 小川
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Abstract

【課題】高い造水性および高い脱塩性能を有する複合半透膜を提供する。【解決手段】基材および多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、該分離機能層を、ラザフォート後方散乱(RBS)を用いて測定した、表面におけるカルボキシル基数密度/酸素原子数密度の比(A)と検出深さ1×1017atoms/cm2における比(B)が0.015<A<Bの関係を満たす複合半透膜は、高い造水性および高い脱塩性能を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な複合半透膜に関する。本発明によって得られる複合半透膜は、例えば海水やかん水の淡水化に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられている。
特に、逆浸透膜およびナノろ過膜にとしては、架橋ポリアミド重合体を分離活性層として有する複合半透膜が提案されている。架橋ポリアミド重合体を分離活性層として有する複合半透膜について、有機添加剤の存在下で重合を行う方法(特許文献1、2)や、単官能性酸ハロゲン化物の存在下で重合を行う方法(特許文献3)、部分的に加水分解した酸ハロゲン化物の存在下で重合を行う方法(特許文献4)がある。
特開平08−224452号 特開平6−47260号公報 特表2014−521499号公報 国際公開第2010/120326号
本発明は、高い造水性および高い脱塩性能を有する複合半透膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成をとる。
[1]基材および多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、pH12においてRBS法によって検出される下記A、Bが下記式(1)を満たすことを特徴とする複合半透膜。
0.015<A<B ・・・・・(1)
A:表面におけるカルボキシル基数密度/酸素原子数密度
B:検出深さ1×1017atoms/cmにおけるカルボキシル基数/酸素原子数
[2]基材および多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、
陽電子消滅寿命測定法により測定される該分離機能層の孔半径が0.15nm以上0.42nm以下である[1]に記載の複合半透膜。
本発明の複合半透膜は、ラザフォート後方散乱法を用いて測定した分離機能層の表面におけるカルボキシル基数密度Aと酸素原子数密度Bが式(1)の関係を満たすことにより、高透水性、高脱塩性を両立する膜となる。
0.015<A<B ・・・・・(1)
A:表面におけるカルボキシル基数密度/酸素原子数密度
B:検出深さ1×1017atoms/cmにおけるカルボキシル基数/酸素原子数
1.複合半透膜
(1−1)微多孔性支持膜
本発明において微多孔性支持膜は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有するポリアミド分離機能層に強度を与えるためのものである。微多孔性支持膜の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいはポリアミド分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、ポリアミド分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような微多孔性支持膜が好ましい。
微多孔性支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されないが、例えば、基材に多孔性支持体を形成した膜を例示することができる。上記基材としては、例えば、ポリエステルまたは芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成分とする布帛が例示される。
基材に用いられる布帛としては、長繊維不織布や短繊維不織布を好ましく用いることができる。基材上に高分子重合体の溶液を流延した際にそれが過浸透により裏抜けしたり、基材と多孔性支持体が剥離したり、さらには基材の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがないような優れた製膜性が要求されることから、長繊維不織布をより好ましく用いることができる。
長繊維不織布としては、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布などが挙げられる。基材が長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、複合半透膜を連続製膜する工程においては、基材の製膜方向に張力がかけられることからも、基材としては、寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。
特に、基材の多孔性支持体と反対側に配置される繊維の配向が、製膜方向に対して縦配向であることにより、基材の強度を保ち、膜破れ等を防ぐことができるので好ましい。ここで、縦配向とは、繊維の配向方向が製膜方向と平行であることを言う。逆に、繊維の配向方向が製膜方向と直角である場合は、横配向と言う。
不織布基材の繊維配向度としては、多孔性支持体と反対側における繊維の配向度が0°以上25°以下であることが好ましい。ここで繊維配向度とは、支持膜を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標であり、連続製膜を行う際の製膜方向を0°とし、製膜方向と直角方向、すなわち不織布基材の幅方向を90°としたときの、不織布基材を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
複合半透膜の製造工程やエレメントの製造工程には、加熱工程が含まれるが、加熱により支持膜または複合半透膜が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において、幅方向には張力が付与されていないので、幅方向に収縮しやすい。支持膜または複合半透膜が収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。
不織布基材において多孔性支持体と反対側に配置される繊維と、多孔性支持体側に配置される繊維との配向度差が10°以上90°以下であると、熱による幅方向の変化を抑制することができ好ましい。
基材の通気度は2.0cc/cm/sec以上であることが好ましい。通気度がこの範囲だと、複合半透膜の透過水量が高くなる。これは、支持膜を形成する工程で、基材上に高分子重合体を流延し、凝固浴に浸漬した際に、基材側からの非溶媒置換速度が速くなることで多孔性支持体の内部構造が変化し、その後の分離機能層を形成する工程においてモノマーの保持量や拡散速度に影響を及ぼすためと考えられる。
なお、通気度はJIS L1096(2010)に基づき、フラジール形試験機によって測定できる。例えば、200mm×200mmの大きさに基材を切り出し、サンプルとする。このサンプルをフラジール形試験機に取り付け、傾斜形気圧計が125Paの圧力になるように吸込みファン及び空気孔を調整し、このときの垂直形気圧計の示す圧力と使用した空気孔の種類から基材を通過する空気量、すなわち通気度を算出することができる。フラジール形試験機は、カトーテック株式会社製KES−F8−AP1などが使用できる。
また、基材の厚みは、10μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上120μm以下の範囲内である。
多孔性支持体の素材としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを単独であるいはブレンドして使用することができる。
ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。中でも、ポリスルホン、酢酸セルロース及びポリ塩化ビニル、またはそれらを混合したものが好ましく使用され、化学的、機械的、熱的に安定性の高いポリスルホンを使用するのが特に好ましい。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
Figure 2018122221
また、多孔性支持体の厚みは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは20〜100μmの範囲内である。多孔性支持体の厚みが10μm以上であることで、良好な耐圧性が得られると共に、欠点のない均一な支持膜を得ることができるので、このような多孔性支持体を備える複合半透膜は、良好な塩除去性能を示すことができる。多孔性支持体の厚みが200μm以内であることで、製造時の未反応物質の残存量が増加せず、透過水量が低下することによる耐薬品性の低下を防ぐことができる。
上記基材に上記多孔性支持体を形成した微多孔性支持膜の厚みは、複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。本発明の複合半透膜が、十分な機械的強度および充填密度を得るためには、微多孔性支持膜の厚みは30〜300μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは50〜250μmの範囲内である。
微多孔性支持膜の形態は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡及び原子間顕微鏡等により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持体を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。
本発明に使用する微多孔性支持膜は、ミリポア社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することもできる。
上記基材や多孔性支持体、複合半透膜の厚みは、デジタルシックネスゲージによって測定することができる。また、後述するポリアミド分離機能層の厚みは微多孔性支持膜と比較して非常に薄いので、複合半透膜の厚みを微多孔性支持膜の厚みとみなすこともできる。従って、複合半透膜の厚みをデジタルシックネスゲージで測定し、複合半透膜の厚みから基材の厚みを引くことで、多孔性支持体の厚みを簡易的に算出することができる。デジタルシックネスゲージとしては、尾崎製作所株式会社のPEACOCKなどが使用できる。デジタルシックネスゲージを用いる場合は、20箇所について厚みを測定して平均値を算出する。
なお、基材や多孔性支持体、複合半透膜の厚みを上述した顕微鏡で測定してもよい。1つのサンプルについて任意の5箇所における断面観察の電子顕微鏡写真から厚みを測定し、平均値を算出することで厚みが求められる。なお、本発明における厚みや孔径は平均値を意味するものである。
(1−2)ポリアミド分離機能層
本発明の複合半透膜において、実質的にイオン等の分離性能を有するのは、ポリアミド分離機能層である。
本発明におけるポリアミド分離機能層は、ポリアミドを主成分とし含有する。分離機能層を構成するポリアミドは、例えば、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成することができる。ここで、多官能性アミンまたは多官能性酸ハロゲン化物の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ポリアミド分離機能層の厚みは、十分な分離性能および透過水量を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内である。
ここで、多官能性アミンとは、一分子中に少なくとも2個の第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有し、そのアミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基であるアミンをいい、例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミンなどの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4−アミノピペリジン、4−アミノエチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。
中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有する芳香族多官能アミンであることが好ましい。このような多官能芳香族アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン等が好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す)を用いることがより好ましい。これらの多官能性アミンは、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。2種以上を同時に用いる場合、上記アミン同士を組み合わせてもよく、上記アミンと一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンを組み合わせてもよい。一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンとして、例えば、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン等を挙げることができる。
多官能性酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物としては、例えば、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。
多官能性アミンとの反応性を考慮すると、多官能性酸ハロゲン化物は多官能性酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能性芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能性酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
また、添加物として単官能性酸ハロゲン化物あるいは1つの酸クロリド基が加水分解したトリメシン酸クロリド(以下、モノ加水分解TMC)、あるいは2つの酸クロリド基が加水分解したトリメシン酸クロリド(以下、ジ加水分解TMC)を用いても良い。このような単官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、ベンゾイルフルオリド、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、メタノイルフルオリド、メタノイルクロリド、メタノイルブロミド、エタノイルフルオリド、エタノイルクロリド、エタノイルブロミド、プロパノイルフルオリド、プロパノイルクロリド、プロパノイルブロミド、プロペノイルフルオリド、プロペノイルクロリド、プロペノイルブロミド、ブタノイルフルオリド、ブタノイルクロリド、ブタノイルブロミド、ブテノイルフルオリド、ブテノイルクロリド及びブテノイルブロミドなどを挙げることができる。これらの添加物は、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
本発明者らによる鋭意検討の結果、上記の界面重縮合によって架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成するに際し、前記界面重縮合を、直鎖または分枝鎖アルキル基からなり、かつ、炭素数が5以上の脂肪族カルボン酸の存在下で行うことで、末端官能基の分布を精密に制御することが可能となり、透水性と除去性を両立できることが分かった。この脂肪族カルボン酸は、上記多官能アミンの水溶液や上記多官能酸ハロゲン化物を含む水と非混和性の有機溶媒溶液に加えたり、多孔性支持膜にあらかじめ含浸させたりすることができる。
さらに、前記主鎖が直鎖または分枝鎖アルキル基からなる脂肪族カルボン酸としては、直鎖飽和アルキルカルボン酸として、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸などを、分岐鎖飽和アルキルカルボン酸として、カプリル酸、イソ酪酸、イソペンタン酸、ブチル酢酸、2−エチルヘプタン酸、3−メチルノナン酸などを、さらに、不飽和アルキルカルボン酸として、メタクリル酸、trans−3−ヘキセン酸、cis−2−オクテン酸、trans−4−ノネン酸などを用いることができる。
これら脂肪族カルボン酸の総炭素数は、5〜20の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは8〜15の範囲内である。総炭素数が5未満であると、分離機能膜の透水性を向上させる効果が小さくなる傾向があり、総炭素数が20を超えると、沸点が高くなり、膜から除去しにくくなるため、高透水性を発現させることが困難となりやすい。
さらに、これら脂肪族カルボン酸を上記多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液に添加する場合には、HLB値を4以上12以下にすることで、膜の透水性向上と耐汚れ性向上を同時に発現し、さらに、多孔性支持膜上から除去しやすくなり好ましい。
ここでHLB値は、水と非混和性の有機溶媒への親和性の程度を表す値である。HLB値は計算によって決定する方法がいくつか提案されている。グリフィン法によると、HLB値は下記式で定義される。
HLB値=20×親水部のHLB値
=20×(親水部の式量の総和)/(分子量)
前記有機溶媒溶液における脂肪族カルボン酸の濃度は、添加する脂肪族カルボン酸によって適宜濃度を決定することができるが、具体的には、0.03〜30質量%の範囲内にあると好ましく、0.06〜10質量%の範囲内であるとさらに好ましい。また、分離機能層において、薄膜は、複数の凹部と凸部とを有するひだ構造を形成する。より具体的には、ひだ構造においては、凹部と凸部が繰り返される。
ポリアミド分離機能層中のカルボキシル基数密度の測定方法は、下記の通りラザフォート後方散乱(RBS)によって分析することが可能である。また測定方法は、特許文献WO2014014664を参考に出来る。
(i)サンプル作成方法:
3cm×3cm角に切り出した膜サンプルを脱イオン水中で30分間煮沸し、その後、50wt%のメタノール水溶液に15時間浸漬。次にpHを12に調製した硝酸銀水溶液(1×10−4mol/L)に30分浸漬する。さらに膜に結合していない銀を洗い流す目的で乾燥したメタノールに浸漬し、窒素雰囲気下に30分以上置いた後、RBS測定に用いた。
(ii)RBS測定方法:
膜サンプルを導電性の両面テープに固定し、以下の装置および測定条件にて行う。
装置:National Electrostatics Corporation製 Pelletron 3SDH
測定条件
測定モード:RBS単独測定
入射イオン : He++
入射エネルギー : 2300keV
入射角 : 0度
散乱角 : 160度
試料電流 : 4nA
ビーム径 : 2mmφ
面内回転 : 無
照射量 : 44.8μC
RBS測定結果の解析において、銀の原子数密度がカルボキシル基数密度に対応すると仮定した。RBS測定においては、試料内部での入射イオンのエネルギー変化が、「イオンが通過した距離」ではなく「イオンが通過した範囲内にある試料構成原子の密度(atoms/cm)」に依存しており、この測定値を深さに換算するためには、試料の単位体積当りの原子数)が必要になる。換算式は式(2)の通りである。
深さ(cm) = 面密度(atoms/cm)/原子数密度(atoms/cm) (2)
本発明者らは鋭意検討した結果、ラザフォート後方散乱法を用いて測定した分離機能層の表面におけるカルボキシル基数密度(A)と酸素原子数密度(B)が式(1)の関係を満たすことにより、高透水性、高脱塩性を両立する複合半透膜は、高透水性と高脱塩性を両立することを見出した。
0.015<A<B ・・・・・(1)
(A)表面におけるカルボキシル基数密度/酸素原子数密度
(B)検出深さ1×1017atoms/cmにおけるカルボキシル基数/酸素原子数
分離機能層を形成するポリアミド分子鎖中にはカルボキシル基が存在し、その親水性から多くの中間水(水和水とも言う)を保持している。また、カルボキシル基の荷電性によって、脱塩に用いる際には、供給水中の荷電性の溶質(例えばナトリウムイオンやマグネシウムイオンなどのカチオン、および塩化物イオンや硫酸イオンなどのアニオン)と荷電性相互作用(親和あるいわ反発)を示す。膜の塩除去性は、このような官能基の親水性と荷電性に影響を受ける。カルボキシル基数密度の酸素原子数密度に対する比が0.015以下であると、親水性が低く、十分な透水性が得られない。また、表面のカルボキシル基数密度の酸素原子数密度に対する比が、RBSによる検出深さ1×1017atoms/cmにおける比に対して大きいと、供給水中の溶質イオンを内部に取り込みやすくなり、除去性が低下する。
また、本発明による複合半透膜の分離機能層は、陽電子消滅寿命測定法により測定される孔半径が0.15nm以上0.42nm以下であることが、高透水性と高脱塩性の両立にはより好ましい。孔半径が0.15nm以上であると、高い透水性を発現することができ、さらに孔半径が0.42nm以下であることで、高い脱塩率
陽電子消滅寿命測定法とは、陽電子が試料に入射してから消滅するまでの時間(数百ピコ秒から数十ナノ秒のオーダー)を測定し、その消滅寿命に基づいて、0.1〜10nmの空孔の大きさ、その数密度、およびその大きさの分布などの情報を非破壊的に評価する手法である。この測定方法については、「第4版実験化学講座」第14巻、485頁、日本化学会編,丸善株式会社(1992)にも記載されている。
この方法は陽電子線源の種類によって二種類に分類される。一つは、放射性同位体(22Na)を用いる22Na法であり、この方法は、樹脂、粉末、繊維、液体などの空孔評価に適する。もう一つは、陽電子線源として電子線型加速器から発せられる陽電子ビームを用いる陽電子ビーム法であり、この方法は、種々の基材上に形成された厚み数百nm程度の薄膜に対する空孔評価に有用である。特に後者の陽電子ビーム法は、複合半透膜の分離機能層の測定法としてより好ましい。というのも、複合半透膜を測定試料とした場合でも試料を乾燥状態に維持するだけでその分離機能層を測定することができ、複合半透膜から分離機能層を分離するなどの特別な加工を必要としないからである。
陽電子ビーム法では、試料に入射させる陽電子ビームのエネルギー量によって、試料表面からの深さ方向の測定域を調節する。エネルギーを高くするほど試料表面からより深い部分が測定域に含まれることになるが、その深度は試料の密度によって左右される。複合半透膜の分離機能層を測定する際に、1keV程度のエネルギーの陽電子ビームを照射すれば、通常、試料表面から50〜150nmの深さの領域が測定される。また、150〜300nm程度の厚みを有する分離機能層に対し、分離機能層の中心部を選択的に測定することができる。
陽電子と電子は、クーロン力で互いに結合して、中性の水素様原子であるポジトロニウムPsを形成する。Psには、陽電子と電子のスピンが反平行か平行かによってパラポジトロニウム(p−Ps)とオルトポジトロニウム(o−Ps)がある。この2つの種は、1:3の比(スピン統計によって求められる)で形成される。それぞれの種の平均寿命はp−Psで125ps、o−Psで140nsである。凝集状態の物質において、o−Psは自己の結合されているものとは別の電子と重なる(ピックオフ消滅と呼ばれる現象)確率が高くなり、その結果o−Psの平均寿命は数nsに減少する。絶縁材料におけるo−Psの消滅は、該材料の空孔壁に存在する電子とo−Psとが重なり合うことによるので、空孔サイズが小さいほど消滅速度が速くなる。すなわちo−Psの消滅寿命τは、絶縁材料中に存在する空孔の大きさ(径)と関係づけることができる。
o−Psの上記ピックオフ消滅による消滅寿命τは、陽電子消滅寿命測定法により測定される陽電子消滅寿命曲線を、非線形最小二乗プログラムPOSITRONFIT(例えばP.Kierkegaard他、Computer Physics Communications,Vol.3,p.240,North Holland Publishing Co.(1972)にその詳細が記載されている)により4成分に分割して得られる第4成分の解析結果から求めることができる。
本発明による複合半透膜の分離機能層における平均孔半径Rは、上記の陽電子消滅寿命τに基づいて、以下の式(1)から求めている。式(1)は、厚さΔRの電子層にある半径Rの空孔にo−Psが存在すると仮定した場合の関係を示しており、ΔRは経験的に0.166nmと求められている(Nakanishi他,Journal of Polymer Science,Part B:Polymer Physics,Vol.27,p.1419,John Wiley & Sons,Inc.(1989)にその詳細が記載されている)。
Figure 2018122221
2.製造方法
以上に説明した本発明の複合半透膜の製造方法の一例を以下に示す。
(2−1)分離機能層の形成
本形態の製造方法は、多孔性支持層上に、分離機能層を形成する工程を少なくとも備える。この工程は、多孔性支持層上で、多官能性アミン溶液と多官能性酸ハロゲン化物溶液とを接触させることで、界面重縮合反応によりポリアミドの層を形成するステップと、界面重縮合の反応場にSP値7〜15 (cal/cm1/2の化合物を添加するステップと、を有する。
より具体的には、分離機能層を形成する工程は、(i) 多孔性支持層と多官能性アミン溶液を接触させるステップ、(ii) 上記(i)で得られた膜に対し多官能性酸ハロゲン化物溶液を接触させることで、界面重縮合により、多孔性支持層上でポリアミドを生成するステップ、(iii) 上記(ii)の実行中にSP値7〜15 (cal/cm1/2の化合物を反応場に添加するステップを有することを特徴とする。
以下、各製造工程を詳細に説明する。
上記ステップ(i)および(ii)によると、上述の多官能性アミンを含有する水溶液(以下、多官能性アミン水溶液ともいう)と、多官能性酸ハロゲン化物を含有する、水と非混和性の有機溶媒溶液(以下、多官能性酸ハロゲン化物溶液ともいう)とを接触させ、微多孔性支持膜の表面上で界面重縮合を行うことにより、ポリアミドを生成することができる。
ここで、多官能性アミン水溶液における多官能性アミンの濃度は0.1〜20重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%の範囲内である。この範囲であると十分な塩除去性能および透水性を得ることができる。
多官能性アミン水溶液には、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン構造、脂肪酸エステル構造又は水酸基を有する化合物が挙げられ、ポリオキシアルキレン構造としては、例えば、−(CHCHO)−、−(CHCH(CH)O)−、−(CHCHCHO)−、−(CHCHCHCHO)−などを挙げることができる。脂肪酸エステル構造としては、長鎖脂肪族基を有する脂肪酸が挙げられる。長鎖脂肪族基としては、直鎖状、分岐状いずれでもよいが、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、およびその塩などが挙げられる。また、油脂由来の脂肪酸エステル、例えば牛脂、パーム油、ヤシ油等も挙げられる。スルホ基を有する界面活性剤としては、1−ヘキサンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。水酸基を有する界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖等が挙げられる。界面活性剤は、微多孔性支持膜表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果がある。
有機溶媒としては、例えば、鎖状アミド化合物や環状アミド化合物等が挙げられる。鎖状アミド化合物として、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミドが挙げられる。環状アミド化合物として、例えば、N−メチルピロリジノン、γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。有機溶媒は、界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重縮合反応を効率良く行える場合がある。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩及び炭酸水素塩無機化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機化合物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)及びテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト及びトリノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。その他の酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸又はそのアルカリ金属塩、ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソール等の立体障害フェノール化合物、クエン酸イソプロピル、dl−α−トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸、没食子酸プロピル等が挙げられる。
本発明者らによる鋭意検討の結果、上記の界面重縮合によって架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成するに際し、前記界面重縮合を、直鎖または分枝鎖アルキル基からなり、かつ、炭素数が5以上の脂肪族カルボン酸またはそのエステルの存在下で行うことで、末端官能基の分布を精密に制御することが可能となり、透水性と除去性を両立できることが分かった。この脂肪族カルボン酸は、上記多官能アミンの水溶液や上記多官能酸ハロゲン化物を含む水と非混和性の有機溶媒溶液に加えたり、多孔性支持膜にあらかじめ含浸させたりすることができる。
さらに、前記主鎖が直鎖または分枝鎖アルキル基からなる脂肪族カルボン酸としては、直鎖飽和アルキルカルボン酸として、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸などを、分岐鎖飽和アルキルカルボン酸として、カプリル酸、イソ酪酸、イソペンタン酸、ブチル酢酸、2−エチルヘプタン酸、3−メチルノナン酸などを、さらに、不飽和アルキルカルボン酸として、メタクリル酸、trans−3−ヘキセン酸、cis−2−オクテン酸、trans−4−ノネン酸などを用いることができる。
これら脂肪族カルボン酸の総炭素数は、5〜20の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは8〜15の範囲内である。総炭素数が5未満であると、分離機能膜の透水性を向上させる効果が小さくなる傾向があり、総炭素数が20を超えると、沸点が高くなり、膜から除去しにくくなるため、高透水性を発現させることが困難となりやすい。
さらに、これら脂肪族カルボン酸またはそのエステルを上記多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液に添加する場合には、HLB値を4以上12以下にすることで、膜の透水性向上と耐汚れ性向上を同時に発現し、さらに、多孔性支持膜上から除去しやすくなり好ましい。
ここでHLB値は、水と非混和性の有機溶媒への親和性の程度を表す値である。HLB値は計算によって決定する方法がいくつか提案されている。グリフィン法によると、HLB値は下記式で定義される。
HLB値=20×親水部のHLB値
=20×(親水部の式量の総和)/(分子量)
前記有機溶媒溶液における脂肪族カルボン酸の濃度は、添加する脂肪族カルボン酸によって適宜濃度を決定することができるが、具体的には、0.03〜30質量%の範囲内にあると好ましく、0.06〜10質量%の範囲内であるとさらに好ましい。
上記界面重縮合を微多孔性支持層上で行うために、まず、上述の多官能性アミン水溶液を微多孔性支持膜に接触させる。接触は、微多孔性支持膜の表面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、多官能性アミン水溶液を微多孔性支持膜に塗布する方法、コーティングする方法、または微多孔性支持膜を多官能性アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。微多孔性支持膜と多官能性アミン水溶液との接触時間は、1〜10分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。
多官能性アミン水溶液を微多孔性支持膜に接触させた後は、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、例えば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能性アミン水溶液接触後の微多孔性支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
次いで、多官能性アミン水溶液接触後の微多孔性支持膜に、多官能性酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層の骨格を形成させる。
有機溶媒溶液中の多官能性酸ハロゲン化物の濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。0.01重量%以上とすることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下とすることで副反応の発生を抑制することができるためである。さらに、この有機溶媒溶液にDMFのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多官能性酸ハロゲン化物を溶解し、微多孔性支持膜を破壊しないものが好ましく、多官能性アミン化合物および多官能性酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例として、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
多官能性酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液の多官能性アミン化合物水溶液相への接触の方法は、上記の多官能性アミン水溶液の微多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよい。特に、多孔性支持層上に溶液を塗布する方法、多孔性支持層を溶液でコーティングする方法が好適である。
多官能性アミン水溶液と多官能性酸ハロゲン化物溶液とを接触させた直後の膜面の温度は25〜60℃の範囲内であることが好ましく、30〜50℃の範囲内であるとさらに好ましい。温度が25℃未満では、ひだが大きくならず、透過流束の低下につながり、温度が60℃より高温では、除去率が低下する傾向があるためである。多官能性アミン水溶液と多官能性酸ハロゲン化物溶液とを接触させた直後の膜面の温度を25〜60℃の範囲内にすることにより、微多孔性支持膜1μm長さあたりの分離機能層の実長を2μm以上5μm以下にすることができ、高い透過流束と塩除去率を得ることができる。
温度付与方法は、微多孔性支持膜を加温してもよく、加温した多官能性酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させてもよい。多官能性アミン水溶液と多官能性酸ハロゲン化物溶液とを接触させた直後の膜面の温度は、放射温度計のような非接触型温度計により測定することができる。
上述したように、多官能性酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させて界面重縮合を行い、微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成したあとは、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分の間にあることが好ましく、1〜3分間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
上記ステップ(iii)により、上記ステップ(ii)の実行中に、重縮合の反応場にSP値7〜15 (cal/cm1/2の化合物を添加することで、以下のような効果が得られる。
ポリアミド形成時には、様々な分子量のアミドが反応場に存在する。分子量の小さいアミドのオリゴマーが互いに凝集すると、孔径が不均一になりやすい。
SP値とは、溶解度パラメータのことであり、溶液のモル蒸発熱ΔHとモル体積Vから(ΔH/V)1/2 (cal/cm1/2で定義される値である。7(cal/cm1/2以上であり、かつ15(cal/cm1/2以下であるSP値を示す化合物は、アミドオリゴマーと高い親和性を持つ。よって、このような化合物がアミドの重縮合の反応場にあると、分子量の小さいオリゴマーとこの化合物とが相互作用することで、オリゴマー同士の凝集を抑制することができ、本発明による分離機能層が得られる。
7〜15 (cal/cm1/2の化合物とは例えば炭化水素類、エステル類、ケトン類、アミド類、アルコール類、エーテル類などが挙げられるが、アミドオリゴマーとの親和性を考慮するとアルコール類、エーテル類が好ましく、とりわけ界面重合反応場への接触の際に用いる溶媒との親和性をも考慮すると、炭素数3以上のアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルジアセタート、ジエチレングリコールジベンゾアート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールビス(p−トルエンスルホン酸)、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルが特に好ましい。
前記SP値7〜15 (cal/cm1/2の化合物は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下の有機溶媒の溶液として用いる。有機溶媒の種類としては前述した多官能性酸ハロゲン化物に用いる溶媒と同様、微多孔性支持膜を破壊しないものであり、多官能性アミン化合物および多官能性酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよく、好ましい例として、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
前記SP値7〜15 (cal/cm1/2の化合物を界面重合反応場に接触させるには、この化合物を含有する溶液を、支持層に接触させればよい。溶液の接触方法については、多官能性酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液の多官能性アミン化合物水溶液相への接触の方法と同様に行えばよい。
また、この化合物の添加(つまり溶液の接触)は、上記ステップ(ii)の開始後、つまりアミドの重縮合開始後、60秒以内または45秒以内に行うことが好ましい。これによって、オリゴマーの凝集を充分に抑制することができる。
また、この化合物は、ステップ(ii)の開始後、つまりアミドの重縮合開始後に添加されることが好ましい。重縮合開始後に添加することで、反応界面の乱れを抑制することができ、その結果、高い透水性を有する膜を得ることができる。具体的には、化合物の添加は、重縮合開始から、5秒以上または10秒以上経ってから行うことが好ましい。
SP値7〜15 (cal/cm1/2の化合物接触後は、多官能性酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液について説明したのと同様の方法で液切りを行うとよい。
(2−2)多孔性支持層の形成
本形態の製造方法は、多孔性支持層の形成工程を含んでもよい。基材についてはすでに例示したとおりである。
多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、基材の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、形成することができる。この方法によれば、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有する微多孔性支持膜を得ることができる。
(2−3)その他の処理
上記方法により得られた複合半透膜は、50〜150℃、好ましくは70〜130℃で、1秒〜10分間、好ましくは1分〜8分間熱水処理する工程などを付加することにより、複合半透膜の除去性能および透水性を向上させることができる。
また、本発明で得られる複合半透膜は熱水処理後に分離機能層上の第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物(I)と接触させ、その後前記化合物(I)との反応性をもつ水溶性化合物(II)を接触させる工程を含むことにより、塩除去率をさらに向上させることができる。
接触させる第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物(I)としては、亜硝酸およびその塩、ニトロシル化合物などの水溶液が挙げられる。亜硝酸やニトロシル化合物の水溶液は気体を発生して分解しやすいので、例えば、亜硝酸塩と酸性溶液との反応によって亜硝酸を逐次生成するのが好ましい。一般に、亜硝酸塩は水素イオンと反応して亜硝酸(HNO)を生成するが、水溶液のpHが7以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下で効率よく生成する。中でも、取り扱いの簡便性から水溶液中で塩酸または硫酸と反応させた亜硝酸ナトリウムの水溶液が特に好ましい。
前記第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物(I),例えば亜硝酸ナトリウムの濃度は、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。この範囲であると十分なジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する効果が得られ、溶液の取扱いも容易である。
該化合物の温度は15℃〜45℃が好ましい。この範囲だと反応に時間がかかり過ぎることもなく、亜硝酸の分解が早過ぎず取り扱いが容易である。
該化合物との接触時間は、ジアゾニウム塩および/またはその誘導体が生成する時間であればよく、高濃度では短時間で処理が可能であるが、低濃度であると長時間必要である。そのため、上記濃度の溶液では10分間以内であることが好ましく、3分間以内であることがより好ましい。また、接触させる方法は特に限定されず、該化合物の溶液を塗布(コーティング)しても、該化合物の溶液に該複合半透膜を浸漬させてもよい。該化合物を溶かす溶媒は該化合物が溶解し、該複合半透膜が侵食されなければ、いかなる溶媒を用いてもかまわない。また、溶液には、第一級アミノ基と試薬との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や酸性化合物、アルカリ性化合物などが含まれていてもよい。
次に、ジアゾニウム塩またはその誘導体が生成した複合半透膜を、ジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)と接触させる。ここでジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)とは、塩化物イオン、臭化物イオン、シアン化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化ホウ素酸、次亜リン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸イオン、芳香族アミン、フェノール類、硫化水素、チオシアン酸等が挙げられる。亜硫酸水素ナトリウム、および亜硫酸イオンと反応させると瞬時に置換反応が起こり、アミノ基がスルホ基に置換される。また、芳香族アミン、フェノール類と接触させることでジアゾカップリング反応が起こり膜面に芳香族を導入することが可能となる。これらの化合物は単一で用いてもよく、複数混合させて用いてもよく、異なる化合物に複数回接触させてもよい。接触させる化合物として、好ましくは亜硫酸水素ナトリウム、および亜硫酸イオンである。
ジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)と接触させる濃度と時間は、目的の効果を得るために適宜調節することができる。
ジアゾニウム塩またはその誘導体と反応する水溶性化合物(II)と接触させる温度は10〜90℃が好ましい。この温度範囲であると反応が進みやすく、一方ポリマーの収縮による透過水量の低下も起こらない。
なお、本欄(2−3)の処理を施される前後の膜をいずれも「複合半透膜」と称し、本欄(2−3)の処理を施される前後の膜における支持層上の層をいずれも「分離機能層」と称する。
(3)複合分離膜の利用
このように製造される本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、0.5 MPa以上、10 MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
本発明に係る複合半透膜によって処理される原水としては、例えば、海水、かん水、排水等の50mg/L〜100g/Lの塩(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、塩は総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例および比較例における測定は次のとおり行った。
(塩除去率)
pH6.5に調整した塩化ナトリウム溶液500mg/Lを操作圧力0.5 MPaで複合半透膜に供給し、透過水中の塩濃度を測定した。膜による塩の除去率は次の式から求めた。
塩除去率(%)=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}
(膜透過流束)
供給水(塩化ナトリウム溶液)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m/m/d)を表した。
(陽電子ビーム法による陽電子消滅寿命測定法)
本実施例おける分離機能層の陽電子消滅寿命測定は、以下のように陽電子ビーム法を用いて行った。すなわち、減圧下室温で分離機能層を乾燥させ、1.5cm×1.5cm角に切断して検査試料とした。陽電子ビーム発生装置を装備した薄膜対応陽電子消滅寿命測定装置(この装置は、例えば、Radiation Physics and Chemistry,58,603,Pergamon(2000)で詳細に説明されている)にて、ビーム強度1keV、室温、真空下で、光電子増倍管を使用して二フッ化バリウム製シンチレーションカウンターにより総カウント数500万で検査試料を測定し、POSITRONFITにより解析を行った。解析により得られた第4成分の平均寿命τから、平均孔半径を算出した。
(参考例1)
ポリエステル不織布(通気度0.5〜1cc/cm2/sec)上にポリスルホンの15.7重量%DMF溶液を200μmの厚みで、室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって微多孔性支持膜(厚さ210〜215μm)を作製した。
(比較例1)
参考例1で得られた微多孔性支持膜を、m−PDAの1.8重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、TMC0.065重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りした。その後、80℃の熱水で2分間洗浄して複合半透膜を得た。
(実施例1)
参考例1で得られた微多孔性支持膜を、m−PDAの1.8重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、TMC0.065重量%、およびウンデカン酸0.1重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布してさらに10秒後に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1重量%n−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りした。その後、80℃の熱水で2分間洗浄して複合半透膜を得た。
(実施例2)
ジエチレングリコールジメチルエーテル1重量%n−デカン溶液の塗布をTMC0.065重量%塗布後から30秒後に行ったこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例3)
ジエチレングリコールジメチルエーテル0.1重量%n−デカン溶液を用いたこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例4)
実施例1のウンデカン酸をトリデカン酸に変えたこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例5)
実施例1のウンデカン酸をヘキサデカン酸に変えたこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例6)
実施例1のウンデカン酸をウンデカン酸メチルに変えたこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例7)
実施例1のジエチレングリコールジメチルエーテルをジエチレングリコールジブチルエーテルに変えたこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(実施例8)
モノ加水分解TMC0.06重量%およびTMC0.065重量%を含む25℃のn−デカン溶液を用いたこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例2)
比較例1で得た複合半透膜をグリセリンの15重量%水溶液中に30秒浸漬させ、膜から余分な水溶液を除去した後、50℃で70秒間熱風乾燥することで乾燥複合半透膜を得た。
(比較例3)
ベンゾイルクロリド0.01重量%およびTMC0.065重量%を含む25℃のn−デカン溶液を用いたこと以外は比較例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例4)
モノ加水分解TMC0.06重量%およびTMC0.065重量%を含む25℃のn−デカン溶液を用いたこと以外は比較例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例5)
ジエチレングリコールジメチルエーテル1重量%およびTMC0.065重量%を含む25℃のn−デカン溶液を用いたこと以外は比較例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例6)
ジエチレングリコールジメチルエーテル0.1重量%およびTMC0.065重量%を含む25℃のn−デカン溶液を用いたこと以外は比較例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
(比較例7)
ウンデカン酸0.1重量%を用いないこと以外は実施例1の方法と同様にして複合半透膜を得た。
比較例1〜7および実施例1〜8で得られた複合半透膜の塩除去率、膜透過流束、RBS測定により得られる、分離機能層表面および内部のカルボキシル基数密度と酸素原子数密度の比、陽電子消滅寿命測定法によって算出された孔半径は表1に示すとおりであった。
Figure 2018122221
本発明の複合半透膜は、特に、海水やかん水の脱塩に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 基材および多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、pH12においてRBS法によって検出される下記A、Bが下記式(1)を満たすことを特徴とする複合半透膜。
    0.015<A<B ・・・・・(1)
    A:表面におけるカルボキシル基数密度/酸素原子数密度
    B:検出深さ1×1017atoms/cmにおけるカルボキシル基数/酸素原子数
  2. 基材および多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、
    陽電子消滅寿命測定法により測定される該分離機能層の孔半径が0.15nm以上0.42nm以下である請求項1に記載の複合半透膜。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020091007A1 (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 東レ株式会社 複合半透膜

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