以下、添付図面を参照して、実施形態に係る放射線治療支援装置及び放射線治療支援プログラムについて説明する。なお、以下の実施形態では、放射線治療支援装置を含む放射線治療システムを例として説明する。また、本願に係る放射線治療支援装置及び放射線治療支援プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例を示す図である。例えば、放射線治療システム1は、図1に示すように、医用画像診断装置10と、治療計画装置20と、放射線治療支援装置30と、放射線治療装置40と、動体追跡装置50とを備える。ここで、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、放射線治療装置40によって実施される動体追跡照射による放射線治療において、放射線治療用マーカーの留置のシミュレーションを行う。なお、図1に示す構成はあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、その他の種々の装置が放射線治療システム1に含まれる場合であってもよい。
医用画像診断装置10は、被治療体の医用画像データを収集する装置であり、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置、X線アンギオ装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、超音波診断装置等である。ここで、医用画像診断装置10は、3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)を生成可能である。例えば、医用画像診断装置10としての放射線治療計画用CT装置は、被治療体の治療対象部位(腫瘍等)を含む経時的なCTボリュームデータ(4D CTボリュームデータ)を収集し、収集した経時的なCTボリュームデータを治療計画装置20や、放射線治療支援装置30に送信する。また、例えば、超音波診断装置は、被治療体内に放射線治療用マーカーを留置する際の超音波画像を収集して、収集した超音波画像を放射線治療支援装置30に送信する。
治療計画装置20は、放射線治療計画用CT装置により収集された被治療体のCTボリュームデータを用いて、放射線治療装置40による放射線治療の治療計画を立てる。例えば、治療計画装置20は、放射線治療計画用CT装置が収集したCTボリュームデータを用いて、被治療体内の治療対象部位の位置を特定する。また、例えば、治療計画装置200は、CTボリュームデータを用いて位置を特定した腫瘍等に対して放射線治療装置40が照射する放射線の線量や照射角度、照射する回数などの計画を立てる。また、治療計画装置20は、放射線治療支援装置30から受信した放射線治療用マーカーの位置を治療計画に反映させる。そして、治療計画装置20は、治療計画を放射線治療支援装置30や、放射線治療装置40に送信する。
動体追跡装置50は、被治療体の医用画像データを収集して、放射線治療装置40に送信する。例えば、動体追跡装置50は、複数のX線透視装置を備え、放射線治療前、放射線治療中の被治療体の複数の角度からのX線透視画像を収集する。一例を挙げると、動体追跡装置50は、放射線治療前及び放射線治療中の被治療体内に留置された放射線治療用マーカーを含むX線透視画像を2方向から収集して、放射線治療装置40に送信する。
放射線治療装置40は、治療計画装置20による治療計画に従い、被治療体に対して放射線を照射し、放射線治療を実行する。ここで、放射線治療装置40は、動体追跡装置50によって収集された医用画像データに基づいて、動体追跡照射を行う。具体的には、放射線治療装置40は、動体追跡装置50によって収集される医用画像データに含まれる放射線治療用マーカーの位置に応じて放射線を照射する。
一例を挙げると、放射線治療装置40は、動体追跡装置50によって収集された放射線治療前のX線透視画像を用いて、被治療体内に留置された放射線治療用マーカーの3次元位置を算出する。そして、放射線治療装置40は、治療計画装置20から受信した治療計画における治療対象部位と放射線治療用マーカーの3次元位置をX線透視画像に投影して、実際の放射線治療用マーカーの位置を治療計画における放射線治療用マーカーの位置に重ねることで、被治療体のセットアップを実行する。
そして、放射線治療装置40は、動体追跡装置50によって収集された放射線治療中のX線透視画像から放射線治療用マーカーの位置を検出し、検出した放射線治療用マーカーが計画された3次元位置にある期間のみ、放射線を照射するように制御する。これにより、放射線治療装置40は、正常組織への放射線照射を低減した放射線治療を行うことができる。
ここで、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、医用画像診断装置10における座標系と、放射線治療装置40における座標系と、動体追跡装置50とを位置合せさせることにより、上記した動体追跡照射による放射線治療を行うことができる。例えば、放射線治療システム1においては、放射線治療計画用CT装置における座標系と放射線治療装置40における座標系とが予め位置合せされることで、放射線治療装置40は、治療計画装置20によって立てられた治療計画に沿って放射線を照射することができる。
放射線治療支援装置30は、動体追跡照射において位置を追跡する放射線治療用マーカーの留置を支援する装置である。具体的には、放射線治療支援装置30は、被治療体に放射線治療用マーカーを留置する際のシミュレーションを実行することで、より効率的かつ安全に放射線治療用マーカーを留置させることを可能にする。より具体的には、放射線治療支援装置30は、画像上に仮想的に留置された放射線治療用マーカーの位置が留置条件を満たすか否かを判定する。そして、放射線治療支援装置30は、仮想的に留置された放射線治療用マーカーの位置が留置条件を満たす場合に、放射線治療用マーカーを留置するための穿刺条件を提示する。これにより、ユーザ(医師)は、より効率的かつ安全に放射線治療用マーカーを留置することができる。
以下、放射線治療支援装置30の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30の構成の一例を示す図である。図2に示すように、放射線治療支援装置30は、例えば、通信インターフェース31と、記憶回路32と、入力インターフェース33と、ディスプレイ34と、処理回路35とを有する。放射線治療支援装置30は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
通信インターフェース31は、処理回路35に接続され、ネットワークを介して接続された医用画像診断装置10、治療計画装置20又は放射線治療装置40との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信インターフェース31は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。本実施形態では、通信インターフェース31は、医用画像診断装置10から医用画像データを受信し、受信した医用画像データを処理回路35に出力する。ここで、通信インターフェース31は、医用画像診断装置10によって収集されたリアルタイムの医用画像データを受信して、処理回路350に出力することもできる。
記憶回路32は、処理回路35に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路32は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。本実施形態では、記憶回路32は、医用画像診断装置10から受信した医用画像データを記憶する。例えば、記憶回路32は、放射線治療計画用CT装置によって経時的に収集されたCTボリュームデータ等を記憶する。
また、記憶回路32は、処理回路35の処理に用いられる種々の情報や、処理回路35による処理結果等を記憶する。例えば、記憶回路32は、放射線治療用マーカーの留置条件に関する情報や、処理回路35によって設定された放射線治療用マーカーの留置位置などを記憶する。なお、これらの情報の詳細については、後述する。
また、記憶回路32は、処理回路35によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。一例を挙げると、記憶回路32は、処理回路35によって読み出されて実行される制御機能351に対応するプログラム、受付機能352に対応するプログラム及び判定機能353に対応するプログラムを記憶する。なお、図2においては、単一の記憶回路32が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路35が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
入力インターフェース33は、所定の領域(例えば、治療対象部位や、放射線治療用マーカーの留置位置)などの設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。
入力インターフェース33は、処理回路35に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35に出力する。なお、本明細書において入力インターフェース33は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
ディスプレイ34は、処理回路35に接続され、処理回路35から出力される各種情報及び各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ34は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。例えば、ディスプレイ34は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、種々の画像、処理回路35による種々の処理結果を表示する。
処理回路35は、放射線治療支援装置30における各種処理を実行する。例えば、処理回路35は、制御機能351、受付機能352及び判定機能353に対応するプログラムを記憶回路32から読み出して実行することで、種々の処理を行う。ここで、図2に示す処理回路35によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路32に記録されている。また、処理回路35は、各プログラムを記憶回路32から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。また、図2に示す制御機能351は、特許請求の範囲における表示制御部の一例である。また、図2に示す受付機能352は、特許請求の範囲における受付部の一例である。また、図2に示す判定機能353は、特許請求の範囲における判定部の一例である。
なお、上述した放射線治療支援装置30の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路32にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
制御機能351は、放射線治療支援装置30全体の動作を制御する。例えば、制御機能351は、入力インターフェース33を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、放射線治療支援装置30が有する各構成要素を制御する。例えば、制御機能351は、通信インターフェース31から出力される医用画像データを記憶回路32に記憶させる。また、制御機能351は、記憶回路32から医用画像データを読み出し、読み出した医用画像データから生成した医用画像をディスプレイ34に表示させる。また、制御機能351は、医用画像データに対して種々の処理を実行して、処理結果をディスプレイ340に表示させる。
受付機能352は、医用画像において放射線治療用マーカーを留置させる候補位置の指定を受け付ける。具体的には、受付機能352は、入力インターフェース33を介して、ユーザが医用画像上に指定した放射線治療用マーカー(例えば、金マーカー等)の候補位置の情報を受け付ける。すなわち、受付機能352は、放射線治療用マーカーの候補位置として指定された医用画像上の領域に対応するボクセルの情報を取得する。
図3は、第1の実施形態に係る受付機能352による放射線治療用マーカーの候補位置の受け付けの一例を示す図である。放射線治療用マーカーの候補位置が指定される場合、まず、制御機能351が、医用画像データから医用画像を生成し、生成した医用画像をディスプレイ34に表示させる。例えば、制御機能351は、図3に示すように、4D CTボリュームデータにおける1時相のボリュームデータからコロナル断面画像とアキシャル断面画像を生成して、生成した各断面画像をディスプレイ34にて表示させる。ここで、医用画像が生成される4D CTボリュームデータは、治療計画装置20などによって治療対象部位の位置が特定されたものである場合であってもよい。この場合、図3に示すように、制御機能351によって生成される医用画像上における治療対象部位R1の位置が既に特定されたものとなる。
なお、図3に示す画像はあくまでも一例であり、放射線治療用マーカーの候補位置の指定に用いられる医用画像は、どのような画像であってもよい。例えば、断面位置が異なる複数のアキシャル断面画像が表示される場合であってもよく、或いは、アキシャル断面画像、コロナル断面画像及びサジタル断面画像の3つの断面画像が表示される場合であってもよい。
上述したように、ディスプレイ34に医用画像が表示されると、ユーザは、入力インターフェース33を介して、表示された医用画像上に放射線治療用マーカーを留置する候補位置を指定する。すなわち、ユーザは、医用画像上で放射線治療用マーカーを仮想的に留置する。例えば、図3に示すように、ユーザは、治療対象部位R1の付近に放射線治療用マーカーM1を仮想的に留置する。ここで、ユーザは、図3に示すコロナル断面画像と、アキシャル断面画像のそれぞれに対して放射線治療用マーカーM1の位置を指定することにより、放射線治療用マーカーM1の3次元的な領域を指定する。受付機能352は、医用画像上で指定された放射線治療用マーカーM1の3次元的な領域に含まれるボクセルの情報を取得する。
図2に戻って、判定機能353は、候補位置が、放射線治療用マーカーの留置条件を満たす位置であるか否かを判定する。具体的には、判定機能353は、候補位置の動き方の条件及び候補位置の周辺臓器に関する条件を含む留置条件に基づいて、候補位置が留置条件を満たす位置であるか否かを判定する。例えば、判定機能353は、候補位置の動き方の条件として、ユーザによって指定された候補位置が放射線治療の対象部位と略同一の動きをするか否かを判定する。
一例を挙げると、判定機能353は、ユーザによって仮想的に留置された放射線治療用マーカーM1の3次元的な領域が、治療対象部位R1と略同一の動きをするか否かを判定する。すなわち、判定機能353は、動体追跡照射による放射線治療において、トラッキングの対象となる放射線治療用マーカーを留置する候補位置の領域が、治療対象部位R1と略同一の動きをするか否かを判定する。例えば、判定機能353は、制御機能351によって取得された4D CTボリュームデータを用いて、治療対象部位R1と候補位置の領域の時相間の移動をそれぞれ追跡して比較することで、候補位置の領域が、治療対象部位R1と略同一の動きをするか否かを判定する。なお、判定機能353は、治療対象部位R1と候補位置の領域の時相間の移動を、既存の追跡方法を適宜利用して追跡することができる。
また、判定機能353は、候補位置の周辺臓器に関する条件として、候補位置の周辺に所定の臓器が含まれるか否かを判定する。具体的には、判定機能353は、放射線治療用マーカーを留置する候補位置の周辺に、穿刺の際に避けるべき臓器があるか否かを判定する。すなわち、判定機能353は、候補位置の周辺に、穿刺によって大きな影響を受ける臓器があるか否かを判定する。例えば、判定機能353は、候補位置の周辺に、血管や、肺、骨などの臓器があるか否かを判定する。
ここで、判定機能353は、候補位置の周辺として、穿刺針の挿入位置から候補位置までの間の領域を対象とすることができる。すなわち、判定機能353は、ユーザによって指定された候補位置に対して実際に放射線治療用マーカーを留置する際の穿刺において、穿刺針が通過する領域に上記した所定の臓器があるか否かを判定する。換言すると、判定機能353は、上記した所定の臓器を通ることなく、ユーザによって指定された候補位置に放射線治療用マーカーを留置することができるか否かを判定する。
上述したように、判定機能353は、ユーザによって指定された放射線治療用マーカーの留置の候補位置が、動き方の条件及び周辺臓器に関する条件を満たしているか否かを判定する。ここで、判定機能353は、上記した判定を同時に実行してもよく、或いは、段階的に実行する場合であってもよい。例えば、判定機能353は、まず、上記した所定の臓器を通ることなく、ユーザによって指定された候補位置に放射線治療用マーカーを留置することができるか否かを判定する。ここで、所定の臓器を通ることなく、ユーザによって指定された候補位置に放射線治療用マーカーを留置することができる場合に、判定機能353は、放射線治療用マーカーを留置する候補位置の領域が、治療対象部位と略同一の動きをするか否かを判定する。
制御機能351は、判定機能353による判定結果に応じて種々の情報をディスプレイ34に表示させる。例えば、制御機能351は、判定機能353による判定と連動したGUIを表示させることができる。一例を挙げると、制御機能351は、ユーザが放射線治療用マーカーを医用画像上に仮想的に留置する際のGUIに、判定機能353による判定結果を連動させることができる。かかる場合には、例えば、制御機能351は、まず、放射線治療用マーカーを仮想的に留置するためのGUI(例えば、放射線治療用マーカーを模擬したGUI)を医用画像上に表示させる。ユーザは、入力インターフェース33を介して、医用画像上に表示された放射線治療用マーカーの位置を操作することで、留置の候補位置を指定する。
ここで、受付機能352は、ユーザによって医用画像上の放射線治療用マーカーが移動されるごとに、放射線治療用マーカーに対応する3次元的な領域の位置情報を取得して、判定機能353に送信する。判定機能353は、受付機能352から3次元的な領域の位置情報を取得するごとに、受け付けた領域の位置が、上述した留置条件を満たすか否かを判定して、判定結果を制御機能351に送信する。
そして、制御機能351は、判定結果に応じて放射線治療用マーカーを模擬したGUIの表示形態を変化させる。例えば、制御機能351は、放射線治療用マーカーのGUIの位置(放射線治療用マーカーに対応する3次元的な領域の位置)が留置条件を満たしていると判定された場合、GUIを緑で示す。一方、GUIの位置が留置条件を満たしていないと判定された場合、制御機能351は、GUIを赤で示す。これにより、ユーザは、入力インターフェース33を介して、放射線治療用マーカーの位置を移動させながら、留置条件を満たす位置か否かを視覚的に判断することができる。
また、制御機能351は、判定機能353による判定結果について、その他、種々の情報を表示させることができる。例えば、制御機能351は、判定機能353の判定結果に応じて、指定された候補位置が留置条件を満たすことを示す情報や、候補位置が留置条件を満たしていないことを示す情報、候補位置の変更を促す情報などをディスプレイ34に表示させる。
さらに、制御機能351は、指定された候補位置が留置条件を満たす場合に、放射線治療用マーカーを候補位置に留置するための穿刺における刺入位置及び刺入方向の候補を表示させる。図4A及ぶ図4Bは、第1の実施形態に係る制御機能351による表示の一例を示す図である。なお、図4A及び図4Bにおいては、アキシャル断面画像上に穿刺における刺入位置及び刺入方向の候補を表示させる場合について示すが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、その他の断面画像や、ボリュームレンダリング画像上に刺入位置及び刺入方向の候補を表示させる場合であってもよい。
例えば、制御機能351は、図4Aに示すように、指定された放射線治療用マーカーM1に対して実際の放射線治療用マーカーを留置するための穿刺ルートの候補領域R2を表示させる。すなわち、制御機能351は、血管や、肺、骨などの臓器を通過することなく、放射線治療用マーカーM1の位置に到達することができる穿刺ルートの候補領域R2を医用画像上に表示させる。
さらに、制御機能351は、穿刺ルートの候補領域R2において、より推奨される穿刺ルートの情報を表示させることもできる。具体的には、制御機能351は、穿刺のし易さ、刺入位置から放射線治療用マーカーの留置位置までの距離などに基づいて、穿刺ルートの候補領域R2から、より推奨される穿刺ルートを抽出し、抽出した穿刺ルートの情報をディスプレイ34に表示させる。
例えば、制御機能351は、図4Bに示すように、刺入位置から放射線治療用マーカーの留置位置までの距離に基づいて、穿刺ルートの候補領域R2から穿刺ルートL1を抽出して、穿刺ルートL1をアキシャル断面画像上に表示させる。一例を挙げると、制御機能351は、刺入位置から放射線治療用マーカーの留置位置までの距離が最短となる穿刺ルートL1を候補領域R2から抽出する。
ここで、制御機能351は、図4Bに示すように、刺入位置から放射線治療用マーカーの留置位置までの距離「5.0cm」を表示させることもできる。このように、制御機能351が穿刺ルートの候補を表示させると、入力インターフェース33が、ユーザから穿刺ルートの設定に関する操作を受け付ける。例えば、ユーザは、入力インターフェース33を介して、穿刺ルートを決定する操作を行う。一例を挙げると、ユーザは、穿刺ルートL1の位置を所望の位置に合わせて(例えば、表示された位置のまま、或いは、位置を変更させて)、決定ボタンを押下することで穿刺ルートを決定する。
ここで、例えば、ユーザが穿刺ルートL1の位置を候補領域R2内で変更した場合、制御機能351は、変更後の刺入位置から放射線治療用マーカーの留置位置までの距離を表示させる。すなわち、ユーザは、放射線治療用マーカーの留置位置までの穿刺ルートと距離を同時に把握することができ、所望の穿刺ルートを容易に設定することができる。
上述したように、放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーの留置条件に基づいて、放射線治療用マーカーの留置シミュレーションを行い、留置条件を満たす位置に放射線治療用マーカーの留置位置を設定させることができる。これにより、放射線治療支援装置30は、より効率的かつ安全に放射線治療用マーカーを留置することを可能にする。
ここで、放射線治療支援装置30は、上述したシミュレーションに加えて、放射線治療用マーカーの留置にかかる支援をさらに行うことができる。具体的には、制御機能351は、候補位置が留置条件を満たす位置である場合に、放射線治療用マーカーを候補位置に留置するための穿刺に関する情報を表示させる。より具体的には、放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーを留置するための穿刺の際に、参照される医用画像上に穿刺ルートを表示させる。例えば、放射線治療支援装置30は、穿刺で参照される超音波画像上に穿刺ルートを表示させることで、放射線治療用マーカーの留置にかかる支援を行う。
かかる場合には、まず、制御機能351は、放射線治療用マーカーの留置位置が設定された医用画像と、穿刺時に参照される医用画像との位置合せを行う。例えば、制御機能351は、放射線治療用マーカーの留置位置が設定されたCTボリュームデータと、穿刺時に収集された超音波画像とを位置合わせする。かかる場合には、超音波診断装置において、位置情報及び角度情報を取得するセンサが備えられた超音波プローブによって被治療体が走査されることで超音波画像が収集される。例えば、制御機能351は、CTボリュームデータと超音波画像に含まれる解剖学的な特徴点などに基づいて、CTボリュームデータと超音波画像とを位置合わせする。なお、CTボリュームデータと超音波画像との位置合せは、上記した例に限られず、その他、既存の位置合せ方法によって実行する場合であってもよい。
上述したように、位置合せを実行すると、制御機能351は、超音波画像上に穿刺ルートと放射線治療用マーカーの留意位置を表示させる。図5は、第1の実施形態に係る制御機能351による超音波画像の表示の一例を示す図である。例えば、制御機能351は、図5の上段の図に示すように、穿刺に際して収集されている超音波画像上に、治療対象部位R1の位置と、設定された放射線治療用マーカーM1の位置と、穿刺ルートL2の位置とを表示させる。これにより、穿刺を実施する術者(医師)は、図5の下段の図に示すように、超音波画像上の穿刺ルートL2に沿って穿刺針N1を放射線治療用マーカーM1の位置まで刺入することで、安全に放射線治療用マーカーを留置することできる。
上述した例では、超音波画像上に穿刺ルートL2の位置と放射線治療用マーカーM1の位置を表示させる場合について説明したが、制御機能351は、CT画像上に穿刺針N1の位置を表示させることもできる。図6は、第1の実施形態に係る制御機能351による穿刺針の表示の一例を示す図である。例えば、制御機能351は、超音波画像に含まれる穿刺針の位置を取得する。そして、制御機能351は、位置合せの情報に基づいて、取得した穿刺針の位置を、CTボリュームデータにおける対応する位置に変換する。その後、制御機能351は、図6の右図に示すように、CT画像における対応する位置に穿刺針を示す情報を表示させる。
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30の処理について説明する。図7は、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30による処理の手順を示すフローチャートである。
図7に示すステップS101、ステップS104〜107は、処理回路35が記憶回路32から制御機能351に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図7に示すステップS102は、処理回路35が記憶回路32から受付機能352に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図7に示すステップS103は、処理回路35が記憶回路32から判定機能353に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
ステップS101では、処理回路35が、4D CT画像を取得して、ディスプレイ34に表示させる。そして、処理回路35は、ステップS102において、放射線治療用マーカーの候補位置を受け付けたか否かを判定する。ここで、候補位置を受け付けた場合(ステップS102肯定)、処理回路740は、ステップS103に進み、候補位置が留置条件を満たすか否かを判定する。なお、ステップS102において候補位置を受け付けるまで処理回路35は待機状態である(ステップS102否定)。
ステップS103において、留置条件を満たすと判定された場合(ステップS103肯定)、処理回路35は、ステップS104に進み、穿刺針の穿刺位置及び刺入方向の候補を抽出して、表示させる。一方、留置条件を満たさないと判定された場合(ステップS103否定)、処理回路35は、ステップS102に戻り、候補位置を受け付けたか否かを判定する。
ステップS104の後、ステップS105では、処理回路35が、穿刺条件が設定されたか否かを判定する。ここで、穿刺条件が設定された場合(ステップS105肯定)、処理回路35は、ステップS106に進み、CT画像と超音波画像との位置合せを実行する。なお、ステップS105において穿刺条件が設定されるまで処理回路35は待機状態である(ステップS105否定)。ステップS106において位置合せを実行すると、処理回路35は、ステップS107において、設定された刺入位置及び刺入方向と、実際の穿刺針の位置の情報を表示させる。
上述したように、第1の実施形態によれば、受付機能352が医用画像において放射線治療用マーカーを留置させる候補位置の指定を受け付ける。判定機能353が、候補位置が、放射線治療用マーカーの留置条件を満たす位置であるか否かを判定する。制御機能351が、候補位置が留置条件を満たす位置である場合に、放射線治療用マーカーを候補位置に留置するための穿刺に関する情報を表示させる。従って、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーの留置シミュレーションを行って、留置条件を満たす位置を提示させることができ、より効率的かつ安全に放射線治療用マーカーを留置することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、判定機能353は、候補位置の動き方の条件及び候補位置の周辺臓器に関する条件を含む留置条件に基づいて、候補位置が留置条件を満たす位置であるか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーの動き方と、穿刺における制約を考慮したシミュレーションを行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、判定機能353は、候補位置の動き方の条件として、候補位置が放射線治療の対象部位と略同一の動きをするか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーの動きを治療対象部位の動きと略一致させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、判定機能353は、候補位置の周辺臓器に関する条件として、候補位置の周辺に所定の臓器が含まれるか否かを判定する。また、所定の臓器は、血管、肺及び骨を含む。従って、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーを留置する際の穿刺をより安全に行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、放射線治療用マーカーを候補位置に留置するための穿刺における刺入位置及び刺入方向の候補を表示させる。従って、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、より効率的に穿刺ルートを設定させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、放射線治療用マーカーを候補位置に留置するための穿刺中に収集されている収集画像から穿刺針の刺入位置及び刺入方向の情報を取得し、取得した刺入位置及び刺入方向の情報を医用画像上に表示させる。従って、第1の実施形態に係る放射線治療支援装置30は、放射線治療用マーカーの留置位置を設定した画像を参照して、穿刺を行うことを可能にする。
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、放射線治療用マーカーの候補位置が指定される場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線治療用マーカーの候補位置に加えて、穿刺の刺入位置及び刺入方向が指定される場合であってもよい。かかる場合には、受付機能352は、候補位置に加えて、穿刺における刺入位置及び刺入方向の指定を受け付ける。判定機能353は、候補位置が、刺入箇所及び刺入方向で実施される穿刺にて放射線治療用マーカーを留置可能な位置であるか否かをさらに判定する。これにより、放射線治療支援装置30は、例えば、被治療体において穿刺する位置に制約がある場合などでも、より効率的かつ安全に放射線治療用マーカーを留置することを可能にする。
また、上述した実施形態では、放射線治療用マーカーとして金マーカーを例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、磁気マーカーなど、その他の種々のマーカーが用いられる場合であってもよい。
また、上述した実施形態では、体表からの穿刺によって放射線治療用マーカーが留置される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、気管支内視鏡などを介して体内から穿刺が実施される場合であってもよい。かかる場合には、処理回路35は、穿刺針が刺入される体内の位置から放射線治療用マーカーの候補位置までの穿刺について、穿刺ルートを表示する。
また、上述した実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態で説明した干渉判定方法は、予め用意された放射線治療支援プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この放射線治療支援プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この放射線治療支援プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明したとおり、第1〜第2の実施形態によれば、より効率的かつ安全に放射線治療用マーカーを留置することを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。