JP2019097562A - 飲食品の果汁感増強剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、果実風味のフレーバー又は果実風味の飲食品の果汁感を増強することで嗜好性を向上させることが可能な新たな食品添加物素材を提供することにある。【解決手段】本発明は、γ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンを有効成分として含有する果汁感増強剤、さらには、前記果汁感増強剤とオレイン酸の混合物を有効成分とする果汁感増強剤である。本発明の果汁感増強剤の添加により果実用風味を有する口腔用品の果汁感を増強し嗜好性を向上させることができる。【選択図】なし
Description
本発明は飲食品の果汁感増強の効果を有する新たな果汁感増強剤に関する。
果汁飲料、果汁入り飲料など果汁を原料とする飲食品においては、果汁の天然感、瑞々しさなどが求められる。しかしながら、これら飲料は製造工程において加熱殺菌などによる香味の変調により天然の果汁らしい瑞々しさが失われるなど嗜好性の低下が避けられない。そこで、果汁を原料とする飲食品の嗜好性低下を補う方法として香料を添加することによって香気を補正する方法や、シクロデキストリンによる香気成分の保護(特許文献1)により殺菌工程などで香気の遺失を抑制する方法、長鎖脂肪酸の添加(特許文献2)、メチルジャスモネートの添加(特許文献3)による果汁感の向上などによる嗜好性の強化が試みられている。しかしながら、香料添加による香気の補正は飲食品の1製品ごとに調整する必要があり、シクロデキストリンによる香気の保護による方法では、香気成分とシクロデキストリンの親和性によって保護されやすい成分とそうでない成分との間に差異が生じ香気バランスが崩れたり、飲食時の香気発現のタイミングがずれたりすることで必ずしも嗜好性を十分に保つことができないなどの問題がある。長鎖脂肪酸やメチルジャスモネートの添加による方法も、無果汁又は果汁含量の低い果汁飲料に対して高果汁飲料のような自然な瑞々しい風味、ボリューム感を付与もしくは増強するという観点からは十分なものであると言うことはできなかった。
一方、炭素数4〜20のγ−ラクトン及び炭素数5〜20のδ−ラクトンは公知の化合物であり、その多くが市販品として流通しており香料としても一般的に使用される化合物である。しかしながら、香料として使用される前記ラクトンの炭素数は12以下のものが一般的である。炭素数が13以上になると香気が弱く、香気の変調などによって油脂を含む飲食品を口にした時の舌触りや口腔内のコート感を助長する目的(特許文献4)や、炭酸飲料の刺激感の緩和(特許文献5)など、香味の印象を調整することにより物理的感覚を変調させる目的で使用されることが知られているが、たとえば乳製品やカレールーなど油脂に起因する口腔内の物理的感覚に特徴のある飲食品への利用以外は特に知られていない。
本発明の課題は、果実風味のフレーバー又は果実風味の飲食品の果汁感を増強することで嗜好性を向上させることが可能な新たな食品添加物素材を提供することにある。
本発明は、γ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンを有効成分とする果汁感増強剤を提供する。さらには、前記ラクトンとオレイン酸の混合物を有効成分とする果樹感増強剤を提供する。
本発明によれば、γ―オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンを添加することにより、果実風味のフレーバー又は果実風味飲食品の果汁感を増強し嗜好性を向上させることができる。さらにγ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンと、オレイン酸とを併用することにより、より強く果汁感を増強することができ、これによって飲食品の嗜好性をさらに向上させることができる。
本発明は、γ―オクタデカラクトン及び/又はδ-オクタデカラクトンを有効成分とする果汁感増強剤である。本発明にいう果汁感とは、果実類の生果汁を口に含んだ時に感じる、主としてフレッシュ感(瑞々しさ)、果汁のボリューム感(濃厚感)など、生の天然果汁を想起する香味をいう。
本発明の有効成分であるγ−オクタデカラクトンは炭素数が18の長鎖ラクトンである。本物質はバターなどに含まれていることが知られている。γ―オクタデカラクトンの入手方法としては、市販されているものを利用してもよく、また公知の方法で合成してもよい。たとえば、γラクトン類の合成方法として、アクリル酸メチルとペンタデカノールとをラジカル開始剤を用いたラジカル反応を行った後、環化反応を行う方法、不飽和脂肪酸をヒドロキシ化して脱水環化する方法などが知られており、これら公知の方法で合成することもできる。
本発明の有効成分であるδ−オクタデカラクトンは炭素数が18の長鎖ラクトンである。本物質は乳脂肪や牛脂の香気成分に含有されている。δ−オクタデカラクトンの入手方法としては、市販されているものを利用してもよく、また公知の方法で合成してもよい。たとえば、2−トリデシルシクロペンタノンをバイヤービリガー酸化によりラクトン化する方法などで合成することができる。
本発明の果汁感増強剤の添加量は添加する対象となる飲食品に応じて適宜調整されるが、好ましくはγ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンの最終製品中の含有量が質量比で合計0.01〜10ppmとなるよう調整される。したがって、香料成分と配合して香料製剤とする場合などは、飲食品への添加量を勘案してγ−オクタデカラクトン及びδ−オクタデカラクトンの製剤中への配合量が調整される。本発明において使用されるγ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンは、製造過程で例えばε−ラクトン類などの不純物を含むものであっても、食品添加物として使用可能であって特に異味や異臭がないものであれば、特段精製することなく使用することもできる。また、例えばエタノールやグリセリン、プロピレングリコール、水それらの混合溶媒など食品添加物として使用可能な溶剤であれば希釈して使用してもよい。
本発明によれば、γ−オクタデカラクトンを添加することによって口腔用品に果汁感におけるフレッシュ感を増強することができ、δ−オクタデカラクトンを添加することによって口腔用品に果汁感におけるボディ感を増強することができる。本発明において、γ−オクタデカラクトンとδ−オクタデカラクトンはいずれか一方を使用することでも果汁感を増強して嗜好性を向上させることができるが、双方を組み合わせた方が天然の果汁らしいバランスで果汁感を増強することができるため好ましい。γ−オクタデカラクトンとδ−オクタデカラクトンを組み合わせる場合の配合比は、果汁感を増強するときのバランスを考慮して任意に決定することができるが、たとえば質量比でγ−オクタデカラクトン:δ−オクタデカラクトンが1:3の割合が一般的に好ましい配合比として提示される。
本発明においては、γ−オクタデカラクトン及び/又はδ―オクタデカラクトンと、オレイン酸を併用することによりさらに果汁感を増強することができる。オレイン酸については、単独では果汁感の増強効果は認められないか極めて小さいため、γ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンの効果を助長する範囲の添加量で使用される。より具体的には、オレイン酸の添加量はγ−オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンと等量程度であることが好ましい。本発明において使用されるオレイン酸は、特に異味や異臭がなく食品添加物として使用可能なものであれば、市販のものを使用することができる。
本発明の果汁感増強剤は単独で飲食品に添加してもよく、他の食品添加物と配合して添加してもよい。他の食品添加物としては、香料、甘味料、酸味料、色素、抗酸化剤、増粘安定剤、可溶化剤、溶剤など食品添加物として使用できるものであれば制限はない。また、用途に合わせて液体、乳化、粉末など任意の形態に製剤化してもよい。
本発明の果汁感増強剤又はそれを配合してなる香料製剤などは、果実風味を有する口腔用品に広く使用され得る。本発明にいう果実風味を有する口腔用品とは、飲食品や医薬品、医薬部外品であって果実風味を有するものをいう。例えば飲食品としては、果実飲料、果汁入り飲料、発泡性飲料、濃縮ジュース、凍結ジュース、スポーツドリンク、栄養ドリンク、その他の機能性ドリンク、フレーバードティーなどの飲料一般、ゼリーなどのデザート類、シャーベットなどの氷菓、焼菓子や蒸菓子等の菓子類、パン、スナック類、チューインガム、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、ゼリービーンズ、グミ、錠菓等を含む糖菓一般、果実フレーバーソース、ジャムやマーマレード、甘味料、シロップ、缶詰、冷凍食品などが挙げられ、医薬品、医薬部外品としては、口内清涼剤、うがい剤、歯磨き等の医薬品部外品、シロップ剤等の医薬品を挙げることができる。
δ−オクタデカラクトン(表中A)とγ−オクタデカラクトン(表中B)は適宜の混合比で混合したものを各々1,000ppmとなるようにエタノール溶液を調製した。市販のアップル果汁100%飲料に上記調製液を試験濃度となるように添加し、果汁感を官能評価した。官能評価は熟練したパネラー5名で行った。5名の平均的な評価を表1に示す。
表1に示した通り、γ―オクタデカラクトンを添加するとアップル果汁のフレッシュ感が増強され、δ−オクタデカラクトンを添加するとアップル果汁のボリューム感が増強された。また、γ−オクタデカラクトンを適宜の混合比で配合した場合、果汁のフレッシュ感とボリューム感が共に増強された。特にδ−オクタデカラクトンとγ−オクタデカラクトンの混合比が3:1の場合にフレッシュ感とボディ感がバランスよくマッチした形で増強され、さらに持続性もアップし良好な果汁感が得られた。
δ−オクタデカラクトンとγ−オクタデカラクトンの質量比3:1の混合物である本発明品1と、オレイン酸が各々1,000ppmとなるようにエタノール溶液を調製した。市販のグレープ果汁100%飲料に上記調製液を試験濃度となるように添加し、果汁感を官能評価した。官能評価は熟練したパネラー5名で行い、下記の7段階評価で評価した。評価結果の平均値を表2に示す。
1:無添加品と比べて果汁感が「非常に弱い」あるいは「非常に低い」
2:無添加品と比べて果汁感が「弱い」あるいは「低い」
3:無添加品と比べて果汁感が「やや弱い」あるいは「やや低い」
4:無添加品と同等の果汁感
5:無添加品と比べて果汁感が「やや強い」あるいは「やや高い」
6:無添加品と比べて果汁感が「強い」あるいは「高い」
7:無添加品と比べて果汁感が「非常に強い」あるいは「非常に高い」
1:無添加品と比べて果汁感が「非常に弱い」あるいは「非常に低い」
2:無添加品と比べて果汁感が「弱い」あるいは「低い」
3:無添加品と比べて果汁感が「やや弱い」あるいは「やや低い」
4:無添加品と同等の果汁感
5:無添加品と比べて果汁感が「やや強い」あるいは「やや高い」
6:無添加品と比べて果汁感が「強い」あるいは「高い」
7:無添加品と比べて果汁感が「非常に強い」あるいは「非常に高い」
表2に示した通り、本発明品1を添加するとグレープ果汁の果汁感が増強された。また、オレイン酸を添加した場合、オレイン酸単独では無添加品に対してほとんど果汁感が増強されることはなかったが、本発明品1と併用すると、本発明品1を単独で使用したときよりも効果が強く出ており相乗効果があることが確認された。
実施例2とは異なる果実の市販果汁飲料に本発明品1とオレイン酸を添加し、果汁感を官能評価した。評価は5名で行い果汁感、酸味、甘味の評価項目で評価した。結果の平均値を表3に示す。
表3に示した通り、異なる果実であっても本発明品1を添加すると果汁感が増強され、オレイン酸を併用するとさらに果汁感が増強されることを確認した。また、本発明品1を添加すると酸味、甘味の増強も確認された。これにより、本発明品は不特定の果実の風味において一様に果汁感を増強し、これにオレイン酸を併用するとさらに増強効果が高まることが確認された。
Claims (6)
- γ―オクタデカラクトン及び/又はδ−オクタデカラクトンを有効成分とする果汁感増強剤。
- 質量比でγ―オクタデカラクトン:δ−オクタデカラクトンが1:3の割合でγ―オクタデカラクトン及びδ−オクタデカラクトンを含有する果汁感増強剤。
- さらにオレイン酸を含有する請求項1又は2に記載の果汁感増強剤。
- 請求項1乃至3に記載の果汁感増強剤のいずれかを添加してなる果実風味フレーバー。
- 請求項1乃至3に記載の果汁感増強剤のいずれか、もしくは請求項4に記載の果実風味フレーバーを添加することによる、果実風味口腔用品の果汁感を向上させる方法。
- 請求項1乃至3の果汁感増強剤のいずれか、もしくは請求項4に記載の果実風味フレーバーを添加してなる果実風味口腔用品。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017227557 | 2017-11-28 | ||
JP2017227557 | 2017-11-28 |
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JP2018222320A Pending JP2019097562A (ja) | 2017-11-28 | 2018-11-28 | 飲食品の果汁感増強剤 |
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- 2018-11-28 JP JP2018222320A patent/JP2019097562A/ja active Pending
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