[第1実施形態]
以下、本発明に係る撮像画像保存装置を情報読取装置に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図3等に示す情報読取装置10は、机や棚などの上面を載置面としてこの載置面上に載置される据置型の読取装置であって、撮像した表示媒体の情報を読み取るだけでなく当該表示媒体の撮像画像を保存保管可能な撮像画像保存装置として構成されるものである。そして、本実施形態では、図1に示すように、情報読取装置10とこの情報読取装置10にて取得した撮像画像や読取結果等を管理可能な上位端末101とを備えるように情報管理システム100が構成されている。なお、上位端末101は、図1に例示するように携帯型端末として構成されてもよいし、サーバ等の据え置き型の情報処理装置として構成されてもよい。
本実施形態では、情報読取装置10は、特定の文字フォーマットを利用した所定の情報や情報コード等が表示面に表示される表示媒体を撮像対象としている。このため、情報読取装置10は、撮像した文字情報等を認識する文字認識機能として公知の記号認識処理機能(OCR)や撮像した情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能など、撮像した光学的情報を光学的に読み取る機能(光学的情報読取手段)を有するように構成されている。
本実施形態では、特定の文字フォーマットを利用して所定の情報等が表示面に表示される表示媒体として、例えば、図6に例示するようなパスポート(旅券)60を想定している。パスポート60は、図6に示すように、国際民間航空機関(ICAO)が発行するDoc9303の規格に基づいて、顔写真が表示された身分事項のページ(以下、表示面61ともいう)が見開きの一方の片面となるように構成されている。この表示面61のうち下欄となる決められた領域には、決められた特定の文字フォーマットを利用した旅券情報61aが表示されている。この旅券情報61aには、パスポート60を特定可能な特定情報としての旅券番号や姓名・国籍等の情報が含まれている。
また、読み取り対象となる情報コードとしては、例えば、バーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コードなど複数種類のセルが配列されて構成される公知のコードを想定している。このため、本実施形態では、パスポート60の表示面61を撮像して旅券情報61aを認識等するパスポート読取モード、情報コードを光学的に読み取る情報コード読取モード、文字認識不要な資料等を撮像してその画像を保存(保管)する撮像モードの少なくとも3つのモードが切り替え可能に用意されている。
情報読取装置10は、例えばABS樹脂等の樹脂材料によって当該情報読取装置10の外郭を構成する筐体11を備えている。この筐体11は、図2等に示すように、上ケース12と下ケース13と備えており、これら上ケース12と下ケース13とが上下に組み付けられた構成で全体として略箱状に形成されている。そして、筐体11の内部には、後述する照明光源21、結像部27、撮像部23、反射部材50などの各部品が収容されている。
図3等に示すように、筐体11の上面11aには光の出入口となる読取口14が矩形状に形成されており、読取口14を介して筐体外からの光が筐体内に入り込み、筐体内からの光が筐体外に放出されるようになっている。そして、結像部27、撮像部23によって構成される光学系は、この読取口14にかざされる表示媒体を撮像するように機能する。
筐体11の上面11aは、読取口14と当該読取口14の一辺14aに連なる帯状の一端部15とにより構成されて、保護プレート16により保護されている。この保護プレート16は、所定の厚さの平坦な板として構成され、筐体外からの光や筐体内からの光が透過可能となる光透過性の部材(例えば、透明なアクリル樹脂や透明ガラス等)によって構成されている。また、一端部15には、後述する操作部42や表示部43等が配置されている。
読取口14の四辺のうち一辺14aに対向する辺14bは、筐体11の上面11aの一縁に相当し、読取口14の四辺のうち他の2辺14c,14dも筐体11の上面11aの他の一縁にそれぞれ相当する。このため、上面11aは、図3に示すように、一端部15を除いた読取口14を囲う3つの縁部分の幅が、上ケース12の四角環状に形成される本体部12aの厚みにほぼ等しくなるように形成される。すなわち、上面11aは、辺14b〜14dに沿う各縁部分の幅が一端部15に対して小さくなるように形成されている。
読取口14は、パスポート60の表示面61に合わせて形成されている。具体的には、読取口14は、上記他の2辺14c,14d間の距離が表示面61の幅W(図6参照)にほぼ一致するように形成されている。また、表示面61とこの表示面61を見開きの一方の片面とする他方の片面62との間となる部分を境界部63(図6参照)とし、図7に示すように、境界部63を上記上面11aの一縁に合わせるようにパスポート60の表示面61を読取口14に接触させるようにかざしたときに、読取口14は、表示面61の下縁61bが一辺14aにほぼ一致するように形成されている。
下ケース13は、その高さがパスポート60の読み取りに適するように設定されている。具体的には、下ケース13の底面13aには載置時に載置面に接触する複数の脚部が設けられており、下ケース13は、図7に示すように、境界部63を上記上面11aの一縁に合わせるようにパスポート60の表示面61を読取口14に接触させるようにかざしたときに、他方の片面62の一縁62aが底面13aに達し載置面には達しない高さとなるように形成されている。
次に、情報読取装置10の電気的構成について説明する。図5に示すように、情報読取装置10は、主に、照明光源21、結像部27、撮像部23等の光学系と、メモリ35、制御部40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、図示しない電源部、電源スイッチ等の電源系とを備えている。
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、均一な照明光を照射可能な面光源として機能するものである。この照明光源21は、一端部15の下方に配置されて、反射部材50に向けて均一な照明光を照射するように構成されている。これにより、保護プレート16による反射のために反射部材50が撮像部23による視野範囲に入る場合でも反射部材50が均等に明るくなるため、反射部材50の映り込みによる影響を抑制することができる。
また、図2〜図4に示すように、投光光学系は、照明光源21からの光を反射して導く反射部材50を備えている。この反射部材50は、筐体11の内部において照明光源21からの照明光が照射される位置に配置され、照明光源21からの照明光が読取口14を通って筐体11の外部に照射されるように導く構成となっている。反射部材50は、第1反射部51、第2反射部52及び第3反射部53を備えており、読取口14の外縁側の照度を読取口14の中心側の照度よりも高めるため、それぞれ照明光源21から離れる方向に凸となるように湾曲して形成されている。具体的には、第1反射部51は、図4に示すように、上端が読取口14の辺14bに連なるように湾曲して形成されている。また、第2反射部52は上端が読取口14の辺14cに連なり、第3反射部53は上端が読取口14の辺14dに連なるように、それぞれ形成されている。また、第1反射部51、第2反射部52及び第3反射部53の下端により開口54が構成され、この開口54は、結像部27を露出させるように形成されている。なお、図5では、便宜上、反射部材50の図示を省略している。
図4及び図5に示すように、受光光学系は、撮像部23、結像部27などによって構成されている。撮像部23は、例えばCCD素子やCMOS素子等の固体撮像素子(受光素子)が二次元的に配列された受光センサ(エリアセンサ)などによって撮像手段として構成されており、結像部27に面する側に筐体外からの光を受光し得る受光面23aが配置されている。この撮像部23は、読取口14を介して入射した光が結像部27を通過して受光面23aに入り込もうとする入射光を受光し得るように基板に実装されている。
結像部27は、公知の結像レンズによって構成され、結像光学系として機能している。この結像部27は、撮像部23で撮像可能となる視野範囲を定めると共に、筐体11の外部から読取口14を通過して入り込んだ光を撮像部23の受光面23aに導く構成となっている。特に、結像部27は、読取口14が視野範囲内となり、保護プレート16による反射や読取対象による反射を除いて反射部材50が視野範囲外となるように配置されている(図4の一点鎖線S参照)。
そして、結像部27は、筐体11の外部において視野範囲内に表示面61等の撮像対象が配置されたときに当該撮像対象の像を撮像部23の受光面23aに結像させるように機能する。本構成では、照明光源21から照射され、反射部材50によって筐体外に導かれた照明光を撮像対象に当てながら当該撮像対象を撮像し得るようになっており、結像部27は、撮像対象が視野範囲内(撮像エリア内)に配置されたときに、この撮像対象からの反射光Lrを集光し、撮像部23の受光面23aに撮像対象の像を結像させるように構成されている。
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路34、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御部40等によって構成されており、例えば上述した光学系によって撮像された表示情報等の画像信号を信号処理するように構成されている。具体的には、視野範囲内に配置された表示情報等が撮像部23によって撮像されたときの撮像画像のデータをメモリ35に記憶可能に構成されており、制御部40は、このような表示情報等の画像データを解析し、文字情報等であればOCR技術を用いて認識するように構成されている。また、制御部40は、視野範囲内に配置された情報コードが撮像部23によって撮像された場合には、この情報コードのコード画像を解析することで光学的に読み取る情報コード読取手段として機能するように構成されている。すなわち、制御部40は、撮像部23による撮像結果に基づいて表示面に表示される所定の情報を読み取る光学的情報読取手段として機能する。
また、図5に示すように、制御部40には、操作部42、表示部43、スピーカ44、通信インタフェース45等が接続されている。操作部42は、一端部15に対して外部操作可能に設けられるタッチスイッチとしてモード切替スイッチ42aとスキャンスイッチ42bとを備えており、使用者の操作に応じて制御部40に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部40は、操作部42から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。モード切替スイッチ42aは、上述したパスポート読取モード、情報コード読取モード、撮像モード等を切り替える際に操作されるスイッチとして構成され、スキャンスイッチ42bは、その切り替えられたモードにて読み取りを開始する際に操作されるスイッチとして構成されている。なお、例えば、パスポート60等、既定の表示媒体が検出可能に読取口14にかざされる場合には、操作部42を操作することなく、検出された表示媒体に応じたモードに自動的に切り替えた上で自動的に読み取りを開始してもよい。
表示部43は、一端部15に設けられるモード表示LED43aと読取確認等表示LED43bとを備えており、モード切替スイッチ42aとスキャンスイッチ42bとの間であって、読取確認等表示LED43bがモード表示LED43aよりも細長くなるように配置されている。表示部43は、制御部40により制御されて、切り替えられたモードを識別可能にモード表示LED43aが点灯し、読取結果等を確認可能に読取確認等表示LED43bが点灯するように構成されている。具体的には、例えば、モード表示LED43aは、パスポート読取モードに切り替えられている場合に緑色に点灯し、情報コード読取モードに切り替えられている場合に赤色に点灯し、撮像モードに切り替えられている場合に青色に点灯し、切り替えられたモードを表示可能な表示部として機能する。また、例えば、読取確認等表示LED43bは、読み取り又は撮像可能な状態である場合に緑色に点灯し、読み取りが成功した場合に青色に点灯し、読み取りが失敗した場合に赤色に点灯し、読取部による読取結果を表示可能な表示部として機能する。なお、表示部43は、「報知手段」の一例に相当し得る。
スピーカ44は、公知のスピーカ等によって発音部として構成されており、制御部40からの動作信号に応じて、予め設定された音声やアラーム音等の各種通知音を、一端部15に設けられる放音口44aを介して放音するように構成されている。このため、保護プレート16は、放音口44aを露出させるように形成されてもよい。なお、スピーカ44は、「報知手段」の一例に相当し得る。
通信インタフェース45は、上位端末101等の外部機器との間での無線通信又は有線通信にてデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部40と協働して通信処理を行う構成をなしている。
次に、本実施形態に係る情報読取装置10を撮像画像保存装置として利用することで、表示面61を撮像した画像(以下、保存用画像ともいう)を保存する場合に制御部40にてなされる画像保存処理について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
以下の例では、宿泊施設のカウンタ上に情報読取装置10がセルフチェックイン端末の一部として配置されており、チェックイン時に宿泊客等の利用者が自らパスポート60を情報読取装置10にかざす場合について説明する。
宿泊施設の従業員による操作等により情報読取装置10にて画像保存処理が開始されると、図8のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部23により読取口14を介した画像が撮像される。次に、ステップS103に示す判定処理にて撮像画像に上記特定の文字フォーマットを利用した旅券情報61aを構成する文字(以下、単に特定文字ともいう)が含まれているか否かについて判定され、当該特定文字が含まれるまでNoとの判定がなされて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。なお、上記特定の文字フォーマットに関する情報は、判定用情報として予めメモリ35に記憶されているものとする。
そして、宿泊客等の利用者によりパスポート60の表示面61が読取面となる読取口14にかざされることで、旅券情報61aの少なくとも一部が撮像されると、撮像画像に特定文字が含まれているとして、上記ステップS103にてYesと判定される。続いて、ステップS105に示す判定処理にて、表示面61の全体が撮像されているか否かについて判定される。ここで、パスポート60を読取口14にかざしている途中であることから、撮像画像に含まれる旅券情報61aの位置が既定の位置でなく撮像画像に旅券情報61aの一部が撮像されているために、表示面61の全体が撮像されていないと判定されると(ステップS105でNo)、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
一方、パスポート60が図7に示すような既定の位置にかざされており、撮像画像に含まれる旅券情報61aの位置が既定の位置であることから、表示面61の全体が撮像されていると、ステップS105にてYesと判定される。この場合には、ステップS107に示すように、画像取込処理が開始され、撮像部23により、保存用画像を撮像するための撮像処理が開始される。なお、上記ステップS105の判定処理を実行する制御部40は、「判定手段」の一例に相当し得る。
続いて、ステップS109に示すように、報知処理が開始され、パスポート60の静止を促す所定の報知がスピーカ44の発音状態を利用して開始される。ここで、発音状態を利用した報知としては、例えば、「パスポートを動かさないでください」との音声やビープ音等を採用することができる。なお、報知処理は、画像取込処理が開始されてから一定期間経過後(例えば、30ms経過後)に開始されてもよいし、画像取込処理が開始されると直ちに開始されてもよい。
その後、一定期間経過することで、画像取込処理が完了すると(S111)、ステップS113に示す保存処理がなされ、画像取込処理が完了することで得た保存用画像が通信インタフェース45を介して上位端末101に転送される。なお、保存処理は、保存用画像を上位端末101に転送することでなされることに限らず、例えば、保存用画像を保存手段として機能するメモリ35に記憶することでなされてもよく、上位端末101等の外部機器への転送とメモリ35への記憶との双方がなされてもよい。なお、上記ステップS105の処理を実行する制御部40、上位端末113は、「保存手段」の一例に相当し得る。
上記保存処理がなされると、上述のようにスピーカ44の発音状態を利用した所定の報知が終了する(S115)。このように、画像取込処理が完了するまで上記所定の報知が継続されることで、この所定の報知を受けた利用者は、撮像処理中でありパスポート60を動かすべき状態でないことを容易に認識することができる。そして、上記所定の報知が終了すると、利用者は、パスポート60の撮像が完了しているために、パスポート60を動かしてもよい状態であることを容易に認識することができる。なお、所定の報知は、保存処理がなされたことを受けて終了することに限らず、画像取込処理が完了したことを受けて終了してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、撮像部23により撮像された撮像画像に特定の文字フォーマットを利用した旅券情報61a(所定の情報)の全体が含まれているか否かに基づいて、当該撮像画像にパスポート60の表示面61の全体が含まれているか否かについて判定される。そして、撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定されると(S105でYes)、撮像部23により保存用画像を撮像するために撮像処理が開始され、スピーカ44によりこの撮像処理が開始されると所定の報知が開始されて当該撮像処理が完了すると当該所定の報知が終了する。そして、スピーカ44による所定の報知の開始後に、撮像部23にて撮像処理が完了することで得た画像を保存用画像として保存するために保存処理が行われる。
これにより、特定の文字フォーマットを利用した所定の情報が旅券情報61aとして表示されるパスポート60の表示面61を撮像する際、保存用画像を撮像するための撮像処理が開始されると、その撮像処理が終了するまでパスポート60の静止を促す所定の報知がスピーカ44を利用して行われるので、この所定の報知を受けた利用者は、撮像処理中でありパスポート60を動かすべき状態でないことを容易に認識することができる。このため、撮像処理中にもかかわらずパスポート60が利用者により動かされてしまうことを抑制することができる。したがって、特定の文字フォーマットを利用した所定の情報が表示されるパスポート60の表示面61をぶれ等を生じさせることなく撮像して保存することができる。
特に、報知手段として機能するスピーカ44の発音状態を利用して上記所定の報知を行うため、当該発音状態を聞いた利用者は、撮像処理中でありパスポート60を動かすべき状態でないことを確実に認識することができる。
そして、制御部40は、撮像部23により撮像された情報コードおよび文字情報を光学的に読み取る光学的情報読取手段としても機能するため、本実施形態に係る情報読取装置10を、撮像画像保存装置だけでなく情報コードや文字情報を読み取ることができる光学的情報読取装置として利用することができる。
なお、上記所定の報知を行う報知手段として、発音状態を利用するスピーカ44に代えて、他の報知可能な手段、例えば、各LEDの発光状態を利用する表示部43を採用してもよい。このように、表示部43の発光状態を利用して上記所定の報知を行うため、当該発光状態を見た利用者は、撮像処理中でありパスポート60を動かすべき状態でないことを確実に視認することができる。なお、表示部43は、上述した各LED43a,43bの発光状態を利用して上記所定の報知を行うことに限らず、別途設けられる専用のLEDの発光状態を利用して上記所定の報知を行ってもよい。
また、上記所定の報知を行う報知手段として、制御部40は、上位端末101等の外部機器への通知を利用して上記所定の報知を行ってもよい。この場合には、上記通知を受けた上位端末101等により上記所定の報知に対応する処理がなされることで、上位端末101等を介して報知を受けた利用者は、撮像処理中でありパスポート60を動かすべき状態でないことを確実に把握することができる。なお、上記通知を受けた上位端末101によりなされる処理としては、例えば、図1に例示するように、「パスポートを動かさないでください」等の画面表示を採用することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報読取装置について、図9〜図11を用いて説明する。
本第2実施形態では、撮像画像に旅券情報61aの一部が含まれており表示面61の全体が撮像されていないと判定されるとパスポート60の移動を促す情報が報知される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
上記第1実施形態における画像保存処理では、利用者がパスポート60の表示面61を読取口14にかざしているつもりでも、表示面61が読取口14に対してずれていると、表示面61の全体が撮像されていないと判定されることで、画像取込処理が開始されない場合がある。例えば、図10に例示するように、表示面61が読取口14からずれていることから、図11に例示するように、旅券情報61aの一部のみが含まれる撮像画像Paが撮像されたため、表示面61の全体が撮像されていないと判定されて、ステップS105にてNoと判定される。
そこで、本実施形態における画像保存処理では、撮像画像に旅券情報61a(特定文字)の一部が含まれていると判定される一方で表示面61の全体が撮像されていないと判定される場合には、読取口14に対する表示面61のずれを解消するため、パスポート60の移動を促す情報を報知する。
以下、本実施形態において、情報読取装置10の制御部40にて行われる画像保存処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に画像保存処理が開始され、図9に示すフローチャートのように、撮像画像に特定文字が含まれていると判定され(S103でYes)、表示面61の全体が撮像されていないと判定されると(S105でNo)、旅券情報61aの一部が含まれていると判定されて、ステップS117に示す移動促進報知処理がなされる。
この処理では、読取口14に対する表示面61のずれを解消するためにパスポート60の移動を促す情報がスピーカ44の発音状態を利用して報知される。ここで、発音状態を利用した報知としては、例えば、「パスポートをかざし直してください」との音声やビープ音等を採用することができる。また、表示部43が有するLEDの発光状態を利用してパスポート60の移動を促す情報が報知されてもよい。
さらに、上記移動促進報知処理では、例えば、撮像画像に占める旅券情報61a(特定文字)の位置に基づいて表示面61のずれを解消するためのパスポート60の移動方向を求めて、その移動方向をスピーカ44の発音状態や表示部43が有するLEDの発光状態を利用して報知してもよい。また、上記移動促進報知処理では、例えば、上位端末101への通知に応じて、この通知を受けた上位端末101に画面表示される情報を利用して、読取口14に対する表示面61のずれを解消するためにパスポート60の移動を促す情報を報知してもよい。ここで、上記通知を受けた上位端末101によりなされる処理としては、例えば、図12に例示するように、「パスポートをかざし直してください」等の画面表示を採用することができる。
そして、上述のようなパスポート60の移動を促す情報が報知された後、上記ステップS101からの処理がなされ、表示面61の全体が撮像されていると判定されるまで、パスポート60の移動を促す情報が報知される状態が継続される。そして、上記報知を受けた利用者によりかざし直されたパスポート60の表示面61の全体が適切に撮像されることで(S103、S105でYes)、画像取込処理が開始される(S107)。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、撮像部23により撮像された撮像画像に旅券情報61a(所定の情報)の全体が含まれておらず当該旅券情報61aの一部が含まれていると判定されると(S105でNo)、読取口14に対するパスポート60の表示面61の移動を促す情報が報知手段として機能するスピーカ44の発音状態等を利用して報知される(S117)。
これにより、上記報知を受けた利用者が、読取口14に対してパスポート60の表示面61を正しくかざしていないことを知得してその表示面61を正しい位置にかざすことで、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない状態を迅速に解消することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報読取装置について、図13を用いて説明する。
本第3実施形態では、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定されると上記移動促進報知処理がなされる点が主に上記第2実施形態と異なる。このため、第2実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
上記第2実施形態における画像保存処理では、撮像画像に特定文字が含まれている一方で表示面61の全体が含まれていない場合には、画像取込処理が開始されずに読取口14に対する表示面61の移動を促す情報が報知される。しかしながら、例えば、読取口14に対して表示面61をゆっくりかざしていると、かざしている途中であっても読取口14に対する表示面61の移動を促す情報が不要に報知されてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態における画像保存処理では、撮像画像に特定文字が含まれている状態で表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される場合に、上記ステップS117に示す移動促進報知処理を行う。
以下、本実施形態において、情報読取装置10の制御部40にて行われる画像保存処理について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第2実施形態と同様に画像保存処理が開始され、図13に示すフローチャートのように、撮像画像に特定文字が含まれていると判定され(S103でYes)、表示面61の全体が撮像されていないと判定されると(S105でNo)、旅券情報61aの一部が含まれていると判定されて、ステップS119に示す判定処理にて、通知フラグがONに設定されているか否かについて判定される。ここで、通知フラグは、上記移動促進報知処理を行う場合にONに設定されるフラグであり、初期設定として画像保存処理の開始時にはOFFに設定されている。このため、通知フラグがOFFに設定されていることからステップS119にてNoと判定されると、ステップS121にて通知フラグがONに設定される。
続いて、ステップS123の判定処理にて、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間To(例えば数秒)を経過しているか否かについて判定され、経過時間Tが所定時間Toを経過するまでNoとの判定が繰り返される。その後、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間Toを経過すると(S123でYes)、再度上記ステップS101からの処理がなされる。
そして、所定時間To経過後でも、表示面61の全体が撮像されていないと判定されると(S105でNo)、上述のように通知フラグがONに設定されていることから、ステップS119にてYesと判定されて、上記ステップS117に示す移動促進報知処理がなされる。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、撮像部23により撮像された撮像画像に旅券情報61a(所定の情報)の全体が含まれておらず当該旅券情報61aの一部が含まれていると判定された後(S105でNo)、所定時間経過後に再度撮像画像に旅券情報61aの全体が含まれておらず当該旅券情報61aの一部が含まれていると判定されると(S105でNo)、読取口14に対する表示面61の移動を促す情報が報知される(S117)。
これにより、例えば、撮像画像に旅券情報61aの一部のみが含まれていても上記所定時間Toが経過するまで報知がなされないため、読取口14に対して表示面61をかざしている途中に旅券情報61aの一部のみが撮像されるような場合にまで報知がなされることもないので、不要な報知を抑制することができる。
なお、上記画像保存処理において、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定されると上記移動促進報知処理を行う本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報読取装置について、図14及び図15を用いて説明する。
本第4実施形態では、上記画像保存処理において表示面61の全体が撮像されているか否かについて特定文字の全体が占める所定の範囲を利用して判定処理を行っている点が主に上記第1実施形態と異なる。
具体的には、図14に示すフローチャートのように、撮像画像に特定文字が含まれていると判定されると(S103でYes)、ステップS125に示す特定文字範囲設定処理がなされ、撮像画像において上記特定文字の全体が占める所定の範囲が特定文字範囲として設定される。
次に、ステップS127に示す判定処理にて、上述のように設定された特定文字範囲が撮像画像における特定の領域Sm内に含まれているか否かについて判定される。ここで、特定の領域Smは、図7に示すような適切なかざし状態にて読取口14に接触している表示面61の全体が撮像された撮像画像において、旅券情報61aの全体が占める特定文字範囲(図15の符号61c参照)に応じて設定されている。例えば、図15に例示する撮像画像Pbのように、画素数が1280×960のイメージセンサで読取口14に接触している状態の表示面61の全体を撮像したとき、特定の領域Smは、特定文字の向きを考慮して特定文字範囲61cを含めるように、縦175画素、横1215画素で構成される領域として設定される。
そして、図7に例示するように、表示面61が読取口14に適切にかざされていることで、特定文字範囲61cの全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていると、表示面61の全体が撮像されているとして、ステップS127にてYesと判定されて、上記ステップS107以降の処理がなされる。
一方、上述した図11に例示するように、表示面61が読取口14からずれて撮像されていると、特定文字範囲61cの全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていないと判定されて(S127でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、旅券情報61aの全体が占める特定文字範囲61cが撮像画像のうちの特定の領域Sm内に含まれる場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定される(S127でYes)。読取口14に対して表示面61を正しくかざしたときに撮像された撮像画像において旅券情報61aの全体が占める特定文字範囲61cの位置に応じて上記特定の領域Smを予め設定することで、旅券情報61aに関して判定基準となる領域が明確になり、上記判定精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、図16に例示する撮像画像Pcのように、パスポート60の表示面61が逆向きにかざされて撮像される場合でも、特定文字の向きを考慮することで、特定文字範囲61cを含めるように上記特定の領域Smを設定することができる。
また、表示面61の全体が撮像されているか否かについて特定文字の全体が占める所定の範囲を利用して判定処理を行う本実施形態の特徴的構成は、第2実施形態等の他の実施形態にも適用することができる。その際、第2実施形態において、撮像画像に特定文字が含まれていると判定された場合でも(図9のS103でYes)、撮像画像のうちの特定の領域Sm内に特定文字範囲61cが一部でも含まれない場合には、上記移動促進報知処理(S117)を行うことなく、上記ステップS101以降の処理を行ってもよい。すなわち、撮像画像のうちの特定の領域Sm内に特定文字範囲61cの全体が含まれておらず当該特定文字範囲61cの一部が含まれている場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれておらず当該表示面61の一部が含まれていると判定してもよい。このように、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない場合でも、特定の領域Sm内に特定文字範囲61cの一部が含まれている場合には、撮像画像に表示面61の一部が含まれていると判定することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報読取装置について、図17及び図18を用いて説明する。
本第5実施形態では、上記画像保存処理において表示面61の全体が撮像されているか否かについて特定文字範囲61cの大きさをも考慮して判定処理を行っている点が主に上記第4実施形態と異なる。
具体的には、図17に示すフローチャートのように、撮像画像に特定文字が含まれていると判定され(S103でYes)、ステップS125にて設定された特定文字範囲61cが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていると判定されると(S127でYes)、ステップS129に示す判定処理にて、上述のように設定された特定文字範囲61cの大きさが所定値以上であるか否かについて判定される。ここで、当該所定値は、読取口14に接触するようにかざされた表示面61の撮像画像において、旅券情報61aの全体が占める特定文字範囲61cの大きさに応じて設定される。例えば、大きさを比較するために幅寸法を利用する場合、上記所定値は、読取口14に接触するようにかざされた表示面61の撮像画像における特定文字範囲61cの幅に対して、85%程度に設定されている。
そして、図7に例示するように、表示面61が読取口14に接触した状態で撮像されていることで特定文字範囲の大きさが所定値以上であると判定されると(S129でYes)、正しい大きさにて撮像画像に表示面61の全体が含まれているとして、上記ステップS107以降の処理がなされる。
一方、特定文字範囲61cの全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていても、表示面61が読取口14から離れていることから、図18に例示するような撮像画像Pdが撮像されると、特定文字範囲の大きさ(幅Wm)が所定値未満となる。このような場合には、正しい大きさにて撮像画像に表示面61の全体が含まれていないとして、ステップS129にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理がなされる。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、旅券情報61aの全体が占める特定文字範囲61cが撮像画像のうちの特定の領域Sm内に含まれ、且つ、当該特定文字範囲61cの大きさが上記所定値以上となる場合に(S129でYes)、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定される。読取口14に対して表示面61を近づけている途中に撮像された撮像画像では、特定文字範囲61cが占める画像領域の大きさは、読取口14に対して表示面61を接触させた状態で撮像された撮像画像での大きさよりも小さくなる。このため、さらに、特定文字範囲61cが占める画像領域の大きさが所定値以上となる判定条件を追加することで、特定文字範囲61cが特定の領域Sm内に含まれている撮像状態であっても、読取口14に対して表示面61を近づけている途中に撮像された撮像画像が保存されることを抑制することができる。
なお、上記画像保存処理において表示面61の全体が撮像されているか否かについて特定文字範囲61cの大きさをも考慮して判定処理を行う本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る情報読取装置について、図19〜図21を用いて説明する。
本第6実施形態では、抽出された撮像画像の一部に所定の情報の全体が含まれている場合に、撮像画像に表示面全体が含まれていると判定する点が主に上記第4実施形態と異なる。このため、第4実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態における画像保存処理では、判定処理の迅速化を図るため、撮像部23にて撮像可能な撮像領域よりも狭い上記特定の領域Smに相当する撮像領域をまず取り込むことで、図20に例示するように、撮像画像の一部を上記特定の領域Smが含まれるように抽出し、この抽出された撮像画像の一部に旅券情報61aの全体が含まれているか否かについて判定する。
以下、本実施形態において、情報読取装置10の制御部40にて行われる画像保存処理について、図19に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に画像保存処理が開始されると、まず、図19のステップS101aに示す処理にて、上記特定の領域Smに相当する撮像領域が撮像画像の一部として取り込まれる。なお、この処理では、図16に例示するように逆向きにかざされた場合での特定の領域Smに相当する撮像領域も取り込むことができる。また、上記特定の領域Smに相当する撮像領域を撮像画像の一部として抽出する制御部40は、「第1抽出手段」の一例に相当し得る。
そして、この取り込まれた撮像画像の一部に特定文字の少なくとも一部が含まれていると(S103でYes)、この撮像画像の一部において上記特定文字の全体が占める所定の範囲が特定文字範囲として設定される(S125)。そして、図20に例示するように、特定文字範囲61cの全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていると(S127でYes)、上記ステップS107以降の処理がなされる。
一方、取り込まれた撮像画像の一部に特定文字の少なくとも一部が含まれているものの(S103でYes)、図21に例示するように、特定文字範囲61cの全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていない場合には(S127でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。
このように、本実施形態では、撮像部23により撮像された撮像画像の一部が上記特定の領域Smを含むように抽出され、この抽出された撮像画像の一部に旅券情報61aの全体が含まれている場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定される。これにより、撮像画像から上述のように抽出した一部を判定用の画像領域として限定することができ、撮像画像の全てについて所定の情報の全体が含まれているか否かを判定する場合と比較して、判定処理の迅速化を図ることができる。より具体的には、例えば、画像全体を取り込む時間(60fpsで16ms)よりも、一部を取り込む時間(全体の約1/5で3.2ms)が短くなり、検出失敗時に行う上記報知までの時間を短縮することができる。
なお、抽出された撮像画像の一部を判定用の画像領域とする本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。例えば、上記第5実施形態に適用する場合には、抽出された撮像画像の一部に旅券情報61aの全体が占める特定文字範囲61cが含まれ、且つ、当該特定文字範囲61cが占める画像領域の大きさが所定値以上となる場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定することができる。これにより、上記第1実施形態と同様に、読取口14に対して表示面61を近づけている途中に撮像された撮像画像が保存されることを抑制することができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る情報読取装置について、図22〜図25を用いて説明する。
本第7実施形態では、差込口に設けられるマーカを考慮して撮像画像に表示面全体が含まれているか否かについて判定する点が主に上記第2実施形態と異なる。このため、第2実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図22に例示するように、本実施形態に係る情報読取装置10aは、上述した情報読取装置10に対して、読取口14の近傍にパスポート60が差し込まれる差込口70を備えるように構成されている。この差込口70は、下方に位置する裏面(以下、対向面71ともいう)が撮像部23により撮像可能に読取口14に対向しており、この対向面71は、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口14にかざされるとき読取口14との間にパスポート60が介在するように位置する。
対向面71には、2つのマーカ72a,72bが互いに離れるように表示されている。このため、パスポート60が差込口70に差し込まれていない状態では、図23に例示するように、対向面71と2つのマーカ72a,72bとが撮像されることとなる。なお、マーカ72a,72bは、「第1の識別表示」の一例に相当し得るもので、撮像画像から認識しやすくするため、例えば、図23に例示するように、QRコードの位置検出パターンと同様に、暗、明、暗、明、暗の順番でその連続比率が1:1:3:1:1となるように構成することができる。
そして、制御部40にて行われる画像保存処理では、図24のステップS101に示す撮像処理がなされて読取口14を介した画像が撮像された後、ステップS201に示す判定処理にてその撮像画像に全てのマーカ72a,72bが含まれているか否かについて判定される。ここで、パスポート60が差込口70に差し込まれていないことから、撮像画像にマーカ72a,72bの双方が含まれている場合には、ステップS201にてYesと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
一方、パスポート60が差込口70に差し込まれている途中であることから、例えば、図25に例示するように、このパスポート60によりマーカ72aが隠されてマーカ72bが撮像画像に含まれていると、ステップS201にてNo、ステップS203にてYesと判定される。この場合には、上述したステップS117に示す移動促進報知処理がなされ、読取口14に対する表示面61の移動を促す情報を報知するための処理がなされる。
そして、パスポート60が差込口70に差し込まれることで、このパスポート60によりマーカ72aおよびマーカ72bの双方が隠されると、ステップS203にてNoと判定されて、上記第2実施形態と同様にステップS103からの処理がなされる。
このように、本実施形態では、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口14にかざされるとき読取口14との間にパスポート60が介在するように位置する対向面71が設けられ、この対向面71には、第1の識別表示としてマーカ72a,72bが表示される。そして、撮像部23により撮像された撮像画像においてマーカ72a,72bが含まれている場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。これにより、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口14にかざされているとマーカ72a,72bが撮像されなくなるため、マーカ72a,72bの撮像の有無を判定条件の一部とすることができ、上記判定精度を向上させることができる。
特に、対向面71は、表示面61を読取口14にかざす際にパスポート60を差し込む差込口70の一部を形成する。これにより、パスポート60を差込口70に差し込むように表示面61を読取口14にかざした場合にはパスポート60により対向面71が隠されてマーカ72a,72bが撮像されなくなるため、上記判定精度をさらに向上させることができる。
また、対向面71には、第1の識別表示として2つのマーカ72a,72bが互いに離れるように表示されており、撮像部23により撮像された撮像画像において2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれている場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。このように対向面71に表示される2つのマーカ72a,72bの撮像の有無を判定条件の一部とすることで、読取口14に対して表示面61をかざしている途中に2つのマーカ72a,72bの一部が撮像されなくなる場合でも当該撮像画像に表示面61の全体が含まれると判定されることもないので、上記判定精度をより向上させることができる。
さらに、撮像部23により撮像された撮像画像に2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれていることから、表示面61の全体が含まれていないと判定されると(S203でYes)、読取口14に対する表示面61の移動を促す情報が報知される(S117)。このようにしても、報知を受けた利用者が、読取口14に対して表示面61を正しくかざしていないことを知得して表示面61を正しい位置にかざすことで、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない状態を迅速に解消することができる。
なお、本実施形態の第1変形例として、上記第3実施形態と同等の効果を奏するため、撮像部23により撮像された撮像画像に2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれていることから、表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度撮像部23により撮像された撮像画像に2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれていることから、表示面61の全体が含まれていないと判定されることで、読取口14に対する表示面61の移動を促す情報が報知されてもよい。
図26は、第4実施形態の第2変形例において情報読取装置にて行われる画像保存処理の流れを例示するフローチャートである。
本実施形態の第2変形例として、上記第1実施形態と異なり、特定の文字フォーマットを利用した旅券情報61aを利用することなく、対向面71に表示される第1の識別表示を利用して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定してもよい。
具体的には、図26に示すフローチャートのように、ステップS101に示す撮像処理がなされて読取口14を介した画像が撮像された後、その撮像画像に全てのマーカ72a,72bが含まれていないことからステップS201にてNoと判定され、マーカ72aおよびマーカ72bの双方が隠されていることから、ステップS203にてNoと判定されると、上記ステップS107以降の処理がなされる。一方、撮像画像に全てのマーカ72a,72bが含まれておらず(S201でNo)、マーカ72aおよびマーカ72bの少なくとも一部が隠されて残部が撮像画像に含まれていると(S203でYes)、読取口14に対する表示面61の移動を促す情報を報知するため上述したステップS117に示す移動促進報知処理がなされる。
このようしても、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない場合にはその撮像画像が保存されないので、撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて従業員等が確認作業を行う必要も無い。特に、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口14にかざされていると2つのマーカ72a,72bが撮像されなくなるため、目的のパスポート60の表示面61を撮像しているか否かを容易に判定でき、その判定精度を高めることができる。したがって、旅券情報61aが表示される表示面61の撮像画像に対して確認作業を要することなく自動保存でき、撮像画像の保存に関する作業の自動化を図り易くすることができる。
なお、本実施形態及び変形例において、対向面71に設けられる第1の識別表示は、2つのマーカ72a,72bに限らず、1つのマーカであってもよいし3つ以上のマーカであってもよい。また、対向面71に設けられる第1の識別表示は、マーカ72a,72bのようにQRコードの位置検出パターンと同様に形成されることに限らず、撮像画像から認識しやすい形状であれば、矩形状や円形状、環状等の他の形状にて形成されてもよい。
なお、差込口70の対向面71に第1の識別表示として設けられるマーカ72a,72bを考慮して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定する本実施形態及び変形例の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る情報読取装置について、図27〜図29を用いて説明する。
本第8実施形態では、抽出された撮像画像の一部に第1の識別表示が含まれている場合に、撮像画像に表示面全体が含まれているか否かについて判定する点が主に上記第7実施形態と異なる。このため、第7実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態における画像保存処理では、判定処理の迅速化を図るため、表示面61が読取口14にかざされていない状態において撮像部23により撮像された撮像画像のうちマーカ72a,72bが含まれる領域を識別表示領域Saとするとき、撮像部23により撮像された撮像画像の一部を上記識別表示領域Saが含まれるように抽出し、この抽出された撮像画像の一部にマーカ72a,72bが含まれているか否かについて判定する。本実施形態では、図28に例示するように、対向面71に相当する撮像領域が識別表示領域Saとして設定される。
以下、本実施形態において、情報読取装置10aの制御部40にて行われる画像保存処理について、図27に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第7実施形態と同様に画像保存処理が開始されると、まず、図27のステップS101bに示す処理にて、識別表示領域Saを含むように撮像画像の一部が取り込まれる。また、識別表示領域Saを撮像画像の一部として抽出する制御部40は、「第2抽出手段」の一例に相当し得る。
そして、この取り込まれた撮像画像の一部に全てのマーカ72a,72bが含まれていないことからステップS201にてNoと判定され、マーカ72aおよびマーカ72bの双方が隠されていることから、ステップS203にてNoと判定されると、上記ステップS103からの処理がなされる。一方、図28に例示するように上記撮像画像の一部に全てのマーカ72a,72bが含まれている場合には(S201でYes)、上記ステップS101bからの処理が繰り返される。また、図29に例示するようにマーカ72aが隠されてマーカ72bが撮像画像に含まれていると(S201でNo,S203でYes)、上記ステップS117に示す移動促進報知処理がなされる。
このように、本実施形態では、撮像部23により撮像された撮像画像の一部が上記識別表示領域Saを含むように抽出され、この抽出された撮像画像の一部にマーカ72a,72bが含まれている場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。これにより、撮像画像から上述のように抽出した一部を判定用の画像領域として限定することができ、撮像画像の全てについてマーカ72a,72bが含まれているか否かを判定する場合と比較して、判定処理の迅速化を図ることができる。より具体的には、例えば、検出失敗時に行う上記報知までの時間を短縮することができる。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係る情報読取装置について、図30〜図32を用いて説明する。
本第9実施形態では、読取口14の近傍に設けられる接触センサの検出結果を考慮して撮像画像に表示面全体が含まれているか否かについて判定する点が主に上記第2実施形態と異なる。このため、第2実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図30に例示するように、本実施形態に係る情報読取装置10bは、上述した情報読取装置10に対して、保護プレート16上に4つの接触センサ75a〜75dが設けられるように構成されている。各接触センサ75a〜75dは、図7に示すような適切なかざし状態にて、パスポート60の表示面61の四隅近傍に接触するようにそれぞれ配置されており、その検出結果を制御部40に出力するように構成されている。このため、撮像画像に表示面61の外縁を除くほぼ全体が含まれるように表示面61が読取口14に接触していると、各接触センサ75a〜75dからの接触信号が制御部40に入力され、表示面61が読取口14に接触していない場合には、接触信号が制御部40に入力されない。すなわち、各接触センサ75a〜75dは、撮像画像に表示面61のほぼ全体が含まれるように表示面61が読取口14にかざされるときにパスポート60との接触を検出するように機能する。
そして、制御部40にて行われる画像保存処理では、図31のステップS101に示す撮像処理がなされて読取口14を介した画像が撮像された後、ステップS301に示す判定処理にて各接触センサ75a〜75dのうちの少なくとも一部から接触信号が入力されているか否かについて判定される。ここで、表示面61が読取口14に接触するようにパスポート60がかざされていない場合や、表示面61が読取口14から離れていることから、各接触センサ75a〜75dのいずれからも接触信号が入力されない場合には、ステップS301にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
一方、図32に例示するように、表示面61が読取口14に接触するようにパスポート60がかざされている途中であることから、各接触センサ75a〜75dのうちの一部(図32の例では、接触センサ75c,75d)から接触信号が入力されていると、ステップS301にてYes、ステップS303にてNoと判定されて、上記ステップS117に示す移動促進報知処理がなされる。すなわち、全ての接触センサ75a〜75dによりパスポート60との接触状態が検出されない場合には、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。なお、図32では、便宜上、パスポート60を二点鎖線にて図示している。
そして、図7に例示するように、表示面61の中央と読取口14の中央とがほぼ一致して表示面61と読取口14とが接触するようにパスポート60が適切にかざされることで、各接触センサ75a〜75dの全てから接触信号がそれぞれ入力されると、ステップS303にてYesと判定されて、上記第2実施形態と同様にステップS103からの処理がなされる。なお、上記ステップS101における撮像処理は、上記ステップS303の判定処理にてYesと判定された後に行うようにしてもよい。
このように、本実施形態では、撮像画像に表示面61のほぼ全体が含まれるように表示面61が読取口14にかざされるときにパスポート60との接触を検出する接触センサ75a〜75dが設けられている。そして、各接触センサ75a〜75dによりパスポート60との接触状態が検出されない場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。これにより、各接触センサ75a〜75dによる検出結果を判定条件の一部とすることができ、上記判定精度を向上させることができる。
特に、4つの接触センサ75a〜75dが読取口14に設けられており、各接触センサ75a〜75dの少なくとも一部によりパスポート60との接触状態が検出されない場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。このように複数の接触センサの検出結果を判定条件の一部とすることで、読取口14に対して表示面61をかざしている途中に複数の接触センサの一部にて接触が検出される場合でも当該撮像画像に表示面61の全体が含まれると判定されることもないので、上記判定精度をより向上させることができる。なお、読取口14に設けられる接触センサは、4つ設けられることに限らず、1つ〜3つ設けられてもよいし、5つ以上設けられてもよい。また、接触センサに代えて測距センサを設けることでパスポート60までの距離を測定し、この測定結果を、撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かを判定するための判定条件の一部としてもよい。
なお、読取口14に設けられる接触センサ等の検出結果を考慮して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、宿泊施設のチェックイン時に利用されることなく様々な用途に利用することができ、パスポート60の表示面61が撮像画像を保存する保存対象となることに限らず、例えば、特定の文字フォーマット等を利用して所定の情報が表示される運転免許証や領収書、名刺等の表示媒体の表示面であれば撮像画像を保存する保存対象とすることができる。
(2)本発明に係る撮像画像保存装置は、情報読取装置10,10a,10bのように撮像した光学的情報(情報コードや文字情報等)を光学的に読み取る機能を有するように構成されることに限らず、少なくとも読取面にかざされた表示媒体の表示面を撮像する撮像手段とその撮像画像を保存する保存手段、撮像処理中の表示媒体を動かすべき状態でないこと等を報知可能な報知手段等とを有するように構成されればよい。その際、撮像処理中の表示媒体を動かすべき状態でないこと等を報知可能な報知手段としては、上述したスピーカ44や表示部43、上位端末101等に限らず、他の報知可能な手段を採用することができる。