[第1実施形態]
以下、本発明に係る撮像画像保存装置を情報読取装置に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示す情報読取装置1は、机や棚などの上面を載置面としてこの載置面上に載置される据置型の装置であって、撮像した表示媒体の情報を読み取るだけでなく当該表示媒体の撮像画像を保存可能な撮像画像保存装置として構成されるものである。本実施形態では、特定の文字フォーマットを利用した所定の情報や情報コード等が表示面に表示される表示媒体を撮像対象としている。このため、情報読取装置1は、撮像した文字情報等を認識する公知の記号認識処理機能(OCR)や撮像した情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能など、撮像した光学的情報を光学的に読み取る機能(光学的情報読取手段)を有するように構成されている。
本実施形態では、特定の文字フォーマットを利用して所定の情報等が表示面に表示される表示媒体として、例えば、図10に例示するようなパスポート(旅券)60を想定している。パスポート60は、図10に示すように、国際民間航空機関(ICAO)が発行するDoc9303の規格に基づいて、顔写真が表示された身分事項のページ(以下、表示面61ともいう)の下欄となる決められた領域に、決められた特定の文字フォーマットを利用した旅券情報62が表示されている。そして、情報読取装置1が撮像画像保存装置として機能する場合には、表示面61が撮像された撮像画像を保存するための画像保存処理がなされる。なお、情報コードとしては、例えば、バーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コードなど複数種類のセルが配列されて構成される公知のコードを想定している。
まず、情報読取装置1の構成について詳述する。
情報読取装置1は、例えばABS樹脂等の樹脂材料によって構成されるケース3を備えている。このケース3は、図1等に示すように、上ケース4aと下ケース4bと備えており、これら上ケース4aと下ケース4bとが上下に組み付けられた構成で全体として箱状に形成されている。そして、ケース3の内部には、後述する反射部材29、結像部27、撮像部23、導光部材50などの各部品が収容されている。また、図2等に示すように、ケース3の上面部(読取側壁部3a)には光の出入口となる読取口5が形成されており、読取口5を介してケース外からの光がケース内に入り込み、ケース内からの光がケース外に放出されるようになっている。そして、反射部材29、結像部27、撮像部23によって構成される光学系は、この読取口5を介してケース外の表示媒体を撮像するように機能する。
また、箱状に構成されるケース3には、情報読取装置1を載置するときの載置面側(載置面F側)に設けられる底壁部3bと、読取口5が形成された読取側壁部3aとが対向して設けられている。そして、底壁部3bが載置面Fに支持されるように配置され、この底壁部3bと対向する読取側壁部3aが、表示媒体を翳す側の露出壁部として構成されている。なお、本構成では、底壁部3bと読取側壁部3aとの対向方向(即ち、ケース3の厚さ方向であり、図3に示す載置面Fと直交する方向)を上下方向とし、読取口5が形成された側(読取側壁部3a側)を上方側、それとは反対側(底壁部3b側)を下方側としている。また、この上下方向と直交する平面方向を水平方向としている。なお、プレート7の厚さ方向(即ち、プレート7の板面と直交する方向)も上下方向となっており、後述する第2視野範囲AR2の光軸L2の方向も上下方向となっている。
ケース3の上面側には、上ケース4aの上端部に形成された開口部4cを閉じる構成でプレート7が配置されている。このプレート7は、所定の厚さの平坦な板として構成され、ケース3の外部からの光が透過可能となる光透過性の部材(例えば、透明なアクリル樹脂や透明ガラス等)によって構成されている。このプレート7は、防塵プレートとして機能しており、このようなプレート7が上ケース4aに形成された開口部4cを閉塞することで、ケース3を閉塞し、ケース3の内部(特に、反射部材29、結像部27、撮像部23などが収容された収容空間)にケース外からの異物(塵や埃など)が入り込みにくくなっている。また、プレート7の上面部(ケース外に露出する側の板面部)を部分的に覆う構成で光遮光性の塗料などからなる被覆層8が形成されている。この被覆層8は、プレート7の周縁部に沿って環状に形成されており、この被覆層8の内縁部によって構成される開口部が読取口5となっている。なお、被覆層8は、読取口5がパスポート60の表示面61の大きさにほぼ一致するように形成することができる。
次に、情報読取装置1の電気的構成について説明する。図8に示すように、情報読取装置1は、主に、照明光源21、結像部27、撮像部23等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、図示しない電源部、電源スイッチ等の電源系とを備えている。
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光を照射可能な光源として機能するものであり、例えば、LEDなどによって構成されている。この照明光源21は、ケース3の長手方向一方側に配置される第1光源21a,21bと、ケース3の長手方向他方側に配置される第2光源21c,21dとを備えており、第1光源21a,21b及び第2光源21c,21dのそれぞれがLEDなどの投光素子として構成され、上下方向に対して横向きに照明光を照射する機能を有している。
また、図2〜図7で示すように、投光光学系は、照明光源21からの光を導く導光部材50を備えている。この導光部材50は、ケース3の内部において照明光源21からの照明光が照射される位置に配置され、照明光源21からの照明光が読取口5の開口領域γ(図3等参照)を通ってケース3の外部に照射されるように導く構成となっている。なお、導光部材50の詳細は後述する。
図8で示すように、受光光学系は、撮像部23、結像部27、反射部材29(図2、図3等)などによって構成されている。撮像部23は、例えばCCD素子やCMOS素子等の固体撮像素子(受光素子)が二次元的に配列された受光センサ(エリアセンサ)などによって撮像手段として構成されており、図3、図8等に示すように、結像部27に面する側にケース外からの光を受光し得る受光面23aが配置されている。この撮像部23は、反射部材29で反射された光が結像部27を通過して受光面23aに入り込もうとする入射光を受光し得るように基板に実装されている。そして、例えば、図8のように、パスポート60(表示媒体)の表示面61等が視野範囲内に配置されたとき(例えば、表示媒体における表示情報を表示する側の面が開口領域γ内においてプレート7に近接するように配置されたとき)、この表示面61等に照射されて反射した反射光Lr(図8参照)を受光する構成となっている。また、撮像部23は、受光面23aにおいて光を検出しうる領域(固体撮像素子が配置された領域)が「所定の受光領域」として設定されており、図3等では、撮像部23における受光領域の範囲を符号D1にて概念的に示している。即ち、受光面23aにおいて範囲D1に入射する光が撮像部23に検出されるようになっている。なお、図3等に示す例では、撮像部23における受光領域の範囲は、例えば受光面23aにおいて光軸L1を中心とする上下方向所定範囲となっており、且つ光軸L1を中心とする左右方向(幅方向:図2参照)所定範囲となっている。なお、図3等に示す例では、受光面23aが前後方向(図2参照)とほぼ直交して配置されている。
結像部27は、公知の結像レンズによって構成され、結像光学系として機能している。この結像部27は、撮像部23で撮像可能となる視野範囲を定めると共に、ケース3の外部から読取口5を通過して入り込んだ光(具体的には、当該入射光が反射部材29で反射した光)を撮像部23の受光領域に導く構成となっている。そして、結像部27は、ケース3の外部において視野範囲内に表示情報が配置されたときに当該表示情報の像を撮像部23の受光領域に結像させるように機能する。本構成では、照明光源21から照射され、導光部材50によってケース外に導かれた照明光を表示情報に当てながら当該表示情報を撮像し得るようになっており、結像部27は、表示情報が視野範囲内(撮像エリア内)に配置されたときに、この表示情報からの反射光Lrを集光し、撮像部23の受光面23aに表示情報の像を結像させるように構成されている。なお、結像部27としては、例えば、焦点距離が短く画角の広い広角レンズを好適に用いることができる。
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路34、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40等によって構成されており、例えば上述した光学系によって撮像された表示情報等の画像信号を信号処理するように構成されている。具体的には、視野範囲内に配置された表示情報等が撮像部23によって撮像されたときの撮像画像のデータをメモリ35に記憶可能に構成されており、制御回路40は、このような表示情報等の画像データを解析し、文字情報等であればOCR技術を用いて認識するように構成されている。また、制御回路40は、視野範囲内に配置された情報コードが撮像部23によって撮像された場合には、この情報コードのコード画像を解析することで光学的に読み取る情報コード読取手段として機能するように構成されている。すなわち、制御回路40は、撮像部23により撮像された情報コードおよび文字情報を光学的に読み取る光学的情報読取手段として機能する。
また、図8に示すように、制御回路40には、操作部42、スピーカ44、発光部46、通信インタフェース48が接続されている。操作部42は、ケース3の外面等に設けられる1または複数のキーを備えており、使用者のキー操作に応じて制御回路40に対して操作信号を与える構成をなしており、制御回路40は、操作部42から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。スピーカ44は、公知のスピーカ等によって発音部として構成されており、制御回路40からの動作信号に応じて、予め設定された音声やアラーム音等の各種通知音を発する構成をなしている。発光部46は、例えばLEDであって、読取側壁部3aの四隅等に配置されて、制御回路40からの信号に応じて点灯するように構成されている。通信インタフェース48は、後述する上位端末101などの外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御回路40と協働して通信処理を行う構成をなしている。
次に、情報読取装置1の特徴的構成について詳述する。
本構成では、ケース3の内部に反射部材29、結像部27、撮像部23、照明光源21、導光部材50が収容されている。以下では、これら反射部材29、結像部27、撮像部23、照明光源21、導光部材50等についてより詳細に説明する。
図3〜図5等に示すように、本構成では、ケース3の上面部(上壁部)として、板状且つ略矩形状(略長方形状)のプレート7が配置されており、このプレート7が読取側壁部3aに相当している。図2のように情報読取装置1を平面視したときのプレート7の長手方向中央部及び短手方向中央部には、略矩形状(略長方形状)の読取口5が形成されている。読取口5は、図2のように平面視したときに、当該読取口5の開口領域γ(図2に示す境界線P3の内側の領域であり、図3も参照)に反射部材29の反射領域(反射面の領域)が全て収まるようなサイズ及び位置で形成されている。即ち、図2に示す幅方向において、読取口5の幅方向一端部5aと幅方向他端部5bとの間に反射部材29の幅方向一端部と他端部が配置され、図2に示す前後方向において、読取口5の前後方向一端部5cと前後方向他端部5dとの間に反射部材29の前後方向一端部と他端部が配置されている。なお、読取口5の幅方向一端部5aと幅方向他端部5bの縁部は、いずれも前後方向に直線状に延びており、読取口5の前後方向一端部5cと前後方向他端部5dはいずれも幅方向(左右方向)に直線状に延びている。
図3〜図5等に示すように、ケース3の底壁部3bは、ケース3の下面部として板状に構成されており、情報読取装置1が載置面Fに載置されるときに、当該底壁部3bの下面側が載置面Fに支持される構成となっている。この底壁部3bは、厚さ方向を上下方向とする構成で外面(下面)の大部分が略平坦面として構成されている。そして、箱状に構成されるケース3の底として機能している。なお、読取側壁部3a(上面部)と底壁部(下面部)との間には、ケース3内の収容空間(反射部材29、結像部27、撮像部23などが収容される空間)の周囲を取り囲むように側壁部3cが設けられている。この側壁部3cは、幅方向両側に配置される一対の側壁(いずれも前後方向に延びる側壁)と、前後方向両側に配置される一対の側壁(いずれも幅方向に延びる側壁)とを備えており、これら四方の側壁が環状に連結して配置されている。このように環状に配置された側壁部3c(周壁部)の上側を部分的に閉塞する構成(具体的には、側壁部3cの上端部によって構成される開口部4cを閉塞する構成)で読取側壁部3a(上面部)に相当するプレート7が配置され、側壁部3cの下側全体を閉塞する構成で底壁部3b(下面部)が配置されている。
プレート7は、上ケース4aの上端部に形成された開口部を閉塞する構成で配置され、ケース3の上面部を構成しており、ケース3内部に収容される反射部材29、結像部27、導光部材50の上側を覆う構成で配置されている。そして、図2のように平面視したときには、プレート7の露出部分(図2で概念的に示す境界線P3の内側の領域である開口領域γ(図3)の部分)を介してケース内の反射部材29、結像部27、導光部材50が視認されるようになっている。プレート7は、例えば透明且つ平坦な板材として構成され、その板面(上面7a及び下面7b)と直交する方向が上下方向となるように略水平に配置されている。なお、プレート7は、透明部材の一例に相当し、被覆層8の内周部として構成される読取口5を閉塞するように機能する。つまり、読取口5は、光の出入りを許容する構成であるが、プレート7の閉塞によって水や埃等の侵入を許容しない構成となっている。
反射部材29は、例えばミラーとして構成され、ケース3の内部に収容され、ケース3の外部から読取口5を介して入り込む光を反射させるように機能する。この反射部材29は、反射面29a(鏡面)が斜め上側且つ前後方向一方側(反射面29aに対し結像部27側)を向く構成で配置されており、ケース3の上方側から読取口5を通って入り込んだ光を前後方向一方側に反射するように構成されている。より具体的には、反射面29aが平坦に構成され、この反射面29aが、上下方向及び前後方向と平行な仮想平面と直交するように配置されており、例えば上下方向と反射面29aとのなす角度が45°となっており、上下方向と平行に入り込んだ光を水平に反射するように配置されている。
また、反射部材29の反射面29a(上方側からの光を反射可能な鏡面領域であり、上方側に露出する面)の上端部29cは、上下方向においてプレート7寄りの位置に配置され、反射面29aの下端部29bは、上下方向において底壁部3b寄りに配置されている。また、反射部材29の反射面29aは、下端部29bの幅が最も狭く、上端部29cの幅が最も広くなるように、上方となるにつれて幅が広くなる構成となっている。
結像部27は、上述したように広角レンズとして機能する結像レンズによって構成され、図3、図5、図6等に示すようにプレート7から離れた位置に配置されている。この結像部27は、ケース3の外部から読取口5を通過して入り込み且つ反射部材29で反射した光を集光しつつ撮像部23の受光面23a(受光領域)に導く機能を有し、ケース3の内外において撮像部23で撮像可能となる視野範囲を定める構成となっている。具体的には、図3に示すように、視野範囲として、当該結像部27と反射部材29との間に構成される第1視野範囲AR1と、当該第1視野範囲AR1に続くように反射部材29から上方側に構成される第2視野範囲AR2とを定めている。つまり、この第1視野範囲AR1及び第2視野範囲AR2を撮像エリアとするように、視野範囲からの光を撮像部23の受光領域に向けて集光し結像させている。なお、第1視野範囲AR1は、結像部27によって集光されて直接撮像部23に撮像される視野範囲であり、第2視野範囲AR2は、反射部材29に映り込んだ画像が撮像部23に撮像される視野範囲である。このように構成される結像部27は、ケース3の外部に設定された第2視野範囲AR2内に表示情報が配置されたときに当該表示情報の像を撮像部23の受光領域に結像させるように機能している。
図3に示す第1視野範囲AR1は、結像部27と反射部材29との間の空間において撮像部23によって撮像される範囲であり、反射部材29の反射面29aに近づくにつれて徐々に広くなるように設定されている。また、第1視野範囲AR1の中心となる光軸L1は、水平方向(具体的には、前後方向)となっており、反射面29aとのなす角度が45°となっている。そして、図3のように、光軸L1を通り上下方向と平行な平面を切断面として情報読取装置1を切断した場合、当該切断面上において第1視野範囲AR1が上下に最も広がるようになっている。そして、図3に示す切断面(光軸L1を通り上下方向と平行な切断面)では、第1視野範囲AR1の下限の境界は、反射部材29の反射面29aに近づくにつれて低位置(下位置)となり、第1視野範囲AR1の上限の境界は、反射部材29の反射面29aに近づくにつれて高位置(上位置)となるように構成されている。そして、図3に示す切断面(図2に示すA−A位置の切断面であり、情報読取装置1を左右方向中心位置において左右方向と直交する方向に切断した切断面)において、第1視野範囲AR1の下限の境界が反射部材29の反射面29aに達した位置(その境界と反射面29aとが交わる位置)が第1視野範囲AR1の下端位置となっている。また、第1視野範囲AR1の上限の境界が反射部材29の反射面29aに達した位置(その境界と反射面29aとが交わる位置)が第1視野範囲AR1の上端位置となっている。
図3のように、本構成では、反射部材29の反射領域(反射面29aが露出した領域)が、少なくとも第1視野範囲AR1の下端に位置しており、第1視野範囲AR1の下端から上端まで続いている。つまり、反射部材29は、図3のような切断面において第1視野範囲AR1の上下方向全領域を網羅するように反射面29aが配置されている。例えば、図3に示す切断面において、反射領域(反射面29aの領域)の上端部29cは、第1視野範囲AR1の上端位置と同位置又は当該上端位置よりも上位置であり、反射領域(反射面29aの領域)の下端部29bは、第1視野範囲AR1の下端位置と同位置又は当該下端位置よりも下位置となっている。より具体的には、撮像部23の受光領域の全領域に反射面29aが映り込むように配置されている。つまり、第1視野範囲AR1の反射部材29側の境界は、全て反射面29a上の位置となっており、撮像部23は、反射面29aの周囲に隣接する部分(反射面29a以外の部分)を撮像せず、第2視野範囲AR2の全体を撮像し得るようになっている。
第2視野範囲AR2は、上述の第1視野範囲AR1に続くように反射部材29にて折り返された視野範囲であり、この第2視野範囲AR2に存在する物体等が反射部材29に映り、撮像部23によって撮像されるようになっている。逆に、第2視野範囲AR2の外側は、第1視野範囲AR1を除き、撮像部23に撮像されない。
本構成では、反射面29aが水平方向に対して例えば45度の角度で傾斜した構成となっている。そして、反射部材29に対し、前後方向一方側に結像部27が配置されており、第1視野範囲AR1の光軸L1が前後に延びる構成となっている。従って、第2視野範囲AR2の中心となる光軸L2は上下方向に延びている。そして、第1視野範囲AR1が反射部材29にて折り返された第2視野範囲AR2は、上方となるにつれて範囲が広くなるように設定されており、図3のような断面(光軸L1、L2を通る断面)では、上方となるにつれて第2視野範囲AR2が前後に広がるようになっている。
具体的には、光軸L2を中心として上方となるにつれて前後に範囲が広くなるように第2視野範囲AR2が設定されており、同様に、光軸L2を中心として上方となるにつれて左右に範囲が広くなるように第2視野範囲AR2が設定されている。なお、ケース外において第2視野範囲AR2を水平方向に切断した仮想面上での第2視野範囲AR2の境界形状は、例えば円形であってもよく、長方形、正方形等の矩形形状であってもよい。
そして、結像部27は、第2視野範囲AR2から外れた位置に配置されている。具体的には、第2視野範囲AR2の前後方向一方側の境界B1よりも前後方向一方側に外れた位置に結像部27が配置されている。このように結像部27の一部が第2視野範囲AR2に入り込まないように構成されているため、結像部27の一部が反射部材29に映り込んで撮像部23に撮像されてしまうことがなく、このような映り込みに起因する撮像エリアの縮小が抑えられている。また、図3のように、結像部27のレンズ部分は、反射部材29の反射面29aの領域(反射領域)の下端部29bよりも上位置に配置され、上端部29cよりも下位置に配置されている。更に、結像部27の前後方向の一端部(反射部材29側の端部)は、前後方向において、読取口5の前後方向他端部5dと光軸L2との間に配置されている。このように配置することで、結像部27の映り込みを防ぎつつ、読取口5の下方側の領域を生かすことができる。
また、図3に示すように、第1視野範囲AR1の中心となる光軸L1及び第2視野範囲AR2の中心となる光軸L2を通る平面を切断面とした断面において、第2視野範囲AR2の両境界B1、B2が読取口5の内周部寄りの位置(例えば、端部5d,5cの位置又は端部5d,5cに近い位置)を通る構成となっている。なお、図3の例では、第2視野範囲AR2の前後方向一方側の境界B1と前後方向他方側の境界B2とがいずれも、読取口5の内周部(端部5d,5c)よりも僅かに内側を通るようになっているが、これら境界B1、B2がいずれも内周部(端部5d,5c)を通る構成となっていてもよい。
次に、照明光源21について説明する。図2、図3、図5、図9に示すように、照明光源21は、上下方向と直交する平面方向において開口領域γ(図2に示す境界線P3の内側領域)の外側の位置に配置されている。なお、境界線P3は、平面方向における開口領域γの境界を概念的に示すものであり、実際は、読取口5の内縁が開口領域γの境界となる。照明光源21は、ケース3の長手方向一端寄り(幅方向一端寄り)に配置された第1光源21a,21bと、ケース3の長手方向他端寄り(幅方向他端寄り)に配置された第2光源21c,21dとを有している。これら第1光源21a,21b及び第2光源21c,21dはいずれも、プレート7の板面に形成された被覆層8の下方に配置されており、図5、図7のように、第1光源21a,21b及び第2光源21c,21dのいずれも、この被覆層8の下位置に配置される基板の下面側に実装されている。
図3、図5、図7に示すように、第1光源21a,21b及び第2光源21c,21dはいずれも、上下方向において、プレート7よりも下方位置且つ後述する導光部材50の上端位置付近に配置されており、図2のように、平面方向において開口領域γ(境界線P3の内側領域)から外側に離れた位置に配置されている。そして、第1光源21a,21b及び第2光源21c,21dのいずれも、上下方向と直交する横方向(水平方向)及び横方向に対して傾斜した斜め横方向に照明光が照射されるように開口領域γに近づく側に照明光を照射する構成となっている。
また、上下方向において照明光源21と読取口5の間の位置には、少なくとも照明光源21からの照明光の照射側において照明光源21の位置から平面方向に沿って読取口5側(第2視野範囲AR2側)に延びる構成の遮光部が配置されている。そして、これら遮光部により、各照明光源21から斜め上方側に向かおうとする照明光が遮られる構成となっている。これにより、各照明光源21からの光の多くは、水平方向及び斜め下方向に照射されることになる。このように構成されているため、各照明光源21からの光が直接使用者の目に入り込みにくく、且つ各照明光源21からの光を後述する導光部材50に効率的に当てやすくなる。
そして、これらの照明光源21による照明光の照射先には、導光部材50が配置されている。図9で例示されるように、導光部材50は、読取口5の開口領域γ(図9に示す境界線P3の内側領域)において、視野範囲の中心部P1を通る照明光の照度よりも、視野範囲内の周縁部寄りに定められた所定の高照度領域βを通る照明光の照度のほうが大きくなるように照明光を導く構成となっている。なお、図3、図9の例では、プレート7の上面の位置において読取口5の内縁部によって囲まれる領域(プレート7の上面において読取口5から露出する領域)が開口領域γに相当している。そして、図9の例では、この開口領域γにおいて視野範囲の周縁部に沿った環状領域が高照度領域βとなっており、この高照度領域βをハッチングで概念的に示している。
導光部材50は、照明光源21からの照明光を反射する複数の反射部51,52,53,54を備えている。これら反射部51,52,53,54はいずれも、第2視野範囲AR2側の面が、照明光源21からの照明光を反射する反射面として構成されている。そして、各反射部51,52,53,54の各反射面はいずれも、上下方向と直交する平面方向において、読取口5の開口領域γにおける視野範囲の中心部P1の位置(即ち、プレート7と光軸L2が交わる位置)に近づくにつれて下位置となる傾斜面として構成されている。なお、反射部51,52,53,54は、例えば、遮光性の部材によって構成されており、反射部51,52,53,54のいずれも、第2視野範囲AR2側の外面(即ち照明光を反射する反射面)が所定色(例えば、白色等の明色)であり、いずれも第2視野範囲AR2側の外面に入射する光を拡散反射させる構成となっている。そして、導光部材50全体が、視野範囲の外側において、第2視野範囲AR2に沿って配置されており、下方位置となるにつれて孔の大きさ(開口領域)が狭くなるすり鉢状の構造となっている。このように、導光部材50は、第2視野範囲AR2の外側において第2視野範囲AR2を囲む構成で環状に配置されており、且つ上端部50aが読取口5の内縁部に近接して配置されている。導光部材50の上端部50aは、第2視野範囲AR2を囲む環状の端部構造となっており、このように環状に構成される上端部50aのいずれも、読取口5の内縁部の直下近傍に位置し、上端部50aのいずれの位置も、開口領域γの中心部よりも周縁部のほうが近くなっている。また、上端部50aのいずれの位置も、開口領域γでの視野範囲αの中心部P1よりも周縁部(境界線P2付近)のほうが近くなっている。
なお、図2では、一方の第1反射部54の領域を二点鎖線J11で概念的に示し、他方の第1反射部53の領域を二点鎖線J12で概念的に示している。また、一方の第2反射部51の領域を二点鎖線J21で示し、他方の第2反射部52の領域を二点鎖線J22で示している。また、図9では、第1光源21aからの照明光の照射エリアを太線の破線で概念的に示しており、第1光源21bからの照明光の照射エリアを太線の実線で概念的に示しており、第2光源21cからの照明光の照射エリアを太線の二点鎖線で概念的に示しており、第2光源21dからの照明光の照射エリアを太線の一点鎖線で概念的に示している。
このように、第1光源21a,21b及び第2光源21c,21dから照射された照明光は、すり鉢状に構成された導光部材50の壁面(第1反射部53,54及び第2反射部51,52の第2視野範囲AR2側の外面)に照射されるため、図9のように平面視したときに、第1反射部53,54及び第2反射部51,52が全体的に明るく光ることになる。更に、図3、図4、図6のように、第1反射部53,54及び第2反射部51,52はいずれも、平面方向において視野範囲AR2の中心(光軸L2)側が下位置となる構成であり、光軸L2から遠い側が上位置となる構成となっている。このため、読取口5の開口領域γ(プレート7の上面において読取口5から露出する領域)において、この領域γ内の視野範囲α(図9において境界線P2に囲まれる領域)では、周縁部付近(境界線P2付近)に近い導光部材50の上端部50a付近(第1反射部53,54及び第2反射部51,52の上端部付近)からの反射光がその周縁部付近(境界線P2付近)に届きやすくなる。よって、開口領域γ内の視野範囲α(図9において境界線P2に囲まれる領域)では、当該視野範囲αの周縁部付近(境界線P2付近)の照度が当該視野範囲αの中心部P1付近の照度と比較して相対的に高くなる。一方、開口領域γにおける視野範囲αの中心部P1は、周縁部付近(境界線P2付近)と比較して第1反射部53,54及び第2反射部51,52からの距離が遠いため、第1反射部53,54及び第2反射部51,52で反射した照明光は、開口領域γにおいて視野範囲αの周縁部よりも中心部P1に届きにくくなる。よって、開口領域γ内の視野範囲α(図9において境界線P2に囲まれる領域)では、中心部P1付近の照度が周縁部付近(境界線P2付近)の照度と比較して相対的に低くなる。開口領域γでは、視野範囲αの中心部P1付近の照度よりも照度が高くなるように高照度領域βが構成されるため、開口領域γにおいてプレート7の上面に密着するように物体を配置した場合、この物体では、高照度領域βの位置の照度が相対的に大きく、中心部P1付近の照度が相対的に小さくなり、高照度領域βが中心部P1付近よりも相対的に明るくなる。
次に、本実施形態に係る情報読取装置1を撮像画像保存装置として利用する場合に制御回路40にてなされる画像保存処理について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
以下の例では、宿泊施設のカウンタ上に情報読取装置1がセルフチェックイン端末の一部として配置されており、チェックイン時に宿泊客等の利用者が自らパスポート60を情報読取装置1にかざす場合について説明する。
宿泊施設の従業員による操作等により情報読取装置1にて画像保存処理が開始されると、図11のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部23により読取口5を介した画像が撮像される。次に、ステップS103に示す判定処理にて撮像画像に上記特定の文字フォーマットを利用した文字(以下、単に特定文字ともいう)が含まれているか否かについて判定され、当該特定文字が含まれるまでNoとの判定がなされて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。なお、上記特定の文字フォーマットに関する情報は、判定用情報として予めメモリ35に記憶されているものとする。
そして、宿泊客等の利用者によりパスポート60の表示面61が読取面となる読取口5にかざされることで、旅券情報62の少なくとも一部が撮像されると、撮像画像に特定文字が含まれているとして、上記ステップS103にてYesと判定される。この場合には、ステップS105に示す特定文字範囲設定処理がなされ、撮像画像において上記特定文字の全体が占める所定の範囲が特定文字範囲として設定される。
次に、ステップS107に示す判定処理にて、上述のように設定された特定文字範囲が撮像画像における特定の領域内に含まれているか否かについて判定される。ここで、当該特定の領域は、表示面61の中央と読取口5の中央とがほぼ一致(表示面61の一縁と読取口5の一縁とがほぼ一致)するような適切なかざし状態にて読取口5に接触している表示面61の全体が撮像された撮像画像において、旅券情報62の全体が占める特定文字範囲(図12の符号63参照)に応じて設定されている。例えば、図12に例示する撮像画像Paのように、画素数が1280×960のイメージセンサで表示面61の全体を撮像したとき、上記特定の領域Smは、特定文字の向きを考慮して特定文字範囲63を含めるように、縦175画素、横1215画素で構成される領域として設定される。
そして、図13に例示するように、表示面61が読取口5に適切にかざされていることで、特定文字範囲(63)の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていると、撮像画像に特定文字の全体が含まれているとして、ステップS107にてYesと判定される。
この場合には、ステップS109に示す判定処理にて、上述のように設定された特定文字範囲の大きさが所定値以上であるか否かについて判定される。ここで、当該所定値は、読取口5に接触するようにかざされた表示面61の撮像画像において、旅券情報62の全体が占める特定文字範囲63の大きさに応じて設定される。例えば、大きさを比較するために幅寸法を利用する場合、上記所定値は、読取口5に接触するようにかざされた表示面61の撮像画像における特定文字範囲63の幅に対して、85%程度に設定されている。
そして、図13に例示するように、表示面61が読取口5に接触した状態で撮像されていることで特定文字範囲の大きさが所定値以上であると判定されると(S109でYes)、ステップS111に示す保存処理がなされ、上記ステップS101にて撮像された撮像画像がメモリ35に保存(記憶)される。すなわち、撮像画像に表示面61の全体が含まれているとして、その撮像画像が保存手段として機能するメモリ35に保存されて、本画像保存処理が終了する。なお、上記ステップS107,S109を実行する制御回路40は、「判定手段」の一例に相当し得る。
一方、図14(A)に例示するように、表示面61が読取口5からずれていることから、図15(A)に例示するような撮像画像Pbが撮像されたため、特定文字範囲の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていない場合には、撮像画像に特定文字の全体が含まれていないとして、ステップS107にてNoと判定される。また、特定文字範囲の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていても、図14(B)に例示するように、表示面61が読取口5から離れていることから、図15(B)に例示するような撮像画像Pcが撮像されると、特定文字範囲の大きさ(幅W)が所定値未満であるとして、ステップS109にてNoと判定される。
このような場合には、ステップS113に示す報知処理がなされ、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報を報知するための処理がなされる。この報知処理では、発光部46による発光状態やスピーカ44による発音状態等に応じて、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される。具体的には、例えば、撮像画像における特定文字範囲の位置から表示面61を移動させるべき方向を求めることで、発光部46を利用した報知では、読取側壁部3aの四隅に配置される発光部46のうち表示面61を移動させるべき方向に位置する発光部46のみを点滅等させて報知することができる。また、例えば、スピーカ44を利用した報知では、「パスポートを翳し直して下さい」等の音声を発音させて報知することができる。なお、スピーカ44を利用した報知では、表示面61を移動させるべき方向を含めて報知するようにしてもよい。このような報知がなされた後、再び上記ステップS101からの処理がなされ、かざし直されたパスポート60の表示面61の全体が適切に撮像されることで(S107、S109でYes)、その撮像画像がメモリ35に保存されて、本画像保存処理が終了する。なお、発光部46及びスピーカ44の少なくとも一方は、「第1報知手段」の一例に相当し得る。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置1では、撮像部23により撮像された撮像画像に特定の文字フォーマットを利用した旅券情報62の全体が含まれているか否かに基づいて、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定される。そして、撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定された撮像画像がメモリ35に保存される。
これにより、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない場合にはその撮像画像が保存されないので、撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて従業員等が確認作業を行う必要も無い。特に、特定の文字フォーマットを利用するので、目的のパスポート60の表示面61を撮像しているか否かを容易に判定でき、その判定精度を高めることができる。したがって、特定の文字フォーマットを利用した旅券情報62が表示される表示面61の撮像画像に対して確認作業を要することなく自動保存でき、撮像画像の保存に関する作業の自動化を図り易くすることができる。
また、撮像部23により撮像された撮像画像に旅券情報62の全体が含まれておらず旅券情報62の一部が含まれていることから、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定されると(S107でNo)、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が第1報知手段として機能する発光部46やスピーカ44等により報知される。また、表示面61が読取口5から離れていることから、撮像される特定文字範囲の大きさが所定値未満であると判定されても(S109でNo)、同様に発光部46やスピーカ44等により報知される。これにより、報知を受けた利用者が、読取口5に対して表示面61を正しくかざしていないことを知得して表示面61を正しい位置にかざすことで、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない状態を迅速に解消することができる。
さらに、第1報知手段として、発光部46による発光状態及びスピーカ44による発音状態の少なくとも一方を利用して視覚的、聴覚的に報知するため、報知を受けた利用者は、読取口5に対して表示面61を正しくかざしていないことを容易に知得することができる。
特に、旅券情報62の全体が占める特定文字範囲63が撮像画像のうちの特定の領域Sm内に含まれる場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定される。読取口5に対して表示面61を正しくかざしたときに撮像された撮像画像において旅券情報62の全体が占める特定文字範囲63の位置に応じて上記特定の領域Smを予め設定することで、旅券情報62に関して判定基準となる領域が明確になり、上記判定精度を向上させることができる。
さらに、撮像部23により撮像された撮像画像において、旅券情報62の全体が占める特定文字範囲63が特定の領域Sm内に含まれ、且つ、当該特定文字範囲63が占める画像領域の大きさが上記所定値以上となる場合に(S109でYes)、撮像画像に表示面61の全体が含まれているとして当該撮像画像が保存される。図15(B)に例示するように、読取口5に対して表示面61を近づけている途中に撮像された撮像画像では、特定文字範囲63が占める画像領域の大きさ(幅W)は、読取口5に対して表示面61を接触させた状態で撮像された撮像画像での大きさよりも小さくなる。このため、さらに、特定文字範囲63が占める画像領域の大きさが所定値以上となる判定条件を追加することで、特定文字範囲63が特定の領域Sm内に含まれている撮像状態であっても、読取口5に対して表示面61を近づけている途中に撮像された撮像画像が保存されることを抑制することができる。
そして、制御回路40は、撮像部23により撮像された情報コードおよび文字情報を光学的に読み取る光学的情報読取手段としても機能するため、本実施形態に係る情報読取装置1を、撮像画像保存装置だけでなく情報コードや文字情報を読み取ることができる光学的情報読取装置として利用することができる。
なお、本実施形態では、図16に例示するようにパスポート60の表示面61が逆向きにかざされる場合でも、特定文字の向きを考慮することで、特定文字範囲63を含めるように上記特定の領域Smを設定することができる。
また、メモリ35に保存される撮像画像は、通信インタフェース48を介して外部機器に送信されてもよいし、別途設けられるUSBポートやSDカード、メモリカード等の外部記憶装置を接続可能なポートを利用して外部記憶装置に保存されてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報読取装置について、図17を用いて説明する。
本第2実施形態では、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面全体が含まれていないと判定されると報知処理がなされる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
上記第1実施形態における画像保存処理では、撮像画像に特定文字が含まれている一方で表示面61の全体が含まれていない場合には、その撮像画像が保存されずに読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される。しかしながら、例えば、読取口5に対して表示面61をゆっくりかざしていると、かざしている途中であっても読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が不要に報知されてしまう可能性が有る。
そこで、本実施形態における画像保存処理では、撮像画像に特定文字が含まれている状態で表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される場合に、上記ステップS113に示す報知処理を行う。
以下、本実施形態において、情報読取装置1の制御回路40にて行われる画像保存処理について、図17に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に画像保存処理が開始され、図17に示すフローチャートのように、旅券情報62の少なくとも一部が撮像されており(S103でYes)、撮像画像に特定文字の全体が含まれていない場合(S107でNo)又は特定文字範囲の大きさが所定値未満である場合(S109でNo)には、ステップS115に示す判定処理にて、通知フラグがONに設定されているか否かについて判定される。ここで、通知フラグは、上記報知処理を行う場合にONに設定されるフラグであり、初期設定として画像保存処理の開始時にはOFFに設定されている。このため、通知フラグがOFFに設定されていることからステップS115にてNoと判定されると、ステップS117にて通知フラグがONに設定される。
続いて、ステップS119の判定処理にて、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間To(例えば数秒)を経過しているか否かについて判定され、経過時間Tが所定時間Toを経過するまでNoとの判定が繰り返される。その後、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間Toを経過すると(S119でYes)、再度上記ステップS101からの処理がなされる。
そして、所定時間To経過後でも、撮像画像に特定文字の全体が含まれていない場合(S107でNo)又は特定文字範囲の大きさが所定値未満である場合(S109でNo)には、ステップS115にてYesと判定されて、上記ステップS113に示す報知処理がなされる。
このように、本実施形態では、撮像部23により撮像された撮像画像に旅券情報62の全体が含まれておらず当該旅券情報62の一部が含まれていることから、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定された後(S107でNo)、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定されると(S107でNo)、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される。また、表示面61が読取口5から離れていることから、撮像される特定文字範囲の大きさが所定値未満であると判定された後(S109でNo)、所定時間経過後に再度撮像された撮像画像において特定文字範囲の大きさが所定値未満であると判定されても(S109でNo)、同様に報知される。これにより、例えば、撮像画像に旅券情報62の一部のみが含まれていても上記所定時間Toが経過するまで報知がなされないため、読取口5に対して表示面61をかざしている途中に所定の情報の一部のみが撮像されるような場合にまで報知がなされることもないので、不要な報知を抑制することができる。
なお、本実施形態の変形例として、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される状態又は特定文字範囲の大きさが所定値未満であると判定される状態が所定時間継続する場合に、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報を報知してもよい。このようにしても、例えば、撮像画像に旅券情報62の一部のみが含まれていてもその状態が上記所定時間継続するまで上記報知がなされないため、読取口5に対して表示面61をかざしている途中に旅券情報62の一部のみが撮像されるような場合にまで報知がなされることもないので、不要な報知を抑制することができる。
なお、所定時間経過後に再度撮像画像に表示面全体が含まれていないと判定されると報知処理がなされる本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報読取装置について、図18〜図20を用いて説明する。
本第3実施形態では、抽出された撮像画像の一部に所定の情報の全体が含まれている場合に、撮像画像に表示面全体が含まれていると判定する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態における画像保存処理では、判定処理の迅速化を図るため、撮像部23にて撮像可能な撮像領域よりも狭い上記特定の領域Smに相当する撮像領域をまず取り込むことで、図19に例示するように、撮像画像の一部を上記特定の領域Smが含まれるように抽出し、この抽出された撮像画像の一部に旅券情報62の全体が含まれているか否かについて判定する。
以下、本実施形態において、情報読取装置1の制御回路40にて行われる画像保存処理について、図18に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に画像保存処理が開始されると、まず、図18のステップS101aに示す処理にて、上記特定の領域Smに相当する撮像領域が撮像画像の一部として取り込まれる。なお、この処理では、図16に例示するように逆向きにかざされた場合での特定の領域Smに相当する撮像領域も取り込むことができる。また、上記特定の領域Smに相当する撮像領域を撮像画像の一部として抽出する制御回路40は、「第1抽出手段」の一例に相当し得る。
そして、この取り込まれた撮像画像の一部に特定文字の少なくとも一部が含まれていると(S103でYes)、この撮像画像の一部において上記特定文字の全体が占める所定の範囲が特定文字範囲として設定される(S105)。そして、図19に例示するように、特定文字範囲の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれており(S107でYes)、且つ、特定文字範囲の大きさが所定値以上であると(S109でYes)、撮像部23を利用して画像全体が取り込まれ(S121)、この取り込まれた画像全体がメモリ35に保存されて、本画像保存処理が終了する。
一方、取り込まれた撮像画像の一部に特定文字の少なくとも一部が含まれているものの(S103でYes)、図20に例示するように特定文字範囲の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれていない場合や(S107でNo)、特定文字範囲の大きさが所定値未満である場合には(S109でNo)、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される(S113)。
このように、本実施形態では、撮像部23により撮像された撮像画像の一部が上記特定の領域Smを含むように抽出され、この抽出された撮像画像の一部に旅券情報62の全体が含まれている場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定される。これにより、撮像画像から上述のように抽出した一部を判定用の画像領域として限定することができ、撮像画像の全てについて所定の情報の全体が含まれているか否かを判定する場合と比較して、判定処理の迅速化を図ることができる。より具体的には、例えば、画像全体を取り込む時間(60fpsで16ms)よりも、一部を取り込む時間(全体の約1/5で3.2ms)が短くなり、検出失敗時に行う上記報知までの時間を短縮することができる。
特に、抽出された撮像画像の一部に旅券情報62の全体が含まれ、且つ、当該旅券情報62の全体が占める画像領域の大きさが所定値以上となる場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定される。これにより、上記第1実施形態と同様に、読取口5に対して表示面61を近づけている途中に撮像された撮像画像が保存されることを抑制することができる。
なお、抽出された撮像画像の一部を判定用の画像領域とする本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報読取装置について、図21〜図23を用いて説明する。
本第4実施形態では、差込口に設けられるマーカを考慮して撮像画像に表示面全体が含まれているか否かについて判定する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図21に例示するように、本実施形態に係る情報読取装置1aは、上述した情報読取装置1に対して、読取口5の近傍にパスポート60が差し込まれる差込口70を備えるように構成されている。この差込口70は、下方に位置する裏面(以下、対向面71ともいう)が撮像部23により撮像可能に読取口5に対向しており、この対向面71は、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされるとき読取口5との間にパスポート60が介在するように位置する。
対向面71には、2つのマーカ72a,72bが互いに離れるように表示されている。このため、パスポート60が差込口70に差し込まれていない状態では、図22に例示するように、対向面71と2つのマーカ72a,72bとが撮像されることとなる。なお、マーカ72a,72bは、「第1の識別表示」の一例に相当し得るもので、撮像画像から認識しやすくするため、例えば、図22に例示するように、QRコードの位置検出パターンと同様に、暗、明、暗、明、暗の順番でその連続比率が1:1:3:1:1となるように構成することができる。
そして、制御回路40にて行われる画像保存処理では、図23のステップS101に示す撮像処理がなされて読取口5を介した画像が撮像された後、ステップS201に示す判定処理にてその撮像画像に全てのマーカ72a,72bが含まれているか否かについて判定される。ここで、パスポート60が差込口70に差し込まれていないことから、撮像画像にマーカ72a,72bの双方が含まれている場合には、ステップS201にてYesと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
一方、パスポート60が差込口70に差し込まれている途中であることから、例えば、図24に例示するように、このパスポート60によりマーカ72aが隠されてマーカ72bが撮像画像に含まれていると、ステップS201にてNo、ステップS203にてYesと判定される。この場合には、ステップS205に示す報知処理がなされ、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報を報知するための処理がなされる。この報知処理では、上記ステップS113の報知処理と同様に、発光部46による発光状態やスピーカ44による発音状態等に応じて、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される。なお、発光部46及びスピーカ44の少なくとも一方は、「第2報知手段」の一例に相当し得る。
そして、パスポート60が差込口70に差し込まれることで、このパスポート60によりマーカ72aおよびマーカ72bの双方が隠されると、ステップS203にてNoと判定されて、上記第1実施形態と同様にステップS103からの処理がなされる。
このように、本実施形態では、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされるとき読取口5との間にパスポート60が介在するように位置する対向面71が設けられ、この対向面71には、第1の識別表示としてマーカ72a,72bが表示される。そして、撮像部23により撮像された撮像画像においてマーカ72a,72bが含まれている場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。これにより、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされているとマーカ72a,72bが撮像されなくなるため、マーカ72a,72bの撮像の有無を判定条件の一部とすることができ、上記判定精度を向上させることができる。
特に、対向面71は、表示面61を読取口5にかざす際にパスポート60を差し込む差込口70の一部を形成する。これにより、パスポート60を差込口70に差し込むように表示面61を読取口5にかざした場合にはパスポート60により対向面71が隠されてマーカ72a,72bが撮像されなくなるため、上記判定精度をさらに向上させることができる。
また、対向面71には、第1の識別表示として2つのマーカ72a,72bが互いに離れるように表示されており、撮像部23により撮像された撮像画像において2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれている場合に、当該撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。このように対向面71に表示される2つのマーカ72a,72bの撮像の有無を判定条件の一部とすることで、読取口5に対して表示面61をかざしている途中に2つのマーカ72a,72bの一部が撮像されなくなる場合でも当該撮像画像に表示面61の全体が含まれると判定されることもないので、上記判定精度をより向上させることができる。
さらに、撮像部23により撮像された撮像画像に2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれていることから、表示面61の全体が含まれていないと判定されると(S203でYes)、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される(S205)。このようにしても、報知を受けた利用者が、読取口5に対して表示面61を正しくかざしていないことを知得して表示面61を正しい位置にかざすことで、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない状態を迅速に解消することができる。
また、第2報知手段として、発光部46による発光状態及びスピーカ44による発音状態の少なくとも一方を利用して視覚的、聴覚的に報知するため、報知を受けた利用者は、読取口5に対して表示面61を正しくかざしていないことを容易に知得することができる。
図25は、第4実施形態の第1変形例において情報読取装置にて行われる画像保存処理の流れを例示するフローチャートである。
本実施形態の第1変形例として、上記第2実施形態と同様に、撮像部23により撮像された撮像画像に2つのマーカ72a,72bの少なくとも一部が含まれていることから、表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度表示面61の全体が含まれていないと判定されると、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知されてもよい。
具体的には、図25に示すフローチャートのように、全てのマーカ72a,72bが撮像されておらず(S201でNo)、マーカ72aおよびマーカ72bの少なくとも一部が隠されて残部が撮像画像に含まれていると(S203でYes)、ステップS207に示す判定処理にて、通知フラグがONに設定されているか否かについて判定される。初期設定として画像保存処理の開始時にはOFFに設定されていることからステップS207にてNoと判定されると、ステップS209にて通知フラグがONに設定される。続いて、ステップS211の判定処理にて、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間Toを経過しているか否かについて判定され、経過時間Tが所定時間Toを経過するまでNoとの判定が繰り返される。その後、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間Toを経過すると(S211でYes)、再度上記ステップS101からの処理がなされる。そして、所定時間To経過後でも、マーカ72aおよびマーカ72bの少なくとも一部が隠されて残部が撮像画像に含まれていると(S203でYes)、通知フラグがONに設定されているためにステップS207にてYesと判定されて、上記ステップS205に示す報知処理がなされる。
これにより、撮像画像に2つのマーカ72a,72bの一部が含まれていても上記所定時間が経過するまで上記報知がなされないため、読取口5に対して表示面61をかざしている途中に2つのマーカ72a,72bの一部が撮像されるような場合にまで報知がなされることもないので、不要な報知を抑制することができる。
図26は、第4実施形態の第2変形例において情報読取装置にて行われる画像保存処理の流れを例示するフローチャートである。
本実施形態の第2変形例として、上記第1実施形態と異なり、特定の文字フォーマットを利用した旅券情報62を利用することなく、対向面71に表示される第1の識別表示を利用して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定してもよい。
具体的には、図26に示すフローチャートのように、ステップS101に示す撮像処理がなされて読取口5を介した画像が撮像された後、その撮像画像に全てのマーカ72a,72bが含まれていないことからステップS201にてNoと判定され、マーカ72aおよびマーカ72bの双方が隠されていることから、ステップS203にてNoと判定されると、上記ステップS101にて撮像された撮像画像がメモリ35に保存(記憶)される(S111)。一方、撮像画像に全てのマーカ72a,72bが含まれておらず(S201でNo)、マーカ72aおよびマーカ72bの少なくとも一部が隠されて残部が撮像画像に含まれていると(S203でYes)、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報を報知するための処理がなされる(S205)。
このようしても、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない場合にはその撮像画像が保存されないので、撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて従業員等が確認作業を行う必要も無い。特に、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされていると2つのマーカ72a,72bが撮像されなくなるため、目的のパスポート60の表示面61を撮像しているか否かを容易に判定でき、その判定精度を高めることができる。したがって、旅券情報62が表示される表示面61の撮像画像に対して確認作業を要することなく自動保存でき、撮像画像の保存に関する作業の自動化を図り易くすることができる。
なお、本実施形態及び変形例において、対向面71に設けられる第1の識別表示は、2つのマーカ72a,72bに限らず、1つのマーカであってもよいし3つ以上のマーカであってもよい。また、対向面71に設けられる第1の識別表示は、マーカ72a,72bのようにQRコードの位置検出パターンと同様に形成されることに限らず、撮像画像から認識しやすい形状であれば、矩形状や円形状、環状等の他の形状にて形成されてもよい。
なお、差込口70の対向面71に第1の識別表示として設けられるマーカ72a,72bを考慮して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定する本実施形態及び変形例の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報読取装置について、図27〜図29を用いて説明する。
本第5実施形態では、抽出された撮像画像の一部に第1の識別表示が含まれている場合に、撮像画像に表示面全体が含まれているか否かについて判定する点が主に上記第4実施形態と異なる。このため、第4実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態における画像保存処理では、判定処理の迅速化を図るため、表示面61が読取口5にかざされていない状態において撮像部23により撮像された撮像画像のうちマーカ72a,72bが含まれる領域を識別表示領域Saとするとき、撮像部23により撮像された撮像画像の一部を上記識別表示領域Saが含まれるように抽出し、この抽出された撮像画像の一部にマーカ72a,72bが含まれているか否かについて判定する。本実施形態では、図28に例示するように、対向面71に相当する撮像領域が識別表示領域Saとして設定される。
以下、本実施形態において、情報読取装置1aの制御回路40にて行われる画像保存処理について、図27に示すフローチャートを参照して説明する。
上記第4実施形態と同様に画像保存処理が開始されると、まず、図27のステップS101aに示す処理にて、識別表示領域Saを含むように撮像画像の一部が取り込まれる。また、識別表示領域Saを撮像画像の一部として抽出する制御回路40は、「第2抽出手段」の一例に相当し得る。
そして、この取り込まれた撮像画像の一部に全てのマーカ72a,72bが含まれていないことからステップS201にてNoと判定され、マーカ72aおよびマーカ72bの双方が隠されていることから、ステップS203にてNoと判定されると、撮像部23を利用して画像全体が取り込まれ(S121)、この取り込まれた画像全体に対してステップS103以降の処理がなされる。一方、図28に例示するように上記撮像画像の一部に全てのマーカ72a,72bが含まれているか(S201でYes)、図29に例示するようにマーカ72aが隠されてマーカ72bが撮像画像に含まれていると(S203でYes)、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定されて、ステップS121以降の処理がなされることなく、ステップS101aからの処理がなされる。
このように、本実施形態では、撮像部23により撮像された撮像画像の一部が上記識別表示領域Saを含むように抽出され、この抽出された撮像画像の一部にマーカ72a,72bが含まれている場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。これにより、撮像画像から上述のように抽出した一部を判定用の画像領域として限定することができ、撮像画像の全てについてマーカ72a,72bが含まれているか否かを判定する場合と比較して、判定処理の迅速化を図ることができる。より具体的には、例えば、検出失敗時に行う上記報知までの時間を短縮することができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る情報読取装置について、図30〜図33を用いて説明する。
本第6実施形態では、読取口5の近傍に設けられる接触センサの検出結果を考慮して撮像画像に表示面全体が含まれているか否かについて判定する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図30に例示するように、本実施形態に係る情報読取装置1bは、上述した情報読取装置1に対して、読取側壁部3aに4つの接触センサ75a〜75dが設けられるように構成されている。各接触センサ75a〜75dは、表示面61の中央と読取口5の中央とがほぼ一致(表示面61の一縁と読取口5の一縁とがほぼ一致)して表示面61と読取口5とが接触するような適切なかざし状態にて、パスポート60の外縁に接触するように読取口5の近傍となる四隅にそれぞれ配置されており、その検出結果を制御回路40に出力するように構成されている。このため、撮像画像に表示面61の外縁を除くほぼ全体が含まれるように表示面61が読取口5に接触していると、各接触センサ75a〜75dからの接触信号が制御回路40に入力され、表示面61が読取口5に接触していない場合には、接触信号が制御回路40に入力されない。すなわち、各接触センサ75a〜75dは、撮像画像に表示面61のほぼ全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされるときにパスポート60との接触を検出するように機能する。
そして、制御回路40にて行われる画像保存処理では、図31のステップS101に示す撮像処理がなされて読取口5を介した画像が撮像された後、ステップS301に示す判定処理にて各接触センサ75a〜75dのうちの少なくとも一部から接触信号が入力されているか否かについて判定される。ここで、表示面61が読取口5に接触するようにパスポート60がかざされていない場合や、図32(A)に例示するように表示面61が読取口5から離れていることから、各接触センサ75a〜75dのいずれからも接触信号が入力されない場合には、ステップS301にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
一方、図32(B)に例示するように、表示面61が読取口5に接触するようにパスポート60がかざされている途中であることから、各接触センサ75a〜75dのうちの一部(図32(B)の例では、接触センサ75c,75d)から接触信号が入力されていると、ステップS301にてYes、ステップS303にてNoと判定される。この場合には、ステップS305に示す報知処理がなされ、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報を報知するための処理がなされる。この報知処理では、上記ステップS113の報知処理と同様に、発光部46による発光状態やスピーカ44による発音状態等に応じて、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知される。すなわち、各接触センサ75a〜75dによりパスポート60との接触状態が検出されない場合には、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。
そして、図33に例示するように、表示面61の中央と読取口5の中央とがほぼ一致して表示面61と読取口5とが接触するようにパスポート60が適切にかざされることで、各接触センサ75a〜75dの全てから接触信号がそれぞれ入力されると、ステップS303にてYesと判定されて、上記第1実施形態と同様にステップS103からの処理がなされる。なお、上記ステップS101における撮像処理は、上記ステップS303の判定処理にてYesと判定された後に行うようにしてもよい。
このように、本実施形態では、撮像画像に表示面61のほぼ全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされるときにパスポート60との接触を検出する接触センサ75a〜75dが設けられている。そして、各接触センサ75a〜75dによりパスポート60との接触状態が検出されない場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。これにより、各接触センサ75a〜75dによる検出結果を判定条件の一部とすることができ、上記判定精度を向上させることができる。
特に、4つの接触センサ75a〜75dが読取口5の近傍に設けられており、各接触センサ75a〜75dの少なくとも一部によりパスポート60との接触状態が検出されない場合に、撮像画像に表示面61の全体が含まれていないと判定される。このように複数の接触センサの検出結果を判定条件の一部とすることで、読取口5に対して表示面61をかざしている途中に複数の接触センサの一部にて接触が検出される場合でも当該撮像画像に表示面61の全体が含まれると判定されることもないので、上記判定精度をより向上させることができる。なお、読取口5の近傍に設けられる接触センサは、4つ設けられることに限らず、1つ〜3つ設けられてもよいし、5つ以上設けられてもよい。また、接触センサに代えて測距センサを設けることでパスポート60までの距離を測定し、この測定結果を、撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かを判定するための判定条件の一部としてもよい。
図34は、第6実施形態の第1変形例において情報読取装置にて行われる画像保存処理の流れを例示するフローチャートである。
本実施形態の第1変形例として、上記第2実施形態と同様に、各接触センサ75a〜75dのうちの一部から接触信号が入力されていることから、表示面61の全体が含まれていないと判定された後、所定時間経過後に再度表示面61の全体が含まれていないと判定されると、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報が報知されてもよい。
具体的には、図34に示すフローチャートのように、各接触センサ75a〜75dのうちの一部から接触信号が入力されていると(S301でYes,S303でNo)、ステップS307に示す判定処理にて、通知フラグがONに設定されているか否かについて判定される。初期設定として画像保存処理の開始時にはOFFに設定されていることからステップS307にてNoと判定されると、ステップS309にて通知フラグがONに設定される。続いて、ステップS311の判定処理にて、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間Toを経過しているか否かについて判定され、経過時間Tが所定時間Toを経過するまでNoとの判定が繰り返される。その後、通知フラグがONに設定されてからの経過時間Tが所定時間Toを経過すると(S311でYes)、再度上記ステップS101からの処理がなされる。そして、所定時間To経過後でも、各接触センサ75a〜75dのうちの一部から接触信号が入力されている一方で全ての接触センサ75a〜75dから接触信号が入力されていないと(S303でNo)、通知フラグがONに設定されているためにステップS307にてYesと判定されて、上記ステップS305に示す報知処理がなされる。
これにより、全ての接触センサ75a〜75dから接触信号が入力されておらずに各接触センサ75a〜75dのうちの一部から接触信号が入力されていても上記所定時間が経過するまで上記報知がなされないため、読取口5に対して表示面61をかざしている途中に各接触センサ75a〜75dのうちの一部から接触信号が入力されるような場合にまで報知がなされることもないので、不要な報知を抑制することができる。
図46は、第6実施形態の第2変形例において情報読取装置にて行われる画像保存処理の流れを例示するフローチャートである。
本実施形態の第2変形例として、上記第1実施形態と異なり、特定の文字フォーマットを利用した旅券情報62を利用することなく、各接触センサ75a〜75dからの接触信号を利用して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定してもよい。
具体的には、図46に示すフローチャートのように、撮像処理がなされることなく各接触センサ75a〜75dのうちの少なくとも一部から接触信号が入力されているか否かについて判定され、各接触センサ75a〜75dの全ての接触信号が入力されていると(S301,S303でYes)、上記ステップS101にて撮像を行い撮像画像がメモリ35に保存(記憶)される(S111)。一方、各接触センサ75a〜75dのうちの一部から接触信号が入力される場合には(S303でNo)、読取口5に対する表示面61の移動を促す情報を報知するための処理がなされる(S305)。
このようしても、撮像画像に表示面61の全体が含まれていない場合にはその撮像画像が保存されないので、撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて従業員等が確認作業を行う必要も無い。特に、撮像画像に表示面61の全体が含まれるように表示面61が読取口5にかざされているとパスポート60との接触が各接触センサ75a〜75dにより検出されるので、目的のパスポート60の表示面61を撮像しているか否かを容易に判定でき、その判定精度を高めることができる。したがって、旅券情報62が表示される表示面61の撮像画像に対して確認作業を要することなく自動保存でき、撮像画像の保存に関する作業の自動化を図り易くすることができる。
なお、読取口5の近傍に設けられる接触センサの検出結果を考慮して撮像画像に表示面61の全体が含まれているか否かについて判定する本実施形態及び変形例の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る情報読取装置について、図35及び図36を用いて説明する。
本第7実施形態では、読取口5を覆う蓋部を利用して撮像画像から表示面61に相当する部分を表示面画像として切り出して保存する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図35に例示するように、本実施形態に係る情報読取装置1cは、上述した情報読取装置1に対して、蓋部80が読取口5の長辺近傍の読取側壁部3aにヒンジ部を介して傾動可能に連結されるように構成されている。この蓋部80は、読取口側の面(以下、対向面81ともいう)にて読取口5にかざされたパスポート60を読取口5とともに覆うように形成されている。特に、対向面81は、表示面61との違いが明確になりやすい所定色(例えば、黒色)で統一されている。
そして、読取口5にかざされたパスポート60を蓋部80にて覆うようにして画像保存処理を開始することで、撮像画像のうち表示面61に相当する領域を除くと上記所定色で構成される対向面81のみになる。すなわち、撮像画像から上記所定色の領域を除くように切り出した画像は、表示面61に相当する表示面画像となる。
そこで、本実施形態における画像保存処理では、図36に示すフローチャートのように、特定文字範囲の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれており(S107でYes)、且つ、特定文字範囲の大きさが所定値以上であると(S109でYes)、ステップS401にて切り出し処理がなされる。この処理では、撮像画像から上記所定色の領域を除くように表示面画像が切り出される。そして、このように切り出された表示面画像がメモリ35に保存されて(S111a)、本画像保存処理が終了する。なお、撮像画像から表示面61に相当する部分を表示面画像として切り出す処理を行う制御回路40は、「切り出し手段」の一例に相当し得る。
このように、本実施形態では、撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定された撮像画像から表示面61に相当する部分が表示面画像として切り出され、この切り出された表示面画像がメモリ35に保存される。これにより、撮像画像全体を保存する場合よりもメモリ35に保存される画像サイズが小さくなるので、保存に必要なデータ量を削減することができる。
特に、パスポート60を介して読取口5を覆う蓋部80が設けられ、この蓋部80は、読取面側の面となる対向面71の色が所定色で統一されている。そして、撮像画像から上記所定色となる領域を除くことで表示面画像が切り出される。これにより、撮像画像において表示面画像と異なる領域は上記所定色となるので、当該所定色を基準に表示面画像を切り出すことができ、切り出し処理に関する切り出し精度を向上させることができる。
本実施形態の第1変形例として、読取口5の近傍に設けられる蓋部は、図37に例示する蓋部80aのように、読取口5の短辺近傍の読取側壁部3aにヒンジ部を介して傾動可能に連結されるように構成されてもよい。
また、本実施形態の第2変形例として、読取口5の近傍に設けられる蓋部は、図38(A)に例示する蓋部80bのように、蛇腹状に形成されて、読取口5とほぼ同じ大きさの表示面を撮像する場合には折り畳んだ状態で使用せず、読取口5よりも小さい表示面を撮像する場合には図38(B)に例示するように延ばして表示媒体を読取口5とともに覆うようにしてもよい。
なお、撮像画像から表示面61に相当する部分を表示面画像として切り出して保存する本実施形態及び変形例の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。すなわち、蓋部を利用することなく、例えば、撮像画像に表示面61の全体が含まれていると判定された撮像画像から特定文字範囲63の位置等を規準に表示面画像を切り出すことでも、切り出す基準が明確となり、切り出し処理に関する切り出し精度を向上させることができる。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る情報読取装置について、図39及び図40を用いて説明する。
本第8実施形態では、読取口よりも小さな表示面の表示媒体を撮像する際に利用するアタッチメントが設けられる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
撮像対象となる表示媒体は、パスポート60に限らず、より小さな表示面を有する表示媒体、例えば、運転免許証や名刺等が想定される。このように大きさが異なる複数の表示媒体を撮像対象とする場合、読取口5の大きさを最も大きな表示媒体の表示面の形状(例えば、パスポート60の表示面61)に合わせることが好ましい。表示面61を読取口5に対して適切な位置にかざしやすくなるからである。
これに対して、小さな表示面を有する表示媒体では、その表示面を撮像可能に読取口5にかざせたとしても、そのかざす位置関係が一定でなければ、上記第7実施形態のように表示面画像を切り出すために画像解析等が必要となる。
そこで、本実施形態では、読取口よりも小さな表示面の表示媒体を撮像する際に利用するアタッチメントを採用する。例えば、運転免許証60aでは、図39(A)に例示するアタッチメント90aに組み付けるように利用し、このアタッチメント90aは、運転免許証60aが組み付けられた状態で読取口5に向かう面が当該読取口5と同じ形状となるように形成される。また、運転免許証60aと異なる形状の名刺60bでは、図39(B)に例示するアタッチメント90bに組み付けるように利用し、このアタッチメント90bは、名刺60bが組み付けられた状態で読取口5に向かう面が当該読取口5と同じ形状となるように形成される。なお、運転免許証60aの表示面61aや名刺60bの表示面61bには、特定の文字フォーマットを利用した所定の情報が決められた所定の位置に表示されており、この特定の文字フォーマット等に関する情報は、判定用情報として予めメモリ35に記憶されているものとする。
特に、アタッチメント90aの読取口側の面(以下、対向面91aともいう)の所定位置には、情報コード92aが表示されている。この情報コード92aは、複数のセル(明色系セル及び暗色系セル)が二次元状に配列されることで例えばQRコードとして構成されており、運転免許証60aが組み付けられたアタッチメント90aの対向面91aを撮像したとき、この撮像画像において運転免許証60aの表示面61aの位置を当該情報コード92aを基準として求めるための情報が予め記録されている。
同様に、アタッチメント90bの読取口側の面(以下、対向面91bともいう)の所定位置には、情報コード92bが表示されている。この情報コード92bは、情報コード92aと同様に複数のセルが二次元状に配列されることで例えばQRコードとして構成されており、名刺60bが組み付けられたアタッチメント90bの対向面91bを撮像したとき、この撮像画像において名刺60bの表示面61bの位置を当該情報コード92bを基準として求めるための情報が予め記録されている。
このため、アタッチメント90aを利用して運転免許証60aの撮像画像を保存する場合、本実施形態における画像保存処理では、図40に示すフローチャートのように、特定文字範囲の全てが撮像画像における特定の領域Sm内に含まれており(S107でYes)、且つ、特定文字範囲の大きさが所定値以上であると(S109でYes)、ステップS403にてデコード処理がなされ、対向面91aに表示された情報コード92aがデコード(解読)される。なお、情報コード92aは、対向面91aの所定位置に表示されることから、上記デコード処理は、撮像画像において上記所定位置に相当する範囲及びその周辺に対して行うようにしてもよい。
そして、上記デコード処理が成功すると(S405でYes)、読み取られたデコード結果に基づいて、運転免許証60aの表示面61aの位置を当該情報コード92aを基準として求め、この求められた表示面61aの位置に応じて表示面画像が切り出される(S401a)。そして、このように切り出された表示面画像がメモリ35に保存される(S111b)。一方、上記デコード処理が失敗すると(S405でNo)、切り出し処理がなされることなく、ステップS101にて撮像された撮像画像がメモリ35に保存される(S111b)。
このように、本実施形態では、運転免許証60aの表示面61aや名刺60bの表示面61b等を読取口5にかざす際に運転免許証60aや名刺60b等の表示媒体が組み付けられるアタッチメント(90a,90b)が設けられ、このアタッチメントは、表示媒体が組み付けられた状態で読取口5に向かう面が当該読取口5と同じ形状となるように形成される。これにより、表示媒体が組み付けられたアタッチメントを読取口5に合わせるようにかざすことで、撮像画像に表示面全体が含まれ易くなるので、表示面全体が撮像された撮像画像を保存し易くすることができる。
特に、情報コードが読み取られて撮像画像に表示面全体が含まれていると判定された撮像画像から、表示面に相当する部分が、情報コードの位置に基づいて表示面画像として切り出されてメモリ35に保存される。これにより、撮像画像全体を保存する場合よりもメモリ35に保存される画像サイズが小さくなるので、保存に必要なデータ量を削減することができる。特に、情報コードの位置に基づいて撮像画像から表示面画像を切り出すため、切り出す基準が明確となり、切り出し処理に関する切り出し精度を向上させることができる。
図41は、第8実施形態の第1変形例に係る情報読取装置の要部を説明する説明図である。なお、図41では、表示媒体の外形を二点鎖線にて示している。
本実施形態の第1変形例として、図41に例示するアタッチメント90cように、読取口側の対向面91cに設けられる情報コード92cは、そのセルのサイズが、アタッチメント90cが読取口5に接触しているときにその情報コード92cが読み取り可能であってアタッチメント90cが読取口5から離れているとその情報コード92cが読み取り不能となるように小さく設定されてもよい。このため、表示媒体が組み付けられたアタッチメント90cを読取口5に対して近づけている途中に撮像された情報コード92cは読み取り不能となる。
そして、画像保存処理では、情報コード92cが読み取れない場合には、撮像画像に表示面全体が含まれていないと判定する。これにより、読取口5に対して表示面を近づけている途中に撮像された撮像画像が保存されることを抑制することができる。
図42は、第8実施形態の第2変形例に係る情報読取装置の要部を説明する説明図である。なお、図42では、表示媒体の外形を二点鎖線にて示している。
また、本実施形態の第2変形例として、図42に例示するアタッチメント90dのように、読取口5に向かう面91dに、例えばQRコードの位置検出パターンと同様の形状であって規定の大きさの識別表示93を付し、撮像部23により撮像された識別表示93が占める領域の画素サイズが規定の大きさに相当する画素サイズに一致するとみなされない場合に、当該撮像画像に表示面全体が含まれていないと判定してもよい。すなわち、識別表示93が占める領域の画素サイズが規定の大きさに相当する画素サイズに一致するとみなされない撮像画像は、メモリ35に保存されることはない。なお、識別表示93は、QRコードの位置検出パターンと同様に形成されることに限らず、撮像画像から認識しやすくする形状であれば、矩形状や円形状、環状等の他の形状にて形成されてもよいし、QRコード等の情報コードとして形成されてもよい。このように形成される識別表示93は、「第2の識別表示」の一例に相当し得る。
表示媒体が組み付けられたアタッチメント90dを読取口5に対して近づけている途中に撮像された撮像画像では、識別表示93が占める画像領域の大きさは、アタッチメント90dを読取口5に対して接触させた状態で撮像された撮像画像での大きさよりも小さくなる。このため、さらに、識別表示93が占める画像領域の大きさが所定値以上となる判定条件を追加することで、表示媒体が組み付けられたアタッチメント90dを読取口5に対して近づけている途中に撮像された撮像画像が保存されることを抑制することができる。
また、撮像部23により撮像された識別表示93が占める領域の画素サイズが規定の大きさに相当する画素サイズに一致するとみなされて撮像画像に表示面全体が含まれていると判定された撮像画像から、表示面に相当する部分を、識別表示93の位置に基づいて表示面画像として切り出してメモリ35に保存してもよい。このようにしても、撮像画像全体を保存する場合よりもメモリ35に保存される画像サイズが小さくなるので、保存に必要なデータ量を削減することができる。特に、識別表示93の位置に基づいて撮像画像から表示面画像を切り出すため、切り出す基準が明確となり、切り出し処理に関する切り出し精度を向上させることができる。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係る情報読取装置を備える情報管理システムについて、図43及び図44を用いて説明する。
本実施形態に係る情報管理システム100は、セルフチェックイン端末として構成されるもので、上述した情報読取装置1と、この情報読取装置1と通信可能な上位端末101とを備えるように構成されている。より具体的には、情報管理システム100は、図43に示すように、箱状の筐体110により外郭が構成され、この筐体110の外面や内部に、上位端末101や、表示部102、スピーカ103、金銭機器104、クレジットカードリーダ105、発光部106及びルームキー発行機107等が設けられている。
本実施形態では、情報読取装置1は、筐体110の正面に形成される開口111を介して読取口5が露出するように配置されている。このため、パスポート60の表示面61等を読取口5にかざす場合には、宿泊客等の利用者がパスポート60等を開口111内に入れることとなる。そして、情報読取装置1は、上記画像保存処理時に、メモリ35に保存される撮像画像や報知処理(S113,S203,S305)に関する情報等を上位端末101に対して送信するように構成される。
また、表示部102は、タッチパネル型の表示装置であって、その表示画面が筐体110の正面上部に位置するように配置されており、上位端末101によって表示内容が制御され、タッチ操作に応じた信号を上位端末101に出力するように構成されている。スピーカ103は、表示画面の左右に一対配置され、上位端末101により制御されて、予め設定された音声やアラーム音等の各種通知音を発するように構成されている。発光部106は、例えばLEDであって、一方のスピーカ103のさらに外側に3つ並んで配置されており、上位端末101により制御されて、点灯・点滅するように構成されている。
金銭機器104は、筐体110の正面の紙幣挿入口112から挿入される紙幣や硬貨挿入口113から挿入される硬貨を収集し、この収集された金銭の総額を演算してその情報を、上位端末101に送信等するように構成されている。クレジットカードリーダ105は、筐体110の正面のクレジットカード挿入口114から挿入されるクレジットカード等の決済用媒体の情報を読み取り、その読み取った情報等を上位端末101に送信等するように構成されている。ルームキー発行機107は、ルームキーを発行するための機器であって、上位端末101からの指示に応じて発行したルームキーを筐体110の正面のルームキー発行口115を介して送出するように構成されている。
そして、上位端末101は、セルフチェックイン端末として構成される情報管理システム100の全体制御を司るもので、宿泊客等の利用者による操作に応じて、セルフチェックイン処理を行い、この処理時に、情報読取装置1や表示部102、スピーカ103、金銭機器104、クレジットカードリーダ105、発光部106及びルームキー発行機107等を制御するように構成されている。また、上位端末101は、外部のプリンタ120に接続されており、撮像画像等を印刷するための印刷データを送信可能に構成されている。
このように構成される情報管理システム100では、情報読取装置1からメモリ35に保存される撮像画像を受信した上位端末101により、この撮像画像を利用した処理、例えば、プリンタ120を利用した撮像画像の印刷や表示部102を利用した画像表示等の処理が行われる。このようにしても、撮像画像保存装置として機能する情報読取装置1により、確認作業を要することなく自動保存された撮像画像を利用でき、撮像画像に関する情報管理の利便性を向上させることができる。
特に、情報読取装置1から報知された情報(読取口5に対する表示面61の移動を促す情報等)に関する情報を上位端末101による制御に応じて表示部102に画面表示することができる(図43参照)。これにより、報知を受けた利用者は、読取口5に対して表示面61を正しくかざしていないことを容易に視認することができる。なお、報知された情報に関する情報は、スピーカ103による発音や発光部106による点灯・点滅に応じて利用者に報知されてもよい。
なお、上述した各実施形態における情報読取装置1,1a,1b,1cを組み込むように情報管理システム100を構成することができる。また、図45に例示する情報管理システム100aのように、パーソナルコンピュータとして構成される上位端末101aと情報読取装置1等とを備えるようにシステム構成されてもよいし、タブレット等として構成される上位端末と情報読取装置1等とを備えるようにシステム構成されてもよい。このように構成される場合でも、例えば、図45に例示するように、上位端末101aの表示部102aに情報読取装置1から報知された情報(読取口5に対する表示面61の移動を促す情報等)に関する情報を画面表示したり、発音等することで上記効果を奏する。
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、パスポート60や運転免許証60a、名刺60bの表示面が撮像画像を保存する保存対象となることに限らず、例えば、特定の文字フォーマット等を利用して所定の情報が表示される表示媒体の表示面であれば撮像画像を保存する保存対象とすることができる。
(2)本発明に係る撮像画像保存装置は、情報読取装置1,1a〜1cのように撮像した光学的情報(情報コードや文字情報等)を光学的に読み取る機能を有するように構成されることに限らず、少なくとも読取面にかざされた表示媒体の表示面を撮像する撮像手段とその撮像画像を保存する保存手段等とを有するように構成されればよい。