JP2019095888A - 推定装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱時の制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率の変化について、その要因を推定する。【解決手段】推定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御量PVの時系列データに基づいて加熱指標R_Hを算出する加熱指標算出部1と、加熱制御の後の冷却制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御量PVの時系列データに基づいて冷却指標R_Cを算出する冷却指標算出部2と、加熱指標R_Hの初期値R_Hrefに対して最新の加熱指標R_Hが低下したときに、冷却指標R_Cの初期値R_Crefと最新の冷却指標R_Cとに基づいて、加熱指標R_Hの低下の要因を推定する要因推定部3と、加熱指標R_Hの初期値R_Hrefおよび冷却指標R_Cの初期値R_Crefを予め記憶する記憶部5を備えている。【選択図】 図1

Description

本発明は、加熱装置の状態を診断する技術に係り、特に加熱時の制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率の変化について、その要因を推定する推定装置および方法に関するものである。
半導体製造装置では、EES(Equipment Engineering System)が実用段階へと移行してきている。EESは、半導体製造装置が正常に機能しているかどうかをデータでチェックし、装置の信頼性や生産性を向上させるシステムである。EESの主な目的は、装置自体を対象とする不具合検知(FD:Fault Detection)、不具合予知(FP:Fault Prediction)である。FD/FPには、装置コントロールレベル、モジュールレベル、サブシステムレベル、I/Oデバイスレベルという階層化の捉え方がある。I/Oデバイスレベルの主体は、センサやアクチュエータである。
このような動向に関連し、特許文献1のように、加熱装置の温度制御応答の特徴を算出するものが提案されている。加熱装置は、例えば図14に示すように、処理対象のワークを加熱する熱処理炉100と、電気ヒータ101と、熱処理炉100内の温度を計測する温度センサ102と、熱処理炉100内の温度を制御する温調計103と、電力調整器104と、電力供給回路105と、加熱装置全体を制御するPLC(Programmable Logic Controller)106とから構成される。温調計103は、温度センサ102が計測した温度PV(制御量)が温度設定値SPと一致するように操作量MVを算出する。電力調整器104は、操作量MVに応じた電力を決定し、この決定した電力を電力供給回路105を通じて電気ヒータ101に供給する。
特許文献1に開示された技術は、例えば図14に示す加熱装置において、制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率R=Kp/Tpで制御対象の状態を判定するものである。この比率Rは、ヘルスインデックスと呼ばれ、温調計103による制御対象の健全性を示す指標であり、制御対象の過渡状態での特性を利用している。したがって、比率Rを採用すれば、不可測な外的要因により操作量MVの平衡点(以下、平衡時操作量MVsと記載)が移動することに対処できる。
しかし、制御対象次第では、比率R=Kp/Tpによって制御対象の状態を管理するだけではなく、状態変化の要因をある程度特定したいという要求も生じる。例えば、図14のような加熱装置において、比率R=Kp/Tpが加熱性能の劣化を意味する変化を示した場合、ヒータ自体の劣化、熱処理炉の保温能力の問題、熱処理炉内の負荷(例えば熱処理される対象のワークなどの積載量)の影響など、複数の要因が考えられる。しかしながら、比率R=Kp/Tpの変化の要因を推定する技術は従来実現されておらず、改善が求められている。
特許第4481953号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、加熱時の制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率の変化について、その要因を推定することができる推定装置および方法を提供することを目的とする。
本発明の推定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの加熱制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて加熱指標を算出するように構成された加熱指標算出部と、前記加熱装置において前記加熱制御の後の冷却制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの冷却制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて冷却指標を算出するように構成された冷却指標算出部と、前記加熱指標の初期値および前記冷却指標の初期値を予め記憶するように構成された記憶部と、前記記憶部に予め記憶されている加熱指標の初期値に対して、前記加熱指標算出部によって算出された最新の加熱指標が低下したときに、前記記憶部に予め記憶されている冷却指標の初期値と前記冷却指標算出部によって算出された最新の冷却指標とに基づいて、前記加熱指標の低下の要因を推定するように構成された要因推定部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例は、前記要因推定部によって推定された要因を提示するように構成された要因提示部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例において、前記加熱指標算出部は、前記加熱制御の過渡状態を発生させる前記操作量の時系列データとこの加熱制御の過渡状態における前記制御量の時系列データとに基づいて、制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を前記加熱指標として算出し、前記冷却指標算出部は、前記冷却制御の過渡状態を発生させる前記操作量の時系列データとこの冷却制御の過渡状態における前記制御量の時系列データとに基づいて、制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を前記冷却指標として算出することを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例において、前記要因推定部は、前記加熱指標の初期値に対して前記最新の加熱指標が低下したときに、前記冷却指標の初期値に対して前記最新の冷却指標に変化が生じていない場合は、前記加熱装置のヒータの発熱性能の劣化が、前記加熱指標の低下の要因であると推定することを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例において、前記要因推定部は、前記加熱指標の初期値に対して前記最新の加熱指標が低下したときに、前記冷却指標の初期値に対して前記最新の冷却指標が大きくなった場合は、前記加熱装置の保温能力の低下が、前記加熱指標の低下の要因であると推定することを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例において、前記要因推定部は、前記加熱指標の初期値に対して前記最新の加熱指標が低下したときに、前記冷却指標の初期値に対して前記最新の冷却指標が小さくなった場合は、前記加熱装置の熱処理対象の負荷の増加が、前記加熱指標の低下の要因であると推定することを特徴とするものである。
また、本発明の推定方法は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの加熱制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて加熱指標を算出する第1のステップと、前記加熱装置において前記加熱制御の後の冷却制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの冷却制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて冷却指標を算出する第2のステップと、予め記憶されている加熱指標の初期値に対して、前記第1のステップで算出した最新の加熱指標が低下したときに、予め記憶されている冷却指標の初期値と前記第2のステップで算出した最新の冷却指標とに基づいて、前記加熱指標の低下の要因を推定する第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、加熱指標算出部と冷却指標算出部と記憶部と要因推定部とを設けることにより、加熱指標の変化について、その要因を推定することができる。
図1は、本発明の実施例に係る推定装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施例に係る温度制御部の動作を説明するフローチャートである。 図3は、本発明の実施例に係る推定装置の動作を説明するフローチャートである。 図4は、本発明の実施例に係る推定装置の加熱指標算出部の構成例を示すブロック図である。 図5は、本発明の実施例に係る推定装置の加熱指標算出部の動作を説明する図である。 図6は、加熱装置を用いてワークの加熱処理を最初に行ったときの結果を示す図である。 図7は、加熱装置を用いてワークの冷却処理を最初に行ったときの結果を示す図である。 図8は、加熱装置に加熱性能の劣化が生じた状態でワークの加熱処理を行ったときの結果を示す図である。 図9は、加熱装置に加熱性能の劣化が生じた状態でワークの冷却処理を行ったときの結果を示す図である。 図10は、加熱装置に保温能力の低下が生じた状態でワークの冷却処理を行ったときの結果を示す図である。 図11は、熱処理対象の負荷が増えた状態でワークの冷却処理を行ったときの結果を示す図である。 図12は、本発明の実施例における要因提示例を示す図である。 図13は、本発明の実施例に係る推定装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。 図14は、加熱装置の構成を示すブロック図である。
[発明の原理]
加熱時の比率R_H=Kp/Tpは、少なくもヒータ変化、保温性変化、負荷変化の3個の主要因で変化し得る。例えばヒータの発熱性能が劣化した場合、熱処理炉内から熱が放出されやすくなった場合、あるいは熱処理対象のワークなどの積載量(負荷)が増えた場合、加熱時の比率R_H=Kp/Tpの数値を低下させる要因になる。
このとき、冷却時の比率R_C=Kp/Tpがどのように変化し得るかに着眼する。初期状態において一定の冷却特性が得られているものとする。ヒータの発熱性能が劣化した場合、単純にヒータへの通電をOFFにして冷却(降温)させるのであれば、ヒータ劣化の影響とは無関係なので、冷却時の比率R_C=Kp/Tpに変化は生じない。熱処理炉内から熱が放出されやすくなった場合、冷却が促進されることになるので、冷却時の比率R_C=Kp/Tpには、冷却性能が向上したことを意味する変化が生じる。熱処理対象のワークなどの積載量(負荷)が増えた場合、熱容量が大きくなっていることにより冷却に時間かかることになるので、冷却時の比率R_C=Kp/Tpには、冷却性能が低下したことを意味する変化が生じる。
以上の着眼点に基づき、発明者は、加熱時の比率R_H=Kp/Tpと冷却時の比率R_C=Kp/Tpの変化のバランスを利用して、比率R_H=Kp/Tpの変化の要因を推定できることに想到した。
[実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係る推定装置の構成を示すブロック図である。推定装置は、加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの加熱制御の過渡状態における制御量PVの時系列データとに基づいて加熱指標R_Hを算出する加熱指標算出部1と、加熱装置において加熱制御の後の冷却制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの冷却制御の過渡状態における制御量PVの時系列データとに基づいて冷却指標R_Cを算出する冷却指標算出部2と、予め記憶されている加熱指標R_Hの初期値R_Hrefに対して、加熱指標算出部1によって算出された最新の加熱指標R_Hが低下したときに、予め記憶されている冷却指標R_Cの初期値R_Crefと冷却指標算出部2によって算出された最新の冷却指標R_Cとに基づいて、加熱指標R_Hの低下の要因を推定する要因推定部3と、要因推定部3によって推定された要因を提示する要因提示部4と、加熱指標R_Hの初期値R_Hrefおよび冷却指標R_Cの初期値R_Crefを予め記憶する記憶部5とを備えている。
本実施例は、例えば図14に示した加熱装置において得られる加熱時の比率R_H=Kp/Tpの変化の要因を推定する。この場合、図1の温度制御部10は、図14に示した温調計103の内部に設けられる。
図2は温度制御部10の動作を説明するフローチャートである。設定値SP(温度設定値)は、加熱装置のオペレータによって設定され、温度制御部10に入力される(図2ステップS100)。
制御量PV(温度計測値)は、制御対象に設けられたセンサ(例えば図14の温度センサ102)によって計測され、温度制御部10と推定装置の加熱指標算出部1と冷却指標算出部2とに入力される(図2ステップS101)。
次に、温度制御部10は、設定値SPと制御量PVとを入力とし、設定値SPが制御量PVよりも高い加熱時には、制御量PVが設定値SPと一致するように周知のPID制御演算により操作量MVを生成(算出)する(図2ステップS102)。また、温度制御部10は、設定値SPが制御量PVよりも低い冷却時には、ヒータ(例えば図14の電気ヒータ101)をOFFにすることに相当する操作量MV(MV=0.0)を生成する(ステップS102)。
そして、温度制御部10は、生成した操作量MVを制御対象と推定装置の加熱指標算出部1と冷却指標算出部2とに出力する(図2ステップS103)。図14に示した加熱装置が制御対象の場合、操作量MVの実際の出力先は電力調整器104となる。
温度制御部10は、以上のようなステップS100〜S103の処理を、加熱装置の動作が終了するまで(図2ステップS104においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行する。
次に、本実施例の推定装置の動作を図3を参照して説明する。加熱指標算出部1は、温度制御部10による加熱時に、加熱制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御量PVの時系列データとに基づいて制御対象(図14の例では熱処理炉100)の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率R_H=Kp/Tpを、加熱制御の過渡状態から得られる加熱指標として算出する(図3ステップS200)。
図4は加熱指標算出部1の構成例を示すブロック図である。加熱指標算出部1は、過渡状態データ特定部11と、制御対象モデリング部12と、ゲイン時定数比算出部13とから構成される。
熱処理炉内のワークの加熱のために設定値SPのステップ変更が行われると、図5(A)のように制御量PVが設定値SPに追従して上昇する。
過渡状態データ特定部11は、設定値SPが制御量PVよりも高い値に変更された加熱時に、制御量PVが設定値SPに追従するステップ応答の前半の過渡状態における制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データとを特定する。例えば過渡状態データ特定部11は、図5(B)に示すように操作量MVの時系列データが予め設定された基準値MVcを超えている時間帯を割り出し、この時間帯をステップ応答前半の過渡状態に相当する時間帯として特定する。ただし、この方法は単なる1例であり、操作量MVの変化幅やその他の信号の変化によって制御の過渡状態のデータを特定することも可能である。
続いて、制御対象モデリング部12は、制御量PVの時系列データのうち過渡状態データ特定部11によって特定された過渡状態のデータと、操作量MVの時系列データのうち過渡状態データ特定部11によって特定された過渡状態のデータとにより、制御対象のモデル数式を同定する。制御対象の数式モデルGpは、次式のような伝達関数で表される。
Gp=Kpexp(−Lps)/(1+Tps) ・・・(1)
式(1)のLpはむだ時間である。ゲイン時定数比算出部13は、制御対象モデリング部12が確定したモデル数式Gpに基づき、動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率R_H=Kp/Tpを算出する。
以上のような過渡状態データ特定部11と制御対象モデリング部12とゲイン時定数比算出部13の動作は、特許文献1に開示されている。
次に、冷却指標算出部2は、温度制御部10による冷却時に、冷却制御の過渡状態を発生させる操作量MVの時系列データとこの過渡状態における制御量PVの時系列データとに基づいて制御対象の動的プロセスゲインKpとプロセス時定数Tpとの比率R_C=Kp/Tpを、冷却制御の過渡状態から得られる冷却指標として算出する(図3ステップS201)。
冷却指標算出部2は、加熱指標算出部1と同様の構成により実現できる。ただし、冷却制御の場合、過渡状態データ特定部11は、設定値SPが制御量PVよりも低い値に変更された冷却時に、制御量PVが設定値SPに追従するステップ応答の前半の過渡状態における制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データとを特定する。具体的には、過渡状態データ特定部11は、設定値SPが制御量PVよりも低い値に変更された時点(あるいは操作量MVが0になった時点)から所定時間分の制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データとを収集してもよいし、設定値SPが制御量PVよりも低い値に変更された時点から制御量PVが設定値SPと一致するまでの制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データとを収集してもよい。
続いて、要因推定部3は、記憶部5に予め記憶されている加熱指標R_Hの初期値R_Hrefに対して、加熱指標算出部1によって算出された最新の加熱指標R_Hが低下したときに(図3ステップS202においてYES)、記憶部5に予め記憶されている冷却指標R_Cの初期値R_Crefと冷却指標算出部2によって算出された最新の冷却指標R_Cとに基づいて、加熱指標R_Hの低下の要因を推定する(図3ステップS203)。
要因推定部3は、最新の冷却指標R_Cが冷却指標R_Cの初期値R_Crefと同一で、最新の冷却指標R_Cに変化が生じていない場合、ヒータ(例えば図14の電気ヒータ101)の発熱性能の劣化が、加熱指標R_Hの低下の要因であると推定する。
また、要因推定部3は、最新の冷却指標R_Cの絶対値が冷却指標R_Cの初期値R_Crefの絶対値よりも大きくなった場合、加熱装置の熱処理炉(例えば図14の熱処理炉100)の保温能力の低下が、加熱指標R_Hの低下の要因であると推定する。
また、要因推定部3は、最新の冷却指標R_Cの絶対値が冷却指標R_Cの初期値R_Crefの絶対値よりも小さくなった場合、熱処理対象の負荷(例えば熱処理される対象のワークなどの積載量)の増加が、加熱指標R_Hの低下の要因であると推定する。
なお、最新の冷却指標R_Cと初期値R_Crefとを絶対値で大小比較する理由は、加熱時の動的プロセスゲインKpを正の値で与え、冷却時の動的プロセスゲインKpを負の値で与えることがあるためである。
また、上記の“最新の冷却指標R_Cに変化が生じていない場合“という状況としては、最新の冷却指標R_Cと冷却指標R_Cの初期値R_Crefとが完全同一である状況と、最新の冷却指標R_Cと冷却指標R_Cの初期値R_Crefとが実質同一である状況とがある。
実質同一を採用する場合、要因推定部3は、冷却指標R_Cの初期値R_Crefを中心として設定される閾値±α(αが正の値)に対して、最新の冷却指標R_CがR_Cref±αの範囲であれば、最新の冷却指標R_Cに変化が生じていないと判定すればよい。
また、上記の実質同一を採用する場合、要因推定部3は、最新の冷却指標R_Cの絶対値|R_C|が、冷却指標R_Cの初期値R_Crefの絶対値に閾値αを足した値|R_Cref|+αよりも大きい場合に、最新の冷却指標R_Cの絶対値が冷却指標R_Cの初期値の絶対値よりも大きいと判定すればよい。また、実質同一を採用する場合、要因推定部3は、最新の冷却指標R_Cの絶対値|R_C|が、冷却指標R_Cの初期値R_Crefの絶対値から閾値αを引いた値|R_Cref|−αよりも小さい場合に、最新の冷却指標R_Cの絶対値が冷却指標R_Cの初期値の絶対値よりも小さいと判定すればよい。
加熱指標R_Hの初期値R_Hrefについては、対象となる加熱装置を用いてワークの加熱処理を最初に行ったときの加熱指標R_Hの値を加熱指標算出部1により求め、得られた値を加熱指標R_Hの初期値R_Hrefとして記憶部5に記憶させておくようにすればよい。同様に、最初の加熱処理の後の冷却時の冷却指標R_Cの値を冷却指標算出部2により求め、得られた値を冷却指標R_Cの初期値R_Crefとして記憶部5に記憶させておくようにすればよい。
次に、要因提示部4は、要因推定部3によって推定された要因を提示する(図3ステップS204)。要因の提示方法としては、要因推定部3によって推定された要因を表す情報を推定装置の使用者に対して表示する方法などがある。
推定装置は、温度制御部10によって加熱制御が行われ、続いて冷却制御が行われる度に、ステップS200〜S204の処理を実施する。
図6は、加熱装置を用いてワークの加熱処理を最初に行ったとき(初期状態)の設定値SP、操作量MVおよび制御量PVの変化の1例と、このときに得られた加熱指標R_Hの初期値R_Hrefとを示している。図6によれば、加熱指標R_Hの初期値R_Hrefは0.0232である。
図7は、最初の加熱処理の後にワークの冷却を行ったとき(初期状態)の設定値SP、操作量MVおよび制御量PVの変化の1例と、このときに得られた冷却指標R_Cの初期値R_Crefとを示している。図7によれば、冷却指標R_Cの初期値R_Crefは0.0224である。なお、本実施例では、絶対値で比較することを考慮し、冷却指標R_Cと初期値R_Crefを正の値で記述する。
図8は、加熱装置に加熱性能の劣化(ヒータの発熱性能の劣化)が生じた状態でワークの加熱処理を行ったときの設定値SP、操作量MVおよび制御量PVの変化の1例と、このときに得られた加熱指標R_Hとを示している。図8によれば、加熱指標R_Hは0.0188であり、加熱指標R_Hの初期値R_Href=0.0232に対して低下していることが分かる。
図9は、加熱装置に加熱性能の劣化(ヒータの発熱性能の劣化)が生じた状態でワークの加熱処理の後にワークの冷却を行ったときの設定値SP、操作量MVおよび制御量PVの変化の1例と、このときに得られた冷却指標R_Cとを示している。ヒータ性能とは無関係な降温なので、操作量MVおよび制御量PVの変化は図7の場合と同じであり、冷却指標R_Cは初期値R_Cref=0.0224と同じ値になる。
図10は、加熱装置の熱処理炉の保温能力の低下が生じた状態でワークの加熱処理の後にワークの冷却を行ったときの設定値SP、操作量MVおよび制御量PVの変化の1例と、このときに得られた冷却指標R_Cとを示している。熱が放出され易くなったときの降温なので、冷却指標R_Cが0.0263となり、初期値R_Cref=0.0224よりも大きい値になっている。
図11は、熱処理対象の負荷(例えばワークの積載量)が増えた状態でワークの加熱処理の後にワークの冷却を行ったときの設定値SP、操作量MVおよび制御量PVの変化の1例と、このときに得られた冷却指標R_Cとを示している。負荷の増加により冷却に時間がかかり、冷却指標R_Cが0.0179となり、初期値R_Cref=0.0224よりも小さい値になっている。
図12は、要因提示部4による要因提示例を示す図である。図12の例では、画面40に、加熱指標R_Hの初期値R_Hrefおよび冷却指標R_Cの初期値R_Crefと、最新の加熱指標R_Hおよび冷却指標R_Cと、要因推定部3によって推定された要因とが表示されている。
以上のように、本実施例では、比率(加熱指標)R_Hの変化について、その要因を推定することができる。
本実施例で説明した推定装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図13に示す。コンピュータは、CPU310と、記憶装置311と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)312とを備えている。I/F312には、温調計と温度センサとが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の推定方法を実現させるためのプログラムは記憶装置311に格納される。CPU310は、記憶装置311に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。また、温度制御部10が設けられる温調計についても、周知のとおりコンピュータとプログラムによって実現することができる。
本発明は、加熱装置の状態を診断する技術に適用することができる。
1…加熱指標算出部、2…冷却指標算出部、3…要因推定部、4…要因提示部、5…記憶部、10…温度制御部、11…過渡状態データ特定部、12…制御対象モデリング部、13…ゲイン時定数比算出部。

Claims (7)

  1. 加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの加熱制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて加熱指標を算出するように構成された加熱指標算出部と、
    前記加熱装置において前記加熱制御の後の冷却制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの冷却制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて冷却指標を算出するように構成された冷却指標算出部と、
    前記加熱指標の初期値および前記冷却指標の初期値を予め記憶するように構成された記憶部と、
    前記記憶部に予め記憶されている加熱指標の初期値に対して、前記加熱指標算出部によって算出された最新の加熱指標が低下したときに、前記記憶部に予め記憶されている冷却指標の初期値と前記冷却指標算出部によって算出された最新の冷却指標とに基づいて、前記加熱指標の低下の要因を推定するように構成された要因推定部とを備えることを特徴とする推定装置。
  2. 請求項1記載の推定装置において、
    前記要因推定部によって推定された要因を提示するように構成された要因提示部をさらに備えることを特徴とする推定装置。
  3. 請求項1または2記載の推定装置において、
    前記加熱指標算出部は、前記加熱制御の過渡状態を発生させる前記操作量の時系列データとこの加熱制御の過渡状態における前記制御量の時系列データとに基づいて、制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を前記加熱指標として算出し、
    前記冷却指標算出部は、前記冷却制御の過渡状態を発生させる前記操作量の時系列データとこの冷却制御の過渡状態における前記制御量の時系列データとに基づいて、制御対象の動的プロセスゲインとプロセス時定数との比率を前記冷却指標として算出することを特徴とする推定装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の推定装置において、
    前記要因推定部は、前記加熱指標の初期値に対して前記最新の加熱指標が低下したときに、前記冷却指標の初期値に対して前記最新の冷却指標に変化が生じていない場合は、前記加熱装置のヒータの発熱性能の劣化が、前記加熱指標の低下の要因であると推定することを特徴とする推定装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の推定装置において、
    前記要因推定部は、前記加熱指標の初期値に対して前記最新の加熱指標が低下したときに、前記冷却指標の初期値に対して前記最新の冷却指標が大きくなった場合は、前記加熱装置の保温能力の低下が、前記加熱指標の低下の要因であると推定することを特徴とする推定装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の推定装置において、
    前記要因推定部は、前記加熱指標の初期値に対して前記最新の加熱指標が低下したときに、前記冷却指標の初期値に対して前記最新の冷却指標が小さくなった場合は、前記加熱装置の熱処理対象の負荷の増加が、前記加熱指標の低下の要因であると推定することを特徴とする推定装置。
  7. 加熱装置において加熱制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの加熱制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて加熱指標を算出する第1のステップと、
    前記加熱装置において前記加熱制御の後の冷却制御の過渡状態を発生させる操作量の時系列データとこの冷却制御の過渡状態における制御対象の温度である制御量の時系列データとに基づいて冷却指標を算出する第2のステップと、
    予め記憶されている加熱指標の初期値に対して、前記第1のステップで算出した最新の加熱指標が低下したときに、予め記憶されている冷却指標の初期値と前記第2のステップで算出した最新の冷却指標とに基づいて、前記加熱指標の低下の要因を推定する第3のステップとを含むことを特徴とする推定方法。
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