JP2019094293A - 脂肪族マレイミドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、非プロトン性極性溶媒中、脂肪族マレアミド酸をナフテン酸コバルト等の金属塩触媒および無水酢酸等の脱水剤存在下に脱水環化を行って脂肪族マレイミドを製造している。
特許文献2では、水溶性の有機溶媒中、脂肪族マレアミド酸をステアリン酸コバルト等の金属塩触媒および無水酢酸等の脱水剤存在下に脱水環化を行って脂肪族マレイミドを製造している。
特許文献3および4では、ベンゼンまたはトルエンといった炭化水素系溶媒中、脂肪族アミンと無水マレイン酸より脂肪族マレアミド酸を経由してアルコール触媒および酸触媒の存在下に脱水環化を行って脂肪族マレイミドを製造している。
例えば、酸と第三級アミンや第四級アンモニウム塩等のオニウム塩を触媒として、マレアミド酸を共沸脱水環化させる方法(特許文献5参照)、ブレンステッド酸および該ブレンステッド酸に対し0.05〜0.5当量の有機アミンを不均一系触媒とし、脂肪族マレアミド酸を反応系に供給して共沸脱水環化させる方法(特許文献6参照)、スルホン酸、ならびに酢酸等のプロトン性極性溶媒およびキシレン等の非極性溶媒の存在下、第一級アミンを滴下することにより、脂肪族マレアミド酸を生成させながら順次共沸脱水環化させる方法(特許文献7参照)が挙げられる。
特許文献1および2に記載の製造方法では、金属塩触媒存在下に無水酢酸等の脱水剤を使用して脂肪族マレアミド酸を脱水環化している。この方法は、比較的高い反応収率を提供するものの、脱水剤を大量に使用し、反応後、生成物の分離処理が煩わしくなり生産コストが高くなるため、経済的な量産方法ではない。しかも、得られる脂肪族マレイミドは、通常、暗紫色ないし黒色に着色しやすいという欠点がある。このような理由により、この脱水剤を使用する脂肪族マレイミドの製造方法は、特許文献4でも述べられるように、工業的方法にならないことが知られている。
脂肪族マレイミドのN−シクロヘキシルマレイミドが単離収率78〜86%で得られたと記載されている。しかしながら、酸触媒の使用量が製品の得量より多いため生産効率が劣るという欠点がある。しかも、予め脂肪族マレアミド酸を製造した後、これをろ過・乾燥して粉末として使用するか、あるいは溶媒に懸濁してスラリーとして使用するといった頻雑な操作が必要となる欠点がある。
すなわち、本発明者は、上記酸触媒と脱水助触媒の存在下、脂肪族アミンを供給することにより、前駆体の脂肪族マレアミド酸および触媒を析出させることなく、均一反応系で共沸脱水環化させることができ、脂肪族マレアミド酸の異性化やポリイミド化の進行を抑制してイミド化の転化率を向上し得ること、これにより、目的の脂肪族マレイミドを高選択的に、また効率を向上させて得ることできることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
〔1〕
下記一般式(2)で表される脂肪族マレイミドの製造方法であって、
無水マレイン酸、酸触媒、脱水助触媒として該酸触媒に対し0.15〜0.8モル当量の第三級アミン、および、水と共沸可能な有機溶媒をそれぞれ含有する溶液に、加熱還流下、下記一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンまたはその溶液を供給し、均一反応系で脱水環化させることを特徴とする脂肪族マレイミドの製造方法。
〔2〕
前記脱水環化させた後の反応液を水で洗浄し、得られた水相を脱水した残留物を、前記の酸触媒および脱水助触媒またはそれらの一部として再利用することを特徴とする〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕
前記酸触媒が硫酸またはスルホン酸であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
前記酸触媒の使用量が、前記脂肪族第一級アミンに対し1.0モル当量未満であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の製造方法。
〔5〕
前記第三級アミンがトリアルキルアミンであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の製造方法。
本発明および本明細書において、組成、純度を表す「%」は、特段の断りのない限り質量基準である。
また、本発明および本明細書において、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンに対するモル比は、「分子中のアミノ基の数×一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンのモル数」に対するモル比を意味する。
また、本発明の脂肪族マレイミドの製造方法によれば、ジアミン化合物のような多置換性アミンを原料とした場合にも、対応する多置換性脂肪族マレイミドを高選択的に製造することができる。
<一般式(2)で表される脂肪族マレイミドの製造方法>
一般式(2)で表される脂肪族マレイミドは、無水マレイン酸、酸触媒、脱水助触媒として特定量の第三級アミン、および、水と共沸可能な有機溶媒をそれぞれ含有する溶液に、加熱還流下、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンまたはその溶液を供給し、均一反応系で脱水環化させることにより製造することができる。
ここで、「均一反応系で脱水環化させる」とは、触媒および前駆体である脂肪族マレアミド酸等を析出させることなく、反応溶液中に溶解させた状態で脱水環化させることを意味する。すなわち、反応系が均一の液相で構成され、触媒および前駆体である脂肪族マレアミド酸等が不溶解分(固相)として析出していない状態で、脱水環化させることを意味する。
本発明では、「均一反応系で脱水環化させる」ことが特に重要な条件となる。
本発明における脱水環化反応では、下記一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンを用いる。
n価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐状であっても、環状構造を有していてもよい。以下、1価の脂肪族炭化水素基を代表として具体的な基を記載するが、2〜6価の脂肪族炭化水素基についても同様に、価数の異なる具体的な基を記載したものとする。
直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
また、環状構造を有する脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
このうち、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、;ニトロ基;ヒドロキシ基、アリール基、アリールオキシ基またはヘテロアリール基が好ましい。
本発明の製造方法により、下記一般式(2)で表される脂肪族マレイミドが得られる。
本発明の製造方法に用いる酸触媒としては、本発明における反応(以下、当反応と称す。)が可能な酸触媒であればいずれでも構わない。具体的には、メタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ならびに、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびキシレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸を包含するスルホン酸;硫酸、発煙硫酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン(THF)錯体、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸;モンモリロナイトK−10、硫酸化ジルコニア等の固体酸等を挙げることができる。
このうち、カルボン酸は、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンと反応する可能性もあり、無機もしくは有機のスルホン酸、ルイス酸、固体酸が好ましい。
これらの酸触媒は単独で用いても、任意の割合で2種類以上を用いてもよい。
酸触媒が少なすぎると、イミド化の反応速度が低下し、前駆体である脂肪族マレアミド酸の異性化あるいはポリイミド化が進行することによりイミド化の転化率が低下し、収率が低下する傾向がある。また、経済的な観点からは、酸触媒は多すぎないことが好ましい。
本発明の製造方法に用いる第三級アミンとしては、当反応が可能な第三級アミンであればいずれでも構わない。ここで、第三級アミンとは、アンモニアの水素原子が3つとも炭素原子で置換された化合物を意味する。具体的には例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン等のトリアルキルアミン(総炭素数3〜15が好ましく、3〜12がより好ましい。);ジメチルアニリン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルアミン等の第三級芳香族アミン(総炭素数8〜20が好ましく、8〜15がより好ましい。);ピリジン、キノリン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール等の含窒素ヘテロ環芳香族化合物を挙げることができる。
上記第三級アミンとしては、入手性や取り扱いの簡便さ、溶解性、反応性、水溶性等の観点から、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン等のトリアルキルアミンが好ましい。
これらの第三級アミンは単独で用いても、任意の割合で2種類以上を用いてもよい。
第三級アミンが少なすぎると、イミド化の反応速度が低下し、前駆体である脂肪族マレアミド酸の異性化あるいはポリイミド化が進行することによりイミド化の転化率が低下し、収率が低下する傾向がある(比較例1参照)。また、経済的および反応性の観点からは、第三級アミンは多すぎないことが好ましい(比較例4参照)。
本発明の製造方法における無水マレイン酸の使用量は、特に制限するものではないが、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミン1モルに対して、通常0.5〜5.0モルであり、好ましくは0.8〜2.0モル、より好ましくは1.0〜1.5モルである。
反応を完結させたい場合には、前駆体である脂肪族マレアミド酸が無水マレイン酸との反応により混合酸無水物となることでイミド化が促進されると考えられるため、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンに対し小過剰の無水マレイン酸(具体的には、1.05モル以上が好ましく、1.1モル以上がより好ましい。)を用いることが好ましい。また、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンが一般式(2)で表される脂肪族マレイミド化合物にマイケル付加した副生成物が生成することによる収率の低下を抑制する点からも、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンに対し小過剰の無水マレイン酸を用いることが好ましい。
本発明の製造方法においては、目的物である脂肪族マレイミドが反応液中で重合する可能性がある場合に、重合禁止剤を用いてもよい。当反応に用いる重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類および銅化合物等の重合禁止剤が挙げられる。
銅化合物としては、有機および無機のいずれの銅化合物でもよく、金属銅、酸化銅、水酸化銅、塩化銅、硫酸銅、酢酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。
上記重合禁止剤は、単独で添加しても、混合物として添加してもよい。
当反応は無溶媒で実施してもよいが、反応を円滑に進行するため、本発明においては、反応を阻害せず、水に不溶かつ水と共沸可能な溶媒(単に「水と共沸可能な溶媒」とも称す。)を用いる。
水と共沸可能な溶媒は、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロメタン等の含ハロゲン溶媒;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−デカン等の脂肪族炭化水素溶媒が挙げられる。反応系がより均一反応系となりやすい点から、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が好ましい。無水マレイン酸と酸触媒と脱水助触媒である第三級アミンと共に溶液を構成する水と共沸可能な溶媒と、第一級アミンの溶液を構成する溶媒とは、同一であることが好ましい。
当反応は上記の「水と共沸可能な溶媒」に加えて、必要に応じて、反応を阻害せず、水に可溶かつ水と共沸しない溶媒を使用しても構わない。このような溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
本発明では、蟻酸、酢酸およびプロピオン酸のような有機カルボン酸をプロトン性極性溶媒として、反応溶液に含まないことが好ましい。
当反応は、まず、酸触媒存在下で水と共沸可能な有機溶媒を還流し、酸触媒に含まれる水分あるいはスルホン化等により生成する水を共沸により留去する。その後、反応系を冷却してから第三級アミン、無水マレイン酸、用いるならば重合禁止剤を順次加える。これらの溶液を再度加熱還流しているところへ、均一反応系にて一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンまたはその溶液を徐々に供給する。無水マレイン酸と反応して生成する脂肪族マレアミド酸を、生成する水を順次共沸により除去しつつ脱水環化反応を進行させ、一般式(2)で表される脂肪族マレイミドを得る。
一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンと無水マレイン酸とを予め反応させた後、生成する脂肪族マレアミド酸を添加する方法は、反応性の低下を招き、一般式(2)で表される脂肪族マレイミドを収率よく得られない(比較例3参照)。
本発明では脂肪族第一級アミンもしくはその溶液の供給時の無水マレイン酸等の溶液の温度を溶媒の還流温度と記載する。この「溶媒の還流温度」とは、上記のように脱水環化反応を進行させるために反応生成水を除去しながら溶媒の一部が還流する温度を意味し、溶媒および反応生成水を全還流させるという意味ではない。
滴下時の滴下時間は、均一反応系で脱水環化される限り、酸触媒および第三級アミンの使用モル比に応じて適宜調整される。なかでも、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンと無水マレイン酸が反応して生成する脂肪族マレアミド酸の異性化やポリイミド化などの副反応が充分抑制され、イミド化閉環反応が優先的に進行する速度を保つ観点等から、好ましくは1時間〜30時間である。
塩基性水溶液としては、例えば、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩の水溶液が使用できる。一般式(2)で表される脂肪族マレイミドの塩基に対する安定性から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸水素塩の水溶液が好ましい。
水または塩基性水溶液の使用量としては、洗浄後に有機相と水相が分離する量であれば特に制限はないが、一般式(1)で表される脂肪族第一級アミン1モルに対して、通常0.01〜10Lであり、好ましくは0.05〜1Lである。
例えば、洗浄後の有機相から溶媒を留去した後、蒸留するか、貧溶媒を加えて結晶を析出させた後にろ過することにより、一般式(2)で表される脂肪族マレイミドを単離することができる。
ここで、「洗浄後の反応液中の目的物の収率」は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による内部標準法により算出した。
以下、実施例1〜4、比較例1〜5の製造方法により、それぞれN−シクロヘキシルマレイミドを製造した。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた1000ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸39.2g(0.4mol)、キシレン200mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約7.2mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)をキシレン70mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸110.0g(1.1mol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅72mg(0.16mmol)、キシレン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン100.0g(1mol)をキシレン120mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ8時間掛けて滴下した。滴下後さらに3時間還流し、約17.8mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。反応液の一部をサンプリングしてHPLC内部標準法にて分析したところ、反応後の反応液にはシクロヘキシルアミンを基準とした収率97.4%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドが生成していた。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、実施例1で得られた1回目の洗浄水81.4g(実施例1の1/4スケールとなるため、洗浄水の総量の1/4に相当する。この中にはN−シクロヘキシルマレイミド1.0g、濃硫酸8.8g(90mmol)、トリエチルアミン5.0g(49mmol)を含有)を加え、30mmHgの減圧下、バス温を100℃まで昇温し水を留去した。次いで、p−トルエンスルホン酸一水和物1.9g(10mmol)およびキシレン100mlを加え反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。副生水の完全な留出を確認後、反応液を70℃まで冷却後、反応系内に無水マレイン酸30g(0.3mol)を加えた。次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン25g(0.25mol)をキシレン50mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ7時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約4.8mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水50mlで洗浄した。さらに、反応液を2%重曹水溶液50ml、次いで水50mlで2回洗浄した。洗浄後の反応液中には、シクロヘキシルアミンを基準とした収率98.5%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドが含まれていた。さらに反応液にジブチルジチオカルバミン酸銅0.1g(0.21mmol)を加え、減圧下キシレンを留去した後、1mmHgの減圧下、バス温を110〜140℃まで昇温し蒸留を行い、N−シクロヘキシルマレイミドが38.1gの白色結晶として得られた。HPLC純度99.6%、収率85.1%。
すなわち、上記の実施例2と同じスケールの反応装置に、上記の実施例2で得られた1回目の洗浄水(含触媒水相)の全量80.0gを加えて減圧下で脱水後、p−トルエンスルホン酸一水和物1.9g(10mmol)、キシレン50mlを加えた。反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。副生水の完全な留出を確認後、反応液を70℃まで冷却後、反応系内に無水マレイン酸27.5g(0.27mol)を加えた。次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン25g(0.25mol)をキシレン50mlに溶解した溶液を、共沸する水を抜き出しつつ7時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約5.6mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水50mlで洗浄した。さらに、反応液を2%重曹水溶液50ml、次いで水50mlで2回洗浄した。洗浄後の反応液中には、シクロヘキシルアミンを基準とした収率99.9%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドが含まれていた。
この操作においても、含触媒水相のリサイクルが可能であることがわかった。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸9.8g(0.1mol)、キシレン50mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約1.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリブチルアミン9.3g(50mmol)をキシレン50mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸25.0g(250mmol)、4−メトキシフェノール60mg(0.5mmol)を順次加えた。次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン25.0g(250mmol)をキシレン50mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ6時間掛けて滴下した。滴下後さらに3時間還流し、約4.8mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水200mlで4回洗浄した。洗浄後の反応液中には、収率87.3%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドが含まれていた。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた500ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸29.4g(0.3mol)、キシレン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約5.6mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、ジメチルアニリン12.1g(0.1mol)をキシレン20mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、キシレン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン50.0g(0.5mol)をキシレン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ4時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約8.6mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水200mlで洗浄した。さらに、反応液を2.5%重曹水溶液200ml、次いで水200mlで2回洗浄した。洗浄後の反応液中には、収率81.1%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドが含まれていた。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた500ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸29.4g(300mmol)、キシレン120mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約5.6mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、キシレン10mlを添加し、次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン50.0g(0.5mol)をキシレン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ4時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約9.0mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水200mlで洗浄し、反応液を2%重曹水溶液200ml、次いで水200mlで2回洗浄した。洗浄後の反応液中には、収率67.1%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドしか含まれていなかった。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸14.7g(150mmol)、o−キシレン50mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約2.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、4−メトキシフェノール90mg(0.75mmol)、シクロヘキシルアミン7.5g(75mmol)を添加し、次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン25.0g(250mmol)をo−キシレン50mlに加えた溶液と、無水マレイン酸25.0g(250mmol)をo−キシレン50mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ2.5時間掛けて同時滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約2.7mlの副生水を分離した。10℃以下まで反応液を冷却後、析出した結晶をろ過で除去し、反応液を水100mlで5回洗浄した。洗浄後の反応液中には、収率64.0%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドが含まれていた。反応液を減圧下、o−キシレンを留去し、減圧蒸留しN−シクロヘキシルマレイミド23.9gを得た。収率53.3%。
比較例3は、出発物質にシクロヘキシルアミンに代えてN−シクロヘキシルマレアミド酸を用い、このキシレン溶液を滴下する製造方法であり、シクロヘキシルアミンの場合と同様、無水マレイン酸を小過剰となるよう添加した。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸3.9g(40mmol)、o−キシレン20mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約0.4mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、4−メトキシフェノール30mg(0.25mmol)、トリエチルアミン2.0g(20mmol)、無水マレイン酸2.0g(20mmol)を添加し、次いで反応液を還流させながらN−シクロヘキシルマレアミド酸19.3g(98mmol)をo−キシレン60mlに加えた加温溶液を、共沸する水を抜き出しつつ3時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約1.9mlの副生水を分離した。反応液を2%重曹水溶液100mlで2回、次いで水100mlで5回洗浄した。洗浄後の反応液中には、収率66.0%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドしか含まれていなかった。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸19.6g(0.2mol)、キシレン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約3.6mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)をキシレン10mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下し、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、無水マレイン酸55.0g(550mmol)、キシレン10mlを添加し、次いで反応液を還流させながらシクロヘキシルアミン50.0g(0.5mol)をキシレン70mlに加えた加温溶液を、共沸する水を抜き出しつつ4時間掛けて滴下した。滴下後さらに1時間還流し、約4.2mlの副生水を分離した。反応液は黒濁しており、水200mlを加えたところ多量のタール分が生成し分液操作はできなかった。
特許文献5の実施例28記載の条件に準じてN−シクロヘキシルマレイミド製造の追試を行った。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた500ml容の四つ口フラスコに、無水マレイン酸49.0g(0.5mol)、キシレン165g、トルエン54gを加え、反応系内に窒素を流しながら、シクロヘキシルアミン47.6g(0.48mol)を30℃で滴下し、滴下後1時間同温度で撹拌した。85%リン酸9.2g(80mmol)、N,N−ジメチルアニリン1.7g(14mmol)を添加し、反応液を共沸する水を抜き出しつつ9時間還流させた。約7.4mlの副生水を分離した。反応液は触媒相が分離しており、さらに不溶解分の生成がみられた。反応液を70℃まで冷却後、ろ過で不溶解分を除去した。この反応液中には、収率47.2%に相当するN−シクロヘキシルマレイミドしか含まれていなかった。
実施例1は、本発明で規定するように、酸触媒と、酸触媒に対して0.5モル当量の脱水助触媒(第三級アミン)の存在下、無水マレイン酸を水と共沸可能な有機溶媒に溶解した溶液に、加熱還流下、脂肪族第一級アミンであるシクロヘキシルアミンの溶液を供給し、均一反応系で脱水環化させた。洗浄後の反応液中には、目的物であるN−シクロヘキシルマレイミドが92.0%に相当する高収率で含まれ、目的物を高選択的に得ることができた。なお、反応後の反応液中には、目的物であるN−シクロヘキシルマレイミドが97.4%であり、洗浄により洗浄水に一部損なわれていることがわかった。
また、実施例2で示すように、実施例1で得られた、酸触媒および脱水助触媒を含有する洗浄水を再利用した場合にも、洗浄後の反応液中には、目的物であるN−シクロヘキシルマレイミドが98.5%に相当する高収率で含まれ、目的物を高選択的に得ることができた。
さらに、実施例1に対して、脱水助触媒である第三級アミンの種類を変えた実施例3および4も、洗浄後の反応液中には、目的物であるN−シクロヘキシルマレイミドが順に87.3%、81.1%と好収率で含まれ、目的物を高選択的に得ることができた。
これに対して、本発明の規定を満たさない製造方法により製造した比較例1〜5は、いずれも、目的物であるN−シクロヘキシルマレイミドを高選択的に得ることができず、脂肪族マレイミドの製造方法として劣っていた。
さらに、酸触媒に対して第三級アミンを1.0モル当量と過剰に使用した比較例4では、多量のタール分が生成していて、目的物を分離することができなかった。
また、特開昭62−138467号公報に記載の方法に準じて、酸と第三級アミンを触媒として、マレアミド酸を共沸脱水環化した反応液中の収率は、比較例5では47.2%と低かった。
以下、実施例5〜9の製造方法により、各種脂肪族マレイミドを製造した。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸9.8g(0.1mol)、キシレン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約1.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン5.1g(50mmol)をキシレン20mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、キシレン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながらn−ブチルアミン36.6g(0.5mol)をキシレン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ3時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約9.1mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。反応液の一部をサンプリングしてHPLC内部標準法にて分析したところ、反応後の反応液にはn−ブチルアミンを基準とした収率91.0%に相当するN−n−ブチルマレイミドが生成していた。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水200mlで洗浄した。さらに、反応液を1.5%重曹水溶液200ml、次いで水200mlで2回洗浄した。さらに反応液にジブチルジチオカルバミン酸銅0.1g(0.21mmol)を加え、減圧下キシレンを留去した後、3mmHgの減圧下、バス温を110〜130℃まで昇温し蒸留を行い、N−n−ブチルマレイミドが56.4gの無色オイルとして得られた。HPLC純度99.2%、収率73.7%。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸9.8g(0.1mol)、トルエン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約1.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン5.1g(50mmol)をトルエン20mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、トルエン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながらn−ブチルアミン36.6g(0.5mol)をトルエン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ14時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約7.5mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液を水200mlで洗浄した。さらに、反応液を1%重曹水溶液200ml、次いで水200mlで2回洗浄した。さらに反応液にジブチルジチオカルバミン酸銅0.1g(0.21mmol)を加え、減圧下トルエンを留去した後、3mmHgの減圧下、バス温を110〜130℃まで昇温し蒸留を行い、N−n−ブチルマレイミドが50.7gの無色オイルとして得られた。HPLC純度96.9%、収率66.2%。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸9.8g(0.1mol)、キシレン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約1.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン5.1g(50mmol)をキシレン20mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、キシレン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながらトリメチルヘキサメチレンジアミン(東京化成、2,2,4−および2,4,4−混合物)39.6g(0.25mol)をキシレン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ4時間掛けて滴下した。滴下後さらに1時間還流し、約9.4mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。反応液の一部をサンプリングしてHPLC内部標準法にて分析したところ、反応液にはトリメチルヘキサメチレンジアミンを基準とした収率89.9%に相当する1,6−ビス(マレイミド)トリメチルヘキサン(2,2,4−および2,4,4−混合物)が生成していた。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた300ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸9.8g(0.1mol)、キシレン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約1.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン5.1g(50mmol)をキシレン20mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、キシレン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながらイソホロンジアミン(東京化成、位置異性体混合物)39.0g(0.25mol)をキシレン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ5時間掛けて滴下した。滴下後さらに3時間還流し、約9.1mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。反応液の一部をサンプリングしてHPLC内部標準法にて分析したところ、反応液にはイソホロンジアミンを基準とした収率94.3%に相当する1−マレイミド−3−マレイミドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(位置異性体混合物)が生成していた。
マグネットスターラー、滴下ロート、ディーンスターク管、還流管、温度計を備えた500ml容の四つ口フラスコに、濃硫酸19.6g(0.2mol)、キシレン100mlを加え、反応系内に窒素を流しながら、共沸する水を抜き出しつつ還流した。約3.8mlの副生水を確認後、反応液を70℃まで冷却後、トリエチルアミン10.1g(0.1mol)をキシレン20mlに加えた溶液を反応系内温度が100℃以下になるように滴下した。反応系内に無水マレイン酸55.0g(550mmol)、ジブチルジチオカルバミン酸銅36mg(0.08mmol)、キシレン10mlを順次加えた。次いで反応液を還流させながら4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(東京化成、位置異性体混合物)52.6g(0.25mol)をキシレン70mlに加えた溶液を、共沸する水を抜き出しつつ6時間掛けて滴下した。滴下後さらに2時間還流し、約8.6mlの副生水を分離した。この時の反応液は均一で不溶分の生成もなかった。50℃以下まで反応液を冷却後、反応液に酢酸エチル500mlを加え、水200mlで洗浄した。さらに、反応液を2%重曹水溶液200ml、次いで水200mlで2回洗浄した。有機相の不溶分をろ別後、減圧下溶媒を留去し、粗4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン(位置異性体混合物)が92.0gの淡黄色固体として得られた。HPLC純度81.8%、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを基準とした収率99.3%。
特許文献5の実施例29に記載の条件に準じてN−n−ブチルマレイミド製造の追試を行った。
無水マレイン酸49.0g(0.5mol)、キシレン160g、トルエン54gを加え、反応系内に窒素を流しながら、n−ブチルアミン35.1g(0.48mol)を30℃で滴下し、滴下後1時間同温度で撹拌した後、リン酸9.2g(80mmol)、およびN,N−ジメチルドデシルアミン3.0g(14mmol)を触媒として加え、副生水の発生が止むまで反応を行った。この場合も、特許文献5の実施例28に準じて追試したN−シクロヘキシルマレイミドの製造(比較例5)と同様、冷却時に不溶分の析出が観察された。反応後、冷却して触媒層と分離し不溶分をろ別した後、HPLC内部標準法にて分析した結果、この反応液中には、収率54.5%に相当するN−n−ブチルマレイミドしか含まれていなかった。
すなわち、本発明の製造方法により、N−n−ブチルマレイミドを製造した実施例5および6は、精製処理により、高純度のN−n−ブチルマレイミドを高収率で得ることができた(実施例5は純度99.2%、収率73.7%、実施例6は純度96.9%、収率66.2%)。いずれも、本発明の製造方法により、目的物であるN−n−ブチルマレイミドを高選択的に得られたと考えられる。
具体的には、実施例7は、1,6−ビス(マレイミド)トリメチルヘキサン(2,2,4−および2,4,4−混合物)を純度98.8%、単離収率70.3%で、実施例8は、1−マレイミド−3−マレイミドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(位置異性体混合物)を純度95.2%、単離収率65.6%で得ることができた。また、実施例9は、4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン(位置異性体混合物)を純度81.8%、単離収率99.3%でそれぞれ得ることができた。
なお、実施例6〜9は、目的物が混合物で得られたため、「反応液中の目的物の収率」は、目的物の相対検出感度を同じと仮定して算出した。
〔1〕
下記一般式(2)で表される脂肪族マレイミドの製造方法であって、
無水マレイン酸、酸触媒、脱水助触媒として該酸触媒に対し0.15〜0.8モル当量の第三級アミン、および、水と共沸可能な有機溶媒をそれぞれ含有する溶液に、加熱還流下、下記一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンまたはその溶液を供給し、有機カルボン酸を含まない反応溶媒の均一反応系で脱水環化させる(ただし、反応に使用する反応溶媒が水と共沸可能な有機溶媒のみから成ることを除く)ことを特徴とする脂肪族マレイミドの製造方法。
Claims (5)
- 前記脱水環化させた後の反応液を水で洗浄し、得られた水相を脱水した残留物を、前記の酸触媒および脱水助触媒またはそれらの一部として再利用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記酸触媒が硫酸またはスルホン酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記酸触媒の使用量が、前記脂肪族第一級アミンに対し1.0モル当量未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記第三級アミンがトリアルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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