JP2019093736A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この構成によれば、テレスコストローク時には、アウタコラムに対するインナコラムの移動に伴い、ストッパがテレスコ長孔内を前後方向に移動する。一方、二次衝突におけるコラプスストローク時には、インナコラムがアウタコラムに対して前方に移動する過程で、ストッパがテレスコ長孔の前端開口縁に突き当たった後、ストッパが破断する。その後、インナコラムが前方へ移動する際に、衝撃吸収手段が任意の位置に保持されたロックプレートとインナコラムとの間に設けられたエネルギー吸収部材をしごくように曲げ変形することで、衝撃荷重を吸収できるとされている。
すなわち、特許文献1の構成では、コラプスストローク時において、ストッパとテレスコ長孔の前端開口縁とが突き当たり、ストッパが破断する荷重(突き当て荷重)が、発生する。そのため、コラプスストローク時の荷重変動が大きい。
本発明の一態様に係るステアリング装置は、前後方向に沿って延在するとともに、前記前後方向に延びるスリットが形成されたアウタコラムと、前記前後方向に移動可能に前記アウタコラム内に挿入されるとともに、前記前後方向に延びる第1軸線回りに回転可能にステアリングシャフトが挿入されるインナコラムと、左右方向に延びる第2軸線回りに回動可能なロックボルトを有し、前記スリットを拡縮させて前記アウタコラムに対する前記インナコラムの移動を規制するロック状態、及び前記アウタコラムに対する前記インナコラムの移動を許容するロック解除状態に切り替える切替部と、前記インナコラムに設けられたテレスコ規制部と、前記ロック解除状態において、前記アウタコラムに対する前記インナコラムの前後方向移動時に前記テレスコ規制部に係合して前記アウタコラムに対する前記インナコラムの前後方向移動を規制するテレスコストッパと、を備え、前記ロックボルトには、前記ロックボルトの回動に伴い前記第2軸線回りに回転するホルダが連結され、前記テレスコストッパは、前記ホルダに保持されることで、前記第2軸線回りに前記ロックボルトに回転可能に支持され、前記ロック状態において、前記インナコラムに作用する前方への荷重が所定値以上の場合に、前記テレスコ規制部と前記テレスコストッパとが接触することで、前記テレスコストッパが前記テレスコ規制部から退避する退避方向に回転する。
本態様では、ボルト係合部に係合するホルダ挿通孔を有するホルダがテレスコストッパを支持している。これに対し、テレスコストッパのテレスコ挿通孔はボルト係合部の最大外径よりも大径に形成されている。そのため、テレスコストッパは、テレスコ動作の際、ロックボルトの回転に伴い回転することができ、コラプスストローク時には、テレスコ規制部と接触することで退避方向に回転することができる。
本態様では、テレスコストッパが退避方向にスムーズに回転することができ、テレスコストッパとテレスコ規制部とが当接する荷重を抑制し、コラプスストローク時における荷重変動を抑えることができる。これにより、衝撃吸収荷重が安定し、衝撃吸収性能の向上を図ることができる。
本態様では、テレスコ係合部(テレスコストロークの領域)とガイド孔(コラプスストロークの領域)とが前後方向でラップしている。そのため、例えばテレスコストロークの領域とコラプスストロークの領域とが前後方向で並んで設けられている場合に比べてステアリングコラムの前後方向の長さを短縮できる。これにより、コラムユニットにおける前後方向のコンパクト化を図ることができる。また、ステリングコラムの前後方向の長さが短い場合であっても、充分なコラプスストローク領域を確保することができる。
本態様では、テレスコ動作の際、テレスコストッパとテレスコ規制部とは前後方向に対して交差する向きで当接することで、テレスコストッパとテレスコ規制部との間において、テレスコストッパとテレスコ規制部との接触面の法線方向に沿って作用する荷重は、前方に向かう荷重と、上下方向に向かう荷重と、に分解される。すなわち、テレスコ動作の際にテレスコストッパとテレスコ規制部との間に作用する荷重の分力を、テレスコストッパをロック状態に回転させる方向(前方)とは異なる方向に作用させることができる。したがって、テレスコストッパが予期せず回転するのを抑制した上で、アウタコラムに対するインナコラムの前方への移動を確実に規制することができる。
[ステアリング装置]
図1は、ステアリング装置1の斜視図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、車両に搭載されている。ステアリング装置1は、ステアリングホイール2の回転操作に伴って車輪の舵角を調整する。
コラムユニット11は、アウタコラム21と、インナコラム22と、を有している。
アウタコラム21は、固定ブラケット13,14を介して車体に取り付けられている。アウタコラム21は、保持筒部24と、締付部25と、を主に有している。
図2に示すように、保持筒部24は、軸線O1に沿って延びる筒状に形成されている。保持筒部24内における前端部には、前側軸受27の外輪が嵌合(圧入)されている。保持筒部24の後部において、シャフト周方向の一部(本実施形態では、アウタコラム21の下部)には、スリット28が形成されている。スリット28は、アウタコラム21をシャフト径方向に貫通するとともに、アウタコラム21の後端面で開放されている。
図3に示すように、締付部25は、保持筒部24のうち、スリット28を間に挟んで左右方向で対向する位置からそれぞれ下方に延設されている。各締付部25には、締付部25を左右方向に貫通する貫通孔31が形成されている。
図4に示すように、インナコラム22の後部において、シャフト周方向の一部(本実施形態では、下部)には、一対のガイド部33が形成されている。各ガイド部33は、左右方向で対向するとともに、シャフト軸方向(前後方向)に延びるレール状に形成されている。
図2に示すように、ステアリングシャフト12は、インナシャフト37及びアウタシャフト38を備えている。
インナシャフト37は、軸線O1に沿って延びる中空円筒状に形成されている。インナシャフト37は、保持筒部24内に遊挿されている。インナシャフト37の前端部は、上述した前側軸受27の内輪に圧入されている。これにより、インナシャフト37は、保持筒部24内で前側軸受27を介して軸線O1回りに回転可能に支持されている。インナシャフト37の前端部(前側軸受27よりも前方に突出した部分)は、自在継手(不図示)等を介して例えばロアシャフト(不図示)とステアリングギヤボックス(不図示)等に連結される。
図2、図3に示すように、インナコラム22の下部には、ハンガブラケット51が下向きに固定されている。ハンガブラケット51は、例えば金属板に対してプレス加工を施すことで形成されている。ハンガブラケット51は、保持筒部24のスリット28を通して保持筒部24の外部に露出している。ハンガブラケット51は、シャフト軸方向から見た正面視で下方に開口するU字状に形成されている。
図5に示すように、ハンガブラケット51は、頂板部61と、頂板部61における左右方向の両端部から下方に延設された一対の側板部62と、を有している。
頂板部61は、後端部に位置する厚肉部61aと、厚肉部61aの前方に連なる薄肉部61bと、を有している。厚肉部61aと薄肉部61bと、は段差を介して連なっていても、傾斜面等を介して滑らかに連なっていてもよい。頂板部61における左右方向の中央部には、頂板部61を上下方向に貫通するEA長孔64が形成されている。EA長孔64は、厚肉部61a及び薄肉部61bに亘ってシャフト軸方向に沿って直線状に延設されている。
図6に示すように、側板部62は、頂板部61の全長に亘って形成されている。側板部62において前端部を除く部分には、下方に突出するテレスコロック歯75が形成されている。テレスコロック歯75は、左右方向から見た側面視で台形状に形成されている。具体的に、テレスコロック歯75の後面は、後方から前方に向かうに従い下方に延びる傾斜面である。テレスコロック歯75の下面は、シャフト軸方向に直線状に延びる平坦面である。テレスコロック歯75の前面は、上下方向に直線状に延びる平坦面である。なお、テレスコロック歯75の各面の形状は、適宜変更が可能である。
図4、図5に示すように、ハンガブラケット51と固定部材71との間には、EA(Energy Absorbing)ワイヤ52が介在している。EAワイヤ52は、上下方向から見た平面視でM字状に形成されている。具体的に、EAワイヤ52は、一対の脚部81と、一対の脚部81同士を接続する接続部82と、を有している。
接続部82は、上述したボルト72の頭部72bに前方から掛け回された後、ハンガブラケット51の後方において、各脚部81の後端部に接続されている。なお、EAワイヤ52の線径は、必要な曲げ荷重等に応じて適宜変更可能である。
側板部90は、シャフト軸方向から見た正面視でL字状に形成されている。側板部90は、上下方向に延びるリヤ側壁92と、リヤ側壁92の上端部から左右方向の外側に張り出す張出部93と、を備えている。
張出部93は、車体に連結されている。
図4に示すように、切替部15は、ロック機構53と、操作レバー54と、締結カム55と、を主に有している。
図7は、ロック機構53の分解斜視図である。
図7に示すように、ロック機構53は、ロックボルト100と、ロックボルト100に取り付けられたストッパユニット101と、を主に有している。
ボルト凹部103aは、ロックボルト100の外周面に対してボルト径方向の内側に窪むとともに、ボルト軸方向に延在している。ボルト凹部103aは、ロックボルト100の全周に亘ってボルト周方向に間隔をあけて複数形成されている。すなわち、ロックボルト100において、ボルト周方向で隣り合うボルト凹部103a間には、ボルト凹部103aに対してボルト径方向の外側に膨出するボルト凸部103bが形成されている。なお、ボルト係合部103は、ボルト凹部103a(ボルト凸部103b)を少なくとも一つ有していればよい。また、ボルト凸部103bが、ロックボルト100の外周面に対してボルト径方向の外側に突出して形成してもよい。
ホルダ110は、例えば金属板に対してプレス加工を施すことで形成されている。ホルダ110は、正面視において上方に開口するU字状に形成されている。具体的に、ホルダ110は、左右方向で対向する一対のホルダ側壁115と、ホルダ側壁115の下端同士を接続する底壁116と、を有している。
図8に示すように、EA挿通孔140の内周面には、ボルト径方向の内側に膨出するEA凸部140aが形成されている。EA凸部140aにおけるボルト周方向の幅は、ボルト凹部103aに比べて狭くなっている。EA凸部140aは、ロックボルト100がEA挿通孔140内に挿通された状態において、ボルト凹部103a内に収容されている。
一方、ボルト周方向で隣り合うEA凸部140a間に位置する部分は、EA凸部140aに対してボルト径方向の外側に窪むEA凹部140bを構成している。EA凹部140bにおけるボルト周方向の幅は、ボルト凸部103bに比べて広くなっている。EA凹部140bには、ロックボルト100がEA挿通孔140に挿通された状態において、ボルト凸部103bが収容されている。
図5、図9に示すように、EAリング141におけるボルト周方向の一部には、当接部144が形成されている。当接部144は、EAリング141からボルト径方向の外側に突出している。当接部144は、ロックボルト100の回動に伴いEAリング141が回動することで、テレスコロック歯75に係合可能に構成されている。具体的に、ロック機構53は、当接部144がテレスコロック歯75の例えば下面に下方から当接する当接位置(ロック状態)と、当接部144がテレスコロック歯75の下面に対して下方に離間した離間位置(ロック解除状態(図11参照))と、の間を回動する。
図10に示すように、上述したアウタコラム21において、保持筒部24の上部には、突当部152が形成されている。突当部152は、保持筒部24から上方に膨出している。突当部152は、チルト動作の最上端位置において、リヤブラケット14のブリッジ部91に下方から突き当たる。すなわち、突当部152は、チルト動作の際、ロックボルト100がチルトガイド孔96の上端内周縁に接触する前に、ブリッジ部91に突き当たるように寸法が設定されている。
次に、上述したステアリング装置1の作用を説明する。以下の説明では、チルト・テレスコ動作及び二次衝突時の動作について主に説明する。以下の説明では、図9に示すEAストッパ112の当接位置を初期状態として説明する。
図1に示すように、ステアリングホイール2の前後位置や角度を調整する場合には、まず操作レバー54を回動操作して、ステアリング装置1をロック解除状態とする。具体的には、締結カム55の厚さが減少する方向(例えば、下方)に操作レバー54を回動操作する。すると、締付部25同士が各リヤ側壁92とともに離間して保持筒部24(スリット28)が拡径される。これにより、保持筒部24によるインナコラム22の挟持が解除されるとともに、リヤ側壁92によるアウタコラム21の挟持が解除される。その結果、テレスコ動作及びチルト動作が可能となる。
ここで、上述したようにロックボルト100のボルト係合部103とホルダ110のホルダ凸部120a(ホルダ凹部120b)とは、ボルト周方向で係合している。そのため、図11に示すように、操作レバー54をロック解除状態に回動する過程において、ホルダ110がロックボルト100とともに軸線O3回りのA1方向(図11における反時計回り方向)に回動する。
しかも、テレスコストッパ111は、前方ストッパ132及び係合爪133がホルダ110の保持部126にボルト周方向の両側から係合することで、ロックボルト100に対する回転が規制されている。これにより、ホルダ110に保持されたテレスコストッパ111もロックボルト100とともに軸線O3回りのA1方向に回動する。
その結果、操作レバー54のロック解除状態に移動するのに伴い、EAストッパ112が離間位置に移動する。
図12に示すように、ロック解除時、ロックボルト100の回動に伴いテレスコストッパ111が回転すると、前方ストッパ132と前側テレスコ規制部77とが前後方向で対向する。この際、前方ストッパ132における前方を向く面、及び前側テレスコ規制部77における後方を向く面同士(前方ストッパ132と前側テレスコ規制部77の対向面同士)がほぼ平行に配置される。これにより、前方ストッパ132と前側テレスコ規制部77とが当接する際に面接触となり、アウタコラム21に対するインナコラム22の後方への移動を確実に規制することができる。また、当接時の荷重によるテレスコストッパ111の破損を防止することができる。
図13に示すようにロック解除時、ロックボルト100の回動に伴いテレスコストッパ111が回転すると、ボルト受入部136は、後方に向かうに従い下方に向けて傾斜(例えば、前後方向に対する角度が45°程度)する。この状態で、インナコラム22を前方に移動させると、ボルト72の頭部72b(テーパ部)が後方ストッパ135のボルト受入部136に斜め上方から当接する。具体的に、ボルト受入部136と、頭部72bのテーパ部と、は前後方向に対して傾いた状態で接触(面接触)する。したがって、テレスコストッパ111のロック状態への回転を抑制することができる。このとき、ボルト受入部136と頭部72bとの間において、ボルト受入部136の法線方向に沿って作用する荷重は、前方(ロック状態)に向かう荷重と、下方(ロック解除状態)に向かう荷重と、に分解される。すなわち、テレスコ動作の際にボルト受入部136と頭部72bとの間に作用する荷重の分力を、テレスコストッパ111をロック解除状態に回転させる方向(ロック状態とは異なる方向)に作用させることができる。したがって、テレスコストッパ111が予期せず回転するのを抑制した上で、アウタコラム21に対するインナコラム22の前方への移動を確実に規制することができる。
一方、ロック解除状態において、ステアリングホイール2を下向きに調整するには、ステアリングホイール2を下方に引き下げる。すると、チルトガイド孔96に沿ってステアリングホイール2がコラムユニット11及びステアリングシャフト12とともに軸線O2回りで下方に揺動する。これにより、ステアリングホイール2の角度を任意の位置に調整できる。
図14に示すように、コラムユニット11が上方に揺動する過程において、ロックボルト100がチルトガイド孔96内を上方に移動する。この際、ロックボルト100がチルトガイド孔96の上端内周縁に突き当たる前に、アウタコラム21の突当部152がブリッジ部91に下方から当接する。これにより、コラムユニット11の上方への揺動が規制される。
一方、ロック状態に向けてロックボルト100がA2方向に回転することで、ボルト凸部103bがEA凸部140aからA2方向に離間しようとする。しかし、EAストッパ112は、第1付勢部材113によって当接位置に向けて付勢されているため、ロックボルト100のA2方向への回転に追従してA2方向に回転する。EAストッパ112は、爪部145が隣り合うテレスコロック歯75間に進入するとともに、当接部144がテレスコロック歯75の下面に下方から当接する。すなわち、操作レバー54のロック状態への移動に伴い、EAストッパ112が当接位置に移動する。
ここで、図15に示すように、ロック状態に向けてEAストッパ112がA2方向に回転する過程において、爪部145がテレスコロック歯75に干渉する場合(乗り上げ位置)がある。これに対して、本実施形態では、EAストッパ112が第1付勢部材113によってA2方向に付勢されるとともに、EA凸部140aがボトル周方向で隣り合うボルト凸部103bに対して隙間Sをあけた状態でボルト凹部103a内に収容されている。そのため、図16に示すように、EAストッパ112が乗り上げ位置にある場合であっても、ロックボルト100(操作レバー54)をA2方向に回転させることで、EAストッパ112に対してロックボルト100等がA2方向に回転する。すなわち、ロックボルト100が隙間Sを埋めるようにEAストッパ112に対して回転(空走)することで、乗り上げ位置にあっても操作レバー54をロック状態に移動できる。
次に、二次衝突時の動作について説明する。
二次衝突の際には、ステアリングホイール2に対して前方に向けた衝突荷重が運転者から作用する。衝突荷重が所定以上の場合には、ステアリングホイール2がインナコラム22やステアリングシャフト12とともに、アウタコラム21に対して前方に移動する。具体的に、ステアリング装置1では、インナコラム22の外周面がアウタコラム21の内周面上を摺動しながら、インナコラム22等がアウタコラム21に対して前方に移動する。アウタコラム21とインナコラム22との間の摺動抵抗等により、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重が緩和される。
ここで、図17に示すように、EAストッパ112が当接位置にあるとき、ハンガブラケット51がインナコラム22とともに前方に移動しようとすると、テレスコロック歯75と爪部145とがシャフト軸方向で係合する。これにより、アウタコラム21に対するハンガブラケット51の前方への移動が規制される。その結果、インナコラム22は、固定部材71とともにハンガブラケット51やアウタコラム21、ロック機構53(以下、ハンガブラケット51等という。)に対して前方に移動する(コラプスストローク)。
このように、本実施形態では、ロック状態でのEAストッパ112の位置(当接位置又は乗り上げ位置)に関わらず、ハンガブラケット51とEAストッパ112とが係合する。そのため、二次衝突時には、ハンガブラケット51等に対してインナコラム22が前方に移動する。
図18に示すように、コラプスストローク時において、固定部材71のボルト72は、インナコラム22の前方への移動に伴い、EA長孔64に沿ってハンガブラケット51等に対して前方に移動する。ボルト72が前方に移動することで、EAワイヤ52の接続部82が前方に引っ張られる。すると、脚部81がハンガブラケット51の後方を通って前方に引き出される(しごかれる)ことで、脚部81が塑性変形する。この際、脚部81はインナコラム22に設けられたガイド部33に案内されつつ塑性変形する。そして、EAワイヤ52(脚部81)が塑性変形する際の曲げ荷重や、EAワイヤ52がインナコラム22やハンガブラケット51、ガイド部33に摺動する際の摺動抵抗、ハンガブラケット51とインナコラム22の摺動抵抗等によって、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重が緩和される。また、ガイド部33により、脚部81が広がらずにハンガブラケット51の後方に沿って移動することができ、適正な衝撃吸収荷重とすることができる。
図19に示すように、固定部材71が前方に移動する過程において、厚肉部61aを通過した後、薄肉部61bに進入する。薄肉部61bにおいて、ボルト72は、EAワイヤ52の引っ張り力によって、例えばインナコラム22との接触部分を支点にして傾く。そのため、ボルト72の頭部72bは、薄肉部61bに局所的に接触した状態で薄肉部61b上を摺動する。そして、ボルト72と薄肉部61bとの間の摺動抵抗によって、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重が緩和される。
図20に示すように、コラプスストローク時において、固定部材71がロック機構53に対して前方に移動することで、ボルト72の頭部72bがテレスコストッパ111の後方ストッパ135に後方から接触する。すると、ボルト72の頭部72bによって後方ストッパ135が前方に押し込まれることで、係合爪133を介して変形部124(保持部126)が前方に押し込まれる。これにより、変形部124が例えば底壁116との境界部分を起点にして広がるように変形する。
この構成によれば、コラプスストローク時において、テレスコストッパ111とボルト72とが干渉し続けるのを抑制できる。そのため、テレスコストッパ111とボルト72との接触により発生する突き当て荷重が発生するのを抑制し、コラプスストローク時における荷重変動を緩やかにできる。これにより、コラプスストロークの全体に亘って効率的に衝撃荷重を緩和することができるので、衝撃吸収性能の向上を図ることができる。
しかも、本実施形態では、テレスコロック歯75とEA長孔64とがシャフト軸方向でラップしている。そのため、例えばテレスコストロークの領域(テレスコロック歯75)とコラプスストロークの領域(EA長孔64)とがシャフト軸方向で並んで設けられている場合に比べてハンガブラケット51のシャフト軸方向の長さを短縮できる。これにより、コラムユニット11におけるシャフト軸方向のコンパクト化を図ることができる。
この構成によれば、テレスコストッパ111は、テレスコ動作の際、ロックボルト100の回転に伴い回転することができ、コラプスストローク時には、固定部材71と接触することで退避方向に回転することができる。
この構成によれば、テレスコ動作の際、インナコラム22の最縮位置において、テレスコストッパ111(後方ストッパ135)と固定部材71(ボルト72)とを確実に接触させることができる。これにより、アウタコラム21に対するインナコラム22の前方移動を規制できる。
しかも、コラプスストローク時には、テレスコストッパ111にボルト72が接触すると、テレスコストッパ111の回転に伴いホルダ110の変形部124が変形する。これにより、テレスコストッパ111が円滑に回転することができ、テレスコストッパ111とボルト72との接触により発生する突き当て荷重を抑制することができ、コラプスストローク時における荷重変動を緩やかにできる。
例えば、上述した実施形態では、軸線O1がシャフト軸方向に交差している構成について説明していたが、この構成のみに限られない。軸線O1は、車両のシャフト軸方向に一致していてもよい。
上述した実施形態では、ボルト72を六角ボルトとしたが丸ボルトや丸ねじでもよい。すなわち、ボルト72は、ボルト受入部136と面接触(点接触でなければ)できればよい。
上述した実施形態では、コラプスストロークの領域の全体がテレスコストロークの領域にラップしている構成について説明したが、この構成のみに限られない。コラプスストロークの領域は、テレスコストロークの領域に少なくとも一部がラップしていればよい。
上述した実施形態では、摺動抵抗部として、ガイド部33やEAワイヤ52、頂板部61等を例にして説明したが、この構成のみに限られない。摺動抵抗部は、ガイド部33やEAワイヤ52、頂板部61の少なくとも一つを備えていればよい。また、コラプスストローク時において、インナコラム22及びハンガブラケット51のうち少なくとも一方の部材に摺動する構成であれば、ガイド部33やEAワイヤ52、頂板部61以外の部材を摺動抵抗部としてもよい。各摺動部分に高摩擦係数の塗料等を塗布してもよい。
12…ステアリングシャフト
15…切替部
21…アウタコラム
22…インナコラム
28…スリット
51…ハンガブラケット
55…締結カム
64…EA長孔(ガイド孔)
71…固定部材(テレスコ規制部)
75…テレスコロック歯(テレスコ係合部)
77…前側テレスコ規制部(テレスコ規制部)
100…ロックボルト
103…ボルト係合部
111…テレスコストッパ
112…EAストッパ
120…ホルダ挿通孔
130…テレスコ挿通孔
124…変形部
Claims (5)
- 前後方向に沿って延在するとともに、前記前後方向に延びるスリットが形成されたアウタコラムと、
前記前後方向に移動可能に前記アウタコラム内に挿入されるとともに、前記前後方向に延びる第1軸線回りに回転可能にステアリングシャフトが挿入されるインナコラムと、
左右方向に延びる第2軸線回りに回動可能なロックボルトを有し、前記スリットを拡縮させて前記アウタコラムに対する前記インナコラムの移動を規制するロック状態、及び前記アウタコラムに対する前記インナコラムの移動を許容するロック解除状態に切り替える切替部と、
前記インナコラムに設けられたテレスコ規制部と、
前記ロック解除状態において、前記アウタコラムに対する前記インナコラムの前後方向移動時に前記テレスコ規制部に係合して前記アウタコラムに対する前記インナコラムの前後方向移動を規制するテレスコストッパと、を備え、
前記ロックボルトには、前記ロックボルトの回動に伴い前記第2軸線回りに回転するホルダが連結され、
前記テレスコストッパは、前記ホルダに保持されることで、前記第2軸線回りに前記ロックボルトに回転可能に支持され、
前記ロック状態において、前記インナコラムに作用する前方への荷重が所定値以上の場合に、前記テレスコ規制部と前記テレスコストッパとが接触することで、前記テレスコストッパが前記テレスコ規制部から退避する退避方向に回転するステアリング装置。 - 前記ロックボルトの外周面には、ボルト係合部が形成され、
前記ホルダは前記ボルト係合部と係合するホルダ挿通孔を有し、
前記テレスコストッパは前記ボルト係合部の最大外径よりも大径のテレスコ挿通孔を有する請求項1に記載のステアリング装置。 - 前記ホルダは、前記テレスコストッパが前記退避方向に回転することで、変形可能に構成されている請求項1又は請求項2に記載のステアリング装置。
- 前記ロックボルトに連結され、前記ロックボルトの回動に伴い前記第2軸線回りに回転するEAストッパと、
前記ロックボルトの回動に伴い前記EAストッパが係合可能なテレスコ係合部を有し、固定部材を介して前記インナコラムに取り付けられたハンガブラケットと、を備え、
前記ハンガブラケットと前記固定部材とが前記テレスコ規制部を構成し、
前記ロック状態において、前記インナコラムに作用する前方への荷重が所定値以上の場合に、前記EAストッパと前記テレスコ係合部とが係合することで、前記インナコラム及び前記固定部材が前記ハンガブラケットに対して前方に移動可能に構成され、
前記ハンガブラケットのうち、前記前後方向の少なくとも一部で前記テレスコ係合部とラップする部分には、前記前後方向に延びるとともに、前記ハンガブラケットに対する前記固定部材の移動を案内するガイド孔が形成され、
前記テレスコストッパは、前記ハンガブラケットに対する前記インナコラム及び前記固定部材の移動に伴い、前記固定部材が前記テレスコストッパに接触する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のステアリング装置。 - 前記ロック解除状態において、前記固定部材と前記テレスコストッパとが前記前後方向に対して交差する向きで当接することで、前記インナコラムの前方移動が規制される請求項4に記載のステアリング装置。
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