以下、本発明の一形態に係るゲームシステムの一例を説明する。まず、図1を参照して、本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、サーバ装置としてのセンターサーバ2と、センターサーバ2に所定のネットワーク5を介して接続可能なクライアント装置としての複数のゲーム機3及び複数のユーザ端末装置4とを含む。センターサーバ2は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット2A、2B…が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニットによりセンターサーバ2が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にセンターサーバ2が構成されてもよい。
ゲーム機3は、ゲーム装置の一例であって、所定のプレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。この種のゲーム機3は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機3は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗6等の所定の施設に設置されるコンピュータ装置である。ゲーム機3は、各種のカードをプレイに使用するカードゲームを提供するカードゲーム機として構成されている。より具体的には、ゲーム機3は、このようなカードゲームとして、各選手に対応するカードを利用し、各カードに対応する選手をゲーム中に再現しつつ、各選手への指示や育成等を通じて監督としての役割をプレイするシミュレーション形式の野球ゲームを提供する。なお、ゲーム機3は、野球ゲームに限定されず、適宜に各種のゲームを提供してよい。
ユーザ端末装置4は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ(以下、PCと表記する。)4a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置4bがユーザ端末装置4として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置4として利用されてよい。ユーザ端末装置4は、各種のコンピュータソフトウエアを実装することにより、センターサーバ2が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。
ネットワーク5は、センターサーバ2に対してゲーム機3及びユーザ端末装置4をそれぞれ接続させることができる限り、適宜に構成されてよい。一例として、ネットワーク5は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成される。典型的には、WANとしてのインターネット5Aと、センターサーバ2及びゲーム機3のそれぞれとインターネット5Aとを接続するLAN5B、5Cとがルータ5Dを介して接続されることにより構築される。ユーザ端末装置4も適宜の構成によりインターネット5Aに接続される。なお、ゲーム機3と店舗6のルータ5Dとの間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機3がセンターサーバ2と通信可能に接続されてもよい。センターサーバ2のサーバユニット2A、2B…はLAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aにより、相互に接続される場合もある。
センターサーバ2は、ゲーム機3又はそのユーザに対して各種のゲーム機用サービスを提供する。ゲーム機用サービスは、ネットワーク5を介してゲーム機3のプログラム或いはデータを配信し、更新する配信サービスを含んでいる。センターサーバ2は、このような配信サービスを通じて各ゲーム機3に野球ゲームの提供に必要な各種のプログラム或いはデータを適宜に配信等する。
なお、ゲーム機用サービスは、その他にもゲーム機3からユーザの識別情報を受け取って、そのユーザを認証するサービスを含んでいてよい。また、認証したユーザのプレイデータをゲーム機3から受け取って保存し、或いは保存するプレイデータをゲーム機3に提供するサービスを含んでいてもよい。さらに、ゲーム機用サービスは、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングするマッチングサービス、或いはユーザから料金を徴収する課金サービス等を含んでいてもよい。同様に、センターサーバ2は、ネットワーク5を介してユーザ端末装置4のユーザに各種のWebサービスを提供してよい。Webサービスは、ゲーム機3が提供するゲームに関する各種の情報を提供するゲーム用情報サービス、各ユーザ端末装置4に各種データ或いはソフトウエアを配信(データ等のアップデートを含む)する配信サービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービス、及び各ユーザを識別するためのユーザIDを付与するサービス等のサービスを含んでよい。
次に、図2を参照してゲーム機3の構成を説明する。図2は一台のゲーム機3の一例を示している。図示例のゲーム機3は筐体10を有している。筐体10には、出力装置としてのモニタ11と、入力装置としての読み取り装置12と、カード排出機構13と、が設けられている。モニタ11は、野球ゲームを提供するためのゲーム画面を表示する周知の表示装置である。モニタ11は、野球ゲームをプレイ中のユーザの正面に位置するように配置される。読み取り装置12は、モニタ11の下方に配置される。読み取り装置12は、野球ゲームに使用可能なカードの情報を読み取ったり野球ゲームをプレイするための各種のプレイ行為を入力したりするための装置である。読み取り装置12には、そのようなカードが配置される配置エリアAAが設けられる。配置エリアAAの詳細は後述する。
カード排出機構13は、読み取り装置12の左側方(野球ゲームをプレイするためにモニタ11と向き合うようにユーザが位置する場合の左側方)に配置される。カード排出機構13は、野球ゲームで使用可能なカードを生成し、排出するための機構である。なお、ゲーム機3には、例えば、その他にも公知のゲーム機と同様に各種の出力装置或いは入力装置が接続され得る。例えば、そのような入力装置には、現金、代替硬貨、メダル、電子通貨等を利用してユーザからゲームに必要な所定の対価を徴収するための対価徴収装置が含まれてもよい。そして、そのような装置によって、例えば電子通貨の残量を記録するカードを介して電子通貨等の各種の対価が徴収されてよい。しかし、それらの説明は省略する。
次に、図3を参照してゲームシステム1の制御系の要部を説明する。まず、センターサーバ2には、制御ユニット21、及び記憶手段としての記憶部23が設けられる。制御ユニット21は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。
記憶部23は、ハードディスクアレイ等の不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)を含んだ記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶部23は、一の記憶ユニット上に全てのデータを保持するように構成されてもよいし、複数の記憶ユニットにデータを分散して記憶するように構成されてもよい。記憶部23には、ユーザに野球ゲームを提供するために必要な各種の処理を制御ユニット21に実行させるコンピュータプログラムの一例として、プログラムPG1が記録される。また記憶部23には各種のデータも記録されるが、図3ではプレイデータPDが示されている。プレイデータPDは、各ユーザに固有の情報を管理するために、このような固有の情報とユーザ毎にユニークに設定されるユーザIDとが関連付けられるように記述されたデータである。例えば、プレイデータは、このような固有の情報として各ユーザの過去のプレイ実績に関する情報を利用することにより、前回までのプレイ結果(過去の実績)を次回以降に引き継ぐため、或いは各ユーザに固有の設定内容を引き継ぐために使用される。また、プレイデータPDは、差分パラメータデータとしての差分データ51を含んでいる。差分データ51の詳細は後述する。
制御ユニット21には、制御ユニット21のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのプログラムPG1との組合せによって実現される論理的装置として、サービス提供部24が設けられる。サービス提供部24は、ゲーム機3に対して上述のゲーム機用サービスを実現するための各種処理を実行する。なお、制御ユニット21には、キーボード等の入力装置、モニタ等の出力装置等が必要に応じて接続され得る。しかし、それらの図示は省略した。
一方、ゲーム機3には、コンピュータとしての制御ユニット31と、記憶手段としての記憶部32とが設けられる。制御ユニット31は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。制御ユニット31には、制御ユニット31のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのプログラムPG2との組合せによって実現される論理的装置として、ゲーム提供部33が設けられる。ゲーム提供部33は、ゲームの進行に必要な各種の演算制御を実行するとともに、センターサーバ2のサービス提供部24が提供するゲーム機用サービスを享受するために必要な各種の処理を実行する。具体的には、ゲーム提供部33は、例えば、このようなゲームの進行に必要な各種の演算制御の一部として、再現処理及びパラメータ移動処理を実行する。再現処理及びパラメータ移動処理の手順については後述する。
記憶部32は、ハードディスク、半導体記憶装置といった不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)を含んだ記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶部32には、上述したプログラムPG2とともに、各種のデータが記録されるが、図3ではゲームデータGD及びプレイデータPDが示されている。プレイデータPDは、ゲームのプレイ時にユーザIDを利用したユーザの認証を条件に配信サービスを通じて必要な部分を含むようにセンターサーバ2から提供される。ゲームデータGDは、プログラムPG2に従ってユーザに所定の野球ゲームをプレイさせるためデータである。ゲームデータGDは、例えば野球ゲーム用の各種の画像を表示するための画像データ、野球ゲーム用の各種のBGMを再生するためのBGMデータといった各種のデータを含んでいるが、図3の例では変化前パラメータデータとしての選手データ52が示されている。選手データ52の詳細は、差分データ51の詳細とともに後述する。
また、ゲーム機3には、図2のモニタ11及びカード排出機構13が制御ユニット31の出力装置として設けられている。モニタ11は上述のとおりである。一方、カード排出機構13は、プリンタ38を含んでいる。プリンタ38は、制御ユニット31からの出力信号に基づいて、画像、各種コード等の記号、或いは文字等を印刷するための周知の出力装置である。カード排出機構13は、このようなプリンタ38を介して印刷によりカード39を生成(排出)するように構成されている。
さらに、ゲーム機3には、図2の読み取り装置12も設けられている。読み取り装置12は、読み取り部36及び表示部37を含んでいる。読み取り部36は、ユーザが所持するカード39から情報を取得するための装置である。読み取り部36は、例えば、所定の規則に従って生成されたコード(パターン)を介して各種の情報がカード39に記録されている場合に、そのようなコードを介して(読み取ることにより)そのコードに含まれる情報を取得するように構成される。具体的には、このような情報として、例えばカード39のコードには、カード39毎にユニークなカードIDの情報が記録される。この場合、読み取り装置12は、このようなコードを介してカード39のカードIDを読み取るために使用される。
また、読み取り部36は、カード39が配置エリアAAに配置されている場合に、その配置エリアAAにおけるカード39の配置態様(配置位置や配置角度、或いは裏表等)の情報を取得するために使用されてもよい。具体的には、このような読み取り部36として、カメラが使用されてよい。カメラ(読み取り部36)は、コードがカード39の表面(配置エリアAAに配置された場合の上側の面)に設けられている場合には上側からコードを撮影するように配置されてもよいし、コードがカード39の裏面(配置エリアAAに配置された場合の下側の面)に設けられている場合には下側からコードを撮影するように配置されてもよい。なお、読み取り部36は、例えばその他にも近距離無線通信を利用してカード39の情報を取得するように構成されてもよい。この場合、カード39には、ICチップ、磁気ストライプといった不揮発性記憶媒体が設けられ、それらを介してカードID等の情報が記録されていてよい。また、それらのICチップ等への情報の書き込みを通じてカード39が生成されてもよい。
一方、表示部37は、配置エリアAAに複数のエリアが形成されるように、配置エリアAAを各エリアに区分する情報を表示するための周知の表示装置である。具体的には、表示部37として、プロジェクタが使用されてもよいし、モニタが使用されてもよい。また、読み取り部36がカード39の情報を下側から取得する場合には、そのようなモニタとして、赤外線透過型のモニタが使用されてもよい。この場合、読み取り装置12は、更にカード39のコードに対して赤外線を照射する赤外線照射部(不図示)を含んでいてよい。また、カード39には、赤外線に反応する方式(例えば一部が赤外線を反射し、その他が赤外線を吸収する等)を介してコードが印刷されていてよい。そして、読み取り部36(例えばカメラ)は、そのような赤外線に反応するコードを赤外線透過型のモニタの下側から読み取ってもよい。
次に、図4及び図5を参照して、配置エリアAAの詳細を説明する。ゲーム機3は、カード39を利用しつつ上述の野球ゲームを提供するように構成されている。具体的には、ゲーム機3は、キャラクタとしての各選手を定義するパラメータを特定するためのカードIDを記録するカード39(以下、選手カード39と呼ぶ場合がある)が配置エリアAAに配置される場合に、その配置エリアAAの選手カード39からカードIDと配置態様とを取得することによりその配置態様を利用しつつカードIDによって特定されるパラメータの各選手を野球ゲームに再現するように構成されている。配置エリアAAは、表示部37としてモニタが利用される場合にそのモニタの表示面によって形成されてもよいし、そのような表示面の上にガラス材等の表示面を保護するための保護部材が配置される場合にはその保護部材によって形成されてもよい。以下、読み取り装置12がそのような保護部材を含み、表示部37及び保護部材として、赤外線透過型のモニタ及びガラスをそれぞれ採用している場合について説明する。また、選手カード39が本発明の記録媒体として、そこに記録されるカードIDの情報が本発明の特定情報及び媒体情報として、それぞれ機能する。
図4は、表示部37に表示されるエントリー画面の一例を模式的に示す図である。エントリー画面60は、野球ゲームに選手カード39に対応する選手が再現される場合にその選手カード39が配置される配置エリアAAを示すためのゲーム画面である。選手カード39の情報が読み取られるときには、このようなエントリー画面60の上に保護用(選手カード39の載置用)のガラスを介して配置エリアAAが形成される。換言すれば、この場合、エントリー画面60がその上のガラスを介して配置エリアAAとして機能する。図4に示すように、エントリー画面60は、読み取りエリア61、及び指示エリア62を含んでいる。読み取りエリア61は、選手カード39のコードの情報(カードIDの情報)を読み取るためのエリアである。読み取りエリア61に選手カード39が配置された場合には、ゲーム機3は、読み取り部36を介してその選手カード39のカードIDを取得する。一方、指示エリア62は、野球ゲームに登場する選手の行動に変化を生じさせる(換言すればユーザの意思を反映させる)指示を実行するためのエリアである。指示エリア62では、処理の簡略化等のために、カードIDの情報の読み取りが省略される。つまり、指示エリア62は、カードIDの取得が行われずに指示の特定が実行されるエリアである。
図4の例では、エントリー画面60(換言すればその上の配置エリアAA)には10個の読み取りエリア61が設けられている。この場合、これらの読み取りエリア61を介して、10枚の選手カード39にそれぞれ対応する10人の選手がゲームに再現される。また、10個の読み取りエリア61は、左から順に打順を示す9つの野手用の読み取りエリア61と、1つのピッチャー用の読み取りエリア61とに分けられる。同様に、10個の指示エリア62が設けられ、これらが10個の読み取りエリア61にそれぞれ対応するように各指示エリア62が各読み取りエリア61の上方に配置されている。そして、10個の指示エリア62は、各読み取りエリア61を介して再現された選手に対する指示がその読み取りエリア61に対応する指示エリア62によって特定されるように、10個の読み取りエリア61を介して再現された10人の選手への指示にそれぞれ使用される。
なお、読み取りエリア61及び指示エリア62の数は適宜でよい。例えば、一つの読み取りエリア61を通じて複数の選手が再現されてもよい。この場合、複数の選手にそれぞれ対応するように複数の指示エリア62が設けられてもよいし、一つの指示エリア62を介して各選手への指示が実現されてもよい。つまり、読み取りエリア61と指示エリア62とは数が一致していなくてもよい。また、指示エリア62は、読み取りエリア61を介して再現された選手以外の選手への指示に使用されてもよい。
図5は、プレイ中に表示部37に表示される指示画面の一例を模式的に示す図である。指示画面70は、選手カード39を介して各選手がゲームに再現された後に、その各選手への指示を実行するために使用されるゲーム画面である。指示画面70も、エントリー画面60と同様に、表示面の上のガラスを介して配置エリアAAとして機能する。図5に示すように、指示画面70は、読み取りエリア61及び指示エリア62に加えて、情報提示エリア71を含んでいる。情報提示エリア71は、指示エリア62を介した指示の詳細の情報をユーザに提示するためのエリアである。
図5の例では、指示画面70には、10個の指示エリア62にそれぞれ対応するように指示エリア62毎に10個の情報提示エリア71が設けられている。各情報提示エリア71には、その情報提示エリア71に対応する指示エリア62によって特定される指示の詳細情報が表示(提示)される。また、読み取りエリア61には、選手カード39を介して再現された選手のパラメータの情報が表示されている。つまり、エントリー画面60から指示画面70に移行した場合、読み取りエリア61は、このようなパラメータ等の情報を表示するためのエリアとして機能する。具体的には、読み取りエリア61には、“ミート”、“パワー”等のパラメータの項目、及び各項目の内容を示す数値(例えば左端の場合、“ミート”の内容を示す“72”)が表示されている。結果として、読み取りエリア61は、情報提示エリア71と同様に、指示エリア62によって特定される指示の詳細情報を提示するエリアとしても機能している。
同様に、図5の例では、各選手の行動を変化させるための指示の一例として、各選手の行動を変化させるためのパラメータの一部を変化させる指示が採用されている。また、指示エリア62は、選手カード39の配置位置に応じて各選手への指示が変化するように構成されている。つまり、指示エリア62は、選手カード39の配置態様の一例として、配置位置を利用している。さらに、このようなパラメータの一部として、“パワー”及び“ミート”が採用されている。具体的には、指示エリア62は、“パワー”及び“ミート”の値の変化の程度が選手カード39の配置位置に応じて指示(特定)されるように構成されている。また、指示エリア62は、このような指示の基準として機能するように、各選手に対する基本的な指示(パラメータの一部内容を基本的内容で使用する指示)を特定するための基本位置を示す基本配置エリア72を含んでいる。各基本配置エリア72には、打順を示す番号(左から順に“1”〜“9”)及びピッチャーを示す“P”の情報が表示されている。一方、基本配置エリア72よりも上方は“パワー”のパラメータを上昇させるための位置として、下方は“ミート”のパラメータを上昇させるための位置として、それぞれ機能している。また、選手カード39が基本配置エリア72よりも離れるほど、このような変化の程度は上昇する。例えば、6番目の打順に対応する指示エリア62では、基本配置エリア72よりも少し上方に選手カード39が配置されている。このため、この指示エリア62に対応する選手のパラメータは、“パワー”の値が1ポイント上昇し、“ミート”の値がその分(1ポイント)減少している。反対に、8番目の打順に対応する指示エリア62では、基本配置エリア72よりも少し下方に選手カード39が配置されている。このため、この指示エリア62に対応する選手のパラメータは、“ミート”の値が1ポイント上昇し、“パワー”の値がその分(1ポイント)減少している。
なお、情報提示エリア71を形成する境界線は表示されなくてもよい。また、各選手の行動を変化させるための指示は、パラメータの一部を変化させる指示に限定されない。例えば、このような指示として、パラメータの全部を変化させる指示が採用されてもよい。さらに、パラメータを変化させる指示にも限定されない。例えば、打者に対するバント指示等、選手の行動を変化させる各種の指示が、このような指示として採用されてよい。同様に、このような指示は選手の行動に関連していなくてもよい。このような指示は、選手の外観(ユニフォームや配色等)をカスタマイズするための指示であってもよいし、各選手の所属チームを変更(トレードや退団等)する指示であってもよい。
また、各選手にレベルが設定され、プレイ状況に応じてそのレベルが変化する場合には、指示エリア62の上端及び下端におけるパラメータの上昇度合いがそのレベルに応じて変化してもよい。同様に、このようなレベルに応じて基本配置エリア72に対応する基本的な指示の内容も変化してよい。一方で、このような基本配置エリア72の表示は省略されてもよい。また、このようなレベルの変化に応じて選手カード39を通じた指示に使用可能な範囲が変化してもよい。このような使用可能な範囲として、指示エリア62の一部が利用されてもよい。そして、その使用可能な範囲は、最大レベルのときに指示エリア62の全体となるように、レベルの上昇に従い拡大してよい。指示エリア62の形状も長方形に限定されず、適宜でよい。あるいは、指示エリア62は、変化の程度毎に複数に区分されるように構成され、それらの各区分への選手カード39の配置を通じて指示が特定されてもよい。また、ユーザの指示は、選手カード39の配置位置に応じて変化する形態にも限定されない。つまり、ユーザの指示は、指示エリア62における選手カード39の各種の態様の変化に応じて特定されてよい。
さらに、指示エリア62は、読み取りエリア61と別に設けられる形態にも限定されない。例えば、指示エリア62は、読み取りエリア61を包含していてもよい。このような読み取りエリア61として基本配置エリア72が機能してもよい。同様に、エントリー画面60は、指示エリア62を含んでいなくてもよい。一方、エントリー画面60と指示画面70とにおいて読み取りエリア61の位置は一致していてもよいし、相違していてもよい。エントリー画面60に指示エリア62が形成される場合には、指示エリア62に関しても同様である。
次に、選手データ52及び差分データ51の詳細について説明する。選手データ52及び差分データ51は、いずれも各選手のパラメータの管理をするパラメータデータとして機能する。具体的には、選手データ52は、各選手を定義するパラメータの初期値(固定的に設定される初期の値)の内容(初期内容)を管理するためのデータである。図6は、選手データ52の構成の一例を示す図である。図6に示すように、選手データ52は、パラメータの初期値を選手毎に管理するパラメータレコード52Rを含んでいる。パラメータレコード52Rは、“キャラクタID”及び変化前の内容としての“パラメータ(初期)”の情報を含んでいる。“キャラクタID”は、各選手を識別するために選手ごとにユニークに設定されるキャラクタIDを示す情報である。このようなキャラクタIDとして、同じ選手には同じキャラクタIDが設定される。“パラメータ(初期)”は、各選手のパラメータの初期値を示す情報である。上述のとおり、各選手のパラメータは、“パワー”或いは“ミート”等の各種の項目を含んでいる。このため、“パラメータ(初期)”の情報は、これらの項目毎の初期値を示す情報を含んでいてよい。パラメータレコード52Rには、これらの情報が相互に関連付けられるように記録されている。なお、同じ選手であっても、例えば年代毎、或いは全盛期、成長期、下降期等の分類毎といった具合にパラメータの内容の特徴に応じて別々のキャラクタとして管理されてもよい。具体的には、例えば90年代のA選手は00年代のA選手とは別のキャラクタとして別のキャラクタIDによって管理されてもよい。つまり、同じキャラクタであってもパラメータの内容に応じて別々のキャラクタIDによって管理されてもよい。
一方、差分データ51は、野球ゲームに登場する各選手(キャラクタ)を定義するパラメータがゲームのプレイを通じて変化した場合に、そのパラメータの変化前後の差分を示す差分内容を管理するためのデータである。例えば、このような差分内容として各選手のパラメータの初期値を示す初期内容からの差分が利用され、差分データ51は選手データ52に記述されたパラメータの初期値との差分を管理するデータとして構成される。図7は、このような場合の差分データ51の構成の一例を示す図である。図7に示すように、差分データ51は、各選手の差分内容をカードごとに管理する差分レコード51Rを含んでいる。また、差分レコード51Rは、“ユーザID”、“カードID”、“キャラクタID”、差分内容としての“パラメータ(差分)”、及び“制限”の情報を含んでいる。
“ユーザID”は、上述のユーザ毎にユニークなユーザIDを示す情報である。“カードID”は、各選手カード39を識別するためにカード毎にユニークに設定されるカードIDを示す情報である。各選手カード39には、例えば同じ選手に対応する選手カード39であっても互いに異なるユニークなIDが設定される。“キャラクタID”は、上述の選手データ52の“キャラクタID”と同様である。“パラメータ(差分)”は、パラメータの変化内容、つまりの初期値からの差分内容に対応するパラメータを示す情報である。選手データ52の“パラメータ(初期)”と同様に、“パラメータ(差分)”の情報は、パラメータの項目毎の差分内容を示す情報を含んでいてよい。
一方、“制限”は、ゲームにおいて各選手カード39に対応する選手に制限が設定される場合に使用される情報である。“制限”には、このような制限内容を示す情報が記述される。例えば、後述の複製機能が使用された場合に、このような制限としてその機能を通じて生成された選手カード39の使用をその選手カード39を生成したユーザに限定する制限が採用されてよい。この場合、制限内容として、“制限”には各ユーザを識別するためにユーザ毎にユニークに設定されるユーザIDの情報が記述されてよい。あるいは、そのような制限がない場合には、制限内容として、そのような制限無しを示す情報が記述されてもよい。差分レコード51Rには、これらの情報が相互に関連付けられるように記録されている。
なお、差分内容は、このような初期内容からの差分に限定されない。例えば、ユーザの指定等、所定の条件によって特定される内容を変更前の内容として、その内容からの差分が差分内容として利用されてもよい。この場合、そのような変更前の内容を管理するデータが別途用意されていてもよいし、このようなデータとして差分データ51が更に機能してもよい。
次に、図8及び図9を参照して、選手カード39に基づく選手の再現について説明する。上述のとおり、各選手カード39に対応する選手のパラメータは、プレイ状況に応じてその内容が変化している場合には、選手データ52及び差分データ51に分けて記録されている。このため、各選手カード39が使用される場合には、これらの選手データ52及び差分データ51に基づいて各選手カード39に対応する選手がゲームに再現される。
図8は、選手カード39に基づいて選手が再現されるまでのデータの流れの一例を模式的に示す図である。図8の例は、プレイデータPDの取得にユーザIDの情報を記録するIDカードCDが使用される場合を示している。ユーザIDの情報は、選手カード39と同様に、コードを介して記録されていてもよいし、ICチップ、磁気ストライプといった不揮発性記憶媒体を介して記録されていてもよい。また、IDカードCDは、ゲームシステム1によって生成されるカード39の一種として構成されてもよいし、ゲームシステム1以外によって提供されるカードとして構成されてもよい。このため、このユーザIDの情報の読み取りには、選手カード39と同様に読み取り装置12が使用されてもよいし、上述の対価徴収装置(読み取り装置12が対価徴収装置として機能する場合を含む)が使用されてもよい。この場合、図8に示すように、IDカードCDのユーザIDに対応するプレイデータPDがセンターサーバ2からゲーム機3に配信され、そのプレイデータPDに含まれる差分データ51、及び選手カード39に対応する選手の選手データ52に基づいて、その選手カード39に対応する選手を再現するためのパラメータ(再現用の選手データ53)が特定される。そして、そのようなパラメータに対応する選手がゲームに再現される。
具体的には、まずゲーム機3がIDカードCDからユーザIDの情報を取得し、そのユーザIDの情報をセンターサーバ2に送信する。センターサーバ2は、その取得したユーザIDの情報に基づいて、そのユーザIDに対応する固有の情報を含むようにプレイデータPDを特定する。この固有の情報には、差分データ51が含まれる。つまり、センターサーバ2は、取得したユーザIDに対応する差分レコード51Rを有する差分データ51を含むようにプレイデータPDを特定する。そして、センターサーバ2は、その特定したプレイデータPDをゲーム機3に配信(送信)する。
一方、ゲーム機3は、選手カード39が使用された場合に、その選手カード39からカードIDの情報を取得し、センターサーバ2から配信されたプレイデータPDに含まれる差分データ51のそのカードIDに対応する差分レコード51Rを特定する。また、ゲーム機3は、その特定した差分レコード51Rに含まれるキャラクタIDの情報に基づいて、そのキャラクタIDに対応する選手データ52のパラメータレコード52Rを更に特定する。さらに、ゲーム機3は、それらの特定した差分レコード51R及びパラメータレコード52Rに基づいて各選手のパラメータの内容を管理するためのパラメータデータの一種として再現用の選手データ(以下、再現データ53と呼ぶ場合がある)を生成する。
具体的には、ゲーム機3は、まずパラメータレコード52Rの“パラメータ(初期)”の情報と差分レコード51Rの“パラメータ(差分)”の情報とを組み合わせた“パラメータ”の情報を生成する。換言すれば、ゲーム機3は、パラメータの初期値の内容と差分内容とを合算した合算内容を“パラメータ”の情報として生成する。次にゲーム機3は、そのような“パラメータ”の情報をパラメータレコード52Rの“パラメータ(初期)”の代わりに持つ再現データ53を生成する。再現データ53は、選手カード39に対応する選手を再現するために一時的に生成されるデータである。そして、ゲーム機3は、このような再現データ53に基づいて、選手カード39に対応する選手をゲームに再現する。つまり、野球ゲームには、合算内容に対応するパラメータによって定義される選手が再現される。なお、再現データ53は、例えば、再現用の“パラメータ(初期)”の情報と再現用の“パラメータ(差分)”の情報とを分けて別々に管理するように構成されていてもよい。つまり、“パラメータ(初期)”の情報と“パラメータ(差分)”の情報とを合算した内容が管理されるのではなく、“パラメータ(初期)”の情報と“パラメータ(差分)”の情報とが再現データ53においても別の情報として管理されてもよい。そして、キャラクタの再現時等に必要に応じて、再現データ53の“パラメータ(初期)”の情報と“パラメータ(差分)”の情報とを合算した合算内容が生成され、使用されてよい。
また、ゲーム機3は、プレイ状況に応じて再現データ53の“パラメータ”の情報を更新する。ゲーム機3は、再現データ53の更新内容を差分データ51に反映する。つまり、再現データ53の内容を選手データ52と差分データ51とに分ける。より具体的には、ゲーム機3は、更新後の再現データ53の内容から選手データ52の初期値の内容を減算し、その差分を差分内容として差分データ51の“パラメータ”の情報に反映する。そして、そのような差分データ51を含む更新後のプレイデータPD(プレイ状況が反映されたもの)をセンターサーバ2に送信する。センターサーバ2は、そのような更新後のプレイデータPDの内容を既存のプレイデータPDに反映(更新)し、次回のプレイ用に保存する。
図9は、選手データ52の初期内容と差分データ51の差分内容とが合算される場合の合算内容の一例を説明するための説明図である。また、図9の例では、説明の便宜のために、選手データ52及び差分データ51に含まれる情報のうち説明に必要な一部の情報だけが簡略化されて示されている。図9に示すように、読み取りエリア61に配置された選手カード39からカードIDの情報として“1”が取得された場合、“1”のカードIDに対応する差分データ51の差分レコード51Rがまず特定される。続いて、この差分レコード51Rに“キャラクタID”の情報としてA選手を示す“A”が含まれている場合、選手データ52からその“A”に対応するパラメータレコード52Rが特定される。そして、差分レコード51Rのパラメータの内容“球3、制2、キ0、ノA”(順に図5の例に示されるピッチャーのパラメータの“球速”、“制球”、“キレ”、“ノビ”にそれぞれ対応。パラメータレコード52Rも同様。)と、パラメータレコード52Rのパラメータの内容“球50、制7、キE、ノB”とが合算された再現用パラメータレコード53Rを含むように再現データ53が生成される。
具体的には、“球速”、“制球”、“キレ”、“ノビ”として、順に“3”と“50”との合計“53”、“2”と“7”との合計“9”、“0”(変化なし)と“E”との総合評価(一例として評価の高い方)“E”、“A”と“B”との総合評価(一例として“キレ”と同様に評価の高い方が採用され、アルファベット順に“A”に近づくほど高い評価)“A”(プレイ状況に応じて選手は成長するため、差分レコード51Rの評価の方が高い場合が多いが、選手の調子等を反映することにより差分レコード51Rの方の評価が低くてもよい。“キレ”も同様。)が合算内容として“パラメータ”の情報に記述された再現用パラメータレコード53Rを含む再現データ53が生成される。そして、このような再現データ53に基づいて、選手カード39(“1”のカードIDのもの)に対応する選手として、“パラメータ”の情報、つまり“球速”、“制球”、“キレ”、“ノビ”にそれぞれ対応する“球53、制9、キE、ノA”のパラメータの内容によって定義されるピッチャーが再現される。また、このような再現に伴い、このパラメータの内容(合算内容)は、指示画面70において読み取りエリア61に提示される。
なお、初回プレイの場合(選手カード39を所有していない場合)、各ユーザにはランダムに育成用の選手(プレイ状況に応じたパラメータの変化が生じる選手)が提供され、そのような選手に対応する選手カード39が野球ゲームのプレイ(試合等の実際のプレイ)開始前或いはプレイ後の適宜の時期に発行されてよい。また、そのような初期の選手(パラメータに変化の生じていない選手)が使用される場合、そのような選手の提供に伴い、差分内容(“パラメータ(差分)”によって特定される初期内容からの差分を示す内容)としてゼロ等の初期の内容(パラメータの内容に変化が生じていない状態を示す内容)を持つ差分レコード51Rが生成されてよい。さらに、差分データ51は、常時用意されておく必要はなく、必要に応じて適宜生成されてもよい。具体的には、例えば、各選手のパラメータの内容は、“パラメータ(初期)”を管理する選手データ52と、“パラメータ”(合算内容に対応する内容、換言すれば“パラメータ(初期)”にその後の成長分が加味された内容)を管理する再現データ53とによって管理され、その再現データ53の“パラメータ”から選手データ52の“パラメータ(初期)”を減算することにより必要に応じて適宜差分データ51が生成されてもよい。
次に、野球ゲームに含まれるリセット機能及び複製機能について説明する。リセット機能は、差分データ51によって管理される各選手のパラメータの内容をリセットする機能である。つまり、リセット機能によってプレイ状況に応じて各選手に生じた変化がリセットされる。一方、複製機能は、選手カード39の複製を生成する機能である。より具体的には、複製機能は、“カードID”の情報を除く一部内容が同じ内容となるように、差分データ51の差分レコード51Rの内容を複製する機能である。つまり、複製機能によって他の差分レコード51Rと共通の(同じ)“パラメータ(差分)”の内容等を有する差分レコード51Rがその他の差分レコード51Rとは別の選手カード39に対応するように差分データ51に追加される。
なお、リセット機能及び複製機能は、それぞれ単独で提供されてもよいし、セットで提供されてもよい。例えば、複製機能によって選手カード39の複製が生成された場合には、その複製元の選手カード39に対応する差分レコード51Rの内容がリセットされてもよい。つまり、複製機能及びリセット機能は、それらの組合せにより変化分(成長分)のパラメータの内容(差分内容)があたかも複製元の選手カード39から別の選手カード39(例えば新規発行)に移動するように使用されてもよい。
図10は、リセット機能及び複製機能に伴う差分データ51の内容の変化の一例を具体的に説明するための説明図である。図10の例は、図9の例の差分レコード51R(図10の例の一点鎖線)がリセット機能或いは複製機能の対象である場合を示している。この場合、図10に示すように、リセット機能の使用に伴い、選手カード39のカードID(“1”)に対応する差分データ51の差分レコード51Rが特定され、その差分レコード51Rの“パラメータ(差分)”の内容が“球0、制0、キ0、ノ0”にリセットされる。つまり、その選手カード39の選手のこれまでの変化(成長)の内容が消去され、差分内容の初期の内容(例えば全て変化なしを示す“0”)に戻る。なお、リセット機能は変化の内容の全消去(初期の内容へのリセット)に限定されない。例えば、パラメータの変化前の内容が複数段階(例えばレベル2の段階、レベル3の段階等)に管理されている場合には、リセット機能はそれらの適宜の段階に戻すように機能してよい。
一方、複製機能の使用に伴い、選手カード39のカードID(“1”)に対応する差分データ51の差分レコード51Rが特定され、その差分レコード51Rと同じ“キャラクタID”及び“パラメータ(差分)”の内容を持つ新しい差分レコード51Rが追加される。つまり、一部の情報として、元の選手カード39(カードID“1”の選手カード39)の選手の“キャラクタID”及び“パラメータ(差分)”の情報が複製される。また、この新しい差分レコード51Rには、“カードID”の情報として複製元とは別の“2”の情報が記述される。つまり、複製元と同じ内容の“キャラクタID”及び“パラメータ(差分)”の情報を持つ差分レコード51Rが別の選手カード39に対応するように新しく生成される。なお、新しい選手カード39に対応する選手(キャラクタ)は複製元の選手と同一であってもよいし、相違していてもよい。同一の選手が複製される場合、図10の例のようにパラメータの内容とともに複製元の選手を識別するためのキャラクタIDも同様に複製されてよい。つまり、図10の例のように、別の選手は、選手(キャラクタ)としては元の選手と同じであってもよい。結果として、別の選手として、自己(元の選手自体)を除く別管理の選手の全てが機能してよい。具体的には、例えば差分データ51において元の選手の差分レコード51Rとは別の差分レコード51Rに対応する選手が別の選手として機能してよい。一方で、複製元と相違する選手が複製される場合、ユーザによる選択或いはプレイ状況等の適宜の条件に基づいてキャラクタIDの情報が設定されてよい。
また、図10の例は、複製機能の使用に伴い、所有者に使用が制限される制限付きの新しい選手カード39が生成される場合を示している。この場合、一点鎖線で示される複製元の差分レコード51Rでは“制限”の情報が制限無しを示す“N”である一方で、新しい差分レコード51Rには“制限”の情報として複製元の所有者を示すユーザID(例えば、複製機能の使用にIDカードCDが使用されている場合にはそのIDカードCDに対応するユーザID)の情報が記述される。そして、そのような新しい差分レコード51Rに対応する選手カード39が新しく生成される。この場合、元の選手カード39(カードIDが“1”のもの)に対応する選手が本発明の特定キャラクタとして、新しい選手カード39(カードIDが“2”のもの)に対応する選手が本発明の別のキャラクタとして、それぞれ機能する。
なお、複製機能の使用に伴い新しく生成される選手カード39(“2”のカードIDを持つ選手カード39)に付与される制限は、使用者の制限に限定されない。例えば、このような制限として、期間や回数、或いはプレイ状況(例えば特定の場面等)といった各種の制限が採用されてよい。あるいは、このような制限は省略されてもよい。また、このような新しい選手カード39は、複製元と同種の選手カード39であってもよいし、複製元と種類が相違していてもよい。例えば、複製元の選手カード39に最新のパラメータの内容(差分内容が反映されたもの)が表示されていない場合において、新しい選手カード39(複製によって生成された選手カード39)には、このようなパラメータの内容が表示されていてもよい。つまり、複製元と複製物(新しい選手カード39)とは、表示内容が相違していてもよい。あるいは、複製物には、光沢等の複製元には無い装飾が与えられてもよい。
さらに、複製機能は複製条件が満たされた場合に、リセット機能はリセット条件がみたされた場合に提供されてよい。これらの条件は、例えば、プレイ状況に応じて満たされてもよいし、ユーザの特定の操作によって満たされてもよい。あるいは、それらの組合せによって満たされてもよい。例えば、このような複製条件は、選手カード39に対応する選手のパラメータの内容が最大値まで変化した場合に満たされてよい。一方、リセット条件は、複製物が生成された場合に満たされてもよい。つまり、選手がパラメータの最大値まで成長した場合に、複製機能を利用する操作を通じて、その最大値の選手に対応する選手カード39が装飾等の特別な情報付きで複製元の選手カード39とは別に生成されるとともに、複製元の選手カード39の成長がリセットされてよい。そして、そのような特別な情報付きの選手カード39の使用は所有者に制限されてよい。
次に、図11及び図12を参照して、ゲーム提供部33が実行する再現処理及びパラメータ移動処理の手順を説明する。再現処理は、選手カード39に対応する選手をゲームに再現するための処理である。図11の例は、各選手カード39に制限が設定され得る場合の再現処理の手順の一例を示している。この場合、ゲーム提供部33は、ゲームの開始の要求(例えば所定のゲーム開始操作)に従って選手カード39の配置指示(例えばエントリー画面60の提示)がユーザに案内された後、選手カード39の読み取り終了の指示(例えば所定の終了操作)が実行される等の終了条件が満たされるまで所定の周期毎に繰り返し図11の再現処理を開始し、まず読み取り部36の出力結果に基づいて読み取りエリア61に選手カード39が配置されているか否か判別する(ステップS101)。複数の読み取りエリア61が存在する場合には、複数の読み取りエリア61のいずれかへの配置が選手カード39の配置として判別される。また、この場合、ゲーム提供部33は、配置の有無とともに、選手カード39が配置された読み取りエリア61を特定してよい。読み取りエリア61に選手カード39が配置されていない場合、ゲーム提供部33は以降の処理をスキップして今回の処理を終了する。
一方、読み取りエリア61に選手カード39が配置されている場合、ゲーム提供部33は、読み取り部36の出力結果に基づいて読み取りエリア61の選手カード39からカードIDの情報を取得する(ステップS102)。この取得は、例えばカードIDがコードを介して記録されている場合には、そのコードの読み取り結果に基づいて実現される。続いてゲーム提供部33は、差分データ51を取得する(ステップS103)。具体的には、ゲーム提供部33は、ステップS102で取得したカードIDの情報に対応する差分レコード51Rを特定し、その差分レコード51Rを含むように差分データ51を取得する。
次にゲーム提供部33は、その選手カード39(読み取りエリア61の選手カード39)が制限条件を満たすか否か判別する(ステップS104)。例えば、ゲーム提供部33は、この判別をステップS103で取得した差分データ51の差分レコード51Rに含まれる“制限”の情報に基づいて実行する。例えば選手カード39の制限として使用を所有者に限定する制限が採用されている場合には、ゲーム提供部33は、ゲームを提供対象のユーザ(その選手カード39を使用してゲームをプレイしようとしているユーザ)がその選手カード39の所有者に該当するか否か“制限”の情報に基づいて判別する。具体的には、ゲーム提供部33は、“制限”の情報から取得されるユーザIDとゲームを提供対象のユーザのユーザID(例えばIDカードCDから取得)とが一致しているか否か判別する。また、ゲーム提供部33は、これらのユーザIDが一致していない場合に制限条件を満たすと、一致している場合に制限条件を満たさないと、それぞれ判別する。そして、制限条件が満たされる場合、ゲーム提供部33は以降の処理をスキップして今回の処理を終了する。
一方、制限条件が満たされない場合、ゲーム提供部33は、選手カード39に対応する選手データ52を取得する(ステップS105)。例えばステップS103で取得した差分データ51の差分レコード51Rが“キャラクタID”の情報を含む場合に、この情報を利用してゲーム提供部33は選手データ52を取得する。具体的には、ゲーム提供部33は、“キャラクタID”の情報に基づいて、その選手カード39の選手に対応するキャラクタID及びそのキャラクタIDに対応するパラメータレコード52Rを特定し、そのパラメータレコード52Rを含むように選手データ52を取得する。
続いてゲーム提供部33は、ステップS103で取得した差分データ51及びステップS105で取得した選手データ52に基づいて、再現用のパラメータを生成する(ステップS106)。例えば、ゲーム提供部33は、このような再現用のパラメータとして再現データ53を生成することにより、この生成を実現する。具体的には、ゲーム提供部33は、例えば上述のように選手データ52の初期内容(“パラメータ(初期)”)と差分データ51の差分内容(“パラメータ(差分)”とを合算した合算内容(“パラメータ”)を含むように再現データ53を生成する。次にゲーム提供部33は、ステップS106で生成した再現用のパラメータによって定義される選手をゲームに再現する(ステップS107)。具体的には、ゲーム提供部33は、例えば再現データ53によって定義される選手をゲームに登場させることにより、この再現を実現する。そして、ゲーム提供部33は、選手カード39に対応する選手をゲームに再現した後に今回の処理を終了する。
図11の処理により、読み取りエリア61に配置された選手カード39に対応する選手がゲームに再現される。また、このような再現は、選手データ52及び差分データ51に基づいて実現される。さらに、選手カード39に制限が付加されている場合(制限条件が満たされる場合)には、そのような制限が適用される。具体的には、例えば選手カード39の使用を所有者に限定する制限が付加されている場合には、所有者による選手カード39の使用(それに対応する選手の再現)は許容される一方で、所有者以外による選手カード39の使用は制限される。つまり、所有者以外のユーザがその制限付きの選手カード39を使用しても、その選手カード39に対応する選手の再現は実行されず、そのような選手はゲームに再現されない。
一方、パラメータ移動処理は、特定の選手のパラメータの少なくとも一部をそれが別の選手のパラメータとして機能するようにその特定の選手から別の選手に移動させるための処理である。例えば、このような移動は、上述の複製機能及びリセット機能の組合せによって実現される。つまり、パラメータ移動処理は、複製機能及びリセット機能の一例を実現するための処理として機能する。図12の例は、そのような選手として、選手カード39に対応する選手のパラメータの全変化内容が別の選手に移動し、その別の選手に対応する制限付きの選手カード39が新しく(元の選手カード39とは別に)生成される場合を示している。この場合、ゲーム提供部33は、例えば選手カード39に対応する選手が移動条件を満たした場合に図12のパラメータ移動処理を開始し、まずその選手カード39(移動条件を満たしたもの)に対応するカードIDを取得する(ステップS201)。移動条件として、ゲームのプレイ状況、ユーザの移動を指示する移動操作、或いはこれらの組合せ等の適宜の条件が採用されてよい。例えば、ゲーム提供部33は、選手のパラメータのレベルが最大値(ゲームのプレイ状況の一例)に到った後にカードの印刷を指示する操作(移動操作の一例)が実行された場合に移動条件が満たされる場合に図12の処理を開始し、カードIDを取得する。また、この取得は、読み取りエリア61に選手カード39が配置されている場合には、読み取り部36の出力結果に基づいて実現されてもよい。あるいは、再現処理等を通じて既にカードIDが取得されている場合には、その取得済みのカードIDを今回の処理のために取得することにより実現されてもよい。
続いてゲーム提供部33は、ステップS201で取得したカードIDに対応する差分データ51の差分レコード51Rを特定する(ステップS202)。次にゲーム提供部33は、その特定した差分レコード51Rを複製する(ステップS203)。より具体的には、ゲーム提供部33は、各選手の成長(プレイ状況に応じたパラメータの変化)に関連する情報を共通にする新しい差分レコード51Rを追加する。例えば、このような一部情報として、“パラメータ(差分)”及び“キャラクタID”が採用されてよい。つまり、ゲーム提供部33は、ステップS201で特定した差分レコード51Rの“パラメータ(差分)”及び“キャラクタID”と同じ内容を持つ差分レコード51R(以下、複製差分レコード51Rと呼ぶ場合がある)を差分データ51に新しく追加する。
続いてゲーム提供部33は、その複製差分レコード51Rに新しいカードIDを付与する(ステップS204)。つまり、ゲーム提供部33は、その複製差分レコード51Rが元の選手カード39とも相違するユニークなカードIDに対応するようにその複製差分レコード51Rの“カードID”の情報を更新する。さらに、ゲーム提供部33は、その複製差分レコード51Rに制限を付加する(ステップS206)。具体的には、例えば制限として使用を所有者に限定する制限が付加される場合、ゲーム提供部33は、その複製差分レコード51Rの“制限”の情報に制限内容として元の選手カード39の所有者に対応するユーザIDの情報を記述するように差分データ51を更新することにより、このような付加を実現する。
続いてゲーム提供部33は、対象のパラメータの内容を消去する(ステップS206)。対象のパラメータとして移動元の差分レコード51Rの“パラメータ(差分)”の内容が機能する。具体的には、ゲーム提供部33は、パラメータの移動が実行される場合、対象のパラメータとして機能する複製元(移動元)の差分レコード51R(ステップS201で特定した差分レコード51R)の“パラメータ(差分)”の内容があたかも複製差分レコード51Rに移動したかのようにその複製元の差分レコード51Rの移動内容(全変化分)を消去する。換言すれば、ゲーム提供部33は、複製元の差分レコード51Rの“パラメータ(差分)”の内容を初期の内容に戻す(リセットする)ように差分データ51を更新する。次にゲーム提供部33は、複製差分レコード51Rに対応する新しい選手カード39を生成する(ステップS207)。つまり、ゲーム提供部33は、そのような新しい選手カード39が発行されるように、その新しい選手カード39の印刷に必要なデータをプリンタ38に提供し、印刷を指示する。そして、ゲーム提供部33は、その新しい選手カード39を生成した後に、今回の処理を終了する。
図12の処理により、複製機能及びリセット機能の一例が実現される。具体的には、最大値まで成長した選手カード39のカード化が指示された場合(選手カード39が移動条件を満たした場合)に、選手のパラメータの複製機能を通じて、元の選手カード39の選手と同じ成長分(最大値)のパラメータを持つ選手が複製され、その選手に対応する選手カード39が元の選手カード39とは別に新しく発行される。また、リセット機能を通じて、その新しい選手カード39(複製物)が発行された元の選手カード39の全成長分が消去される。つまり、元の選手カード39の全成長分があたかも新しい選手カード39の選手に移動したかのように初期内容にリセットされる。さらに、その新しい選手カード39には、使用が所有者に限定される制限が付加される。
なお、移動分のパラメータは、全変化分に限定されず、ユーザによる指定或いはプレイ状況等の各種の条件によって適宜に設定されてよい。また、複製機能及びリセット機能は、上述のとおりそれぞれ別々に実現されてもよい。この場合、複製機能は、例えば図12の処理のステップS201〜ステップS205を通じて実現されてもよい。また、この場合において、カードの発行(ステップS207の処理)は実行されてもよいし、実行されなくてもよい。さらに、新しい選手カード39に制限が付加されない場合には、ステップS205の処理は省略されてもよい。また、上述のような制限は、新しい選手カード39ではなく元の選手カード39に付加されてもよいし、それらの両方に付加されてもよい。一方、リセット機能は、例えば図12の処理のステップS201及びステップS206を通じて実現されてよい。
以上に説明したように、この形態によれば、各選手カード39に対応する選手を定義(再現)するためのパラメータの内容は初期内容(選手データ52)及び差分内容(差分データ51)に分けて管理され、それらのいずれの内容も直接的或いは間接的にカードIDと関連付けられている。これにより、同じ選手であっても選手カード39が相違する場合には、それらの選手カード39を異なるカードIDを利用して管理することができる。結果として、各ユーザが同じ選手に対応する複数の選手カード39を所有することを許容することができる。結果として、そのような複数の選手カード39を通じて同じ選手を各種の方法で育成したり、各種のパラメータの内容のバリエーションを楽しんだりすることができる。そして、例えば同じ選手にそれぞれ対応する複数の選手カード39をユーザが所有している場合には、それらのうち成長が不十分、納得できない、新しい育成にチャレンジしてみたい、或いは他のユーザの所有欲の方が自己よりも高いといった各種の要素に基づく不要な選手カード39を他のユーザに譲渡(トレード)することができる。なお、トレードに伴う選手カード39と各ユーザとの関連付けは、例えば常に最新の使用結果に対応するように差分データ51を更新することにより実現されてよい。具体的には、各選手カード39の最後の使用時に、たとえそれが前回までの所有者と相違していたとしてもその選手カード39を使用したユーザにその選手カード39を必ず関連付けるように差分データ51を更新することにより実現されてよい。これにより、トレードによってそれまでの育成状況を他のユーザに引き継ぐことができる。あるいは、トレードに伴い、トレード対象の選手のパラメータは、その選手が新しく育成し直されるように、リセット機能を通じてリセットされ、引き継がれなくてもよい。つまり、トレード対象の選手のパラメータは、そのまま引き継がれてもよいし、各種の機能等を通じて適宜に変化してもよい。
また、選手カード39が印刷物である場合、印刷の経年劣化、折り曲げ、或いは印刷ボケ等の各種の要素によって読み取り精度が低下してしまう可能性がある。一方で、例えば差分データ51を通じて各選手カード39をカードIDだけでなくユーザIDとも関連付けて管理することにより、読み取り対象のカードIDの情報をそのユーザIDに関連付けられるカードID(例えばそのユーザが所有する選手カード39)に限定することができる。これにより、上述のような読み取り精度が低下している場合でも、より確実にまたより早期に選手カード39に対応するカードIDを特定することができる。
また、リセット機能が使用される場合、リセット条件が満たされたときには差分データ51の差分内容が初期の内容(差分内容として管理されるべきパラメータの変化が生じていないことを示す内容)に戻されるので、各選手は選手データ52によって管理されるパラメータの内容、つまりパラメータの初期内容によって再現される。これにより、リセット条件を利用して、各選手のパラメータの変化をリセットすることができるので、その育成を初期内容からやり直すことができる。
同様に、複製機能が使用される場合、複製条件が満たされたときにはその複製条件を満たした選手カード39と同様のパラメータの内容を管理する別の差分レコード51R(複製差分レコード51R)が生成され、その別の差分レコード51Rに関連付けられる別の選手カード39が生成される。このため、その別の選手カード39が使用される場合には、元の選手カード39と同様のパラメータを持つ選手をゲームに再現することができる。これにより、その別の選手カード39を元の選手カード39のパラメータの内容の複製として機能させることができる。つまり、このような複製条件を利用して、その複製条件を満たした選手カード39を基準にそれと同様のパラメータの内容を持つ別の選手カード39を複製することができる。このため、それらのいずれにも特別の制限が付加されていない場合には、それらの選手カード39のうちのいずれか一方を仮にトレードしたとしても、他方の選手カード39が手元に残るため、その他方の選手カード39を利用してトレードした一方の選手カード39に対応する選手と同様のパラメータの内容を持つ同様の選手をゲームにおいて継続的に使用することができる。結果として、そのような選手カード39のトレードを促進することができる。さらに、特殊絵柄や特殊印刷等を通じて特別の装飾を含む複製物が生成される場合には、そのような選手カード39を他の選手カード39と差別化することができる。また、そのような特別な選手カード39を殿堂入りカード等として特別な管理を促すこともできるので、コレクション性をより高めることができる。
一方、複製物の生成に伴い、複製元或いは複製物の少なくともいずれか一方に制限が設けられる場合、このような制限を利用して無制限の複製を抑制することができる。特に、元の選手のパラメータの内容が最大値まで変化している場合等、基準となるパラメータの内容の魅力が高い場合(元の選手が特別な場合)、複製物等の無制限の使用を認めてしまうと、このような特別の選手(或いはその選手に対応する選手カード39)の希少性が薄れてしまうので、その魅力を却って低下させてしまう可能性がある。このような場合に、複製物等に対する制限を利用して、このような魅力の低下を抑制することができる。例えば、これらの複製物等に複製後にユーザIDの情報を付加することにより、そのようなユーザIDを基準にした各種の制限を複製物等に設けることができる。具体的には、例えば、このようなユーザIDとして複製物の所有者に対応するユーザIDを利用することにより、その複製物のゲームでの使用を所有者に限定する等の所有者を基準とした各種の制限を設けることができる。これにより、複製物等の魅力の低下を抑制することができる。
さらに、複製機能とリセット機能とが組み合わされて使用される場合には、パラメータの内容の移動を実現することができる。具体的には、例えば移動条件が満たされた場合には、その移動条件を満たした選手のパラメータの内容が複製及びリセットを通じて別の選手(別のカードIDに対応する選手)に移動される。これにより、このような移動を通じて別の選手のパラメータの内容を変化させることができる。より具体的には、別の選手はその移動条件を満たした選手からパラメータの内容の一部を譲りうけることにより、自己のパラメータの内容を増加させることができる。結果として、プレイ結果(プレイを通じた育成)だけでなく、このような移動によってもパラメータの内容を変化させることができるので、パラメータの内容を変化させるための選択肢を増やすことができる。また、仮に選手のパラメータの内容が最大値に達していたとしても、その選手のパラメータの内容を別の選手に移動させることにより最大値から減少させることができる。結果として、そのような減少に伴い、再度その選手(パラメータの内容が最大値まで達していた選手)を育成する(プレイ状況に応じてパラメータの内容を変化させる)ことができる。つまり、そのようなパラメータの内容が最大値に達していた選手にも、育成し直し等の目的で再度プレイに使用される余地(パラメータの内容の変更し直しという選択肢)を与えることができる。また、複製機能が単独で使用される場合に比べて、複製に伴いパラメータの内容が重複的に存在してしまうことを避ける(パラメータの内容のユニーク性を担保する)ことができる。そして、パラメータの内容の移動先に対応する選手カード39が新しく生成される場合には、そのような移動(複製及びリセット)を通じて、パラメータの内容を別の選手カード39に移動させることができるので、その別の選手カード39の魅力を向上させることができる。これらにより、選手カード39の魅力を向上させることができるので、ひいてはゲームの興趣性を向上させることができる。
以上の形態において、ゲーム機3のゲーム提供部33が、図12の手順を実行することにより本発明の内容特定手段及びデータ更新手段として機能する。具体的には、ゲーム提供部33は、図12の手順のステップS202を実行することにより内容特定手段として、図12の手順のステップS203及びステップS206を実行することによりデータ更新手段として、それぞれ機能する。同様に、ゲーム提供部33は、図12の手順のステップS201を実行することにより本発明の情報取得手段として機能する。一方、ゲーム機3の記憶部32が差分データ51及び選手データ52(パラメータデータ)を記憶することにより本発明のデータ記憶手段として機能する。
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、選手データ52は差分データ51のキャラクタIDを介して間接的にカードIDに関連付けられている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、選手データ52の各パラメータレコード52RもカードIDの情報を含み、カードID毎にパラメータの初期内容を管理するように構成されてもよい。つまり、選手データ52の各パラメータレコード52RもカードIDに直接的に関連づけられていてもよい。同様に、上述の形態では、読み取り精度向上のために、ユーザIDを利用して読み取り対象の選手カード39に対応すべきカードIDの候補の絞り込みを事前に行っている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、このような絞り込みは省略されてもよい。つまり、差分データ51はユーザIDの情報を含んでいなくてもよい。
また、ゲーム機3はアーケードゲーム機に限定されず、ユーザ端末装置4等がゲーム機3として利用されてもよい。また、ゲーム機3はユーザ端末装置4等を遠隔入出力装置として利用しつつセンターサーバ2等のサーバ上で仮想的に動作するゲーム装置として構成されてもよい。さらに、ゲーム装置がセンターサーバ2として機能してもよい。つまり、上述の形態のセンターサーバ2の役割(各種処理等)の全部或いは一部をゲーム機3等のゲーム装置が実行してもよい。一方で、センターサーバ2は省略されてもよい。この場合、一台のゲーム機3が本発明のゲームシステムとして機能してよい。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する部材を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明のゲームシステムは、各キャラクタを定義するパラメータの内容がプレイ状況に応じて変化するゲームを提供するゲームシステム(1)であって、各キャラクタを特定するための特定情報(例えばカードID或いはキャラクタID)と前記パラメータの内容の情報とが関連付けられるように記述されたパラメータデータ(51、52)を記憶するデータ記憶手段(32)と、各キャラクタが移動条件を満たした場合に、当該移動条件を満たしたキャラクタとしての特定キャラクタの前記パラメータの内容を特定する内容特定手段(33)と、前記内容特定手段の特定結果に基づいて、前記パラメータの内容の一部が前記特定キャラクタから別のキャラクタに移動するように、前記パラメータデータを更新するデータ更新手段(33)と、を備えるものである。
本発明によれば、移動条件が満たされた場合、その移動条件を満たしたキャラクタのパラメータの内容の一部が別のキャラクタに移動される。これにより、このような移動を通じて別のキャラクタのパラメータの内容を変化させることができる。より具体的には、別のキャラクタはその移動条件を満たしたキャラクタからパラメータの内容の一部を譲り受けることにより、自己のパラメータの内容を増加させることができる。結果として、プレイ結果だけでなく、このような移動によってもパラメータの内容を変化させることができるので、パラメータを変化させるための選択肢を増やすことができる。また、仮にキャラクタのパラメータの内容が最大値に達していても、そのキャラクタのパラメータの内容を他のパラメータに移動させることにより最大値から減少させることができる。結果として、そのような減少に伴い、そのパラメータの内容が最大値まで達していたキャラクタのパラメータの内容を再度プレイ状況に応じて変化させることができる。つまり、パラメータの内容が最大値に達したキャラクタにも、育成し直し等、パラメータの変化の対象として再度プレイに使用される余地を与えることができる。これらにより、ゲームの興趣性を向上させることができる。
なお、移動対象として機能するパラメータの内容の一部は、所定の範囲(例えばプレイ状況に応じて変化した全部分等)に予め設定されていてもよいし、プレイ状況或いはユーザの指定等の所定の条件に応じて適宜に設定されてもよい。また、各キャラクタを特定できる限り、特定情報として、キャラクタIDの情報やカードIDの情報等の各種の情報が使用されてよい。さらに、別のキャラクタは、キャラクタとしては特定キャラクタと同じであってもよい。例えば、Aキャラクタのパラメータが、このAキャラクタとは別に管理される同じAキャラクタに移動されてもよい。つまり、別のキャラクタとして、自己(特定キャラクタ自体)を除く別管理のキャラクタの全てが機能してよい。具体的には、例えば各キャラクタを識別するための情報とは別の情報(例えば差分データ51のカードIDの情報等)を介して特定キャラクタのパラメータのレコード(情報)が管理される場合に、そのような特定キャラクタのパラメータのレコードとは別のレコードに対応するキャラクタが別のキャラクタとして機能してよい。
ゲームでは、各種のキャラクタが使用されてよい。例えば、各キャラクタは、各キャラクタに対応する記録媒体を通じてゲームに再現されてもよい。あるいは、このような記録媒体は省略され、ゲーム内でのみ管理されてもよい。また、各キャラクタに対応する記録媒体が存在する場合、各キャラクタに対応するパラメータの内容は、その内容が特定できる限り、各記録媒体に対応する各種の情報を介して管理されてよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様として、各記録媒体(39)を識別するために記録媒体毎にユニークな媒体情報(例えばカードID)を記録する各記録媒体を介して各記録媒体の前記媒体情報を取得する情報取得手段(33)を更に備え、前記パラメータデータには、前記媒体情報を介して各記録媒体がキャラクタに対応するように、前記特定情報として前記媒体情報が記述されている態様が採用されてもよい。
また、移動対象として機能するパラメータの内容の一部は、移動元のキャラクタが消滅しない限り、適宜に設定されてよい。例えば、記録媒体が利用される本発明の一態様において、前記内容特定手段は、前記パラメータの変化前の内容の情報と前記媒体情報とが関連付けられるように記述された変化前パラメータデータ(52)と、前記パラメータの変化前後の差分を示す差分内容の情報と前記媒体情報とが関連付けられるように記述された差分パラメータデータ(53)と、を前記パラメータデータが含む場合に、前記差分内容を前記特定キャラクタの前記パラメータの内容として特定し、前記データ更新手段は、前記差分内容の少なくとも一部が前記特定のキャラクタから前記別のキャラクタに移動するように、前記差分パラメータデータを更新してもよい。
なお、例えば変化前パラメータデータのパラメータの変化前の内容と媒体情報との関連付けは、変化前の内容と媒体情報とが直接的に関連付けられる場合だけでなく、間接的に関連付けられる場合を含んでいる。具体的には、このような間接的な関連付けとして、例えば媒体情報がキャラクタ毎にユニークなキャラクタIDと関連付けられて管理されている(例えば差分パラメータデータによって管理されてもよいし、別のデータによって管理されてもよい)場合、このようなキャラクタIDと変化前の内容とが変化前パラメータデータに関連付けられるように記述されていてもよい。つまり、このようなキャラクタIDを介して間接的に変化前の内容と媒体情報とが関連付けられてもよい。
一方、本発明のコンピュータプログラム(PG2)は、前記ゲームを提供するための出力装置(11)と、各ユーザのプレイ行為を入力するための入力装置(12)と、を備えるコンピュータ(31)を、上述のゲームシステムの各手段として機能させるように構成されたものである。本発明のコンピュータプログラムが実行されることにより、本発明のゲームシステムを実現することができる。