JP2019091086A - 液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】低温で硬化させることができ、保存安定性及び接着性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供する。また、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供する。【解決手段】硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、前記硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、チオール基を有する化合物とを含有し、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物全体のエチレン性不飽和結合当量が320g/mol以上である液晶表示素子用シール剤。【選択図】なし

Description

本発明は、低温で硬化させることができ、保存安定性及び接着性に優れる液晶表示素子用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法は、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、従来の真空注入方式から、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されているような光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有する光、熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式にかわっている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。小型化の手法として、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
しかしながら、滴下工法で狭額縁設計の液晶表示素子を製造すると、ブラックマトリックスによりシール部に光の当たらない箇所が存在するため、充分に光照射されず硬化が進行しない硬化性樹脂の部分が生じ、仮硬化工程後に未硬化の硬化性樹脂等が溶出してしまい、液晶が汚染されるという問題があった。
特開2001−133794号公報 国際公開第02/092718号
本発明は、低温で硬化させることができ、保存安定性及び接着性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、上記硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、チオール基を有する化合物とを含有し、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物全体のエチレン性不飽和結合当量が320g/mol以上である液晶表示素子用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、硬化性樹脂等の溶出による液晶汚染を防止するために、低温で速やかに硬化するシール剤を用いることを考え、種々の系を検討した。しかしながら、低温で速やかに硬化するシール剤は、保存安定性に劣るものとなりやすいという問題があった。
そこで本発明者は鋭意検討した結果、エチレン性不飽和結合当量が特定量以上となるようにしたエチレン性不飽和結合を有する化合物と、チオール基を有する化合物(以下、「チオール化合物」ともいう)とを組み合わせて用いることにより、低温で硬化させることができ、保存安定性及び接着性に優れる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
特に、光照射によるシール剤の仮硬化を行った後に加熱による本硬化を行う場合、本発明の液晶表示素子用シール剤は、仮硬化後のガラス転移温度が低くなるため、低温での加熱により本硬化を行うことができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する。上記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、チオール化合物と低温で速やかに反応(エンチオール反応)する。また、チオール化合物との反応後に残ったエチレン性不飽和結合を有する化合物は、該エチレン性不飽和結合を有する化合物同士でラジカル重合反応する。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物全体のエチレン性不飽和結合当量の下限は320g/molである。上記エチレン性不飽和結合当量が320g/mol以上であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、光照射による仮硬化後のガラス転移温度が低くなるため、低温での加熱により本硬化を行うことができるものとなる。上記エチレン性不飽和結合当量が320g/mol未満であると、得られる液晶表示素子用シール剤が接着性に劣るものとなったり、低温で速やかに硬化させることが困難となったりする。上記エチレン性不飽和結合当量のより好ましい下限は400g/molである。
また、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物全体のエチレン性不飽和結合当量の好ましい上限は600g/molである。上記エチレン性不飽和結合当量が600g/molを超えると、得られる液晶表示素子用シール剤が塗布性に劣るものとなったり、架橋密度が低くなって耐湿性に劣るものとなったりすることがある。
なお、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物全体のエチレン性不飽和結合当量は、エチレン性不飽和結合を有する化合物全体の重量(g)を、エチレン性不飽和結合を有する化合物全体中に含まれるエチレン性不飽和結合のモル数(mol)で除して求められる値である。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル化合物が好適に用いられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
上記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、イソシアネート化合物に水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られるものが挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートの原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
上記エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記イソシアネート化合物に水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、2つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネート化合物としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレートや、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレートや、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL8803、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL1290、EBECRYL5129、EBECRYL4842、EBECRYL210、EBECRYL4827、EBECRYL6700、EBECRYL220、EBECRYL2220(いずれもダイセル・オルネクス社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(いずれも共栄社化学社製)等が挙げられる。
また、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物として、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を用いてもよい。
なお、本明細書において上記「部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂」とは、1分子中に1個以上のエポキシ基と1個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を意味する。
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の一部のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
低温でのチオール化合物との反応性に優れることから、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、ラクトンの開環構造を有することが好ましい。
上記ラクトンの開環構造の由来となるラクトンとしては、例えば、γ−ウンデカラクトン、ε−カプロラクトン、γ−デカラクトン、σ−ドデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−バレロラクトン、σ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、σ−ヘキサノラクトン、7−ブチル−2−オキセパノン等が挙げられる。
なかでも、開環したときに主骨格の直鎖部分の炭素数が5〜7となるものが好適であり、ε−カプロラクトンがより好適である。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物のうち、ラクトンの開環構造を有するものとしては、上記エポキシ(メタ)アクリレートの骨格中にラクトンの開環構造を導入したものが好ましい。上記エポキシ(メタ)アクリレートの骨格中にラクトンの開環構造を導入したものとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019091086
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは下記式(2−1)又は(2−2)で表される基を表し、Rは酸無水物由来の構造を表し、Rはエポキシ化合物由来の構造を表し、Xはラクトンの開環構造を表し、nは1〜5の整数を表し、aは1〜4の整数を表す。
Figure 2019091086
式(2−2)中、bは0〜8の整数を表し、cは0〜3の整数を表し、dは0〜8の整数を表し、eは0〜8の整数を表し、b、c、dのいずれか1つは1以上である。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量は、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物と上記チオール化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限が50重量部、好ましい上限が90重量部である。上記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が50重量部未満であると、光硬化性が不充分となり液晶を汚染したり、得られる液晶表示素子用シール剤の保存安定性が悪くなったりすることがある。上記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が90重量部を超えると、接着性が不充分となり、得られる表示素子に剥がれ等の不良が生じたり、低温での硬化性が低下し、硬化不良により液晶を汚染したりすることがある。上記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量のより好ましい下限は55重量部、より好ましい上限は85重量部である。
上記硬化性樹脂は、チオール化合物を含有する。上記チオール化合物は、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物と低温で速やかに反応する。
上記チオール化合物は、1分子中に2個以上のチオール基を有することが好ましい。即ち、2官能チオール化合物や、3官能チオール化合物や、4官能以上のチオール化合物であることが好ましい。
上記チオール化合物のうち、2官能チオール化合物としては、例えば、エチレングリコールジメルカプトプロピオネート、ジエチレングリコールジメルカプトプロピオネート、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、ビス−(2−メルカプトエチル)スルフィド、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、グリコールジメルカプトアセテート、グリコールジメルカプトプロピオネート エチレンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールジメルカプトアセテート、ポリエチレングリコールジ−(3−メルカプトピロピオネート)、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ビスフェノフルオレンビス(エトキシ−3−メルカプトプロピオネート)、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、2−メルカプトメチル−2−メチル−1,3−プロパンジチオール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、チオグリセロールビスメルカプト−アセテート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられる。
上記チオール化合物のうち、3官能チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン(トリスメルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトアセテート)、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
上記チオール化合物のうち、4官能以上のチオール化合物としては、例えば、ポリ(メルカプトプロピルメチル)シロキサン、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオールペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
なかでも、反応性と保存安定性との両方に優れることから、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が好ましい。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物と上記チオール化合物との合計100重量部中における上記チオール化合物の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は50重量部である。上記チオール化合物の含有量が10重量部未満であると、接着性が不充分となり、得られる表示素子に剥がれ等の不良が生じたり、低温での硬化性が低下し、硬化不良により液晶を汚染したりすることがある。上記チオール化合物の含有量が50重量部を超えると、光硬化性が不充分となり液晶を汚染したり、得られる液晶表示素子用シール剤の保存安定性が悪くなったりすることがある。上記チオール化合物の含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は45重量部である。
上記エチレン性不飽和結合を有する化合物のエチレン性不飽和結合1.0molに対する上記チオール基を有する化合物のチオール基のモル数は、1.0mol以下であることが好ましい。上記エチレン性不飽和結合1.0molに対する上記チオール基のモル数が1.0molを超えると、得られる液晶表示素子用シール剤の保存安定性が悪くなることがある。上記エチレン性不飽和結合1.0molに対する上記チオール基のモル数0.5mol未満であることがより好ましい。
上記硬化性樹脂は、接着性を向上させること等を目的として、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物及び上記チオール化合物以外の他の硬化性樹脂を含有してもよい。
上記他の硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、例えば、上述したエポキシ(メタ)アクリレートの原料となるエポキシ化合物等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、ラジカル重合開始剤を含有する。
上記ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン系化合物等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACUREOXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF社製)、NCI−930(ADEKA社製)、SPEEDCURE EMK(日本シーベルヘグナー社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。なかでも、高分子アゾ開始剤が好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ開始剤とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化反応させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量が1000未満であると、高分子アゾ開始剤が液晶に悪影響を与えることがある。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量が30万を超えると、硬化性樹脂への混合が困難になることがある。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。このような高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記重合開始剤の含有量が0.01重量部未満であると、重合反応を充分に進行させることができないことがある。上記重合開始剤の含有量が10重量部を超えると、保存安定性が低下することがある。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限が5重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱硬化剤を含有してもよい。
上記熱硬化剤としては、低温で硬化させる観点から、融点が170℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。また、保存安定性の観点から、上記熱硬化剤の融点は100℃以上であることが好ましい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。なかでも、融点が低いことから、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、マロン酸ジヒドラジドが好ましい。
上記固形の有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、SDH(日本ファインケム社製)、MDH、ADH(いずれも大塚化学社製)、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部未満であると、本発明の液晶表示素子用シール剤を充分に熱硬化させることができないことがある。上記熱硬化剤の含有量が50重量部を超えると、本発明の液晶表示素子用シール剤の粘度が高くなり、塗工性が悪化することがある。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等を目的として、充填剤を含有してもよい。
上記充填剤としては、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト、活性白土、窒化アルミニウム等の無機充填剤や、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機充填剤が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記充填剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は70重量部である。上記充填剤の含有量が5重量部未満であると、接着性の改善等の効果が充分に発揮されないことがある。上記充填剤の含有量が70重量部を超えると、得られる液晶表示素子用シール剤の粘度が高くなりすぎ、塗工性が悪化することがある。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は60重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部未満であると、シランカップリング剤を配合することによる効果が充分に発揮されないことがある。上記シランカップリング剤の含有量が20重量部を超えると、得られる液晶表示素子用シール剤が液晶汚染を引き起こすことがある。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は10重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
上記チタンブラックは、波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶表示素子用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。本発明の液晶表示素子用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N(いずれも三菱マテリアル社製)、ティラックD(赤穂化成社製)等が挙げられる。
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5μmである。上記遮光剤の一次粒子径が1nm未満であると、得られる液晶表示素子用シール剤の粘度やチクソトロピーが大きく増大してしまい、作業性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径が5μmを超えると、得られる液晶表示素子用シール剤の基板への塗布性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量が5重量部未満であると、充分な遮光性が得られないことがある。上記遮光剤の含有量が80重量部を超えると、得られる液晶表示素子用シール剤の基板に対する密着性や硬化後の強度が低下したり、描画性が低下したりすることがある。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部であり、更に好ましい下限は30重量部、更に好ましい上限は60重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、更に、必要に応じて、応力緩和剤、粘度調整のための反応性希釈剤、パネルギャップ調整のためのポリマービーズ等のスペーサー、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他のカップリング剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の液晶表示素子用シール剤を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、チオール化合物と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、必要に応じて添加するシランカップリング剤等とを混合する方法等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤における、E型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度の好ましい下限は1万mPa・s、好ましい上限は100万mPa・sである。上記粘度が1万mPa・s未満であったり、100万mPa・sを超えたりすると、液晶表示素子用シール剤を基板等に塗布する際の作業性が悪くなることがある。上記粘度のより好ましい上限は50万mPa・sである。
本発明の液晶表示素子用シール剤に導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子は特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、液晶滴下工法を用いることができる。具体的には例えば、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤等をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する工程、本発明の液晶表示素子用シール剤等が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ね合わせる工程、及び、本発明の液晶表示素子用シール剤等のシールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を有する方法等が挙げられる。また、本発明の液晶表示素子用シール剤を硬化させる際には、光照射のみ又は加熱のみによって硬化させる方法を用いてもよい。
本発明によれば、低温で硬化させることができ、保存安定性及び接着性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
硬化性樹脂として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、「KRM7985」)20重量部、カプロラクトン変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、「EBECRYL3708」)35重量部、部分メタクリル変性ビスフェノールE型エポキシ樹脂(ダイセル・オルネクス社製、「KRM8276」)30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON EXA−850CRP」)17重量部、及び、3官能チオール化合物である1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(昭和電工社製、「カレンズMT NR1」)2重量部と、光ラジカル重合開始剤として1−(4−(フェニルチオ)フェニル)−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)(BASF社製、「IRGACURE OXE01」)2重量部と、熱硬化剤としてマロン酸ジヒドラジド(大塚化学社製、「MDH」、融点150℃)5重量部と、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−403」)2重量部と、応力緩和剤としてコアシェルアクリレート共重合体微粒子(ゼオン化成社製、「F351」)15重量部と、充填剤としてシリカ(アドマテックス社製、「アドマファインSO−C2」)20重量部とを、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更にセラミック3本ロールを用いて混合することにより、液晶表示素子用シール剤を調製した。
(実施例2〜16、比較例1〜3)
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を、実施例1と同様にして、遊星式撹拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて撹拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合して実施例2〜16、比較例1〜3の液晶表示素子用シール剤を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
(保存安定性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について、25℃で1週間保管したときの粘度と、製造直後の初期粘度とを測定し、(25℃、1週間保管後の粘度)/(初期粘度)を粘度変化率とし、粘度変化率が1.1未満であるものを「○」、1.1以上2.0未満であるものを「△」、2.0以上、又は、作製直後に硬化したものを「×」として保存安定性を評価した。
なお、シール剤の粘度は、E型粘度計(BROOK FIELD社製、「DV−III」)を用い、25℃において回転速度1.0rpmの条件で測定した。
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)にてガラス基板(150mm×150mm)の端から30mm内側四方にディスペンスし、別のガラス基板(110mm×110mm)を真空下で重ねて貼り合わせた。高圧水銀ランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒間照射してシール剤を仮硬化させ、次いで、80℃で1時間加熱してシール剤を熱硬化させ、接着試験片を得た。
得られた接着試験片の基板の端部を半径5mmの金属棒を使って5mm/minの速度で押し込んだときに、パネル剥がれが起こる際の強度(Kgf)を測定し、接着力(kg/cm)を算出した。接着力が200kg/cm以上であった場合を「○」、接着力が200kg/cm未満150kg/cm以上であった場合を「△」、接着力が150kg/cm未満であった場合を「×」として接着性を評価した。
(低温硬化性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について、100mW/cmの紫外線を30秒間照射した後、80℃で1時間加熱して熱硬化させた時のエチレン性不飽和結合の反応率を測定し、反応率が90%以上であるものを「○」、90%未満80%以上であるものを「△」、80%未満であるものを「×」として低温硬化性を評価した。
なお、エチレン性不飽和結合の反応率は、FT−IR測定器(Agilent Technologies社製、「UMA600」)を用いて測定した。
(液晶表示素子の表示性能)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部にスペーサー微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」、粒子径5μm)1重量部を分散させ、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付き基板の一方にシール剤の線幅が1mmの枠状となるようにディスペンサーで塗布した。
続いて液晶(チッソ社製、「JC−5004LA」)の微小滴を基板のシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の基板を貼り合わせ、100mW/cmの紫外線を30秒間照射した後、80℃で1時間加熱して液晶表示素子を得た。得られた液晶表示素子の外観を観察し、表示ムラが観察されなかった場合を「○」、わずかに表示ムラが観察された場合を「△」、表示ムラがはっきりと観察された場合を「×」として液晶表示素子の表示性能を評価した。
Figure 2019091086
Figure 2019091086
本発明によれば、低温で硬化させることができ、保存安定性及び接着性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。

Claims (7)

  1. 硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、
    前記硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、チオール基を有する化合物とを含有し、
    前記エチレン性不飽和結合を有する化合物全体のエチレン性不飽和結合当量が320g/mol以上である
    ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
  2. エチレン性不飽和結合を有する化合物は、ラクトンの開環構造を有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
  3. エチレン性不飽和結合を有する化合物のエチレン性不飽和結合1.0molに対するチオール基を有する化合物のチオール基のモル数が1.0mol以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤。
  4. 融点が170℃以下の熱硬化剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用シール剤。
  5. 遮光剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用シール剤。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の液晶表示素子用シール剤と、導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
  7. 請求項1、2、3、4若しくは5記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項6記載の上下導通材料を用いて製造されることを特徴とする液晶表示素子。
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