JP2019089557A - ステアリング装置 - Google Patents

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daiki Orihara
大輝 折原
宏 垣田
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宏 垣田
修 栗原
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修 栗原
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Abstract

【課題】ステアリングホイールから車体への新たな通電経路の確保を可能としたステアリング装置を提供する。【解決手段】軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、 軸方向の相対移動を可能に嵌合したアウタコラムとインナコラムとを含み、ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、インナコラムに固定された係合部材と、を備え、アウタコラムは、係合部材を収容して係合部材を介してインナコラムの回転を防止するとともに、軸方向に延び、インナコラムの軸方向移動を案内するガイド溝と、ガイド溝の端部に配置され係合部材と当接することによりインナコラムの車両後方へのテレスコピック調整範囲を規定する車両後方側部分を含み、ガイド溝が、係合部材と対向する底部を有するものとする。【選択図】図3

Description

本発明は、自動車などに搭載されるステアリング装置に係り、詳しくは、ステアリングホイールに装着される電装品の通電経路を確保する技術に関する。
近年の自動車では、事故時にステアリングホイールに二次衝突することで運転者が受ける衝撃を緩和すべく、インナコラムとアウタコラムとの2部品より成るステアリングコラムが縮まることによって二次衝突エネルギを吸収するステアリング装置が広く採用されている。この種のステアリング装置においては、インナコラムとアウタコラムとが軸方向に相対摺動することにより、ステアリングホイールが車両前方へ移動し、インナコラムとアウタコラムとの間に設けられたエネルギ吸収手段によって二次衝突エネルギが吸収される。
例えば、特許文献1に記載のステアリング装置においては、ロア側に配置されたアウタコラムがチルトブラケットやチルトピボットを介して車体に取り付けられ、アッパ側に配置されたインナコラムは締付機構による締め付けによってアウタコラムに保持されている。このステアリング装置は、アウタコラムに対するインナコラムの進入可能量がテレスコピック調整ストロークよりも大きく設定されており、二次衝突時には締付機構の締付摩擦力に抗してインナコラムが車両前方側へ移動する。
このようなステアリング装置においては、体重の軽い運転者がステアリングホイールに衝突した際の二次衝突エネルギをスムーズに吸収することが求められている。これを実現するためには、締付機構による締付力を小さくすることが考えられるが、当該締付力を小さくした場合、インナコラムの保持力が低下し、インナコラムとアウタコラムの嵌合部にガタが生じやすくなる。そこで、特許文献1ではインナコラムの外周面あるいはアウタコラムの内周面にコーティングなどによる低摩擦材処理を施し、締付力を小さくすることなく締付摩擦力を減少させている。
また、テレスコピック式のステアリング装置において、ステアリングシャフトは、操舵トルクの伝達とテレスコピック調整とを両立すべく、一般に、ステアリングコラム内でスプライン結合されたインナシャフトとアウタシャフトとによって構成される。この場合、雄スプラインと雌スプライン間の微少隙間に起因するガタ音の発生を防止するため、両スプラインの一方には樹脂コーティングが施されることがある。
国際公開WO2004/000627号公報
自動車のステアリングホイールにはホーンやエアバッグなどの電装部品が取り付けられており、これら電装部品の多くがボディアースであることから、ステアリングホイールから車体までの通電経路を確保する必要がある。
ところが、上述のようにアウタコラムの内周面又はインナコラムの外周面に低摩擦材コーティングが施されると、当該コーティングによってインナコラムとアウタコラムとの接触面を経由した通電経路による通電が困難となる。また、ステアリングシャフトのスプライン嵌合部に樹脂コーティングが施されると、当該樹脂コーティングによってスプライン嵌合部を経由した通電経路による通電が困難となる。
上記問題に鑑み、本発明は、ステアリングホイールから車体への新たな通電経路の確保を可能としたステアリング装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、
軸方向の相対移動を可能に嵌合したアウタコラムとインナコラムとを含み、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、
前記インナコラムに固定された係合部材と、を備え、
前記アウタコラムは、前記係合部材を収容して前記係合部材を介して前記インナコラムの回転を防止するとともに、軸方向に延び、前記インナコラムの軸方向移動を案内するガイド溝と、前記ガイド溝の端部に配置され前記係合部材と当接することにより前記インナコラムの車両後方へのテレスコピック調整範囲を規定する車両後方側部分を含み、
前記ガイド溝が、前記係合部材と対向する底部を有するステアリング装置を提供する。
これにより、ステアリングホイールから車体への新たな通電経路の確保が可能となる。
好ましくは、前記ガイド溝は、前記係合部材を挿通可能であり、
テレスコ調整において前記インナコラムを最も車両前方側に移動させた際、前記係合部材の車両前方側に前記ガイド溝が位置する。
また、好ましくは、二次衝突により前記インナコラムが最も車両前方側に移動した際、前記係合部材の車両後方側に前記ガイド溝が位置する。
また、好ましくは、前記係合部材は、導電性を有し、前記底部に通電接触する弾性部を一体に備えた通電プレートを有し、
前記アウタコラムは車体へ通じる通電経路の一部を構成し、
前記インナコラムと前記アウタコラムとは、前記係合部材及び前記通電プレートを介して通電可能に構成されている。
本発明のステアリング装置によれば、ステアリングホイールから車体への新たな通電経路の確保を可能としたステアリング装置を提供することができる。
実施形態に係るステアリング装置を用いたステアリング機構を左斜め前方から見た斜視図である。 実施形態に係るステアリング装置を左斜め前方から見た斜視図である。 実施形態に係るステアリング装置を左斜め前方から見た一部分解斜視図である。 実施形態に係るステアリング装置の平面図である。 実施形態に係るステアリング装置の縦断面図である。 図5に記載のA−A切断面を示す断面図である。 実施形態に係るステアリング装置のアッパストッパ周辺の拡大断面図である。 図5に記載のB−B切断面を示す断面図である。
以下、本発明をチルト・テレスコピック調整式のラックアシスト型電動パワーステアリング機構(以下、単にステアリング機構と記す)に用いるステアリング装置に適用した実施形態およびその一部変形例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ステアリング機構やステアリング装置の説明にあたっては、図面中に前後・左右・上下を矢印で示し、各部材の位置や方向をこれに沿って説明する。これらの方向は、ステアリング装置を車両に搭載した状態における車両の方向と一致している。
(全体構成)
図1は本願の実施形態に係るステアリング装置2を用いたステアリング機構1を斜め前方から見た斜視図である。図1に示すように、本実施形態のステアリング装置2は、ステアリングホイール101の操作に要する力を軽減するために、ステアリングコラムに軸支されたステアリングシャフト3および中間シャフト102を介してステアリングギヤ103に伝達された操舵力を電動アシスト機構104でアシストし、図示しないラックを左右に往復運動させることでラックに連結した左右のタイロッド105を介して前輪を転舵する。
図2は、本願の実施形態に係るステアリング装置2を左斜め前方から見た斜視図である。図2に示すように、ステアリング装置2は、操舵力を伝達するステアリングシャフト3と、ステアリングコラムの前方部分を構成するアルミ合金ダイキャスト成型品で筒状のアウタコラム10と、ステアリングコラムの後方部分を構成する鋼管製のインナコラム11と、アウタコラム10を車体に支持するチルトブラケット12とを主要構成要素としている。
アウタコラム10は、インナコラム11の外径よりも僅かに大きい内周面13(図5に図示)を有し、車両後方側からインナコラム11の前方部分が挿入されている。
アウタコラム10は、その前端上部に左右方向に貫通するボス孔22aに鋼管製のカラー21を保持したピボットボス22を有しており、カラー21に挿入されるピボットボルトを介して回動可能に車体100に取り付けられる。
アウタコラム10は、その上部に、導電性を有する金属材料から成り、軸方向に長い通電カバー15が取り付けられている。
図3は、本願の実施形態に係るステアリング装置2を左斜め前方から見た一部分解斜視図である。図3は、通電カバー15、後述する通電プレート40、及び後述する段付低頭ボルト35を取り外した状態を示している。
図3に示すとおり、通電カバー15は、軸方向に長い薄板状をしており、前後の端部が円弧状に形成されている。
通電カバー15の下側、即ち、アウタコラム10の上部には径方向に貫通し、軸方向に長いガイド溝25が形成されている。ガイド溝25には、インナコラム11の移動を制限する後述のアッパストッパ30が収容されている。
図3においては、アッパストッパ30を構成するガイド部材31と、アッパストッパ30から取り外した通電プレート40と、アッパストッパ30から取り外した段付低頭ボルト35を示している。通電カバー15及び通電プレート40は、後述のようにインナコラム11からアウタコラム10への通電経路の一部を構成する。
図4は、本願の実施形態に係るステアリング装置2の平面図である。図2に示すとおり、通電カバー15は、アウタコラム10のガイド溝25を覆うように配置されている。これにより、通電カバー15は、後述のように通電に供するのみならず、異物がガイド溝25からアウタコラム10の内部に侵入し、ステアリングシャフト3の回転を阻害するのを防ぐ。
(ステアリングシャフト)
図5は、本願の実施形態に係るステアリング装置2の縦断面図である。図5に示すように、ステアリングシャフト3は、車両前方側に配置された円柱状のロアステアリングシャフト61と、車両後方側に配置されロアステアリングシャフト61に外嵌した円筒状のアッパーステアリングシャフト62と、からなる。
ロアステアリングシャフト61は、鋼丸棒を素材として転造やブローチ加工などによって成形することができ、後半部の外周に雄スプライン61aを有している。また、ロアステアリングシャフト61の先端部の周囲には不図示の自在接手が外嵌するセレーション61bが形成されている。ロアステアリングシャフト61の車両前方側部分は、アウタコラム10の前端部内側に内嵌したボールベアリング27によって回転自在に支持されている。
アッパーステアリングシャフト62は、鋼管を素材として絞り加工やブローチ加工などによって成形することができ、前半部の内周にロアステアリングシャフト61の雄スプライン61aに嵌合する雌スプライン62aを有している。アッパーステアリングシャフト62の後端にはステアリングホイール101のボス101a(図5にて一点鎖線で示す)が外嵌するセレーション62bが形成されている。アッパーステアリングシャフト62の車両後方側部分は、インナコラム11の後端部内側に内嵌したボールベアリング29によって回転自在に支持されている。
ロアステアリングシャフト61とアッパーステアリングシャフト62は、スプライン結合し、トルクを伝達可能としながら、軸方向の相対移動を可能としている。なお、ロアステアリングシャフト61の雄スプライン61aには、アッパーステアリングシャフト62の雌スプライン62aとのがた付きを防止すべく、樹脂コーティングが施されている。
(位置調整機構)
ステアリング装置2は、運転者の体格等に合わせるため、車体への取付時にピボットボス22に挿入されるピボットボルトを中心とする回転方向の位置の調整(以下、「チルト調整」と呼ぶ)、及び、インナコラム11の軸方向の位置の調整(以下、「テレスコピック調整」と呼ぶ)を可能に構成されている。
図6は、図5に記載のA−A切断面を示す断面図である。インナコラム11は、その車体前方側部分が、車両前後方向に延び車両後方側に開放したスリット26が形成されたアウタコラム10の車両後方側部分によって締め付けられ、固定されている。当該固定は、運転者の操作によって解除され、テレスコピック調整が可能になるように構成されている。アウタコラム10の車両後方側部分は、チルトブラケット12によって左右両側から挟まれ、固定されている。上述のように運転者がアウタコラム10によるインナコラム11の固定を解除すると、これと同時にチルトブラケット12による上下方向の固定も解除され、チルト調整が可能になるように構成されている。これらの構成については次に具体的に説明する。
チルトブラケット12は、左右方向に延びる上板71と、この上板71の下面に溶接された左右一対の側板72、73とを有している。上板71は、ボルト穴71aを通したボルト74によって車体100に締結される。側板72、73の間隔は、自由状態でアウタコラム10の左右方向の幅よりも若干広く設定されている。左右側板72、73には、後述する締付ボルト81を通すチルト調整用長孔72a、73aが形成されている。チルト調整用長孔72a、73aは、前述したピボットボルトを中心とする円弧状に形成されており、チルト調整に際し、締付ボルト81が移動可能に構成されている。
チルトブラケット12の下部周辺には、運転者の操作に応じてアウタコラム10及びインナコラム11の締付固定とその解除を行う締付機構80が設けられている。締付機構80は、上記チルト調整用長孔72a、73aとアウタコラム10の車両後方側の下部で左右方向に貫通した貫通孔28とに左方から挿入された締付ボルト81と、後述のカム機構と、を用いて、チルトブラケット12の左右一対の側板72、73の外側からアウタコラム10及びインナコラム11を締め付ける。
図6に示すように、締付ボルト81には、その頭部とチルトブラケット12の左側板72との間に、頭部側から順に、運転者によって回転操作される操作レバー82(図2、3及び4参照)と、操作レバー82と一体に回転する可動カム83と、右側部分がチルト調整用長孔72aに回転不能に係合した固定カム84とが外嵌している。固定カム84と可動カム83の対向する面には、相補的な形状をした傾斜カム面が形成されている。
運転者が操作レバー82を締め付け側に回動させると、固定カム84の傾斜カム面の山に可動カム83の傾斜カム面の山が乗り上げ、締付ボルト81を左側に引っ張る一方で固定カム84を右側に押圧する。これにより、左右一対の側板72、73がアウタコラム10の下部を左右から締め付け、ステアリングコラムのチルト方向の移動を制限するのと同時に、アウタコラム10がインナコラム11を締め付ける締付摩擦力と摩擦板85に生じる摩擦力とによってインナコラム11の軸方向の移動が制限される。
一方、運転者が操作レバー82を解除方向に回動させると、上述のように自由状態における間隔がアウタコラム10の幅より広い左右一対の側板72、73がそれぞれ弾性復帰する。これにより、アウタコラム10のチルト方向の移動の制限とインナコラム11の軸方向の移動の制限がともに解除され、運転者がステアリングホイール101の位置の調整を行うことができるようになる。
右側の側板73から突出した締付ボルト81の先端側部分には、押圧板87とスラスト軸受88とが外嵌している。締付ボルト81の先端部分の周囲には、雄ねじ81aが形成され、ナット89がねじ込まれている。
チルトブラケット12の左右一対の側板72、73に対向するアウタコラム10の部分のうち締付ボルト81の周囲には、側板72、73から離隔した逃げ部が形成されている。該逃げ部には、後述するロアストッパ50によってインナコラム11に対して固定された左右各2枚の摩擦板85と、中間摩擦板86の端部を構成し、左右それぞれで摩擦板85に挟まれた左右端板部86a、86bが配置されている。摩擦板85及び中間摩擦板86は、インナコラム11の固定時にインナコラム11を移動させようとする力が加わった際に、それに抵抗する摩擦力が生じる摩擦面を増やすことでインナコラム11の保持を補強している。
摩擦板85は、図5に示すように前後方向に長く、締付ボルト81が通される部分は、前後方向に長い長孔部85aとしている。これにより、締付機構80による締付を解除したときに締付ボルト81と摩擦板85との相対移動を許し、テレスコピック調整を可能としている。
中間摩擦板86は、四角い板状の部材の中央に締付ボルト81が通る丸孔が形成され、互いに対向する左右一対の端板部86a、86bの下部を連結板部86cによって連結した形状を呈している。
図4に示すように、アウタコラム10の左右側面の軸方向中間部にはそれぞれ水平方向で左右に突出したフック部91、92が設けられている。また、チルトブラケット12の上板71の前側の左右両側には、それぞれ係止孔71b、71cが穿孔されている。フック部91、92と係止孔71b、71cには、それぞれコイルスプリング93が掛け渡されている。コイルスプリング93は、チルト調整時においてステアリングコラムやステアリングホイール101などの重量を負担し、運転者によるチルト調整の操作を軽くする。
図2及び図3に示すように、操作レバー82とチルトブラケット12との間にもコイルスプリング95が掛け渡されている。コイルスプリング95は、操作レバー82を解除した時に、固定カム84と可動カム83ががた付かない様に予圧を与えている。
摩擦板85をインナコラム11に固定するロアストッパ50は、図5に示すように、インナコラム11の先端側の下面に取り付けられ、スリット26内に収容されている。摩擦板85は、ロアストッパ50の左右両側面からスリット26の外側に突出した係止腕54に係合している。
ロアストッパ50の前端には断面略L字形状のバッファ保持部52が下方に向けて突出して形成されており、このバッファ保持部52の前側にバッファブロック53が取り付けられている。バッファブロック53は、テレスコピック調整の際に、スリット26の前側のアウタコラム10の部分に当接することにより、インナコラム11の前方へのテレスコピック調整範囲(図5中に符号TAfで示す)を規定する。バッファブロック53は、ゴムから成り、テレスコピック調整の際にスリット26を形成するアウタコラム10の車両前方側部分に当たっても樹脂ピン51が破損しないように衝撃を緩和する。
(衝撃吸収機構)
インナコラム11のうちアウタコラム10に挿入される部位の外周面には、摩擦係数の低い樹脂コーティングが施されている。これにより、締付機構80によるアウタコラム10の締付力を大きく設定しても、アウタコラム10によるインナコラム11の締め付けによって生じる締付摩擦力は比較的低く保たれる。
また、ロアストッパ50は、前後一対の樹脂ピン51によってインナコラム11に取り付けられている。二次衝突の衝撃によってインナコラム11が前方へ移動すると、ロアストッパ50に装着されたバッファブロック53は、スリット26の前方のアウタコラム10の部分に衝突する。この衝突による衝撃が所定の大きさよりも大きい場合、樹脂ピン51がせん断破壊し、インナコラム11は、ロアストッパ50から離脱して、摩擦板85による移動の制限を受けることなく、更に前方へ移動することができるようになる。
このような構成により、自動車の衝突によって体重の軽い運転者がステアリングホイール101に二次衝突した場合であっても、ステアリングホイール101はインナコラム11とともに比較的容易に前方へ移動し、二次衝突の衝撃が緩和される。また、摩擦係数の低い低摩擦材コーティングにより、アウタコラム10の内周面13の加工精度を低くしても低い締付摩擦力を保つことができるため、加工コストを低減させることも可能である。
(アッパストッパ)
図7は、図5に示すアッパストッパ30周辺の拡大断面図であり、図8は、図5に記載のB−B切断面を示す断面図である。
図5、図8に示すように、アウタコラム10の上部には、上方に突出し前後方向に延びる左右一対のガイド壁23、24が形成され、その間に径方向に貫通し前後方向に延びるガイド溝25が設けられている。アッパストッパ30はインナコラム11に固定されており、その高さはガイド壁23、24よりも低く、ガイド溝25の内側に収容されている。
アッパストッパ30はガイド溝25と係合することにより、アウタコラム10とインナコラム11との相対回転を防止するとともに、インナコラム11とアウタコラム10との軸方向の相対移動範囲を規定する。即ち、アッパストッパ30は、ガイド溝25を形成するアウタコラム10の車両後方側部分に当接することでインナコラム11の後方へのテレスコピック調整範囲(図5中に符号TArで示す)を規定するとともに、ガイド溝25を形成するアウタコラム10の車両前方側部分に当接することで二次衝突時におけるインナコラム11の移動範囲(図5中に符号CPで示す)を規定する。
アッパストッパ30は、樹脂射出成型品のガイド部材31と金属製のストッパベース32とが、取付具である、六角穴付きの段付低頭ボルト35、及び、インナコラム11に固着されたナットプレート36によってインナコラム11に取り付けられることで構成されている。
ガイド部材31は、平面視で略小判形を呈しており、その側面部は、左右の側面がガイド壁23、24の内面25a、25bに対向する。ガイド部材31の下部には、図7及び図8に示すように、ストッパベース32が嵌り込む凹部31cが形成されている。ガイド部材31は、合成樹脂やゴムなどから形成することができる。
ストッパベース32は、図7及び図8に示すように、中央に段付低頭ボルト35のねじ軸35aが嵌挿される貫通孔32aが穿孔されている。また、ストッパベース32は、その下面がインナコラム11の外周面の曲率と略同じ曲率を有する曲面状に形成されており、図8に示すように、インナコラム11に面接触している。
ナットプレート36は、図7に示すように、上面の中央にインナコラム11に形成された貫通孔11aに嵌入するボス部36aを有しており、このボス部36aの上端面から下端に貫通するねじ孔36cを形成している。また、ナットプレート36は、その上面36bがインナコラム11の曲率と略同一の曲率を有する曲面状に形成されており、図8に示すように、インナコラム11の低摩擦材コーティングされていない内周面に面接触している。本実施形態では、ボス部36aを貫通孔11aに差し込んだ状態でかしめることでストッパベース32をインナコラム11に固着した後、タップによってねじ孔36cのねじ溝を形成している。なお、ナットプレート36に代えて、ブラインドリベットによってアッパストッパ30をインナコラム11に締結するようにしてもよいし、インナコラム11の貫通孔11aにねじ切りをして段付低頭ボルト35を締付ける構成とすることもできる。
(通電経路)
本実施形態においては、ステアリングホイール101から、アッパーステアリングシャフト62、ボールベアリング29、インナコラム11、ナットプレート36、段付低頭ボルト35、通電プレート40、通電カバー15、アウタコラム10、及び、チルトブラケット12を通して、車体100へ通じる通電経路を確保している。
上記通電経路のうち、アッパーステアリングシャフト62、ボールベアリング29、及び、インナコラム11はいずれも所定の電気伝導率を有する金属材料からなり、互いに接触することで、図5に破線矢印で示す通電経路を確保している。また、アウタコラム10及びチルトブラケット12も所定の電気伝導率を有する材料からなり、互いに接触することで、通電可能に構成している。インナコラム11からアウタコラム10までの通電経路については、以下に説明する。
図7及び図8に示すように、アッパストッパ30は、所定の電気伝導率を有する板状の金属材料からなる通電プレート40を備えている。通電プレート40は、図3に示すように、円環部を有しており、該円環部に段付低頭ボルト35が通され、図7及び図8に示すように、ガイド部材31と段付低頭ボルト35の上方段部35bとの間に挟まって固定されている。通電プレート40は、図3に示すように、円環部から前後に突出した突出部を有しており、該突出部がガイド部材31の上面に突設された4つの係止突起に係合することによって位置決めおよび回り止めがなされている。通電プレート40は、弾性を有するばね鋼板の打ち抜きプレス成型品とすることができ、通電プレート40の材料としては、ばね鋼板以外にリン青銅板などの材料を用いることもできる。
通電プレート40の前側の突出部には、斜め上方に立ち上がり、上側に凸になるように湾曲した接触部40aが形成されている。接触部40aは、弾性変形して、通電カバー15に所定の圧力で接触している。このように構成することにより、テレスコピック調整によってインナコラム11が前後に移動する場合に隙間が生じても、通電カバー15の僅かな起伏やインナコラム11の僅かな回転に追従して常に通電カバー15に接触することができるようになる。また、通電カバー15に接する接触部40aの部分が湾曲していることにより、通電カバー15と接触部40aとの引っ掛かりを防ぐことができる。
以上の構成により、図8において破線矢印で示すように、インナコラム11から、ナットプレート36、段付低頭ボルト35、通電プレート40、通電カバー15の順に連続する通電経路が構成される。通電カバー15は、かしめによりアウタコラム10に固定されている。これにより、インナコラム11からアウタコラム10までの通電経路が確保される。なお、通電プレート40の固定は、かしめの他、圧入、ねじ固定、ボルト固定、ろう付け、はんだ付け、リベット、接着等、種々の固定方法を採用することができる。
以上に説明した実施形態によれば、ステアリングホイールから車体への新たな通電経路を確保することができる。
上記の具体的な実施形態は本発明の理解を容易にするために用いたものであり、本発明はこれらに限られるものではない。
例えば、上記実施形態はラックアシスト型電動パワーステアリング装置に本発明を適用したものであるが、コラムアシスト型電動パワーステアリング装置などにも当然に適用可能である。
また、ステアリングコラムやチルト・テレスコピック調整機構、アッパストッパなどの具体的構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、通電プレート40の形状は上記実施形態のものに限られず、弾性変形により所定の圧力をもって通電カバー15に接触するものであればどのような形状であってもよい。例えば、接触部40aは必ずしも上記実施形態のように一つとする必要はなく、複数形成しても良いし、接触部40aの形状も上記実施形態に係るものに限られず、湾曲した部分の代わりに、通電カバー15に向かって半球状に突出した部分を形成しても良い。また、接触部40aはガイド部材31の車両後方側に配置しても良いし、接触部40aを複数設ける場合には、ガイド部材31の車両前方側と後方側の両方に配置してもよい。
また、通電プレート40は、インナコラム11から通電カバー15までの通電経路を確保できるように配置されていれば良く、例えば、インナコラム11に直に接するように配置しても良い。その場合、ガイド部材31をインナコラム11に取り付ける取付具が導電性を有する必要はない。
1 ステアリング機構
2 ステアリング装置
3 ステアリングシャフト
10 アウタコラム
11 インナコラム
11a 貫通孔
12 チルトブラケット
13 内周面
21 カラー
22 ピボットボス
22a ボス孔
23、24 ガイド壁
25 ガイド溝
25a、25b 内面
26 スリット
27 ボールベアリング
28 貫通孔
29 ボールベアリング
30 アッパストッパ
31 ガイド部材
32 ストッパベース
32a 貫通孔
35 段付低頭ボルト
35a ねじ軸
35b 上方段部
36 ナットプレート
36a ボス部
36b 上面
36c ねじ孔
40 通電プレート
40a 接触部
50 ロアストッパ
51 樹脂ピン
52 バッファ保持部
53 バッファブロック
54 係止腕
61 ロアステアリングシャフト
61a 雄スプライン
61b セレーション
62 アッパーステアリングシャフト
62a 雌スプライン
62b セレーション
71 上板
71a ボルト穴
71b、71c 係止穴
72 左側板
72a チルト調整用長孔
73 右側板
73a チルト調整用長孔
80 締付機構
81 締付ボルト
81a 雄ねじ
82 操作レバー
83 可動カム
84 固定カム
85 摩擦板
85a 長孔部
86 中間摩擦板
86a、86b 端板部
86c 連結板部
87 押圧板
88 スラスト軸受
89 ナット
91、92 フック部
93 コイルスプリング
95 コイルスプリング
100 車体
101 ステアリングホイール
102 中間シャフト
103 ステアリングギヤ
104 電動アシスト機構
105 タイロッド
上記課題を解決するため、本発明は、
軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、
軸方向の相対移動を可能に嵌合したアウタコラムとインナコラムとを含み、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、
前記インナコラムに固定された係合部材と、を備え、
前記アウタコラムは、前記係合部材を収容して前記係合部材を介して前記インナコラムの回転を防止するとともに、軸方向に延び、前記インナコラムの軸方向移動を案内するガイド溝と、前記ガイド溝の端部に配置され前記係合部材と当接することにより前記インナコラムの車両後方へのテレスコピック調整範囲を規定する車両後方側部分を含み、
前記ガイド溝が、少なくとも前記テレスコピック調整範囲において前記係合部材と対向する底部を有するステアリング装置を提供する。
これにより、ステアリングホイールから車体への新たな通電経路の確保が可能となる。

Claims (4)

  1. 軸方向に伸縮可能なステアリングシャフトと、
    軸方向の相対移動を可能に嵌合したアウタコラムとインナコラムとを含み、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、
    前記インナコラムに固定された係合部材と、を備え、
    前記アウタコラムは、前記係合部材を収容して前記係合部材を介して前記インナコラムの回転を防止するとともに、軸方向に延び、前記インナコラムの軸方向移動を案内するガイド溝と、前記ガイド溝の端部に配置され前記係合部材と当接することにより前記インナコラムの車両後方へのテレスコピック調整範囲を規定する車両後方側部分を含み、
    前記ガイド溝が、前記係合部材と対向する底部を有するステアリング装置。
  2. 前記ガイド溝は、前記係合部材を挿通可能であり、
    テレスコ調整において前記インナコラムを最も車両前方側に移動させた際、前記係合部材の車両前方側に前記ガイド溝が位置する請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 二次衝突により前記インナコラムが最も車両前方側に移動した際、前記係合部材の車両後方側に前記ガイド溝が位置する請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記係合部材は、導電性を有し、前記底部に通電接触する弾性部を一体に備えた通電プレートを有し、
    前記アウタコラムは車体へ通じる通電経路の一部を構成し、
    前記インナコラムと前記アウタコラムとは、前記係合部材及び前記通電プレートを介して通電可能に構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のステアリング装置。


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