<苗移植機の全体構成>
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、適宜組み合わせることができる。
図1は、苗移植機1の概略側面図、図2は、苗移植機1の概略平面図、図3は、レーキの配置を模式的に示す説明図である。なお、以下では前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、走行車体2の走行方向を基準として、前後、左右の基準を定めている。
図1および図2に示すように、苗移植機1は、圃場を走行する走行車体2を備える。走行車体2は、左右一対の前輪4と、左右一対の後輪5とを有しており、走行時には前・後車輪4,5が駆動する四輪駆動車としている。また、走行車体2の後部には、苗植付部昇降機構50によって昇降可能な苗植付部40が備えられている。
走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、メインフレーム7の上に搭載されたエンジン10と、エンジン10の駆動力を前・後車輪4,5(駆動輪)と苗植付部40とに伝える動力伝達機構15とを備える。すなわち、苗移植機1では、エンジン10の動力が走行車体2を前進や後進させるとともに、苗植付部40を駆動させる。なお、エンジン10には、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。
エンジン10は、走行車体2の左右方向における略中央であって、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方へ突出させた状態で配される。
フロアステップ26は、走行車体2の前部とエンジン10の後部との間にわたって設けられ、メインフレーム7上に取り付けられる。フロアステップ26の一部は、格子状になっており(図2)、作業者の靴に付着した泥などを圃場に落とすことができる。
フロアステップ26はメインフレーム7にボルト26cにより取り付けられるが、フロアステップ26に設けた凹状のボルト挿通部260は、図示するように、擂鉢状に形成されるとともに、そのテーパ面は、所定ピッチでスポーク部26aにより区画された泥落とし空間26bが形成されている。したがって、ボルト挿通部260に泥などが溜まり難くなり、ボルト26cの取付けや取外しが容易になる。また、ボルト挿通部260に錆が発生することも抑制できる。なお、図1において、抜き出して拡大して示したボルト挿通部260は、その形状を理解しやすくするため断面視で示した。
また、フロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられる。リアステップ27は、後方に向かうにしたがって上方へ向かう方向へ傾斜した傾斜面を有し、エンジン10の左右それぞれの側方に配置される。
エンジン10は、フロアステップ26やリアステップ27から上方に突出しており、かかる突出した部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が配設される。すなわち、エンジンカバー11は、フロアステップ26やリアステップ27から上方へ突出した状態でエンジン10を覆っている。
また、走行車体2には、エンジンカバー11の上部に操縦席28が設置されており、操縦席28の前方であって走行車体2の前側中央部には、操縦部30が配設される。操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置され、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
操縦部30の内部には、各種の操作装置やエンジン燃料の燃料タンクなどが配設されており、操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられる。また、操縦部30の上部パネル33には、操作装置を作動させる操作レバーなどや計器類、ハンドル32、報知装置100等が配設される。
ハンドル32は、作業者が前輪4を操舵操作することにより走行車体2を操舵する操舵部材として設けられ、操縦部30内の操作装置などを介して前輪4を転舵させる。また、レバーとしては、走行車体2の前進および走行速度を操作する走行操作部材である変速レバー35と、苗植付部40の動作状態を、少なくとも苗植付部昇降機構50による上昇状態を含んで切り替えることができる植付操作部材である植付昇降レバー36とが配設されている。具体的には、苗植付部40の作動状態を切り替えることが可能になっており、「上昇」、「停止」、「下降」、「植付」の各モードを切替設定することができるようになっている。
また、フロアステップ26における操縦部30の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗台130が配置されている。予備苗台130は、フロアステップ26の床面から突出した支持筒133によって回転自在に支持される。
かかる予備苗台130の左右両側近傍には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ135が上下揺動自在に設けられている。線引きマーカ135は、苗移植機1が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場上に線引きする。線引きマーカ135は、走行車体2が旋回するごとに、左右の線引きマーカ135が入れ替わって作動することができるように設けられる。
また、動力伝達機構15は、主変速機としての油圧式無段変速機16と、油圧式無段変速機16にエンジン10からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構17とを有する。油圧式無段変速機16は、HST(Hydro Static Transmission)と称する静油圧式の無段変速機である。このため、油圧式無段変速機16は、エンジン10からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、かかる油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)へ変換して出力する。油圧式無段変速機16は、エンジン10よりも前方であって、フロアステップ26の床面よりも下方に配置され、走行車体2の上面からみて、エンジン10の前方に配置される。
ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速機16の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けられたベルトと、かかるベルトの張力を調整するテンションプーリとを備える。これにより、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速機16へ伝達する。
さらに、動力伝達機構15は、エンジン10からの出力がベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されるミッションケース18を有する。ミッションケース18は、メインフレーム7の前部に取り付けられる。ミッションケース18は、ベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されたエンジン10からの出力を、ミッションケース18内の副変速機で変速して、前輪4と後輪5への走行用動力と、苗植付部40への駆動用動力とに分けて出力する。
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース21を介して前輪4へ伝達され、残りが左右の後輪ギアケース22を介して後輪5へ伝達される。左右それぞれの前輪ファイナルケース21は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設されており、左右の前輪4は、車軸を介して左右の前輪ファイナルケース21に連結される。また、前輪ファイナルケース21は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることが可能となっている。同様に、左右それぞれの後輪ギアケース22には、車軸を介して後輪5が連結される。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ(不図示)に伝達され、植付クラッチの係合時に植付伝動軸(不図示)によって苗植付部40へ伝達される。
また、操縦席28の後方には、施肥装置150が搭載される。施肥装置150は、肥料を貯蔵する肥料タンク151と、肥料タンク151内の肥料を一定量ずつ下方へ繰り出す肥料繰り出し部152と、繰り出された肥料を肥料ホース154によって苗植付部40側へ移送するブロア153とを有する。
<苗植付部40>
苗植付部40は、苗植付部昇降機構50を介して走行車体2の後部に昇降自在に連結されている。苗植付部昇降機構50は、昇降リンク51を有し、この昇降リンク51は、走行車体2の後部と苗植付部40とを連結する平行リンク機構であるリンク部材を有する。リンク部材は、略前後方向に向かって延在する2つの部材を有しており、相対的に上側に位置する上部リンク部材であるアッパーリンク53と、アッパーリンク53の下側に位置するロワーリンク54である。アッパーリンク53およびロワーリンク54は、ともに左右一対ずつ設けられる。
リンク部材であるアッパーリンク53とロワーリンク54とが、メインフレーム7の後部側に立設した背面視門型の後部フレームであるリンクベースフレーム55に回動自在に連結され、各リンク53,54の他端側が、苗植付部40に回動自在に連結される。かかる構成により、苗植付部40は走行車体2に昇降可能に連結される。すなわち、リンクベースフレーム55は、走行車体2の後部に上下方向に延在して配設されており、リンク部材がリンクベースフレーム55から後方に向かって延在している。なお、図示は省略しているが、苗植付部40の左右側には、下降した際に圃場からの衝撃を和らげるためのガード部材としてのスタンドが設けられている。
苗植付部昇降機構50は、油圧によって伸縮する昇降シリンダ56を有しており、昇降シリンダ56の伸縮動作によって、苗植付部40を昇降させる。苗植付部昇降機構50は、昇降動作によって苗植付部40を非作業位置まで昇降させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能になっている。
苗植付部40は、苗を植え付ける範囲を複数の区画、あるいは複数の列で植え付けることができ、本実施形態に係る苗移植機1では、苗を6つの区画で植え付ける、いわゆる6条植の苗植付部40になっている。
苗植付部40は、植付装置41と、苗載せ部45と、圃場の土壌面L(図6参照)を均す均平装置を構成するセンターフロート61およびサイドフロート62とを備える。なお、以下では、センターフロート61およびサイドフロート62の両方を指して単にフロートと呼称することがある。
苗載せ部45は、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面を有しており、それぞれの苗載せ面に土付きのマット状苗を載置することが可能になっている。これにより、苗載せ部45に載置した苗が植え付けられて無くなるたびに、たとえば圃場外に苗を取りに戻る必要がなく、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。
また、植付装置41は、2条ごとに1つずつ配置されており、2条分の植付爪42を備える。なお、苗植付部40への駆動用動力は、エンジン10からの出力がシャフト(不図示)を介して伝達される。植付装置41は、走行車体2の左右方向に延在するパイプ内部に配設された駆動軸の回転によって植付爪42が駆動される。
<均平装置および整地装置>
均平装置を構成するフロートは、圃場面を滑走しながら苗植付部40の過剰な沈み込みを防止しつつ土壌を均す機能を有し、センターフロート61は、走行車体2の左右方向における苗植付部40の中央に位置して走行車体2の移動とともに圃場面上を滑走して整地する。また、サイドフロート62は、走行車体2の左右方向における苗植付部40の両側に位置する。
センターフロート61は、圃場面に対して上下揺動するため、その揺動量の検出結果に基づき、図示しない植付深さ調節機構によって苗植付部40で植え付ける苗の植付深さが調節可能に構成される。植付深さ調節機構は、圃場に対する苗植付部40の上下方向における位置を調節することにより、苗の植え付け深さを調節することが可能になっている。このように、植付深さ調節機構によって、上下方向におけるセンターフロート61と苗植付部40との相対的な位置を調節することで、圃場に対する苗植付部40の上下位置を調節することができる。
すなわち、苗移植機1は、後述するように制御部(コントローラ)8を備えており、制御部8に、植付深さ調節機構を構成するフロートセンサ92とフロートモータ220とが接続されている(図5参照)。フロートセンサ92でセンターフロート61の揺動量を検出し、検出結果に基づき、制御部8は、センターフロート61と苗植付部40との相対的な位置を調節して苗の植付け深さを調節する。
また、フロートセンサ92は、苗植付部40における圃場の土壌面Lからの高さを検出する検出装置の一例であり、検出した苗植付部40における圃場の土壌面Lからの高さに基づいて、昇降シリンダ56の制御弁を制御して苗植付部40を上下動させることができる。
苗植付部40の下方側の位置における前側には圃場の整地を行う整地装置である整地ロータ70が設けられる。特に、サイドフロート62の前方部には後輪5が位置しているため、圃場面が後輪5の回転によって掻き起こされ、凸凹が激しくなる傾向にあるが、整地ロータ70によって可及的に平坦面状に均平し、フロートの滑走均平作用をより円滑に行わせることが可能となっている。
かかる整地ロータ70は、後輪ギアケース22および連動軸59を介して伝達されるエンジン10からの出力によって、走行車体2の左右方向に延在する回転軸を中心として回転可能に設けられる。なお、連動軸59の駆動源は、エンジン10に限らず、たとえば、エンジン10と別に設けられたモータなどであってもよい。この場合、連動軸59の回転数を、エンジン10の回転数から独立させて定めることが可能となる。
このように、苗移植機1は、フロートで均す前に、整地ロータ70によって圃場面を砕土しつつ均した状態に整地することができるため、苗植付部40では、整地ロータ70およびフロートで均平された土壌面Lに苗を植え付けることができる。
本実施形態に係る苗移植機1は、整地ロータ70で整地した圃場の土壌面Lを均す均平装置の一例として、フロートに加えてさらにレーキ63を備える。図3は、レーキ63の配置を模式的に示す説明図、図4は、レーキ63の説明図である。
図3に示すように、レーキ63は、センターフロート61を挟むように配置されている。すなわち、センターフロート61の支持ブラケット61aに軸心回りに、機体左右方向に延在する支軸631が回転自在(矢印A1参照)に軸架されており、かかる支軸631に、左右一対のレーキ63が揺動自在に連結されている。
図4に示すように、レーキ63は、支軸631が挿通された回転筒体632が基端部に設けられた連結杆633の先端に、圃場の土壌面Lに当接する複数の櫛歯片630が所定の間隔をあけて延伸する本体部が取付けられて構成される。かかる構成により、レーキ63が圃場の土壌面Lに所定の押圧力で当接した際には、本体部において隣接する櫛歯片630,630の間に形成された泥抜け空間634から泥水が抜けていくため、レーキ63は、泥水の影響をさほど受けることなく土壌面Lの凹凸に追従して揺動する。
かかる本体部の揺動に伴って、回転筒体632は軸回りを回転し、この回転筒体632の回転角度、すなわちレーキ63の揺動角度を、支軸631に設けたレーキセンサ91により検出可能としている。本実施形態では、レーキセンサ91は、左右のレーキ63,63の揺動量、すなわち左右の回転筒体632,632の回転量をそれぞれ独立して検出可能に構成されている。
なお、レーキ63は、本体部が土壌面Lから無用に離反方向へ跳ねたりすることを防止するために、回転筒体632を、本体部が下方へ回動させる方向へ付勢する弾発部材(図示せず)を介して支軸631に嵌装している。
こうして、苗移植機1が苗の植付作業のために圃場を走行すると、圃場の土壌面Lを複数の櫛歯片630が均していくことになる。したがって、本実施形態に係る苗移植機1は、整地ロータ70およびフロートに加えて、レーキ63によっても土壌面Lの凹凸を均平することができ、苗の植付深さが均一となるように、より円滑に植付作業を行うことができる。
また、支軸631の一端には、レーキクラッチ210を介して、レーキ63を揺動させる駆動部としてのレーキモータ200が連結されている。
すなわち、本実施形態に係るレーキ63は、上述したように、弾発部材(図示せず)を介して支軸631に嵌装されるが、必要に応じてレーキモータ200を駆動して、支軸631を強制的に回動させることができる。通常は、レーキクラッチ210が切れた状態であり、レーキモータ200を駆動させる際にレーキクラッチ210を繋ぎ、レーキモータ200と支軸631とを連動できるようにしている。
<制御部8>
上述した構成の苗移植機1において、前述した検出装置としてのレーキセンサ91およびフロートセンサ92の検出結果に基づいて、苗植付部40による苗の植付深さを調整する制御部8について説明する。図5は、実施形態に係る苗移植機1のコントローラを中心とした機能ブロック図である。
コントローラである制御部8は、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置を備えたコントローラであり、図示するように、各種センサ95および各種駆動装置230と電気的に接続している。
制御部8は、レーキセンサ91、フロートセンサ92、車速センサ93、および圃場硬度検出装置94を入力側に電気的に接続している。レーキセンサ91は、前述したように、左右のレーキ63,63の揺動量を検出する。フロートセンサ92は、これも前述したように、センターフロート61の揺動量を検出する。レーキセンサ91およびフロートセンサ92は、いずれも苗植付部40における圃場の土壌面Lからの高さを検出する検出装置の一例となる。また、車速センサ93は、苗移植機1の走行速度を検出し、圃場硬度検出装置94は、圃場の硬度を検出する。
また、制御部8は、それぞれ先に説明したレーキモータ200、レーキクラッチ210、昇降シリンダ56、フロートモータ220、報知装置100と、出力側に電気的に接続している。
すなわち、レーキモータ200は、レーキ63が取付けられた支軸631に連結し、支軸631を回転させることでレーキ63を強制的に揺動させることができる。レーキクラッチ210は、通常は切れた状態にあるが、レーキモータ200を駆動させる際には繋いだ状態となるように作動して、レーキモータ200と支軸631とを連動させる。
例えば、制御部8は、レーキセンサ91による検出結果からレーキ63の挙動に異常が生じたと判定した場合、レーキモータ200を駆動してレーキ63を、強制的に複数回揺動させることができる。このように、レーキ63を揺動させることで、例えばレーキ63に夾雑物が絡まっている場合はかかる夾雑物を振り落すことができる。したがって、レーキ63の動作不良等の原因が夾雑物にある場合、異常の原因を排除することができる。
さらに、図6を参照しながら、レーキモータ200のさらなる作用の一例について説明する。図6は、レーキ63の移動範囲を示す説明図である。
すなわち、苗移植機1は、圃場の土壌面Lの上方へ所定高さにある位置に、レーキ63の収納位置300が設定されている。例えば、走行車体2が後進する際に、レーキモータ200を駆動してレーキ63を上方へ回転させることで(矢印A2参照)、収納位置300へ退避させることができる。そのため、後進時にレーキ63が圃場に食い込んだ状態で異常な負荷が加わり、レーキ63が破損したり、レーキ63の周辺部材(例えば支軸631、レーキセンサ91等)を破損したりするおそれがなくなる。
また、苗植付部40の最大下げ位置から、さらに一定量(例えば数cm)下がった場合に、やはりレーキ63を収納位置300へ退避させることができる。
さらに、例えば、苗移植機1に傾きセンサなどを設けて、機体が前上がり状態であることを検出した際にも、レーキ63を収納位置300へ退避させることもできる。苗移植機1が不意に後退して、後進時と同様な不具合が生じるのを未然に防止するためである。
また、昇降シリンダ56は、苗植付部昇降機構50の一部を構成し、油圧によって伸縮して苗植付部40を昇降させることができる。フロートモータ220は、植付深さ調節機構の一部を構成し、フロートモータ220が駆動することで、センターフロート61と苗植付部40との相対的な位置を調節することができる。
こうして、センターフロート61が滑走しながら圃場面の凹凸に応じて上下揺動すると、制御部8はその揺動量により圃場面の深さや耕盤の硬軟を判定し、昇降シリンダ56の制御弁を制御して苗植付部40を上下動させる。このように、苗移植機1では、植付装置41による苗の植付深さが一定となるように苗植付部40を制御することができる。
また、制御部8は、レーキセンサ91による検出値の変化の状態により、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定される場合、レーキセンサ91による検出結果をキャンセルする。特に、本実施形態では、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定される場合は、フロートセンサ92による検出結果を苗の植付深さの調整に反映させるようにしている。したがって、レーキ63が作動不良あるいは異常をきたした場合であっても、苗の植付深さを安定させることができる。
また、報知装置100は、操縦部30の上部パネル33に設けられた、例えば報知ランプであり、苗移植機1の各部における異常を制御部8が検出すると、発光させることで作業者に異常を報知する。例えば、制御部8は、レーキセンサ91による検出値に基いて、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定すると、報知装置100としての報知ランプを発光して異常報知を行う。なお、報知ランプに代えて、ブザーなどを報知装置100として用いてもよい。
<苗の植付深さ設定処理>
ここで、制御部8による苗の植付深さ設定処理について、図8を参照しながら説明する。図8は、植付深さ設定処理の一例を示すフローチャートである。
苗移植機1の苗植付作業中、図示するように、制御部8は、先ず、左右一対のレーキセンサ91,91のそれぞれからレーキ揺動量を取得する(ステップS11)。具体的には、図3に示したように、レーキ63の連結杆633の基端部に設けられた回転筒体632の支軸631周りの回動角を検出値として取得する。
次いで、制御部8は、フロートセンサ92から、センターフロート61の揺動量を示す検出値を取得する(ステップS12)。なお、ステップS11とステップS12とは順番が逆であっても構わない。
次いで、制御部8は、レーキセンサ91,91それぞれの検出値が所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS13)。すなわち、制御部8の記憶装置内には、レーキセンサ91の検出値として適正であると認められる範囲が予め記憶されており、制御部8では、検出値がその範囲から逸脱しているか否かを判定する。
そして、レーキセンサ91,91の検出値が所定範囲内であると判定した場合(ステップS13:Yes)、制御部8は、レーキセンサ91,91およびフロートセンサ92からの検出値に基づき植付深さを設定し(ステップS14)、苗の植付深さ設定処理を終了する。
一方、レーキセンサ91,91の検出値のうち少なくとも一つが所定範囲から逸脱していると判定した場合(ステップS13:No)、制御部8は、左右一対のレーキセンサ91,91の両方共が所定範囲から逸脱しているか否かを判定する(ステップS15)。そして、左右一対のレーキセンサ91,91の両方共が所定範囲から逸脱していると判定した場合(ステップS15:Yes)、制御部8は、レーキセンサ91,91の検出値をキャンセルし(ステップS16)、処理をステップS14に移す。制御部8は、レーキセンサ91,91の検出値をキャンセルしたため、ステップS14では、フロートセンサ92からの検出値に基づき植付深さを設定することになる。ステップS14の処理を終了後、制御部8は苗の植付深さ設定処理を終了する。
ステップS15において、左右一対のレーキセンサ91,91の両方共ではなく、いずれか一方の検出値が所定範囲を逸脱している場合(ステップS15:No)、制御部8は、所定範囲を超えた検出値を出力したレーキセンサ91に異常が生じたと判定し、報知装置100を作動させて異常を報知する(ステップS17)。その後、制御部8は、レーキモータ200を駆動して異常と判定した対象となるレーキ63を強制的に揺動させる(ステップS18)。すなわち、異常の原因として、レーキ63に夾雑物が絡んでいるおそれがあるため、レーキ63を強制的に揺動させて夾雑物を振り落すようにしている。制御部8は、その後、苗の植付深さ設定処理を終了する。なお、このとき、ステップS17の処理から苗の植付深さ設定処理に至るまでの間に、制御部8は、フロートセンサ92からの検出値のみに基づいて植付深さを設定する処理を行うようにしている。
また、ステップS18の処理において、レーキモータ200を駆動すると、本実施形態では、単一の支軸631で左右のレーキ63,63を支持しているため、左右一対のレーキ63,63が共に揺動する。これは、異常が認められないレーキ63を揺動させても特に問題はないからである。なお、支軸631を分割して各支軸631を各レーキ63に対応させ、各支軸631毎に独立して回転可能な構成とすれば、異常判定されたレーキ63のみを揺動させることもできる。
また、上述した処理におけるステップS15は、一対のレーキ63,63のうちいずれか一方のレーキセンサ91のみが所定範囲を超えた検出値を示す場合という条件に代えて、少なくとも一つのレーキセンサ91による検出値の変化量が、所定の検出時間において一定値を超える場合という条件に置き換えることもできる。
これは、レーキセンサ91の検出値の変化が急激である場合も、やはり夾雑物が絡まっていると判定することができるからである。
また、ステップS15は、例えば、一対のレーキセンサ91,91のうち一方が、レーキ63が上がった状態であることを示す値を連続して出力する場合という条件に置き換えることもできる。かかる場合でも、夾雑物がレーキ63に絡まっていると判定することができるからである。
また、制御部8による苗の植付深さを設定処理において、例えば、2つのレーキセンサ91,91がそれぞれ検出した値の差が一定値(例えば3cm程度)を越えた場合、上記ステップS16以降の処理同様に、レーキセンサ91,91の検出値をキャンセルし、フロートセンサ92からの検出値に基づき植付深さを設定するようにしてもよい。
ところで、制御部8の処理として、走行車体2の走行速度に応じて、レーキ63における土壌面Lへの押圧力を変更することができる。例えば、高速になるにしたがって、レーキ63の土壌面Lに対する押圧力を高めるのである。かかる制御により、レーキ63が上昇勝手になることを抑制するとともに、必要以上に頻繁に跳ね上がってしまい、苗植付部40と圃場の土壌面Lとの間の高さ検出が難しくなることを防止することができる。
また、制御部8は、昇降シリンダ56の挙動を監視しておき、昇降シリンダ56の動作が過剰に頻繁であると判定した場合もレーキ63の土壌面Lに対する押圧力を高めることができる。かかる制御により、苗植付部40が過剰に上下動することを抑制し、苗の植付け作業を安定して行うことができる。
さらに、レーキ63の押圧力の調整は、苗植付部40を昇降させる昇降シリンダ56の油圧感度の微調整に寄与する。たとえば、油圧感度を鈍感にする場合はレーキ63の押圧力を高めればよいし、油圧感度を敏感にする場合はレーキ63の押圧力を弱めればよい。
<その他の構成>
ここで、本実施形態に係る苗移植機1のその他の構成について説明する。図8Aは、ロータ駆動軸の参考図、図8Bは、実施形態におけるロータ駆動軸に設けられた安全ピンの説明図である。
一般に、整地ロータ70(図1参照)を駆動する伝動ケース720への動力伝動は、図8Aに示すように、機体の左右中央に設けられたロータ駆動ケース730のロータ駆動入力軸731とギアケース710から中央に向けて突出するロータ側出力軸712を継手750で連結して動力を伝動する。ロータ駆動入力軸731の回転は、ロータ伝動クラッチ740を介してベベルギアでロータ駆動軸724に伝動する。ロータ駆動軸724は、伝動ケース720の入力軸721と継手722を介して連結している。図中、符号711は、ミッションケース18(図1参照)からの動力をギアケース710へ伝達する伝動軸を示す。また、符号723は、スプライン嵌合部を被覆する伸縮ブーツを示す。
上記構成において、ロータ駆動入力軸731とロータ側出力軸712とを連結する継手750には、軸本体の先端側に、ネジ部762が一部刻設された安全ピン760が横断するように挿通され、ダブルナット761により取付けられている。
安全ピン760は、例えば整地ロータ70が何らかの原因で機械的にロックしてしまった場合に破断することによって、ギアケース710のギアまでもが破損することを防止するために設けられている。
しかし、図8Aに示した一般的な安全ピン760では、破断しやすいネジ部762の長さなどについては考慮されていないため、ねじ部762と継手750の周壁部分との当接状態によっては容易に破断しないおそれがある。
そこで、図8Bに示すように、安全ピン760のネジ部763を、軸長の略半分程度まで拡張することで、ネジ部763の一か所のみが継手750の周壁部分と確実に当接するようにしている。かかる構成としたことで、整地ロータ70が機械的にロックしたことで安全ピン760に力が加わった場合、ネジ部763から確実に破断して、ロータ側出力軸712からロータ駆動入力軸731へは力が伝達されないため、ギアケース710が損傷することを未然に防止することができる。
次に、図1に示した苗植付部40が備え、走行車体2側からの動力を植付装置41に伝達する伝動チェン450を収納したチェンケース43について説明する。図9は、植付装置41を駆動するチェンケース43内に設けたチューブポンプ430の説明図である。
図9に示すように、走行車体2側からの動力が入力される前側伝達軸47に入力スプロケット471が取り付けられており、この入力スプロケット471と植付装置取付軸411に取付けられた出力スプロケット441との間に伝動チェン450を張設している。
オイル440が収容されたチェンケース43は、後方へ下り勾配となるように配設されているため、オイル440は、出力スプロケット441側が深くなっている。そのため、このままでは、前側伝達軸47に十分なオイル440を供給するためには、当該前側伝達軸47が浸るだけの量のオイル440が必要となる。
そこで、本実施形態においては、植付装置取付軸411にチューブポンプ430を設けて、オイル440の量を大幅に低減(例えば1/3〜2/3)可能としている。
すなわち、チューブポンプ430は、図示するように、チェンケース43内に、一側開口433aがチェンケース43の後部側においてオイル440の液面440Lよりも下方に開口し、他側開口433bが前側伝達軸47に臨むように、他端側を植付装置取付軸411の周りに沿うように屈曲させて前側伝達軸47側へ延伸させたチューブ433を配設している。なお、チューブ433の一側開口433aは、オイル440の液面440Lよりも下方に位置すればよいが、ここでは、チューブ433の一側開口433aがチェンケース43の底壁に臨むようにしている。
そして、植付装置取付軸411にアーム体432を回転自在に取付け、このアーム体432の両端にローラ431を取付け、植付装置取付軸411の回転に伴い、チューブ433にローラ431が当接しながら押圧してオイル440を送給可能に構成している。
このように構成したチューブポンプ430を設けたため、従来よりも少ない量のオイル440であっても、図示するように、前側伝達軸47にオイル440が供給されるため、オイル440の量を減じつつ、前側伝達軸47を円滑に回転させながら焼き付きも防止することができる。
次に、フロートストッパ構造について説明する。苗移植機1では、フロートが大きく前下がり状態になることを防止するために、フロートストッパ80を設けている。図10Aは、フロートストッパ80の側面視による説明図、図10Bは、フロートストッパ80の平面視による説明図、図10Cは、フロートストッパ80のフック801,802の説明図である。
図10A〜図10Cに示すように、本実施形態におけるフロートストッパ80は、同一形状であるが、互いに逆向きに支持パイプ800に係合させた第1のフック801と第2のフック802とを備える。
すなわち、支持パイプ800に、第1のフック801と第2のフック802とを逆向きに係止させておく一方、先端にフック取付具810を取付けたケーブル830の基端に取付けた係止ピン840を、フロート(例えばセンターフロート61)の前側に形成した所定の係止孔に係合させる。
そして、フック取付具810を左右から挟むように、第1のフック801と第2のフック802とを位置させ、連結ピンおよび留金具を有する連結具820によって両フック801,802をフック取付具810に連結する。
かかる構成により、第1のフック801と第2のフック802とは支持パイプ800から外れることがなく、なおかつ簡単な構成であって、装着も取外しも極めて容易となる。なお、支持パイプ800を、例えば樹脂製のチューブなどで被覆して、金属製の支持パイプ800と第1のフック801および第2のフック802とを直接接触させないようにして、フック801,802と支持パイプ800との間の摩擦を軽減し、フック801,802の摩耗を抑制することができる。
<変形例>
次に、レーキ63の変形例について説明する。図11は、レーキ63の変形例1を示す説明図、図12は、レーキ63の変形例2を示す説明図、図13は、レーキ63の変形例3を示す説明図である。
図11に示すレーキ63が先に説明したレーキ63(図3および図4を参照)と異なるのは、櫛歯片630の幅を広げ、面圧を変更したことにある。すなわち、図3および図4に示したように、細幅の櫛歯片630を備えるレーキ63は、面圧が小さいため、圃場の土壌内に入り込み易く、図11に示すレーキ63のように、広幅の櫛歯片630であれば、面圧が大きくなるため、土壌内に入り込み難くなる。また、図11に示すように、レーキ63の連結杆632を、杆軸回りに回転可能な構成にすることもできる(矢印A3参照)。
したがって、圃場に応じて、面圧の異なるレーキ63を使い分けることによって、圃場の硬軟をより正確に把握することが可能となる。すなわち、面圧が小さく沈みこみ易い細幅の櫛歯片630を備えるレーキ63であるにも拘わらず、上方へ押し上げられる傾向にある場合、その圃場の土壌は硬いと判断することができる。他方、面圧が大きく浮き易い広幅の櫛歯片630を備えるレーキ63であるにも拘わらず、下方へ沈み込む傾向にある場合、その圃場の土壌は軟らかいと判断することができる。
次に、図12に示した変形例2について説明する。ここでは、支軸631に揺動自在に連結した上述のレーキ63の上に、同じ支軸631に揺動自在に連結されたサブレーキとしてセンサーレーキ64を重ねて配置した2重レーキ構造となっている。
すなわち、図12(a)に示すように、下側に位置するレーキ63の隣り合う櫛歯片630,630間に形成される泥抜け空間634の直上方に櫛歯片640が位置するよう、センサーレーキ64を配置する。
かかる構成とすれば、櫛歯片630,630間の泥抜け空間634から浸出する泥の量を、図12(b)に示すように、センサーレーキ64の揺動量dを計測することで検出することができる。検出した泥の量から、圃場の硬度を検出し、苗植付部40を昇降させる昇降シリンダ56の油圧感度を補正して適切な苗植付作業を行うことができる。
このように、レーキ63およびセンサーレーキ64により、圃場硬度検出装置94(図5参照)を、超音波センサなどを用いることなく安価な機械的な構成で実現することができる。
ところで、図12に示す構成とすれば、センサーレーキ64が、圃場に張られた水の水面に対する相対的な回動角度で揺動する。かかる回動角度を検出することにより、圃場の水量を検出することができるため、センサーレーキ64は、圃場の水量を検出するセンサーとして機能することになる。したがって、制御部8は、センサーレーキ64の検出結果に基づいて、水の波の抵抗による誤検知を防止して、苗植付部40の回動動作をより適切に制御することができる。
なお、センサーレーキ64の浮き上がり量から、レーキ63の泥抜け空間634から浸出してきたものは水なのか泥なのかを判定することが可能であるため、その判定結果に基づいて、制御部8は、昇降シリンダ56の油圧感度の補正量を適宜変更することができる。
また、上記構成の圃場硬度検出装置94を利用して圃場における水量を検出できることから、図1に示した施肥装置150による施肥量の調整も適宜行うことができる。すなわち、水量が多いと判断すれば、肥料の流出も多くなると考えられるため、施肥量を増加させる。逆に、水量が少ないと判断すれば、肥料の流出も少なくなると考えられるため、施肥量を減じることができる。
また、図13に示す変形例3に係るレーキ63は、上下揺動のみならず左右首振り自在な構成となっている。すなわち、図示するように、上述してきた水平に配置された第1の支軸631aの先端に、第1の支軸631aと直交する縦軸を設け、この縦軸からなる第2の支軸631bの周りに、レーキ63を機体の左右方向へ回動自在に連結している。
かかる構成とすれば、例えば、苗移植機1を圃場で走行させている際に、機体後方がふらつく(ドリフト)場合に、レーキ63を第2の支軸631bを中心に外方へ回動させれば、レーキ63が抵抗体となって機体のふらつきを抑制することができ、直進性を向上させることができる。
また、上述してきた実施形態は、さらに適宜変形して実施することが可能である。例えば、レーキセンサ91は、単一ではなく、左右のレーキ63,63に一対一で対応するように2つ設けて各レーキ63の揺動量を検出するようにしてもよい。
また、図12で示したレーキ63とセンサーレーキ64により、圃場硬度検出装置94を構成可能としたが、圃場硬度検出装置94としては超音波センサを用いてもよい。超音波センサにより、圃場の水量や泥量などを検出し、その結果に応じて施肥量などを調整することが可能である。
また、走行車体2の後部に連結された苗植付部40の左右側にそれぞれ設けられたスタンドについては、上述した実施形態で想定されている固定式ではなく、自動撥ね上げ式に構成することもできる。例えば、トルクスプリングや圧縮スプリングを用いた周知の撥ね上げ構造を採用し、圧縮スプリングによりスタンドを起立状態に保持する方向に付勢された解除レバーを押すと、トルクスプリングが作用してスタンドが水平状態までに跳ね上がるような構成とすることができる。
なお、上述した苗移植機1の構成のさらなる変形例や効果は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
上述してきた実施形態より、以下の苗移植機1が実現される。
(1)圃場を走行する走行車体2と、走行車体2の後部に、上下回動自在に取付けられる苗植付部40と、苗植付部40の前側に上下移動自在に設けられ、圃場の土壌面Lを整地する整地ロータ70と、整地ロータ70で整地した土壌面Lを均す均平装置と、苗植付部40における土壌面Lからの高さを検出する複数の検出装置と、複数の検出装置の検出結果に基づいて、苗植付部40による苗の植付深さを調整する制御部8と、を備え、均平装置は、苗植付部40の下部に上下回動自在に設けられ、土壌面Lを滑走するセンターフロート61およびサイドフロート62と、センターフロート61とサイドフロート62との間に支軸631を中心に回動自在に設けられた、所定の力で土壌面Lに押圧される左右一対のレーキ63とを備え、複数の検出装置は、一対のレーキ63の揺動角度を検出するレーキセンサ91を含み、制御部8は、レーキセンサ91による検出値の変化の状態により、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定される場合、レーキセンサ91による検出結果をキャンセルする苗移植機1。
(2)上記(1)において、制御部8による判定結果に基づく報知を行う報知装置100を備え、制御部8は、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定される場合、レーキセンサ91による検出結果を苗の植付深さの調整に反映させることなく、報知装置100に異常報知を行わせる苗移植機1。
(3)上記(1)または(2)において、複数の検出装置は、センターフロート61の揺動角度を検出するフロートセンサ92を含み、制御部8は、レーキセンサ91による検出値の変化の状態により、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定される場合、フロートセンサ92による検出結果を苗の植付深さの調整に反映させる苗移植機1。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、制御部8は、レーキセンサ91による検出値の変化量が所定の検出時間において一定値を超える場合、もしくは、一対のレーキ63のうちいずれか一方のレーキセンサ91のみが所定範囲を超えた検出値を示す場合に、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定する苗移植機1。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、レーキ63を揺動させるレーキモータ200を備え、制御部8は、レーキ63の挙動に異常が生じたと判定した場合、レーキモータ200を駆動してレーキ63を強制的に揺動させる苗移植機1。
(6)上記(5)において、制御部8は、走行車体2が後進する際に、レーキモータ200を駆動し、レーキ63を上方へ回転させて所定の収納位置300へ移動させる苗移植機1。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、制御部8は、走行車体2の走行速度に応じて、レーキ63における土壌面Lへの押圧力を高める苗移植機1。
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、複数の櫛歯片630を有する櫛歯形状のレーキ63における櫛歯630片間から浸出する泥の量を計測し、圃場の硬度を検出する圃場硬度検出装置94をさらに備える苗移植機1。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、圃場に張られた水の水面に対する相対的な回動角度により、圃場の水量を検出するセンサーレーキ64をさらに備え、制御部8は、センサーレーキ64の検出結果に基づき、苗植付部40の回動動作を制御する苗移植機1。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、レーキ63を支持する支軸631は、上下回動自在に支持する第1の支軸631aと、当該第1の支軸631aに直交し、レーキ63を機体の左右方向に回動自在に支持する第2の支軸631bとを備える苗移植機1。