JP2019086434A - センサデバイス及びその製造方法、ガスセンサ、情報処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
今後、高齢化がさらに進めば、少人数で大人数の看護、介護をしなくてはならなくなり、充実した医療サービスを受けられなくなる時代が到来する。
このような状況の中で、個人レベルでの生活習慣病の予防が今まで以上に期待されるようになり、より手軽で非侵襲な検査方法が求められている。
ヒトの体内で生成された代謝物は呼気として体外に放出される。
このため、ヒトの呼気中に含まれるガス種や濃度は、体内器官の働きに大きく影響すると考えられている。
そこで、ヒトの呼気中の特定成分をセンシング、モニタリングすることによって、ヒトの健康状態や病気の兆候を非侵襲で検出する試みが注目を集めつつある。
具体的には、ノナナールは肺がん、アセトアルデヒドは食道がんのバイオマーカとしての利用が考えられている。
特に、肺がんは、がんの部位別死亡率で、近年急激に増加し、最も死亡率が高いがんとなり、今後も増加の傾向を示しているため、ノナナールを検出できるようにすることはとても有用である。
また、呼気ガス中には多種のガスが同時に含まれていることから、このなかでアルデヒドを選択的に検出するには、他のガス種に対するセンサの感度が高いことが求められる。
しかしながら、例えばノナナールなどのアルデヒドを検出しようとしても、ガスセンサに用いるには抵抗値が著しく高く、ガスセンサに用いることができるセンサデバイスは実現されていない。
1つの態様では、ガスセンサは、上述のセンサデバイスと、センサデバイスに接続された制御演算部とを備える。
1つの態様では、センサデバイスの製造方法は、基板上に第1電極及び第2電極を形成する工程と、第1電極と第2電極を接続するようにCu膜を形成する工程と、Cu膜を、Cuとハロゲン元素を含み、PEDOT/PSSが添加された処理液で処理して、Cuとハロゲン元素を含むベース膜と、ベース膜に結合したPEDOT/PSSとを含む感応膜を形成する工程とを含む。
本実施形態にかかるセンサデバイスは、ガスセンサに用いられるガスセンサデバイスである。
例えば、ヒトの呼気中の特定成分を検出する呼気ガスセンサ、食品のにおいや加齢臭などを検出するニオイセンサなどのガスセンサに用いられ、特に、呼気ガスなどのガス中や食品や加齢臭などのにおい中に含まれるアルデヒドを応答が速く、かつ、高感度で検出できるセンサデバイスである。
本実施形態のセンサデバイスは、図2に示すように、基板1上に設けられた第1電極2及び第2電極3と、第1電極2と第2電極3とを接続する感応膜4とを備える。
ここで、感応膜4は、検出対象ガスを吸着する膜であって、一対の電極、即ち、第1電極2と第2電極3をまたぐように設けられている。
本実施形態では、ベース膜4Aは、ハロゲン化銅膜であって、具体的には、臭化第一銅(CuBr)膜である。
つまり、PSS,PEDOT単体では導電性が低いが、PEDOT/PSS4Bとなることで導電性が発生する。
しかしながら、PEDOT/PSS4Bは、ガスセンサに用いるには抵抗値が著しく高いため、これを感応膜4に用いてガスセンサデバイスを実現するのは難しい。
そこで、感応膜4の検出対象ガスが吸着する部分にPEDOT/PSS4Bを用い、ベース膜にCuBr膜4Aを用い、これらが結合したものとして感応膜4を構成することで、ガスセンサに用いることができる程度に低抵抗化を図ることができ、アルデヒドを応答が速く、高感度で検出できるガスセンサデバイス及びこれを用いたガスセンサを実現することが可能となる。
また、本実施形態では、図1に示すように、PEDOT/PSS4Bは、ベース膜としてのCuBr膜4Aを構成する結晶粒の粒界及び結晶粒の表面に結合している。
ここでは、感応膜4は、複数の結晶粒(例えば大きさの異なる複数の結晶粒)が並置されたCuBr膜4Aと、CuBr膜4Aを構成する複数の結晶粒に沿ってCuBr膜4Aと結合したPSSと、PSSに吸着したPEDOTとを備える。
このように、アルデヒドを吸着する面積が大きくなるため、アルデヒドの濃度あたりの電気抵抗値の変化を大きくすることができ、応答が速く、高感度でアルデヒドを検出することが可能となる。
本センサデバイスでは、図1に示すように、基板1(例えば熱酸化膜付きのSi基板)の表面上に、例えば粒径約500nm〜約800nmのCuBr結晶粒が緻密に並んでCuBr膜4Aが形成されており、その表面及び結晶粒界にPEDOT/PSS4Bが入り込んだ構造となっている。
PEDOTは、EDOTのユニットが約6〜約18程度結合したもので、PEDOTの鎖長はPSSの鎖長と比較するととても短い。
このため、PEDOT/PSS4Bは、長いPSSに短いPEDOTが多数付着しているような構造を有し、これが相互に絡み合って凝集した3次構造となっている。この場合、PSSにPEDOTが付着し、PSSによってPEDOTが酸化される。
このため、CuBr膜4Aの表面及び結晶粒界の近傍のCuイオンは、PEDOT/PSS4B同士を架橋して、CuBr膜4AとPEDOT/PSS4Bの接触を保持する。
図3、図4に示すように、このような感応膜4の表面側にアルデヒドガス(図3、図4では代表してノナナールガス)が近づいて、PEDOT/PSS4Bの中に入ると、PEDOTとPEDOTの間のPSSに、即ち、PSSの未吸着部分(PEDOTが付着していない部分;図4中、符号Xで示す部分)に、優先的に、ノナナールガス分子が吸着し、PSSによってノナナールのアルデヒド基部分が酸化される(図3参照)。これによって、センサデバイスの抵抗(ガスセンサの抵抗;感応膜の抵抗)は低くなる。
まず、図5(A)に示すように、基板1(例えば熱酸化膜付きのSi基板)を用意し、図5(B)に示すように、この基板1の表面に金(Au)を蒸着することによって、2つの金電極(Au電極:厚さ約60nm;第1電極2及び第2電極3)を形成する。ここでは、2つの金電極2、3間のギャップは約1mm程度にしている。この工程は、基板1上に第1電極2及び第2電極3を形成する工程である。
また、基板1は、2つの電極2、3が直接導通することを防ぐことができるものであれば良く、熱酸化膜付きのSi基板に限られるものではない。
例えば、TiO2薄膜をSi基板に蒸着したものでも良い。
ここで、基板1を構成する樹脂は、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PVA(ポリ酢酸ビニル)、PUR(ポリウレタン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、ABS樹脂、PMMA、PA(ポリアミド)、POM(ポリアセタール)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PSF、PEEK、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)などである。また、基板1は、このような樹脂が導体上にコーティングされたものでも良い。
また、ここでは2つの電極2、3にAu(金)を用いているが、これに限られるものではなく、感応膜4(ここではPEDOT/PSS4BやCuBr膜4A)と比較して導電性が高い材料を用いれば良い。
次に、図5(C)に示すように、2つの金電極(一対の金電極)2、3をまたぐようにCu(銅)を蒸着して、Cu膜4X(Cu薄膜;厚さ約100nm〜約120nm)を形成する。この工程は、第1電極2と第2電極3を接続するようにCu膜4Xを形成する工程である。
この工程は、Cu膜4Xを、Cuとハロゲン元素を含み、PEDOT/PSSが添加された処理液で処理して、Cuとハロゲン元素を含むベース膜4Aと、ベース膜4Aに結合したPEDOT/PSS4Bとを含む感応膜4を形成する工程である。
なお、臭化第二銅の溶媒は、メタノール以外に、例えば水、エタノール、2−プロパノールなどを使うことができる。
また、ここでは、基板1上のCu膜4Xに処理液5を滴下し、約90sec経過後にメタノールで洗浄し、乾燥させているが、これに限られるものではなく、例えば、処理液5中に上述のようにしてCu膜4Xを蒸着した基板1を浸漬(約90sec)した後、基板1をメタノールで洗浄し、乾燥させても良い。
このようにして製造したセンサデバイスでは、2つの電極2、3間の抵抗(電気的抵抗)を測定することによって、センサデバイスの近傍にあるガスをセンシングし、アルデヒドを高感度で検出することができる。
つまり、上述のようにして製造したセンサデバイスに、制御演算部(例えばプロセッサ、CPU、コントローラなど)を接続して、ガスセンサを構成し、制御演算部が、センサデバイスの2つの電極間の抵抗(抵抗値)を測定し(この機能を測定部という)、その抵抗値の変化を濃度に換算することで(即ち、その抵抗値の変化の大きさの割合をアルデヒドの濃度に対応づけることで)(この機能を算出部という)、センサデバイスの近傍にあるアルデヒドを高感度で検出することができる(例えば図10〜図13参照)。
したがって、本実施形態にかかるセンサデバイス及びその製造方法、ガスセンサによれば、アルデヒドを高い感度で検出できるセンサデバイス及びこれを用いたガスセンサを実現できるという効果がある。
ところで、上述のように、感応膜4にPEDOT/PSS4Bを用いることによって、感応膜にCuBr膜のみを用いたセンサ(例えばアンモニアセンサ)と比較すると、抵抗値が約1000〜約10000倍に高抵抗化してしまうことがわかった。
この場合、PEDOT/PSS4Bにさらにパラトルエンスルホン酸(PTS)を添加したPEDOT/PSS/PTSを感応膜4に用いるのが好ましい。つまり、感応膜4は、PTSをさらに含むのが好ましい。なお、これを第1変形例という。
これにより、センサの低抵抗化を実現することができる。例えば、感応膜にCuBr膜のみを用いたセンサ(例えばアンモニアセンサ)と比較して約1倍〜約10倍程度に低抵抗化することが可能である。この結果、より高い応答性を実現し、より高い感度を実現することが可能となる。
ここでは、パージ時間約100sec、ノナナールガス暴露約100secを交互に3回行なった。
センサの初期抵抗値をR0とし、暴露後のセンサの抵抗値をRsとすると、センサの応答の大きさ(感度)は(Rs−R0)/R0×100(%)で表される。
また、バックグランドガスから切り替えて、ノナナールガスを導入すると、約20〜約30secで飽和領域に到達し、極めて早い応答を示している。
また、ノナナールガスの導入を停止し、バックグランドガスに切り替えると、約30sec程度で導入前のセンサ抵抗値とほぼ同程度まで回復する。
さらに、ノナナールガスの検出にPEDOT/PSS/PTSが機能していることを確認するため、感応膜にCuBr膜のみを用いたセンサを同様にノナナールガスに暴露したところ、図7に示すように、ノナナールガスに対してほとんど応答しないことがわかった。
また、感応膜にCuBr膜のみを用いたセンサの初期抵抗は約4.5KΩであるが、上述のPEDOT/PSS/PTSを感応膜4に用いたセンサの場合でも、ほぼ同等の初期抵抗に抑えることができることが確認できた。
このように、本実施形態のガスセンサは、ノナナールを検出するノナナールセンサとして用いることができるだけでなく、アルデヒドを検出するアルデヒドセンサとして用いることができる。
この結果、例えばアセトアルデヒドガスに対する応答の大きさを100とすると、ノネナールガスに対する応答の大きさは約24.5、アンモニアガスに対する応答の大きさは約8.78、エタノールガスに対する応答の大きさは約0.0459、アセトンガスに対する応答の大きさは約1.43であった。
しかしながら、上述したように、実際の呼気には多種のガスが含まれているため、その中で十分な応答を示すようにするために、より大きな応答が得られるようにしたい。
この場合、上述の実施形態の製造方法において、上述の処理液5にノナナール溶液を添加(ここではノナナールを約50μL滴下)したものを新たな処理液とし、上述の場合と同様に、Cu薄膜4Xを蒸着した基板1に処理液5を滴下するか又はCu薄膜4Xを蒸着した基板1を処理液5に浸漬すれば良い。
ここで、図8は、PEDOT/PSS/PTS+ノナナールを感応膜4に用いたセンサを、上述の第1変形例の場合と同様に、アルデヒドガスの1つであるノナナールガス(約300ppb)に暴露した結果を示している。
これは、図9に示すように、添加したノナナールは、PSSのPEDOTが吸着していない部分(図9中、符号Xで示す部分)に吸着することになるため、外部からガスで侵入してきたノナナールは、導電性に直接影響するPSSのPEDOTが吸着している部分(図9中、符号Yで示す部分)に近づいて、PSSに強く働きかけ、アルデヒド基にPSSの+電荷を強く引き付ける。
なお、ここでは、上述の第1変形例のPEDOT/PSS/PTSを用いた感応膜4にさらにノナナールを添加する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、上述の実施形態のPEDOT/PSSを用いた感応膜4にさらにノナナールを添加し、PEDOT/PSS+ノナナールを感応膜4に用いたセンサとしても良い。
この場合、上述の実施形態及び第1変形例のものに対して、感応膜4は、アルデヒド類又はカルボン酸をさらに含むことになる。なお、例えば、後述するように、検出対象をノネナールとする場合には、感応膜4にノネナールを添加すれば良く、この場合、上述の実施形態及び第1変形例のものに対して、感応膜4は、アルデヒド類としてのノネナールをさらに含むものとなる。
ところで、上述の実施形態及び各変形例では、アルデヒド(例えばノナナール)を検出するアルデヒドセンサ(例えばノナナールセンサ)に適用した場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス及びこれを備えるガスセンサは、ケトン(例えばアセトン)を検出するケトンセンサ(例えばアセトンセンサ)に適用することもできる。
このため、アルデヒドガスに応答するガスセンサは、メカニズム的にケトンガスに対しても適用可能であり、ケトンガスに対しても、反応性の大きさの違いはあるものの、アルデヒドガスに対する反応性と似たような反応性を示す。
このため、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス及びこれを備えるガスセンサは、ケトン(例えばアセトン)を検出するケトンセンサ(例えばアセトンセンサ)に適用することもできる。
以下、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス及びこれを備えるガスセンサの具体的な適用例について説明する。
ここでは、図10に示すように、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス(アルデヒドセンサデバイス)6、及び、CuBr膜のみを感応膜とするセンサデバイス(アンモニアセンサデバイス)7の2種類のセンサデバイスを搭載した呼気ガスセンサ(ガスセンサ)8と、この呼気ガスセンサ8によって得られたデータを処理するコンピュータ9[例えばパーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォンなどの携帯端末など]とを備える呼気ガスセンサシステム(情報処理システム)10を例に挙げて説明する。
ここでは、導入口11から吹き入れた呼気は、除湿フィルタ13で、湿度約80%RH以上の高湿度から約30%RH程度の低湿度になる。
そして、制御演算部16は、アルデヒドセンサデバイス6及びアンモニアセンサデバイス7の応答(ここでは抵抗値の変化)を濃度に換算することで、アルデヒド及びアンモニアの濃度をそれぞれ検出するようになっている。
つまり、上述のように、アルデヒドセンサ8Aは、アンモニアにもある程度の感度を示すため、呼気ガスのようにアンモニアガスとアルデヒドガスが同時に存在する場合には、アルデヒドガスの濃度を正しく測定することは難しい。
例えば、アンモニアセンサ8Bの応答からアンモニアガスの濃度を求め、このアンモニアガスの濃度分をアルデヒドセンサ8Aの応答分から差し引き、アルデヒドガスの濃度を求めれば良い。
さらに、ここでは、制御演算部16は、これらのデータ(濃度データ)をデータ伝送部19によって、例えば無線で外部のコンピュータ9(例えばPCや携帯端末など)へ伝送するようになっている。
次に、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス及びこれを備えるガスセンサを、ニオイセンサ(ニオイガスセンサ)として用い、食品鮮度検出システムに適用した場合について、図11、図12を参照しながら説明する。これを第2適用例という。
ここでは、図11、図12に示すように、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス(アルデヒドセンサデバイス)20を搭載したニオイセンサ(ガスセンサ)21と、このニオイセンサ21によって得られたデータを処理するコンピュータ22[例えばパーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォンなどの携帯端末など]とを備える食品鮮度検出システム(情報処理システム)23を例に挙げて説明する。
最近では、食品に対する安全性・信頼性の低下が懸念されているが、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス(アルデヒドセンサデバイス)20を搭載したニオイセンサ(アルデヒドガスセンサ)21で食品のにおいをモニタすることで、例えば消費直前の食品の腐敗程度を定量的に測定することが可能となる。
ここでは、センサ部28は、図12に示すように、センサチャンバ29を備え、センサチャンバ29内には、ニオイセンサデバイスとして、アルデヒドセンサデバイス(センサデバイス)20が設けられており、これが制御演算部30に接続され、さらに、データ伝送部31を備える。
この場合、アルデヒドセンサデバイス20及び制御演算部30によってアルデヒドセンサ21が構成され、これが、食品24のにおい中に含まれるアルデヒドを検出するニオイセンサ(ガスセンサ)として用いられることになる。
さらに、ここでは、制御演算部30は、このデータ(濃度データ)をデータ伝送部31(図12参照)によって、例えばBluetooth(登録商標)等のワイヤレスシステムで外部のコンピュータ22(例えばPCや携帯端末など)へ伝送するようになっている(図11参照)。
なお、ニオイセンサ21に備えられる制御演算部30(図12参照)で、アルデヒドの濃度に応じて食品の鮮度を検出するようにし、センサ部28の筐体に表示部を設けて、例えばアルデヒドの濃度を示す指標や食品の鮮度の程度などの情報を表示するようにしても良い。
なお、ここでは、ニオイセンサ21(図12参照)によって得られたデータを処理するコンピュータ22(図11参照)を、例えばPCや携帯端末としているが、これに限られるものではなく、例えばクラウドサーバなどのサーバとしても良い。例えばPCや携帯端末にネットワークを介して接続されたサーバ(例えばクラウドサーバなど)に、ニオイセンサ21によって得られたデータ(又は例えばPCや携帯端末で処理されたデータ)を送って、サーバでデータを処理するようにしても良い。
例えば、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス(アルデヒドセンサデバイス)は、においの中に含まれるノネナールにも応答することがわかった。
このため、図13に示すように、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス32(アルデヒドセンサデバイス;ノネナールセンサデバイス)を、においの中に含まれるノネナールを検出する加齢臭センサ33(ノネナールセンサ;ニオイセンサ)として用い、加齢臭チェッカ34(ノネナールガスチェッカ;ニオイチェッカ)に適用することができる。
ここでは、ポンプ39が内蔵されていて、このポンプ39で、外気が導入口36からセンサチャンバ38に導入されるように吸引して、排気する構造になっている。
そして、制御演算部40は、ノネナールセンサデバイス32の応答(ここでは抵抗値の変化)を濃度に換算することで、ノネナールの濃度を検出し、その結果を、表示部41(表示器)に表示するようになっている。
なお、ここでは、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス32を、においの中に含まれるノネナールを検出する加齢臭センサ33として用い、加齢臭チェッカ34に適用する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイスを、においの中に含まれるアルデヒドを検出するニオイセンサとして用い、ニオイチェッカに適用することも可能である。
また、ここでは、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス32を1個用いる場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、複数個用いても良い。
次に、上述の実施形態及び各変形例のセンサデバイス及びこれを備えるガスセンサを、呼気ガスセンサ又はニオイセンサ(ニオイガスセンサ;加齢臭センサ)として用い、例えばスマートフォンや腕時計型のウェアラブル端末などの携帯端末に適用した場合について、図14(A)、図14(B)、図15を参照しながら説明する。これを第4適用例という。
このガスセンサ内蔵スマートフォン43では、図14(A)、図14(B)に示すように、スマートフォン43のスピーカ部分の穴44、マイクの穴45を、スマートフォン43に内蔵された呼気ガスセンサ又はニオイガスセンサ46の対象ガス吸引口、排出口としても用いる。
ここで、超小型ポンプ47は、例えば圧電式ポンプが大きさや流量の点で適当であるが、例えばダイアフラムポンプ、シロッコファンなどを用いても良い。
そして、制御演算部50は、センサデバイス42の応答(ここでは抵抗値の変化)を濃度に換算することで、アルデヒド(例えばノナナール、ノネナール)の濃度を検出し、その結果を、スマートフォン43のディスプレイ51[図14(A)参照]に表示するようになっている。
なお、制御演算部50は、スマートフォン43の制御演算部であっても良いし、スマートフォン43の制御演算部とは別にスマートフォン43の内部に設けられた制御演算部であっても良い。ここで、制御演算部50がスマートフォン43の制御演算部である場合、スマートフォン43に搭載されたセンサデバイス42と、スマートフォン43の制御演算部とによって、ガスセンサ46が構成されることになる。
なお、本発明は、上述した実施形態及び各変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
(付記1)
基板上に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを接続し、Cuとハロゲン元素を含むベース膜と、前記ベース膜に結合したPEDOT/PSSとを含む感応膜とを備えることを特徴とするセンサデバイス。
前記PEDOT/PSSは、前記ベース膜を構成する結晶粒の粒界及び結晶粒の表面に結合していることを特徴とする、付記1に記載のセンサデバイス。
(付記3)
前記感応膜は、PTSをさらに含むことを特徴とする、付記1又は2のセンサデバイス。
前記感応膜は、アルデヒド類又はカルボン酸をさらに含むことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
(付記5)
前記アルデヒド類は、ノナナールであることを特徴とする、付記4に記載のセンサデバイス。
前記アルデヒド類は、ノネナールであることを特徴とする、付記4に記載のセンサデバイス。
(付記7)
前記カルボン酸は、ノナン酸であることを特徴とする、付記4に記載のセンサデバイス。
前記感応膜は、ケトン類をさらに含むことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
(付記9)
前記ケトン類は、アセトンであることを特徴とする、付記8に記載のセンサデバイス。
付記1〜9のいずれか1項に記載のセンサデバイスと、
前記センサデバイスに接続された制御演算部とを備えることを特徴とするガスセンサ。
(付記11)
付記10に記載のガスセンサと、
前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。
基板上に第1電極及び第2電極を形成する工程と、
前記第1電極と前記第2電極を接続するようにCu膜を形成する工程と、
前記Cu膜を、Cuとハロゲン元素を含み、PEDOT/PSSが添加された処理液で処理して、Cuとハロゲン元素を含むベース膜と、前記ベース膜に結合したPEDOT/PSSとを含む感応膜を形成する工程とを含むことを特徴とするセンサデバイスの製造方法。
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、さらにPTSを添加した処理液を用いることを特徴とする、付記12に記載のセンサデバイスの製造方法。
(付記14)
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、さらにアルデヒド類又はカルボン酸を添加した処理液を用いることを特徴とする、付記12又は13に記載のセンサデバイスの製造方法。
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、ノナナールを添加した処理液を用いることを特徴とする、付記14に記載のセンサデバイスの製造方法。
(付記16)
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、ノネナールを添加した処理液を用いることを特徴とする、付記14に記載のセンサデバイスの製造方法。
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、ノナン酸を添加した処理液を用いることを特徴とする、付記14に記載のセンサデバイスの製造方法。
(付記18)
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、さらにケトン類を添加した処理液を用いることを特徴とする、付記12又は13に記載のセンサデバイスの製造方法。
前記感応膜を形成する工程において、前記処理液として、アセトンを添加した処理液を用いることを特徴とする、付記18に記載のセンサデバイスの製造方法。
2 第1電極
3 第2電極
4 感応膜
4A ベース膜
4B PEDOT/PSS
4X Cu膜
5 処理液
6 センサデバイス(アルデヒドセンサデバイス)
7 CuBr膜のみを感応膜とするセンサデバイス(アンモニアセンサデバイス)
8 呼気ガスセンサ(ガスセンサ)
8A アルデヒドセンサ
8B アンモニアセンサ
9 コンピュータ(PC)
10 呼気ガスセンサシステム(情報処理システム)
11 呼気導入口
12 筐体
13 除湿フィルタ
14 流量センサ
15 センサチャンバ
16 制御演算部
17 パージ用ポンプ
18 温湿度センサ
19 データ伝送部
20 センサデバイス(アルデヒドセンサデバイス)
21 ニオイセンサ(ガスセンサ;アルデヒドセンサ)
22 コンピュータ
23 食品鮮度検出システム(情報処理システム)
24 食品(検査対象;鮮度検出対象物)
25 食品チャンバ
26 ポンプ
27 フィルタ(活性炭フィルタ)
28 センサ部
29 センサチャンバ
30 制御演算部
31 データ伝送部
32 センサデバイス(アルデヒドセンサデバイス;ノネナールセンサデバイス)
33 加齢臭センサ(ノネナールセンサ;ニオイセンサ)
34 加齢臭チェッカ(ノネナールガスチェッカ;ニオイチェッカ)
35 筐体
36 導入口
37 プレフィルタ
38 センサチャンバ
39 ポンプ
40 制御演算部
41 表示部(表示器)
42 センサデバイス
43 スマートフォン
44 スピーカ部分の穴
45 マイクの穴
46 呼気ガスセンサ又はニオイガスセンサ
47 超小型ポンプ
48 センサ部
49 センサチャンバ
50 制御演算部
51 ディスプレイ
Claims (12)
- 基板上に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを接続し、Cuとハロゲン元素を含むベース膜と、前記ベース膜に結合したPEDOT/PSSとを含む感応膜とを備えることを特徴とするセンサデバイス。 - 前記PEDOT/PSSは、前記ベース膜を構成する結晶粒の粒界及び結晶粒の表面に結合していることを特徴とする、請求項1に記載のセンサデバイス。
- 前記感応膜は、PTSをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2のセンサデバイス。
- 前記感応膜は、アルデヒド類又はカルボン酸をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
- 前記アルデヒド類は、ノナナールであることを特徴とする、請求項4に記載のセンサデバイス。
- 前記アルデヒド類は、ノネナールであることを特徴とする、請求項4に記載のセンサデバイス。
- 前記カルボン酸は、ノナン酸であることを特徴とする、請求項4に記載のセンサデバイス。
- 前記感応膜は、ケトン類をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサデバイス。
- 前記ケトン類は、アセトンであることを特徴とする、請求項8に記載のセンサデバイス。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセンサデバイスと、
前記センサデバイスに接続された制御演算部とを備えることを特徴とするガスセンサ。 - 請求項10に記載のガスセンサと、
前記ガスセンサによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。 - 基板上に第1電極及び第2電極を形成する工程と、
前記第1電極と前記第2電極を接続するようにCu膜を形成する工程と、
前記Cu膜を、Cuとハロゲン元素を含み、PEDOT/PSSが添加された処理液で処理して、Cuとハロゲン元素を含むベース膜と、前記ベース膜に結合したPEDOT/PSSとを含む感応膜を形成する工程とを含むことを特徴とするセンサデバイスの製造方法。
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