JP2019086113A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキからケースに入力される振動を低減すること。【解決手段】無段変速機、ギヤ列により構成された副変速機、および遊星歯車機構により構成された前後進切替機構を収容するケース2と、前後進切替機構のリングギヤをケースに固定する係合状態とリングギヤをケースに固定しない開放状態とに切り替わるブレーキと、を備え、ケース2には、ブレーキプレート100が取り付けられる固定溝20が複数設けられた動力伝達装置において、固定溝20のうち、軸方向から見た場合に第1軸回転中心O1と第2軸回転中心O2とを結ぶ線分Lを挟んで隣り合う位置に設けられた対象固定溝21,22について、線分Lに近い側の溝壁面21b,22aはブレーキプレート100とは非接触であり、線分Lから遠い側の溝壁面21a,22bはブレーキプレート100と接触することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、動力伝達装置に関する。
特許文献1には、ベルト式無段変速機を介する動力伝達経路(第1経路)と、ギヤ機構により構成された副変速機を介する動力伝達経路(第2経路)とが並列に形成された動力伝達装置が開示されている。この動力伝達装置は、第1経路と第2経路のうちのいずれか一方を動力伝達可能に接続する際に係合もしくは開放する複数の係合装置と、遊星歯車機構により構成された前後進切替機構とを備える。複数の係合装置には、車両が後進する場合に係合状態となり前後進切替機構のリングギヤをケースに固定するブレーキが含まれる。このブレーキが係合する場合、第1経路は動力伝達不能に遮断されて、第2経路が動力伝達可能に接続される。
特開2016−023801号公報
特許文献1に記載の構成では、第2経路を構成するギヤ同士の噛合い部を確保するために、ブレーキが取り付けられた位置の近くにケース壁部を貫通する連通孔を設ける場合がある。この場合、連通孔付近でケース壁部の剛性が弱くなるため、ブレーキを係合した際にブレーキからケースに振動が入力されると、ケースを伝達する振動が大きくなってしまう。そのため、ケース上面(発音面)が振動することによりケースで音を発する虞がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、ブレーキからケースに入力される振動を低減することができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
本発明は、無段変速機と、第1軸上に設けられた遊星歯車機構により構成された前後進切替機構と、第1軸と平行の第2軸上に設けられたギヤを含むギヤ列により構成された副変速機と、無段変速機、前後進切替機構、および副変速機を収容するケースと、ケースに取り付けられた円環状のブレーキプレートを有し、前後進切替機構のリングギヤをケースに固定する係合状態とリングギヤをケースに固定しない開放状態とに切り替わるブレーキと、を備え、ケースは、ブレーキプレートが取り付けられる固定溝を複数有し、車両の後進時にはブレーキを係合状態とし副変速機を介して動力を伝達する動力伝達装置において、固定溝のうち、軸方向から見た場合に第1軸の回転中心と第2軸の回転中心とを結ぶ線分を挟んで隣り合う位置に設けられた対象固定溝について、線分に近い側の溝壁面はブレーキプレートとは非接触であり、線分から遠い側の溝壁面はブレーキプレートと接触することを特徴とする。
本発明では、ブレーキプレートが取り付けられるケースの固定溝のうち、第1軸の回転中心と第2軸の回転中心とを結ぶ線分を挟んで隣り合う位置に設けられた対象固定溝について、線分に近い側の溝壁面にブレーキプレートが接触していない。そのため、ブレーキの振動がブレーキプレートから対象固定溝の線分に近い側の溝壁面へと直接入力されることを防げる。これにより、ブレーキからケースに入力される振動を低減でき、ケースの発音面が振動することによる発音を抑制することができる。
図1は、実施形態の動力伝達装置を模式的に示すスケルトン図である。 図2は、ケースの構造を模式的に示す図である。 図3は、ブレーキプレートを模式的に示す図である。 図4は、第1軸回転中心と第2軸回転中心とを結ぶ線分を基準とした固定溝の位置を説明するための図である。 図5は、固定溝に取り付けられたブレーキプレートの固定構造を説明するための図である。 図6は、固定溝に取り付けられたブレーキプレートの固定構造を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における動力伝達装置について具体的に説明する。
図1は、実施形態の動力伝達装置1を模式的に示す図である。動力伝達装置1は、例えばエンジン(図示せず)を動力源とする車両に搭載されるものであり、ケース2(詳細構造は図2に示す)の内部に収容される。この動力伝達装置1は、入力軸3、前後進切替機構4、ベルト式の無段変速機(以下「CVT」という)5、副変速機としてのギヤ列6、出力軸7、カウンタギヤ機構8、デファレンシャルギヤ9、車軸10、を備える。動力伝達装置1では、無段変速部であるCVT5と、有段変速部であるギヤ列6とが並列に配置されている。入力軸3と出力軸7との間の動力伝達経路として、CVT5を介する動力伝達経路(以下「第1経路」という)と、ギヤ列6を介する動力伝達経路(以下「第2経路」という)とが並列に形成されている。また、動力伝達装置1は互いに平行に配置された第1軸から第5軸までの回転軸を有する。第1軸上(入力軸上)に配置された第1軸回転中心Oを回転中心とする回転部材には、入力軸3と、前後進切替機構4と、CVT5のプライマリプーリ51と、ギヤ列6の駆動ギヤ61とが含まれる。第2軸上(副軸上)に配置された第2軸回転中心Oを回転中心とする回転部材には、ギヤ列6のカウンタギヤ機構62が含まれる。第3軸上(出力軸上)に配置された第3軸回転中心Oを回転中心とする回転部材には、出力軸7と、CVT5のセカンダリプーリ52と、ギヤ列6の従動ギヤ63とが含まれる。第4軸上(カウンタ軸上)に配置された第4軸回転中心Oを回転中心とする回転部材には、カウンタギヤ機構8が含まれる。第5軸上(車軸上)に配置された第5軸回転中心Oを回転中心とする回転部材には、デファレンシャルギヤ9と、車軸10とが含まれる。この説明では、第1軸を入力軸3、第2軸(副軸)をカウンタ軸62b、第3軸を出力軸7、第4軸をカウンタギヤ機構8のカウンタ軸、第5軸を車軸10とする。
入力軸3は、動力源から出力された動力(例えばエンジントルク)が入力される回転軸であり、前後進切替機構4に連結されている。前後進切替機構4は、エンジントルクを駆動輪へ伝達する際、駆動輪に作用するトルクの方向を前進方向と後進方向とに切り替える。図1に示す例では、前後進切替機構4はダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成される。その前後進切替機構4は、サンギヤ4Sと、サンギヤ4Sに対して同心円上に配置されたリングギヤ4Rと、サンギヤ4Sに噛み合っている第1ピニオンギヤ4Pと、第1ピニオンギヤ4Pおよびリングギヤ4Rに噛み合っている第2ピニオンギヤ4Pと、各ピニオンギヤ4P,4Pを自転可能かつ公転可能に保持しているキャリヤ4Cとを備えている。サンギヤ4Sには、ギヤ列6の駆動ギヤ61が一体回転するように連結されている。キャリヤ4Cには、入力軸3が一体回転するように連結されている。また、サンギヤ4Sとキャリヤ4Cとを選択的に一体回転させる第1クラッチC1が設けられている。第1クラッチC1を係合させることによって前後進切替機構4全体が一体回転する。さらに、リングギヤ4Rを選択的に回転不能に固定するブレーキB1が設けられている。第1クラッチC1およびブレーキB1は油圧式である。例えば、第1クラッチC1を係合させ、かつブレーキB1を開放させると、サンギヤ4Sとキャリヤ4Cとが一体回転し、入力軸3と駆動ギヤ61とが一体回転する。また、第1クラッチC1を開放させ、かつブレーキB1を係合させると、サンギヤ4Sとキャリヤ4Cとが逆方向に回転し、入力軸3と駆動ギヤ61とは逆方向に回転する。
CVT5は、入力軸3と一体回転するプライマリプーリ51と、セカンダリシャフト54と一体回転するセカンダリプーリ52と、一対のプーリ51,52に形成されたV溝に巻き掛けられたベルト53とを備えている。入力軸3はプライマリシャフトと一体回転するように連結されている。各プーリ51,52のV溝幅を変化させることによってベルト53の巻き掛け径が変化するため、CVT5の変速比を連続的に変化させることができる。CVT5の変速比は最大変速比(最Low)から最小変速比(最High)の範囲内で連続的に変化する。
プライマリプーリ51は、プライマリシャフトと一体化された固定シーブ51aと、プライマリシャフト上で軸線方向に移動可能な可動シーブ51bと、可動シーブ51bに推力を付与するプライマリ油圧シリンダ51cとを備えている。固定シーブ51aのシーブ面と可動シーブ51bのシーブ面とが対向して、プライマリプーリ51のV溝を形成する。プライマリ油圧シリンダ51cは、可動シーブ51bの背面側に配置されている。プライマリ油圧シリンダ51c内の油圧によって可動シーブ51bを固定シーブ51a側へ移動させる推力が発生する。
セカンダリプーリ52は、セカンダリシャフト54と一体化された固定シーブ52aと、セカンダリシャフト54上で軸線方向に移動可能な可動シーブ52bと、可動シーブ52bに推力を付与するセカンダリ油圧シリンダ52cとを備えている。固定シーブ52aのシーブ面と可動シーブ52bのシーブ面とが対向して、セカンダリプーリ52のV溝を形成する。セカンダリ油圧シリンダ52cは、可動シーブ52bの背面側に配置されている。セカンダリ油圧シリンダ52c内の油圧によって可動シーブ52bを固定シーブ52a側へ移動させる推力が発生する。
また、CVT5の下流側には、エンジンを駆動輪から切り離すためのクラッチとして第2クラッチC2が設けられている。第2クラッチC2を開放させることによって、CVT5と出力軸7との間がトルク伝達不能に遮断され、CVT5が駆動輪から切り離される。第2クラッチC2は、セカンダリシャフト54と出力軸7との間に設けられており、出力軸7からCVT5を選択的に切り離すことができる。例えば、第2クラッチC2を係合させると、CVT5と出力軸7との間が動力伝達可能に接続され、セカンダリシャフト54と出力軸7とが一体回転する。第2クラッチC2を開放させると、セカンダリシャフト54と出力軸7との間がトルク伝達不能に遮断され、エンジンおよびCVT5が駆動輪から切り離される。第2クラッチC2は油圧式である。油圧アクチュエータによって第2クラッチC2の係合要素同士が摩擦係合するように構成されている。
出力軸7には出力ギヤ7aと従動ギヤ63とが一体回転するように取り付けられている。出力ギヤ7aは、減速機構であるカウンタギヤ機構8のカウンタドリブンギヤ8aと噛み合っている。カウンタギヤ機構8のカウンタドライブギヤ8bは、デファレンシャルギヤ9のリングギヤ9aと噛み合っている。デファレンシャルギヤ9には、左右の車軸10,10を介して左右の駆動輪が連結されている。
ギヤ列6は、前後進切替機構4のサンギヤ4Sと一体回転する駆動ギヤ61と、カウンタギヤ機構62と、出力軸7と一体回転する従動ギヤ63とを含む。ギヤ列6は減速機構であって、ギヤ列6の変速比(ギヤ比)は、CVT5の最大変速比よりも大きい所定値に設定されている。ギヤ列6の変速比は固定変速比である。動力伝達装置1では、発進時に、入力軸3からギヤ列6を介して出力軸7へとトルクを伝達させる。ギヤ列6は発進ギヤまたは後進ギヤとして機能する。
駆動ギヤ61は、カウンタギヤ機構62のカウンタドリブンギヤ62aと噛み合っている。カウンタギヤ機構62は、カウンタドリブンギヤ62aと、カウンタ軸62bと、従動ギヤ63に噛み合っているカウンタドライブギヤ62cとを含む。カウンタ軸62bには、カウンタドリブンギヤ62aが一体回転するように取り付けられている。カウンタ軸62bは入力軸3および出力軸7と平行に配置されている。カウンタドライブギヤ62cは、カウンタ軸62bに対して相対回転可能に構成されている。また、カウンタ軸62bとカウンタドライブギヤ62cとを選択的に一体回転させる噛合式の係合装置(ドグクラッチ)S1が設けられている。
ドグクラッチS1は、噛合式の一対の係合要素64a,64bと、軸線方向に移動可能なスリーブ64cとを備えている。第1係合要素64aは、カウンタ軸62bにスプライン嵌合されたハブである。第1係合要素64aとカウンタ軸62bとは一体回転する。第2係合要素64bは、カウンタドライブギヤ62cと一体回転するように連結されている。つまり、第2係合要素64bはカウンタ軸62bに対して相対回転する。スリーブ64cの内周面に形成されたスプライン歯が、各係合要素64a,64bの外周面に形成されたスプライン歯と噛み合うことによって、ドグクラッチS1は係合状態となる。ドグクラッチS1を係合させることによって、駆動ギヤ61と従動ギヤ63との間(第2経路)がトルク伝達可能に接続される。第2係合要素64bとスリーブ64cとの噛み合いが解除されることによって、ドグクラッチS1は開放状態となる。ドグクラッチS1を開放させることによって、駆動ギヤ61と従動ギヤ63との間(第2経路)はトルク伝達不能に遮断される。また、ドグクラッチS1は油圧式であり、油圧アクチュエータによってスリーブ64cが軸線方向に移動する。
図2は、ケース2の構造を模式的に示す図である。ケース2は、動力伝達装置1を収容するトランスアクスルケースである。トランスアクスルケースには、図2に示すケース2の他にカバー部材であるリヤカバーとフロントカバー(いずれも図示せず)が含まれる。なお、図2はケース2を軸方向から見た場合の平面図である。
図2に示すように、ケース2は、第1軸回転中心Oの回転部材を支持する第1軸支持部201と、第2軸回転中心Oの回転部材を支持する第2軸支持部202と、第3軸回転中心Oの回転部材を支持する第3軸支持部203と、第4軸回転中心Oの回転部材を支持する第4軸支持部204と、第5軸回転中心Oの回転部材を支持する第5軸支持部205とを有する。軸方向から見た場合、第1軸支持部201の位置は第2軸支持部202の位置に近く(第1軸回転中心Oの位置は第2軸回転中心Oの位置に近く)、第1軸回転中心Oの上側に第2軸回転中心Oが位置する。
図2に示す第1軸支持部201は、ブレーキB1が設けられる部分である。ケース2の壁部2aには、ブレーキB1のブレーキプレート100(図3に示す)が取り付けられる固定溝20が設けられる。壁部2aには、第1軸支持部201となる部分に、第1軸回転中心Oの周り(周方向)に中空状の内周部が形成されている。この壁部2aの中空状内周部に固定溝20が形成されている。固定溝20は、第1軸回転中心Oの径方向外側に凹状となり、第1軸回転中心Oを中心とする周方向に所定間隔を空けて複数形成される。ブレーキプレート100は、図3に示すように円環状の板部材であり、その外周部には固定溝20に取り付けられる係止部101が設けられている。係止部101は、周方向に所定間隔を空けた位置に複数設けられており、径方向外側に突出している。
また、ケース2には、ギヤ列6のギヤ噛合い部を確保するために、壁部2aを貫通する連通孔Hが設けられている。連通孔Hは、軸方向から見た場合に第2軸回転中心Oと第3軸回転中心Oとの間に位置する。連通孔Hの内部を貫通するようにしてギヤ列6のカウンタドライブギヤ62cと従動ギヤ63とが噛み合う。このように、副変速機を有する動力伝達装置1ではケース2にギヤ噛合い部を配置するための連通孔Hを設ける必要があるため、第2軸支持部202の近くに設けた連通孔Hによってケース2の剛性が部分的に弱くなってしまう。そこで、動力伝達装置1では、第2軸支持部202の近くに位置する第1軸支持部201から入力される振動を低減させることが可能な固定溝20とブレーキプレート100との固定構造を有する。この固定構造について図4を参照して説明する。
図4は、第1軸回転中心Oと第2軸回転中心Oとを結ぶ線分Lを基準とした固定溝20の位置を説明するための図である。図4に破線で示すように、複数の固定溝20のうち、第1軸回転中心Oと第2軸回転中心Oとを結ぶ線分Lを挟んで隣り合う位置に設けられた二つの固定溝21,22が対象固定溝となる。この対象固定溝21,22では、周方向両側に形成された溝壁面のうち、線分Lに近い側の溝壁面がブレーキプレート100とは非接触の面となる。これにより、ブレーキB1を係合した際に前後進切替機構4で生じる振動(起振力)がブレーキプレート100を介して対象固定溝21,22から線分Lに近い位置でケース2の壁部2aに入力されることを抑制できる。この対象固定溝21,22におけるブレーキプレート100の固定構造について図5,6を参照して説明する。
図5,6に示すように、第1の対象固定溝21は、線分Lから遠い側の溝壁面21aがブレーキプレート100の係止部101と接触しているものの、線分Lに近い側の溝壁面21bはブレーキプレート100の係止部101とは非接触である。第2の対象固定溝22は、線分Lに近い側の溝壁面22aがブレーキプレート100の係止部101とは非接触であるものの、線分Lから遠い側の溝壁面22bはブレーキプレート100の係止部101と接触している。このように、線分Lを挟む位置の対象固定溝21,22では、ブレーキプレート100の係止部101が取り付けられるものの、線分Lに近い側の溝壁面21b,22aはブレーキプレート100に非接触であり、線分Lから遠い側の溝壁面21a,22bのみがブレーキプレート100に接触する。ブレーキB1によるリングギヤ4Rの固定時、かみ合い荷重の反力を固定溝20で受ける。また、加速時と減速時では反力の作用方向が逆転するため、回転荷重の作用方向も逆転する。
例えば、ブレーキB1が係合してブレーキプレート100に右回転方向の荷重が作用する場合、図5に示すように、第2の対象固定溝22の右壁面となる溝壁面22bではブレーキプレート100からの回転荷重を受けるものの、第1の対象固定溝21の右壁面となる溝壁面21bではブレーキプレート100からの回転荷重を受けない。この場合、線分Lに近い側の溝壁面21b,22aはいずれも回転荷重を受けない。さらに、第1の対象固定溝21の左壁面となる溝壁面21aとブレーキプレート100とは接触状態であるものの、回転荷重が作用する方向とは反対方向の接触面であるため回転荷重の反力は生じない。
ブレーキB1が係合してブレーキプレート100に左回転方向の荷重が作用する場合、図6に示すように、第1の対象固定溝21の左壁面となる溝壁面21aではブレーキプレート100からの回転荷重を受けるものの、第2の対象固定溝22の左壁面となる溝壁面22aではブレーキプレート100からの回転荷重を受けない。この場合も、線分Lに近い側の溝壁面21b,22aはいずれも回転荷重を受けない。さらに、第2の対象固定溝22の右壁面となる溝壁面22bとブレーキプレート100とは接触状態であるものの、回転荷重が作用する方向とは反対方向の接触面であるため回転荷重の反力は生じない。
以上説明した通り、実施形態の動力伝達装置1では、ケース2とブレーキプレート100との固定構造において、第2軸支持部202の近辺に設けられる対象固定溝21,22の溝壁面のうち線分Lに近い側の溝壁面21b,22aがブレーキプレート100の係止部101と非接触である。これにより、ブレーキB1を係合した場合に前後進切替機構4で振動(起振力)が生じても、ブレーキプレート100から線分Lに近い側の溝壁面21b,22aへと振動が直接入力されることを抑制でき、ブレーキB1からケース2に入力される振動を低減させることができる。さらに、対象固定溝21,22から副変速機の支持部である第2軸支持部202への振動伝達が抑制される。この結果、第2軸支持部202の近くに連通孔Hを有するケース2について、壁部2aでの振動伝達を抑制でき、ケース2の上面(発音面)での発音(膜振動)を抑制することが可能である。
なお、複数の固定溝20には、上述した対象固定溝21,22以外の固定溝が含まれる。複数の固定溝20のうち、対象固定溝21,22以外の固定溝20におけるブレーキプレート100の係止部101との接触状態は特に限定されない。例えば、対象固定溝21,22以外の固定溝20では、周方向両側の溝壁面がブレーキプレート100の係止部101と接触して回転荷重を受けるように構成される。
さらに、図1に示す動力伝達装置1の構成例は一例であり、動力伝達装置1はこれに限定されない。例えば、カウンタギヤ機構8の軸方向配置は図1に示す配置に限定されない。一例として、カウンタドライブギヤ62cと従動ギヤ63との噛み合い部の軸方向位置は、図1における軸方向の左右側ではカウンタドリブンギヤ62aの左側であってもよい。また、第2クラッチC2の配置もセカンダリプーリ52の下流側に限定されない。
1 動力伝達装置
2 ケース
2a 壁部
20 固定溝
21,22 対象固定溝
21a,21b,22a,22b 溝壁面
100 ブレーキプレート
101 係止部
201 第1軸支持部
202 第2軸支持部
203 第3軸支持部
204 第4軸支持部
205 第5軸支持部
B1 ブレーキ
L 線分
第1軸回転中心
第2軸回転中心
第3軸回転中心
第4軸回転中心
第5軸回転中心

Claims (1)

  1. 無段変速機と、
    第1軸上に設けられた遊星歯車機構により構成された前後進切替機構と、
    前記第1軸と平行の第2軸上に設けられたギヤを含むギヤ列により構成された副変速機と、
    前記無段変速機、前記前後進切替機構、および前記副変速機を収容するケースと、
    前記ケースに取り付けられた円環状のブレーキプレートを有し、前記前後進切替機構のリングギヤを前記ケースに固定する係合状態と前記リングギヤを前記ケースに固定しない開放状態とに切り替わるブレーキと、
    を備え、
    前記ケースは、前記ブレーキプレートが取り付けられる固定溝を複数有し、
    車両の後進時には前記ブレーキを係合状態とし前記副変速機を介して動力を伝達する動力伝達装置において、
    前記固定溝のうち、軸方向から見た場合に前記第1軸の回転中心と前記第2軸の回転中心とを結ぶ線分を挟んで隣り合う位置に設けられた対象固定溝について、前記線分に近い側の溝壁面は前記ブレーキプレートとは非接触であり、前記線分から遠い側の溝壁面は前記ブレーキプレートと接触する
    ことを特徴とする動力伝達装置。
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