JP2019084841A - 車両用空調装置の内気導入構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】補助ドアを、部品点数及び組付工数の増加を招くことなく、しかも、構造の複雑化を招くことなく、ケーシングに組み付けることができるようにする。【解決手段】補助ドア30は、補助内気導入口16bを覆う板状のドア本体部31と、ドア本体部31に一体成形され、ドア本体部31の厚み方向に突出する取付用突起部32とを備えている。ケーシング10には、取付用突起部32が挿入される取付孔16cが形成されている。【選択図】図5

Description

本発明は、例えば自動車に搭載される車両用空調装置の内気導入構造に関し、特に、車室内の空気と車室外の空気とを選択して導入可能に構成された構造の技術分野に属する。
従来より、車両用空調装置には、車室内の空気(内気)と車室外の空気(外気)を選択して導入するための内外気切替装置が設けられている。内外気切替装置は、車室内に連通して内気を導入する内気導入口と、車室外に連通して外気を導入する外気導入口とが形成されたケーシングを備えている。このケーシング内に、内気導入口と外気導入口を開閉する内外気切替ドアが設けられており、この内外気切替ドアの動作によって内気循環モードと外気導入モードとに切り替えられる。
この種の車両用空調装置としては、例えば、特許文献1〜4に開示されているように、ケーシングに、上記内気導入口とは別の補助内気導入口を設け、この補助内気導入口を上記内外気切替ドアとは別の補助ドアによって開閉可能にしたものが知られている。この構造によれば、内外気切替ドアが外気導入口を開いて内気導入口を閉じているとき、即ち外気導入モードにあるときに、ケーシング内の負圧によって補助ドアが補助内気導入口を開くように撓み変形し、これによりケーシングに内気が一部導入されて暖房効率の向上が図られるようになっている。
特許文献1では、補助ドア及びドア固定カバーが一体化されてサブアッセンブリ化がされたフィルタカバーをケーシングに取り付けることにより、補助ドアの組み付けが可能になっている。
特許文献2では、ケーシングの補助内気導入口内に嵌合される枠部材と、枠部材に設けられたフック部材とを設けている。このフック部材を、補助ドアの上端部に形成された挿入口に挿入することにより、枠部材を介して補助ドアをケーシングに組み付けることができるようになっている。
特許文献3では、ケーシングとは別体の補助内気導入部が設けられており、この補助内気導入部は、補助内気導入口を有する縦板部と、縦板部から突出する複数の爪部とを備えており、補助ドアの上端部に形成された挿入口に爪部を挿入することにより、縦板部を介して補助ドアをケーシングに組み付けることができるようになっている。
特許文献4では、補助ドアを押さえプレートでケーシングの内側から押さえるともに、その押さえプレートをビスでケーシングに固定することにより、補助ドアをケーシングに組み付けることができるようになっている。
特開2004−189059 特開2008−126697号公報 特開2016−78548号公報 特開2012−1177号公報
ところで、特許文献1〜3では、ケーシングとは別体のドア固定カバーや枠部材、縦板部等を有しているので、補助ドアをケーシングに組み付けるにあたり、部品点数が増えて組付工数が増加する。また、ドア固定カバーや枠部材、縦板部等は、一般的に硬質部材からなるものなので、ケーシングとこれら部材との間のエアシール構造が必要になり、構造の複雑化を招く。
また、特許文献4でもケーシングとは別体の押さえプレートを有しており、そのような押さえプレートをケーシングに取り付けるためにはビスが複数必要になる。よって、補助ドアをケーシングに組み付けるにあたり、部品点数が増えて組付工数が増加する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内気を一部導入するための補助ドアを、部品点数及び組付工数の増加を招くことなく、しかも、構造の複雑化を招くことなく、ケーシングに組み付けることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、弾性を有する材料からなるドア本体部に取付用突起部を一体成形し、この取付用突起部をケーシングに形成された取付孔に挿入することにより、別部材を設けることなく、補助ドアをケーシングに直接取り付けることができるようにした。
第1の発明は、車室内の空気を導入する主内気導入口及び補助内気導入口と、車室外の空気を導入する外気導入口とが形成されたケーシングと、上記ケーシングに設けられ、上記主内気導入口及び上記外気導入口を開閉する内外気切替ドアと、上記ケーシングに設けられ、上記補助内気導入口を開閉するための弾性を有する材料からなる補助ドアとを備えた車両用空調装置の内気導入構造において、上記補助ドアは、上記補助内気導入口を覆う板状のドア本体部と、該ドア本体部に一体成形され、該ドア本体部の厚み方向に突出する取付用突起部とを備え、上記ケーシングには、上記取付用突起部が挿入される取付孔が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、内外気切替ドアが主内気導入口を閉じ、外気導入口を開くと、外気導入モードになる。このとき、補助ドアが補助内気導入口を開くことで内気を一部導入することが可能になる。
補助ドアをケーシングに組み付ける際には、補助ドアの取付用突起部をケーシングの取付孔に挿入すればよい。従って、従来例のようなケーシングとは別体の部材やビスを設ける必要がなくなるので、部品点数及び組付工数が削減される。
また、補助ドアは弾性を有する材料からなるものなので、ケーシングに組み付けられた状態で補助内気導入口の周縁部に密着し易くなり、複雑なエアシール構造は不要になる。
第2の発明は、第1の発明において、上記取付用突起部は柱状に形成され、上記取付用突起部には、該取付用突起部の突出方向と交差する方向に突出する凸部が形成され、上記凸部と上記ドア本体部との間に上記ケーシングの上記取付孔の周縁部が配置され、該凸部が上記ケーシングの上記取付孔の周縁部に係合することを特徴とする。
この構成によれば、補助ドアの取付用突起部をケーシングの取付孔に挿入すると、ケーシングの取付孔の周縁部が凸部とドア本体部との間に配置され、凸部がケーシングの上記取付孔の周縁部に係合することになる。これにより、取付用突起部が取付孔から抜け難くなる。
第3の発明は、第2の発明において、上記凸部における上記取付孔への挿入方向先端側を構成する面は、挿入方向先端側へ行くほど上記取付用突起部の軸線に近づくように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、補助ドアの取付用突起部をケーシングの取付孔に挿入する際に、凸部における挿入方向先端側を構成する面が、その先端側へ行くほど取付用突起部の軸線に近づく形状となっているので、取付用突起部の凸部が形成された部分を取付孔に挿入し易くなる。
第4の発明は、第2または3の発明において、上記凸部における上記取付孔への挿入方向基端側を構成する面は、上記ケーシングの上記取付孔の周縁部に沿って延びるように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、補助ドアの取付用突起部をケーシングの取付孔に挿入した状態で、凸部における挿入方向基端側を構成する面が、ケーシングの取付孔の周縁部に沿う形状になっているので、凸部が取付孔からより一層抜け難くなる。
第5の発明は、第2から4のいずれか1つの発明において、上記凸部は、上記取付用突起部の突出方向中間部に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、取付用突起部の突出方向先端側の部分に凸部が無いので、この先端側の部分を組付作業者が摘まむようにして持つことが可能になる。つまり、取付用突起部の突出方向先端側の部分が組付時のツマミとなる。
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明において、上記ドア本体部は、上記ケーシングの内側に配置され、上記取付用突起部は、上記ケーシングの上記取付孔に挿入されて該ケーシングの外側へ突出していることを特徴とする。
この構成によれば、取付用突起部が取付孔に挿入された状態でケーシングの外側へ突出することになる。言い換えると、取付用突起部がケーシングの外側へ突出していなければ、取付用突起部の挿入が不完全であるということである。従って、ケーシングの外部から取付用突起部の挿入状態を目視で確認することが可能になる。
第7の発明は、第1から6のいずれか1つの発明において、上記ケーシングは、別部材からなる第1ケーシング構成部材と第2ケーシング構成部材とが組み合わされて構成され、上記第1ケーシング構成部材には、上記補助内気導入口及び上記取付孔が形成されるとともに、該第1ケーシング構成部材の上記第2ケーシング構成部材側の端部から上記取付孔まで延びるスリットが形成され、該スリットの幅は、上記取付用突起部が挿入可能に設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1ケーシング構成部材と第2ケーシング構成部材とを組み合わせる前に、補助ドアの取付用突起部を、第1ケーシング構成部材の第2ケーシング構成部材側の端部からスリットに挿入し、取付孔に達するまでスリット内を移動させることで、取付孔に容易に挿入することが可能になる。
第8の発明は、第7の発明において、上記ドア本体部には、複数の上記取付用突起部が互いに間隔をあけて形成され、上記第1ケーシング構成部材には、複数の上記取付孔が上記取付用突起部の形成位置に対応するように形成され、上記スリットは、複数の上記取付孔を繋ぐように延びていることを特徴とする。
この構成によれば、複数の取付用突起部によって補助ドアを組み付ける場合に、スリットに複数の取付用突起部を挿入していくことで、各取付用突起部を対応する取付孔に容易に挿入することが可能になる。
第1の発明によれば、弾性を有する材料からなる補助ドアのドア本体部に取付用突起部を一体成形し、この取付用突起部をケーシングの取付孔に挿入するようにしたので、部品点数及び組付工数の増加を招くことなく、しかも、構造の複雑化を回避することができる。
第2の発明によれば、取付用突起部の突出方向中間部に凸部を設け、この凸部がケーシングの取付孔の周縁部に係合するようになっているので、使用時に補助ドアがケーシングから外れないようにすることができる。
第3の発明によれば、凸部における取付孔への挿入方向先端側を構成する面がその先端側へ行くほど取付用突起部の軸線に近づく形状となっているので、取付用突起部の凸部が形成された部分を取付孔に挿入し易くなり、組付作業性を良好にすることができる。
第4の発明によれば、凸部における取付孔への挿入方向基端側を構成する面がケーシングの取付孔の周縁部に沿って延びる形状となっているので、使用時に補助ドアがケーシングからより一層外れ難くなる。
第5の発明によれば、凸部を取付用突起部の突出方向中間部に形成することで、取付用突起部の突出方向先端側の部分を組付時のツマミとして利用することができる。よって、組付作業性を良好にすることができる。
第6の発明によれば、取付用突起部がケーシングの取付孔に挿入された状態でケーシングの外側へ突出することになる。従って、ケーシングの外部から取付用突起部の挿入状態を目視で確認することができ、組付不良を未然に防止することができる。
第7の発明によれば、第1ケーシング構成部材に形成したスリットに補助ドアの取付用突起部を挿入して取付孔に達するまでスリット内を移動させることで、取付孔に容易に挿入することができ、組付作業性を良好にすることができる。
第8の発明によれば、複数の取付用突起部を有する場合に組付作業性を良好にすることができる。
本発明の実施形態1に係る車両用空調装置の内気導入構造が適用された送風ユニットを後側から見た斜視図である。 送風ユニットの背面図である。 送風ユニットの左側面図である。 送風ファン、モーター及び内外気切替ドアを省略した送風ユニットの分解斜視図である。 図2におけるV−V線断面図である。 補助ドアの正面図である。 図6のVII−VII線断面図である。 実施形態2の図2相当図である。 実施形態2の図4相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用空調装置の内気導入構造が適用された送風ユニット1を示すものである。車両用空調装置は、送風ユニット1の他に、空調ユニットとしての温度調節ユニット(図示せず)及びヒートポンプ装置(図示せず)を備えている。
(温度調節ユニットの構成)
温度調節ユニットは、空気冷却用熱交換器及び空気加熱用熱交換器と、エアミックスドアと、吹出方向切替ドアとを有している。エアミックスドアによって空気冷却用熱交換器及び空気加熱用熱交換器を通過する空気の比率を変更し、これにより、所望温度の調和空気を生成することができる。また、温度調節ユニットには、デフロスタ吹出口と、左右のベント吹出口と、センタベント吹出口と、ヒート吹出口とが形成されている。デフロスタ吹出口には、インストルメントパネル(図示せず)のデフロスタ口に連通するデフロスタダクト(図示せず)の上流端部を接続することができる。左右のベント吹出口とセンタベント吹出口には、インストルメントパネルのベント口に連通するセンタベントダクト(図示せず)の上流端部を接続することができる。ヒート吹出口には、ヒートダクト(図示せず)の上流端部を接続することができる。
吹出方向切替ドアにより、デフロスタ吹出口と、左右のベント吹出口と、センタベント吹出口と、ヒート吹出口とを開閉することができる。これにより、デフロスタモードやベントモード、ヒートモード、バイレベルモード等の各種吹出モードに切り替えることができる。つまり、温度調節ユニットは、導入した空調用空気の温度調節を行った後、車室の各部に選択的に供給することができるように構成されている。温度調節ユニットは、車室内の前端部に配設されているインストルメントパネル(図示せず)の内部において車幅方向中央部に収容されている。
尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」
というものとする。
(送風ユニット1の構成)
送風ユニット1は、図5にも示すように、ケーシング10と、内外気切替ドア20と、送風ファン25と、ファン駆動モーター26とを備えており、インストルメントパネル(図示せず)の内部において助手席側(この実施形態では左側)に収容されている。送風ユニット1のケーシング10は、図1に示すように左右方向の中間部において左右に分割された左側ケーシング構成部材(第1ケーシング構成部材)11及び右側ケーシング構成部材(第2ケーシング構成部材)12を組み合わせることによって構成されている。左側ケーシング構成部材11及び右側ケーシング構成部材12は、共に樹脂材からなるものである。図2にも示すように、左側ケーシング構成部材11は、ケーシング10の左側部分を構成する部材である。右側ケーシング構成部材12は、ケーシング10の右側部分を構成する部材である。
図4にも示すように、左側ケーシング構成部材11の右端部は全体が開放されている。また、右側ケーシング構成部材12の左端部も全体が開放されている。左側ケーシング構成部材11の右側の開放部分と、右側ケーシング構成部材12の左側の開放部分とを合わせて締結部材等によって左側ケーシング構成部材11及び右側ケーシング構成部材12を締結することでケーシング10を構成することができる。
ケーシング10の上部前側には、車室外の空気(外気)を導入する外気導入口10aが形成されている。外気導入口10aは、左右方向に長い形状とされている。外気導入口10aは、図示しないが車体のカウル部材に形成された開口部に接続されて車室外部と連通している。
ケーシング10の上部後側には、車室内の空気(内気)を導入する上部内気導入口(主内気導入口)10bが形成されている。上部内気導入口10bは、ケーシング10の上壁部において左端から右端に亘って形成されている。上部内気導入口10bは、ケーシング10の左側壁部及び右側壁部にも形成されている。外気導入口10a及び上部内気導入口10bの開口面積はそれぞれ大きく設定されている。
内外気切替ドア20は、ケーシング10の内部において上側に設けられている。内外気切替ドア20は、支軸21(図3及び図5にのみ示す)と、端壁部22(図5にのみ示す)と、閉塞板部23とを備えている。支軸21は、ケーシング10の内部において前後方向中央部近傍に配置されて左右方向に延びている。支軸21の左端部及び右端部は、ケーシング10の左側壁部及び右側壁部にそれぞれ回動可能に支持されている。端壁部22は、支軸21の外面から径方向に突出する板部で構成されており、左側と右側にそれぞれ形成されている。閉塞板部23は、端壁部22の突出方向先端部から支軸21の中心線と略平行に左右方向に延びている。この閉塞板部23の大きさは、外気導入口10aよりも大きく、また、ケーシング10の上壁部に形成されている上部内気導入口10bよりも大きい。
内外気切替ドア20は、図1や図2に示す内外気切替用アクチュエータ27によって駆動される。内外気切替用アクチュエータ27は、図示しない制御装置によって制御されるものであり、乗員による選択操作や所定のアルゴリズムに従って作動するように構成されている。内外気切替用アクチュエータ27によって支軸21を回動させることで内外気切替ドア20を前後方向に回動させることができる。図5に示すように、内外気切替用アクチュエータ27が内外気切替ドア20を後側に回動させると、上部内気導入口10bを閉じ、外気導入口10aを開いた外気導入モードになる。この外気導入モードでは、端壁部22が、ケーシング10の左側壁部及び右側壁部に形成された上部内気導入口10bを閉じる。
一方、図示しないが、内外気切替用アクチュエータ27が内外気切替ドア20を前側に回動させると、上部内気導入口10bを開き、外気導入口10aを閉じた内気導入モードになる。従って、内外気切替用アクチュエータ27によって外気導入モードと内気導入モードとに切り替えることができる。
図1に示すように、送風ユニット1のケーシング10の右側壁部には、ケーシング10の内部に導入した空調用空気を流出させるための空気流出口10cが形成されている。ケーシング10の下部にはスクロール部13が形成されており、このスクロール部13の内部が空気流出口10cと連通している。スクロール部13の内部には、送風ファン25が設けられている。送風ファン25は、例えば遠心式ファン(シロッコファン)で構成することができ、回転中心線が上下方向に延びる姿勢で配置されている。
ケーシング10の底壁部には、ファン駆動モーター26が設けられている。ファン駆動モーター26の出力軸に送風ファン25の中心部が固定されている。送風ファン25がファン駆動モーター26によって駆動されることで上方から空調用空気を吸い込んで径方向に吐出する。吐出された空調用空気は、スクロール部13の内部を流通して空気流出口10cから温度調節ユニットに送風されるようになっている。
送風ユニット1のケーシング10における上部内気導入口10bと、スクロール部13との間には、フィルタ収容部14が設けられている。このフィルタ収容部14の内部には、図5に示すようにフィルタFが収容されている。フィルタFは、板状をなしており、その空気通過面が略水平に延びる姿勢で配置されている。フィルタ収容部14を構成しているケーシング10の後壁部には、フィルタFを出し入れするためのフィルタ収容孔14aが形成されている。フィルタ収容部14の後側には、蓋部材15が取り付けられている。フィルタFをフィルタ収容部14の内部に収容した状態で、蓋部材15がフィルタ収容孔14aを閉塞する。
ケーシング10における上部内気導入口10bと、フィルタ収容部14との間には、左側ケーシング構成部材11から右側ケーシング構成部材12に亘って膨出部16が設けられている。膨出部16は、全体として左右方向に長い形状とされている。この膨出部16の後壁部16aは上下方向かつ左右方向に延びている。図1、図2及び図4に示すように、後壁部16aには、車室内の空気をケーシング10の内部に導入するための補助内気導入口16bがケーシング10の内部に連通するように形成されている。
この実施形態では、4つの補助内気導入口16bが左右方向に互いに間隔をあけて並ぶように設けられているが、補助内気導入口16bの数は4つでなくてもよく、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。4つの補助内気導入口16bの合計開口面積は、上部内気導入口10bの合計開口面積よりも小さく設定されている。補助内気導入口16bの位置は、図示した位置に限られるものではなく、ケーシング10における内外気切替ドア20よりも空気流れ方向下流側の部分に形成されていればよい。
4つの補助内気導入口16bのうち、左側の2つの補助内気導入口16bが左側ケーシング構成部材11に形成され、右側の2つの補助内気導入口16bが右側ケーシング構成部材12に形成されている。最も左に位置する補助内気導入口16bは、左側ケーシング構成部材11の左端近傍に位置している。最も右に位置する補助内気導入口16bは、右側ケーシング構成部材12の右端近傍に位置している。各補助内気導入口16bの形状は略矩形状であり、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも短くなっている。
膨出部16の後壁部16aには、後述する補助ドア30の取付用突起部32が挿入される取付孔16cが形成されている。取付孔16cは、補助ドア30をケーシング10に組み付けるためのものであり、補助内気導入口16bの上方で開口している。具体的には、取付孔16cは、補助内気導入口16bの上縁部から上方に離れている。この実施形態では、6つの取付孔16cが左右方向に互いに間隔をあけて並ぶように設けられているが、取付孔16cの数は6つでなくてもよく、5つ以下であってもよいし、7つ以上であってもよい。6つの取付孔16cのうち、左側の3つの取付孔16cが左側ケーシング構成部材11に形成され、右側の3つの取付孔16cが右側ケーシング構成部材12に形成されている。左側の3つの取付孔16cは、左側ケーシング構成部材11に形成された補助内気導入口16bの上方に位置し、また、右側の3つの取付孔16cは、右側ケーシング構成部材12に形成された補助内気導入口16bの上方に位置している。取付孔16cの形状は、略円形とされている。
(補助ドアの構成)
図4等に示すように、送風ユニット1は、補助内気導入口16bを開閉するための弾性を有する材料からなる2つの補助ドア30を備えている。2つの補助ドア30は、左右方向に互いに間隔をあけて設けられている。左側に設けられる補助ドア30は、左側ケーシング構成部材11に組み付けられて、左側ケーシング構成部材11に形成された2つの補助内気導入口16bを開閉する。右側に設けられる補助ドア30は、右側ケーシング構成部材12に組み付けられて、右側ケーシング構成部材12に形成された2つの補助内気導入口16bを開閉する。2つの補助ドア30は、同じものであり、部品の共通化が図られている。
補助ドア30を構成する材料は、弾性を有する材料であればよく、特に限定されるものではないが、例えばゴムや熱可塑性エラストマー等を使用することができる。ゴムとしては、天然ゴムであってもよいし、合成ゴムであってもよい。また、熱可塑性エラストマーは、少なくとも常温付近で弾性を有するものであればよい。
図6及び図7にも示すように、補助ドア30は、2つの補助内気導入口16bを覆う略平坦な板状のドア本体部31と、該ドア本体部31に一体成形され、該ドア本体部31の厚み方向に突出する取付用突起部32とを備えている。補助ドア30は、ドア本体部31がケーシング10の内側に配置されるようにケーシング10に組み付けられている。すなわち、図5に示すように、左側の補助ドア30がケーシング10(左側ケーシング構成部材11)に組み付けられた状態では、ケーシング10の膨出部16の内部にドア本体部31が配置されており、このドア本体部31は、その後面が膨出部16の後壁部16aの内面に沿うように位置付けられるとともに、該内面に密着するようになっている。
この状態では、ドア本体部31の下縁部が補助内気導入口16bの下縁部よりも下方に位置しており、また、ドア本体部31の上縁部が補助内気導入口16bの上縁部よりも上方に位置している。また、ドア本体部31の左縁部は、左側ケーシング構成部材11に形成されている左側の補助内気導入口16bの左縁部よりも左側に位置しており、また、ドア本体部31の右縁部は、左側ケーシング構成部材11に形成されている右側の補助内気導入口16bの右縁部よりも右側に位置している。右側ケーシング構成部材12に組み付けられる補助ドア30も同様である。つまり、各ドア本体部31は、左右方向に並ぶ2つの補助内気導入口16bを完全に覆うことができるように、左右方向に長い矩形状に形成されている。ドア本体部31の厚みは、該ドア本体部31が容易に撓み変形するように薄く設定されている。
取付用突起部32は、ドア本体部31の上部において左右方向に互いに間隔をあけて3つ形成されている。取付用突起部32の左右方向の間隔と、ケーシング10の取付孔16cの左右方向の間隔とは略同じに設定されている。従って、左側ケーシング構成部材11に形成されている3つの取付孔16cは、取付用突起部32の形成位置に対応することになる。
取付用突起部32は、ドア本体部31から突出する柱状に形成されている。取付用突起部32の突出方向は、補助ドア30をケーシング10に組み付けた状態で後方向になる。取付用突起部32の断面は略円形であり、従って、この実施形態では、取付用突起部32が略円柱状になる。取付用突起部32の断面は円形でなくてもよく、例えば楕円形や多角形であってもよい。また、取付用突起部32の断面形状は、軸線方向の各部位で異なっていてもよい。
取付用突起部32には、該取付用突起部32の突出方向と交差する方向に突出する凸部32aが形成されている。凸部32aは、取付用突起部32の周方向に連続して延びる突条部をなしている。図6に示す凸部32aが形成された部分の外径D1は、ケーシング10の取付孔16cの径よりも大きく設定されている。一方、取付用突起部32の凸部32aが形成された部分以外の外径D2は、ケーシング10の取付孔16cと略同じか、若干小さく設定されている。
凸部32aが形成された部分の外径D1がケーシング10の取付孔16cの径よりも大きいので、図5に示すように、取付用突起部32をケーシング10の取付孔16cに完全に挿入した状態では、凸部32aとドア本体部31の後面との間にケーシング10の取付孔16cの周縁部が配置され、該凸部32aがケーシング10の取付孔16cの周縁部に係合する。
図7に示すように、取付用突起部32の凸部32aにおける取付孔16cへの挿入方向先端側を構成する先端側面32bは、取付用突起部32の軸線に対して傾斜したテーパー面で構成されている。具体的には、先端側面32bは、取付用突起部32の挿入方向先端側へ行くほど取付用突起部32の軸線に近づくように形成されている。
また、取付用突起部32の凸部32aにおける取付孔16cへの挿入方向基端側を構成する基端側面32cは、取付用突起部32の軸線に対して直交する方向に延びる面で構成されている。具体的には、基端側面32cは、ケーシング10の取付孔16cの周縁部に沿って延びるように形成されている。また、取付用突起部32の先端側面32bと基端側面32cとの間の面は、取付用突起部32の軸線を中心として延びる円周面で構成されている。従って、取付用突起部32の先端側面32bと基端側面32cとは、取付用突起部32の軸線方向に所定距離だけ離れている。尚、取付用突起部32の先端側面32bと基端側面32cとの間に円周面を設けることなく、取付用突起部32の先端側面32bと基端側面32cとを連続させてもよい。また、取付用突起部32は、先端に近づけば近づくほど小径となるように先細形状とすることもできる。
凸部32aは、取付用突起部32の突出方向中間部に形成されている。このため、取付用突起部32は、ケーシング10の取付孔16cに挿入された状態で、該ケーシング10の外側(後側)へ突出している。すなわち、取付用突起部32の突出方向先端側(凸部32aよりも先端側)は、詳細は後述するが、補助ドア30をケーシング10に組み付ける際に作業者が指で摘まむことができるツマミ部32dとされている。ツマミ部32dの外径は、凸部32aが形成された部分の径よりも小さくなっている。
(補助ドアの組付要領)
次に、上記のように構成された補助ドア30をケーシング10に組み付ける要領について説明する。ケーシング10を構成する左側ケーシング構成部材11及び右側ケーシング構成部材12を一体化する前(図4に示す)に、補助ドア30を左側ケーシング構成部材11及び右側ケーシング構成部材12に組み付けていく。
補助ドア30を左側ケーシング構成部材11の右側の開放部分から該左側ケーシング構成部材11の内部に入れた後、補助ドア30の3つの取付用突起部32を、それぞれ対応する取付孔16cに挿入していく。
取付用突起部32の挿入時には、まず、取付用突起部32を膨出部16の後壁部16aの前側に配置し、その後、取付用突起部32のツマミ部16dを取付孔16cに差し込む。取付用突起部32のツマミ部16dの外径は、取付孔16cの径と略同じに設定されているので、ツマミ部16dを取付孔16cに容易に差し込むことができる。ツマミ部16dを取付孔16cに差し込むと、ツマミ部16dが膨出部16の後壁部16aから後側へ突出するので、作業者はツマミ部16dを指でつまんで後側へ引っ張る。すると、取付用突起部32が弾性材料からなるものなので、軸線方向に延びるとともに縮径するように弾性変形する。これと同時に、取付用突起部32の凸部32aの先端側面32bが膨出部16の後壁部16aにおける取付孔16cの周縁部に摺接しながら後側へ移動していき、凸部32aが取付孔16cを通過する。
凸部32aが取付孔16cを通過した後にツマミ部16dから指を離すと、取付用突起部32の形状が復元してケーシング10の取付孔16cの周縁部が凸部32aとドア本体部31との間に配置される。この状態で、図6に示す凸部32aが形成された部分の外径D1は、ケーシング10の取付孔16cの径よりも大きく設定されているので、凸部32aが取付孔16cから抜けることはない。さらに、凸部32aの基端側面32cがケーシング10の取付孔16cの周縁部に沿って延びていることにより、凸部32aが取付孔16cから抜け難くなる。よって、補助ドア30の脱落を防止できる。
取付用突起部32のツマミ部32dがケーシング10の外側へ突出していなければ、取付用突起部32の挿入が不完全であるということである。従って、ケーシング10の外部から取付用突起部32の挿入状態を目視で確認することが可能になるので、組付不良を防止できる。尚、右側の補助ドア30も同様にして組み付けることができる。
(補助ドアの作用)
内外気切替用アクチュエータ27が内外気切替ドア20を後側に回動させて上部内気導入口10bを閉じ、外気導入口10aを開いた外気導入モードになった場合には、外気導入口10aからケーシング10の内部に流入する空調用空気の流れによってケーシング10の内部の圧力が低下する。このケーシング10の内部の圧力低下により、補助ドア30のドア本体部31がケーシング10の内側に向かって撓み変形し、このことで補助内気導入口16bが開かれる。補助内気導入口16bが開かれると、車室内の空気が補助内気導入口16bからケーシング10の内部に流入し、外気導入口10aからケーシング10の内部に流入した外気と共に温度調節ユニットに送風される。つまり、外気導入モードにあるケーシング10の内部に内気が一部導入される。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る車両用空調装置の内気導入構造によれば、内外気切替ドア20が上部内気導入口10bを閉じ、外気導入口10aを開いた外気導入モードになった場合には、補助ドア30が補助内気導入口16bを開くことで内気を一部導入することができ、暖房効率を向上させることができる。
また、補助ドア30をケーシング10に組み付ける際には、補助ドア30の取付用突起部32をケーシング10の取付孔16cに挿入すればよい。従って、従来例のようなケーシング10とは別体の部材やビスを設ける必要がなくなるので、部品点数及び組付工数が削減される。
また、補助ドア30は弾性を有する材料からなるものなので、ケーシング10に組み付けられた状態でドア本体部31が補助内気導入口16bの周縁部に密着し易くなり、複雑なエアシール構造は不要になる。
(実施形態2)
図8及び図9は、本発明の実施形態2に係るものである。この実施形態2ではケーシング10に対する補助ドア30の組付構造が実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には実施形態1と同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
図9に示すように、左側ケーシング構成部材11には、該左側ケーシング構成部材11の右側ケーシング構成部材12側の端部から取付孔16cまで左右方向に延びるスリット16dが形成されている。このスリット16dの幅(上下方向の寸法)は、取付用突起部32が挿入可能に設定されている。具体的には、スリット16dの幅は、取付孔16cの径よりも狭く設定されており、取付用突起部32における凸部32aとドア本体部31との間の部分の外径と略同じに設定されている。
また、スリット16dは、左側ケーシング構成部材11に形成されている3つの取付孔16cを繋ぐように延びている。従って、スリット16dの左端部に、最も左に位置する取付孔16cが配置され、またスリット16dの左右方向(長手方向)中間部に、中央の取付孔16cが配置され、またスリット16dの右端部近傍に最も右に位置する取付孔16cが配置されることになる。右側ケーシング構成部材12にも同様なスリット16dが形成されている。
補助ドア30を左側ケーシング構成部材11に組み付ける場合には、スリット16dに、補助ドア30の取付用突起部32を左側のものから順に挿入していく。これにより、各取付用突起部32を対応する取付孔16cに容易に挿入することが可能になる。
この実施形態2の場合も実施形態1と同様に、従来例のようなケーシング10とは別体の部材やビスを設ける必要がなくなるので、部品点数及び組付工数が削減されるとともに、複雑なエアシール構造は不要になる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る車両用空調装置の内気導入構造は、例えば自動車に搭載することができる。
1 送風ユニット
10 ケーシング
10a 外気導入口
10b 上部内気導入口(主内気導入口)
11 左側ケーシング構成部材(第1ケーシング構成部材)
12 右側ケーシング構成部材(第2ケーシング構成部材)
16b 補助内気導入口
16c 取付孔
16d スリット
20 内外気切替ドア
30 補助ドア
31 ドア本体部
32 取付用突起部
32a 凸部
32b 先端側面
32c 基端側面

Claims (8)

  1. 車室内の空気を導入する主内気導入口及び補助内気導入口と、車室外の空気を導入する外気導入口とが形成されたケーシングと、
    上記ケーシングに設けられ、上記主内気導入口及び上記外気導入口を開閉する内外気切替ドアと、
    上記ケーシングに設けられ、上記補助内気導入口を開閉するための弾性を有する材料からなる補助ドアとを備えた車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記補助ドアは、上記補助内気導入口を覆う板状のドア本体部と、該ドア本体部に一体成形され、該ドア本体部の厚み方向に突出する取付用突起部とを備え、
    上記ケーシングには、上記取付用突起部が挿入される取付孔が形成されていることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  2. 請求項1に記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記取付用突起部は柱状に形成され、
    上記取付用突起部には、該取付用突起部の突出方向と交差する方向に突出する凸部が形成され、
    上記凸部と上記ドア本体部との間に上記ケーシングの上記取付孔の周縁部が配置され、該凸部が上記ケーシングの上記取付孔の周縁部に係合することを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  3. 請求項2に記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記凸部における上記取付孔への挿入方向先端側を構成する面は、挿入方向先端側へ行くほど上記取付用突起部の軸線に近づくように形成されていることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  4. 請求項2または3に記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記凸部における上記取付孔への挿入方向基端側を構成する面は、上記ケーシングの上記取付孔の周縁部に沿って延びるように形成されていることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  5. 請求項2から4のいずれか1つに記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記凸部は、上記取付用突起部の突出方向中間部に形成されていることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記ドア本体部は、上記ケーシングの内側に配置され、
    上記取付用突起部は、上記ケーシングの上記取付孔に挿入されて該ケーシングの外側へ突出していることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記ケーシングは、別部材からなる第1ケーシング構成部材と第2ケーシング構成部材とが組み合わされて構成され、
    上記第1ケーシング構成部材には、上記補助内気導入口及び上記取付孔が形成されるとともに、該第1ケーシング構成部材の上記第2ケーシング構成部材側の端部から上記取付孔まで延びるスリットが形成され、該スリットの幅は、上記取付用突起部が挿入可能に設定されていることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
  8. 請求項7に記載の車両用空調装置の内気導入構造において、
    上記ドア本体部には、複数の上記取付用突起部が互いに間隔をあけて形成され、
    上記第1ケーシング構成部材には、複数の上記取付孔が上記取付用突起部の形成位置に対応するように形成され、
    上記スリットは、複数の上記取付孔を繋ぐように延びていることを特徴とする車両用空調装置の内気導入構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022014427A1 (ja) * 2020-07-14 2022-01-20 株式会社ヴァレオジャパン 車両用空調装置

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