JP2019083260A - フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた信頼性を有するフィルムコンデンサを提供する。【解決手段】フィルムコンデンサ素子10と、フィルムコンデンサ素子10を収容する素子収容空間20aを有する外装ケース20と、素子収容空間20a内においてフィルムコンデンサ素子10を封止する封止部30と、を備え、封止部30が、フィラーを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、外装ケース20が、素子収容空間20aと連通する開口部を有しており、封止部30においてフィラーが前記開口部の開口方向において均一に分散している、フィルムコンデンサ100。【選択図】図2
Description
本発明は、フィルムコンデンサに関する。
フィルムコンデンサは、例えば、太陽電池、産業機器、電気自動車等における電力変換装置(パワーコンディショナ)に用いられている。フィルムコンデンサは、例えば、フィルムコンデンサ素子と、フィルムコンデンサ素子を封止する封止部とを備えており、フィルムコンデンサ素子を収容する空間を有する型部材の前記空間内にフィルムコンデンサ素子を配置した後に前記空間に封止材を供給して封止部を形成することにより得ることができる(例えば、下記特許文献1参照)。封止部としては、樹脂材料を含む硬化性の樹脂組成物の硬化物を用いることができる。
フィルムコンデンサでは、封止部によってフィルムコンデンサ素子を封止することにより、水分等によってフィルムコンデンサ素子が劣化することが抑制される。そのため、フィルムコンデンサに対しては、封止部の劣化を抑制することによりフィルムコンデンサ素子の劣化を抑制して優れた信頼性を確保することが求められている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、優れた信頼性を有するフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
本発明に係るフィルムコンデンサの第1実施形態は、フィルムコンデンサ素子と、前記フィルムコンデンサ素子を収容する空間を有するケースと、前記空間内において前記フィルムコンデンサ素子を封止する封止部と、を備え、前記封止部が、フィラーを含有する樹脂組成物又はその硬化物を含み、前記ケースが、前記空間と連通する開口部を有しており、前記封止部において前記フィラーが前記開口部の開口方向において均一に分散している。
ところで、フィルムコンデンサの封止部において熱安定性、機械的強度等の物性が局所的に劣る部分があると、当該物性の劣る部分を起点に封止部が劣化しやすい。これに対し、本発明に係るフィルムコンデンサの第1実施形態によれば、封止部においてフィラーがケースの開口部の開口方向において均一に分散していることにより、フィラーの偏在が抑制されている。この場合、フィラーの偏在に伴い封止部の物性が局所的に異なることが抑制されているため、物性が局所的に劣る部分が封止部に形成されることが抑制されている。これにより、封止部の劣化を抑制できることから、優れた信頼性を確保することができる。
本発明に係るフィルムコンデンサの第2実施形態は、フィルムコンデンサ素子と、前記フィルムコンデンサ素子を収容する空間を有するケースと、前記空間内において前記フィルムコンデンサ素子を封止する封止部と、を備え、前記封止部が、フィラーを含有する樹脂組成物又はその硬化物を含み、前記ケースが、前記空間と連通する開口部を有しており、前記開口部の開口方向における前記封止部の一端側10%の部分の比重A及び前記封止部の他端側10%の部分の比重Bのうち大きい方の比重に対する前記比重Aと前記比重Bとの差の絶対値の割合が8%以下である。
本発明に係るフィルムコンデンサの第2実施形態によれば、ケースの開口部の開口方向において封止部の一端側の部分の比重と封止部の他端側の部分の比重との差の割合が小さい。この場合、ケースの開口部の開口方向において、封止部の一端側の部分の物性と、封止部の他端側の部分の物性とが異なることが抑制されている。そのため、封止部の物性が局所的に異なることが抑制されているため、物性が局所的に劣る部分が封止部に形成されることが抑制されている。これにより、封止部の劣化を抑制できることから、優れた信頼性を確保することができる。
本発明によれば、優れた信頼性を有するフィルムコンデンサを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<フィルムコンデンサ>
本実施形態(第1実施形態及び第2実施形態を包含する。以下同様。)に係るフィルムコンデンサは、フィルムコンデンサ素子と、フィルムコンデンサ素子を収容する素子収容空間を有するケースと、素子収容空間内においてフィルムコンデンサ素子を封止する封止部と、を備え、封止部が、フィラーを含有する樹脂組成物又はその硬化物を含み、ケースが、素子収容空間と連通する開口部を有している。
本実施形態(第1実施形態及び第2実施形態を包含する。以下同様。)に係るフィルムコンデンサは、フィルムコンデンサ素子と、フィルムコンデンサ素子を収容する素子収容空間を有するケースと、素子収容空間内においてフィルムコンデンサ素子を封止する封止部と、を備え、封止部が、フィラーを含有する樹脂組成物又はその硬化物を含み、ケースが、素子収容空間と連通する開口部を有している。
第1実施形態に係るフィルムコンデンサでは、封止部においてフィラーがケースの開口部の開口方向において均一に分散していることにより、フィラーの偏在が抑制されている。この場合、フィラーの偏在に伴い封止部の物性が局所的に異なることが抑制されているため、物性が局所的に劣る部分が封止部に形成されることが抑制されている。これにより、封止部の劣化を抑制できることから、優れた信頼性を確保することができる。
「均一に分散」とは、フィラーの含有量の勾配が実質的になく、フィラーの存在量が実質的に同一であることを言う。「均一に分散」とは、例えば、ケースの開口部の開口方向において等間隔に位置する3点の領域におけるフィラーの含有量の差(最大値−最小値)が8質量%以内に収まることを言う。フィラーが均一に分散している場合には、例えば、フィラーが凝集する際にフィラーの濃淡に起因して生じる界面が目視において観察されない。封止部におけるフィラーの分散状態は、例えば、樹脂組成物の含有成分(樹脂成分、フィラー等)の種類又は含有量によって調整することができる。フィラーが均一に分散している領域は、封止部内においてケースの開口部の開口方向に垂直な方向における少なくとも一部に存在していればよく、封止部内の全体に存在していることが好ましい。
第2実施形態に係るフィルムコンデンサでは、ケースの開口部の開口方向における封止部の一端側(例えば、有底のケースの開口部側)10%の部分の比重A及び封止部の他端側(例えば、有底のケースの底部側)10%の部分の比重Bのうち大きい方に対する比重Aと比重Bとの差の絶対値の割合が8%以下である。この場合、ケースの開口部の開口方向において、封止部の一端側の部分の物性と、封止部の他端側の部分の物性とが異なることが抑制されている。そのため、封止部の物性が局所的に異なることが抑制されているため、物性が局所的に劣る部分が封止部に形成されることが抑制されている。これにより、封止部の劣化を抑制できることから、優れた信頼性を確保することができる。前記比重差の割合(%)は、「(比重Aと比重Bとの差の絶対値)/(比重A及び比重Bのうち大きい方の比重)×100」によって得ることができる。例えば、封止部におけるケースの底部側の比重は、封止部におけるケースの開口部側の比重よりも大きい。
封止部の比重は、例えば、樹脂組成物の含有成分(樹脂成分、フィラー等)の種類又は含有量によって調整することができる。例えば、フィラーの種類又は含有量を調整することによりフィラーの分散状態を調整することにより比重差を調整することができる。
前記比重差の割合は、優れた信頼性を確保しやすい観点から、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましく、0.8%以下が特に好ましく、0.6%以下が極めて好ましく、0.4%以下が非常に好ましく、0.2%以下がより一層好ましい。前記比重差の割合の下限値は、0%であってもよい。すなわち、封止部の一端側の部分及び封止部の他端側の部分の比重が同等であってもよい。
前記比重差の割合は、フィラーの粒径を調整すること(例えば、後述する特定のアスペクト比を有するフィラーを用いること)、樹脂組成物の粘度を調整すること等により調整することができる。
図1は、本実施形態に係るフィルムコンデンサを示す斜視図である。図1は、本実施形態に係るフィルムコンデンサを示す端面図である。図2の(a)は、図1のIIa−IIa線に沿った端面図である。図2の(b)は、図1のIIb−IIb線に沿った端面図である。
図1及び図2に示すフィルムコンデンサ100は、ケース型フィルムコンデンサである。フィルムコンデンサ100は、フィルムコンデンサ素子(フィルムコンデンサ巻回素子)10と、フィルムコンデンサ素子10を収容する素子収容空間20aを有する有底の外装ケース(ケース)20と、素子収容空間20a内においてフィルムコンデンサ素子10を封止する封止部30と、を備える。封止部30は、フィラーを含有する樹脂組成物の硬化物を含む。
フィルムコンデンサ素子10は、例えば、巻回体12と、メタリコン電極14と、リード線16と、を有している。フィルムコンデンサ素子10の製造方法は、例えば、樹脂フィルムに金属蒸着して得られる部材(金属化フィルム)を巻き回して巻回体12を得る工程と、樹脂フィルムの巻回方向に直行する方向における巻回体12の両端面に金属(メタリコン材)を蒸着(メタリコン処理)してメタリコン電極14を得る工程と、メタリコン電極14にリード線16を接続する工程と、を備える。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム等が挙げられる。金属蒸着の金属としては、亜鉛、錫、アルミニウム等が挙げられる。巻回体12は、例えば、略楕円形状の断面を有する筒状体である。メタリコン電極14は、巻回体12の両端面のそれぞれの全面に形成することができる。メタリコン電極14の金属としては、亜鉛、錫、アルミニウム等が挙げられる。リード線16は、例えば、巻回体12の両端面のそれぞれに2本ずつ配置されており、2本のリード線16は、両端面のそれぞれにおいて、端面の長手方向に互いに離れて配置されている。リード線16は、例えば、はんだによりメタリコン電極14に接続されている。
外装ケース20は、例えば、直方体形状を有しており、直方体形状の素子収容空間20aを内部に有している。外装ケース20の上部には、素子収容空間20aと連通する開口部が形成されている。外装ケース20は、例えばポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等によって形成されている。フィルムコンデンサ素子10のリード線16は、外装ケース20の開口部の開口方向に伸びており、リード線16の先端側の部分は、素子収容空間20aの外に突出している。
封止部30は、例えば、フィルムコンデンサ素子10の巻回体12の全体が覆われるように(外部に露出しないように)外装ケース20の素子収容空間20a内に充填されている。封止部30内において、フィルムコンデンサ素子10と外装ケース20の底面との間には封止部30が介在しており、フィルムコンデンサ素子10は外装ケース20の底面から離れて配置されている。封止部30内において、フィルムコンデンサ素子10と外装ケース20の側壁との間には封止部30が介在しており、フィルムコンデンサ素子10は外装ケース20の側壁から離れて配置されている。これらのようにフィルムコンデンサ素子10と外装ケース20との間に封止部30が介在している場合、フィルムコンデンサ素子10が封止部30に充分に保護されやすいため、フィルムコンデンサを長寿命化させやすい。
フィルムコンデンサ100の封止部30では、フィラーが外装ケース20の開口部の開口方向(鉛直方向)において均一に分散している。また、フィルムコンデンサ100の封止部30では、外装ケース20の開口部の開口方向(鉛直方向)における封止部30の一端側(外装ケース20の開口部側(鉛直方向上方側))10%の部分の比重A及び封止部30の他端側(外装ケース20の底部側(鉛直方向下方側))10%の部分の比重Bのうち大きい方に対する比重Aと比重Bとの差の絶対値の割合が8%以下である。
<フィルムコンデンサの製造方法>
本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法においては、樹脂組成物を注型して、フィルムコンデンサ素子を封止する封止部を備えたフィルムコンデンサを得る。成形方法としては、真空注型、インサート成形、射出成形、押出成形、トランスファ成形等が挙げられる。本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法は、例えば、硬化性の封止材として樹脂組成物を外装ケース(ケース)の素子収容空間に供給する樹脂供給工程と、樹脂組成物を硬化する硬化工程と、をこの順に備えている。
本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法においては、樹脂組成物を注型して、フィルムコンデンサ素子を封止する封止部を備えたフィルムコンデンサを得る。成形方法としては、真空注型、インサート成形、射出成形、押出成形、トランスファ成形等が挙げられる。本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法は、例えば、硬化性の封止材として樹脂組成物を外装ケース(ケース)の素子収容空間に供給する樹脂供給工程と、樹脂組成物を硬化する硬化工程と、をこの順に備えている。
樹脂供給工程では、フィルムコンデンサ素子が収容された素子収容空間内に樹脂組成物(硬化性の封止材)を供給する。樹脂供給工程は、例えば、真空下、温度20〜90℃の条件で行うことができる。樹脂供給工程では、例えば、樹脂組成物の供給に伴い、浮力によってフィルムコンデンサ素子が樹脂組成物の液面に浮き上がることにより、フィルムコンデンサ素子と外装ケースの底面との間に樹脂組成物が介在してもよい。
硬化工程では、素子収容空間内に供給された樹脂組成物を硬化して硬化物を得る。硬化工程では、例えば、熱硬化性の樹脂組成物を加熱して硬化物を得る。樹脂組成物の硬化温度は、110℃以下であることが好ましい。硬化工程は、例えば、85〜105℃、3〜8時間の条件で行うことができる。複数の条件を組み合わせてもよく、一の温度で加熱した後に他の温度(例えば、前記一の温度よりも高温)で加熱してもよい。
本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法では、樹脂供給工程と硬化工程とを繰り返し行ってもよい。例えば、フィルムコンデンサ素子の巻回体の底部が浸漬されるまで樹脂組成物を素子収容空間内に供給した後に樹脂組成物を硬化させ、さらに、樹脂組成物を素子収容空間内に供給した後に樹脂組成物を硬化させてもよい。すなわち、フィルムコンデンサ素子の巻回体の全体が覆われるまで、樹脂組成物の供給及び硬化は複数回行われてもよい。フィルムコンデンサ素子の巻回体の底部が浸漬されるまで樹脂組成物を素子収容空間内に供給した後に樹脂組成物を硬化させることにより、その後の樹脂組成物の供給の際に、浮力によってフィルムコンデンサ素子が樹脂組成物の液面に浮き上がることを抑制することができる。
本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法は、樹脂供給工程の前に、フィルムコンデンサ素子を素子収容空間内に配置する素子配置工程を備えていてもよい。また、本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法では、素子収容空間内に樹脂組成物を供給した後にフィルムコンデンサ素子を素子収容空間内に配置してもよい。
図3は、本実施形態に係るフィルムコンデンサの製造方法を示す斜視図である。まず、図3の(a)に示すように、素子配置工程において、フィルムコンデンサ素子10を外装ケース20の素子収容空間20a内に配置する。次に、図3の(b)に示すように、樹脂供給工程において、硬化性の封止材として樹脂組成物30aを素子収容空間20a内に供給する。これにより、図3の(c)に示すように、樹脂組成物30aが素子収容空間20a内に充填される。そして、硬化工程において、素子収容空間20a内の樹脂組成物30aを硬化して硬化物を得ることにより、図1及び図2に示すフィルムコンデンサ100を得ることができる。
以上、フィルムコンデンサの構造等について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、封止部に封止されるフィルムコンデンサ素子は、一つであってもよく、複数であってもよい。
フィルムコンデンサの封止部内において、フィルムコンデンサ素子と外装ケースの底面との間に封止部が介在することなく、フィルムコンデンサ素子が外装ケースの底面に接していてもよい。封止部内において、フィルムコンデンサ素子と外装ケースの側壁との間に封止部が介在することなく、フィルムコンデンサ素子が外装ケースの側壁に接していてもよい。
フィルムコンデンサ素子は、フィルムで形成されたフィルム本体(コンデンサ本体、フィルム素子本体)を有していればよく、特に限定されない。例えば、フィルムコンデンサ素子は、フィルムの巻回体(フィルムを巻き回して形成されたフィルム構造体)に代えて、フィルムの積層体(フィルムを積層して形成されたフィルム構造体)を有していてもよい。フィルム本体としては、金属化フィルムの巻回体又は積層体を用いることができる。
<樹脂組成物及び硬化物>
以下、本実施形態に係るフィルムコンデンサに用いることが可能な樹脂組成物として、本実施形態に係る樹脂組成物を例示する。本実施形態に係る樹脂組成物は、注型用の樹脂組成物である。本実施形態に係る樹脂組成物を注型することによりフィルムコンデンサの封止部を得ることができる。本実施形態に係る硬化物は、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物であり、硬化性の樹脂組成物を硬化させることにより得ることができる。本実施形態に係る樹脂組成物及びその硬化物は、例えば、黒色を呈している。本実施形態に係る硬化物は、フィルムコンデンサ素子を封止する封止部として用いることができる。本実施形態に係る樹脂組成物の含有成分としては、硬化性成分、フィラー、その他の添加剤等が挙げられる。
以下、本実施形態に係るフィルムコンデンサに用いることが可能な樹脂組成物として、本実施形態に係る樹脂組成物を例示する。本実施形態に係る樹脂組成物は、注型用の樹脂組成物である。本実施形態に係る樹脂組成物を注型することによりフィルムコンデンサの封止部を得ることができる。本実施形態に係る硬化物は、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物であり、硬化性の樹脂組成物を硬化させることにより得ることができる。本実施形態に係る樹脂組成物及びその硬化物は、例えば、黒色を呈している。本実施形態に係る硬化物は、フィルムコンデンサ素子を封止する封止部として用いることができる。本実施形態に係る樹脂組成物の含有成分としては、硬化性成分、フィラー、その他の添加剤等が挙げられる。
(硬化性成分)
硬化性成分は、例えば、硬化性樹脂及び硬化剤を含むことができる。硬化剤を用いることなく硬化性樹脂が硬化可能である場合には、硬化剤を用いなくてもよい。
硬化性成分は、例えば、硬化性樹脂及び硬化剤を含むことができる。硬化剤を用いることなく硬化性樹脂が硬化可能である場合には、硬化剤を用いなくてもよい。
硬化性成分としては、熱硬化性成分又は光硬化性成分を用いることが可能であり、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を用いることができる。硬化性成分としては、硬化性に優れる観点から、熱硬化性成分が好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。光硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等が挙げられる。硬化性成分は、硬化物の透湿性が低く、硬化物により素子を封止した際に素子の劣化を防ぎやすい観点から、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のグリシジル基を有する樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールG型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールPH型エポキシ樹脂、ビスフェノールTMC型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(ヘキサンジオールビスフェノールSジグリシジルエーテル等)、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂(ビキシレノールジグリシジルエーテル等)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等)、これら樹脂の二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂の含有量は、硬化物の透湿性が低く、硬化物により素子を封止した際に素子の劣化を防ぎやすい観点から、硬化性樹脂の全質量を基準として、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。エポキシ樹脂の含有量は、硬化性樹脂の全質量を基準として100質量%であってもよい。
硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物の全質量(溶剤の質量を除く)を基準として下記の範囲が好ましい。硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物の粘度の過剰な上昇が抑制されて樹脂組成物の取り扱いが容易である(作業性を確保しやすい)観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、18質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。硬化性樹脂の含有量は、吸水率の低い硬化物を得やすい観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、硬化性樹脂の含有量は、10〜60質量%が好ましい。
硬化剤としては、グリシジル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する化合物を用いることができる。硬化剤としては、フェノール樹脂、酸無水物等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する樹脂を用いることができる。フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、キシリレン変性ナフトール樹脂等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。ナフトール類としては、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。
酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、硬化物の優れた強度が得られやすい観点、及び、硬化物の透湿性が低く、硬化物により素子を封止した際に素子の劣化を防ぎやすい観点から、樹脂組成物の全質量(有機溶剤等の溶剤を除く)を基準として、10〜55質量%が好ましく、12〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。
エポキシ樹脂のグリシジル基の当量(エポキシ当量)と、硬化剤のグリシジル基と反応する官能基(例えばフェノール性水酸基)の当量(例えば水酸基当量)との比率(エポキシ樹脂のグリシジル基の当量/硬化剤のグリシジル基と反応する官能基の当量)は、0.7〜2.0が好ましく、0.8〜1.8がより好ましく、0.9〜1.7が更に好ましい。これらの場合、未反応のエポキシ樹脂及び/又は未反応の硬化剤が残存しにくく、硬化物の所望の物性が得られやすい。
硬化性成分は、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、4級アンモニウム塩、アミン系の硬化促進剤、リン系の硬化促進剤等が挙げられる。アミン系の硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、脂肪族アミン、芳香族アミン、変性アミン、ポリアミド樹脂等が挙げられる。リン系の硬化促進剤としては、ホスフィンオキサイド、ホスホニウム塩、ダイホスフィン等が挙げられる。
(フィラー)
本実施形態に係る樹脂組成物は、フィラー(硬化性成分に該当する化合物を除く)を含有することができる。本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、第1のフィラーと、第1のフィラーとは異なる第2のフィラーと、を含有し、第1のフィラーの厚さに対する第1のフィラーの長径の比率(第1のフィラーの長径/第1のフィラーの厚さ。以下、「アスペクト比」という。)が3〜25である態様であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、フィラー(硬化性成分に該当する化合物を除く)を含有することができる。本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、第1のフィラーと、第1のフィラーとは異なる第2のフィラーと、を含有し、第1のフィラーの厚さに対する第1のフィラーの長径の比率(第1のフィラーの長径/第1のフィラーの厚さ。以下、「アスペクト比」という。)が3〜25である態様であってもよい。
このような樹脂組成物によれば、樹脂組成物及びその硬化物の内部においてフィラーを均一に分散させやすく、樹脂組成の硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすいことから、優れた信頼性を有するフィルムコンデンサが得られやすい。このような効果が発現される理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は、以下のように推察している。
すなわち、樹脂組成物のフィラーが、前記特定のアスペクト比を有するフィラーを含有していないと、図4の(a)に示すように、樹脂組成物が型部材に注入された際に、フィラーFが樹脂組成物における型部材の底部側に過剰に沈降する場合がある。一方、上述の樹脂組成物によれば、図4の(b)に示すように、樹脂組成物が型部材に注入された際に、前記特定のアスペクト比を有する第1のフィラーF1の浮力が大きいため、第1のフィラーF1が第2のフィラーF2を押し上げることにより、第2のフィラーF2の過剰な沈降を抑制しやすい。これにより、フィラーが樹脂組成物における型部材の底部側に過剰に沈降すること(フィラーの偏在)が抑制されてフィラーが均一に分散しやすいことにより、樹脂組成物において型部材の上部側と底部側とでフィラーの存在量が大きく異なることが抑制されやすい。その結果、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい。
このような樹脂組成物によれば、上述のとおり、樹脂組成物において型部材の上部側と底部側とでフィラーの存在量が大きく異なることが抑制されやすいため、樹脂組成物の供給及び硬化が複数回行われる場合であっても、先に供給された樹脂組成物の硬化物における型部材の上部側と、後に供給された樹脂組成物の硬化物における型部材の底部側とでフィラーの存在量が大きく異なることが抑制されやすく、フィラーの含有量の差に伴い生じる界面が両硬化物の間に形成されることを抑制しやすい。
第1のフィラーの長径及び第1のフィラーの厚さは、例えば、次の手順により得ることができる。測定対象のフィラーを硬化性成分に分散させて硬化物を作製した後、フィラーが露出するように硬化物を切断する。次に、フィラーの長径(フィラー全体の最大長さ)及び厚さ(フィラーの厚み部分の最大長さ)が把握できるまで切断面を研磨する。そして、走査電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡を用いて切断面を観察し、フィラーの長径及び厚さを測定する。
フィラーが硬化物中に分散していない場合についても、走査電子顕微鏡又は光学顕微鏡を用いてフィラーの長径及び厚さを得ることができる。すなわち、走査電子顕微鏡又は光学顕微鏡を用いてフィラー単独の観察像を得た後、観察像におけるフィラー全体の最大長さをフィラーの長径として取得し、観察像におけるフィラーの厚み部分の最大長さをフィラーの厚さとして取得することができる。
第1のフィラーの形状としては、鱗片状、雲母状、板状、扁平状等が挙げられる。「鱗片状」とは、例えば、魚の鱗のような薄い小片の形状を言い、厚さに対して長径が充分大きい形状を指す。鱗片状のフィラーの外形は、円形とは限らず、不定形であってもよい。
第1のフィラーの構成材料としては、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛(膨張黒鉛を除く)、メラミンシアヌレート、ウォラストナイト、フレーク状シリカ等が挙げられる。膨張黒鉛は、黒鉛の結晶構造の層間が拡張された材料であり、例えば、黒鉛以外の物質が黒鉛の層間内に侵入して形成された黒鉛層間化合物である。膨張黒鉛は、例えば、黒鉛材料を酸(硫酸、硝酸等)に浸漬させた後に熱処理することで得ることができる。第1のフィラーは、難燃性が向上する観点から、膨張黒鉛及びメラミンシアヌレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
第1のフィラーの比重(真比重)は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、第2のフィラーの比重(真比重)よりも小さいことが好ましい。第1のフィラーの比重は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、硬化性成分の比重よりも小さいことが好ましい。
第1のフィラーのアスペクト比は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、9以上が特に好ましく、10以上が極めて好ましい。第1のフィラーのアスペクト比は、第1のフィラーが樹脂組成物中において分散しやすい観点から、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下が更に好ましく、12以下が特に好ましく、11以下が極めて好ましい。これらの観点から、第1のフィラーのアスペクト比は、3〜25が好ましい。
第1のフィラーの長径は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、12μm以上が特に好ましい。第1のフィラーの長径は、第1のフィラーが樹脂組成物中において分散しやすい観点から、800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましく、200μm以下が特に好ましく、100μm以下が極めて好ましく、50μm以下が非常に好ましい。これらの観点から、第1のフィラーの長径は、5〜800μmが好ましい。第1のフィラーの長径は、アスペクト比の測定と同様に、走査電子顕微鏡又は光学顕微鏡を用いて硬化物の断面を観察することにより測定することができる。第1のフィラーの平均長径についても、これらの範囲であることが好ましい。
第1のフィラーの含有量は、樹脂組成物の全質量(溶剤の質量を除く)を基準として下記の範囲が好ましい。第1のフィラーの含有量は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、1.5質量%以上が好ましく、1.8質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。第1のフィラーの含有量は、第1のフィラーが樹脂組成物中において分散しやすい観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましく、8質量%以下が極めて好ましく、7質量%以下が非常に好ましく、6質量%以下がより一層好ましい。これらの観点から、第1のフィラーの含有量は、1.5〜30質量%が好ましい。
第1のフィラーの含有量は、フィラーの合計量(第1のフィラー及び第2のフィラーの総量)を基準として下記の範囲が好ましい。第1のフィラーの含有量は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、6質量%以上が特に好ましい。第1のフィラーの含有量は、第1のフィラーが樹脂組成物中において分散しやすい観点から、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、9質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、第1のフィラーの含有量は、1〜15質量%が好ましい。
第2のフィラーとしては、例えば、前記特定のアスペクト比を有しないフィラー(球状フィラー、破砕フィラー等)が挙げられる。第2のフィラーの構成材料としては、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アエロジル、アルミナ、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、チタンホワイト、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられる。シリカとしては、結晶シリカ、溶融シリカ等が挙げられる。第2のフィラーは、硬化性成分との親和性(なじみやすさ)、及び、汎用性に優れる観点から、シリカ及び水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、シリカを含むことがより好ましい。
第2のフィラーの粒径は、樹脂組成物の粘度の過剰な上昇が抑制されて樹脂組成物の取り扱いが容易である(作業性を確保しやすい)観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。第2のフィラーの粒径は、硬化物の内部において比重差が生じることを抑制しやすい観点から、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。これらの観点から、第2のフィラーの粒径は、3〜30μmが好ましい。第2のフィラーの粒径は、レーザー回折粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA920により測定することができる。第2のフィラーの平均粒径についても、これらの各範囲であることが好ましい。
第2のフィラーの含有量は、樹脂組成物の全質量(溶剤の質量を除く)を基準として下記の範囲が好ましい。第2のフィラーの含有量は、硬化物の優れた強度が得られやすい観点、及び、硬化物の透湿性が低く、硬化物により素子を封止した際に素子の劣化を防ぎやすい観点から、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、45質量%以上が特に好ましい。第2のフィラーの含有量は、樹脂組成物の粘度の過剰な上昇が抑制されて樹脂組成物の取り扱いが容易である(作業性を確保しやすい)観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、第2のフィラーの含有量は、30〜90質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化性成分及びフィラーとは異なる添加剤を含有することができる。添加剤としては、消泡剤、難燃剤、カップリング剤、反応希釈剤、可撓性付与剤、顔料、着色剤、溶剤等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化性成分及びフィラーとは異なる添加剤を含有することができる。添加剤としては、消泡剤、難燃剤、カップリング剤、反応希釈剤、可撓性付与剤、顔料、着色剤、溶剤等が挙げられる。
(粘度)
B型粘度計を用いて40℃、60rpmの条件で測定した場合の樹脂組成物の粘度は、樹脂組成物を注型する際に樹脂組成物の充填作業性に更に優れる観点から、8.0Pa・s以下が好ましく、7.0Pa・s以下がより好ましく、5.0Pa・s以下が更に好ましく、3.0Pa・s以下が特に好ましく、2.0Pa・s以下が極めて好ましい。前記粘度は、例えば、1.0Pa・s以上であってもよい。
B型粘度計を用いて40℃、60rpmの条件で測定した場合の樹脂組成物の粘度は、樹脂組成物を注型する際に樹脂組成物の充填作業性に更に優れる観点から、8.0Pa・s以下が好ましく、7.0Pa・s以下がより好ましく、5.0Pa・s以下が更に好ましく、3.0Pa・s以下が特に好ましく、2.0Pa・s以下が極めて好ましい。前記粘度は、例えば、1.0Pa・s以上であってもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<樹脂組成物の調製>
表1〜3に示す下記成分を混合することにより樹脂組成物を調製した。
表1〜3に示す下記成分を混合することにより樹脂組成物を調製した。
(熱硬化性樹脂)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学株式会社製、商品名:エポミックR−139S
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製、商品名:JER834
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学株式会社製、商品名:エポミックR−139S
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製、商品名:JER834
(硬化剤)
酸無水物、3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、日立化成株式会社製、商品名:HN−2000
酸無水物、3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、日立化成株式会社製、商品名:HN−2000
(硬化促進剤)
塩化ベンザルコニウム、日本油脂株式会社製、商品名:M2−100R
塩化ベンザルコニウム、日本油脂株式会社製、商品名:M2−100R
(第1のフィラー:鱗片状フィラー)
膨張黒鉛、株式会社鈴裕化学製、商品名:GREP−EG、平均アスペクト比:9.5、平均長径:600μm
膨張黒鉛、富士黒鉛工業株式会社製、商品名:EXP−100S、平均アスペクト比:10.5、平均長径:200μm
メラミンシアヌレート、日産化学工業株式会社製、商品名:MC−4000、平均アスペクト比:5、平均長径:14μm
メラミンシアヌレート、日産化学工業株式会社製、商品名:MC−6000、平均アスペクト比:5、平均長径:2μm
膨張黒鉛、株式会社鈴裕化学製、商品名:GREP−EG、平均アスペクト比:9.5、平均長径:600μm
膨張黒鉛、富士黒鉛工業株式会社製、商品名:EXP−100S、平均アスペクト比:10.5、平均長径:200μm
メラミンシアヌレート、日産化学工業株式会社製、商品名:MC−4000、平均アスペクト比:5、平均長径:14μm
メラミンシアヌレート、日産化学工業株式会社製、商品名:MC−6000、平均アスペクト比:5、平均長径:2μm
(第2のフィラー:アスペクト比3〜25を満たさないその他のフィラー)
カーボンブラック:着色剤、三菱ケミカル株式会社製、商品名:MA−100
結晶シリカ、フミテック株式会社製、商品名:HC−15、平均粒径:12.8μm
結晶シリカ、シベルコ・ジャパン株式会社製、商品名:CA0040、平均粒径:3.65μm
水酸化アルミニウム、日本軽金属株式会社製、商品名:AL−B143、平均粒径:5μm
カーボンブラック:着色剤、三菱ケミカル株式会社製、商品名:MA−100
結晶シリカ、フミテック株式会社製、商品名:HC−15、平均粒径:12.8μm
結晶シリカ、シベルコ・ジャパン株式会社製、商品名:CA0040、平均粒径:3.65μm
水酸化アルミニウム、日本軽金属株式会社製、商品名:AL−B143、平均粒径:5μm
(その他の添加剤)
消泡剤、シリコーン系消泡剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KS−603
カップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、ダウコーニング社製、商品名:OFS−6040
可塑剤、エポキシ系可塑剤、ジャパンケムテック株式会社製、商品名:カージュラE10P
難燃剤、芳香族環状ホスファゼン系難燃剤、大塚化学株式会社製、商品名:SPB−100
難燃剤、芳香族環状ホスファゼン系難燃剤、株式会社伏見製薬所製、商品名:ラビトルFP−110
界面活性剤、ポリエーテルエステル型界面活性剤、楠本化成株式会社製、商品名:ディスパロン3600N
消泡剤、シリコーン系消泡剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KS−603
カップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、ダウコーニング社製、商品名:OFS−6040
可塑剤、エポキシ系可塑剤、ジャパンケムテック株式会社製、商品名:カージュラE10P
難燃剤、芳香族環状ホスファゼン系難燃剤、大塚化学株式会社製、商品名:SPB−100
難燃剤、芳香族環状ホスファゼン系難燃剤、株式会社伏見製薬所製、商品名:ラビトルFP−110
界面活性剤、ポリエーテルエステル型界面活性剤、楠本化成株式会社製、商品名:ディスパロン3600N
<フィラーの分散状態の評価>
フィルムコンデンサ素子を収容可能な大きさの空間を有するケースを準備した。前記ケースは、前記空間と連通する開口部を有しており、前記開口部が上方に開口した状態で前記開口部を介して前記空間に前記樹脂組成物を充填した。次に、前記樹脂組成物を105℃で8時間熱硬化させて硬化物を得た後、フィラーが観察可能な断面が露出するように硬化物を切断した。硬化物の断面を目視にて確認したところ、実施例では、フィラーが凝集する際にフィラーの濃淡に起因して生じる界面が観察されなかったのに対し、比較例では、界面が観察された。また、実施例では、ケースの開口部の開口方向において等間隔に位置する3点の領域におけるフィラーの含有量の差が8質量%以内に収まるのに対し、比較例では、フィラーの含有量の差が15質量%を超えていた。
フィルムコンデンサ素子を収容可能な大きさの空間を有するケースを準備した。前記ケースは、前記空間と連通する開口部を有しており、前記開口部が上方に開口した状態で前記開口部を介して前記空間に前記樹脂組成物を充填した。次に、前記樹脂組成物を105℃で8時間熱硬化させて硬化物を得た後、フィラーが観察可能な断面が露出するように硬化物を切断した。硬化物の断面を目視にて確認したところ、実施例では、フィラーが凝集する際にフィラーの濃淡に起因して生じる界面が観察されなかったのに対し、比較例では、界面が観察された。また、実施例では、ケースの開口部の開口方向において等間隔に位置する3点の領域におけるフィラーの含有量の差が8質量%以内に収まるのに対し、比較例では、フィラーの含有量の差が15質量%を超えていた。
<物性測定>
前記樹脂組成物を用いて下記の物性測定を行った。物性測定は、上述の硬化剤と他成分とを混合した後、速やかに行った。物性測定の結果を表1〜3に示す。
前記樹脂組成物を用いて下記の物性測定を行った。物性測定は、上述の硬化剤と他成分とを混合した後、速やかに行った。物性測定の結果を表1〜3に示す。
(粘度)
B型回転粘度計(TOKIMEC社製、商品名:BL)を用いて、温度40℃、回転数60rpm(60回転)の条件における前記樹脂組成物の粘度を測定した。温度は、恒温槽(ヤマト科学株式会社製、商品名:BF600)を用いて調整した。
B型回転粘度計(TOKIMEC社製、商品名:BL)を用いて、温度40℃、回転数60rpm(60回転)の条件における前記樹脂組成物の粘度を測定した。温度は、恒温槽(ヤマト科学株式会社製、商品名:BF600)を用いて調整した。
(比重)
前記樹脂組成物を内径18mm、長さ15cmのポリプロピレン製の試験管に注入した後、前記樹脂組成物を105℃で8時間熱硬化させて硬化物を得た。試験管から硬化物を取り出した後、前記硬化物の上部10%及び下部10%を切断して上部試験片及び下部試験片を得た。電子比重計(ミラージュ貿易株式会社製、商品名:SD200L)を用いて、試験片の比重を水中置換法にてそれぞれ測定した。フィラーの沈降性の指標として、下記式により比重差の割合を算出した。
比重差の割合(%)=(下部試験片の比重−上部試験片の比重)/(下部試験片の比重)×100
前記樹脂組成物を内径18mm、長さ15cmのポリプロピレン製の試験管に注入した後、前記樹脂組成物を105℃で8時間熱硬化させて硬化物を得た。試験管から硬化物を取り出した後、前記硬化物の上部10%及び下部10%を切断して上部試験片及び下部試験片を得た。電子比重計(ミラージュ貿易株式会社製、商品名:SD200L)を用いて、試験片の比重を水中置換法にてそれぞれ測定した。フィラーの沈降性の指標として、下記式により比重差の割合を算出した。
比重差の割合(%)=(下部試験片の比重−上部試験片の比重)/(下部試験片の比重)×100
(難燃性)
前記樹脂組成物を105℃で8時間熱硬化させて硬化物を得た後、縦125mm×横13.0mm、厚さ5mmの直方体形状に硬化物を加工して試験片を得た。前記試験片を用いて、UL94Vの試験方法に従い難燃性を評価した。UL94Vの判定基準に従い、上部接炎及び下部接炎について「V−0」、「V−1」、「V−2」、「V−NOT」(分類不可)の4段階で判定した。「V−0」が最も難燃性が高く、「V−1」、「V−2」及び「V−NOT」の順に難燃性が低下する。
前記樹脂組成物を105℃で8時間熱硬化させて硬化物を得た後、縦125mm×横13.0mm、厚さ5mmの直方体形状に硬化物を加工して試験片を得た。前記試験片を用いて、UL94Vの試験方法に従い難燃性を評価した。UL94Vの判定基準に従い、上部接炎及び下部接炎について「V−0」、「V−1」、「V−2」、「V−NOT」(分類不可)の4段階で判定した。「V−0」が最も難燃性が高く、「V−1」、「V−2」及び「V−NOT」の順に難燃性が低下する。
上述のとおり、実施例では、フィラーが凝集する際にフィラーの濃淡に起因して生じる界面が観察されなかったことからフィラーが均一に分散していることが確認された。また、表1及び表2に示されるとおり、実施例では、ケースの開口部の開口方向において硬化物の一端側の部分の比重と硬化物の他端側の部分の比重との差の割合が小さい。そのため、以上のとおりの樹脂組成物では、硬化物の物性が局所的に異なることが抑制されているため、物性が局所的に劣る部分が硬化物に形成されることが抑制されている。これにより、硬化物の劣化を抑制できることから、優れた信頼性を確保することができる。
10…フィルムコンデンサ素子、12…巻回体、14…メタリコン電極、16…リード線、20…外装ケース、20a…素子収容空間、30…封止部、30a…樹脂組成物、100…フィルムコンデンサ、F,F1,F2…フィラー。
Claims (2)
- フィルムコンデンサ素子と、前記フィルムコンデンサ素子を収容する空間を有するケースと、前記空間内において前記フィルムコンデンサ素子を封止する封止部と、を備え、
前記封止部が、フィラーを含有する樹脂組成物又はその硬化物を含み、
前記ケースが、前記空間と連通する開口部を有しており、
前記封止部において前記フィラーが前記開口部の開口方向において均一に分散している、フィルムコンデンサ。 - フィルムコンデンサ素子と、前記フィルムコンデンサ素子を収容する空間を有するケースと、前記空間内において前記フィルムコンデンサ素子を封止する封止部と、を備え、
前記封止部が、フィラーを含有する樹脂組成物又はその硬化物を含み、
前記ケースが、前記空間と連通する開口部を有しており、
前記開口部の開口方向における前記封止部の一端側10%の部分の比重A及び前記封止部の他端側10%の部分の比重Bのうち大きい方の比重に対する前記比重Aと前記比重Bとの差の絶対値の割合が8%以下である、フィルムコンデンサ。
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