JP2019083147A - セパレータ付き電極シートの製造方法 - Google Patents

セパレータ付き電極シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極シートのロールプレス工程において、電極シートの耐熱層に接触するロールの表面に、耐熱層に含まれているバインダ粒子を付着し難くすることができるセパレータ付き電極シートの製造方法を提供する。【解決手段】電極シート19を冷却して、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くする冷却工程S4と、冷却工程S4によって耐熱層35に含まれるバインダ粒子32が硬くなった状態の電極シート19を、対向して回転する一対のロール91,92の間隙に通すことによって、電極合材層18及び耐熱層35を、その厚み方向に圧縮するロールプレス工程S5とを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、セパレータ付き電極シートを製造する方法に関する。詳細には、集電箔の表面上に形成された電極合材層と、この電極合材層の表面上に形成された耐熱層と、この耐熱層の表面上に形成されたセパレータと、を有するセパレータ付き電極シートを製造する方法に関する。
特許文献1には、セパレータと電極シートとの間に接着剤を配置して、両者の位置ずれを防止することが記載されている。具体的には、電極シート(正極シートまたは負極シート)に接着剤を塗布した後、接着剤を塗布した面にセパレータを重ね合わせることで、接着剤を介して、セパレータと電極シートとを接着する。
特開2017−103092号公報
ところで、近年、電極シートの耐熱性を高めるために、集電箔と、集電箔の表面上に形成された電極合材層と、電極合材層の表面上に形成された耐熱層と、を有する電極シートが求められている。さらに、この電極シートの表面である耐熱層の表面にセパレータを接着させた、セパレータ付き電極シートが求められている。このセパレータ付き電極シートは、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、集電箔の表面上に、活物質粒子と溶媒とを含む膜状電極合材を形成する。次いで、膜状電極合材の表面上に、耐熱性粒子とバインダ粒子と溶媒とを含む耐熱性ペーストを塗布して、膜状耐熱性ペーストを形成する。その後、膜状電極合材及び膜状耐熱性ペーストを乾燥させることで、集電箔の表面上に膜状電極合材が乾燥した電極合材層を形成すると共に、電極合材層の表面上に膜状耐熱性ペーストが乾燥した耐熱層を形成する。これにより、集電箔と電極合材層と耐熱層とを有する電極シートを作製する。
次に、ロールプレス工程に進み、上述のようにして作製した電極シートを、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、電極合材層及び耐熱層を、その厚み方向に圧縮する。その後、電極シートの耐熱層の表面上に、耐熱層に含まれるバインダ粒子を介してセパレータを接着させることで、セパレータ付き電極シートを作製する。
ところで、上述のロールプレス工程を行うとき、電極シートの表面には、耐熱層に含まれるバインダ粒子が多数存在している。このため、ロールプレス工程では、電極シートの耐熱層に接触するロールの表面に、耐熱層に含まれているバインダ粒子が多数付着してしまう虞があった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電極シートのロールプレス工程において、電極シートの耐熱層に接触するロールの表面に、耐熱層に含まれているバインダ粒子を付着し難くすることができるセパレータ付き電極シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、集電箔と、前記集電箔の表面上に形成された電極合材層と、前記電極合材層の表面上に形成された耐熱層と、前記耐熱層の表面上に形成されたセパレータと、を有するセパレータ付き電極シートの製造方法であって、前記集電箔の表面上に、活物質粒子と溶媒とを含む膜状電極合材を形成する成膜工程と、前記膜状電極合材の表面上に、耐熱性粒子とバインダ粒子と溶媒とを含む耐熱性ペーストを塗布して、膜状耐熱性ペーストを形成する塗布工程と、前記膜状電極合材及び前記膜状耐熱性ペーストを乾燥させることで、前記集電箔の表面上に前記膜状電極合材が乾燥した前記電極合材層を形成すると共に、前記電極合材層の表面上に前記膜状耐熱性ペーストが乾燥した前記耐熱層を形成して、前記集電箔と前記電極合材層と前記耐熱層とを有する電極シートを作製する乾燥工程と、前記電極シートを冷却して、前記耐熱層に含まれる前記バインダ粒子を硬くする冷却工程と、前記冷却工程によって前記耐熱層に含まれる前記バインダ粒子が硬くなった状態の前記電極シートを、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、前記電極合材層及び前記耐熱層を、その厚み方向に圧縮するロールプレス工程と、前記ロールプレス工程後、前記耐熱層の表面上に、前記耐熱層に含まれる前記バインダ粒子を介して前記セパレータを接着させて、前記セパレータ付き電極シートを作製する接着工程と、を備えるセパレータ付き電極シートの製造方法である。
上述の製造方法は、集電箔と電極合材層と耐熱層とを有する電極シートを、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、電極合材層及び耐熱層を、その厚み方向に圧縮するロールプレス工程を備える。
ところで、このようなロールプレス工程では、前述したように、耐熱層に接触するロールの表面に、耐熱層に含まれているバインダ粒子が多数付着してしまう虞があった。
これに対し、上述の製造方法では、ロールプレス工程に先立って、電極シートを冷却して(例えば、0℃以下の温度にまで冷却して)、耐熱層に含まれるバインダ粒子を硬くする(硬化させる)冷却工程を設けている。
そして、ロールプレス工程では、冷却工程によって耐熱層に含まれるバインダ粒子が硬くなった(硬化した)状態の電極シートを、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、電極合材層及び耐熱層を、その厚み方向に圧縮する。このように、冷却によって硬くなったバインダ粒子は、ロールプレス工程において圧縮荷重を受けたときに、変形し難くなる。これにより、耐熱層に接触するロールの表面に対するバインダ粒子の接触面積を低減することができるので、バインダ粒子がロール表面に付着し難くなる。
以上説明したように、上述の製造方法では、ロールプレス工程において、電極シートの耐熱層に接触するロールの表面に、耐熱層に含まれているバインダ粒子を付着し難くすることができる。
なお、耐熱層に含まれる耐熱性粒子としては、例えば、ベーマイト粒子(粉末)、αアルミナ粒子(粉末)、水酸化マグネシウム粒子(粉末)などを挙げることができる。
また、耐熱層に含まれるバインダ粒子としては、例えば、アクリル系バインダ(ポリアクリル酸ブチルなど)を有する粒子(粉末)を挙げることができる。
また、ロールプレス工程後、耐熱層の表面上に、耐熱層に含まれるバインダ粒子を介してセパレータを接着させて、セパレータ付き電極シートを作製する接着工程としては、例えば、ロールプレス工程を行った電極シート(ロールプレス工程後に他の工程を行っていない電極シート)に対し、セパレータを接着する工程が挙げられる。また、ロールプレス工程を行った電極シートを、所定形状に切断して、複数の電極シートを作製し、これらの電極シートに対し、セパレータを接着するようにしても良い。
さらに、前記のセパレータ付き電極シートの製造方法であって、前記バインダ粒子は、第1樹脂部と、前記第1樹脂部を被覆する第2樹脂部であって当該バインダ粒子の外表面を構成する第2樹脂部と、からなり、前記第1樹脂部のガラス転移温度は、前記第2樹脂部のガラス転移温度よりも高い、セパレータ付き電極シートの製造方法とするのが好ましい。
上述の製造方法では、耐熱層に含有させるバインダ粒子として、第1樹脂部と、この第1樹脂部を被覆する第2樹脂部であって、バインダ粒子の外表面を構成する第2樹脂部と、からなるバインダ粒子を使用する。但し、第1樹脂部は、第2樹脂部よりも、ガラス転移温度が高いという関係を満たしている。すなわち、ガラス転移温度が異なる2種類の樹脂によって、1つのバインダ粒子が構成されており、バインダ粒子の外側部分に、相対的にガラス転移温度が低い第2樹脂部が配置され、バインダ粒子の内側部分(第2樹脂の内側)に、相対的にガラス転移温度が高い第1樹脂部が配置されたバインダ粒子を使用する。なお、このバインダ粒子では、当該バインダ粒子の外表面を構成する第2樹脂部が、セパレータとの接着に寄与する(バインダとして機能する)ことになる。
このようなバインダ粒子は、第2樹脂部のみからなるバインダ粒子と同等に冷却した場合(例えば、0℃に冷却した場合)に、第2樹脂部のみからなるバインダ粒子に比べて、バインダ粒子をより一層硬くする(硬化させる)ことができる。従って、上述の製造方法では、冷却工程において電極シートを冷却したときに、バインダ粒子をより一層硬くする(硬化させる)ことができる。
これにより、ロールプレス工程において、バインダ粒子をより一層変形し難くすることができるので、耐熱層に接触するロールの表面に対するバインダ粒子の接触面積を低減することができ、その結果、バインダ粒子がロール表面により一層付着し難くなる。
以上説明したように、上述の製造方法では、ロールプレス工程において、電極シートの耐熱層に接触するロールの表面に、耐熱層に含まれているバインダ粒子をより一層付着し難くすることができる。
さらに、前記のセパレータ付き電極シートの製造方法であって、前記冷却工程では、前記電極シートを冷却して、前記耐熱層の温度を、前記第1樹脂部のガラス転移温度以下の温度にまで低下させるセパレータ付き電極シートの製造方法とするのが好ましい。
上述の製造方法では、バインダ粒子として、前述した第1樹脂部と第2樹脂部とからなるバインダ粒子を使用する。そして、冷却工程では、耐熱層の温度を、第1樹脂部のガラス転移温度以下の温度にまで低下させる。このように、耐熱層の温度を、第1樹脂部のガラス転移温度以下の温度にまで低下させることで、第1樹脂部を極めて硬くする(第1樹脂部をガラス状態にする)ことができる。これにより、ロールプレス工程において、バインダ粒子をより一層変形し難くすることができるので、耐熱層に接触するロールの表面に対するバインダ粒子の接触面積を低減することができ、その結果、バインダ粒子がロール表面により一層付着し難くなる。
実施例1,2にかかるセパレータ付き負極シートの断面図(概略図)である。 負極シート製造装置の斜視概略図である。 同負極シート製造装置のうちロール成膜装置の概略図である。 同ロール成膜装置の斜視概略図である。 実施例1,2にかかる負極シートの断面図(概略図)である。 実施例1,2にかかる負極シートの製造方法の流れを示すフローチャートである。 実施例1,2にかかる冷却工程及びロールプレス工程を説明する図である。 負極シートの切断を説明する図である。 実施例1,2にかかる接着工程を説明する図である。 図9のB部拡大図である。 実施例1にかかるバインダ粒子の断面図(模式図)である。 実施例2にかかるバインダ粒子の断面図(模式図)である。 バインダ粒子の接着力を比較する図である。
(実施例1)
以下、本発明を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施例1は、リチウムイオン二次電池に用いるセパレータ付き負極シートの製造に、本発明を適用したものである。本実施例1では、集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された負極合材層18(電極合材層)と、この負極合材層18の表面上に形成された耐熱層35(HRL)と、耐熱層35の表面上に形成されたセパレータ15と、を有するセパレータ付き負極シート10を製造する(図1参照)。
本実施例1では、成膜工程において、負極合材6を対向する一対のロール1,2の間隙に通すことによって、負極合材6を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした負極合材6(これを膜状負極合材8という)を集電箔7の表面上に付着させて、集電箔7の表面上に膜状負極合材8(膜状電極合材)を有する膜状負極合材付き集電箔9を作製する(図3及び図4参照)。次いで、塗布工程において、耐熱性粒子31とバインダ粒子32と溶媒(水)と増粘材(CMC)とを含む耐熱性ペースト30を、膜状負極合材付き集電箔9の膜状負極合材8の表面上に塗布して、膜状耐熱性ペースト34を形成する(図2参照)。
その後、乾燥工程において、膜状負極合材8及び膜状耐熱性ペースト34を乾燥させて、集電箔7の表面上に負極合材層18(膜状負極合材8を乾燥させたもの)を形成すると共に、負極合材層18の表面上に耐熱層35(耐熱性ペースト30を乾燥させたもの)を形成する。これにより、集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された負極合材層18と、この負極合材層18の表面上に形成された耐熱層35と、を有する負極シート19(電極シート)を得る(図5参照)。
次に、冷却工程において、負極シート19を冷却して、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くする(硬化させる)。そして、ロールプレス工程において、冷却工程によって耐熱層35に含まれるバインダ粒子32が硬くなった状態の負極シート19を、対向して回転する一対のロール91,92の間隙に通すことによって、負極合材層18及び耐熱層35を、その厚み方向に圧縮する(図7参照)。その後、接着工程において、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32によって、耐熱層35の表面上にセパレータ15を接着させて、セパレータ付き負極シート10を作製する(図9及び図10参照)。
ここで、本実施例1にかかるセパレータ付き負極シート10の製造方法について、詳細に説明する。図1は、本実施例1の製造方法により製造したセパレータ付き負極シート10の断面の概略図である。図2は、実施例1にかかる負極シート製造装置50の斜視概略図である。図2に示すように、負極シート製造装置50は、ロール成膜装置20とグラビア塗工装置60と乾燥装置70とを組み合わせた装置である。図3は、負極シート製造装置50の一部であるロール成膜装置20の概略図である。図4は、ロール成膜装置20の斜視概略図である。図5は、負極シート製造装置50により製造した負極シート19の断面の概略図である。図6は、セパレータ付き負極シート10の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、ステップS1(成膜工程)において、負極合材6を対向する一対のロール1,2の間隙に通すことによって、負極合材6を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした負極合材6(膜状負極合材8)を集電箔7の表面上に付着させて、集電箔7の表面上に膜状負極合材8を有する膜状負極合材付き集電箔9を作製する。具体的には、図3及び図4に示すロール成膜装置20を用いて、ステップS1(成膜工程)の処理を行う。なお、ロール成膜装置20は、負極シート製造装置50の一部である(図2参照)。
また、本実施例1では、負極合材として、多数の湿潤造粒体16からなる負極合材6を用いている。この負極合材6は、以下のようにして作製している。具体的には、負極活物質粒子13と増粘材と溶媒(水)とを混合して造粒することで、多数の湿潤造粒体16を作製すると共に、多数の湿潤造粒体16からなる負極合材6を作製する。より具体的には、公知の攪拌造粒機(図示なし)内に、負極活物質粒子13と増粘材と溶媒である水を投入し、攪拌することで、負極活物質粒子13と増粘材と溶媒である水を混合(分散)しつつ造粒して、多数の湿潤造粒体16にする。これにより、多数の湿潤造粒体16からなる負極合材6が得られる。
また、本実施例1では、負極活物質粒子13として、アモルファスカーボンコートグラファイト粒子(粉末)を用いている。また、負極合材6(湿潤造粒体16)に含有させる増粘材として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いている。また、湿潤造粒体16は、溶媒である水が、複数の負極活物質粒子13と増粘材に保持(吸収)された状態で、これらが集合(結合)した物質(粒状体)である。負極合材6は、このような湿潤造粒体16の集合体である。
ロール成膜装置20は、図3及び図4に示すように、第1ロール1と第2ロール2と第3ロール3の、3つのロールを有している。第1ロール1と第2ロール2とは水平方向(図3において左右方向)に並んで配置されている。一方、第2ロール2と第3ロール3とは、垂直方向(図3において上下方向)に並んで配置されている。また、第1ロール1と第2ロール2とは、わずかに間隔を置いて対面している。同様に、第2ロール2と第3ロール3とも、わずかに間隔を置いて対面している。さらに、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の上側には、仕切り板4と5が、ロールの幅方向(軸方向、図3において紙面に直交する方向)に離間して配置されている。
また、これら3つのロール1〜3の回転方向は、図3及び図4において矢印で示すように、隣り合う(対面する)2つのロールの回転方向が互いに逆方向となるように、すなわち、対面する2つのロールが互いに順方向回転となるように設定されている。そして、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所では、これらのロールの表面が回転により下向きに移動するようになっている。また、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所では、これらのロールの表面が回転により右向きに移動するようになっている。また、回転速度に関して、回転によるロールの表面の移動速度が、第1ロール1において最も遅く、第3ロール3において最も速く、第2ロール2ではそれらの中間となるように設定されている。
このようなロール成膜装置20では、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の上に位置する仕切り板4と5の間の収容空間内に、前述のようにして作製した負極合材6が投入される。また、第3ロール3には、集電箔7が掛け渡されている。集電箔7は、金属箔(銅箔)であり、第3ロール3の回転と共に、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所を通って、第3ロール3の左下から右上へと搬送されるようになっている。また、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所には、集電箔7が通されている状態で、さらに第2ロール2と集電箔7との間に若干の隙間があるようにされている。すなわち、第2ロール2と第3ロール3との間の隙間(集電箔7が存在していない状態での隙間)は、集電箔7の厚さより少し広い。
このステップS1(成膜工程)では、ロール成膜装置20の仕切り板4と5の間の収容空間内に、負極合材6を投入する。投入された負極合材6は、第1ロール1と第2ロール2との対面箇所の隙間内に供給され、第1ロール1及び第2ロール2の回転により、両ロールの間の隙間を通過することによって、圧縮されて膜状となる(図3参照)。このとき、第1ロール1よりも第2ロール2のほうが回転速度が速いので、負極合材6に含まれる湿潤造粒体16は、第1ロール1の表面よりも第2ロール2の表面においてより大きく引き伸ばされると共に、第2ロール2の表面に担持される。
第2ロール2の表面に担持された膜状の負極合材6(これを膜状負極合材8という)は、第2ロール2の回転と共に搬送されてゆく(図3及び図4参照)。すると、第2ロール2と第3ロール3との対面箇所において、集電箔7と膜状負極合材8とが出会う。これにより、膜状負極合材8が、第2ロール2から、より移動速度の速い第3ロール3と共に回転している集電箔7の表面上に転写される(付着する)。これにより、集電箔7上に膜状負極合材8が成膜された、膜状負極合材付き集電箔9が得られる。
次に、ステップS2(塗布工程)において、耐熱性粒子31とバインダ粒子32と溶媒(水)と増粘材(CMC)とを含む耐熱性ペースト30を、膜状負極合材付き集電箔9の膜状負極合材8の表面上に塗布して、膜状耐熱性ペースト34を形成する。具体的には、図2に示すように、グラビア塗工装置60を用いて、ステップS2(塗布工程)の処理を行う。なお、グラビア塗工装置60は、負極シート製造装置50の一部である(図2参照)。
グラビア塗工装置60は、図2に示すように、ペースト供給部61と、グラビアロール65と、補助ロール66,67とを有する。ペースト供給部61は、グラビアロール65の外周面に、耐熱性ペースト30を供給する。グラビアロール65は、回転軸部65bと、これより径大の塗布部65cとを有する。なお、グラビアロール65の塗布部65cの外周面は、耐熱性ペースト30を保持するため、凹凸形状(彫刻版目)になっている。
このグラビア塗工装置60では、グラビアロール65が、回転軸部65bの中心軸の回りに一定の速度で回転することにより、ペースト供給部61から供給される耐熱性ペースト30を、グラビアロール65の塗布部65cの外周面に順次付着させてゆく。そして、グラビアロール65の塗布部65cの外周面に付着している耐熱性ペースト30が、グラビアロール65の回転動作により、負極シート製造装置50の搬送ロール51,52,53,54,55,56によって搬送される膜状負極合材付き集電箔9の膜状負極合材8の表面に順次塗布されてゆく。これにより、膜状負極合材8の表面上に、膜状耐熱性ペースト34(耐熱性ペースト30の膜)が形成される。
なお、本実施例1では、耐熱性粒子31(フィラー)として、ベーマイト(Al23・H2O)粒子を用いている。また、バインダ粒子32として、アクリル樹脂を有するバインダ粒子を用いている。具体的には、本実施例1では、バインダ粒子32として、ポリアクリル酸ブチルのみからなるバインダ粒子を用いている。図11は、バインダ粒子32の断面図(模式図)である。なお、このバインダ粒子32のガラス転移温度は、−50℃である。また、増粘材として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いている。
次いで、ステップS3(乾燥工程)に進み、膜状負極合材8の表面上の膜状耐熱性ペースト34を乾燥させると共に、膜状負極合材付き集電箔9の膜状負極合材8を乾燥させる。これにより、膜状耐熱性ペースト34が耐熱層35になると共に、膜状負極合材8が負極合材層18となる。これにより、集電箔7と、この集電箔7の表面上に形成された負極合材層18と、この負極合材層18の表面上に形成された耐熱層35と、を有する負極シート19(図5参照)を得る。具体的には、図2に示すように、乾燥装置70を用いて、ステップS5(乾燥工程)の処理を行う。この乾燥装置70は、負極シート製造装置50の一部である(図2参照)。
なお、本実施例1では、集電箔7の両面に、負極合材層18と耐熱層35を形成している。具体的には、上述のステップS1〜S3の処理を行って、集電箔7の片面に負極合材層18と耐熱層35を形成した片面塗工負極シートを製造した後、当該片面塗工負極シートの集電箔7のうち負極合材層18及び耐熱層35を形成していない面に対し、ステップS1〜S3の処理を行っている。これにより、集電箔7の両面に負極合材層18と耐熱層35とが形成された負極シート19(電極シート)を得る(図5参照)。
次に、ステップS4(冷却工程)に進み、負極シート19を冷却して、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くする(硬化させる)。具体的には、負極シート19を搬送方向DMに搬送しつつ、冷却装置80(図7参照)によって負極シート19を冷却して、耐熱層35の温度を、0℃以下の温度にまで低下させる。
なお、冷却装置80は、負極シート19の搬送方向DM(図7において、左から右に向かう方向)について、後述するロールプレス装置90の一対のロール91,92の直ぐ手前(一対のロール91,92に対して上流側に近接する位置)に設けられている。従って、本実施例1では、次工程であるステップS5(ロールプレス工程)の直前に、負極シート19を冷却して、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くしている(硬化させている)。すなわち、負極シート19を冷却して、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くした(硬化させた)直後に、次のステップS5(ロールプレス工程)を行うようにしている。
次いで、ステップS5(ロールプレス工程)において、一対のロール91,92を有するロールプレス装置90を用いて、負極シート19をその厚み方向に圧縮する(図7参照)。具体的には、ステップS4(冷却工程)によって耐熱層35に含まれるバインダ粒子32が硬くなった状態の負極シート19を、搬送方向DMに搬送しつつ、対向して回転する一対のロール91,92の間隙に通すことによって、負極合材層18及び耐熱層35を、その厚み方向に圧縮する(図7参照)。なお、本実施例1のステップS5(ロールプレス工程)では、常温環境下(20〜30℃の範囲内の温度環境下)において、一対のロール91,92によって負極シート19(負極合材層18及び耐熱層35)をプレスしている。
ところで、ステップS5(ロールプレス工程)を行うとき、負極シート19の表面(すなわち、耐熱層35の表面)には、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32が多数存在している。このため、ステップS3(乾燥工程)において負極シート19を作製した後、ステップS4(冷却工程)の処理を行うことなく、ステップS5(ロールプレス工程)を行った場合には、ステップS5(ロールプレス工程)において、耐熱層35に接触する一対のロール91,92の表面に、耐熱層35に含まれているバインダ粒子32が多数付着してしまう虞がある。耐熱層35に含まれるバインダ粒子32が軟らかく、変形し易い状態である場合には、ステップS5(ロールプレス工程)において、耐熱層35に接触するロール91,92の表面に対するバインダ粒子32の接触面積が大きくなり、バインダ粒子32がロール91,92の表面に付着し易くなるからである。
これに対し、本実施例1では、ステップS5(ロールプレス工程)の前工程であるステップS4(冷却工程)において、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くしている(硬化させている)ため、ステップS4(冷却工程)の処理を行わない場合に比べて、ステップS5(ロールプレス工程)の処理を行うときに、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くすることができると共に、変形し難くすることができる。従って、ステップS4(冷却工程)の冷却によって硬くなったバインダ粒子32は、ステップS5(ロールプレス工程)において圧縮荷重を受けたときに、変形し難くなる。これにより、本実施例1のステップS5(ロールプレス工程)では、耐熱層35に接触するロール91,92の表面に対するバインダ粒子32の接触面積を低減することができるので、バインダ粒子32がロール91,92の表面に付着し難くなる。
その後、ステップS6(接着工程)において、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32によって、耐熱層35の表面上にセパレータ15を接着させて、セパレータ付き負極シート10を作製する(図9及び図10参照)。なお、本実施例1では、図8の平面図に示すように、ステップS5(ロールプレス工程)の処理を行った後、ステップS6(接着工程)の処理を行う前に、負極シート19を、その幅方向(図8において左右方向)の中心位置Cで、長手方向EHに切断して、2枚の負極シート19Aにしている。従って、本実施例1では、ステップS6(接着工程)において、負極シート19Aの耐熱層35に含まれるバインダ粒子32によって、耐熱層35の表面上にセパレータ15を接着させて、セパレータ付き負極シート10を作製する。
具体的には、図9に示す接着装置100を用いて、ステップS6(接着工程)の処理を行う。なお、本実施例1では、常温環境下(20〜30℃の範囲内の温度環境下)において、ステップS6(接着工程)の処理を行う。
ここで、本実施例1で用いる接着装置100について説明する。この接着装置100は、負極シート供給部110と、第1セパレータ供給部120と、第2セパレータ供給部130と、張力付与部150と、加圧部160と、巻取部180とを備える。
このうち、負極シート供給部110には、巻出ロール111に巻かれた帯状の負極シート19Aが取り付けられている。この負極シート供給部110から、負極シート19Aが、その長手方向EHに送り出されるように構成されている。
また、負極シート供給部110の上方には、第1セパレータ供給部120が配置されている。この第1セパレータ供給部120には、巻出ロール121に巻かれた帯状のセパレータ15が取り付けられている。この第1セパレータ供給部120から、セパレータ15が、その長手方向に送り出されるように構成されている。
また、負極シート供給部110の下方には、第2セパレータ供給部130が配置されている。この第2セパレータ供給部130には、巻出ロール131に巻かれた帯状のセパレータ15が取り付けられている。この第2セパレータ供給部130から、セパレータ15が、その長手方向に送り出されるようになっている。
張力付与部150は、負極シート19A及び2枚(一対)のセパレータ15,15にそれぞれ張力を掛けつつ、負極シート19A及び一対のセパレータ15,15を、後述する加圧部160の加圧間隙KG1(図10参照)を通過させる。なお、張力付与部150は、複数の搬送ロール151,152,153,154,155,156、前述した巻出ロール111,121,131、及び、巻取部180の巻取ロール181等から構成される。
加圧部160は、第1プレスロール161と、これに加圧間隙KG1を介して平行に配置された第2プレスロール163と、を有する。第1セパレータ供給部120から供給されて搬送されるセパレータ15と、第2セパレータ供給部130から供給されて搬送されるセパレータ15と、負極シート供給部110から供給されて搬送される負極シート19Aとが、第1プレスロール161と第2プレスロール163との間隙である加圧間隙KG1を通過することによって、これらが接着されて一体化されたセパレータ付き負極シート10が形成される(図9及び図10参照)。
具体的には、図10に示すように、加圧部160(第1プレスロール161と第2プレスロール163)は、第1セパレータ供給部120から供給されて搬送されるセパレータ15を、負極シート19Aの第1表面19bを構成する耐熱層35に接触させると共に、第2セパレータ供給部130から供給されて搬送されるセパレータ15を、負極シート19Aの第2表面19cを構成する耐熱層35に接触させつつ、セパレータ15と負極シート19Aとセパレータ15を、厚み方向GHに挟んで加圧する(プレス荷重を加える)。
これにより、負極シート19Aの第1表面19bを構成する耐熱層35に含まれているバインダ粒子32を介して、第1セパレータ供給部120から供給されて搬送されるセパレータ15が、負極シート19Aの第1表面19bに接着すると共に、負極シート19Aの第2表面19cを構成する耐熱層35に含まれているバインダ粒子32を介して、第2セパレータ供給部130から供給されて搬送されるセパレータ15が、負極シート19Aの第2表面19cに接着する。
上述のようにして作製したセパレータ付き負極シート10は、その後、正極シートと組み合わされて、電極体を形成する。次いで、この電極体に端子部材を取り付けた後、電池ケース内に電極体及び電解液を収容する。これにより、リチウムイオン二次電池が完成する。
(実施例2)
実施例2の負極シート219は、実施例1の負極シート19と比較して、耐熱層235に含まれるバインダ粒子のみが異なり、その他は同様である。さらに、実施例2のセパレータ付き負極シート210は、実施例1のセパレータ付き負極シート10と比較して、耐熱層235に含まれるバインダ粒子のみが異なり、その他は同様である(図1参照)。従って、実施例2では、実施例1と比較して、耐熱層235に含有させるバインダ粒子のみを異ならせ、その他は同様として、負極シート219及びセパレータ付き負極シート210を作製している。
具体的には、本実施例2では、バインダ粒子として、図12に示すように、第1樹脂部232bと、この第1樹脂部232bを被覆する第2樹脂部232cであって、バインダ粒子232の外表面を構成する第2樹脂部232cと、からなるバインダ粒子232を使用する。なお、本実施例2では、第1樹脂部232bを構成する第1樹脂として、ポリスチレンを用いている。また、第2樹脂部232cを構成する第2樹脂として、ポリアクリル酸ブチルを用いている。なお、図12は、実施例2にかかるバインダ粒子232の断面図(模式図)である。
第1樹脂部232b(ポリスチレン)のガラス転移温度は、30℃である。一方、第2樹脂部232c(ポリアクリル酸ブチル)のガラス転移温度は、−50℃である。従って、本実施例2のバインダ粒子232では、第1樹脂部232bが、第2樹脂部232cよりも、ガラス転移温度が高いという関係を満たしている。すなわち、本実施例2では、ガラス転移温度が異なる2種類の樹脂によって、1つのバインダ粒子232が構成されており、バインダ粒子232の外側部分に、相対的にガラス転移温度が低い第2樹脂部232cが配置され、バインダ粒子232の内側部分(第2樹脂部の内側)に、相対的にガラス転移温度が高い第1樹脂部232bが配置されたバインダ粒子232を使用する。なお、このバインダ粒子232では、当該バインダ粒子232の外表面を構成する第2樹脂部232cが、セパレータ15との接着に寄与する(バインダとして機能する)。
このようなバインダ粒子232は、実施例1のバインダ粒子32(第2樹脂であるポリアクリル酸ブチルのみからなるバインダ粒子)と同等に冷却した場合(例えば、0℃に冷却した場合)に、実施例1のバインダ粒子32に比べて、バインダ粒子をより一層硬くする(硬化させる)ことができる。従って、本実施例2では、実施例1と比較して、ステップS4(冷却工程)において負極シート219を冷却したときに、バインダ粒子232をより一層硬くする(硬化させる)ことができる。
これにより、ステップS5(ロールプレス工程)において、バインダ粒子232をより一層変形し難くすることができるので、耐熱層235に接触するロール91,92の表面に対するバインダ粒子232の接触面積を低減することができ、その結果、バインダ粒子232がロール91,92の表面により一層付着し難くなる。
ところで、実施例2の製造方法では、実施例1と同様に、ステップS4(冷却工程)において、負極シート19を冷却して、耐熱層235の温度を、0℃以下の温度にまで低下させる。従って、実施例2では、ステップS4(冷却工程)において、耐熱層235の温度を、バインダ粒子232の第1樹脂部232bのガラス転移温度以下の温度にまで低下させることになる。
このように、耐熱層235の温度を、バインダ粒子232の第1樹脂部232bのガラス転移温度以下の温度にまで低下させることで、第1樹脂部232bを極めて硬くする(第1樹脂部232bをガラス状態にする)ことができる。これにより、本実施例2では、ステップS5(ロールプレス工程)において、実施例1に比べて、バインダ粒子232をより一層変形し難くすることができるので、耐熱層235に接触するロール91,92の表面に対するバインダ粒子232の接触面積をより一層低減することができ、その結果、バインダ粒子232がロール91,92の表面により一層付着し難くなる。
(バインダ粒子の接着力の比較)
実施例1のステップS5(ロールプレス工程)において、バインダ粒子32がロール91,92の表面に接着するときの接着力と、実施例2のステップS5(ロールプレス工程)において、バインダ粒子232がロール91,92の表面に接着するときの接着力とを比較するために、以下のような試験を行った。
具体的には、実施例1の負極シート19(ステップS3の処理を終えた負極シート19)を所定形状に切断した試験片を用意し、この試験片を冷却することで耐熱層35の温度を0℃にまで低下させて、バインダ粒子32を硬くする。この状態で、試験片を、SUS304鋼板からなる試験板に対し、耐熱層35を接触させる態様でロールで圧着して、バインダ粒子32を介して貼り付ける。そして、0℃の温度環境下で、公知の90°剥離試験機を用いて、試験板から試験片を引き剥がして、バインダ粒子32の接着力(mN/cm)を測定した。本試験では、この測定値を、実施例1のステップS5(ロールプレス工程)において、バインダ粒子32がロール91,92の表面に接着するときの接着力に対応する値としている。なお、本試験は、JIS Z 0237:2009に準拠して行っている。
実施例2のバインダ粒子232についても、上述した実施例1のバインダ粒子32の接着力の測定試験と同様にして、接着力(mN/cm)を測定した。すなわち、実施例2の負極シート219(ステップS3の処理を終えた負極シート219)を所定形状に切断した試験片を用意し、この試験片を冷却することで耐熱層235の温度を0℃にまで低下させて、バインダ粒子232を硬くする。この状態で、試験片を、SUS304鋼板からなる試験板に対し、耐熱層235を接触させる態様でロールで圧着して、バインダ粒子232を介して貼り付ける。そして、0℃の温度環境下で、公知の90°剥離試験機を用いて、試験板から試験片を引き剥がして、バインダ粒子232の接着力(mN/cm)を測定した。本試験では、この測定値を、実施例2のステップS5(ロールプレス工程)において、バインダ粒子232がロール91,92の表面に接着するときの接着力に対応する値としている。
また、比較例1として、上述した実施例1にかかる試験と比較して、環境温度のみを異ならせて、バインダ粒子32の接着力(mN/cm)を測定した。すなわち、実施例1の負極シート19(ステップS3の処理を終えた負極シート19)を所定形状に切断した試験片を用意し、この試験片を、冷却することなく、25℃の温度環境下(すなわち、常温環境下)で、SUS304鋼板からなる試験板に対し、耐熱層35を接触させる態様でロールで圧着して、バインダ粒子32を介して貼り付ける。そして、25℃の温度環境下で、公知の90°剥離試験機を用いて、試験板から試験片を90°の角度で引き剥がして、比較例1にかかるバインダ粒子32の接着力(mN/cm)を測定した。
以上説明した、実施例1,2及び比較例1にかかるバインダ粒子の接着力(mN/cm)の測定結果を、図13に示す。
まず、実施例1にかかるバインダ粒子32の接着力と比較例1にかかるバインダ粒子32の接着力とを比較する。図13に示すように、比較例1では、バインダ粒子32の接着力が10.2(mN/cm)となった。これに対し、実施例1では、バインダ粒子32の接着力が6.2(mN/cm)となり、比較例1よりも接着力が大幅に低減した。このような結果となった理由は、以下のように考えることができる。
具体的には、実施例1では、比較例1と異なり、耐熱層35を0℃に冷却することによって、耐熱層35に含まれるバインダ粒子32を硬くしているからである。これにより、実施例1では、試験板に対して、耐熱層35を接触させる態様でロールで圧着して、バインダ粒子32を介して試験片を貼り付けるとき、比較例1に比べて、バインダ粒子32が変形し難くなる。これにより、試験板に対するバインダ粒子32の接触面積が低減して、バインダ粒子32が試験板に付着し難くなったと考えることができる。その結果、実施例1では、比較例1よりも接着力が大幅に低減したと考えることができる。
この結果より、実施例1の製造方法によれば、ロールプレス工程において、負極シート19の耐熱層35に接触するロール91,92の表面に、耐熱層35に含まれているバインダ粒子32を付着し難くすることができるといえる。
次に、実施例1にかかるバインダ粒子32の接着力と実施例2にかかるバインダ粒子232の接着力とを比較する。図13に示すように、実施例1では、バインダ粒子32の接着力が6.2(mN/cm)となった。これに対し、実施例2では、バインダ粒子232の接着力が2.1(mN/cm)となり、実施例1よりも接着力が大幅に低減した。このような結果となった理由は、以下のように考えることができる。
具体的には、実施例1のバインダ粒子32は、ポリアクリル酸ブチルのみからなるバインダ粒子であるのに対し、実施例2のバインダ粒子232は、バインダ粒子232の外側部分に、相対的にガラス転移温度が低いポリアクリル酸ブチルからなる第2樹脂部232cが配置され、バインダ粒子232の内側部分(第2樹脂部232cの内側)に、相対的にガラス転移温度が高いポリスチレンからなる第1樹脂部232bが配置されたバインダ粒子であるからである。すなわち、実施例2のバインダ粒子232は、粒子の内側に、実施例1のバインダ粒子32を構成するポリアクリル酸ブチルよりもガラス転移温度が高いポリスチレンからなる第1樹脂部232bを有している。
このような実施例2のバインダ粒子232は、実施例1のバインダ粒子32(第2樹脂であるポリアクリル酸ブチルのみからなるバインダ粒子)と同等に冷却した場合(0℃に冷却した場合)に、実施例1のバインダ粒子32に比べて、バインダ粒子をより一層硬くする(硬化させる)ことができる。従って、実施例2では、実施例1と同様に、耐熱層235を0℃に冷却しているにも拘わらず、実施例1のバインダ粒子32に比べて、バインダ粒子232をより一層硬くする(硬化させる)ことができたと考えることができる。
これにより、実施例2では、試験板に対して、耐熱層235を接触させる態様でロールで圧着して、バインダ粒子232を介して試験片を貼り付けるとき、実施例1に比べて、バインダ粒子232が変形し難くなる。これにより、試験板に対するバインダ粒子232の接触面積が低減して、バインダ粒子232が試験板に付着し難くなったと考えることができる。その結果、実施例2では、実施例1よりも接着力が大幅に低減したと考えることができる。
この結果より、実施例2の製造方法によれば、ロールプレス工程において、負極シート219の耐熱層235に接触するロール91,92の表面に、耐熱層235に含まれているバインダ粒子232をより一層付着し難くすることができるといえる。
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は前記実施例1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1,2では、セパレータ付き電極シートの製造方法として、セパレータ付き負極シートの製造方法を例示した。しかしながら、本発明は、セパレータ付き正極シートの製造方法にも適用することができる。すなわち、集電箔と、集電箔の表面上に形成された正極合材層と、正極合材層の表面上に形成された耐熱層と、耐熱層の表面上に形成されたセパレータと、を有するセパレータ付き正極シートの製造方法にも適用することができる。
また、実施例1,2では、ステップS5(ロールプレス工程)の処理を行った後、ステップS6(接着工程)の処理を行う前に、負極シート19,219を、その幅方向(図8において左右方向)の中心位置Cで、長手方向EHに切断して、2枚の負極シート19A,219Aにした。そして、ステップS6(接着工程)において、負極シート19A,219Aの耐熱層35,235にセパレータ15を接着させて、セパレータ付き負極シート10,210を作製した(図9及び図10参照)。
しかしながら、ステップS5(ロールプレス工程)の処理を行った後、負極シート19,219を切断することなく、ステップS6(接着工程)の処理を行うようにしても良い。すなわち、ステップS6(接着工程)において、負極シート19,219の耐熱層35,235にセパレータ15を接着させて、セパレータ付き負極シートを作製するようにしても良い。その後、セパレータ付き負極シートを、その幅方向の中心位置で長手方向に切断して、2枚のセパレータ付き負極シートにするようにしても良い。
また、実施例1,2では、集電箔7の両面に負極合材層18と耐熱層35とを形成した負極シート19,219(電極シート)を作製し、この負極シート19の両面(2つの耐熱層35の表面)にセパレータ15を接着したセパレータ付き負極シート10,210を作製した。しかしながら、本発明は、集電箔7の片面のみに負極合材層18と耐熱層35とを形成した負極シート(電極シート)を作製し、この負極シート19の片面(耐熱層35の表面)にセパレータ15を接着したセパレータ付き負極シートを作製する場合にも適用することができる。
6 負極合材
7 集電箔
8 膜状負極合材(膜状電極合材)
9 膜状負極合材付き集電箔
10,210 セパレータ付き負極シート(セパレータ付き電極シート)
13 負極活物質粒子
15 セパレータ
16 湿潤造粒体
18 負極合材層(電極合材層)
19,219 負極シート(電極シート)
20 ロール成膜装置
30 耐熱性ペースト
31 耐熱性粒子
32,232 バインダ粒子
34 膜状耐熱性ペースト
35,235 耐熱層
50 負極シート製造装置
60 グラビア塗工装置
70 乾燥装置
80 冷却装置
90 ロールプレス装置
91,92 一対のロール
S1 成膜工程
S2 塗布工程
S3 乾燥工程
S4 冷却工程
S5 ロールプレス工程
S6 接着工程

Claims (1)

  1. 集電箔と、前記集電箔の表面上に形成された電極合材層と、前記電極合材層の表面上に形成された耐熱層と、前記耐熱層の表面上に形成されたセパレータと、を有するセパレータ付き電極シートの製造方法であって、
    前記集電箔の表面上に、活物質粒子と溶媒とを含む膜状電極合材を形成する成膜工程と、
    前記膜状電極合材の表面上に、耐熱性粒子とバインダ粒子と溶媒とを含む耐熱性ペーストを塗布して、膜状耐熱性ペーストを形成する塗布工程と、
    前記膜状電極合材及び前記膜状耐熱性ペーストを乾燥させることで、前記集電箔の表面上に前記膜状電極合材が乾燥した前記電極合材層を形成すると共に、前記電極合材層の表面上に前記膜状耐熱性ペーストが乾燥した前記耐熱層を形成して、前記集電箔と前記電極合材層と前記耐熱層とを有する電極シートを作製する乾燥工程と、
    前記電極シートを冷却して、前記耐熱層に含まれる前記バインダ粒子を硬くする冷却工程と、
    前記冷却工程によって前記耐熱層に含まれる前記バインダ粒子が硬くなった状態の前記電極シートを、対向して回転する一対のロールの間隙に通すことによって、前記電極合材層及び前記耐熱層を、その厚み方向に圧縮するロールプレス工程と、
    前記ロールプレス工程後、前記耐熱層の表面上に、前記耐熱層に含まれる前記バインダ粒子を介して前記セパレータを接着させて、前記セパレータ付き電極シートを作製する接着工程と、を備える
    セパレータ付き電極シートの製造方法。
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