JP2019082388A - 気孔率推定方法及び気孔率推定装置 - Google Patents

気孔率推定方法及び気孔率推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 X線CT画像の1つの画素領域内に固体及び気体が存在するとき、この画素領域内で気体がどの程度存在するかが把握できない。【解決手段】 本発明は、多孔質の測定対象物において、微細気孔が占める割合である微細気孔率を推定する方法である。まず、測定対象物及び気体を含むX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて基準CT値を特定する。そして、測定対象物のX線CT画像を構成する複数の画素領域のうち、基準CT値よりも大きいCT値を示す対象画素領域について、固体CT値に対応する気孔率を0%とし、気体CT値に対応する気孔率を100%としたときのCT値及び気孔率の対応関係を示す一次関数に基づいて、各対象画素領域のCT値に対応する気孔率を算出する。そして、複数の対象画素領域における気孔率の代表値を微細気孔率として推定する。【選択図】 図7

Description

本発明は、多孔質の測定対象物において、微細気孔が占める割合である微細気孔率を推定する方法及び装置に関する。
特許文献1や非特許文献1,2では、X線CT装置を用いて試料のCT断面画像を撮像している。このCT断面画像では、CT値が高い(言い換えれば、密度が高い)画素領域が白くなり、CT値が低い(言い換えれば、密度が低い)画素領域が黒くなる。ここで、CT断面画像のCT値に基づいて、試料の内部に存在する気孔を把握することができる。
特許第4885311号
「焼結鉱製造における塊状化、緻密化過程の解析」、鉄と鋼、第78年(1992)第7号、第1060〜1068頁 「X線CTによる鉄鉱石焼結鉱の通気構造解析」、地質調査所月報、第46巻、第11号、第573〜594頁
試料に含まれる気孔のサイズがX線CT装置の分解能よりも大きければ、試料のX線CT画像に基づいて、気孔を把握することができる。しかし、気孔のサイズがX線CT装置の分解能以下である場合、試料のX線CT画像からは気孔を把握しにくくなる。
また、X線CT画像の1つの画素領域内に固体及び気体が存在するとき、この画素領域のCT値は、固体及び気体の存在比によって決定されるが、従来では、この画素領域は固体に内包されるものとみなしていることが多く、1つの画素領域内で気体がどの程度存在するかは把握していない。
本願第1の発明は、多孔質の測定対象物において、微細気孔が占める割合である微細気孔率を推定する方法である。微細気孔とは、測定対象物のX線CT画像を構成する1つの画素領域内において、測定対象物の固体部分とともに存在する気孔である。まず、測定対象物及び気体を含むX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、極小値を示すCT値である基準CT値を特定する。
そして、測定対象物のX線CT画像を構成する複数の画素領域のうち、基準CT値よりも大きいCT値を示す対象画素領域について、固体CT値に対応する気孔率を0%とし、気体CT値に対応する気孔率を100%としたときのCT値及び気孔率の対応関係を示す一次関数に基づいて、各対象画素領域のCT値に対応する気孔率を算出する。固体CT値とは、固体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である。気体CT値とは、気体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である。そして、複数の対象画素領域における気孔率の代表値を上記微細気孔率として推定する。
固体としては、測定対象物とは異なる固体参照試料を用いることができる。このとき、固体参照試料のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、固体CT値を特定し、気体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、気体CT値を特定する。そして、上記一次関数は、下記式(I)によって表すことができる。
上記式(I)において、εXFは対象画素領域の気孔率、CTは対象画素領域のCT値、CTは固体CT値、CTは気体CT値である。
ここで、測定対象物として、焼結用原料、シンターケーキ又は焼結鉱を用いるとともに、真密度が4.74〜5.74g/cmである固体参照試料を用いることができる。また、そして、固体参照試料としては、ヘマタイト粒又は合金を用いることができる。
気体としては、測定対象物の内部に存在する気体を用いることができる。そして、測定対象物が複数の化学成分によって構成されているとき、上記一次関数は、下記式(II)によって表すことができる。
上記式(II)において、εXFは対象画素領域の気孔率、CTは対象画素領域のCT値、α及びβは予め決められた係数である。dは、各化学成分の質量割合に基づいて、複数の化学成分の真密度を加重平均した平均真密度であって、密度及びCT値の相関関係において固体CT値を特定する密度である。ここで、測定対象物としては、焼結用原料、シンターケーキ又は焼結鉱を用いることができる。
一方、測定対象物において、粗大気孔が占める割合である粗大気孔率を推定することができる。粗大気孔とは、測定対象物のX線CT画像を構成する1つの画素領域内の全体に存在する気孔である。ここで、測定対象物のX線CT画像において、測定対象物の輪郭で囲まれた領域内に存在するすべての画素の総数に対する、基準CT値以下であるCT値を示す画素の総数の割合を、測定対象物の粗大気孔率として算出することができる。粗大気孔率及び微細気孔率の合計値を、測定対象物の全体の気孔率として推定することができる。
本願第2の発明は、多孔質の測定対象物において、微細気孔が占める割合である微細気孔率を推定する装置である。微細気孔率を推定する演算部は、測定対象物及び気体を含むX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、極小値を示すCT値である基準CT値を特定する。
また、演算部は、測定対象物のX線CT画像を構成する複数の画素領域のうち、基準CT値よりも大きいCT値を示す対象画素領域について、固体CT値に対応する気孔率を0%とし、気体CT値に対応する気孔率を100%としたときのCT値及び気孔率の対応関係を示す一次関数に基づいて、各対象画素領域のCT値に対応する気孔率を算出する。固体CT値とは、固体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である。気体CT値とは、気体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である。そして、演算部は、複数の対象画素領域における気孔率の代表値を微細気孔率として推定する。
本発明によれば、基準CT値を特定することにより、基準CT値よりも大きいCT値を示す対象画素領域において、微細気孔が存在することを把握することができる。この対象画素領域については、CT値及び気孔率の対応関係(一次関数)に着目することにより、対象画素領域のCT値に基づいて気孔率(すなわち、対象画素領域毎の微細気孔率)を算出することができる。そして、すべての対象画素領域の微細気孔率の代表値を算出することにより、測定対象物の微細気孔率を推定することができる。
X線CT装置、演算装置及びディスプレイを示す図である。 複数のCT画像を示す図である。 密度及びCT値(ピーク)の関係を示す図である。 1つの画素領域及び気孔のサイズを示す図である。 4つの画素領域及び気孔のサイズを示す図である。 実施形態1において、CT値のヒストグラムを示す図である。 気孔率及びCT値の関係を示す図である。 実施形態1において、微細気孔率(代表値)を算出する処理を示すフローチャートである。 実施形態2において、微細気孔率(代表値)を算出する処理を示すフローチャートである。 実施形態2において、CT値のヒストグラムを示す図である。
(実施形態1)
本実施形態は、X線CT(Computed Tomography)装置を用いて測定対象物のCT画像を取得し、このCT画像のCT値に基づいて、測定対象物の気孔率(特に、後述する微細気孔率)を推定するものである。
(X線CT装置)
図1は、X線CT装置の概略図を示す。X線CT装置10は、X線源11及び検出器12を有しており、X線源11及び検出器12の間に測定対象物Oが配置される。X線源11から射出されたX線は、測定対象物Oの内部を透過して検出器12に到達する。
検出器12は、測定対象物Oを透過したX線を検出し、X線の強度に応じたCT画像(デジタル画像)を生成する。具体的には、検出器12は、X線を可視光に変換するシンチレータ12aと、シンチレータ12aから射出した可視光を光電変換する光電変換素子12bとを有する。光電変換素子12bは、複数の画素を有しており、各画素は、X線の強度に応じた信号(CT値)を出力する。
X線源11から射出されたX線が測定対象物Oの内部を透過するとき、X線は測定対象物Oによって減衰され、検出器12に到達するX線の強度が低下する。ここで、測定対象物Oの密度が高いほど、また、測定対象物Oのサイズ(X線が透過する方向のサイズ)が大きいほど、測定対象物OによってX線が減衰されやすくなり、検出器12に到達するX線の強度が低下しやすくなる。
X線源11に対する測定対象物Oの向きを固定したままでは、X線の減衰が、測定対象物Oのサイズによるものか、測定対象物Oの密度によるものかを区別できない。そこで、図1の矢印D1に示すように、測定対象物Oを回転させてX線源11に対する測定対象物Oの向きを変更しながらX線撮影を行い、これらのX線撮影によって得られた複数の画像を重ね合わせて再構成処理を行うことにより、測定対象物Oの所定平面内(水平面内)における形状及び密度を含むCT画像Is(図2参照)が得られる。CT画像Isを生成する処理は、検出器12に接続された演算装置20によって行われる。
X線源11に対して、図1に示す矢印D2の方向(垂直方向)における測定対象物Oの位置を変更しながらX線撮影を行うことにより、測定対象物Oにおいて、垂直方向の位置が異なる複数のCT画像Isが得られる(図2参照)。CT画像Isは、X線撮影の視野領域内の画像を示しており、CT画像Isには、測定対象物Oが存在する固体領域Sと、固体領域Sの周囲に存在する気体領域Vと、固体領域Sの内部に存在する空洞Uとが含まれる。演算装置20は、複数のCT画像Isを垂直方向で積層することにより、測定対象物Oの三次元情報を生成する。三次元情報としては、測定対象物Oの外面の三次元形状と、測定対象物Oの内部における三次元方向の位置に応じた密度とがある。測定対象物Oの三次元情報を生成した後では、図1に示すように、演算装置20に接続されたディスプレイ30に測定対象物Oの外観を表示させたり、任意の面で切断した測定対象物Oの断面図を表示させたりすることができる。
CT画像IsのCT値としては、測定対象物Oの密度が低いほどCT値が低くなり、測定対象物Oの密度が高いほどCT値が高くなる。図3は、4つの試料(空気、パラフィン、アルミニウム、カルシウムフェライト及びヘマタイト)のCT画像について、密度及びCT値の関係(測定結果)を示す。各試料のCT画像では、CT画像を構成する画素領域毎にCT値が得られるため、CT値毎の頻度を示すヒストグラムとして表すことができる。ここで、図3に示す各試料のCT値は、頻度がピークを示すCT値である。図3から分かるように、試料の密度が低いほど、CT値が小さくなる。言い換えれば、試料の密度が高いほど、CT値が大きくなる。このため、密度及びCT値の関係は、図3に示す直線L1に相当する一次関数として表すことができる。
測定対象物Oは、多孔質体であればよく、例えば、焼結用原料、シンターケーキ又は焼結鉱を用いることができる。測定対象物Oとしてシンターケーキや焼結鉱を用いる場合、シンターケーキや焼結鉱の主成分が鉄酸化物(Fe)であることを考慮すると、X線CT装置10としては、例えば、「計測技術2007(35)3巻、第1〜4頁」に記載された高電圧型のX線CT装置を用いることができる。
CT画像Isの1つの画素領域内に気体(例えば、空気)だけが存在するとき、この画素領域からは、気体の密度に応じたCT値が得られる。また、CT画像Isの1つの画素領域内に固体だけが存在するとき、この画素領域からは、固体の密度に応じたCT値が得られる。一方、CT画像Isの1つの画素領域内に気体及び固体が存在する場合、この画素領域のCT値は、気体及び固体の存在比によって決定されるが、このCT値を確認しただけでは、1つの画素領域内において気体がどの程度存在しているかを把握することができない。
本実施形態では、1つの画素領域内の一部だけに存在する気孔、言い換えれば、1つの画素領域内で測定対象物Oの固体とともに存在する気体(以下、微細気孔という)について、測定対象物Oの固体領域S(図2参照)において微細気孔が占める割合(微細気孔率という)を算出(推定)する。ここで、微細気孔としては、図4Aに示すように、1つの画素領域R内に収まるサイズの気孔がある。また、1つの画素領域R内に収まらないサイズの気孔であっても、図4Bに示すように、複数の画素領域R(図4Bでは4つの画素領域R)にまたがって気孔が存在するときにおいて、1つの画素領域Rに着目したときには、画素領域Rの一部だけに気孔が存在することがある。このような気孔についても、本実施形態では微細気孔という。以下、1つの画素領域Rにおける微細気孔率を算出する方法について説明する。
(1つの画素領域Rにおける微細気孔率の算出方法)
測定対象物Oの微細気孔率εXFは、固体参照試料のCT画像から得られるCT値(後述する固体CT値CT)と、参照気体のCT画像から得られるCT値(後述する気体CT値CT)とに基づいて算出される。以下、具体的に説明する。
固体参照試料としては、測定対象物OのCT値よりも大きいCT値を示す試料が用いられる。例えば、固体参照試料として、ヘマタイト粒を用いることができる。ヘマタイト粒としては、真密度が4.74〜5.74[g/cm](5.24±0.5[g/cm])であり、Feの純度が90%以上であり、サイズが検出器12の解像度の下限値以上であるものを用いることが好ましい。ここで、ヘマタイト粒のサイズが大きすぎても、取り扱いが不便となるため、ヘマタイト粒のサイズは、50[mm]以下であることが好ましい。より好ましくは、真密度が5.14〜5.34[g/cm](5.24±0.1[g/cm])であり、Feの純度が95%以上であり、サイズが10〜30[mm]であるヘマタイト粒を用いることができる。具体的には、入手した天然鉱石のうち、密度、純度及びサイズが上記条件をみたすものを、固体参照試料(ヘマタイト粒)として用いることができる。
一方、ヘマタイト粒と同等の密度を有する合金を固体参照試料として用いることもできる。例えば、真密度が5.24[g/cm]よりも大きい金属と、真密度が5.24[g/cm]よりも小さい金属とを溶融及び混合して冷却することによって得られた合金を固体参照試料として用いることができる。合金を用いるときには、溶融金属を冷却したときに、検出器12の解像度以上の成分偏析が発生しなければよい。例えば、銅(真密度が8.9[g/cm])及びアルミニウム(真密度が2.7[g/cm])を、重量比で約41:59(銅:アルミニウム)の割合で溶融及び混合して急冷することによって得られた合金を固体参照試料として用いることができる。
X線CT装置10を用いて固体参照試料を撮影すると、CT画像Isのうち、固体参照試料が存在する領域において、CT値毎の頻度を示すヒストグラムが得られる。このヒストグラムにおいて、頻度がピークを示すCT値を固体参照試料に固有のCT値(固体CT値という)CTとする。
X線CT装置10を用いて固体参照試料を撮影するときには、測定対象物Oとともに固体参照試料を撮影したり、測定対象物O及び固体参照試料を個別に撮影したりすることができる。測定対象物Oとともに固体参照試料を撮影するときには、例えば、測定対象物Oの内部に固体参照試料を埋め込んだり、測定対象物Oの外面に固体参照試料を取り付けたりすることができる。
一方、測定対象物O及び固体参照試料を個別に撮影するときには、測定対象物Oを撮影するタイミングと、固体参照試料を撮影するタイミングとの間の時間間隔をできるだけ短くすることが好ましい。この理由は、測定対象物OのCT値及び固体参照試料のCT値を取得するときに、同一の撮影条件とする必要があるからである。上記時間間隔が長くなるほど、X線CT装置10の撮影条件が変化しやすくなり、撮影条件の変化がX線CT装置10の撮影結果(CT値)に影響を与えてしまうおそれがある。
X線CT装置10を用いて気体を撮影すると、CT画像Isのうち、気体が存在する領域(図2に示す気体領域V)において、CT値毎の頻度を示すヒストグラムが得られる。このヒストグラムにおいて、頻度がピークを示すCT値を参照気体に固有のCT値(気体CT値という)CTとする。なお、通常、X線CT装置10の撮影は空気の存在下で行われるため、気体としては空気が挙げられる。
X線CT装置10を用いて気体を撮影するときには、測定対象物Oとともに気体を撮影したり、測定対象物O及び気体を個別に撮影したりすることができる。測定対象物Oとともに気体を撮影するときには、撮影範囲内に測定対象物O及び気体が存在すればよい。また、測定対象物Oは多孔質体であり、測定対象物Oの内部には空洞Uが存在しているため、この空洞Uに存在する気体を参照気体とすることができる。一方、測定対象物O及び気体を個別に撮影するときには、測定対象物Oを撮影するタイミングと、気体を撮影するタイミングとの間の時間間隔をできるだけ短くすることが好ましい。この理由は、上述した通りである。
図5は、X線CT装置10を用いて、測定対象物O、固体参照試料及び参照気体を同時に撮影したときにおいて、CT値毎の頻度を示すヒストグラムである。測定対象物O、固体参照試料及び参照気体を同時に撮影しているため、図5に示すヒストグラムでは、測定対象物Oに対応したピークと、固体参照試料に対応したピークと、参照気体に対応したピークが現れている。
測定対象物O、固体参照試料及び参照気体のそれぞれについて、頻度がピークを示すCT値を比較すると、図3で説明した密度の違いにより、参照気体のCT値が最も小さくなる。このため、図5に示す3つのピークに対応するCT値のうち、最も小さいCT値が、気体CT値CTとなる。また、図3で説明した密度の違いにより、固体参照試料のCT値が最も大きくなるため、図5に示す3つのピークに対応するCT値のうち、最も大きいCT値が、固体CT値CTとなる。
一方、CT画像には、微細気孔以外の気孔も含まれる。この気孔は、1つの画素領域のすべてを占める気孔(粗大気孔という)である。微細気孔率を算出するときには、微細気孔及び粗大気孔を区別する必要がある。本実施形態では、微細気孔及び粗大気孔を区別するために、粗大気孔及び微細気孔の境界となる基準を示すCT値(基準CT値という)CTを、図5に示すヒストグラムに基づいて特定している。
基準CT値CTは、図5に示すヒストグラムにおいて、参照気体のピーク及び測定対象物Oのピークの間に存在する極小値に対応したCT値である。CT値が基準CT値CT以下である画素領域Rは、粗大気孔が存在する領域とみなすことができる。一方、CT値が基準CT値CTよりも大きい画素領域Rは、微細気孔が存在する領域とみなすことができる。このように、基準CT値CTに基づいて、CT画像Is内の各画素領域Rを、微細気孔が存在する領域と粗大気孔が存在する領域とに分類すれば、以下に説明するように、微細気孔率及び粗大気孔率を個別に算出することができる。
測定対象物Oの微細気孔率εXFは、下記式(1)に基づいて算出される。下記式(1)は、図6に示す直線L2を示す。図6は、各画素領域Rにおける、気孔率及びCT値の関係を示し、気孔率及びCT値の関係は、一次関数として表すことができる。
上記式(1)において、CTは固体CT値、CTは気体CT値、CTは画素領域R毎のCT値である。固体CT値CTを示す画素領域Rでは、気孔率が0%であるとみなすことができる。また、気体CT値CTを示す画素領域Rでは、気孔率が100%であるとみなすことができる。気孔率及びCT値のそれぞれを座標軸とした座標系において、固体CT値CT及び気孔率0%の関係と、気体CT値CT及び気孔率100%の関係をプロットし、これらのプロットを結んだ直線が図6に示す直線L2となる。
固体CT値CT及び気体CT値CTは、CT画像を白黒256階調で表示することを考慮して予め設定される。したがって、画素領域R毎のCT値CTを上記式(1)に代入することにより、画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出することができる。上述したように、CT値が基準CT値CTよりも大きい画素領域R内で微細気孔が存在するため、微細気孔率εXFを算出するときには、上記式(1)に示すCT値CTとしては、基準CT値CTよりも大きいCT値が対象となる。
(測定対象物Oの固体領域Sの微細気孔率)
画素領域R毎に微細気孔率εXFを算出すれば、固体領域Sのすべての画素領域Rの微細気孔率εXFの平均値εXF_aveを算出できる。この平均値εXF_aveは、測定対象物Oの固体領域S(図2参照)の微細気孔率(固体基準の微細気孔率)とみなすことができる。平均値εXF_aveは、例えば、下記式(2)に基づいて算出することができる。
上記式(2)において、Pは、固体領域Sの画素の総数である。総数Pを算出するときには、CT値が基準CT値CTよりも大きい画素領域Rの数をカウントすればよい。上記式(2)の右辺の分子は、微細気孔が含まれるすべての画素領域の微細気孔率εXFの総和である。
本実施形態では、上述した平均値εXF_aveを測定対象物Oの固体領域Sの微細気孔率とみなしているが、これに限るものではなく、測定対象物Oの固体領域Sの微細気孔率を特定できる値(代表値)であればよい。例えば、代表値としては、固体領域Sに含まれるすべての画素領域Rについて、各画素領域Rの微細気孔率εXFが取り得る範囲の中央値とすることができる。
図7に示すフローチャートは、測定対象物Oの固体領域Sの微細気孔率(上述した代表値)を算出する処理を示す。以下、具体的に説明する。
ステップS101では、測定対象物O、固体参照試料及び参照気体に対して、X線CT装置10を用いた撮影を行う。これにより、測定対象物O、固体参照試料及び参照気体のそれぞれについて、CT値毎の頻度を示すヒストグラムが得られる。ステップS102では、ステップS101の処理で得られたヒストグラムに基づいて、固体CT値CT、気体CT値CT及び基準CT値CTをそれぞれ特定する。固体CT値CT、気体CT値CT及び基準CT値CTを特定する方法は、上述した通りである。
ステップS103では、CT値がCT値CTよりも大きい画素領域Rについて、各画素領域Rから得られたCT値CTを上記式(1)に代入することにより、画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出する。ここで、上記式(1)に示す固体CT値CT及び気体CT値CTとしては、ステップS102の処理で特定されたCT値CT,CTが用いられる。ステップS104では、ステップS103の処理で算出された各画素領域Rの微細気孔率εXFに基づいて、測定対象物Oの固体領域Sの微細気孔率である代表値を算出する。例えば、上記式(2)に基づいて平均値εXF_aveを算出することができる。
(粗大気孔率)
一方、測定対象物Oの粗大気孔率εXLについては、下記式(3)に基づいて算出することができる。
上記式(3)において、εXLは粗大気孔率、PはCT画像Isのうち、測定対象物Oの輪郭内に存在するCT値が基準CT値CT以下である画素領域Rの総数(画素数)である。PはCT画像Isのうち、測定対象物Oの輪郭内に存在するすべての画素領域Rの数(画素数)である。ここで、CT画像Isに対して公知のエッジ検出を行うことにより、CT画像Isに含まれる測定対象物Oの輪郭(外縁)を特定することができる。測定対象物Oの輪郭で囲まれた領域(輪郭を含む)に含まれる画素の総数が画素数Pである。なお、図2に示すように、測定対象物Oの内部に空洞(気体領域U)が存在する場合には、エッジ検出によって、測定対象物Oの輪郭だけでなく空洞の輪郭も特定されるが、この空洞の輪郭は、測定対象物Oの輪郭(外縁)で囲まれた領域に含まれるため、空洞に相当する画素の数は、画素数Pに含まれる。
粗大気孔については、1つの画素領域のすべてを気体が占めるため、上記式(3)に示すように、画素数P,Pの比率を算出することにより、測定対象物Oの粗大気孔率εXLを算出することができる。なお、測定対象物O内に粗大気孔が存在しない場合、すなわち、測定対象物Oの輪郭で囲まれた領域内に、CT値が基準CT値CT以下である画素領域Rが存在しない場合、粗大気孔率εXLは0となる。
画素数Pは、エッジ検出によって測定対象物Oの輪郭を特定すれば、求めることができるため、画素数Pをカウントすることにより、上記式(3)に基づいて粗大気孔率εXLを算出することができる。測定対象物Oの微細気孔率(代表値)εXF及び粗大気孔率εXLを算出すれば、微細気孔率εXF及び粗大気孔率εXLの合計値が、測定対象物Oの全気孔率(すなわち、測定対象物Oの輪郭で囲まれた領域全体の気孔率)となる。ここで、測定対象物Oの任意の断面画像に着目すれば、測定対象物Oの断面画像内における気孔率を算出することができる。また、三次元形状の測定対象物Oに着目すれば、測定対象物Oの三次元空間における気孔率を算出することができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態では、測定対象物Oを構成する複数の化学成分の真密度を考慮して、微細気孔率εXFを算出している。以下、本実施形態について、実施形態1と異なる点を主に説明する。
まず、測定対象物Oに含まれる各化学成分の配合割合を測定し、この配合割合に基づいて、すべての化学成分の真密度を加重平均することにより、平均真密度dを算出する。ここで、測定対象物Oの各化学成分の配合割合は、公知の化学分析によって測定することができる。また、各化学成分の真密度は、予め調べておけばよい。
次に、X線CT装置10を用いて、化学成分が異なる複数の物質を撮影する。各物質は、単一の化学成分で構成されており、真密度が既知であるとともに、気孔率が0%である。ここでいう化学成分は、測定対象物Oに含まれる化学成分が好ましい。複数の物質を撮影することにより、各物質のCT画像について、CT値毎の頻度を示すヒストグラムが得られ、このヒストグラムに基づいて、頻度がピークを示すCT値を特定できる。これにより、各物質について、頻度がピークを示すCT値と真密度(既知)の関係が得られる。
複数の物質のCT値及び真密度の関係を、CT値及び真密度のそれぞれを座標軸とした座標系にプロットすると、これらのプロットの近似直線を求めることができる。この近似直線は、下記式(4)で表される。下記式(4)は、図3に示す直線L1に相当する。
上記式(4)において、dは真密度であり、CTは頻度がピークを示すCT値である。α及びβは、使用するX線CT装置10に固有の係数であり、αは近似直線の傾きに相当し、βは近似直線の切片に相当する。気孔のない密度が既知の複数種類の物質について、X線CT装置10を用いて予め撮影してそのCT値を求め、密度及びCT値の相関を直線回帰することで係数α,βを決定できる。たとえば、X線CT装置10として東芝製:TOSCANER-24500twinを使用し、上述した物質として、空気及びヘマタイト粒を用いたとき、αは0.0258であり、βは−0.697であった。
一方、気孔率εは、相対密度ρを規定することにより、下記式(5)で表すことができる。
上記式(5)に示す相対密度ρは、任意の物質について、真密度を基準として、どの程度の密度を有するかを示す無次元数である。測定対象物Oの対象領域の密度が密度dであるとしたとき、相対密度ρは、下記式(6)で表される。下記式(6)において、dは真密度であり、dは平均真密度である。
上記式(4)〜(6)を考慮すると、測定対象物OのCT画像における各画素領域Rの微細気孔率εXFは、下記式(7)で表される。下記式(7)は、図6に示す直線L2を表す。
上記式(7)によれば、各画素領域RのCT値CT及び平均真密度dに基づいて、各画素領域の微細気孔率εXFを算出することができる。ここで、図3に示す密度及びCT値の関係において平均真密度dに対応するCT値は、気孔率が0%であるときのCT値(すなわち、固体CT値CT)となる。また、各画素領域RのCT値CTとしては、実施形態1で説明したように、基準CT値CTよりも大きいCT値が対象となる。
各画素領域Rの微細気孔率εXFを算出すれば、実施形態1で説明したように、CT値CTが基準CT値CTよりも大きいすべての画素領域Rの微細気孔率εXFに基づいて代表値を算出することができる。この代表値が、測定対象物Oの固体領域Sの微細気孔率となる。また、実施形態1と同様に、測定対象物Oの粗大気孔率εXLを算出すれば、微細気孔率εXF及び粗大気孔率εXLに基づいて、測定対象物Oの全気孔率を算出することができる。
図8に示すフローチャートは、測定対象物Oの全体の微細気孔率(上述した代表値)を算出する処理を示す。以下、具体的に説明する。
ステップ200では、使用するX線CT装置10において、密度とCT値の関係を表す上記式(4)の係数α、βを決定する。係数α,βを決定する方法は、上述した通りである。ステップS201では、測定対象物Oに含まれる複数の化学成分について、配合割合[重量%]を測定する。そして、各化学成分の真密度を調べることにより、平均真密度dを算出する。
ステップS202では、測定対象物Oに対して、X線CT装置10を用いた撮影を行うとともに、基準CT値CTを特定する。測定対象物Oは多孔質体であり、通常、測定対象物OのCT画像には粗大気孔が含まれるため、測定対象物Oを撮影したときのCT値毎の頻度を示すヒストグラムでは、図9に示すように、測定対象物Oの内部に存在する気体に対応したピーク(図9中の左側のピーク)と、測定対象物Oの固体部分(微細気孔を含む)に対応したピーク(図9中の右側のピーク)とが現れる。そして、これらのピークの間には極小値が存在するため、この極小値に対応したCT値を基準CT値CTとして特定する。なお、測定対象物Oの内部に存在する気体に対応したピークを示すCT値は、気孔率が100%であるときのCT値(すなわち、気体CT値CT)となる。
ステップS203では、CT値が基準CT値CTよりも大きい画素領域Rについて、各画素領域Rから得られたCT値CTを上記式(7)に代入することにより、画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出する。ここで、上記式(7)に示す平均真密度dとしては、ステップS201の処理で算出された平均真密度dが用いられる。本実施形態では、画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出するために、実施形態1(上記式(1))における固体CT値CT及び気体CT値CTに代えて、密度とCT値の関係(上記式(4))及び平均真密度dを用いている点に特徴がある。
ステップS204では、図7に示すステップS104と同様に、ステップS203の処理で算出された各画素領域Rの微細気孔率εXFに基づいて、測定対象物Oの全体の微細気孔率である代表値を算出する。例えば、上記式(2)に基づいて平均値εXF_aveを算出することができる。
本実施形態によれば、測定対象物Oを構成する複数の化学成分における平均真密度dを考慮して微細気孔率εXFを算出することにより、この微細気孔率εXFに各化学成分の影響を反映させることができる。例えば、焼結鉱には、Feに加えて、CaOやSiOなどの他の化学成分が含まれ、他の化学成分の配合割合は原料毎で異なる。このため、微細気孔率εXFの算出において、他の化学成分を考慮することにより、微細気孔率εXFの推定精度を向上させることができる。
なお、後述する実施例2で説明するように、他の化学成分がCT値に与える影響は、気孔がCT値に与える影響よりもはるかに小さくなるため、他の化学成分がCT値に与える影響を無視することもできるが、他の化学成分がCT値に与える影響も考慮すれば、気孔率εXFの推定精度をさらに向上させることができる。
上述した本実施形態1,2に対応した実施例1,2について説明する。ここで、実施例1は実施形態1に対応し、実施例2は実施形態2に対応する。
(実施例1)
本実施例では、上述した実施形態1で説明した方法に基づいて、微細気孔率(代表値)εXF及び粗大気孔率εXLを算出した。以下、実験方法について説明する。
下記表1に示す鉄鉱石A〜F、石灰石、生石灰、返鉱及びコークスを用意し、下記表1に示す配合率で混合した。具体的には、ドラムミキサーによって1分間混合した。混合後、水分を6.8質量%だけ添加して4分間造粒し、造粒物(原料)を鍋に装入した。鍋としては、直径が200[mm]であり、高さが550[mm]である石英ガラス製の鍋を用いた。ここで、鍋の内壁面には、ウール製の断熱材を配置した。
鍋への原料の装入は、手作業により行った。具体的には、鍋の上面から上方に約10cmだけ離れた位置から、スコップを用いて一定量ずつ原料を鍋に向かって落下させた。このとき、鍋に装入された原料層の上面ができる限り平坦となるように、原料の落下位置を水平面内でランダムに変えながら原料を鍋に装入した。また、直径が20[mm]であり、扁平形状のヘマタイトを、原料層における高さが300[mm]の位置において、鍋の中央に配置した。
次に、X線CT装置10(東芝製:TOSCANER-24500twin)を用いて、原料が装入された鍋を撮影し、原料層のCT画像Is1を得た。撮影には15時間を要したため、鍋の開口部に予めビニールシートをかぶせることにより、原料の乾燥を抑制するようにした。
次に、撮影が完了した鍋をX線CT装置10から取り外して焼成用の風箱に設置し、以下の条件で原料を加熱して焼成した。
・加熱時のLPGの流量:75[NL/min]
・加熱時の空気の流量:2300[NL/min]
・加熱時間:60[sec]
・加熱から焼成終了までの風箱内の負圧(一定):10.8[kPa]
焼成後のシンターケーキを鍋に入れたまま、X線CT装置10によって撮影を行い、てCT画像Is2を得た。
焼成前の原料層のCT画像Is1と、焼成後のシンターケーキのCT画像Is2のそれぞれを3次元画像処理ソフトで再構成し、原料層及びシンターケーキの三次元画像を縦方向で切断した断面画像を得た。断面画像は白黒256階調(0−255)とした。また、ヘマタイトのCT画像におけるCT値のヒストグラムのうち、頻度のピークを示すCT値が232、空気のCT画像におけるCT値のヒストグラムのうち、頻度のピークを示すCT値が30となるように、CT画像の輝度を調整した。このとき、ヒストグラムに基づいて基準CT値CTを特定したところ、基準CT値CTは90であった。このため、CT値が90以下の画素領域Rは、粗大気孔が存在する領域となり、CT値が90よりも大きい画素領域Rは、微細気孔が存在する領域となる。
原料層及びシンターケーキのそれぞれについて、上記式(1)に基づいて画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出するとともに、上記式(3)に基づいて粗大気孔率εXLを算出した。ここで、微細気孔率εXFについては、上記式(2)に基づいて、平均値εXF_aveを算出した。また、粗大気孔率εXL及び微細気孔率εXFの平均値εXF_aveを合計した気孔率εTEを算出した。粗大気孔率εXL、微細気孔率εXFの平均値εXF_ave及び気孔率εTEの算出結果を下記表2に示す。
一方、原料層及びシンターケーキのそれぞれについて、見掛体積[g/cm]及び重量[g]を測定し、見掛体積及び重量から気孔率εTMを算出した。見掛体積は、焼成に利用した鍋の半径と、原料層及びシンターケーキの各高さとから算出される円柱の体積とした。この気孔率εTMの算出結果を下記表2に示す。
上記表2から分かるように、原料層については、気孔率εTE及び気孔率εTMの差が4[体積%]であり、シンターケーキについては、気孔率εTE及び気孔率εTMの差が3[体積%]であった。このように、気孔率εTE及び気孔率εTMの差は僅かであり、本実施例によれば、CT値に基づいて気孔率を精度良く推定することができた。
(実施例2)
実施例1で用いられた原料に含まれる5つの主要な化学成分(Fe,FeO,CaO,SiO,Al)について、各化学成分の配合割合[重量%]を測定した。この測定結果を下記表3に示す。下記表3には、各化学成分の真密度[g/cm]も示している。また、下記表3には、各化学成分の配合割合に基づいて、化学成分の真密度を加重平均した値(上述した平均真密度d)も示している。
使用したX線CT装置10における密度とCT値の関係(上記式(4))を表す係数α,βについては、αが0.0258、βが−0.697であった。
原料層及びシンターケーキのそれぞれについて、上記表3に示す平均真密度d及び画素領域R毎のCT値CTを上記式(7)に代入することにより、画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出した。ここで、基準CT値CTは、実施例1で説明したように90である。画素領域R毎の微細気孔率εXFを算出した後、上記式(2)に基づいて、平均値εXF_aveを算出した。
原料層及びシンターケーキのそれぞれについて、微細気孔率εXFを算出するときの平均真密度dとしては、同一の値(4.8[g/cm])を用いた。ここで、原料層中には結晶水が含まれ、この結晶水は、原料層の焼成時に分解して蒸発する。このため、原料層中の結晶水は、気孔とみなすことができる。このため、平均真密度dの算出においては、上記表3に示すように、結晶水を除外し、主要な化学成分だけを考慮している。一方、原料層の焼成によってシンターケーキを製造したときには、FeOの配合割合が数質量%だけ上昇するが、平均真密度dに及ぼす影響は0.5%程度であるため、FeOの配合割合の上昇は無視した。これらの点を考慮すると、原料層及びシンターケーキのそれぞれについて、微細気孔率εXFを算出するときの平均真密度dとしては、同一の値(4.8[g/cm])を用いることができる。
上記式(3)に基づいて粗大気孔率εXLを算出し、粗大気孔率εXL及び微細気孔率εXFの平均値εXF_aveを合計した気孔率εTEを算出した。粗大気孔率εXL、微細気孔率εXFの平均値εXF_ave及び気孔率εTEの算出結果を下記表4に示す。
一方、原料層及びシンターケーキのそれぞれについて、見掛体積[g/cm]及び重量[g]を測定し、見掛体積及び重量から気孔率εTMを算出した。見掛体積は、焼成に利用した鍋の半径と、原料層及びシンターケーキの各高さとから算出される円柱の体積とした。この気孔率εTMの算出結果を下記表4に示す。
上記表4から分かるように、原料層については、気孔率εTE及び気孔率εTMの差が2[体積%]であり、シンターケーキについては、気孔率εTE及び気孔率εTMの差が1[体積%]であった。すなわち、本実施例では、実施例1に比べて、気孔率εTE及び気孔率εTMの差が更に小さくなり、CT値に基づく気孔率の推定精度を向上させることができた。
(焼結鉱の化学成分がCT値に与える影響)
固体参照試料を用いず、焼結鉱(測定対象物O)の化学成分から密度を推定し、密度とCT値との対応関係に基づいて焼結鉱の微細気孔率を推定するとき、化学成分がCT値に与える影響について、以下に考察する。
焼結鉱では、Fe以外の他の成分として、主にCaOが挙げられる。CT値に与えるCaOの影響は、下記式(8)で表される。
上記式(8)において、I_CT1は、CT値に与えるCaOの影響度、ρ_FeはFeの真密度[g/cm]、ρ_CaOはCaOの真密度[g/cm]、C_CaOはCaOの含有率[%]である。ρ_Feは5.2[g/cm]であり、ρ_CaOは3.4[g/cm]であり、C_CaOは通常10[%]程度であるため、影響度I_CT1は約3%となる。
一方、CT値に与える気孔の影響は、下記式(9)で表される。
上記式(9)において、I_CT2は、CT値に与える気孔の影響度、ρ_FeはFeの真密度[g/cm]、ρ_gasは空孔(気体)の密度[g/cm]、C_airは気孔の存在率[%]である。ρ_Feは5.2[g/cm]であり、気体を空気としたときのρ_gasは1.3×10−3[g/cm]であり、C_gasは通常60[%]程度であるため、影響度I_CT2は約60[%]となる。
このように、焼結鉱におけるFe以外の他の化学成分(CaO)がCT値に与える影響度I_CT1は、焼結鉱の気孔がCT値に与える影響度I_CT2よりもはるかに小さくなる。このため、他の化学成分がCT値に与える影響を無視しても、CT値CTから算出される微細気孔率εXFに与える影響は少なく、微細気孔率εXFの推定精度を確保することができる。
10:X線CT装置、11:X線源、12:検出器、12a:シンチレータ、
12b:光電変換素子、20:演算装置、30:ディスプレイ、O:測定対象物、
R:一画素、S:固体領域(微細気孔を含む)、U:固体領域の内部に存在する空洞、
V:固体領域を取り囲む気体領域、Is:CT画像

Claims (9)

  1. 多孔質の測定対象物において、前記測定対象物のX線CT画像を構成する1つの画素領域内で前記測定対象物の固体部分とともに存在する微細気孔が占める割合である微細気孔率を推定する方法であって、
    前記測定対象物及び気体を含むX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、極小値を示すCT値である基準CT値を特定し、
    前記測定対象物のX線CT画像を構成する複数の画素領域のうち、前記基準CT値よりも大きいCT値を示す対象画素領域について、固体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である固体CT値に対応する気孔率を0%とし、気体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である気体CT値に対応する気孔率を100%としたときのCT値及び気孔率の対応関係を示す一次関数に基づいて、前記各対象画素領域のCT値に対応する気孔率を算出し、
    複数の前記対象画素領域における気孔率の代表値を前記微細気孔率として推定する、
    ことを特徴とする気孔率推定方法。
  2. 前記固体は、前記測定対象物とは異なる固体参照試料であり、
    前記固体参照試料のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、前記固体CT値を特定し、
    前記気体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、前記気体CT値を特定し、
    前記一次関数は、下記式(I)によって表される、
    ここで、εXFは前記対象画素領域の気孔率、CTは前記対象画素領域のCT値、CTは前記固体CT値、CTは前記気体CT値である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の気孔率推定方法。
  3. 前記測定対象物は、焼結用原料、シンターケーキ又は焼結鉱であり、
    前記固体参照試料の真密度が4.74〜5.74g/cmであることを特徴とする請求項2に記載の気孔率推定方法。
  4. 前記固体参照試料は、ヘマタイト粒又は合金であることを特徴とする請求項3に記載の気孔率推定方法。
  5. 前記気体は、前記測定対象物の内部に存在する気体であり、
    前記測定対象物は、複数の化学成分によって構成されており、
    前記一次関数は、下記式(II)によって表される、
    ここで、εXFは前記対象画素領域の気孔率、CTは前記対象画素領域のCT値、α及びβは予め決められた係数、dは、前記各化学成分の質量割合に基づいて、前記複数の化学成分の真密度を加重平均した平均真密度であって、密度及びCT値の相関関係において前記固体CT値を特定する密度である、ことを特徴とする請求項1に記載の気孔率推定方法。
  6. 前記測定対象物は、焼結用原料、シンターケーキ又は焼結鉱であることを特徴とする請求項5に記載の気孔率推定方法。
  7. 前記測定対象物のX線CT画像において、前記測定対象物の輪郭で囲まれた領域内に存在するすべての画素の総数に対する、前記基準CT値以下であるCT値を示す画素の総数の割合を、前記測定対象物において、前記1つの画素領域内の全体に存在する粗大気孔が占める割合である粗大気孔率として推定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の気孔率推定方法。
  8. 前記粗大気孔率及び前記微細気孔率の合計値を、前記測定対象物の全体の気孔率として推定することを特徴とする請求項7に記載の気孔率推定方法。
  9. 多孔質の測定対象物において、前記測定対象物のX線CT画像を構成する1つの画素領域内で前記測定対象物の固体部分とともに存在する微細気孔が占める割合である微細気孔率を推定する装置であって、
    前記微細気孔率を推定する演算部は、
    前記測定対象物及び気体を含むX線CT画像におけるCT値のヒストグラムに基づいて、極小値を示すCT値である基準CT値を特定し、
    前記測定対象物のX線CT画像を構成する複数の画素領域のうち、前記基準CT値よりも大きいCT値を示す対象画素領域について、固体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である固体CT値に対応する気孔率を0%とし、気体のX線CT画像におけるCT値のヒストグラムにおいてピークを示すCT値である気体CT値に対応する気孔率を100%としたときのCT値及び気孔率の対応関係を示す一次関数に基づいて、前記各対象画素領域のCT値に対応する気孔率を算出し、
    複数の前記対象画素領域における気孔率の代表値を前記微細気孔率として推定する、
    ことを特徴とする気孔率推定装置。
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