JP2019081282A - 液体吐出ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】素子基板と配線基板との接合強度が高く、液体に対する耐性が高く、圧電素子の劣化が抑制された液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、を有する素子基板と、前記圧電素子の前記一方の面とは反対の面側に配置された配線基板と、前記素子基板と配線基板とを接合する電気接続部材及び流路接続部材と、を有する液体吐出ヘッドであって、前記素子基板と前記配線基板を貫通し、前記流路接続部材と接する液体の流路が形成されており、前記電気接続部材が、第一の金属を含む第一の電気接続部材と、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材とを含み、前記流路接続部材が、第二の金属を含む第一の流路接続部材と、接着剤を含む第二の流路接続部材とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。【選択図】図5

Description

本発明は、液体吐出ヘッド及びその製造方法に関する。
被記録体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置は、より高精細な記録を高速で行うことが望まれている。このような要求に応えるため、多数の吐出口を基板上に2次元的に配列したインクジェット記録ヘッドを用いることが提案されている。該インクジェット記録ヘッドは、圧力室、該圧力室の一方の面側に設けられた圧電素子、該圧力室に連通する吐出口等を有する。中でも、圧電素子としてベンド型ピエゾ素子を用いたインクジェット記録ヘッドは、多数の圧力発生手段を高密度に精度良く配列することが比較的容易である等の利点があり、広く用いられている。吐出口を高密度に配置する方法として、例えば特許文献1及び2には、圧電素子を備えた素子基板とは別に、各圧電素子を駆動するための配線を備えた配線基板を設け、両者を接合する方法が開示されている。該方法では、インクの供給を効率よく行うために、素子基板及び配線基板を貫通するインクの流路を設けている。
特表2012−532772号公報 特開2011−194889号公報
素子基板と配線基板とを接合し、かつ両者を貫通するインクの流路を設けるには、両者を電気的に接合し、かつインクが漏れないように流路を接合により形成することが求められる。さらに、圧電素子が配線基板に接触してその動作が妨げられることを防ぐために、電気的な接合を行う部材(電気接続部材)及び流路の接合を行う部材(流路接続部材)は、ある程度の厚さを有することが求められる。
特許文献1に開示されたインクジェット記録ヘッドでは、電気接続部材として金バンプ、流路接続部材として感光性樹脂フィルムの一種であるSU−8がそれぞれ用いられている。一般に金バンプを強固に接合するには、接合を高い温度で行うことが望ましいが、その場合感光性樹脂が高温に曝されるため劣化する場合がある。そこで、感光性樹脂の硬化温度である180℃程度の温度で接合を行うと、金バンプの接合の信頼性が低下する。また、感光性樹脂が硬化するときには硬化収縮により厚さが減少するため、同層にある金バンプで厚さが規定されていると、感光性樹脂が剥離する方向に力が発生する。さらに、硬化温度で接合した後に常温に温度を下げる際、感光性樹脂の熱膨張率が金よりも大きいため、感光性樹脂が剥離する方向に働く力が一層強まる。したがって、このようにして製造されたインクジェット記録ヘッドは、内部応力により剥離を生じやすく、信頼性が低下する課題を有する。
特許文献2に開示されたインクジェット記録ヘッドでは、電気接続部材及び流路接続部材として、金スズなどの二種の金属の共晶が用いられている。このように、電気接続部材と流路接続部材の材料として同じ材料を用いることにより、製造時に内部応力を生じさせることなく両者の接合を行うことができる。しかしながら、流路接続部材はインクと直接接触するため、少なくとも一方が貴金属ではない二種の金属が、絶縁されていない状態でインクと接触する。インクが水系インクである場合、電池作用により一方の金属が急速に溶出してインクを汚染し、溶出した化合物が吐出口内を詰まらせる場合がある。さらに、腐食により接合部が破損する場合がある。流路の内面に薄い保護膜を設ける等の方法も考えられるが、ごく小さなピンホールでも金属が溶出する可能性がある。金属として二種の金属の共晶ではなくAuなどの貴金属のみを用い、電気接続とインク耐性を両立させることもできるが、接合に高い温度が必要となるため圧電素子を劣化させる可能性があり、また大きな荷重が必要になる。
本発明は、素子基板と配線基板との接合強度が高く、液体に対する耐性が高く、圧電素子の劣化が抑制された液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、
圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、を有する素子基板と、
前記圧電素子の前記一方の面とは反対の面側に配置された配線基板と、
前記素子基板と配線基板とを接合する電気接続部材及び流路接続部材と、
を有する液体吐出ヘッドであって、
前記素子基板と前記配線基板を貫通し、前記流路接続部材と接する液体の流路が形成されており、
前記電気接続部材が、第一の金属を含む第一の電気接続部材と、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材とを含み、
前記流路接続部材が、第二の金属を含む第一の流路接続部材と、接着剤を含む第二の流路接続部材とを含むことを特徴とする。
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、基板を貫通する液体の流路と、を有する素子基板を用意する工程と、
基板を貫通する液体の流路と、電気配線と、を有する配線基板を用意する工程と、
前記素子基板又は前記配線基板上に、第一の金属を含む第一の電気接続部材を形成する工程と、
前記素子基板又は前記配線基板の前記流路に対応する位置に、第二の金属を含む第一の流路接続部材を形成する工程と、
前記素子基板又は前記配線基板の前記第一の電気接続部材に対応する位置に、前記第一の金属よりも融点が低く、前記第一の金属と共晶を形成可能な第三の金属を含む第二の電気接続部材を形成する工程と、
前記素子基板又は前記配線基板の前記第一の流路接続部材に対応する位置に、接着剤を含む第二の流路接続部材を形成する工程と、
前記配線基板を前記圧電素子の前記一方の面とは反対の面側に配置し、前記素子基板と前記配線基板とを積層して加熱することにより、前記素子基板と前記配線基板とを接合する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、素子基板と配線基板との接合強度が高く、液体に対する耐性が高く、圧電素子の劣化が抑制された液体吐出ヘッドを提供することができる。
第一の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概念図である。 第一の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドユニットの一例を吐出口面側から見た平面図である。 第一の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの一例を素子基板の吐出口面側から見た平面図である。 図3に示されるインクジェット記録ヘッドの素子基板における実装端子部分の拡大図である。 図4に示されるインクジェット記録ヘッドのA−A’における断面図である。 図4に示されるインクジェット記録ヘッドのB−B’における断面図である。 図4に示されるインクジェット記録ヘッドのC−C’における断面図である。 第三の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 第三の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 第二の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの一例を示す断面図である。 第四の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。
[液体吐出ヘッド]
本発明に係る液体吐出ヘッドは、素子基板と、配線基板と、電気接続部材と、流路接続部材とを有する。素子基板は、圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、を有する。配線基板は、該圧電素子の該一方の面とは反対の面側に配置されている。電気接続部材及び流路接続部材は、素子基板と配線基板とを接合する。また、該液体吐出ヘッドには、素子基板と配線基板を貫通し、流路接続部材と接する液体の流路が形成されている。ここで、電気接続部材は、第一の金属を含む第一の電気接続部材と、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材とを含む。また、流路接続部材は、第二の金属を含む第一の流路接続部材と、接着剤を含む第二の流路接続部材とを含む。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、素子基板と配線基板とを電気的に接合する電気接続部材が、第一の金属を含む第一の電気接続部材と、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材とを含む。該電気接続部材は第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材を含むため、共晶結合により素子基板と配線基板とを接合することができ、高い強度で電気的に両者を接合することができる。また、第一の金属と第三の金属との共晶結合により素子基板と配線基板とを接合することで、低い温度で両者を接合することができるため、接合時の加熱による圧電素子の劣化を抑制することができる。また、共晶結合により接合した後は、形成された共晶の融点は高いため、接合温度より高い温度にも十分耐えることができる。さらに、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体の流路を形成し、かつ素子基板と配線基板とを接合する流路接続部材が、第二の金属を含む第一の流路接続部材と、接着剤を含む第二の流路接続部材とを含む。該流路接続部材は第二の金属を含む第一の流路接続部材と、接着剤を含む第二の流路接続部材により構成されるため、インク等の液体と接触しても電池作用等が生じず、液体に対して高い耐性を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドについて説明する。以下の各実施形態では、本発明の一実施形態である液体としてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドについて具体的な構成を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に係る液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。例えば、バイオチップ作製や電子回路印刷などの用途としても用いることができる。また、以下に述べる実施形態は本発明の適切な具体例であるため、技術的に好ましい様々な限定が付与されている。しかしながら、本発明の思想に沿うものであれば、本実施形態は本明細書の実施形態やその他の具体的な方法に限定されるものではない。
(第一の実施形態)
図1に、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置の一例の概念図を示す。被記録体である記録媒体1は、記録媒体1を搬送する移動手段である紙送りローラー2により矢印の方向へ送られ、プラテン3上で記録される。該インクジェット記録装置には4組のインクジェット記録ヘッドユニット4が設けられ、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出して記録を行う。インクジェット記録ヘッドユニット4にはインクジェット記録ヘッドが設けられ、インクジェット記録ヘッドの圧力発生手段を電気的に駆動する駆動手段5が接続されている。駆動手段5はコントローラー6から送られる画像信号等に基づいて駆動信号を発生する。
図2に、インクジェット記録ヘッドユニット4を吐出口面側から見た平面図を示す。インクジェット記録ヘッドユニット4には、複数のインクジェット記録ヘッド7が交互に配置され結合されている。夫々のインクジェット記録ヘッド7は約1000個の吐出口を有し、1200dpiの記録が可能である。
図3に、インクジェット記録ヘッド7の素子基板を吐出口面側から見た平面図を示す。図3に示されるインクジェット記録ヘッド7には、吐出口に連通し、インクを吐出するための圧力を発生させる圧力室102が171個ずつ6列配置されており、計1026個の吐出口からインクを吐出することができる。また、インクジェット記録ヘッド7には、圧力室102を変形させる圧電素子が配置された領域へのインクの侵入を防ぐための封止部材119が、全ての圧力室102を囲うように配置されている。また、封止部材119の隣には実装端子128が設けられており、FPCを介してコントローラーから送られる駆動信号をインクジェット記録ヘッド7へ入力することができる。
図4に、図3に示されるインクジェット記録ヘッドの素子基板における実装端子部分の拡大図を示す。吐出口101に連通した圧力室102を変形させるための圧電素子107に駆動電圧を付与するための電極が配置されており、各圧電素子107の一方の電極には個別の電気接続部材117が接続され、他方の電極には共通電極121が接続されている。各圧力室102へインクを供給するインクの流路104は、流路接続部材123によって形成されている。各吐出口101の列の共通電極121は下電極層106で互いに接続されて、実装端子128へと引き出されている。後述する配線基板には、例えばCMOSトランジスタで構成される駆動回路が形成されており、配線基板から実装端子128へ入力された駆動信号を基にして、各吐出口101に対応した圧電素子107を駆動することができる。実装端子128へ入力された駆動信号は、引出電極127、132、共通信号接続部材130および駆動信号接続部材125を介して素子基板へ入力される。
図5に、図4に示されるインクジェット記録ヘッドのA−A’における断面図を示す。インクジェット記録ヘッド7は、吐出口101を有する吐出口形成部材112、圧力室102及び圧電素子107を有する素子基板113、駆動回路を有する配線基板114、並びに各圧力室102にインクを供給するインク供給基板115を有する。素子基板113は圧電素子107と圧力室102との間に振動板105を有する。振動板105上には、下電極層106、圧電素子107及び上電極層108からなる駆動素子が配置されており、該駆動素子は防湿を目的として保護膜109で覆われている。保護膜109には開口が設けられており、該開口部には、下電極層106から電極を引き出す個別引出電極110、および上電極層108から電極を引き出す共通引出電極111が形成されている。
配線基板114には駆動回路が形成されており、該駆動回路はCMOSトランジスタ、シフトレジスタ、ラッチ回路等で構成されるスイッチング回路であることができる。実装端子から入力される駆動信号には、インクを吐出する吐出口101を選択する吐出口選択信号、圧電素子107を駆動してインクの吐出を行う吐出駆動波形信号、インクの吐出を行わずにメニスカスを振動させて回復を行う非吐出駆動波形信号等が含まれる。配線基板114内のスイッチング回路により、駆動信号に応じて任意の吐出口101に対応する圧電素子107に駆動波形を印加することができる。なお、配線基板114の駆動回路はスイッチング回路に限定されるものではなく、電力増幅アンプや波形発生手段を備えてもよい。また、配線数が少ない低解像度のインクジェット記録ヘッドにおいては、駆動回路を該インクジェット記録ヘッドとは別のチップに設け、実装端子を介して接続してもよい。このように配線基板114が圧電素子107を駆動する駆動回路を有する場合、実装端子の数が少なくなり、FPCの実装領域を狭くできるため、インクジェット記録ヘッド7のサイズを小さくすることができ、低コスト化が可能となる。
個別引出電極110上には電気接続部材が形成されており、配線基板114の接続パッドと接続されている。具体的には、個別引出電極110上に第一の金属を含む第一の電気接続部材117が形成されており、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材118を介して配線基板114の接続パッドと接続されている。このように素子基板113と配線基板114とが電気的に接続されることにより、配線基板114から出力される駆動電圧波形をそれぞれの圧電素子107の下電極層106に印加することができる。なお、図5では第一の電気接続部材117は素子基板113上に形成されているが、第一の電気接続部材117を配線基板114の接続パッド上に形成し、第二の電気接続部材118を介して素子基板113の個別引出電極110に接続してもよい。
共通引出電極111上には第一の金属を含む共通電極121が形成されており、配線基板114と接着剤を含む接着部材122を介して接合されている。圧力室102と流路104との間の領域103には、振動板105の長手方向の変位を規制する構造体がないため、共通電極121が振動板105の変形領域を規制する振動板保持部材としても機能する。すなわち、共通電極121は振動板保持部材121であることができる。振動板上に設けられ、第一の金属を含み、所定の厚さを有する振動板保持部材121を用いた振動板保持方法は、接着剤のみを用いた振動板保持方法に比べて、領域103における振動板105の剛性が高く、振動板105の過剰な変形を防止できる。振動板保持部材121を用いた振動板保持方法では、振動板105の変位量およびコンプライアンスを規定できるため、十分な振動板105の変位量を確保しつつ、圧力室102の共振周波数を高く、かつ、ばらつき少なく保つことができる。なお、振動板保持部材121は配線基板114に接着されていなくてもよく、上述したように素子基板端で電気的に接続されるため、共通電極としての機能を果たすことができる。
インク供給基板115のインク供給流路116から供給されたインクは、配線基板114および振動板105を貫通し、配線基板114と素子基板113とを接合する流路接続部材で形成されたインクの流路104を通り、圧力室102に連通している。該流路接続部材は、第二の金属を含む第一の流路接続部材123と、接着剤を含む第二の流路接続部材124からなる。インクと接する流路接続部材の表面は、金属元素として一種類の金属元素のみを含むことが好ましい。なお、図5において第一の流路接続部材123は素子基板113上に形成されているが、第一の流路接続部材123を配線基板114上に形成し、第二の流路接続部材124を介して素子基板113と接合してもよい。また、駆動素子を外部のインクから封止するための、第二の金属を含む封止部材119が素子基板113上に形成されており、接着部材120を介して配線基板114と接合されている。
第二の電気接続部材118は、第一の金属と第三の金属との共晶を含み、共晶結合により素子基板113と配線基板114とを接合する。共晶結合を用いることにより低い温度での接合が可能なため、接合時の加熱による圧電素子107の劣化を防止することでき、かつ、共晶結合した後は接合温度よりも高い温度に耐えることができる。そのため、第一の金属と第三の金属との共晶の融点は、第三の金属の融点よりも高いことが好ましい。なお、融点は相平衡状態図から得られる値である。第一の金属としては、例えばAu、Cu、Ag、それらの金属の少なくとも一つを含む合金が挙げられ、Au、Auを含む合金が好ましい。第三の金属としては、第一の金属よりも融点が低く、第一の金属と共晶を形成可能な金属を用いることができ、例えばIn、Sn、それらの金属の少なくとも一つを含む合金が挙げられ、In、Inを含む合金が好ましい。第二の金属は耐インク性を有する金属であることができるが、第一の金属と第二の金属とが同じ金属であることが、第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極121及び封止部材119を一括して形成することができるため好ましい。また、第一の金属と第二の金属とが同じ金属である場合、第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極121及び封止部材119における熱膨張率の違い等がなくなり、接合部における剥がれが生じにくくなる。なお、後述するように第一の金属と第二の金属とは異なる金属であってもよい。
第二の流路接続部材124、接着部材120、122に含まれる接着剤は、熱硬化型樹脂を含むことが好ましい。熱硬化型樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂などが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。接着剤が熱硬化型樹脂を含むことにより、第二の電気接続部材118による共晶結合と、第二の流路接続部材124、接着部材120、122による接着結合とを一括して形成することができる。
例えば配線基板114がCMOS基板である場合、接合の際の加熱温度は450℃以下であることが好ましい。第一の金属、第三の金属、接着剤として上述した材料を用いることにより、450℃以下で共晶結合と接着結合を形成することができ、低温で素子基板113と配線基板114との接合を行うことができる。また、熱硬化型樹脂の劣化を考慮すると、接合の際の加熱温度は220℃以下であることが好ましい。第一の金属としてAu、第三の金属としてInを用いる場合、約150℃で共晶結合を形成することができるため、接着剤を劣化させずにCMOS基板の接合を行うことができる。なお、Au−Inの平衡相図によると、Au−Inは156℃以上で合金化し、AuIn又はAuInになる。それぞれの合金の融点は約450℃と約500℃である。したがって、接合後に200℃以上の加熱工程を実施する場合にも、金属接合部の再溶融を防ぐことができる。
図5において、素子基板113の表面に対して垂直な方向(図5の上下方向)における第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極121及び封止部材119の厚さは、駆動素子の厚さよりも厚い。そのため、電圧駆動による駆動素子の変形を配線基板114が阻害しないスペースが確保されている。第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極121及び封止部材119の厚さは、例えば駆動素子の厚さが2〜3μmの場合、5〜10μmであることが好ましい。また、図5に示されるように、素子基板113の表面に対して垂直な方向における第一の流路接続部材123の厚さは、第二の流路接続部材124の厚さよりも厚いことが好ましい。同様に、素子基板113の表面に対して垂直な方向における共通電極121及び封止部材119の厚さは、接着部材122、120の厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、素子基板113と配線基板114との接合部の大部分が、ほぼ同じ熱膨張率の材料(第一の金属、第二の金属)で形成され、熱膨張率の差による接合部の剥がれが生じにくくなる。また、接着剤の硬化収縮による接合部の剥がれも生じにくくなる。
図6に、図4に示されるインクジェット記録ヘッドのB−B’における断面図を示す。共通電極に接続された下電極層106は、共通信号接続部材130および実装端子128まで引き出される。下電極層106と封止部材119とは保護膜109により電気的に絶縁されており、インク付着による不要な電気的接続が生じないようになっている。共通信号接続部材130および実装端子128の位置では、下電極層106上に引出電極132が設けられており、各々と電気的に接続されている。共通信号接続部材130は第一の金属を含み、第一の金属と第三の金属との共晶を含む接続部材131を介して共晶結合により配線基板114と接合され、配線基板114内の駆動回路と接続される。また、実装端子128は第一の金属を含み、FPC129と接合されてコントローラーと接続される。
図7に、図4に示されるインクジェット記録ヘッドのC−C’における断面図を示す。駆動信号接続部材125は第一の金属を含み、第一の金属と第三の金属との共晶を含む接続部材126を介して共晶結合により配線基板114と接合され、配線基板114内の駆動回路と接続される。駆動信号接続部材125と実装端子128とは、引出電極127を介して電気的に接続されている。
このような構成にすることにより、各圧電素子107の上電極層108を共通電極121を介して実装端子128と接続することができる。また、下電極層106を第一の電気接続部材117、第二の電気接続部材118および配線基板114を介して実装端子128と接続することができる。
(第二の実施形態)
図10に、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの一例の断面図を示す。図10は、第一の実施形態における図5に相当する断面図である。本実施形態では、第一の電気接続部材117は、コア部分である第二の金属からなる構造体133の表面に、第一の金属からなる膜134が被覆された部材である。本実施形態において、第一の金属としてはAuが挙げられる。また、第二の金属としてはAuよりも安価な金属を用いることができ、例えばNi、Ag、Cuが挙げられ、Niが好ましい。このように、本実施形態では第二の金属として第一の金属よりも安価な金属を用いることができるため、低コストなインクジェット記録ヘッドを提供することができる。後述するように、第一の金属からなる膜134は、第二の金属の置換めっきにより、構造体133の表層のみを第一の金属で被覆することにより形成することができる。第一の電気接続部材117の第一の金属からなる膜134は、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材118を介して配線基板114と接合されている。第三の金属としては、第一の実施形態と同様の金属を用いることができる。
図10に示されるインクジェット記録ヘッド7では、第一の流路接続部材123、共通電極121及び封止部材119も、第一の電気接続部材117と同様の構成を有する。即ち、第一の流路接続部材123は、コア部分である第二の金属からなる構造体139の表面に、第一の金属からなる膜140が被覆された部材である。第一の流路接続部材123の第一の金属からなる膜140は、接着剤を含む第二の流路接続部材124を介して配線基板114と接合されている。また、共通電極121は、コア部分である第二の金属からなる構造体137の表面に、第一の金属からなる膜138が被覆された部材である。共通電極121の第一の金属からなる膜138は、接着剤を含む接着部材122を介して配線基板114と接合されている。また、封止部材119は、コア部分である第二の金属からなる構造体135の表面に、第一の金属からなる膜136が被覆された部材である。封止部材119の第一の金属からなる膜136は、接着剤を含む接着部材120を介して配線基板114と接合されている。接着剤としては、第一の実施形態と同様の接着剤を用いることができる。なお、第一の流路接続部材123、共通電極121及び封止部材119については、第二の金属からなる構造体139、137、135の表面に、第一の金属からなる膜140、138、136を設けなくてもよい。
[液体吐出ヘッドの製造方法]
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、以下の工程を有する。圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、基板を貫通する液体の流路と、を有する素子基板を用意する工程。基板を貫通する液体の流路と、電気配線と、を有する配線基板を用意する工程。前記素子基板又は前記配線基板上に、第一の金属を含む第一の電気接続部材を形成する工程。前記素子基板又は前記配線基板の前記流路に対応する位置に、第二の金属を含む第一の流路接続部材を形成する工程。前記素子基板又は前記配線基板の前記第一の電気接続部材に対応する位置に、前記第一の金属よりも融点が低く、前記第一の金属と共晶を形成可能な第三の金属を含む第二の電気接続部材を形成する工程。前記素子基板又は前記配線基板の前記第一の流路接続部材に対応する位置に、接着剤を含む第二の流路接続部材を形成する工程。前記配線基板を前記圧電素子の前記一方の面とは反対の面側に配置し、前記素子基板と前記配線基板とを積層して加熱することにより、前記素子基板と前記配線基板とを接合する工程。
本発明に係る方法では、第一の金属と第三の金属との共晶結合による電気接続部材での素子基板と配線基板との接合と、接着剤による流路接続部材での素子基板と配線基板との接合とを低い温度で一括して実施することができる。そのため、圧電素子の劣化を抑制しつつ、効率よく、素子基板と配線基板との接合強度が高く、液体に対する耐性が高い本発明に係る液体吐出ヘッドを製造することができる。以下、本発明に係る方法の例として、前記第一の実施形態及び第二の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
(第三の実施形態)
本実施形態は、前記第一の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法に関する。図8及び図9に、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例の断面図を示す。図8には素子基板側の製造工程を、図9には配線基板側の製造工程をそれぞれ示す。なお、図内の破線で示す部分はインクの流路に対応する箇所である。
まず、図8により素子基板側の製造工程の一例を示す。まず、素子基板113上の全面にめっき成長のためのシード電極(不図示)を形成する。シード電極の材料としては、例えばCu/TiやAu/Tiなどを用いることができる。シード電極はスパッタや真空蒸着によって形成することができる。次に、図8(1)に示されるように、素子基板113上にフォトレジストを用いてめっき用のモールドパターンであるフォトレジストパターン150を形成する。フォトレジストは液状であってもドライフィルムであっても構わないが、めっきで形成する金属パターンの高さに応じた厚さを有することが求められる。そのため、10μm以上の厚さが求められる場合には、フォトレジストはドライフィルムであることが好ましい。
次に、図8(2)に示されるように、電解めっき又は無電解めっきを用いて第一の金属のめっきパターン151を形成する。第一の金属としては、例えばAu、Cu、Ag、それらの金属の少なくとも一つを含む合金であることができ、Au、Auを含む合金であることが好ましい。次に、図8(3)に示されるように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて第一の金属のめっきパターン151を平坦化する。次に、図8(4)に示されるように、フォトレジストパターン150を剥離液によって除去し、シード電極をエッチングによって除去する。以上により、素子基板113上に、第一の金属(ここでは第一の金属と第二の金属とは同じ金属)からなる、第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極(振動板保持部材)121及び封止部材119が形成される。このように、第一の金属と第二の金属とが同じ金属であり、第一の電気接続部材117及び第一の流路接続部材123を一括して形成することが、工程を簡略化できるため好ましい。また、共通電極(振動板保持部材)121、封止部材119についても、第一の電気接続部材117及び第一の流路接続部材123と一括して形成することが、工程を簡略化できるため好ましい。
次に、図9により配線基板側の製造工程の一例を示す。まず、図9(1)に示されるように、配線基板114上にフォトレジストを用いてフォトレジストパターン150を形成する。次に、図9(2)に示されるように、前記第一の金属よりも融点が低く、前記第一の金属と共晶を形成可能な第三の金属を含む金属膜152を形成する。第三の金属としては、例えばIn、Sn、それらの金属の少なくとも一つを含む合金であることができ、In、Inを含む合金であることが好ましい。金属膜152は、真空蒸着によって形成することができる。金属膜152は複数の層を含むことができ、例えば第一の金属がAu、第三の金属がInである場合、Au/In/Ti/Au/Tiの五層からなることができる。この場合、最表面のAu層はIn層の酸化防止膜として機能し、Au層とIn層の間のTi層は、In層の下層側に位置するAu層への拡散防止層として機能する。次に、図9(3)に示されるように、フォトレジストパターン150を剥離液によって除去することで、第二の電気接続部材118を形成する。
次に、図9(4)に示されるように、接着剤を配線基板114上の全面に塗布し、接着剤膜153を形成する。接着剤としては、熱硬化型樹脂を含む接着剤を用いることができる。接着剤膜153は、例えばスピンコートなどによって形成することができる。次に、図9(5)に示されるように、接着剤膜153をパターニングするためのフォトレジストパターン150を形成する。次に、図9(6)に示されるように、接着剤膜153をパターニングする。接着剤膜153のパターニングはRIE(Reactive Ion Etching)等によって行うことができる。次に、図9(7)に示されるように、フォトレジストパターン150を剥離液によって除去し、第二の流路接続部材124、接着部材120、122を形成する。なお、前述したように、得られるインクジェット記録ヘッドは、素子基板113の表面に対して垂直な方向における、第一の流路接続部材123の厚さが、第二の流路接続部材124の厚さよりも厚いことが好ましい。第一の流路接続部材123の厚さが厚いことで、接着剤の硬化収縮や、金属と接着剤の熱膨張率の差に起因する剥がれを抑制することができる。
次に、素子基板113と配線基板114とを積層し、加熱により接合することで、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドが得られる。接着剤からのガス発生や第三の金属の酸化を防止するために、接合は真空下又は窒素などの不活性ガス下で行うことが好ましい。接合条件(温度、荷重、時間)は、第三の金属の溶融温度、接着剤の硬化温度、第一の金属と第三の金属の拡散速度等によって適宜決定することができる。例えば、第一の金属がAu又はAuを含む合金、第三の金属がIn又はInを含む合金であり、接着剤が熱硬化型樹脂を含む場合、接合の際の加熱温度は150℃以上、300℃以下であることが好ましい。該加熱温度は、156℃以上、220℃以下であることがより好ましく、160℃以上、220℃以下であることがさらに好ましい。なお、Inの融点は156℃である。また、この場合、接合圧力は5〜20MPa、接合時間は0.5〜2時間であることができる。なお、接合により第一の金属と第三の金属との共晶が形成されていることは、接合界面の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で観察することで確認することができる。
(第四の実施形態)
本実施形態は、前記第二の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法に関する。本実施形態では、第一の電気接続部材を形成する工程及び第一の流路接続部材を形成する工程が、めっきにより第二の金属からなる構造体を形成する工程と、置換めっきにより前記構造体の表面に第一の金属からなる膜を形成する工程と、を有する。ここで、第一の金属としてはAuを用いることができる。また、第二の金属としてはAuよりも安価なNi、Ag、Cu等を用いることができる。このように、本実施形態では第二の金属として第一の金属よりも安価な金属を用いることができるため、インクジェット記録ヘッドを低コストで製造することができる。
図11に、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例の断面図を示す。図11は素子基板側の製造工程を示しており、配線基板側の製造工程は第三の実施形態と同様のため省略する。まず、第三の実施形態と同様に、素子基板113上の全面にシード電極(不図示)を形成した後、図11(1)に示されるように、素子基板113上にフォトレジストパターン150を形成する。次に、図11(2)に示されるように、電解めっき又は無電解めっきを用いて第二の金属のめっきパターン154を形成する。次に、第三の実施形態と同様に、図11(3)に示されるようにCMPを用いて第二の金属のめっきパターン154を平坦化し、図11(4)に示されるようにフォトレジストパターン150を剥離液で除去し、シード電極をエッチングによって除去する。
次に、図11(5)に示されるように、第一の金属の無電解めっきにより、第二の金属のめっきパターン154表面を第一の金属で置換し、第一の金属からなる膜155を形成する。第一の金属からなる膜155の厚さは、接合信頼性に寄与するため1μm以上であることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。なお、図11に示される方法では、第一の金属からなる膜155は露出している個別引出電極110や共通引出電極111上にも形成されるが、本実施形態では特に問題にはならない。しかしながら、個別引出電極110や共通引出電極111上への第一の金属からなる膜155の形成を防止するために、予め保護膜を形成してもよい。その後、第三の実施形態と同様に、素子基板113と配線基板114とを積層し、加熱により接合することで、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドが得られる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、図8及び図9に示される工程によりインクジェット記録ヘッドを製造した。まず、素子基板113上の全面にシード電極(不図示)を形成した後、図8(1)に示されるように、素子基板113上にフォトレジストパターン150を形成した。次に、図8(2)に示されるように、電解めっきを用いてAuのめっきパターン151を形成した。次に、図8(3)に示されるように、CMPを用いてAuのめっきパターン151を平坦化した後、図8(4)に示されるように、フォトレジストパターン150を剥離液によって除去し、シード電極をエッチングによって除去した。以上により、素子基板113上に、Auからなり、厚さが7μmの、第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極(振動板保持部材)121及び封止部材119を形成した。
次に、図9(1)に示されるように、配線基板114上にフォトレジストを用いてフォトレジストパターン150を形成した。次に、図9(2)に示されるように、真空蒸着によって、Au/In/Ti/Au/Tiの金属膜152(厚さ:40nm/2000nm/20nm/200nm/20nm)を形成した。なお、Inは低融点金属であるため、スパッタで2000nmの厚さの連続成膜を試みるとターゲット自体が高温となり溶融する可能性がある。ターゲットが溶融すると成膜レートが著しく低下し、膜の厚さを制御できなくなるため、蒸着法により成膜を行うことが好ましい。次に、図9(3)に示されるように、フォトレジストパターン150を剥離液によって除去することで、第二の電気接続部材118を形成した。
次に、図9(4)に示されるように、接着剤を配線基板114上の全面に塗布し、接着剤膜153を形成した。接着剤としては、Dow社製のBCB(BenzoCycloButene、Cycloteneシリーズ)を用い、スピンコートによって塗布した。次に、図9(5)に示されるように、接着剤膜153をパターニングするためのフォトレジストパターン150を形成した。次に、図9(6)に示されるように、CF/O(1:4)ガスを用いたRIEによって接着剤膜153をパターニングした。なお、フォトレジストとBCBとの選択比は1:1であるため、接着剤膜153上のフォトレジストパターン150の厚さを、接着剤膜153の厚さ以上とした。次に、図9(7)に示されるように、フォトレジストパターン150を剥離液によって除去し、厚さが3μmの、第二の流路接続部材124、接着部材120、122を形成した。
次に、素子基板113と配線基板114とを積層して、加熱により接合した。接合は、真空チャンバー内において下記の条件で行った。
・接合圧力:約10MPa
・接合温度:200℃
・接合時間:60分
以上により作製されたインクジェット記録ヘッドの接合界面の断面をSEMで確認すると、Au−Inの拡散合金層が観察された。このことから両金属は共晶結合されていることを確認した。また、接合シェア強度を測定したところ、AuとInの共晶を含む第二の電気接続部材118部分、BCBを含む第二の流路接続部材124部分共に20MPa以上の強度を有し、十分な接合強度を有することが確認された。また、インクの流路と接する流路接続部材は、Auからなる第一の流路接続部材123と、BCBからなる第二の流路接続部材124からなるため、該インクジェット記録ヘッドはインクに対する耐性が高かった。さらに、接合温度は200℃であるため、圧電素子の劣化が抑制されたインクジェット記録ヘッドが得られた。
[実施例2]
本実施例では、図11に示される工程によりインクジェット記録ヘッドを製造した。なお、図11は素子基板側の製造工程を示しており、配線基板側の製造工程は実施例1と同様のため省略する。まず、実施例1と同様に、素子基板113上の全面にシード電極(不図示)を形成した後、図11(1)に示されるように、素子基板113上にフォトレジストパターン150を形成した。次に、図11(2)に示されるように、電解めっきを用いてNiのめっきパターン154を形成した。次に、実施例1と同様に、図11(3)に示されるようにCMPを用いてNiのめっきパターン154を平坦化し、図11(4)に示されるようにフォトレジストパターン150を剥離液で除去し、シード電極をエッチングによって除去した。次に、図11(5)に示されるように、Auの無電解めっきにより、Niのめっきパターン154表面をAuで置換し、厚さが1μmのAuからなる膜155を形成した。その後、実施例1と同様に、素子基板113と配線基板114とを積層して、加熱により接合した。
以上により作製されたインクジェット記録ヘッドの接合界面の断面をSEMで確認すると、Au−Inの拡散合金層が観察された。このことから両金属は共晶結合されていることを確認した。また、接合シェア強度を測定したところ、AuとInの共晶を含む第二の電気接続部材118部分、BCBを含む第二の流路接続部材124部分共に20MPa以上の強度を有し、十分な接合強度を有することが確認された。また、インクの流路と接する流路接続部材は、表面がAuで覆われた第一の流路接続部材123と、BCBからなる第二の流路接続部材124からなるため、該インクジェット記録ヘッドはインクに対する耐性が高かった。さらに、接合温度は200℃であるため、圧電素子の劣化が抑制されたインクジェット記録ヘッドが得られた。特に、本実施例では、第一の電気接続部材117、第一の流路接続部材123、共通電極(振動板保持部材)121及び封止部材119のコア部分が、Auより安価なNiからなるため、低コストでインクジェット記録ヘッドを製造することができた。
7 インクジェット記録ヘッド
102 圧力室
104 流路
107 圧電素子
113 素子基板
114 配線基板
117 第一の電気接続部材(電気接続部材)
118 第二の電気接続部材
123 第一の流路接続部材(流路接続部材)
124 第二の流路接続部材

Claims (19)

  1. 圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、を有する素子基板と、
    前記圧電素子の前記一方の面とは反対の面側に配置された配線基板と、
    前記素子基板と配線基板とを接合する電気接続部材及び流路接続部材と、
    を有する液体吐出ヘッドであって、
    前記素子基板と前記配線基板を貫通し、前記流路接続部材と接する液体の流路が形成されており、
    前記電気接続部材が、第一の金属を含む第一の電気接続部材と、第一の金属と第三の金属との共晶を含む第二の電気接続部材とを含み、
    前記流路接続部材が、第二の金属を含む第一の流路接続部材と、接着剤を含む第二の流路接続部材とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記第一の金属と前記第二の金属とが同じ金属である請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第一の金属と第三の金属との共晶の融点が、前記第三の金属の融点よりも高い請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第一の金属が、Au、Cu、Ag又はそれらの金属の少なくとも一つを含む合金であり、
    前記第三の金属が、In、Sn又はそれらの金属の少なくとも一つを含む合金である請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第一の金属がAu又はAuを含む合金であり、
    前記第三の金属がIn又はInを含む合金である請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記接着剤が熱硬化型樹脂を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記第一の電気接続部材が、第二の金属からなる構造体の表面に第一の金属からなる膜が被覆された部材である請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記第一の金属がAuであり、前記第二の金属がNi、Ag又はCuである請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記素子基板の表面に対して垂直な方向における、前記第一の流路接続部材の厚さが、前記第二の流路接続部材の厚さよりも厚い請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記配線基板が、前記圧電素子を駆動する駆動回路を有する請求項1から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記素子基板が、前記圧電素子と前記圧力室との間に振動板を有し、
    前記液体吐出ヘッドが、前記振動板上に前記第一の金属を含む振動板保持部材を有する請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 圧電素子と、該圧電素子の一方の面側に設けられた圧力室と、基板を貫通する液体の流路と、を有する素子基板を用意する工程と、
    基板を貫通する液体の流路と、電気配線と、を有する配線基板を用意する工程と、
    前記素子基板又は前記配線基板上に、第一の金属を含む第一の電気接続部材を形成する工程と、
    前記素子基板又は前記配線基板の前記流路に対応する位置に、第二の金属を含む第一の流路接続部材を形成する工程と、
    前記素子基板又は前記配線基板の前記第一の電気接続部材に対応する位置に、前記第一の金属よりも融点が低く、前記第一の金属と共晶を形成可能な第三の金属を含む第二の電気接続部材を形成する工程と、
    前記素子基板又は前記配線基板の前記第一の流路接続部材に対応する位置に、接着剤を含む第二の流路接続部材を形成する工程と、
    前記配線基板を前記圧電素子の前記一方の面とは反対の面側に配置し、前記素子基板と前記配線基板とを積層して加熱することにより、前記素子基板と前記配線基板とを接合する工程と、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記第一の金属と前記第二の金属とが同じ金属であり、前記第一の電気接続部材及び前記第一の流路接続部材を一括して形成する請求項12に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記第一の金属が、Au、Cu、Ag又はそれらの金属の少なくとも一つを含む合金であり、
    前記第三の金属が、In、Sn又はそれらの金属の少なくとも一つを含む合金である請求項12又は13に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記第一の金属がAu又はAuを含む合金であり、
    前記第三の金属がIn又はInを含む合金であり、
    前記接着剤が熱硬化型樹脂を含み、
    前記素子基板と前記配線基板とを接合する工程における加熱温度が156℃以上、220℃以下である請求項14に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  16. 前記第一の電気接続部材を形成する工程及び前記第一の流路接続部材を形成する工程が、
    めっきにより前記第二の金属からなる構造体を形成する工程と、
    置換めっきにより前記構造体の表面に第一の金属からなる膜を形成する工程と、
    を有する請求項12に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  17. 前記第一の金属がAuであり、前記第二の金属がNi、Ag又はCuである請求項16に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  18. 前記素子基板の表面に対して垂直な方向における、前記第一の流路接続部材の厚さが、前記第二の流路接続部材の厚さよりも厚い請求項12から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 前記素子基板が、前記圧電素子と前記圧力室との間に振動板を有し、
    前記振動板上に前記第一の金属を含む振動板保持部材を、前記第一の電気接続部材及び前記第一の流路接続部材と一括して形成する請求項13、16及び17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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