JP2019081124A - ガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基板の表面に付着したゴミ、パーテイクル等を除去するだけでなく、ガラス基板に蓄積する静電気による帯電量を低減させるガラス基板の洗浄方法を提供する。【解決手段】ガラス基板を、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を少なくとも1種、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有する洗浄剤を用いる。【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法に関する。詳しくは、ガラス基板を洗浄することにより、洗浄と同時にガラス基板を帯電しにくく改質できるガラス基板の洗浄方法である。
ガラス基板は、一般的に加工処理装置や搬送装置における真空吸着チャックによる剥離時やベルト面との摩擦により静電気を帯びやすく、非常に帯電しやすい性質を有している。このガラス基板の蓄積帯電は、ガラス基板を加工して製品化する際に放電が生じ問題になることが多い。例えば、フラットパネルディスプレイの製造において、ガラス基板上に透明電極、半導体素子などを形成しているが、製膜工程等における絶縁体との接触剥離による剥離帯電や摩擦による摩擦帯電が、導電性材料の接近により放電が発生し、ガラス基板上の電極、回路、素子や、場合によってはガラス基板自身の破壊、即ち絶縁破壊、静電破壊が起こり問題となっている。又帯電によりパーティクル等が吸着しやすくなっており、蓄積した静電気の除電が必要となっている。
そこで、従来からガラス基板の帯電除去方法として、イオナイザ(除電手段)を用い、コロナ放電を起こさせ配置されたノズル内の空気の分子をイオン化し、ガラス基板に吹き付けることにより、ガラス基板上の帯電蓄積した静電気を中和している。しかし、放電電極は導電性に優れた金属材料により形成されており、コロナ放電により発生する金属の屑が放電電極に付着、蓄積し、空気のイオン化効率が時間の経過とともに低下し、電極を定期的にメンテナンスする必要があった。又イオン吹きつけ時の粉塵の巻上げ、イオン化された空気の再結合などがあり除電効率にも問題があった。
更に、軟X線を利用した帯電除去方法も検討されている。軟X線を用いた帯電除去方法は、空気のイオン化効率は優れているものの、軟X線が空気に吸収されやすい性質であるため、ガラス基板から軟X線発生源までの距離を取ることができず、除電エリアが狭く、除電ムラが発生するという問題があった。そのため広いガラス基板の除電を行うには、多数の軟X線発生装置が必要であり、又メンテナンスに時間、コストを要するものであった。
特許文献1には、継続して使用しても静電気の帯電防止効果を低下させず、しかもパーテイクルを発生させない方法として、ガラス基板の裏面に、酸素含有ガスを供給しながら紫外線を照射し、ガラス基板の裏面を親水化して、基板に静電気が帯電するのを防ぐことが提案されている。しかし、以上のものは帯電除去方法としていずれも、専用の設備を必要とし、メンテナンスに時間、コストを要するものであった。
ガラス基板の帯電除去方法には、帯電除去したい面のみを、カチオン系界面活性剤などの帯電防止剤を塗布や吹き付けて除電する方法もある。例えば、特許文献2には、レジスト塗布装置の洗浄処理部において、基板の裏面のみに帯電防止剤を吐出させることにより塗布する帯電防止剤塗布手段を備え、基板の吸着処理による静電気の帯電による基板の絶縁破壊を防止することのできるレジスト塗布装置が提案されている。
しかし、ガラス基板に塗布や吹き付けにより形成したカチオン系界面活性剤などの帯電防止剤は水洗を繰り返しても完全に除去することができず、除電処理したガラス基板を次工程以降での各種処理する際に問題が生じ、又帯電除去したい面のみを塗布や吹き付けて除電する専用の装置が必要となっていた。
特許文献3には、液晶表示用ガラス基板の損傷および半導体素子の静電破壊を防止した液晶表示素子の製造方法として、吸着ステージに基板を吸着した状態で加工する際に、ステージ吸着前に、吸着させる側の基板表面に微小な凹凸を形成することで、ステージへ貼り付いた基板を剥がすときに生じる基板の損傷を防止する方法が提案されている。即ち、ガラス基板のステージに吸着させる側の表面に、微小な凹凸を研磨液シャワーとロールブラシの作用により形成し、帯電しにくくするものである。
従来のディスプレイ用ガラス基板の表面粗面化させる技術は、大型化したガラス基板で、かつ平坦性に対する品質要求が一層厳しいガラス基板には対応しえない。特許文献4では、これを改善するために、ガラス基板の主表面のうち一方のガラス表面を、その表面性状が凹凸の平均間隔により定義されるRSmが0.06μmよりも大きく、かつ、山部と谷部との対象性を示すひずみ度Rskが0.5よりも大きい、ディスプレイ用ガラス基板とすることで、ガラス基板と接触部材とによって発生する摩擦帯電を低減できるガラス基板を提供できるとしている。
従来のガラス基板の帯電除去方法や特許文献1の方法では、製造過程で除電工程を別途設ける必要があり、特許文献2の装置では、基板の裏面のみを処理する装置が必要である。特許文献3〜4の方法は、いずれもガラス基板の損傷および半導体素子の静電破壊、摩擦帯電を低減できるガラス基板を提供できるとしているものの、ガラス原料からガラス基板を製造する過程で、ガラスの切断工程、表面および端面の研削、研磨工程以外にも、表面の粗面化する工程を必要としていた。
一方、ガラス基板を用い製品化するのには、ガラス基板をメーカーから受け入れ、洗浄することは必須の工程である。その洗浄工程で同時に帯電しにくく改質できるガラス基板の洗浄方法が提供できるならば、新たに処理工程を設けることがなく、洗浄するだけの工程で、製品加工工程での帯電による問題も解消でき、ひいては処理工程の簡素化、製品精度の向上にも寄与でき、そのような基板の改質処理方法が望まれていた。
特開2008−60221号公報 特開平8−262734号公報 特開2001−343632号公報 特開2014−201446号公報
本発明は、ガラス基板の表面に付着したゴミ、パーテイクル等を除去する洗浄方法において、帯電しにくく改質させることも同時に達成できるガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ガラス基板用の洗浄剤として、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分に、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を少なくとも1種、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有するガラス用洗浄剤を用い、従来の洗浄方法、洗浄装置を用いガラス基板を洗浄でき、表面に付着したゴミ、パーテイクル等を除去するだけでなく、ガラス基板を帯電しにくく改質するガラス基板の洗浄方法を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、次のとおりのものである。
[1] ガラス基板を、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を少なくとも1種、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有するガラス用洗浄剤を用い、洗浄することを特徴とするガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
[2] ガラス用洗浄剤が、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分を5.0〜20.0質量%、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤の少なくとも1種を0.1〜2.5質量%、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を1.0〜20.0質量%含有し、残部水であることを特徴とする項1に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
[3] アルカリ成分が、無機アルカリ剤とアルカリ性のキレート剤、又は有機アルカリ剤とアルカリ性のキレート剤からなるアルカリ成分であることを特徴とする項1又は2に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
[4] 陰イオン界面活性剤、及びHLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち、それぞれ少なくとも1種を含有することを特徴とする項1から項3のいずれか1項に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
[5] ガラス基板を、浸漬法、浸漬揺動法、超音波洗浄法、液中噴流法、スプレー法、手拭き法、枚葉式、バッチ式のいずれかのうち少なくとも1種を用い洗浄することを特徴とする項1から項4のいずれか1項に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
本発明のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法によれば、ガラス基板の表面に付着したゴミ、パーテイクル等を洗浄除去するだけでなく、その後の製品化のために行う加工、処理における際に問題となる、静電気の帯電蓄積がしにくく改質できるガラス基板の洗浄方法を提供できる。
評価におけるガラス基板の洗浄・乾燥工程図 ガラス帯電量測定結果1 ガラス帯電量測定結果2 アレイプロセス薬剤処理後のガラス帯電量測定結果
以下に、本発明を具体的に説明する。本発明のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法は、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を少なくとも1種、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有するガラス用洗浄剤を用い洗浄処理することで、液晶表示等に用いられるフラットパネルディスプレイ用基板ガラス、太陽電池モジュール用の保護ガラス、各種ガラス基板に帯電蓄積する静電気を低減することができる。
ガラス基板上に所望の機能性部材を設けた種々の機能性基板の製造には、洗浄処理が必ず用いられている。例えば、ディスプレイ用ガラス基板に透明電極、回路配線、半導体素子などを設けるには、ガラス基板の受け入れ洗浄後、導電体、素子の形成工程が行われている。太陽電池モジュール用の保護ガラスでは、ガラス基板の受け入れ洗浄後、太陽電池セルを透明樹脂により充填させる。本発明は、これらのガラス基板の洗浄工程での洗浄法として、ガラス基板における静電気の帯電蓄積を同時にしにくく表面改質できる。
ガラス基板としては、用途、組成は限定されるものではない。液晶セル用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板だけでなく、太陽電池用ガラス基板、保護用ガラス基板、各種光学ガラス基板が例示できる。なかでも、液晶セル用ガラス基板、太陽電池用ガラス基板の洗浄に用いると後加工、例えば透明電極形成、回路形成、半導体素子形成する際に静電気蓄積による弊害が防止でき有用である。これらのガラス基板としては、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、シリカガラス、熱強化白板ガラス等が用いられている。
本発明に用いるガラス用洗浄剤は、アルカリ成分として、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、アルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種を用いることができる。アルカリ性のキレート剤は、洗浄性だけでなく、ガラスの腐食防止効果の向上や、他の成分を配合する際の相溶性および洗浄剤の安定性を向上させることができる。また、洗浄水に含まれるマグネシウムやカルシウム・鉄分などの金属を沈殿させ、界面活性剤の能力を低下させないので、他のアルカリ剤と併用することが好ましい。アルカリ成分は、洗浄剤中に好ましくは5.0〜20.0質量%配合する。より好ましくは5.0〜15.0質量%洗浄剤に含有させることができる。
無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ砂、ケイ酸ナトリウム(SiO/NaO=1/1〜4/1、好ましくは2/1〜2.5/1)等を挙げることができる。これらの中でも、洗浄効果の点、入手の容易性及び経済性から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウムが好ましい。
有機系アルカリ剤としては、一級、二級および/または三級アミン性の窒素原子を1分子中に1〜5個有し、かつ分子量50〜10000を有するアミン系化合物ならびに水酸化第四級アンモニウム化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種などがあげられる。例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノアミルアミン、モノヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの直鎖アルキルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−メチルブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの分岐鎖アルキル基を有する分岐鎖アルキルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミンなどの環式アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルキルアルカノールアミン、モルホリン類、複素環式アミン、ジアミノプロパン、ジアミノヘキサン、ジアミノオクタン、ジアミノドデカンなどのジアミン、ポリアミン、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)などの水酸化第四級アンモニウム化合物があげられる。
アルカリ性のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、テトラエチレンテトラミン六酢酸、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、これらのアルカリ金属または低級アミン塩など、ホスホン酸基を有するキレート剤としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン1−1,1−ジホスホン酸、4−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸、ピロリドン−5,5−ジホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、ジメチルアミノメタンジホスホン酸、N−カルボキシメチルアミノ−アルカンジホスホン酸などが挙げられる。これらの中でも、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸、アザシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸が好ましい。アルカリ性のキレート剤は、単独でまたは2種以上を混合しても用いることができる。
アルカリ成分は、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、アルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種、または複数種組合せて用いることができる。なかでも無機アルカリ剤とアルカリ性のキレート剤、又は有機アルカリ剤とアルカリ性のキレート剤を組合せて用いるのがより好ましい。
本発明に用いるガラス用洗浄剤は、HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有する。HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤は、2種類以上含有させてもよい。HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤は、基板界面の自由エネルギーを低下させ、汚れなどの洗浄対象物への浸透・湿潤力を増し除去性能を向上させる作用をする。又浸透・湿潤力だけでなく、他の成分を配合する際の相溶性および洗浄剤の安定性を向上させ、静電気の蓄積を低減することができる。洗浄剤中に好ましくは0.1〜2.5質量%配合する。より好ましくは0.1〜1.0質量%配合することができる。
HLBは界面活性剤の水と油、即ち水に不溶性の有機化合物への親和性の程度を表す値であるが、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を浸透・湿潤力だけでなく、他の成分を配合する際の相溶性および洗浄剤の安定性を向上させ、静電気の蓄積低減の点から用いる。HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤の可溶化剤の作用もなしている。
HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル 、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ノノキシノール 、ノノキシノール-9 、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのエーテル型の非イオン界面活性剤、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコールなどのエステルエーテル型非イオン界面活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド 、コカミドDEAなどのアルカノールアミド型非イオン界面活性剤が例示できる。これらのうちHLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤であるならばいずれでも使用でき、またこれらは市販されている中から選ぶことができる。
本発明に用いるガラス用洗浄剤は、陰イオン界面活性剤、HLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有させることができる。陰イオン界面活性剤、HLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤は、少なくとも1種類用いることができるが、2種類以上用いてもよい。好ましくは、組合せて用いる。組合せとしては、陰イオン界面活性剤とHLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤のうち複数種類を用いてもよく、陰イオン界面活性剤のうち1種とHLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤のうち1種の組合せで用いるのがより好ましい。
陰イオン界面活性剤、HLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤は、基板界面の自由エネルギーを低下させ汚れなどの洗浄対象物への浸透・湿潤力を増し除去性能を向上させる作用をするものである。又浸透・湿潤力だけでなく、他の成分を配合する際の相溶性および洗浄剤の安定性を向上させることができる。当該成分は、洗浄剤中に好ましくは1.0〜20.0質量%配合する。より好ましくは2.0〜10.0質量%配合することができる。
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸又はその塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸又はその塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル類を使用することが出来、特に炭素数が10〜20、好ましくは10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニル(炭素数炭素数が10〜20、好ましくは10〜15)エーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル(炭素数炭素数が10〜20、好ましくは10〜15)硫酸塩、飽和脂肪酸又はその塩が好ましい。ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニル硫酸塩を使用する場合は、エチレンオキシド平均付加モル数は1〜6、特に1.5〜4が好ましい。また、これらは市販されている中から選ぶことができる。
HLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤は、上記のHLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤に例示するもののうち、HLBが11.0〜16.0の非イオン界面活性剤を用いることができる。また、これらは市販されている中から選ぶことができる。
本発明に用いるガラス用洗浄剤は、HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤を少量含有させることにより、ガラス基板の表面に付着したゴミ、パーテイクル等を除去するだけでなく、静電気の蓄積帯電を低減させることを同時に達成するガラス基板洗浄方法を提供できる。その理由は解明されていないが、HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤を少量含有させることにより、ガラス用洗浄剤は水洗されてもガラス基板の表面がより疎水化された表面状態に改質され、その蓄積する静電気量が低減されるものと考えられる。しかし、アルカリ洗浄剤にカチオン界面活性剤を添加した洗浄剤を用いても、洗浄性自体が低下していまい洗浄方法として使用することはできない。
ガラス用洗浄剤は、上記成分以外に水を含有させることができる。水は、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水等いずれでもかまわない。本発明のガラス用洗浄剤を構成する水は、上記界面活性剤成分を溶解するためのものであり、上記成分などを加えた残りの残部量配合することができる。
ガラス用洗浄剤は、必要に応じて適宜、従来の洗浄剤に配合されている各種添加剤、例えばpH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、増粘剤、顔料などの着色剤、消泡剤などを添加してもよい。添加剤の添加量は、本発明のガラス用洗浄剤の洗浄作用、帯電量の低減に影響しない範囲の量ならばかまわない。より好ましくは、0.1〜10質量%である。
本発明に用いるガラス用洗浄剤としては、アルカリ成分として無機アルカリ、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種を5.0〜20.0質量%、HLB5.0〜10.0の非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を0.1〜2.5質量%、陰イオン性界面活性剤、HLB11.0〜16.0の非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を1.0〜20.0質量%を含有し、残部水であるガラス用洗浄剤を用いることが好ましい。
ガラス用洗浄剤としては、有効アルカリの値は従来の洗浄剤より高い方がより好ましい。このアルカリ強化により、パーテイクル、異物の除去性が向上する。洗浄剤自体の有効アルカリ(KOH換算%)は、5%以上であることがより好ましい。更により好ましくは7.5%以上である。従来の洗浄剤では、3.0%〜3.5%程度である。
本発明に用いるガラス用洗浄剤の表面張力は従来のガラス用洗浄剤に比べて、低い表面張力を有している。この低表面張力化によりガラス表面の汚れとガラス界面との浸透力が増し、汚れの除去効果が向上する。洗浄剤2%溶液の20℃での表面張力は、40mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、38mN/m以下である。従来のガラス用洗浄剤では、一般的に44mN/m〜41mN/m程度である。なお、表面張力はキブロン社製ポータブル表面張力計を使用し、洗浄剤2%溶液、20℃で測定した値である。
本発明のガラス基板の帯電量を低減させる洗浄方式としては、特に限定されるものではなく、通常のガラス基板の洗浄方式を使用することができる。例えば、浸漬法、浸漬揺動法、超音波洗浄法、液中噴流法、スプレー法、手拭き法、枚葉式、バッチ式などの各種方式を使用できる。洗浄したのち、溶剤、温水、常温の水などでリンスするなどの方法を連続的に行う方法が、効率の良い洗浄方法として挙げられる。また、リンスするすすぎ水としては、表面の汚染物を除去しうるものであれば特に限定されないが、例えば、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水などがリンス性の面から使用できる。
本発明のガラス用洗浄剤を用いる洗浄時間は、好ましくは1秒〜12時間、より好ましくは2秒〜2時間である。洗浄する際の洗浄剤は、常温、加温状態での温度で行うことができる。なかでも20℃以上70℃で洗浄するのが、洗浄効率からして好ましい。
ガラス用洗浄剤を、ディスプレイ用ガラス基板上に透明電極、回路、半導体素子等を製造する工程における洗浄処理に用いるのが特に好ましい。なかでも液晶素子用ガラス基板は、ガラス基板上に透明電極、回路、半導体素子等を製造するために、ガラス基板の受け入れ洗浄後、電極、回路形成工程を行うが、本発明の洗浄方法を用いて洗浄したガラス基板は、洗浄効果だけでなく、帯電しにくく表面改質ができる。従来用いられていたガラス用洗浄方法に比べて、パーテイクル、異物の洗浄効果に差は見られないが帯電しにくく表面改質できる効果は大きく、パネルの生産歩留まりがより向上できる。
液晶パネルの大画面化、高コントラスト化、高解像度化に伴いガラス基板上の透明電極、回路、半導体素子等のより高精度化、微細化が求められ、ディスプレイ用ガラス基板に付着した異物、キズなどの除去による清浄度、平滑性が一層求められ厳しい要求がなされている。本発明のガラス基板に蓄積する静電気量を低減する洗浄方法によれば、従来の洗浄性を落とすことなく、帯電しにくい特性が向上していることがわかる。
ガラス基板に付着した異物、キズなどの除去による清浄度向上させる洗浄処理に合わせて、アレイプロセスにおけるレジスト剥離液などによる薬剤処理を行っても、帯電しにくい特性は維持でき、従来からのアレイプロセスにおける装置における洗浄工程にそのまま適用できる。又本ガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法と、例えば上記特許文献3〜4に示されたガラス基板表面の粗面化処理方法と併用すると、両者の相乗効果により帯電しにくく改質できる効果がより優れている。
[ガラス基板の洗浄後の帯電量測定の評価方法]
液晶パネル用ガラス基板を、50℃のガラス用洗浄剤を用いた浸漬層中に1分間浸漬する洗浄を2回行い、次いで常温で、2分間純水でシャワー洗浄し、その後、常温で30分間乾燥させる(図1の洗浄・乾燥工程図参照)。
洗浄・乾燥させた基板を、帯電量測定機が入った恒温恒湿室(温度25℃、湿度50%、真空度0.6MPa)内に保管し帯電量を測定する。帯電量測定機は、アルマイト処理したアルミニウム製テーブル(吸着ステージ)に複数のリフトピンを用いガラス基板をリフトアップ、リフトダウンさせることで吸着ステージに吸着、開放を繰り返す。吸着・開放の1サイクルは、基板をセットした状態からリフトピンをダウンさせ、吸着ステージに吸着させ、その後吸着をリリースさせ、リフトピンをアップさせることで基板をセットした位置に戻すことをいう。1サイクルを10秒かけて行い、リフトピンの上下のストローク長を60mmとし、吸着・開放のサイクルを200回とする。
この吸着・開放のサイクルによる吸着により裏面が剥離帯電したガラス基板につき、基板表面から10mmの高さに固定した表面電位計(オムロン社製 ZJ−SD)により吸着・開放サイクル200回までの帯電量のうち最大値を測定する。n=4としたときの平均値を、求めるガラス基板の帯電量とする。同じく基準洗浄剤を用いて洗浄処理し測定した帯電量を基準として相対比較評価する。即ち、基準洗浄剤での帯電量を1としたときの求めるガラス基板の帯電量を飽和帯電量比として評価する。
以下には、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
[例1](基準洗浄剤の調製)
アルカリ成分として、水酸化カリウム3.0質量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩5.0質量%、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸5.0質量%、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(HLB13.3)5.0質量%、陰イオン界面活性剤(ベンゼンスルホン酸ナトリウム)7.0質量%、pH調整剤としてホスホン酸2.1質量%、残部として水を混合し基準洗浄剤を調製した。基準洗浄剤の2%溶液の20℃で測定した表面張力は、39.8mN/mである。以下同様である。
[例2](洗浄剤1の調製)
アルカリ成分として、水酸化カリウム5.0質量%、水酸化ナトリウム4.0質量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩5.0質量%、クエン酸ナトリウム2.9質量%、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールPOE/POP(HLB9.4)1.5質量%、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(HLB13.3)2.0質量%、陰イオン界面活性剤(オクチル酸ナトリウム)5.0質量%、残部として水を混合し洗浄剤1を調製した。洗浄剤1の表面張力は、31.8mN/mである。
[例3](洗浄剤2の調製)
アルカリ成分として、水酸化カリウム5.0質量%、水酸化ナトリウム2.0質量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩2.9質量%、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸ナトリウム塩5.0質量%、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールPOE/POP(HLB9.4)0.3質量%、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(HLB13.3)2.0質量%、陰イオン界面活性剤(ベンゼンスルホン酸ナトリウム)8.8質量%、残部として水を混合し洗浄剤2を調製した。洗浄剤2の表面張力は、34.1mN/mである。
[例4](洗浄剤3の調製)
アルカリ成分として、モノエタノールアミン3.0質量%、エチレンジアミン四酢酸1.0質量%、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールPOE/POP(HLB9.4)0.3質量%、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(HLB13.3)4.8質量%、pH調整剤としてホスホン酸3.0質量%、残部として水を混合し洗浄剤3を調製した。洗浄剤3の表面張力は、32.7mN/mである。
[例5](洗浄剤4の調製)
洗浄剤成分として基準洗浄剤に、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールPOE/POP(HLB9.4)0.3質量%を添加し、残部として水を混合し洗浄剤4を調製した。洗浄剤4の表面張力は、37.4mN/mである。
[例6](洗浄剤5の調製)
洗浄剤成分として洗浄剤1から、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールPOE/POP(HLB9.4)1.5質量%を除き、残部として水を混合し洗浄剤5を調製した。洗浄剤5の表面張力は、31.5mN/mである。
[例7](洗浄剤6の調製)
アルカリ成分として、水酸化カリウム5.0質量%、水酸化ナトリウム4.0質量%、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩5.0質量%、クエン酸ナトリウム2.9質量%、非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(HLB13.3)2.0質量%、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールPOE/POP(HLB9.4)1.5質量%、陰イオン界面活性剤:オクチル酸ナトリウム塩5.0質量%、カチオン系界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルアミンを0.5質量%、pH調整剤としてホスホン酸2.1質量%、残部として水を混合し洗浄剤6を調製した。洗浄剤6の表面張力は、30.4mN/mである。
[実施例1]
ガラス基板として、コーニング社製の液晶パネル用ガラス(商品名:EXG)100mm×100mm×厚み0.63mmのサイズで端面をC面取り加工した試料基板1を、基準洗浄剤、洗浄剤1、洗浄剤2、洗浄剤3の1重量%濃度を用い、ガラス基板の洗浄後の帯電量測定の評価方法に示した工程で洗浄・乾燥させた。洗浄・乾燥後の試料基板1について、帯電量を測定した。それぞれの洗浄剤を用いた場合の帯電量を、基準洗浄剤を用いた帯電量を基準として相対比較評価した。また、帯電量測定後の試料基板1の表面粗さRaを原子間顕微鏡(AFM)により測定した。その結果を、図2に示す。
[実施例2]
ガラス基板として、旭硝子社製の液晶パネル用ガラス(商品名:AN100)100mm×100mm×厚み0.63mmのサイズで端面をC面取り加工した試料基板2を、基準洗浄剤、洗浄剤4、洗浄剤1、洗浄剤5の1重量%濃度を用い、ガラス基板の洗浄後の帯電量測定の評価方法に示した工程で洗浄・乾燥させた試料基板2について、帯電量を測定した。それぞれの洗浄剤を用いた場合の帯電量を、基準洗浄剤を用いた帯電量を基準として相対比較評価した。その結果を、図3に示す。
[実施例3]
ガラス基板として、コーニング社製の液晶パネル用ガラス(商品名:EXG)100mm×100mm×厚み0.63mmのサイズで端面をC面取り加工した試料基板1を、洗浄剤1の1重量%濃度を用いた洗浄後の帯電量と、その後レジスト剥離液(長瀬産業社製レジスト剥離液N−321(2−アミノエタノール、BDG、水))で剥離処理後の試料基板1の洗浄・剥離処理した後の帯電量を測定した。それぞれの洗浄剤を用いた場合の帯電量を、基準洗浄剤を用いた帯電量を基準として相対比較評価した。その結果を、図4に示す。図4には、基準洗浄剤、洗浄剤1での洗浄処理した帯電量測定後の試料基板1の表面粗さRaを原子間顕微鏡(AFM)により測定した結果も合わせて示した。
[実施例4]
ガラス基板として、コーニング社製の液晶パネル用ガラス(商品名:EXG)100mm×100mm×厚み0.63mmのサイズで端面をC面取り加工した試料基板1を、洗浄剤1の1重量%濃度での洗浄・乾燥後、フッ酸を用い、23℃、フッ酸濃度400ppmmのHF液で100sec処理により表面粗さ0.3から0.4nmとした処理後の試料基板1の帯電量を測定した。その結果、基準洗浄剤のみによる洗浄処理した帯電量−10.8Vが、洗浄剤1の洗浄後、HF処理を加えると−1.7Vと洗浄剤1による蓄積する静電気量の低減と粗面化処理による効果が相乗した結果となった。
[比較例1]
洗浄剤6を用い、ガラス基板として、コーニング社製の液晶パネル用ガラス(商品名:EXG)100mm×100mm×厚み0.63mmのサイズで端面をC面取り加工した試料基板1を、洗浄剤6の1重量%濃度での洗浄処理をした。洗浄剤6により洗浄処理したガラス基板の接触角は33.3°と高く、洗浄性が劣っているもので、帯電量を測定するまでもなく洗浄方法に用いることができなかった。
実施例1の洗浄方法により処理したガラス帯電量測定結果1の図2によれば、洗浄剤1、洗浄剤2を用い洗浄処理したときの帯電量測定結果は、基準洗浄剤を用いたときの0.50倍、0.55倍と飽和帯電量比がほぼ半分になっており、ガラス基板に蓄積した静電気の帯電量が低減できていた。洗浄剤3を用い洗浄処理したときの帯電量測定結果は、基準洗浄剤を用いたときの0.81倍と飽和帯電量比が約2割程度低減できていた。また、各洗浄剤を用いて洗浄処理しても、洗浄後の表面粗さは0.156nmから0.169nmでほぼ粗さに変化はないといえ、パーテイクル評価においても残渣性はなく問題なかった。
実施例2の洗浄方法により処理したガラス帯電量測定結果2の図3によれば、洗浄剤1、洗浄剤4を用い洗浄処理したときの帯電量測定結果は、基準洗浄剤を用いたときの0.65倍、0.63倍と飽和帯電量比が低減されており、ガラス基板に蓄積した静電気の帯電量が低減できていた。洗浄剤5を用い洗浄処理したときの帯電量測定結果は、基準洗浄剤を用いたときの0.84倍と飽和帯電量比が約1.5割程度しか低減できておらず、帯電しにくく改質する効果は少なかった。
実施例3の洗浄剤1を用いた洗浄とレジスト剥離液により処理したガラス帯電量測定結果の図3によれば、基準洗浄剤を用い洗浄処理したときの飽和帯電比は、基準洗浄剤を用いたときの0.50倍と飽和帯電量比がほぼ半分になっており、洗浄処理によりガラス基板に蓄積する静電気量が低減できたものが、さらにレジスト剥離液による剥離処理をしても低減したままである。このことは、アレイプロセスにおける剥離液処理を経ても帯電しにくく表面改質ができたままであるといえる。
また、実施例4によれば、本洗浄方法は、フッ酸による表面粗面化による帯電しにくく改質する効果との相乗効果が奏しているといえる。本発明のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法は、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を少なくとも1種、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有するガラス用洗浄剤を用いているので、帯電しにくく表面改質できるという優れた効果を有する。
本発明は、ガラス基板の表面に付着したゴミ、パーテイクル等を除去するだけでなく、ガラス基板を静電気による帯電しにくくする表面改質を同時に行うことのできるガラス基板用の洗浄方法を提供でき、既存の洗浄処理装置を用いたフラットパネルディスプレイ用、太陽電池用、磁気ディスク用ガラス基板等を対象としたガラス基板の洗浄方法として有用である。

Claims (5)

  1. ガラス基板を、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤を少なくとも1種、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含有するガラス用洗浄剤を用い、洗浄することを特徴とするガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
  2. ガラス用洗浄剤が、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、及びアルカリ性のキレート剤のうち少なくとも1種のアルカリ成分を5.0〜20.0質量%、HLBが5.0〜10.0である非イオン界面活性剤の少なくとも1種を0.1〜2.5質量%、陰イオン界面活性剤、HLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を1.0〜20.0質量%含有し、残部水であることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
  3. アルカリ成分が、無機アルカリ剤とアルカリ性のキレート剤、又は有機アルカリ剤とアルカリ性のキレート剤からなるアルカリ成分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
  4. 陰イオン界面活性剤、及びHLBが11.0〜16.0である非イオン界面活性剤のうち、それぞれ少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。
  5. ガラス基板を、浸漬法、浸漬揺動法、超音波洗浄法、液中噴流法、スプレー法、手拭き法、枚葉式、バッチ式のいずれかのうち少なくとも1種を用い洗浄することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス基板に蓄積する静電気を低減させる洗浄方法。

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