(第一実施形態)
以下、図面を参照しつつ、第一実施形態に係る画像装置の一例を説明する。
(全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、装置本体1Aの上部に、図示しない原稿を1枚ずつ分離した状態で搬送する自動原稿搬送装置2を備えている。また、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿や図示しないプラテンガラス上に載せて原稿の画像を読み取る画像読取装置3を備えている。
この画像形成装置1は、装置本体1Aの内部に、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10で形成されたトナー像を記録媒体の一例としての記録用紙Pに転写する転写装置15とを備えている。また、画像形成装置1は、転写装置15の転写位置に供給すべき所要の記録用紙Pを収容して搬送する給紙装置50と、転写装置15で転写された記録用紙P上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、装置本体1Aは、支持構造部材や外装カバー等で形成されている。
画像形成ユニット10は、潜像像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、そのトナー像を記録用紙Pに転写する転写手段の一例としての転写装置15と、転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。また、帯電装置12には、その表面を清掃する清掃ロール121が接触するよう配置されている。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
露光装置13は、画像読取装置3で読み取られた原稿の画像情報や、画像形成装置1に外部のパーソナルコンピュータ等から入力される画像の情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像読取装置3で読み取られた原稿の画像情報や画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものである。なお、露光装置13としては、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものを用いても良い。
現像装置14は、図2に示すように、開口部と現像剤Gの収容室が形成された現像容器の一例としての装置ハウジング140を備えている。装置ハウジング140には、現像剤Gを保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤Gを攪拌しながら現像ロール141に供給するスクリューオーガー等の供給搬送部材142とが設けられている。
装置ハウジング140には、供給搬送部材142との間で現像剤Gを受け渡しつつ攪拌しながら搬送するスクリューオーガー等の搬送部材の一例である攪拌搬送部材143が設けられている。また、装置ハウジング140には、現像ロール141に保持される現像剤Gの量(層厚)を規制する層厚規制部材144が設けられており、現像剤Gとしては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。なお、現像装置14については、後に詳述する。
図1に示したように、転写装置15は、感光体ドラム11の周囲に接触し回転するとともに転写用電圧が供給される転写ロールを備えた接触型の転写装置である。転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、図2及び図3に示すように、下端面の一部が開口する容器状の本体160と、転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して現像装置14や図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。この実施の形態では、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収し、再利用装置を介して現像装置14に送り出すように構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばクリーニングブレード)が使用される。
図1に示したように、定着装置40は、表面温度が所要の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるベルト形態又はロール形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で規定の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。定着装置40は、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
給紙装置50は、画像形成ユニット10の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙Pを積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1Aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
記録用紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やOHPシート、あるいはトレーシングペーパーなどの薄紙が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙Pの表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども使用することができる。
給紙装置50と転写装置15との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙Pを転写位置まで搬送する単数(又は複数)の用紙搬送ロール対54,55や図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路56が設けられている。用紙搬送ロール対55は、例えば記録用紙Pの搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。
また、転写装置15と定着装置40との間には、転写装置15から送り出される転写後の記録用紙Pを定着装置40まで搬送するための用紙搬送路57が設けられている。さらに、装置本体1Aに形成される記録用紙Pの排出口に近い部分には、定着装置40の出口ロール43から送り出される定着後の記録用紙Pを装置本体1Aの上部に設けられた用紙排出部58に排出するための用紙排出ロール対59が配置されている。
定着装置40と用紙排出ロール対59との間には、用紙搬送路を切り替える図示しない切替ゲートを備えている。用紙排出ロール対59は、その回転方向が正転方向(排出方向)と逆転方向に切り替え可能に構成されている。記録用紙Pの両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された記録用紙Pの後端が図示しない切替ゲートを通過した後、用紙排出ロール対59の回転方向を正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替える。
用紙排出ロール対59によって逆転方向に搬送される記録用紙Pは、図示しない切替ゲートによって搬送経路が切り替えられ、装置本体1Aの側面に沿って略鉛直方向に沿うように形成された両面用搬送経路60へと搬送される。両面用搬送経路60は、表裏を反転させた状態で記録用紙Pを用紙搬送ロール対55へと搬送する複数の用紙搬送ロール対61と図示しない搬送ガイド等を備えている。
定着装置40は、定着装置40の出口ロール43から送り出される定着後の記録用紙Pを、用紙搬送ロール対62を介して装置本体1Aの上部に設けられたフェイスダウン排出用の第2の用紙排出部63に排出するための用紙排出ロール対64を上部に有する。また、定着装置40は、切替ゲート65により搬送方向を切り替えて定着後の記録用紙Pを装置本体1Aの上部側面に設けられたフェイスアップ排出用の第3の用紙排出部66に排出するための用紙排出ロール対67を有する。
図1中、符号70は画像形成装置1の装置本体1Aの左側面に開閉自在に設けられた手差しトレイを示している。手差しトレイ70と用紙搬送ロール対54との間には、手差しトレイ70に収容された記録用紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置71と、送出装置71により送り出された記録用紙Pを1枚ずつ分離する分離ロール72等が配置されている。
また、図1中符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、画像形成ユニット10、転写装置15、定着装置40等が始動する。また、画像形成動作に伴って必要に応じ、自動原稿搬送装置2によって搬送される図示しない原稿の画像やプラテンガラス上に置かれた図示しない原稿の画像が画像読取装置3により読み取られる。
そして、画像形成ユニット10では、まず感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電装置12が感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施形態ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像読取装置3で読み取られた原稿の画像情報や、画像形成装置1に入力される画像の情報を白黒成分に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される静電潜像を形成する。
続いて、現像装置14が、感光体ドラム11に形成された静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電されたトナーを現像ロール141から供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、ブラック色のトナーで現像されたモノクロのトナー像として顕像化される。
続いて、画像形成ユニット10の感光体ドラム11上に形成されたトナー像が転写位置まで搬送されると、転写装置15が、そのトナー像を記録用紙Pに転写させる。
また、転写が終了した画像形成ユニット10では、ドラム清掃装置16がトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、画像形成ユニット10は、次の作像動作が可能な状態にされる。ドラム清掃装置16で掻き取られたトナー等は、再利用装置によって現像装置14へと搬送され、再度現像に利用される。
一方、給紙装置50では、現像動作に合わせて所要の記録用紙Pを給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対55が記録用紙Pを転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給する。
続いて、感光体ドラム11からトナー像が転写された記録用紙Pは、図示しない搬送ガイドを介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に転写後の記録用紙Pを導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙Pに定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙Pは、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対59等により、装置本体1Aの上部に設置された用紙排出部58などに排出される。
記録用紙Pの両面に画像を形成する場合、片面に画像が形成された記録用紙Pを用紙排出ロール対59により用紙排出部58に排出せず、用紙排出ロール対59が記録用紙Pの後端を保持している間に当該用紙排出ロール対59の回転方向を逆転方向に切り替える。
用紙排出ロール対59により逆転方向に搬送される記録用紙Pは、図示しない切替ゲートを通過した後、用紙搬送ロール対61や図示しない搬送ガイド等を備えた両面用搬送経路60を介して表裏が反転された状態で用紙搬送ロール対55へと再度搬送される。用紙搬送ロール対55は、記録用紙Pを転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給し、記録用紙Pの裏面に画像を形成して、用紙排出ロール対59等により装置本体1Aの上部に設置された用紙排出部58などに排出する。
以上の動作により、モノクロの画像が形成された記録用紙Pが出力される。
<現像装置の構成>
図4は、本実施の形態に係る画像形成ユニット10の要部を示す拡大図であり、図5は、図4のA−A線に沿った断面図である。
画像形成ユニット10の現像装置14は、現像容器の一例としての装置ハウジング140を備えている。装置ハウジング140は、大別して、現像装置14の下部に配置される下部ハウジング140Aと、現像装置14の上部に配置される上部ハウジング140Bとにより構成されている。
装置ハウジング140の内部には、図5に示したように、非磁性トナーと磁性キャリアからなる二成分の現像剤Gを収容する現像剤収容室151が形成されている。装置ハウジング140の感光体ドラム11と対向する領域には、開口部152が設けられている。装置ハウジング140の内部には、現像剤保持体の一例としての現像ロール141が開口部152に一部が露出するよう矢印B方向に沿って回転可能に配置されている。
現像ロール141は、内部に固定して配置され、周方向に沿った所要の位置に所要極性の複数の磁極が配置されたマグネットロール141Aを備えている。また、現像ロール141は、マグネットロール141Aの外周に矢印B方向に沿って所要の回転速度で回転可能に配置される現像スリーブ141Bを有している。現像スリーブ141Bは、アルミニウムや非磁性ステンレス等からなる非磁性材料により円筒形状に形成されている。
本実施形態では、現像スリーブ141Bの回転方向が感光体ドラム11の回転方向と逆方向に設定されている。すなわち、感光体ドラム11の回転方向Aは、時計回り方向に設定されているのに対して、現像スリーブ141Bの回転方向Bは、反時計回り方向に設定されている。その結果、現像スリーブ141Bの外周面は、感光体ドラム11と対向する現像領域において、感光体ドラム11表面の移動方向と同方向に移動する。なお、現像スリーブ141Bの回転方向は、感光体ドラム11の回転方向と同方向に設定しても良い。この場合、現像スリーブ141Bの外周面は、感光体ドラム11と対向する現像領域において、感光体ドラム11表面の移動方向と逆方向に移動する。
装置ハウジング140の内部には、現像剤収容室151内に収容された現像剤Gを汲み上げて現像ロール141に供給するスクリューオーガー(サプライオーガー)等からなる供給搬送部材142が現像ロール141の斜め下方に配置されている。供給搬送部材142は、図示しない駆動装置により反時計回り方向に回転駆動される。現像ロール141の側面には、当該現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する円柱形状の層厚規制部材144が配置されている。
装置ハウジング140の内部には、当該装置ハウジング140の内部に供給される現像剤Gを攪拌しつつ搬送するスクリューオーガー(アドミックスオーガー)等からなる攪拌搬送部材143が供給搬送部材142の背面側に配置されている。攪拌搬送部材143も図示しない駆動装置によって時計回り方向に回転駆動される。
これにより、画像形成ユニット10には、現像剤Gを搬送する搬送装置300が形成されている。
供給搬送部材142及び攪拌搬送部材143は、基本構造が同様に形成されている。ここでは、代表して攪拌搬送部材143の構成について説明する。
攪拌搬送部材143は、図4及び図5に示したように、円柱形状に形成された軸部143Aと、軸部143Aの外周に螺旋状に一体的に設けられた羽根の一例である搬送羽根143Bとを備えている。
供給搬送部材142及び攪拌搬送部材143は、図6に示したように、搬送羽根143BのピッチLが、後述するトナー濃度センサー170の濃度検出部172の直径d以下とされ、本実施形態では、ピッチLは直径dより小さい。
下部ハウジング140Aは、図5に示したように、現像剤Gを搬送する供給搬送部材142及び攪拌搬送部材143を収容する為に底部が断面略半円筒形状とされ、第一搬送路302及び第二搬送路304が形成されている。第一搬送路302及び第二搬送路304は、下部ハウジング140Aに設けられた仕切り壁155により仕切られている。
供給搬送部材142及び攪拌搬送部材143は、その軸方向に沿った長さが現像ロール141よりも長い長尺に設定されている。供給搬送部材142及び攪拌搬送部材143は、その両端部が下部ハウジング140Aに回転自在に支持されている。攪拌搬送部材143の軸方向一方の端部には、図3に示したように、装置ハウジング140に角筒形状に形成された供給部158が突出するように設けられている。供給部158には、トナーカートリッジから供給された現像剤Gを、装置ハウジング140の内部に落下させて供給する供給口158Aが開口する。
装置ハウジング140の仕切り壁155には(図5参照)、その長手方向の両端部に開口部が設けられており、仕切り壁155で区画された第一搬送路302と第二搬送路304との間で現像剤Gの受け渡しが可能とされている。これにより、装置ハウジング140の一端部には、第一搬送路302から第二搬送路304へ現像剤Gの受け渡しを行う第1の通路部156が設けられている。また、装置ハウジング140の他端部には、第二搬送路304から第一搬送路302へ現像剤Gの受け渡しを行う第2の通路部157が設けられている(図3にて位置を図示)。
図3に示したように、攪拌搬送部材143によって図3中右方から左方へ攪拌されつつ搬送され軸方向の端部まで搬送された現像剤Gは、第1の通路部156を介して供給搬送部材142側へと搬送される。この現像剤Gは、供給搬送部材142によって図3中左方から右方へ搬送される間に現像ロール141へ供給される。
供給搬送部材142によって軸方向に沿った端部まで搬送された現像剤Gは、第2の通路部157を介して攪拌搬送部材143側へと搬送されて循環移動する。また、供給口158Aから装置ハウジング140の内部に供給されたトナーは、攪拌搬送部材143によって搬送される間に、装置ハウジング140の内部に収容された現像剤Gと攪拌される。
装置ハウジング140の内部には、図5に示したように、当該装置ハウジング140の内部に収容された現像剤Gのトナー濃度を検出する濃度検出部の一例としてのトナー濃度センサー170が設けられている。
トナー濃度センサー170は、略細長い扁平な直方体形状に形成されたセンサー本体171と、センサー本体171の一側面から円柱形状に突出するように形成された濃度検出部172を有している。
トナー濃度センサー170は、第二搬送路304の内部において、図3に示したように、攪拌搬送部材143の現像剤Gの搬送方向Sに沿った下流側KRの端部寄りの位置であって第1の通路部156の上流側JRに配置されている。
トナー濃度センサー170は、非磁性トナーと磁性キャリアからなる現像剤Gの透磁率を検出して磁性キャリアの量を測定して磁性キャリアが占める割合から現像剤Gのトナー濃度を検出する。
また、このトナー濃度センサー170は、図5に示したように、第二搬送路304を形成する下部ハウジング140Aの側面154Bと、断面円弧状に形成された底面154Cとの接続部分、図5中、3時位置から6時位置までの範囲内に配置されている。
具体的に説明すると、第二搬送路304を形成する下部ハウジング140Aの側面154Bと、断面円弧状に形成された底面154Cとの接続部分には、開口部154Aが設けられている。この開口部154Aの開口縁部からは、筒部154Dが外側へ向けて延び出しており、この筒部154D内には、トナー濃度センサー170の濃度検出部172が挿入され固定されている。
この濃度検出部172は、端面172Aが第二搬送路304の内面に露出するよう構成されており、濃度検出部172の端面172Aが第二搬送路304中の現像剤Gに接することで現像剤Gの濃度を検出することができる。
また、攪拌搬送部材143には、トナー濃度センサー170の濃度検出部172に対応した位置に、攪拌搬送部材143の回転に伴って現像剤Gを攪拌する板状の攪拌部材173が一体的に設けられている。
攪拌部材173は、図6に示したように、攪拌搬送部材143の軸方向に沿った隣接する搬送羽根143Bの間に、当該攪拌搬送部材143の軸方向に沿って平行に一体的に設けられた平板部から構成されている。
供給搬送部材142の駆動ギアと攪拌搬送部材143の駆動ギアとは、小型化を図るためアイドルギアを介さずに噛み合うように構成され、攪拌搬送部材143の回転方向が定められている。このため、図5に示したように、攪拌搬送部材143は、軸部143Aより濃度検出部172側の現像剤Gを攪拌部材173が濃度検出部172より上方UPから濃度検出部172側へ向けて通過させ、現像剤Gを濃度検出部172側へ掻き下げて攪拌する。
これにより、トナー濃度センサー170の濃度検出部172の前面に位置する現像剤Gを攪拌するとともに、当該トナー濃度センサー170の濃度検出部172への現像剤Gの付着(固着)を抑制する。
トナー濃度センサー170の濃度検出部172による検出箇所より現像剤Gの搬送方向Sの上流側JRには、図4に示したように、上部振動部材310が設けられている。上部振動部材310は、図5に示したように、第二搬送路304の内面を構成する上部ハウジング140Bの内面の一例である天面140B1から攪拌搬送部材143側へ延び出している。上部振動部材310は、攪拌搬送部材143の搬送羽根143B間に配置され、攪拌搬送部材143の回転に伴って振動する振動部材を構成する。
この上部振動部材310は、トナー濃度センサー170から振動部材自由端先端が搬送部材の螺旋状の羽根により振動する領域がトナー濃度センサー位置にかからない上流側に配置されている。具体的には、トナー濃度センサー170の濃度検出部172の中心部を基準として、10mm上流側に設けられている。
この上部振動部材310は、攪拌搬送部材143の回転に伴って振動すれば棒状であっても良いが、本実施形態では、その中間概念として板状部材が挙げられる。そして、その下位概念としては、平板やフィルムが挙げられる。
また、上部振動部材310を多面的に捕えると、一端部が固定された片持ち部材や、一端部が固定され自由端部が揺動可能な板バネが挙げられる。
この板状部材の材質としては、PET(ポリエチレン−テレフタラート)が挙げられ、その一例としてデュポン社のマイラーが挙げられる。また、上部振動部材310の板厚は、0.1mm〜1mmが好ましく、一例として1mmとする。
この上部振動部材310は、図4にも示したように、L字状に形成されており、天面140B1の固定される固定片312と、固定片312より垂下する垂下片314とが形成されている。これにより、上部振動部材310は、画像形成ユニット10を画像形成装置1に設置した設置状態において、上部振動部材310の垂下片314が上部ハウジング140Bの天面140B1から攪拌搬送部材143側へ向けて延び、現像剤G内に挿入されている。
この上部振動部材310の垂下片314は、図5に示したように、攪拌搬送部材143の中心部を構成する軸部143Aの上方に設けられている。また、上部振動部材310の垂下片314は、搬送方向Sを板厚方向とするとともに、搬送方向Sと交差する方向の板幅Wが攪拌搬送部材143における軸部143Aの外径寸法Dより長い幅寸法を有している。
そして、上部振動部材310における垂下片314の一側縁314Aは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより一方側である供給搬送部材142側に位置している。また、垂下片314の他側縁314Bは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより他方側である供給搬送部材142と逆側に位置している。また、上部振動部材310における垂下片314は、攪拌搬送部材143の搬送羽根143B間に配置された状態で、下縁314Cが攪拌搬送部材143の軸部143Aに接する長さを有している。
<現像装置の動作>
本実施形態に係る現像装置14は、図2に示したように、感光体ドラム11の周面に形成された静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された現像剤Gの一例であるトナーを現像ロール141から供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、ブラック色の現像剤Gで現像されたモノクロのトナー像として顕像化される。
その際、現像装置14の装置ハウジング140の内部に収容された現像剤Gは、感光体ドラム11の周面に形成された静電潜像に対し現像ロール141から現像剤Gを供給して静電的に付着させる現像工程に伴って現像剤Gが消費される。装置ハウジング140の内部に収容された現像剤Gのトナー濃度は、攪拌搬送部材143の現像剤Gの搬送方向Sの下流側KRに配置されたトナー濃度センサー170により検出される。
制御装置100は、トナー濃度センサー170により検出された装置ハウジング140内の現像剤Gのトナー濃度が所要の閾値未満になったと判定すると、トナーカートリッジから装置ハウジング140の内部にトナーを供給する。装置ハウジング140の内部に供給されたトナーは、攪拌搬送部材143の搬送羽根143Bで下流側KRへ搬送されるとともに、搬送羽根143Bに設けられた攪拌部材173によって装置ハウジング140の内部に収容された現像剤Gと攪拌される。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用について説明する。
トナー濃度センサー170の濃度検出部172による検出箇所より現像剤Gの搬送方向Sの上流側JRには、上部振動部材310が設けられており、上部振動部材310の垂下片314の下端部が攪拌搬送部材143の搬送羽根143B間に配置されている。このため、攪拌搬送部材143が回転すると、上部振動部材310の垂下片314は、攪拌搬送部材143の搬送羽根143Bに当たるとともに搬送羽根143Bを乗り越える。
すると、上部振動部材310の垂下片314は、搬送羽根143Bを乗り越える度に攪拌搬送部材143の長さ方向に振動する。これにより、垂下片314によって現像剤Gに振動(粗密振幅)を与え、トナー濃度センサー170前の現像剤Gの流動性を安定化させることができる。このとき、垂下片314は、現像剤Gを攪拌するとともに、塊になりかけた現像剤Gにあっては、その塊を崩すことができる。
したがって、現像剤Gに振動を与えずに濃度を検出する構造上濃度検出精度が低くなる場合と比して、濃度検出精度を向上することができる。
ここで、本実施形態において、トナー濃度センサー170による濃度検出精度を低下させる要因として次のものが挙げられる。
第一に、濃度検出部172前の現像剤Gを攪拌搬送部材143の攪拌部材173で攪拌する構造上、濃度検出部172の上流側JRで現像剤Gの流動性(搬送性)が低下し、攪拌部材173を境として現像剤Gの濃度差を生ずる。
第二に、攪拌搬送部材143は、攪拌部材173によって現像剤Gを濃度検出部172より上方から当該濃度検出部172側へ向けて掻き下げるため、濃度検出部172前において現像剤Gの濃度が高まる。
一方、公知構造として、トナー濃度センサー170による濃度検出精度を低下させる要因としては、次のものが挙げられる。
攪拌部材173と濃度検出部172との干渉を抑制するため、攪拌部材173と濃度検出部172間の空間を広げる公知構造では、空間内で現像剤Gの流動性が低下し誤検知が生じがちとなる。これを解消するために、攪拌部材173を弾性体で構成し濃度検出部172に接触させる構成も考案されているが、現像剤Gの噛み込みによる濃度検出部172への傷付きやトナー固着などが生じ易く維持性が課題となる。
そこで、本実施形態では、上部振動部材310で現像剤Gに粗密振幅を与えることで、現像剤Gの密度を均一化することができる。これにより、前述した構成を有するものであっても、トナー濃度センサー170による濃度検出精度を向上することができる。
そして、現像装置14の現像剤Gに振動を与えずに濃度を検出する場合と比して、現像斑を抑制することができる。また、画像形成装置1にあっては、現像剤Gに振動を与えずに濃度を検出する場合と比して、画像斑を抑制することができる。
なお、本実施形態は、感光体ドラム11からの回収トナーを画像形成ユニット10に戻す図示しない再利用装置(リクレイム機構)を有し、感光体ドラム11の付着物が混入物として現像剤Gに混入し得る。このように外部からの混入物などにより現像剤Gのかさ密度が上昇した場合においても、トナー濃度センサー170の濃度検出部172の現像剤Gの状態を安定的に制御することが可能となり検出精度が向上する。
この上部振動部材310は、設置状態で第二搬送路304の上方UPから攪拌搬送部材143側へ向けて下方DWに延びている。
このため、第二搬送路304の側面154B側から振動部材が延びる場合と比して、垂下片132Bの固定端から自由端までの距離を長くでき、耐久性を高めることができる。
この上部振動部材310は、攪拌搬送部材143の中心部を構成する軸部143Aの上方に設けられている。
このため、上部振動部材310が攪拌搬送部材143の軸部143Aからずれた位置に設けられている場合と比して、第二搬送路304の中心部で現像剤Gに振動を与えることができる。
また、上部振動部材310は、搬送方向Sと交差する方向の板幅Wが攪拌搬送部材143における軸部143Aの外径寸法Dより長い幅寸法を有した板状である。
このため、上部振動部材310が攪拌搬送部材143の軸部143Aの外径寸法Dより狭い板状の場合と比して、広範囲に振動を与えることができる。
そして、上部振動部材310の一側縁314Aは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより一方側に位置し、上部振動部材310の他側縁314Bは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより他方側に位置する。
このため、上部振動部材310の側縁部が攪拌搬送部材143の軸部143Aより一方側にしか延び出さない場合と比して、軸部143Aの両側の現像剤Gに振動を与えることができる。
また、上部振動部材310における垂下片314は、攪拌搬送部材143の搬送羽根143B間に配置された状態で、下縁314Cが攪拌搬送部材143の軸部143Aに接する。
このため、上部振動部材310が攪拌搬送部材143の軸部143Aに接しない場合と比して、上部振動部材310の反復振動を抑え、はじき音を低減することができる。
攪拌搬送部材143は、回転に伴って現像剤Gを攪拌する攪拌部の一例である攪拌部材173がトナー濃度センサー170濃度検出部172に対応する部位であって螺旋状に形成された搬送羽根143Bの間に設けられている。また、攪拌搬送部材143は、搬送羽根143Bの間に設けられた攪拌部材173によって、軸部143Aより濃度検出部172側の現像剤Gを濃度検出部172より上方から当該濃度検出部172側へ向けて掻き下げて攪拌する。
このような構造にあっては、前述したように、攪拌搬送部材143の攪拌部材173が現像剤Gを濃度検出部172側へ掻き下げるため、濃度検出部172前において現像剤Gの濃度が高まり、濃度検出精度が低下しがちである。
このように、攪拌部材173が現像剤Gを濃度検出部172側へ掻き下げる構造において、上部振動部材310を有しない場合と比して、濃度検出精度を向上することができる。
このとき、トナー濃度センサー170による検出精度を向上するためにアイドルギアを追加して攪拌搬送部材143を逆転させ現像剤Gを掻き上げ方向に回転させる場合と比して、小型化及び低コスト化を図ることができる。
(比較例での検出結果)
図7は、上部振動部材を備えない搬送装置において、トナー濃度センサー170による検出結果を示す図であり、実際の現像剤Gのトナーとキャリアとの比(実TC)と、トナー濃度センサー170で検出されたトナーとキャリアとの比(検知TC)とが示されている。
TCダウンは、トナーの割合を減少させた場合の変化を示し、TCアップは、トナーの割合を増加した場合の変化を示す。また、TC戻しは、トナーの割合を減少させた後、増加して戻した場合の変化を示す。
この比較例では、実際のトナーとキャリアとの比(実TC)が10%以上の際に、実際のトナーとキャリアとの比(実TC)より、トナー濃度センサー170で検出されたトナーとキャリアとの比(検知TC)が低く表れることが分かる。
(実施形態での検出結果)
一方、図8は、上部振動部材310を備えた本実施形態の搬送装置300において、トナー濃度センサー170による検出結果を示す図であり、実際のトナーとキャリアとの比(実TC)と、トナー濃度センサー170で検出されたトナーとキャリアとの比(検知TC)とが示されている。
前述と同様に、TCダウンは、トナーの割合を減少させた場合の変化を示し、TCアップは、トナーの割合を増加した場合の変化を示す。また、TC戻しは、トナーの割合を減少させた後、増加して戻した場合の変化を示す。
本実施形態において、実際のトナーとキャリアとの比(実TC)と、トナー濃度センサー170で検出されたトナーとキャリアとの比(検知TC)とが、TCダウン、TCアップ、及びTC戻しの総てにおいて、比較例と比べて誤差が小さい。
(第二実施形態)
図9及び図10は、第二実施形態を示す図であり、第一実施形態と同一又は同等部分については同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置1の画像形成ユニット10に係る搬送装置300では、第一実施形態と比較して、攪拌搬送部材143の回転に伴って現像剤Gに振動を付与する振動部材の固定位置が異なる。
すなわち、この搬送装置300は、第二搬送路304内の現像剤Gに振動を付与する側部振動部材320を備えている。
この側部振動部材320は、板状であり、材質は、PET(ポリエチレン−テレフタラート)が挙げられ、その一例としてデュポン社のマイラーが挙げられる。また、側部振動部材320の板厚は、0.1mm〜1mmが好ましく、一例として0.1mmとする。
側部振動部材320は、図9に示したように、固定片322と、固定片322の縁から延出した延出片324とによってL字状に形成されている。側部振動部材320の固定片322は、図9及び図10に示すように、トナー濃度センサー170の濃度検出部172と逆側に位置する仕切り壁155の内面155Aに固定されている。側部振動部材320の延出片324は、画像形成ユニット10を画像形成装置1に設置した設置状態において、仕切り壁155の内面155Aから攪拌搬送部材143側へ延びる。
側部振動部材320は、搬送方向Sと交差する方向の上下方向の板幅Wが攪拌搬送部材143の中心部を構成する軸部143Aの外径寸法Dより長い幅寸法を有した板状である。側部振動部材320は、下縁部が現像剤G内に挿入されるとともに、延出片324の下縁324Aが攪拌搬送部材143の軸部143Aより下方に位置する。
側部振動部材320の延出片324の上縁324Bは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより上方に位置し、延出片324の上縁部は、現像剤Gより上方に延出する。また、側部振動部材320は、延出片324の先端縁324Cが攪拌搬送部材143の軸部143Aに接する長さを有している。
本実施形態にあっても、振動部材が上方UPにある場合の効果を除いて、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、側部振動部材320は、設置状態で仕切り壁155の内面155Aから側部振動部材320側へ延びる。
このため、第二搬送路304の内面の上方から振動部材が延びる場合と比して、現像剤G中に位置する部分を大きくすることができる。
また、側部振動部材320は、トナー濃度センサー170の濃度検出部172が設けられた内面の部位と逆側に位置する仕切り壁155の内面155Aに設けられている。
このため、濃度検出部172が設けられた側面154Bに側部振動部材320が設けられた場合と比して、トナー濃度センサー170による検出への影響を抑制し、濃度検出精度を向上することができる。
また、側部振動部材320は、搬送方向Sと交差する方向の上下方向の板幅Wが攪拌搬送部材143の中心部を構成する軸部143Aの外径寸法Dより長い幅寸法を有した板状である。
このため、側部振動部材320が攪拌搬送部材143の軸部143Aの外径より狭い板状の場合と比して、広範囲に振動を与えることができる。
側部振動部材320の延出片324の上縁324Bは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより上方に位置し、側部振動部材320の延出片324の下縁324Aは、攪拌搬送部材143の軸部143Aより下方に位置する。
このため、側部振動部材320の一方の縁部が攪拌搬送部材143の軸部143Aより上方又は下方へ延び出さない場合と比して、軸部143Aより上方及び下方の現像剤Gに振動を与えることができる。
なお、各実施形態では、L字状に形成された各振動部材310、320の固定片312、322を壁面に固定し、垂下片314や延出片324を攪拌搬送部材143へ向けて延ばしたが、これに限定されるものではない。例えば、壁面から直接垂下片314や延出片324を攪拌搬送部材143へ向けて延ばしても良い。