JP2019078662A - 穿孔ナビゲーション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発破直後のトンネル内空壁面の位置情報を安全に取得可能な穿孔ナビゲーション装置を提供する。【解決手段】穿孔ナビゲーション装置1は、穿孔位置算出部32で算出したロックボルト孔Lの穿孔位置情報に基づいて、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面(SまたはH)の推測断面情報を算出する内空壁位置算出部33と、内空壁位置算出部33で算出した推測断面情報から推測断面をモニタ2に表示させる表示実行部34と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、トンネルの施工作業を支援する穿孔ナビゲーション装置に関する。
従来、移動台車に設けられたブームと、ブームに設けられた穿孔機とを備えた穿孔装置を用いて行われる、トンネルの施工作業を支援する穿孔ナビゲーション装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の穿孔ナビゲーション装置では、発破工法を用いたトンネル工事において、トンネル延長方向における切羽の位置、移動台車の位置、姿勢および向きの情報等、各種情報に基づいて装薬孔の穿孔位置を算出し、算出した装薬孔の位置を表示するようになっている。
特開2015−230189号公報
ところで、発破工法を用いたトンネル工事において、発破後のトンネル内空壁を測量し記録することは、発破の成否を判断するとともに、今後の発破計画の改良にも役立てることができる重要な情報である。これに対し、特許文献1に記載の穿孔ナビゲーション装置では、装薬孔の穿孔位置を算出し得るものの、発破後のトンネル内空壁の位置までは算出できないという問題がある。
一方、一般的に、発破直後のトンネル内空壁は崩壊し易いことから早期に閉合が求められる。そのため、トンネル内空壁を測量する時間が十分にとれない上、人が切羽近傍に立ち入ることを避ける目的から、トンネル内空壁の測量を人が行うことが困難であるという問題がある。また、コンクリート吹付後の内空断面の情報も、その後の覆工作業において重要な情報となるため、記録することが望ましい。しかし、それらを測量すると時間がかかるので実際に行うのは困難であった。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の位置情報を安全に取得可能な穿孔ナビゲーション装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る穿孔ナビゲーション装置は、移動台車に設けられたブームと、該ブームに設けられてロックボルト孔を穿孔可能な穿孔機と、を備えた穿孔装置を用いて行われる、トンネルの施工作業を支援する穿孔ナビゲーション装置であって、トンネルの閉合部に対するロックボルト孔の穿孔時に取得された穿孔位置情報に基づいて、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の推測断面情報を算出する内空壁位置算出部と、前記内空壁位置算出部で算出した推測断面情報から推測断面の画像をモニタに表示させる表示実行部と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る穿孔ナビゲーション装置によれば、トンネルの閉合部に対する各ロックボルト孔の穿孔時に取得された穿孔位置情報に基づいて、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の推測断面情報を算出し、その算出した推測断面情報から推測断面の画像をモニタに表示するので、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の位置情報を安全に取得し、これを用いてトンネルの施工作業を支援することができる。
上述したように、本発明によれば、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の位置情報を安全に取得し、これを用いてトンネルの施工作業を支援できる。
本発明の一態様に係る穿孔ナビゲーション装置の一実施形態の概略構成を示す概念図である。 本発明の一態様に係る穿孔ナビゲーション装置のモニタの表示例を示す正面図である。 ロックボルト孔を穿孔装置で穿孔しているイメージを示す概念図である。 図3のA部拡大図であって、閉合部に対するロックボルト孔の穿孔開始位置と発破直後のトンネル内空壁の横断面との関係を説明する図である。 発破直後のトンネル内空壁の横断面の一例を表す概念図である。 発破直後のトンネル内空壁をコンクリート吹付けによる閉合後のトンネルの横断面の例を表す概念図である。 発破直後のトンネル内空壁の横断面と計画断面を示すとともに、「余掘り」と「あたり」の定義を説明するための図である。 ロックボルト孔を穿孔中のトンネルの横断面の一例を示す概念図である。 ロックボルト孔を穿孔後のトンネルの横断面の一例を示す概念図である。 ロックボルトが施工されたトンネルの横断面の一例を示す概念図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置は、トンネルの施工作業を支援するための装置であり、特に、本実施形態では、発破直後のトンネル内空壁の閉合に際し、支保工を用いずに、一定厚さの吹付けコンクリートを施工して素掘り部分を閉合するトンネルの施工作業に適用する例である。
なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
図1に示すように、本実施形態の穿孔ナビゲーション装置1は、切羽Kの周壁面の閉合部Hに対し、ロックボルト孔を穿孔するための作業用車両(以下、「穿孔装置4」とも呼ぶ)に搭載される。穿孔装置4は、移動台車5と、移動台車5に設けられて複数の可動部(後述)を有するブーム6と、ブーム6に設けられて穿孔機7を搭載するガイドセル8とを備える。
ブーム6は、ブーム6を水平方向に揺動させるブームスイング9(以下、「第1の可動部9」とも呼ぶ)と、ブーム6を前後に進退動させるブームスライド10(以下、「第2の可動部10」とも呼ぶ)と、ガイドセル8を水平方向に揺動させるガイドスイング11(以下、「第3の可動部11」とも呼ぶ)と、ガイドセル8を垂直方向に揺動させるガイドチルト12(以下、「第4の可動部12」とも呼ぶ)と、ガイドセル8を前後に進退動させるガイドスライド13(以下、「第5の可動部13」とも呼ぶ)とを有する。
第1〜第5の可動部9〜13のそれぞれは、後述する電動モータ19で駆動される油圧ポンプ18から供給される油圧によって駆動される。これにより、ブーム6は、穿孔装置4のオペレータの操作に応じて、穿孔機7の位置および姿勢を変更可能に構成されている。
穿孔機7は、先端部に穿孔用ビットが設けられた穿孔ロッド14と、穿孔ロッド14の後端部に打撃を付与するドリフタ15とを有する。穿孔機7には、穿孔機7を前後方向(つまりロッド軸方向)に進退動させるフィーダ16が配置されている。これにより、穿孔機7は、オペレータの操作に応じて、穿孔ロッド14の後端部にドリフタ15で打撃力を付与するとともに、前方向に移動することで切羽Kの周壁面の閉合部Hにロックボルト孔Lを穿孔可能になっている。
これにより、オペレータは、穿孔装置4を操作し、穿孔ロッド14の先端を切羽Kの周壁面の閉合部Hに押し当てる動作と、穿孔ロッド14の後端に打撃を付与するとともに穿孔機7を前方向に移動させる動作とを繰り返すことで、閉合部Hに対して複数のロックボルト孔Lを穿孔可能となっている。また、穿孔装置4は、モータ起動スイッチ17と、油圧ポンプ18とを有する。
モータ起動スイッチ17は、油圧ポンプ18の起動時(つまり第1〜第5の可動部9〜13に駆動を開始させるとき)にオペレータが押圧するスイッチである。モータ起動スイッチ17は、オペレータが押圧すると、油圧ポンプ18を起動させる信号(以下、「起動信号」とも呼ぶ)を電動モータ19とコントローラ3(後述)とに出力する。
油圧ポンプ18は、電動モータ19によって駆動され、第1〜第5の可動部9〜13に設けられた油圧シリンダ等に油圧を供給するポンプである。電動モータ19は、モータ起動スイッチ17から起動信号が出力されると、油圧ポンプ18の駆動を開始し、コントローラ3から停止信号(後述)が出力されると、油圧ポンプ18の駆動を終了する。
また、本実施形態の穿孔ナビゲーション装置1は、相対情報取得部20〜24と、始動操作検出部25と、位置記憶部26と、モニタ2と、コントローラ3とを備える。相対情報取得部20〜24は、移動台車5に対する穿孔機7のビットの位置(すなわちビットの相対位置)、姿勢および向きに関する情報(以下、「相対情報」とも呼ぶ)を取得する。そして、相対情報取得部20〜24は、取得した相対情報をコントローラ3に出力する。
例えば、相対情報取得部20(以下、「水平角検出部20」とも呼ぶ)は、第1の可動部9に配され、ブーム6の水平方向への揺動角を検出し、その検出結果をコントローラ3に出力する。また、相対情報取得部21(以下、「水平角検出部21」とも呼ぶ)は、第3の可動部11に配され、ガイドセル8の水平方向への揺動角を検出し、その検出結果をコントローラ3に出力する。
また、相対情報取得部22(以下、「垂直角検出部22」とも呼ぶ)は、第4の可動部12に配され、ガイドセル8の垂直方向への揺動角を検出し、その検出結果をコントローラ3に出力する。さらに、相対情報取得部23(以下、「進退量検出部23」とも呼ぶ)は、第2の可動部10に配され、ブーム6の前後方向への進退量を検出し、その検出結果をコントローラ3に出力する。また、相対情報取得部24(以下、「進退量検出部24」とも呼ぶ)は、フィーダ16に配され、ガイドセル8の前後方向への進退量を検出し、その検出結果をコントローラ3に出力する。
位置記憶部26は、穿孔作業中に穿孔されたロックボルト孔Lの穿孔位置を記憶する。閉合部Hに対するロックボルト孔Lの穿孔位置としては、例えば、ロックボルト孔Lの穿孔位置の座標データおよび穿孔角度のデータを用いることができる。モニタ2は、オペレータから視認可能な位置に配置され、コントローラ3が生成した画像(例えば、図2に示すように、切羽Kの鏡への装薬孔の穿孔作業を支援するための画像)を表示する。
コントローラ3は、モータ起動スイッチ17、水平角検出部20、21、垂直角検出部22、進退量検出部23、24、始動操作検出部25、位置記憶部26およびモニタ2に接続されたマイコンである。コントローラ3は、油圧検出部30、情報取得部31、穿孔位置算出部32、表示実行部34、記憶実行部35および停止部36等のハードウェア資源を論理的に備えている。
図1に示す例では、油圧検出部30、情報取得部31、穿孔位置算出部32、表示実行部34、記憶実行部35、停止部36および内空壁位置算出部33等は、論理的な機能に着目したハードウェア資源を形式的に表現している。すなわち、図1の表現は、必ずしも半導体チップ上に物理的な領域として独立存在する機能ブロックを意味するものではない。
なお、この穿孔ナビゲーション装置1では、油圧検出部30が、ブーム6の第1〜第5の可動部9〜13を駆動させる油圧ポンプ18の稼働状態を検出するが、他の構成を採用することもできる。例えば、穿孔装置4、つまり、ブーム6や穿孔機7を備える装置(例えばドリルジャンボ等の作業用車両)を駆動させる油圧ポンプの稼働状態を検出するものであればよく、穿孔機7のドリフタ15やフィーダ16を駆動させる油圧ポンプの稼働状態を検出する構成としてもよい。
また、例えば、油圧ポンプ18が、ブーム6の第1〜第5の可動部9〜13に加え、穿孔機7のドリフタ15やフィーダ16にも油圧を供給することから、ブーム6の第1〜第5の可動部9〜13、穿孔機7のドリフタ15、フィーダ16を駆動させる油圧ポンプ18の稼働状態を検出する構成を採用できる。
情報取得部31は、油圧検出部30で油圧ポンプ18の稼働状態から、起動操作を検出すると、トンネル延長方向における切羽Kの位置の情報と、移動台車5の位置、姿勢および向きの情報とを送信させる信号(以下、「送信要求信号」とも呼ぶ)をトンネル用総合測量システム40に送信する。これらの情報を、以下、「演算用情報」とも呼ぶ。
切羽Kの位置としては、例えば、トンネル起点(0[m])からのトンネル進行長を用いることができる。また、穿孔装置4の位置としては、例えば、穿孔装置4の座標データを用いることができる。情報取得部31とトンネル用総合測量システム40との間の信号等の送信は、例えば、無線LAN(Local Area Network)による無線通信を用いて行われる。
ここで、トンネル用総合測量システム40は、トンネル坑内に設置されたトータルステーション41と、情報取得部31から送信要求信号が送信されるとトータルステーション41に演算用情報を測定させ、測定された演算用情報をコントローラ3(情報取得部31)に送信する演算制御部42とを有する。トンネル用総合測量システム40としては、例えば、特許第3418682号公報で開示されたものを用いることができる。
穿孔位置算出部32は、情報取得部31で取得した演算用情報と、水平角検出部20、21、垂直角検出部22および進退量検出部23、24の各検出結果(つまり、相対情報取得部20〜24で取得した相対情報)とに基づき、閉合部Hに対するロックボルト孔Lの穿孔位置の座標および穿孔角度を穿孔情報として算出する。さらに、穿孔情報算出部32は、油圧検出部30で検出された、ドリフタ15に供給される随時の油圧データを取得し、随時の穿孔位置座標の情報とそのときにドリフタ15に供給されている油圧データとを紐付して穿孔情報とする。
ここで、ドリフタ15に供給される随時の油圧データは、そのときに単位体積を破砕するために使用した穿孔エネルギ値に対応する。よって、随時の穿孔位置座標の情報とそのときにドリフタ15に供給されている油圧データとを紐付して記憶することにより、その穿孔位置座標での単位体積を破砕するために使用した穿孔エネルギ値が判る。
そして、穿孔位置算出部32は、算出したロックボルト孔Lの穿孔情報を表示実行部34に出力する。表示実行部34は、穿孔位置算出部32で算出したロックボルト孔Lの穿孔位置情報に基づき、図2に示すように、ロックボルト孔Lの穿孔位置の画像をモニタ2に表示させる。
なお、図2に示す表示例では、後述する内空壁位置算出処理で生成され、閉合部Hに対する複数のロックボルト孔Lの穿孔結果から算出した、トンネル内空壁Sの推測断面Gと計画断面Pとを比較可能に重畳表示し、併せて、これから切羽の鏡に対して穿孔する装薬孔の穿孔パターンを重畳表示している例である。同図では、装薬孔の開口部の位置が四角形状の図形「□」で表され、装薬孔の向きが図形「□」から延びている直線で表されている。
さらに、穿孔エネルギ値を監視することにより、当然に、コンクリート吹付後のトンネル内空壁面(つまり、閉合部Hの表面)の位置をも取得することができる。よって、本実施形態では、コンクリート吹付後の内空断面情報も併せて取得するとともに、表示実行部34は、コンクリート吹付後の内空断面情報をモニタ2に、単動または上記トンネル内空壁Sの推測断面Gと計画断面Pとを比較可能に重畳表示可能になっている(例えば図6参照)。
記憶実行部35は、穿孔位置算出部32で算出したロックボルト孔Lの穿孔位置情報を位置記憶部26に記憶させる。位置記憶部26に記憶された穿孔位置情報は、発破直後のトンネル内空壁面Sの推測断面Gを算出、およびコンクリート吹付後の内空断面情報の算出に用いる他、穿孔結果の解析に用いる。
内空壁位置算出部33は、内空壁位置算出処理を実行し、発破後のトンネル内空壁Sおよび閉合部Hの表面を、ロックボルト孔Lの穿孔位置情報から推測断面Gおよび閉合部Hの表面位置情報としてそれぞれ算出する。なお、本実施形態では、推測断面Gの算出条件として、閉合部Hに対して支保工が入らないトンネルを条件としている。
詳しくは、支保工が入らないトンネル断面であっても、通常、落石防止のために、一定厚さの吹付けコンクリートを施工して素掘り部分を閉合する。ここで、吹付けコンクリートの厚さtは、既知の値であり、また、支保が変更とならない限り、近似的に一定とみなすことができる。そのため、その閉合部Hの表面は、おおよそ発破直後のトンネル内空壁Sの形状を現わしているとみなせる。
一方、上述したように、本実施形態の穿孔ナビゲーション装置1が装備された穿孔装置4によれば、ロックボルト孔Lの穿孔を行った場合、その穿孔開始位置の座標および穿孔角度等のロックボルト孔Lの穿孔位置情報は、システムの位置記憶部26に記録されているので、その座標および穿孔角度を容易に確認することができる。
今、図4において、トンネルの閉合部Hに対するロックボルト孔Lの穿孔開始位置の座標を(Y1,Z1)、ロックボルト孔Lの穿孔時に、発破直後のトンネル内空壁面Sである発破後断面に到達した位置座標(つまり、内空壁座標)を(Y2,Z2)、Y軸とロックボルト孔Lの穿孔方向との穿孔角度をθ、閉合部Hの吹付けコンクリートの厚さをtとしたときに、以下の(式1、式2)が成り立つ。
Y2=Y1+t×cosθ (式1)
Z2=Z1+t×sinθ (式2)
ここで、本実施形態の内空壁位置算出処理では、推測断面Gの算出条件として、閉合部Hに対して支保工が入らないトンネルを前提とするところ、閉合部Hの吹付けコンクリートの厚さtは、上記のように、一定(t=constant)とみなすことができ、また、その厚さは既知の情報である。よって、本実施形態の内空壁位置算出処理では、穿孔開始位置の座標(Y1,Z1)および穿孔角度θを穿孔位置情報とし、(式1、式2)から内空壁座標(Y2,Z2)を周方向に放射状に穿孔される複数のロックボルト孔Lの全ての位置で算出する。そして、その算出された発破後断面Sに到達した位置座標(Y2,Z2)相互を、直線または回帰スプライン等による曲線で締結すれば、発破直後のトンネル内空壁面に近似する推測断面情報を取得できる。
本実施形態の内空壁位置算出部33は、この手順に従い、閉合部Hに対してロックボルト孔Lを穿孔するときの穿孔位置情報に基づいて、発破直後のトンネル内空壁面Sの推測断面情報を算出する。そして、表示実行部34は、図2にも示すように、内空壁位置算出部33で算出した推測断面情報から推測断面Gの画像をモニタに表示させる。同図に示す例では、上述したように、推測断面Gの画像とともに計画断面Pの画像、およびこれから切羽の鏡に対して穿孔する装薬孔の穿孔パターンを併せて重畳表示している。
ここで、常にビットの座標と穿孔エネルギをひも付けして記録することにより、穿孔エネルギ値が、コンクリートから岩盤に変化したと考えられる変化点がわかるので、おのずとコンクリートと岩盤の境界点の座標もわかることになる。また、穿孔開始点についても同様であり、ほぼ無負荷の状態から穿孔エネルギー値が急激に上昇したときの位置情報から閉合部Hの表面位置情報、つまり、コンクリート吹付後の内空断面情報を取得できる。そのため、ロックボルト孔Lの穿孔開始位置の座標(Y1,Z1)から、その位置座標相互を、直線または曲線で締結することにより、コンクリート吹付後のトンネル内空壁面に近似する推測断面情報(内空断面情報)を取得できる。よって、穿孔作業をしなくても、ガイドシェルを内空壁にタッチするだけで推測断面情報を取得できる。
本実施形態の内空壁位置算出部33は、閉合部Hに対して各ロックボルト孔Lを穿孔するときの穿孔情報に基づいて、発破直後のトンネル内空壁面Sの推測断面情報、および閉合部Hの表面位置情報を算出する。そして、表示実行部34は、図2にも示すように、内空壁位置算出部33で算出した推測断面情報から推測断面Gの画像をモニタに表示させる。同図に示す例では、上述したように、推測断面Gの画像とともに計画断面Pの画像、およびこれから切羽の鏡に対して穿孔する装薬孔の穿孔パターンを併せて重畳表示している。また、閉合部Hの表面位置情報を併せて表示可能になっている。
(動作)
次に、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1の動作および作用効果を説明する。
ところで、トンネルの施工作業では、まず、地山に装薬孔をさく孔をし、その装薬孔内に爆薬を装薬して発破し、その後にズリ出しを行う。これにより、図5に示すように、切羽の未閉合部には、発破直後のトンネル内空壁面Sが形成される。そして、発破されたトンネル内空壁Sに対しては、迅速なコンクリートの吹付け作業が行われ、図6に示すように、トンネル内空壁面Sが閉合部Hにより閉合される。
ここで、図7に示すように、トンネルの計画断面Pに対し、発破により形成されるトンネル内空壁面Sには、余掘り部(計画断面Pに対して凹の部分)やあたり部(計画断面Pに対して凸の部分)が生じ得る。そして、その余掘り量やあたり量を所定以内に管理することは、発破の施工品質を向上する上で極めて重要である。一方、上述したように、発破直後のトンネル内空壁は崩壊し易いことから早期に閉合が求められる。そのため、トンネル内空壁を測量する時間が十分にとれない上、人が切羽近傍に立ち入ることを避ける目的から、トンネル内空壁の測量を人が行うことが困難である。
これに対し、本実施形態では、コントローラ3は、ロックボルト孔Lの穿孔位置情報の取得処理とともに、内空壁位置算出処理を常に自動的に実行し、これにより、これまで取得困難であった内空壁の形状情報を安全に取得可能であり、また、その結果をモニタに表示することで、これまで以上に精密な発破施工を実施可能である。
具体的には、本実施形態では、閉合部Hにロックボルト孔Lを穿孔するに際し、ブーム6の第1〜第5の可動部9〜13を駆動可能とするために、オペレータは、モータ起動スイッチ17を押圧する。これにより、モータ起動スイッチ17が起動信号を電動モータ19とコントローラ3とに出力する。起動信号が出力されると、電動モータ19が、油圧ポンプ18の駆動を開始する。
これにより、穿孔機7のドリフタ15およびフィーダ16、並びに、ブーム6の第1〜第5の可動部9〜13が駆動可能な状態となる。そして、コントローラ3は、情報取得信号をトンネル用総合測量システム40の演算制御部42に送信する。情報取得信号が送信されると、演算制御部42が、トータルステーション41に移動台車5の位置等の演算用情報を測定させ、測定された演算用情報をコントローラ3に送信する。
演算用情報が送信されると、コントローラ3は、送信された演算用情報を取得し、取得した演算用情報と、水平角検出部20、21、垂直角検出部22および進退量検出部23、24の各検出結果、並びに、油圧検出部30による油圧の検出結果に基づき、閉合部Hに対するロックボルト孔Lの穿孔位置の座標および穿孔角度、並びに、そのときにその座標での単位体積を破砕するために使用した穿孔エネルギ値を算出する。
これにより、コントローラ3は、図8に穿孔途中のイメージを示すように、トンネル内空壁Sの周方向に放射状に穿孔される各ロックボルト孔Lの穿孔位置の座標および穿孔角度を穿孔位置情報として取得できる。また、そのとき要した穿孔エネルギを穿孔情報として取得できる。そして、コントローラ3は、穿孔位置情報を位置記憶部26に記憶させる。そして、コントローラ3は、図2に示したように、モニタ2に各ロックボルト孔Lの穿孔位置の画像を表示して、これをオペレータに視認させ、ロックボルト孔Lの穿孔作業を支援することができる。
さらに、本実施形態のコントローラ3は、内空壁位置算出部33が、ロックボルト孔Lが穿孔された全ての位置で、上述した内空壁位置算出処理を実行し、各ロックボルト孔Lが発破後断面に到達した位置座標を直線または回帰スプライン等による曲線で締結して、近似の内空壁情報を取得することができる。
これにより、図9に示すように、所定のロックボルト孔Lが総て穿孔されると、本実施形態のコントローラ3は、各ロックボルト孔Lの穿孔結果の記録から、発破後のトンネル内空壁Sと交じわる点の座標を上記(式1,式2)で求め、その算出された位置座標相互を、直線または回帰スプライン等の曲線で締結することにより、発破直後のトンネル内空壁面Sに近似する推測断面情報を安全に取得することができる。
そして、コントローラ3は、図2に示したように、トンネル内空壁Sの推測断面Gの画像と計画断面Pの画像とを比較可能に重畳表示し、併せて、これから切羽の鏡に対して穿孔する装薬孔の穿孔パターンを重畳表示することができる。これにより、これまで取得困難であった内空壁の形状情報を安全に取得可能であり、また、その結果をモニタ2に表示することで、これまで以上に精密な発破施工を実施できる。
また、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、発破直後およびコンクリート吹付後のトンネル内空壁面(符号SおよびHに対応する面)の推測断面情報の取得の他、所定のロックボルト孔Lの穿孔後には、図10に示すように、各ロックボルト孔Lに対してロックボルトLBがそれぞれ打設されるところ、このロックボルトLBの打設表示や、これから打設されるロックボルトLBの位置等を併せて重畳表示することも可能となる。よって、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、トンネルの施工作業をより総合的に支援する上で極めて優れている。
例えば、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、発破直後のトンネル内空壁面Sの推測断面情報に基づき、掘削断面を把握できる。そのため、余掘りをより正確に把握して、次回の発破時に、穿孔位置や角度を修正して余掘りを低減することができる。また、覆工コンクリートの出来は覆工前の凸凹に影響されるところ、余掘りをより正確に把握し(つまり覆工前の形状をより正確に把握し)、これにより、従前の工程での問題点を次回の同工程では改善して、覆工背面の凹凸を減らすことができる。よって、覆工厚を均一化して拘束ひび割れを防止または抑制することができるという優れた効果を奏する。
また、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、例えば「コンクリート吹付後のトンネル内空壁面(閉合部Hに対応する面)の推測断面情報」と「発破直後のトンネル内空壁面Sの推測断面情報」とから、吹付け断面の形状や厚さを把握できるため、覆工コンクリート量を推定して、支保工設置や吹付け設置が間違っていないかをチェックすることができる。また、吹付け面の凹凸による防水シートの設置基準に適合するか否かをチェックすることができる。さらに、計測工としてトンネル全周の変状を把握することができる。
さらに、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、吹付け断面の形状や厚さを把握できることから、吹付け全周巻き厚が確保できているか否かを確認できる。また、吹付け厚から吹付け量を推定することにより、余吹率やリバウンド率をより正確に計算して、吹付け配合の変更を行うための資料とすることができる。
つまり、吹付コンクリートは、その全てが閉合部に付着するわけではなく、一部は落下してしまう。これを「リバウンド」と呼ぶが、「リバウンド」は、いわゆる材料ロスとなる。ここで、吐出した総コンクリートの量とリバウンドとの比を「リバウンド率」と呼ぶところ、通常は、リバウンド率は推測値である。
これに対し、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、総コンクリートの量は既知であり、さらに、コンクリート吹付け後のトンネル内空壁面形状と吹付け前のトンネル内空壁面(つまり発破直後のトンネル内空壁面S)の形状との差から閉合部に付着したコンクリート量が判るので、リバウンド率をより正確に求めることができるという優れた効果を奏する。
以上説明したように、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1は、閉合部に対してロックボルト孔Lを穿孔したときの穿孔位置情報に基づいて、発破直後およびコンクリート吹付後のトンネル内空壁面(SおよびH)の推測断面情報の少なくとも一方を算出し、その算出した推測断面情報から推測断面G等の画像をモニタ2に表示させるので、発破直後のトンネル内空壁面Sの位置情報を安全に取得できる。
なお、本発明に係る穿孔ナビゲーション装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1では、内空壁位置算出部33は、ロックボルト孔の穿孔位置情報の取得処理とともに、内空壁位置算出処理を常に自動的に実行する例を示したが、これに限らず、ロックボルト孔の穿孔位置情報の取得処理とは独立して、内空壁位置算出処理を実行してもよい。例えば、オペレータが実行命令を入力したときに実行するようにすることができる。
また、例えば上記実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1では、穿孔位置算出部32が、情報取得部31で取得した演算用情報と、相対情報取得部20〜24で取得した相対情報とに基づき、ロックボルト孔Lの穿孔位置および穿孔角度を算出する例を示したが、他の構成を作用してもよい。
また、例えば穿孔位置算出部32が、情報取得部31で演算用情報の取得を完了する前に穿孔装置4で穿孔作業が開始された場合には、情報取得部31で過去に取得した演算用情報(例えば、前回取得した演算用情報)と相対情報とに基づき、ロックボルト孔Lの穿孔位置および穿孔角度を算出してもよい。
この場合、記憶実行部35が、過去に取得した演算用情報に基づいて算出したロックボルト孔Lの穿孔位置および穿孔角度(以下、これらを「仮算出位置」とも呼ぶ)を位置記憶部26が記憶している場合には、情報取得部31で演算用情報の取得を完了した後に、取得を完了した演算用情報に基づき位置記憶部26が記憶している仮算出位置の修正を行うようにする。
これにより、本変形例に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、例えば、トータルステーション41による移動台車5の位置等の測量が完了する前、つまり演算用情報の取得が完了する前に、穿孔作業が開始され、位置記憶部26に不確かなロックボルト孔Lの穿孔位置および穿孔角度が記憶されても、位置記憶部26が記憶しているロックボルト孔Lの穿孔位置情報の精度を向上できる。
また、上記実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1では、水平角検出部20、21、垂直角検出部22および進退量検出部23、24を備え、これらの検出部20〜24の検出結果(相対情報)と演算用情報とに基づいて、ロックボルト孔Lの穿孔位置および穿孔角度を算出する例を示したが、これに限らず、他の構成を採用することもできる。例えば、検出部20〜24に代え、第1〜第5の可動部9〜13、およびフィーダ16の動作状態を検出するセンサを備え、これらのセンサの検出結果と演算用情報とに基づいて、ロックボルト孔Lの穿孔位置および穿孔角度を算出してもよい。
1…穿孔ナビゲーション装置
2…モニタ
3…コントローラ
4…穿孔装置
5…移動台車
6…ブーム
7…穿孔機
8…ガイドセル
9…第1の可動部(ブームスイング)
10…第2の可動部(ブームスライド)
11…第3の可動部(ガイドスイング)
12…第4の可動部(ガイドチルト)
13…第5の可動部(ガイドスライド)
14…穿孔ロッド
15…ドリフタ
16…フィーダ
17…モータ起動スイッチ
18…油圧ポンプ
19…電動モータ
20…水平角検出部(相対情報取得部)
21…水平角検出部(相対情報取得部)
22…垂直角検出部(相対情報取得部)
23…進退量検出部(相対情報取得部)
24…進退量検出部(相対情報取得部)
25…始動操作検出部
26…位置記憶部
30…油圧検出部
31…情報取得部
32…穿孔位置算出部
33…内空壁位置算出部
34…表示実行部
35…記憶実行部
36…停止部
40…トンネル用総合測量システム
41…トータルステーション
42…演算制御部
K…切羽
L…ロックボルト孔
LB…ロックボルト
Ls…ロックボルト孔の穿孔開始位置
Le…ロックボルト孔の穿孔終了位置
S…発破後断面(発破直後のトンネル内空壁面)
H…閉合部(コンクリート吹付後のトンネル内空壁面)
P…計画断面
G…推測断面

Claims (5)

  1. 移動台車に設けられたブームと、該ブームに設けられてロックボルト孔を穿孔可能な穿孔機と、を備えた穿孔装置を用いて行われる、トンネルの施工作業を支援する穿孔ナビゲーション装置であって、
    トンネルの閉合部に対するロックボルト孔の穿孔時に取得された穿孔位置情報に基づいて、発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の推測断面情報を算出する内空壁位置算出部と、
    前記内空壁位置算出部で算出した推測断面情報から推測断面の画像をモニタに表示させる表示実行部と、を備えることを特徴とする穿孔ナビゲーション装置。
  2. 前記表示実行部は、前記推測断面の画像を前記モニタに表示するとともに、これから切羽の鏡に対して穿孔する装薬孔の穿孔パターンの画像を前記モニタに重畳表示する請求項1に記載の穿孔ナビゲーション装置。
  3. 前記閉合部に対するロックボルト孔の穿孔開始位置の座標を(Y1,Z1)、
    ロックボルト孔の穿孔時に、発破直後のトンネル内空壁面である発破後断面に到達した位置座標を(Y2,Z2)、
    Y軸とロックボルト孔の穿孔方向との穿孔角度をθ、
    前記閉合部の吹付けコンクリートの厚さをtとし、該吹付けコンクリートの厚さtが既知であり且つ一定とみなすとき、
    前記内空壁位置算出部は、周方向に放射状に穿孔される複数のロックボルト孔の全ての穿孔開始位置の座標(Y1,Z1)および穿孔角度θを前記穿孔位置情報とし、この穿孔位置情報に対し、その位置座標相互を、直線または曲線で締結することにより、コンクリート吹付後のトンネル内空壁面に近似する前記推測断面情報を取得し、
    更に、前記穿孔位置情報に対し、以下の(式1、式2)から各ロックボルト孔における前記位置座標(Y2,Z2)をそれぞれ算出するとともに、その算出された位置座標相互を、直線または曲線で締結することにより、発破直後のトンネル内空壁面に近似する前記推測断面情報を取得する請求項1または2に記載の穿孔ナビゲーション装置。
    Y2=Y1+t×cosθ (式1)
    Z2=Z1+t×sinθ (式2)
  4. 前記トンネルの閉合作業中に穿孔されたロックボルト孔の穿孔位置および穿孔角度を穿孔位置情報として算出する穿孔位置算出部を更に備え、
    前記内空壁位置算出部は、前記穿孔位置算出部で算出されたロックボルト孔の穿孔位置情報に基づいて、前記発破直後またはコンクリート吹付後のトンネル内空壁面の推測断面情報を算出する請求項1〜3のいずれか一項に記載の穿孔ナビゲーション装置。
  5. トンネル延長方向における切羽の位置情報と、前記移動台車の位置、姿勢および向きの情報とを取得する基準情報取得部と、
    前記移動台車に対する前記穿孔機の位置、姿勢および向きに関する情報を取得する相対情報取得部と、
    前記穿孔機のドリフタを駆動する油圧から前記穿孔エネルギ値を取得する油圧検出部と、を更に備え、
    前記穿孔位置算出部は、前記基準情報取得部および前記相対情報取得部並びに油圧検出部が取得した情報に基づいて、前記穿孔位置情報を算出する請求項4に記載の穿孔ナビゲーション装置。
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